<刑部(おさかべ)姫> 中編  
 
「つまんない。――あとは任せるわ」  
会の進行を勧めていた本多に耳打ちする。  
私のことばにメイド長はちょっと眉を曇らせたが、一礼して引き下がった。  
食事はちょうど魚料理が出たところだ。  
真鯛と帆立貝の一品。  
生まれた海は違うけれど、素材としては相性がいいお魚と貝。  
いつもなら、楽しく美味しく食べられるお料理だ。  
だけど、今日はなんとなく食べる気にならない。  
なにより、これからメインディッシュが出て、デザートとコーヒーがあって……、  
あと一時間以上もこの場に居なきゃならないだなんて、うんざりしてしまう。  
──たとえ、それが自分のお誕生日会であっても。  
私は、持ちなれないナイフとフォークに悪戦苦闘する33人のクラスメイトを眺めた。  
急に思い立ったこととはいえ、クラス全員がそろっている。  
……一人を除いて。  
私に招かれて、こない学友はいない。  
……一人を除いて。  
あの子だけは直接誘いはしなかったけど、聞いてきたっていいはず。  
と言うよりも、クラスで自分一人だけが私のお誕生会に招待されなかったら、  
何かあるんじゃないか、って気になるはず、普通。  
なのに、あの子ったら、平気の平左で帰っちゃった。  
ちょっと一言でも聞いてきたら、すぐに席を用意したのに。  
あ、思い出したらムカムカしてきた。  
お嬢様フェイスが崩れそうになるのを感じて、私は強張った笑顔を無理やり保持した。  
この企業城下町の頂点に座す徳川コンツェルンの娘として、そんなみっともない顔を見られるわけには行かない。  
にこやかに微笑みながら、席を外す旨を皆に伝える。  
食事は、続けてもらうことにする。  
街一番のホテルから料理スタッフごと呼び寄せたフルコースだ。  
私が居なければ、それほど緊張することなく味を楽しめるだろう。  
 
ため息を押し殺しながら、私は退席する旨を皆に伝えた。  
あきらかにほっとした空気が流れるのを肌で感じ取りながら、私は部屋の外に出た。  
「督子(とくこ)さまぁ〜」  
廊下に出ると、とろーんと甘ったるい声をあげながら三人の女の子たちが追ってきた。  
私の「取り巻き」と言われている娘たちだ。  
もっとも、私は、別に「取り巻き」なんか必要ない。  
でも、別に拒む理由もないから学校でいっしょに行動するのを黙認している。  
彼女たちはそれを、「自分たちは徳川督子のお気に入り」と勘違いしているようだ。  
 
……だったら!  
あの子を連れてくるとか!  
呼んでくるとか!  
引っ張ってくるとか!  
私の思っていることくらい察しなさいよ、  
この馬鹿娘どもっ!!  
私がどれだけ……  
 
「……督子さま……?」  
無表情に振り向いた私に、三人はちょっと気おされたように身を引いた。  
いけない、いけない。  
胸の中で渦巻く不満がもう少しで表に出るところだった。  
……私があの子を嫌っていると思い込んでいるこの三人娘が余計な事を言ったせいで  
あの子がこのお誕生日会にこなかったことを思い出すと、  
正直なところ、私はドス黒い殺意がじわじわと心を侵食していくのを止められなかった。  
「あ、あの──」  
「……大丈夫。ちょっと風邪を引いちゃったみたい。皆によろしくね」  
お嬢様らしく微笑んでそう言うのには少し苦労した。  
「はいっ! 督子さま、お大事に……」  
「明日、また学校で」  
三人娘が部屋に戻って行くのを見送ることなく、私は廊下を突き進んだ。  
 
屋敷をほとんど縦断して、自分の部屋のある棟に戻る。  
私に与えられたこの棟だけで、いわゆる「普通サイズのお屋敷」に相当するが、  
いつもは無駄に感じるその広さが、今日だけはありがたい。  
隣との境の塀がはるか向こうに見える庭に面したベランダに出て、私は大きく息を吸い込んだ。  
「……たろすけ君の、ばかあああっっっ!!!」  
ばかばかばかばかばかばかばか!  
ばかばかばかばかばかばかばか!  
私の絶叫は長く長く続いた。  
「私のこと、忘れちゃうなんてぇぇぇぇぇぇっっ!!」  
肺の中の空気をすべて搾り出すようにしての叫び声は、  
青い空と緑の木々の間に消えて行く。  
 
……五歳の内気な女子が、苦手な幼稚園に毎日通ったのは、  
仲良しになった男の子といっしょに遊ぶためだった。  
この街を背負う将来のために、お嬢様幼稚園やお嬢様学校を避けて  
あえてこの街の公立学校や幼稚園にすすむことを義務付けられた私に、  
まわりの子供たちはどう接していいのかわからないでいた。  
自分の親を、南海の孤島にもシベリアの果てにも容易に飛ばせる一族の娘。  
そんな相手に分け隔てなく遊んでくれたのは、後にも先にもその子だけだった。  
小学校に上がる前に引っ越していったその男の子に、  
好きだという事を告白できたのは、最後のお別れの時。  
とまどったようにはにかんだ男の子が、返事をする前に電車のドアがしまったとき、  
私は、もっと早くそれを伝えるのだった、と後悔した。  
……それから、私は色々と変わった。  
いい意味でも。悪い意味でも。  
昔住んでいた街に戻ってきたその男の子と久しぶりに会ったとき、  
泣き出さないですんだ強さは前者だろうし、  
その時につれない態度を取ってしまったのは、後者だろう。  
でも──まさか、太郎助君が本当に私のことを忘れてしまっていたとは思わなかった。  
 
「たろすけ君の……ばか……」  
肺の中の最後の空気を、そのことばと一緒に吐き出した私は、  
息を吸おうとして、それを忘れた。  
「……や、やあ」  
ベランダの手すりにしがみついて、間抜けな挨拶をしてきたのは、  
今、まさに私が罵倒した幼馴染だった。  
「……」  
私は硬直した。  
なぜ太郎助君がここにいるのか、  
なぜベランダの外にしがみついているのか、  
ひょっとして、今の叫び声を聞かれてしまったのか、  
頭の中は、パニック状態もいいところだ。  
何か言おうとして、息を吸うことも忘れていたことに気がつき、  
私は咳き込みまじりにひゅうひゅうと空気を吸い込んだ。  
懐かしい呼び名で声を掛けられたのは、その瞬間だった。  
「……ええと、ひょっとして、君、……督子ちゃん……だったの?」  
督子ちゃん。  
私は、誰からもその名で呼ばれなかった。  
お嬢様、徳川さん、督子さま。  
はじめて──そして、たった一人、他の女の子と同じような呼び方で読んでくれた子。  
それは、私の初恋の相手で、今でもずっとずっと好きな相手で──。  
 
「……おぬしが、太郎助を泣かした女かえ?」  
 
……そして、泥棒猫付だった。  
私は、手すりにしがみついている幼馴染の「後ろ」から現れた紅い和服の少女をにらみつけた。  
あまりのショックと怒りに、  
その子が、なぜ支えもない空中に立っていられるのか、さえも気に止めずに。  
そして私は、絶叫してその娘と幼馴染へと突進した。  
 
「――ばか、ばか、ばか、なんであんたがこんなとこに居るのよ。  
フホーシンニューよ、これはっ! ケーサツ呼ぶわよっ!  
女の子の部屋に忍び込むなんて変態、変態、ド変態っ!!  
だいたいお誕生日会に来たければ、来たいって言ってくればよかったのに、  
来もしないで後から忍び込むなんて、最っ低っー!!」  
口から漏れたのは、我ながら早口言葉と聞き間違えるくらいに  
リズミカルな罵倒の嵐だった。  
普段使ったこともないような単語(私は他人を「あんた」と呼んだことなどなかった)が  
ぽんぽんと唇から吐き出される。  
幼馴染はぽかんと口を開けてそれを聞いていたが、やがてしおしおと縮こまった。  
だが、私の追及はとまらない。  
勢いをつけて、一気に一番言いたい事を叫ぶ。  
「だいたい、その娘は誰なのよっ! なんであんたの側にいるのよっ!!」  
紅い和服の美少女は、すっと手すりの上に立った。  
「おぬしに名乗る名などないが、太郎助の側にいる理由は教えて遣わす。  
──わらわが、太郎助の保護者兼愛人だからじゃ」  
「あああああああ、愛人〜っ!?」  
「そうじゃ、太郎助とは毎日まぐわっておるからの」  
「あわわ……」  
その女の子の発した「いやらしい意味のことば」よりも、  
その女の子が、手すりからずり落ちそうになる太郎助君の手を取り、  
ひょい、と言う感じでベランダの中に引き上げたことが、  
私の激情の引き金を引いた。  
わ、私でさえ、幼稚園のお遊戯会のとき以来、太郎助君と手をつないだことなどないのにっ!!  
ぶちん、と自分の中で何かが切れる音をたしかに私は聞いた。  
「こ、この、う、浮気ものぉぉぉー!!」  
「これ、わらわの稚児に何をするか!」  
幼馴染に掴みかかった私に、横合いから冷たい白い手が伸びて……。  
……私は気を失った。  
 
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※  
 
 
「――こ…ここが屋根裏部屋だったのか…! 感じる…刑部姫さまの気配を…」  
「太郎助よ…まぐわう前に一つ言っておくことがある。  
おぬしはわらわをイかせるのに『ママの特製ひみつ媚薬』が必要だと思っているようだが  
……別になくてもイかせられる」  
「な 何だって!?」  
「そしてさらってきた督子はやせてきたので最寄りの町へ解放しておいた。  
あとはわらわとまぐわうだけじゃな、クックック……」  
(ゴゴゴゴ)  
「フ…上等です…僕も一つ言っておくことがあります。  
僕に離れ離れになった幼馴染の女の子がいるような気がしてたけど、  
別にそんなことはなかったです!」  
「そうか」  
「ウオオオいくぞオオオ!」  
「さあ来い太郎助!」  
僕の勇気が世界を救うと信じて…! ご愛読ありがとうございました!  
 
 
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※  
 
 
「……何を現実逃避しておるのじゃ?」  
ものすごい冷たい声と視線が僕に突き刺さる。  
「ええ……と、この通りにしちゃ、ダメ……?」  
「ダメじゃ」  
にべにない返事に、  
(もごー!)という押し殺した声が重なる。抗議の声だ。  
僕はのろのろと、ついさっき自分の幼馴染だったことを思い出したクラスメイトのほうを向いた。  
7年前、とっても仲良しだった女の子は、今はものすごい美少女に成長していて、  
……下着姿で縛られ、猿轡をかまされて僕の部屋に転がっている。  
僕と一緒に。  
「……な、ななな、なんてことを!! 犯罪だよ、これっ!!」  
僕のほうは、猿轡をかまされていないから声だけは出た。  
認識を拒否していた脳が、無理やり現実をつきつけられて  
活動再開しはじめると、僕はパニックに陥っている。  
だって、○学生の女の子をさらってきて、半裸にひん剥いて縛ってるんだよ!  
「敵の女子(おなご)を捕らえた時の当然の処置じゃ」  
刑部姫さまは、こともなげに言い放った。  
「て、敵って……」  
「この女は、手下どもを使って太郎助をいじめた。泣かした。敵じゃ」  
(もご……)  
督子ちゃんは、なんとなくしょんぼりしたようにうつむいた。  
あ、かわいい。  
今の強気で意地悪な感じのクラスメイトに、とっても素直でかわいかった幼馴染の影を感じて、  
僕はちょっとドキドキした──って、そんなこと言っている場合じゃない!  
「け、警察に捕まっちゃうよお!」  
「安心せい。わらわの結界は五百年も破られぬものじゃぞ。  
誰もここを探しに来ないし、誰も探そうともしない。<神隠し>とは、こうやって生じるのじゃ」  
(もご……)  
督子ちゃんは青ざめた。もちろん僕も。  
とっても変でおもしろい女(ひと)だけど、姫さまは本物の祟り神だ。  
 
「さあて、こいつをどうしてくれようか……」  
刑部姫さまは、白くて細い指をわきわきさせながら言った。  
目がらんらんと輝いている。  
これは……エッチなサイトを食い入るように見つめる、あの時の目だ。  
ええと……その、督子ちゃんは女の子だよ?  
「わらわは、女子でもイケる口じゃ」  
ああ、そうだった。  
「さすがのわらわも、今の○学生とやらと寝たことはない  
ほほ、これは楽しみじゃ……」  
じゅるり、という舌なめずりの音に、不覚にも僕は、  
そして督子ちゃんさえも、背筋にぞくりとした官能が走るのを感じた。  
「では、装束を脱がすとするかえ」  
水が流れるようななめらかな動きで姫さまは督子ちゃんの上にのしかかった。  
(ひゃ……)  
督子ちゃんが身をすくませたけど、  
姫さまの手は容赦せずにそのブラウスを剥ぎ取った。  
翻った手で、スカートまでも。  
透けて見えるような姫さまの肌とは違った、健康的な白い肌。  
生でははじめて見る、自分と同い年の女の子の下着姿に、僕は鼻血が出そうになった。  
「ふむう。今時分の娘は、やはり発育が良いのお……。  
食うものが違うとここまで育つものかや」  
高そうだけど、つつましい督子ちゃんのブラジャー姿を眺めながら  
刑部姫さまは感心したようにつぶやいた。  
ちらっと自分の和服の胸元を見たようにも思える。  
姫さまは、いわゆる「和服美人」だ。  
おっぱいなんかぺったんこで、○学生とは思えない督子ちゃんの胸と比べると……  
ぎろり。  
「ひええっ!」  
姫さまが横目で僕を睨み、僕はすくみあがった。  
 
「……ふ、ふん。まあよいわ。女子は胸ではないぞ。  
乳などは乳母どもにまかせておけばよいのじゃ! 女の価値はそそじゃ、そそっ!!  
おぬしのそそを見極めてくれるわ!!」  
刑部姫さまは不機嫌に強弁した。  
(……?)  
「そそ」という単語を知らない督子ちゃんが訝しげな表情になる。  
そりゃ聞いたことがないだろうなあ。  
僕だって、姫さまから教えてもらうまで、  
それが「女の子のあそこ」を意味する昔のことば、なんて知らなかった。  
……。  
…………。  
って、姫さま、まさか督子ちゃんの……!?  
愕然とした僕を尻目に、刑部姫さまは、まさに「それ」を敢行していた。  
姫さまの指が、つつう、と督子ちゃんのショーツの上をなぞる。  
(むぐうっ!!)  
猿轡の下で督子ちゃんが叫ぶけど、紅い和服の祟り神さまは意に介さない。  
「むむ。もう下の毛が生えておるのかえ」  
驚いたような声に、督子ちゃんは真っ赤になった。  
(と、督子ちゃん。もう生えてるんだ……)  
たらっと、鼻の奥から生ぬるい鼻血が流れてくる。  
「あわわ……」  
慌てて拭う僕を、姫さまはなぜか強い視線で睨みつけた。  
「……ふん」  
鼻を鳴らす。  
不機嫌は、そのまま督子ちゃんのほうに向かう。  
刑部姫さまは、督子ちゃんの白い太ももを強引に割って押さえつけた。  
(もごもご)  
督子ちゃんが身を捩って抵抗しようとする。  
姫さまはぎらり、と睨みつけ、督子ちゃんは抵抗をやめた。  
 
「ふむ。毛はともかくとして、おぬし、生娘じゃの」  
ショーツのふくらみを凝視しながら姫さまがつぶやいた。  
(もごっ! もごっ! もごぅっ!)  
督子ちゃんが真っ赤になってわめこうとする。  
「黙りゃ」  
姫さまは、なんでもないことのようにごく自然な動作で、  
督子ちゃんの大きく広げさせた腿の奥に顔を近づけた。  
紅い舌が、純白のショーツの上を這った。  
(――!!)  
びくん、と督子ちゃんの身体が跳ねた。  
あー。  
姫さまの舌は……とにかくすごいんだ。  
僕もパンツの上から何度もイかされちゃったから、  
幼馴染だった女の子が、今、どんな快感を受けたのかわかる。  
督子ちゃんの身体はたちまち、「くてぇ〜」って感じで力を失った。  
それをにやにやと笑いながら見ていた姫さまは、もう一度そこに舌を這わせ……  
「……ん?!」  
目を大きく開いて督子ちゃんから離れた。  
「……おぬし……」  
(も…ご……?)  
「おぬし……」  
姫さまの目がぎらっと光った。  
先ほどまでの優美な動きが嘘のように強引に、督子ちゃんのショーツに手をかける。  
ずりっ!  
躊躇なく一気に引き下げる。  
(!!!)  
身体に力が入らない督子ちゃんは、声にならない叫び声をあげたけど、  
抵抗も出来ずに下半身を生まれたままの姿にひん剥かれた。  
「むう……」  
そのあらわになった花園を覗き込んで姫さまはため息をついた。  
 
「えっと……姫さま……?」  
僕は督子ちゃんの股間を凝視している姫さまにおずおずと声をかけた。  
「黙りゃ」  
こちらのほうを見もしないで姫さまは答えた。  
声が思いっきり不機嫌そうだ。  
何があったのだろう。  
恥ずかしがるどころの話ではない、  
もう耳まで真っ赤になった督子ちゃんが股を閉じようとするのを  
両手で押さえつけながら、姫さまは、宙を睨んだ。  
「ふむ、ふむ、ふむう……」  
下半身を裸にした美少女の上で思索にふけるこれまた美少女。  
異常な光景だ。  
やがて──姫さまは、こちらを振り向いた。  
先ほどまでの憂いが別人のようないたずらっぽい笑顔だ。  
さっきの思案顔は僕の身間違いだったのだろうか、と思うくらい、  
それは綺麗で、可愛くて、邪悪だった。  
「さて、太郎助。この女子(おなご)、どういたそうかえ?」  
「……え……?」  
「見たところ、この娘はおぬしのことを憎からず想っている様子。  
よって、わらわが肉人形に仕立てあげて、そなたの妾にして遣わしてもよいが……」  
ななな、なんだって!?  
「に、肉人形って……」  
「肉人形は、肉人形じゃ。人外の快楽(けらく)を教え込んだ人間は簡単に壊れる。  
男子(おのこ)は命をすてて戦う侍(さぶらい)となり、女子は命枯れ果てても淫らに侍る妾となる。  
太郎助も今年で○○、妾の一人や二人は男のたしなみじゃ。  
そう言えば、わらわとしたことが、先日、そなたの誕生日に  
<ばあすでえ・ぷれぜんと>やらを渡すのを忘れておった。  
わらわの時代は数え年で正月に祝うものであったのでの。  
ここはひとつ、この女子を肉人形に変えて下げ渡してつかわす」  
すらすらと言い切った姫さまに、僕は目を白黒させた。  
 
                     中編 ここまで  
 
 

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