どれだけの戦いの時間が過ぎたであろうか。
私は目の前で黒々とそびえ立つ魔物へと剣を向けた。
まるでメデューサのように無数の触手を靡かせる化け物。
愛用しているロングソードはすでに触手の体液で赤黒く染められている。
もはやぬるぬると濡れる刀身に切れ味は無くなっていた。
だが、いま目の前の触手達から私を守るのは、この愛剣しか無かった。
女――それもまだ少女といっていい歳である私にとって、重い鋼鉄のロングソードは持ち続けるだけでも体力を消耗してしまう。
これで騎士のように鉄製の鎧でも着けていたなら、とうに私は倒れていたことだろう。
薄い皮のビキニのみを纏っているので、なんとか立ってられるのだ。
しかし、その身体も流れる汗でじっとりと濡れていた。
化け物――無数の触手を蠢かせるそれを倒した者には、この地の領主より懸賞金が与えられる。
私たち一行は、その金と名誉を求めるべく化け物の潜む洞窟の奥深くまで入っていったのだ。
だが、私たちが想像していたよりも遙かに――化け物は強かった。
その自らへの過信の代償として、五人のパーティは私を除いてすべて床に死体となって転がっている。
いずれも私とは長い付き合いだった。そんな彼らが恐怖に目を見開いたまま地面に倒れている姿は正視に耐えない。
しかし今、私はそれどころではなかった。まるで鞭のように無数の触手が私へと襲いかかってくる。
びゅんびゅんと風を切りながら、薄いビキニしかつけていない身体へと。
私はそのたびに、右へ避け、左へ飛び、避けきれない触手は剣を振るって弾き飛ばす。
私はいつしか防戦一方になっていた。
すでに私に残された体力は無かった。もはやフラフラになりながら触手を避け続ける。
怪物がその気になれば、私などあっという間に殺すことができるだろう。
(なのに何故私を……他の四人のようにひと思いに殺さないの? その気になれば、もう簡単でしょうに……)
その時、突如として触手達がほぼ同時に私の足へ向かって伸びた。
ぼんやりと考えていた私は、それをかわすタイミングが一瞬遅れた。
辛抱強い魔物がかけた罠に、私はかかってしまったのだ。
「あッ!?」
私は自分の両足に触手がからみつく感触がした。
ひんやりと冷たい感触。氷を当てられたように肌がすくむ。
それと同時に触手の獣じみたむっとする臭いが伝わり、私は意識が朦朧としてしまう。
すぐに両膝に絡みついた触手がぐいっと引かれた。
私は悲鳴を上げる余裕もないまま、尻餅をつかされた。私の臀部が床へと叩きつけられ、痛みに顔を顰める。
魔物は一気に勝負をかけてきた。残された触手がほとんど同時に私へと襲いかかり、持っていた剣を床の奥へと投げ飛ばす。
「しまった!!」
私が叫んだ時、両腕にもそれぞれ二本ずつ触手が絡まり、私は自由を失ってしまった。
(な……しまった……油断していたわ!!)
パニックで頭が働かないまま、とにかく本能的に逃げようと仰向けのまま両手両足を暴れさせる。
だが触手はがっしりと私の身体へと絡みつき、びくりともしなかった。
恐怖が、遅れて私のもとへと訪れた。
私は魔物に捕捉されてしまったのだ。
突如、両膝に激痛が走った。私は視線を走らせる。
そこでようやく、無数の触手によって足が絡まれ、左右に大きく開かれていくのに気づいた。
最初、私はなにが行われているのか理解できなかった。たちまち両膝はM字型に開脚させられた。
魔物の目の前で恥ずかしい格好をさせられ、羞恥に赤くなる。
「な、なにを……するのッ!」
魔物は無論、私の問いに答えることは無かった。しかし次の行動によって、その答えを示していた。
さらに触手が私のパンツへと伸び、左右の脚の隙間から中へと押し入ってきたのだ。
冷たい感触が私の下半身を撫でていく。
「やぁ!! やめ……ッ!」
悲鳴をあげる間もなく、触手が私の中へと無理矢理に挿入されてきた。
それと同時に、私の胸の双丘へ触手が絡みつき、ビキニ鎧ごしに揉みしだいていく……。
「ヒィ!!」
ようやく魔物が私にしようとしている事を悟り、私は恐怖に顔をこわばらせた。
激痛が私の下半身から伝わり、私は海老ぞりに背筋を反らす。
反射的に手足をばたつかせたが、触手はここぞとばかりに力を込めて私を縛り付ける。
私の中に冷たい触手がナイフのように切り込んでくる――
まだ処女である私の膣口が強く締め付けていくが、触手はお構いなしに押し込んでくる。
激痛に私は気が狂いそうになった。
「いやぁーーーーーーーッ!!!」
私はいつしか涙を零していた。
残った触手が嘲るように私の顔を撫でていく。そして私の口の中にまで触手が押し込まれていく。
意識を失う寸前、魔物の触手の先端から何かの熱い液が私の子宮の中へと流れ込んでくるのを感じた……。