「旦那様、起きてくださいませ、朝食の準備ができましたよ」  
 カーテンが開いて朝日が差し込んでくる。  
 かまわず布団をかぶり直す。  
 最近昼夜逆転の生活を送っているため、朝まともに起きれたためしがない。  
 「旦那様、お気持ちはわかりますけど今日こそは学校へ行きましょう!」  
 べつに両親の死が悲しいわけではない。  
 だが親父の権力がなくなると、俺は学校での立場が維持できなくなる。  
 教師には雑多のクズ生徒と同列に扱われ、今まで見下してきた連中からは逆に憐みの視線を向けられる。  
 そんなところに誰が好き好んで行けるというのだ。  
 「旦那様、いいお天気だから一緒にお散歩でもしませんか?  
  それにそろそろお布団を干さないと、汚いですよ」  
 相変わらず体をさすられるのが鬱陶しくなってきた。  
 「だー、うるせーなー!  
  俺はおまえの旦那様じゃないんだよ!  
  もう親父もおふくろも…、おまえに給料を払ってた人間はいないんだよ!  
  他の使用人みたいにさっさと出て行けばいいだろ!?」  
 「そのことはもういいんです!  
  私まで出て行ったら旦那様はどうなるんですか…?」  
   
 

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