『それにしても。。”たま姉”に似てる、、ってなんだろう・・・』  
メイド喫茶で働く”なつみ”は、トイレへ行く途中で呟いた。  
そもそも、バイトを始めたのは・・(タカアキ君と卒業旅行へ行って。。初めても・・・)  
と、少し不純な動機なのだ。  
『まぁ、いいや!3月の卒業までに稼ぐぞーっ!』と勢いよくトイレのドアを開けた瞬間・・  
宇宙・・それは最後のフロンティア(以下略)時としてワームホールは突然開くのである  
それはともかく『どうなってるのよぉー』と、”なつみ”は、何かの光に吸い込まれていった・・・  
 
 同じ頃、小笠原慶種と元家老で執事の高田格之助は貴族院に向かう馬車の中で、  
原因不明の光に包まれ、、その現象に馬たちも驚き急停止してしまった。  
ただし、悲劇の始まりはそこからで、慶種と格之助はその勢いで熱い抱擁と  
キスをしてしまった。。二人は御年60歳以上の爺である。。。  
何故か格之助の頬が染まり、何かを察した慶種は、、空気を換える為に叫んだ。  
 
『何ごとゾっ!』申し訳なさそうに馬車の運転手は「わかりません」と答えた・・・  
その瞬間、馬車の前方に黒い陰が落下し鈍い音が響いた、「イターいッ」  
尻餅をついた少女が片目を閉じ、もう片方には涙をためながら腰の辺りをさすっていた。  
馬車から降りてきた慶種に、「あぶないじゃない!、どうして東京に時代劇のような馬車と・・」  
「あたしは。。ビルの中にいた筈なのに?こんなとこにいるのよッ!」  
と慶種にとって意味不明な事を叫んでいたが、、気絶してしまった・・  
 
『おのれっ!無礼討ちにしてくれるッ』と腰の辺りに”ておてお”、お泳がせたが、、  
格之助は静かに言った・・「殿、、もはやそのような時代では・・・」  
「それにしても、、孝子姫に似てますな・・」  
慶種には、酒井家に嫁いだ一人娘の孝子がいたが、子供を生みその後の経過が良くなく  
亡くなっていたのであった。  
『屋敷で介抱してやれ』と、思うところもあり”なつみ”を馬車に乗せたが。。。  
それにしても、、このメイド服はハイカラで素足が見えて”はれんち”ではないか。。  
と思う慶種であった。  
 
そして、一連の流れを見ていた庶民からは、、「今夜は、お楽しみですか?」や  
「若い娘を手篭めにして爺様もお元気だな」とか「やらないか?」等々の  
励ましの数々を受け出発して行った・・・。  
 
 
小笠原屋敷に連れて行かれたなつみは、ベットの中で幸せな夢を見ていた。。  
 
時は過ぎ、、そして朝を迎える・・・  
『うーん、、、ここ、、何処?』寝癖のついた髪をいじりながら立ち上がり  
ぼんやり(変な夢をみたなぁ・・、、店長ここまで担いでくれたのかな?)  
とか考えを巡らせた・・そして古風なホテルの一室を思わせる部屋を見回しながら  
自分の姿の深刻さについて考えた時に悲鳴が上がった!  
『どうして!、パンツ一枚なのよぉ!!』  
『店長のバカァーッ』と無実な相手に罵声を浴びせていた、、、  
 
その時、、部屋のドアが開き老貴婦人が現れた・・  
驚いたなつみは、毛布で鼻から下を隠し丸まった  
「騒々しい静かになさい」口調は厳しいが穏やかになつみを諭し  
『あ、あの、、私の洋服は?』と自然な問いに、  
「いま洗濯しています、お昼過ぎには乾くでしょう。」と優しく答えた、  
 
「まずは朝食にしましょう?服はこれを着てね」と渡されたものはどう見ても  
宝塚で着るような、年代物の衣装に見えたが、勿論宝塚など見た事はない・・  
そして、乙女である”なつみ”は、下着姿で朝食を食べる訳にもいかず  
その衣装のような服を着る事にした。  
鏡を見ながら『オスカル!』と叫んだ、意味不明な”なつみ”を見て老貴婦人は。。  
「頭の打ち所が悪かったのかしら?」と思うのであった。  
 
 ダイニングへ向かう途中に老貴婦人は松子であると名乗り、  
なつみもまた自分の名を告げ、何が起きたか?を、お互いに確認しようとしたが  
要領を得なかった・・・しかしなつみが祖父の名を酒井”しげあき”と教えた時に、  
松子もまた孫の名が”しげあき”だと告げる、「偶然ってあるものね」と笑った。  
 
そして、ダイニングでは慶種公が泣いていた・・・  
”なつみ”が持っていた女子高の生徒手帳や、携帯にプリクラのカラー写真を見て、  
この時代の人間ではない事は悟った・・  
だが深刻なのはお守り袋に入っていた、時代を感じさせる和紙に「命名重秋」、  
そして公自身の花押を見た時、彼女が自分自身の子孫である事も  
理解し「我が家系は他人の家で、使用人として使われているのか!」と嘆くのである、  
勿論壮大な勘違いであるが・・・。  
 
松子もまた事情を知り、彼女が困らない様に表向き屋敷の使用人として雇う事にした、  
生徒手帳にある授業の生花やお茶を見ると、洗練された女性に感じだたが・・・  
実際に生花をさせて見ると、、松子の目には自由奔放!と書いてある様に見え、  
それを松子は楽しく感じたし、心地良いように思えた。  
 
なにより、明治日本人は物分りが良かったのである(嘘)   
 
 
『なつみさん、あなたには”ヨシアキ”の家庭教師をしてもらいます。』  
唐突な申し出に戸惑いながら・・・  
「ですが、、あたしこの時代の漢字が・・・」  
『足りない部分はお互いに補いなさい、それで大丈夫なはずです。』と松子が言うので  
”なつみ”は次期当主で養子の”ヨシアキ”の家庭教師モドキをする事になった。  
 
* * * * *  
 
 『何処を見ているのですか?』私のメイド服ってスカートは短いし。。。  
想像はつくけど・・16歳の癖に!マセガキだぞ!と心の中で毒づくのであった。  
「なつみ、、その様なカッコで平気なのか?」と聞かれて少し意地悪をしてやろう!と  
『なにがです?、、ヨシアキ様、、、私のスカートの中に興味がおありですか?』  
すまして言ったが、、、「興味なんて。。あ、ある訳ないじゃないか!」  
 
失礼ね!とは思ったが・・  
『ですが、、よしあき様の股間は、、膨らんでるように見えますが?』  
慌てて手で隠す、彼にさらに追い討ちをかけた『嘘ですよッ!』  
クスッとなつみは笑い、、(弟がいたらこんな感じかな?でもスケベじゃないよね。)  
とか考えていた。。そして、すでに白旗状態の彼に  
『なにか、お飲み物をお持ちしますね』と言うと部屋を出て行った。。  
 
彼もまた悪戯でお返しを実行するだが、そのたびに一枚も二枚も上手で  
シタタカな”なつみ”に凹まされていたのだ。  
 
 そんなある日仕返しと花火見物を兼ねて、近くの荒れた山寺になつみを誘った。  
『ねぇ・・こんな暗い山道を本当に登るの?』不安と恐れで今にも泣きそうな声だが、  
ヨシアキに「さすがの、なつみ様も苦手なものがあるのか」等とからかわれると、  
『こ、怖いなんて言ってないでしょ!』と一生懸命に言うのだが・・説得力は無かった。  
『さあ!いくわよっ!』と威勢は良いが・・・  
自分の腕にしがみついてる”なつみ”を見て、仕返しは成功したかな?と思うのだった。  
そして、いつからかは思い出せないが、彼女に淡い想いを抱いていた。  
 
山寺の頂上に着くと、指をさしながら「向こうが海で花火が上がるよ」  
境内に座ろう。。と続けた、  
『よしあき様?こういう時は、ハンカチを広げてそこに座らせるものですよ?』  
等と彼女独自の世界観で言うのだ、  
なつみの影響を受けている彼は浴衣が汚れる事を察して、  
「ならば、私の膝の上に・・・」と言うが、言い終わる前に『えっち!』と返した・・  
 
少し気まずい空気が流れた二人を救ったのは、  
打ち上げられた花火の音と光のシャワーだった、そして迷ったが彼の横に座わり  
(この時代じゃ無理だし仕方が無いよね・・)と思いながら、  
視線は花火が上がる軌跡を追っていた。  
 
月明かりと花火の光に照らされる、幻想的な”なつみ”の横顔と  
ふいんき(←何故か変換できない)が綺麗だと思っていた、気が付くと自然な動作で  
手を握り、『どうしたの?こういう時は・・・』ベタな事を言うより早く  
ヨシアキは、彼女の唇を奪っていた。。  
そして、浴衣の裾から手を滑り込ませようとしたが、、、  
 
ペッシ!なつみはヨシアキの頬をぶっていた、『あ、あたし・・そんなつもりじゃない!』  
『好きな人だっているんだから!』目に涙をためながら抗議した。  
彼は衝撃を受け、、それ以上続けることは出来なかった、そして走り去ろうとする彼女に  
「ごめん」「夜道は危ない・・二人で帰ろう」冷静さを取り戻した彼は言った。。  
 
なつみは”あなたと居ても危ないわよ!”と思い・・・悩んでみたものの、  
暗い夜道も怖いので申し出を受ける事にした、そして強引には押し倒そうとはしない  
彼を信じたのだ、、しかし、帰る道の二人は”5メートル以内に近づかないで!”  
と言う彼女の言葉に従う、それは”ヨシアキ”にとって離れてしまった  
心の距離の様にも思えた。。。  
 
 その日以来二人の会話は、事務的になり”ヨシアキ”は味気ない思いをしていた。  
積極的に話しかけるのだが、、貝のように心を閉ざしてしまった”なつみ”に  
手を焼いた、そんな二人を見守っている老婦人に「なんとかならんのか?」と  
慶種は聞くのだか、、松子は『二人の気持ちしだいです・・』と突き放し笑うのであった  
 
だが、慶種にも焦る理由があるのだ。。この秋にも”ヨシアキ”は、陸軍士官学校に  
入校する事になっておりこの屋敷を離れるのだ・・  
 
そして、屋敷を離れる前日の夜に、彼は”なつみ”にも読めるように全文カタカナで  
手紙を書いた、、花火の事の謝意、これまで楽しかった事、等々  
最後には”アイシテル”と書かれていて、彼女の目から落ちた涙が和紙を濡らした。  
 
眠れない夜を過ごし悩んでいたが”タカアキ君ごめんね・・”  
”もうしょうがないよね・・元の時代に帰れないし・・”と思うと眠りに落ちた。  
やがて”ヨシアキ”が出発する朝を迎えた、彼を送り出すために他のメイド達と並ぶ  
”なつみ”を見て、今日も駄目かと思いながら、松子に挨拶をし馬車に乗り込もうとした時  
 
彼女は”あたし待ってるからね!ずっとヨシアキ様を待ってるからね!”その声に  
驚いたが小さく頷くと、微笑とギコチない敬礼をして馬車に乗り込んだ・・・。  
 
・・その後ろで慶種は、『我が家の嫁にはもう少し何かが必要だ・・・』  
松子は、それなら女子師範学校に入学させては?と応じ二人を見守った。  
 
 
 
『りこー! りこ!アンミツ食べに行こうよ!みんなも食うでしょ!?』  
ホントは、ハーゲンダッツの方が良いけどネとは思っていたが、そんなものは無い・・  
そして、久しぶりの学園生活を”なつみ”は楽しんでいた。  
 
リコと呼ばれた、彼女は・・  
「りこではありません!さ・と・こです!それに”くう”なんて。。」  
以下を続けようとしたが、他のクラスメートの”食う!”と言う合唱にかき消された  
美しい日本語は、”なつみ”によって乱された!のかもしれない。。。  
 
* * *  
 
 「ヨ・シ・ア・キ!」、、『もう!私が文句言うとすぐそれ!』  
高田格之助にすれば、殿直々のご指導でご寵愛となるのだが、  
”なつみ”はうんざりしていた。そして、さらに文句を続けるとそこへ直れ!  
成敗してくれると、、屋敷の”ほうき”を持ち出して見事な構えを見せるのだった。  
”なつみ”も負けずに薙刀モドキにほうきを構えた、ちなみに松子直伝だ・・・  
しかし、腐っても武士・・ パシッ「コテェーッ!」その瞬間『イタイーッ!』と、  
いつも悲鳴を上げる”なつみ”であった。  
 
珍しく慶種は、まじめな顔をして言うのだ、  
我が小笠原家は”異端”といえども一族の物を納得させる為には、其れなりの  
教養と経歴が必要だ・・さらに教養はこのワシが教えたから良いとして、、  
などと”ずーずしく”いい放ち「ヨシアキも成長し芸者やいい女衆・・・」  
と続けたが。。これは”失敗だったか”と胸の内で思うのだ、  
なにしろ澄み切った青い空の笑顔が消えいまや、曇り空なのだから・・・  
 
耐え切れなくなった”なつみ”は、『それは、、私じゃダメって事ですか?』  
これ以上遠まわしな言い方をしても、泥沼になると判断した慶種は、  
「生きている間に・・”ヨシアキ”と”なつみ”子を見たいものじゃ・・・」  
そうなる事に反対はしないと言うと、彼女は慶種に抱きついてた、  
そして、『私も、負けないように・・???あの、、その手は・・・  
わたしは。。。”ヨシアキ”様のモノです!お尻は触らないでくださいね!』  
 
「いかんいかん」、などとワザとらしく咳払いをして、手が滑った等と言うのだ・・  
さらに抱き付かれた時に、少し大きくなった”胸の感触”を楽しんだとは、、、  
口が裂けても言えないだ・・・  
 
そして”なつみ”はシタタカに・・  
『慶種様も浮気したことがあるんですか?』  
「勿論じゃとも!」  
『あ!松子様!』  
爺様の顔が・・半分青くなった・・・  
『う・そ・よ!』  
「そこへ直れーッ!」『キャーッお許しをー』  
そんな騒がしい日々の終わりだった。  
 
* * *  
アンミツを食べながら、里子に師範学校入学の経緯を話し最後には  
”愛と見栄の為ね”と〆たのだった。  
 
 
 
彼女が入学して2年が経ったある日の事、  
 
「また、ここにいらしたの?」そう”なつみ”に声を掛けた里子だった。  
何故か里子となつみは、気が合い親友と呼べる程になっていた  
「それに、、なんだか何時もの曲なのに、、ミスも誤字も多いわね・・」  
パイプオルガンで”隣のトトロ”を弾く彼女に言った。  
 
『そ、そうかしら?・・・』  
「まぁ、わたしくしも、、弓道をしていますから、気持ちが乱れれば的に。。」  
と続けようとしたが、”なつみ”が”ウワノソラ”なので、  
「それで、、なにをそんなに気になさってるの?」  
 
『ヨシアキ様からの手紙が2週間も遅くて・・それが気になって・・』  
心の中では、携帯が使えればなぁ・・と考えていた。  
「しょうがないわね!なつみ!あなたの好きなアンミツを食べに行きましょ!」  
『えっ?うん・・里子、ありがとう。』  
お腹”いっぱい”にして気分を変えよ!食うぞー!と思う、なつみだった。  
 
 校門へ向かうと、、何故か”黒山の人だかりが”出来ていた。  
”人だかり”の真ん中には軍服を着た男性がいて、囲まれており  
困っている様子だったが、気にせずその側を通り過ぎようとした時、  
「なつみ!」と呼び、彼は近づいてくると、  
「小笠原ヨシアキ、姫を迎えに上がりました!」笑顔で敬礼をした。  
 
そして、”なつみ”は『わたし、、姫なんかじゃないわ・・それに・・』  
泣き崩れてしまいそうになるのを我慢しながら、  
『どうして、ここにいるのよっ!・・・逢いたかった・・』  
それが限界になり”ヨシアキ”の胸に飛び込んだ。  
 
そして思うのだ”コイツの腕の中、こんなに広かったかしら?”  
冷静な里子が、「なつみ!ここじゃ”まずい”わ、、あのお店に!」  
ふたりは、ヨシアキを引っ張って走り出した。  
 
 
”説明して貰いましょうか?なつみさん?”、イタズラ心を丸出しで里子は言った。  
照れて下を向き沈黙してしまった彼女に代わって、ヨシアキは話し始めた。。。  
 
私は。。16歳の頃、家庭教師のなつみと出会い、その後イヂメられてました・・  
そして復讐すべく陸士に入り、ついにその日が来たのです!それを聞いて里子は、  
”分かる!分かるわぁ〜!二人で悪を滅ぼしましょう。”等と言い手を取り合うのだ  
 
沈黙していた”なつみ”は『ちょっと!それって酷くない!?』  
思わず立ち上がってしまった、”他のお客様の迷惑になりますよ”と里子  
「いつもの、”なつみ”に戻ったか」笑いながらヨシアキは言うのだ。  
 
これ以上余計な事を言われたくない”なつみ”は、『メイドの家庭教師で恋人!です!』  
不安になり”ヨシアキ”の方を向く・・頷く彼を見てホッとする、そんなやり取りを見て  
里子は「前の二つはともかく”恋人”って事ね」と物分りが良い様だ。  
 
「それで事情はよく分かりました。どうしてこちらへ?」、少しタメライながら  
”早期卒業で陸軍第3軍に配属されロシアに行く”そして特別な休暇で”なつみ”に会って  
小笠原の屋敷に帰る途中なのだと言った。同じ事は老夫妻にも話す事になるのだが。  
 
曖昧な話をしたが里子は真意を理解した、幸せそうにアンミツを食べている  
彼女になにか言おうとしたが、微笑しながら首を振るヨシアキを見て思い止まった。  
”それどころじゃないでしょ、出征するって言ってるのに・・”とイライラしたのだ、  
 
そんな”イライラ”を”なつみ”は感じたが、理由が分からなかった。  
彼女は『ねぇ、あそこにある写真館って写真を撮ってくれるんだよね?』  
と話題を変えてしまい、『記念に、3人で撮ってもらおうよ!』  
突然の提案だが先の事を考えると、これ以上無いように思えて写真をとる事にした。  
 
そして写真館から出て”なつみ”と”ヨシアキ”が、いよいよ別れなければならない時、  
二人は、なかなかつないだ手を放せないでいた。そんな光景をみて里子は  
「あなたは重病よ?暫く静養が必要ね・・ご自宅にお帰りになったら」さらに、  
「寮母と、学校には、”わたくし”が報告しておきますから!」  
 
もう、早く行け!と言いたげな里子に、なつみは『ありがとう。。』と言うと、  
ヨシアキについていく事にした。  
 
 
久しぶりに小笠原邸に帰って来た”なつみ”達を歓迎するパーティで  
初めて婚約者として紹介されたのだった・・  
冷やかされながらも無難にこなし疲れきった二人は寝室に向かった。  
 
寝室には二つ枕が並べられ、意図は明らかだが”ヨシアキ”は、一つの枕を持って  
部屋を出て行こうとした、、  
『ねぇ、ようやっと、二人きりになれたんだよ?』  
『それに。。まだ話し足りないよ・・』と言いながら手を握って制止し、  
なつみは彼の背中におでこを付けた。  
 
彼は頷くとベットに入ったが、二人とも背を向けたままなのだ。。  
そして、里子が怒っていた訳と事情を正確に説明した、、  
『私、待つね・・でも2回目よ?無事に帰ってきてね・・』”ヨシアキ”は指輪の入った  
箱を渡し言うのだった・・  
 
「ロシアとの戦争が終わったら結婚しよう・・」  
 
『はい』と震える声で返事をした。  
『ねぇ・・”ヨシ・・アキ様?私の・・・・・』そこまで言うと  
”なつみ”は、旅と泣き疲れて寝てしまったのだ。そんな彼女に「興味あるよ・・」  
そう言うと毛布をかけなおした。  
次の日の朝・・ヨシアキはすでに出発してしまい”ぼんやり”と指輪を見つめながら  
朝食を済ました、それから彼女はヨシアキとの思い出の場所・・荒れた山寺に向かい  
頂上から見える海を見て寮に帰った。  
 
寮に戻って、2週間に1度の手紙を待ちながら”隣のトトロ”を  
パイプオルガンで弾いている時、慌てた里子が飛び込んできて電報を渡す。。  
そこには、、「ヨシアキ、フショウ ジュウタイ」と打電されていたのだ。  
『わたし!行かなきゃ!』走り出し教会のドアを開けた瞬間  
”なつみ”は光に包まれて飛んだ!  
 
 
 
彼女は病院のベットで目覚めた・・「気がついたか?」そう聞く声は  
”タカアキ”だった『わたし!行かなきゃいけないの!』、『ヨシアキ様が!』  
「落ち着け!もう少し寝てないと」暴れていたが”なつみ”は力尽きて眠ってしまった。  
 
数日後”なつみ”と”タカアキ”は、荒れていた山寺に居た  
『私、三日しか、意識を失っていないの?』  
「三日”も”だと思うけど・・・」  
『それに、どうして?ここが分かったの?』  
”変な事をいう奴が現れたら”は省略して  
「遺言だよ・・小笠原の菩提寺に連れて行けってね、でヨシアキ様って?」  
『私の婚約者で、あなたの爺様でしょ?』笑顔で薬指の指輪を見せた  
俺と言う恋人が居ながら、お前と言う奴はと首を振るのだった。  
 
山頂に着くと”高田格三朗という老いた僧侶に桐箱を渡され  
そして”祖父がお世話に・・”と言うと去っていった  
箱の中には手紙と写真と指輪が入っていた・・・  
”タカアキ”に里子とヨシアキそれに”私”が並んで写っている写真を見せると  
驚いたようだ。  
 
手紙は達筆だが”なつみ”には読める・・・  
『タカアキが生まれているなら、”ヨシアキ”も、生きて帰ってこれたんだよね』  
『ほんとうに良かった』・・そう言うと泣き崩れた。  
里子からは、ヨシアキが5年も待っていた事、この桐箱は自分が提案した事  
そして、、親友の恋人を奪った事の謝罪が書かれていた。  
 
「他には?」  
なつみは答えた  
『本当に好きな人が出来たらこの指輪を渡せって・・』  
 
「それって俺にくれるの?」  
『私の事許せる?』  
タカアキは頷いたそして、「だって、夢の事だろ?」  
 
『でも”まだ”ダメよ!』そう言うと笑った。  
 
少しムッとした”たかあき”に  
 
笑顔で『ねぇ!卒業旅行何処に行く?』と聞くなつみだった。  
 
おわり・・・  
 
 
 

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