「理沙、一緒に帰るか」  
「……」  
ああ、これは夢だ。  
 
「昨日見たあのブルマのエロ漫画のこと義父さんと母さんには黙っとけよ」  
「不潔!」  
私は知っている。  
 
「だから、あれは中学校の引っ越した先輩に押し付けられたんだよ」  
「言い訳はいいから、近寄らないでよ」  
この後何が起こるのか。  
 
「おい、なんか変な音しないか?」  
「いいから、半径3メートル以内に……あれ、なにあの車!」  
彼がどうなるのか。  
 
「やばい、おい、あの車人をはねながら突っ込んでくるぞ!」  
「嘘!」  
大きな音。激しい衝撃。  
「避けろ理沙!!」  
 
突き飛ばされた私が短い気絶から意識を取り戻した時見たのは、  
紅く染まった私のブルマと、血を流しながらそこに顔を突っ伏し、動かなくなった義兄の姿。  
5メートル先のコンクリート塀には大破した車が炎上していて、  
ただでさえ赤く染まった兄をさらなる真紅に染めあげていた。  
 
 
夕焼けの差し込むほの暗い病室に、二人の人間がいた。  
ベッドで眠る少年と、彼を見守る少女。少女が少年の右手を手に取ると、  
手の甲には三日月形の火傷の痕が残っていた。  
 
「お疲れ様、理沙ちゃん。今学校終わったところ?」  
「お義母さん、トイレ行ってたの?換えのお花持って来たんだ」  
 女性の声を聞くと病室にいた少女はわずかに顔を綻ばせ、  
ツインテールを揺らしながら振り向いた。  
「水曜は部活もないから途中でお花屋さん寄ってきちゃった。お義兄ちゃん元気?」  
「ええ、呼吸も脳波も安定して異常はなしね」  
 
 女性と少女はベッドの上で眠る少年に目を落とす。  
 口には呼吸器を、肘には点滴用のチューブが刺さった痛ましい少年の姿がそこにあった。  
「だけど本当、あなたはお兄ちゃんっ子よね。二言目にはお兄ちゃん、お兄ちゃんなんだから」  
 少女は少しもじもじしながら少年から離れた。  
「やっぱり……変なのかな?」  
 
「ううん、そんなことないと思うわよ。むしろ立派過ぎて自慢したくなるぐらい。  
あ、鋏貸してね。お花の葉っぱ切っとくから。  
……ただ、いつまでもこの子のお見舞いとかしてて大丈夫?  
本当は部活とか、友達と遊んだりとか、したいことがあるんじゃないの?」  
鋏をランドセルから取り出した少女はニカっと笑う。  
 
「大丈夫だよ、先生も友達も協力できることはしてくれるって言ってくれてるし。  
これはさ、先生が特別に組んでくれた家でもできる調べ物のメニュー。  
でこっちが、学年1位の加奈のマル秘ノート。下手な先生が教えてくれるより  
よっぽど分かりやすかったりするんだよね」  
「そう、ならいいんだけど……」  
「それに私、お義兄ちゃんと口喧嘩しちゃったから。あの事故の前、少しだけ」  
 
「へえ、あなた達が?珍しいわね」  
「だから、目を覚ましたら一番最初に話がしたいんだ。ごめんなさいって謝りたくて」  
「そう……大丈夫よ、こんなかわいくてよくできた妹がお見舞いに来てくれるんだもん。  
すぐに飛び起きるわよ」  
「へへ……あ、そうだ、もう少ししたらお魚の特売が始まるんだった!  
今日はもう帰るね。あ、お洗濯夜のうちにやっとくから、明日の朝干しといてね!」  
 
それだけ言うと、少女はランドセルを背負って病室を後にする。  
その少女の目元が赤く腫れ上がっていたのを母親は見逃さなかった。  
「やれやれ、落ち着かない子。鋏忘れちゃって……だけどいい子よね」  
女性は少し落ち窪んだ目で少年を見つめ、その額に軽くデコピンをするが、  
少年は全く反応しなかった。  
「あの子をこれ以上悲しませたら、お母さんが許さないわよ」  
 
 
「理沙、一緒に帰るか」  
「……」  
またあの夢だ。  
 
「昨日見たあのブルマのエロ漫画のこと義父さんと母さんには黙っとけよ」  
「不潔!」  
あの事故から今まで何度繰り返して見てきただろう。  
 
「だから、あれは引っ越した先輩に押し付けられたんだよ」  
「言い訳はいいから、近寄らないでよ」  
また今夜も、この人が倒れるところを見てしまうのか。  
 
「おい、なんか変な音しないか?」  
「いいから、半径3メートル以内に……あれ、なにあの車!」  
何であんなつまらないことで喧嘩しちゃったんだろ。  
 
「やばい、おい、あの車人をはねながら突っ込んでくるぞ!」  
「嘘!」  
この後ずーとお義兄ちゃんと話せなくなるのに。  
 
「避けろ理沙!!」  
突き飛ばされた私が意識を取り戻した時見たのは、紅く染まった私のブルマと、  
血を流しながらそこに顔を突っ伏し、動かなくなった義兄の姿のはずだった。  
 
しかし、そこにいたのは、血まみれになりながら私を見上げる兄の姿。  
 
「お……お義兄ちゃん……?」  
「ごめんな、理沙」  
「大丈夫、お兄ちゃん!今、救急車が来るから!」  
「寂しくさせてごめんな……俺の名前呼びながら、毎晩オナニーしてただろう?」  
「な、何を!?」  
「悪りいな。ちゃんと俺が気持ちよくさせてやるよ」  
 
「え……やだ、お義兄ちゃんそんなとこ汚いよ!」  
「汚くなんかねえよ。お前の体だろ?」  
兄の体がブルマに溶け、そして通過する。  
「嘘……なに、なんなの?」  
義兄はブルマをつき抜け、その下にある私の体を直接舐めたり触ったりし始める。  
「え……これ、何?」  
 
指がとても言えない様な場所を割り開き、お尻の穴から前の場所まで舌が丹念に舐めてくる。  
「やだ……なに、これ、なんなの……?」  
背筋をぞくぞくと何かが駆け上る。自分で自分を慰めた時とは比べ物にならない何かが、  
私の体を這い回る。  
「これ……変だよ…………」  
筋肉、神経、感覚。その全てが熱暴走を起こしていく。  
「や……いやあぁぁっっ」  
 
目を覚ましたそこには、見慣れた天井があった。  
体をよじれば、そこにはお気に入りのティディベアが私を覗き込んでいた。  
(やだ……変な夢見ちゃった)  
あまりに強烈な感覚の残滓に、私は布団を被ったまま恐る恐るパジャマのボトムスの中を覗く。  
もちろんそこにはお義兄ちゃんの顔などあるはずもなく。  
 
(ああ……ブルマなんて穿いてたから……あんな夢見たのかな)  
昨日の夜は洗濯をして掃除もして洗い物も片付けて。  
たまった家事を一気にやった疲れが出てお風呂に入らず眠ってしまった。  
あの事故で、お義兄ちゃんの返り血を浴びたブルマを穿いたまま。  
 
(だからって……あんな夢見ちゃうなんて……)  
戸惑いながらブルマに触れた私は、思わず声を上げてしまう。  
その濃紺の履物は、指を湿らせるほど濡れていた。  
 
 
 
自転車を漕ぐ二人の少女の片方が、大きな瞳をくりくりさせて  
ショートカットを掻きあげながら大声を出す。  
「あらら、そりゃ淫夢ってやつだね」  
理沙は慌てて言い返した。  
「な、なんでそうなるのよ!」  
 
「なんでって……大好きなお兄ちゃんにエッチなことされて」  
「べ……別に大好きじゃないもん!」  
「あら、3年生の時に『お兄ちゃんと妹は結婚できないって本当?』  
って言って涙を流したのは誰だったかしら?  
その後『義理の兄妹なら結婚できる』って聞くまで泣き止まなかったのは?」  
 
「そ……それは」  
「ま、それは置いといて。その上起きた時、ブルマーが愛液でびっしょり濡れてたんでしょ?」  
「び、……びっしょりってほど濡れてない!」  
ふーんと、少し探るような目で隣を見てから加奈は微笑んだ。  
「で、何でそんな恥ずかしいこと私に相談してきたの?」  
 
「加奈ちゃん、オカルトとかお化けの話とか、そういのうの詳しいよね?……  
もしかしたら、お兄ちゃんが私に夢の中で何かを訴えてきた、って考えられないかな?」  
「うーん、どうだろう」  
加奈は少し戸惑うように顎の下に手を当て、言葉を飲み込んだ。  
――夢枕に人が立つ時はね、大抵その人は死のうとしているかすでに死んでしまった人なんだよ――  
などという事は言えるわけもなく。  
 
「やっぱり、誰かさんが欲求不満なんじゃない?」  
「もう加奈ったら!あ、置いてかないでよー」  
加奈はえへへへと笑いながらすいすいと自転車を漕いでいく。  
そう、今彼女が理沙にできることは、こんな風に無理矢理部活動に連れ出して  
気分転換をさせるか、茶化して少しでも笑わせてあげることぐらいなのだから。  
 
「1度や2度ならこんな夢見たなんて恥ずかしくて誰にも言えないけど……  
さすがに何十回も見て、この前なんかブルマにうっすらと血が付いてて」  
その言葉に、加奈の顔から作り笑いが消えて自転車のスピードを落とす。  
「それって……生理が始まったんじゃないの?」  
「うーん……違うと思う。そんなにどばっとじゃなくて、ちょっぴりだったから」  
 
「あんたって本と暢気よね。血まで出るなんてちょっと普通じゃないわよ!?  
それってもう病院に行ったほうがいいんじゃない?」  
「え……でも、ほら。ブルマさえ穿いてなければ大丈夫だし」  
「でも、その割には毎晩その夢見てるような口ぶりだったわね」  
「それは……その、近頃はいつも穿いてるから……ブルマ」  
 
加奈は思わず呆れた声を出した。  
「あんたねえ。そんな夢見るって分かってるなら穿くのやめなさいよ!」  
「でも……穿いてたら、夢の中でお義兄ちゃんに遭えるから」  
「……淫乱ブラコン」  
「な、なによ!そんなんじゃないって」  
慌てる理沙を加奈はけらけらと笑い飛ばす。  
 
「あー、なんかうちの学校の7不思議思い出した」  
怪訝な顔をして理沙が問い返す。  
「7不思議って加奈が最初に記事にしようとしてた方の?」  
「そ、我が校に伝わる7不思議。ところがどっこい、これのほとんどが理沙の夢みたいに  
エッチなのばっかりでさ。新聞部にはふさわしくないってNG食らっちゃって。  
それで急遽校外の心霊スポットを撮影しに行く羽目になったんだよね。ほら、  
あそこに見えるのが目当ての建物。でもエッチなのじゃないんだよね。理沙にしてみたら残念かな?」  
 
「だからそんなんじゃ……!」  
「ははは、しかもその心霊スポットていうのがちょうどブルマ工……」  
そこで加奈は急ブレーキで自転車を止める。  
「ね。今なんか聞こえなかった?」  
「廃工場から……声?」  
 
通常の生活では決して出さない音域の声が、確かに目当ての建物から聞こえてきた。  
「悲鳴だよ!」  
「女の人!?」  
「どうしよ、先生には中に入っちゃいけないって言われてたけど」  
「入ろう!さっきの声、絶対普通じゃなかったもん」  
少女二人はお互いに顔を見合わせ、自転車を捨てるように置くと  
立ち入り禁止の札を跨いで敷地に入っていった。  
 
 
割れたガラス片や散乱した機械の間を縫うように進んで少女二人が見た光景は、  
男と女が絡み合う淫靡な情景だった。  
いや絡み合うという言葉は適切ではない。3人の男が、セーラー服を着た少女を、  
髪の毛を掴んだり頬を叩いたりして無理矢理服を脱がしているのだから。  
(女の人に……暴力を振るってる!しかも複数で!!)  
 
理沙の頭に血が上る。理沙は思い出してしまったからだ。  
『毎日がつまらないので僕の人生を終わらせます』などという遺書を残して、  
兄や多くの人をはねて自殺した無責任な薬物依存症の男のことを。  
与える暴力の種類は異なれど、今目の前で行われている行為は  
あの男のように他人の尊厳を刈り取る行為に他ならない。  
 
(理沙は……携帯持ってないか、私と同じで……どうしよう……) 
(加奈ちゃんは逃げて助けを呼んで!私はあいつらの気を引いてみるから)  
(何言ってるのよ!あんたまでひどい目に遭うよ。  
こんなこと言いたくないけど、あの人はもう……)  
ここに来るまで、彼女達が自転車を漕ぎながらおおぴっらに恥ずかしい話をしていたのは、  
どこにも民家がなかったから。20分近く誰ともすれ違わなかったから。  
 
そんな人気のない区域で、誰かに助けを呼ぼうとしても、すぐには見つからないだろう。  
(大丈夫だよ。あいつらの正面から止めに入るほど馬鹿じゃないから、ね。  
加奈ちゃんの方が自転車こぐの速いから、お願い)  
加奈は理沙の顔を見て説得は無駄だと理解した。この一見可憐で線の細い友人は、  
決めたことは絶対に貫くのだ。たとえそれが自分にとって危険なことでも。  
 
(……絶対、無理しちゃ駄目だよ?)  
にっこりと笑って理沙は加奈の手を振り解くと、悪夢の宴に近づいた。  
(大丈夫、機械の間とか利用して逃げれば、ちっちゃい私は捕まらない)  
加奈が部屋から見えなくなるのを待って理沙は男達の前に姿を現す。  
「あなた達ゃめな……」  
緊張で喉が渇いて掠れ声しか出なかった。  
 
男達の値踏みするような視線が体の上を這い回って、悪寒がした。  
でも、輪姦はおさまった。服を脱がす手が止まった。  
 
(これでいい。加奈ちゃんが帰ってくるまで何とか時間を稼ぐ。  
いや、ここで脅して逃げ帰してやる!どうせこんな卑劣なことする奴らだもん、  
警察呼んだとか言えば逃げ出すかもしれない)  
「今、警察を呼んだんだからね!」  
何とか大声を捻り出して威嚇するが、男達はまるで怯まない。  
 
それどころか、新しい獲物に興味津々といった様子で、  
「誰が最初にヤル?」  
などと理沙を犯す順番を決めようとしている始末だ。  
 
「ふ、ふざけないでよ……今すぐその人から手を離しなさいっ」  
「おお、こわ。手を離さないとどうなるのかな」  
腕に髑髏のタトゥーを彫った男が近づいてきた。  
(大丈夫、斜め後ろにあった狭い排気口に体を潜らせて向こうの部屋に行けば  
……私は通れてもあいつらは通れない、多分)  
 
ぱっと後ろを振り向き、排気口に顔を突っ込んだその瞬間、  
中に張られた金網の存在にようやく気が付いた。  
急いで顔を出し、違う場所に逃げ込もうとするが、すでに足首を暴漢に捕まれていた。  
 
「ひゃはあ、ガキ一匹ゲッ〜〜〜ット」  
「いやああああああああああぁぁっッッ」  
「テンション上がってんなーこのベドやろう!」  
「いいじゃねーか。一度ガキのきつきつおまんこにぶち込んでみたかっ……げほっ」  
げらげら笑いながら理沙の足を引っ張っていた男の体が、股間を押さえたまま床に沈んだ。  
 
 
何が起きたんだろ。何が起きているんだろ。  
光の差し込まない部屋で両足を抱え丸くなって震えながら、  
理沙は自分の置かれている現状を確認しようとした。  
あの時、男に足を掴まれた後一瞬感じたブルマの中の異変。  
何かかが膨れ上がり、外へ飛び出すようなあの感覚。  
 
そしてその後響いた男の悲鳴、仲間達の怒号。  
男の手から力が抜け、体が小さいという利を生かし、散乱する大型のミシンのような  
機械の迷路を潜りこの部屋に逃れてきたが、いったいあれはなんだったんだろう。  
 
(お義兄ちゃんの夢の続きを見ているのかな。長い長い夢の続きを)  
と、手の平に疼く様な痛みを感じた。  
男に足を掴まれ排気口の穴から引きずり出された時できた傷だろう。  
 
(夢じゃない……)  
義兄の出てくる夢はいつも彼女に幸福を与えてくれた。  
最初のころこそは恐怖と驚愕もあったが、今では毎晩義兄に体を求められるのが  
何より嬉しいことになっていた。意識を失い動くことも喋ることもない義兄が、  
夢の中に現れてまで自分を欲してくれる。  
 
義兄と自分の繋がりが存在しているようでとても満たされ、癒された。  
だけど、あの男達を見て感じるのは、深い憤りとやる瀬無さだけだった。  
(あんな奴らが、お義兄ちゃんの夢の続きのわけがない)  
そしてこれが現実なら……戻らなければならない。あの男達の下へ。  
あの卑劣漢達に捕らえられている彼女の元へ。  
 
柔らかな衣類の上でがくがくと震える足を何とか奮い立たせようとした瞬間、それは沸いてきた。  
「ひっ」  
沸いた、としか表現するしかない。それは、さっきまで何もなかったブルマの中に突然出現したのだから。  
 
(え……何?)  
理沙は両手で口を塞ぐ。もし声を出して男達に見つかれば  
セーラー服の人も自分もレイプされてしまうからそれは最適な判断だった。  
しかし沸いてきた物は、そんな彼女の判断をあざ笑うかのようにブルマの中で蠢いていた。  
 
(これが……さっき私をあいつらから助けてくれたの?)  
それは、手だった。5本の指が生え、広い手の平を持った手。  
それが突然ブルマの内側に生えてきたのだ。  
そしてその人差し指が、理沙の下着の上から開ききっていない割れ目をつつ〜と指でなぞって来た。  
「ひ、ひぁ……」  
 
塞いだ口から、官能の声が漏れる。夢の中で開発された体が、愉悦の期待に戦慄き踊る。  
しかしこれでは夢の延長ではないか。先ほど痛みで夢じゃないと確認したばかりというのに。  
(もしかして……逆?)  
弄られるのも。舐られるのも。抉られるのも。  
(全て……現実だった)  
 
おねしょをした子供がその尿の冷たさと濡れた感触に海で溺れる夢を見るように。  
ブルマに犯され嬲られる感触を、義兄に愛される夢へ書き換えていっただけだったのか?  
(いや……お兄ちゃんじゃないなんて…………いやああああっ)  
叫びだしたいのを必死に我慢しながらブルマをずり降ろそうとする理沙の手を、  
『手』が掴んだ。暗闇に慣れた理沙の目にはっきりと見える、三日月形のケロイドのある『手』が。  
(お……お義兄…………ちゃん…………?)  
 
絶句する理沙。答えるように、もう一度少女の割れ目を人差し指がなぞる。  
「あ……ぁ…………ダメェ……」  
その指のなぞり方はあまりに柔らかく、それでいて的確で。  
もう、理沙は声を抑えることができなくなった。  
「やだ……やだよぉ…………お姉さん…………助けなきゃ……」  
 
(こんなの……お兄ちゃんじゃない……お姉さんを助けるのを……邪……魔……するなんて……)  
しかし理沙の葛藤など無視して、悪魔のような指先は彼女の大事な肉の芽を剥き出しにする。  
そして訪れる、肉の芽を嘗める舌の猛攻。  
「う……はああああぁぁぁぁっ」  
小学生とは思えないほど甘く色づいた吐息を漏らしながら、涙目になって理沙は腰をくねらせる。  
(駄目……お姉さん、助けなきゃ…………)  
 
しかし甘く切ない愛撫を幾夜も経験してきた体が、執拗な陰核嘗めに耐え切れるわけもなく。  
どれだけ腰を切なくくねらせたところで、ぴったり下半身にフィットするブルマの内側から  
生え伸びる手や舌から逃れることなどできるはずもなく。  
 
彼女の股の上を10回ほど舌が往復したあと、  
その舌先が窄んで肉真珠とそれを囲む包皮の間に割り入ってきた時、  
理沙は望まない絶頂の果てへと思考を飛ばされた。  
「あっ、あ、ああああああぁぁぁぁぁ……」  
はしたない声を上げた少女のブルマから、ブシュリと液体が噴出し、床の上の衣類を汚した。  
「あ……あ……おねぇさん…………ごめ……」  
その時、少女のこぼした液体の垂れた場所が、そこにあった物がぐにゃりと歪んだ。  
 
 
足首を捕まれた理沙の悲鳴が工場の外まで聞こえて、加奈がセーラー服のお姉さんのところまで  
引き返したのは、ちょうど理沙が男達の追跡を大型機械の隙間を利用してまいた直後だった。  
そして理沙を探しに行かず残った男三人にそのまま下半身まで丸裸にされそうなお姉さんを見て、  
どうしたものかと必死に思案していた彼女の前を黒い影が横切った。  
それは、手の生えたブルマだった。男達も、お姉さんも、加奈も皆呆然とした。  
 
まるでアダムスファミリーの執事よろしく、彼(?)はてこてこと  
男達の前まで歩いて(??)行くと、突然男達にドロップキック(???)をかました。  
「な、なんだこいつ!ラジコンか?!」  
さらにブルマが奥から歩いてくる。一つ、二つ、三つとどんどん増えてくる。  
(何あれ?確かにここは10年前までブルマの生産工場だったはずだけど……)  
 
と、いつの間にか加奈の横にもブルマがいた。  
思わず心臓が飛び出そうなほど驚くが、叫び声を飲み込む加奈。  
しかしブルマは加奈には少しも注意を払わず、男達のほうへにじり寄る。  
そしてお姉さんにも一切危害は加えていない。  
(味方だ。この子達は――――そうか!これは、理沙だ。理沙が生み出したんだ!)  
「お姉さん、こっち!」  
 
加奈の呼びかけに、ようやくセーラー服のお姉さんは正気を取り戻す。  
ブルマと格闘する男達の脇を抜け加奈の元へと走ってきた。  
「あなたはあの子の友達?大丈夫?あいつらに変な事されなかった?」  
強姦の恐怖と怪奇現象でかなり神経は参っているようだが、  
年上として加奈を安心させようと青ざめた顔で、膝をがくがくいわせながら  
それでも優しく彼女に微笑みかけてきた。  
 
(この人、私を安心させようとしてくれてるんだ。自分がひどい目に遭ってたのに)  
加奈は最初にここを訪れたとき、この人を見捨てようと考えた自分を恥じた。  
「ごめんなさい」  
「何で謝るのかな?私あなたとあの子のおかげで助かったのに」  
 
「あ、そうだ、理沙!あの子のところに行かなきゃ!お姉さんもついて来て!」  
「あの子――理沙ちゃんがどこにいるか分かるの?」  
「多分このブルマを辿ればいいの」  
向こうからやってくるブルマを見据えながら加奈は答える。  
 
「これ、なんなの?あ、私は千鶴っていうの。よろしくね」  
「私は加奈って言います。……それで千鶴さん、『小袖の手』って知ってます?」  
「……京極夏彦の短編にあったかしら」  
肌蹴たセーラー服を直しながら千鶴は答える。  
「そう、それ。あと、ちょっとマニアックなとこで漫画のパタリロとか。  
とにかく妖怪というか怪異というか。いわゆる、化け物なんですよ。  
小袖から手が出て来るだけの奴とか、その手が衣服の持ち主を守ってくれたり、  
逆に不幸にしたり。いろいろ種類があるんですけど、  
とにかく袖から手だけが出てるのがそれなんです」  
 
「うわ、嘗めるな!」  
背後の格闘する男の声に加奈は新発見だ、と呟いてメモを取る。  
「舌もあるんだ。こいつは新しい」  
「じゃあ、あれが小袖の手?信じられない。確かに化け物にしか見えないけど」  
「もっと正確に言うと、うちの7不思議なんですよ」  
「7不思議?」  
 
「ええ、人呼んで7不思議その5、ブルマの手!」  
千鶴は絶句した。  
「あ、そんな顔しないで!いや、言ってて私も馬鹿みたいですけど、  
10年以上歴史を持つ7不思議なんですよ」  
「……なんでブルマ?」  
 
「そりゃまあ意味なんてないんじゃないですか。7『不思議』だし、『なぜ』とか  
理由を考えるのは無意味だと思いますよ。『花子さん』の花子って名前にどんな意味があるか  
考えるぐらい無意味だと思いますよ、ええ」  
「それで、これはあの理沙って子に取り憑いているの?」  
「まあ、憑いているというより守っているというか。うちの学校の伝承では、  
『持ち主を案じる者の血を浴びたブルマーが持ち主の愛液を浴びる時、  
ブルマの精が紺碧の聖衣に宿るであろう』と30年前の卒業文集に」  
 
「……なにその男子生徒の悪乗りそのままの頭の悪い文章は」  
「さらにこれには次の年の卒業文集に続きがありまして。  
『ブルマの精宿りし聖衣を用いて少女の愛液を漉した時、  
新たなるブルマの精を宿らせることが可能だろう』って」  
 
「あなた達の学校って……」  
「正直の馬鹿の塊です。生徒も怪異も。おかげでせっかく新聞部の記事の目玉になると思ったのに、  
先生から7不思議の記事NG食らっちゃいました。  
それでこの廃工場に来たのはいいんですけど、いたのは不思議じゃなくチンピラだったってわけです」  
「でも、考えたらそれで助かったのよね、私」  
「そう考えればうちの馬鹿7不思議も人助けの役に立ったってことですね」  
くすくすと笑いあう二人が、ふととある一室から異音を耳にする。  
「理沙ちゃん、かな?」  
「もしかしたらあいつらの仲間がいる、ということも……」  
お互いに頷きあうと、近くにあった廃材を手にと取り扉を二人で一斉に開ける。  
そこには、ブルマを穿いたままお尻を突き出す理沙の姿があった。  
 
「理沙っ」  
「理沙ちゃん」  
千鶴と加奈が近寄ると、理沙は一段と高くお尻を突き出し犬の様に吼えた。  
「うあああああぁぁぁぁっ」  
まるで、梅雨の朝のように濃密で湿り気を帯びた空気を口から吐き出しながら、  
少女は絶頂を迎える。そして穿いたブルマから溢れ噴出す、喜びの液体。  
 
それらが床を埋め尽くすほど散乱したブルマにかかると、紺色の履物に仮初めの命が与えられる。  
ただの衣類の内側から手が生え歩きだす。千鶴と加奈がブルマの手誕生を目撃した瞬間だった。 
「……ブルマの精が宿ったブルマから垂れた愛液がかかって、新しいブルマの手が生まれる…… 
卒業文集のとおりですね。さしずめこの愛液はネクロマンサーが使うゾンビパウダーみたいなもの、かな」  
「悪い夢ね……。一応味方?みたいだけど」  
「とにかく、理沙も見つけたし速く外へ……」  
しかしそう遠くない場所で、荒々しい男達の声がした。  
 
「あいつら、ブルマの手があんなにいたのに!」  
「妖怪といってもブルマの手に宿っている生霊は中学生の体だから…… 
あいつら大学生位だし、いくら数がいても腕力勝負じゃ適わないんですよ」  
「理沙ちゃん!大丈夫?立てる!?」  
しかし千鶴の呼びかけに、理沙は一言も返そうとしない。  
だらしなく開けた口から涎を垂らしながら、長く艶っぽいため息を吐いただけだった。  
 
「駄目……理沙ちゃんもうほとんど動けないみたい」  
振り向いた千鶴は目を丸くする。  
「加奈ちゃん……?」  
男達の方へ向かおうとするブルマを一つを摘み上げ、あろうことかそれを加奈が穿き始めたからだ。  
中から手がうねうねと蠢く、とても履物とは思えないそれを加奈は身に着け始めた。  
「まさか……」  
 
「ええ、腕力で適わないなら、数に頼るしかない。でも、今の理沙にそれ以上生み出してもらうと、  
比喩じゃなく本気で理沙が壊れちゃう。だから私が協力するしかないんです。  
あんな下卑た奴らにやられるぐらいなら、たとえ妖怪の類でもあいつらの暴力から  
守ってくれたこいつらの方がよっぽど安心して体を預けられるってもんです」  
 
意を決してブルマを穿こうとする加奈と憔悴しきった理沙を見比べて、千鶴も決意を固める。  
「加奈ちゃん、私にも貸して、ブルマの手」  
「千鶴さん……」  
「年下の女の子が頑張ってるのに、私だけ見てるだけなんて、かっこ悪いもんね」  
 
 
「畜生なんだってんだ?また数が増え始めたぞ!」  
「あ、くそ、離しやがれ!」  
「くそ、俺はもう駄目だ」  
「何匹いやがるこの化け物は!もうちょっとであのガキどもにぶち込んでやれるのに!」  
男のわずか10メートル先の部屋から少女達の掠れる様な喘ぎ声が聞こえてくるというのに、  
その部屋へ進むことのできない苛立ちに男が喚き声を上げる。  
「こっちはもうエレクトしっぱなしだというのに、この忌々しい化け物らときたら」  
「……おい、上を見ろ!」  
一人の声で3人が上を見ると、天井全体が濃紺で埋め尽くされていた。  
「う、」  
「「「うわあああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁ」」」  
男達の悲鳴を、衣の妖怪の群れは雪崩のように飲み込んでいった。  
 
 
 
千鶴は長い髪を振り回して狂ったように叫んでいた。  
「ひっ、ふあっ、ふゃあああああぁぁっ、いい、いいっ」  
男性経験は無い訳ではなかった。部活の先輩との強引な一夜。  
ほとんどが痛みと苦しみしか生まない、その行為は千鶴にとって忘却すべき出来事だった。  
事実その先輩との関係も、彼の引っ越しともに呆気なく終わった。  
 
しかし、今彼女の全身を包み込むそれは本当にあの時したことと一緒だったのか?  
と疑問を抱かせるほど温かく、心地よい物だった。  
ブルマのそれから伸びた舌は、まるで珍味を食すかのように彼女の秘貝を嘗めあげる。  
ブルマのそれから伸びた指は、まるで宝石を磨くかのように彼女の真珠を擦りあげる。  
 
ただ粗野で乱暴なあの男の愛撫とはまるで違う。別次元の官能。  
ブルマの手によがらされた理沙を見たとき、なぜここまで我を忘れることができるのかと  
不思議に思った千鶴は、その答えを知った。知らされた。  
「あああっ、あぁぁあああああっ」  
 
あまりに強く優しい愛撫に、気が狂いそうになって逃れるようにお尻を振り回す。  
しかし彼女はどこにも逃げられない。彼女を襲う指も舌も、彼女が身につけた  
ブルマの内側から生えているのだから。肌にぴったりとくっついたブルマを身につけている限り、  
彼女がその甘美な快楽から逃れる術は無いのだ。  
 
「あああっ、きちゃう、きちゃうううっ」  
人生初めてで、そして人外の物にもたらされる、背徳と屈辱に満ちた絶頂。  
しかし彼女は、ただただ笑顔で受け入れた。  
これ以上の幸福は無いといわんばかりの輝かしい表情のまま、  
びしゃびしゃとブルマの中から体液を溢れさせるのだった。  
 
しばらく体中をぶるぶると震わしていやらしい汁を滴らせた後、  
千鶴はがっくりと体の力を弛緩させる。  
しかし、もちろんブルマの手は行為をストップしない。  
「ひあぁっ、またぁっ、すぐになのぉっ?」  
千鶴が感じた快楽など、まだ女性の得ることのできる幸福の1パーセントにも満たないのだから。  
「あああぁぁっ、おねがい、きもちいいの、いっぱいきもちいいのしてぇええええぇぇっ」  
 
 
加奈は眉を下げて泣きそうな顔で戦慄いていた。  
「あふぅ、こんな、こんなになんてぇっ、ひぃ、うあぁっ」  
同級生の誰よりも知的好奇心が高く少し倫理観の欠如した思考の持ち主の加奈が、  
通販で買ったバイブでロストバージンをしたのは2年前の4年生の時。  
 
彼女にとってより心地のよい自慰を求めるのはテストでいい点を取ることや  
100メートル走でタイムを縮めることとさほど変わりが無く、  
別段恥じることでも照れることでもなかった。だからブルマを穿く前彼女はこう考えた。  
(私が一番セックスの経験がある。多分、普通にブルマを穿いたんじゃ足りないわよね)  
 
だから彼女は最初にブルマを履いた後、その上からもう一枚ブルマを穿いたのだ。  
重ね着による刺激の相乗効果を狙って。  
(これ位あれば、私をイカせられるかもね、理沙のお兄さん)  
前と後ろに同時にバイブを入れたこともあった。ローターを入れたまま授業を受けたこともあった。  
そんな経験豊かな自分にはこれ位がちょうどいい。  
 
しかしそれは間違いだった。どれだけ人の手が機械の激しさに適わないとしても、  
自分の意図にそぐわぬ動きをするだけでどれだけ快楽が倍増するかを知らなかったのだ。  
何のことは無い。彼女は自慰の経験が豊かなだけで、性交の経験は皆無だったのだ。  
 
彼女にとって最初に不幸なことは、その自覚が無かったこと。  
次に不幸だったのは、理沙と毎晩経験をつんだ猛者を相手にしたこと。  
さらに不幸だったのは、その幼い肉体が中途半端にバイブで性感帯を開発されていたこと。  
そして最後に一番不幸なことは、相手の技の効果を自らの手で2乗にしてしまったことだった。  
 
「ひいあっ、ああああぁぁあっ」  
普段理知的でどこか冷めた彼女からは想像もつかない融けきった表情。  
だらしなく舌を出し、下がった目じりからは涙を零し、頬は赤ん坊のほっぺたのように紅に染まる。  
「ひっ、あ、こんな、こんなになんて、すごい、すごいぃぃっ」  
 
大きく割り開かれた左右の花びらを2枚の舌で同時に嘗め回され、  
クリトリスが親指と人差し指で摘み擦り上げられ、  
アナルが人差し指で直腸まで侵略され、  
もう一つの人差し指と中指はくの字に曲がりGスポットをかき回し、  
最後の手はその脇をさらに奥まで入り人差し指で子宮口をぐいぐいと押す。  
 
2枚の舌と20本の手が醸し出す、下半身性感帯責めのフルコース。  
「あひぃあ、すごいぃ、すごいいいぃっ」  
たまらず、とめどもなく愛液が溢れ出す。しかし絶頂を迎えてからこそが本番。  
それはまるで蜘蛛の巣か蟻地獄のようだった。  
 
まず、入り口を嘗める2枚の舌から逃れようと腰を後ろへ動かすとアナルの人差し指が深々と突き刺さる。  
「ひぃ、いあ、ああああっ?あ、ああああっ!!」  
また噴出した。  
 
肛虐から逃れようと腰を前に出すと、無防備に突き出されたクリトリスの裏筋をシュッシュッと擦られる。  
「くひぃいいいいぃいぃっ!!」  
またまた噴出した。  
 
それから逃れようと腰をもう一度後ろに逃すと、膣の中のGスポットを押さえて深く抉られる。  
「あひああああああぁぁああぁッ」  
またまたまた噴出した。  
 
あっちへ逃げれば無防備なになった逆側を責められ、こっちに逃げれば逆の逆を責められる。  
玩具にはできない、4本の手と2本の舌と肌に張り付くブルマによって醸し出される計算された性技に、  
単純な刺激しかしらなかった少女はただの雌犬へと変貌する。  
「ひあひああすごいいいいぃぃぃっ」  
もはや彼女のブルマは、水着といわれても疑問に思わぬほど濡れ滴っていた。  
 
 
理沙はただただ呆けたように絶頂の余韻を彷徨っていた。  
そしてすぐにそれが終わることも知っていた。  
「お義兄ちゃん……」  
大好きな義兄が、また動きだしていた。  
それは、硬くて、大きくて、猛々しい男の象徴。  
 
ああ、あの時朝起きて付いていたブルマの血は破瓜の血だったんだ。  
でもよかった、お義兄ちゃんにあげることができたから。  
そんな、まるで春先に朝早く目が覚めて2度寝する時のような幸福な気持ちで、  
彼女はブルマの内側に生えてきた義兄を迎え入れた。  
「あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………」  
 
体の奥底から出るような、深く長いため息。  
義兄とともに胎内に挿入される、全身があわ立つ様な多幸感。  
だけど、何かが足りない。 
うっとりと自分の傍らでオルガスムスを迎える加奈を眺めていると、  
入れられただけで溢れ出した愛液を加奈の足元のブルマが浴び、 
新たに生まれたブルマの手が舌を生やして彼女の太ももに垂れる愛液を舐めていた。 
それを見て理沙は気づく。 
ああ、そうだ。私達に足りないもの。  
 
彼女はいままさに自らの足元で怪物になろうとするブルマを頭から被った。  
「お義兄ちゃん……」  
暗闇の中、愛する者の名を呼ぶと、答えるように舌が生える。  
「ああ、お義兄ちゃんだぁ……」  
そして少女がそのままぷっくりとした薄い唇を開くと、 
わずかに開いた口の中に怪異の舌が侵入し理沙の舌と絡めあってきた。  
たとえ唇の無い相手とのキスでも、理沙はとてつもない満足を感じ、背筋をぞくぞくと快感が駆け上がる。  
 
(ああ……ようやく、お義兄ちゃんと恋人になれたんだ……)  
ブルマを穿き、ブルマを被り、ただひたすら抽出される動きに合わせ腰を振る小学生の女の子は  
とても淫靡かつ背徳的で、それゆえにどこか純粋で美しかった。  
 
「ああ……おにいちゃん……おにぃちゃん…………おにぃちゃぁん…………」  
そのグラインドはどれだけ激しくてもけっして挿入が外れることはない。  
「ひあ…………おにぃ…………ちゃん…………ついて…………ついてぇ」  
なぜならその陽根は、肌にぴったりと張り付くブルマの内側に生えているのだから。  
「おにぃちゃっ……おにぃ…………ついてっ…………ついてぇ……ついてええぇっ」  
だから彼女の腰を力で押さえつける必要も無い。騎上位で重力を利用する必要も無い。  
「おにちゃっ……にぃ…………ついっ……ついぇ……ついてついてついてぇっ」  
ただただ、100パーセント純粋な抽出の動きだけが少女の中に伝わり続けるのだ。  
「ついてついてついえついてついてっついてぇああはぁぁああぁぁぁぁぁあぁっっ」  
頭に被ったブルマの裾からあぶくのような涎を垂らして、  
びっしょりと太股を濡らしながら理沙は背を反らし壮大に果てた。  
 
 
体中がふわふわとどこかを漂っているような高揚感と浮遊感から、  
理沙が引き戻される。まるで柔らかい肉体に挟み込まれるような感覚によって。  
「加奈ちゃん?……千鶴さん?……」  
前にいたのは学年1の才女ではなく体中細かく痙攣しながら泣き笑いする雌犬。  
後ろにいたのは年上のお姉さんでなく瞳孔が広がりきって涎を垂らす痴女。  
 
「ひどいよねぇ、理沙ちゃん」  
「うん、ひどいひどい」  
くすくすと笑いながら二人の手が理沙の体の上を滑り撫で回す。  
それだけで彼女は電気に撃たれたように体をびくびくと震わせるが、  
女体のサンドイッチに挟まったままでは逃れることもできず、  
二人のいいようにされてしまう。  
 
ふと見れば、3人の周りはまるで大昔のハンカチを結んで紐にしていた映画のように  
ブルマ同士が結びついて紐となり結界が張られていた。  
あの男たちの侵入から彼女たちをこの黒い紐が守っているのだろうか。  
「ぁっ……何が、ひどいっ……ですか?」  
「だってねぇ……」  
「私たち、指と舌だけなのに……」  
「自分ひとり……ペニス入れてもらうなんてひどい話よねぇ……」 
 
すっかり人の変わった二人に挟まれても理沙の心に恐怖は無かった。  
それは、理沙の心もどこかを壊され、変わってしまったからだろうか。  
「では……どうすれば……」  
「私達もね」  
「入れたり、入れられたりしたいの」  
 
妖艶に二人が笑うと、手の中の濡れた何枚ものブルマが内側からぎゅっと絞られる。  
それは水分を吐き出し、まるでお絞りのように棒状の布の塊になった。  
「これをね……ここにぃ……入れるの」  
 
そして二人は、それを己の性器に突き刺す。するとたちまち、  
その男性器を模した濡れブルマはくの字に曲がり天を指す。内側のブルマの手が指でそう形作ったのだ。  
「ああ……すごく太い……」 
「……じゃ、理沙ちゃんにも入れよ?」  
「え……でも私の分のブルマがない」  
「ここにあるでしょ、2本」  
 
前から加奈が、後ろから千鶴が、ヴァギナとアナルを狙い、  
腰に刺さった濡れブルマの半分を、双頭ディルどーに見立て一気に前後から理沙へ突き刺した。  
「ひあっあっ、あ、ああああああぁぁぁぁぁっ」  
「えへへへっ……りさったらよくばりさん!」  
「あんなにっ……いれてイかしてもらって……すぐまたいれたらイっちゃうんだもんね……」  
 
理沙の幼いヴァギナとアナルを、固く絞られた棒状のブルマが犯し貫く。  
「あっ、あっ、あぁぁ、うごかっ……ひあああぁぁっ」  
「あら、またっいった?ほんとにっやらしいこぉっ」  
「でも、りさちゃ、のかお、みてたらっ、ぞくぞくきちゃうよぉ……」  
ほとんど意識を失いそうな理沙の視界の隅で、ブルマの紐の両端が鎌首を上げた。  
ああ、あれは結界なんかじゃないと、消えそうな理性で理沙は確信する。  
 
「えへへ、それじゃばつで、りさはいっぱいいっぱいきもちよく……」  
「ひ、ひゃあぁぁぁぁああっ、なにこれぇ」  
鎌首を上げた紐の両先端が、内側から絞り、濡れブルマとなり、  
そして加奈と千鶴のアナルをそれぞれ突き刺したのだ。  
 
「あっああああぁぁぁっこんなあっ」  
「ひぃ、ひぃぃ、う、うごかないでっぇぇぇ」  
「あ、だめ、きちゃう、またきちゃうぅぅっ」  
 
こうして3人は棒状になった濡れブルマで全ての穴が繋がり合った。  
誰かが腰をグラインドさせればそれが他二人のアナルかヴァギナに。  
誰かが絶頂を迎えて痙攣すればそれが他二人のアナルかヴァギナに。  
まるで地獄のような快楽の循環の中で、それでも最後の力を振り絞って彼女らは求め合った。  
 
「あ、すごいの、いっぱいくるよぉおおおぉっ」  
「なんで、ひゃあああああぁぁぁぁぁあぁぁっ」  
「あ、あぁぁぁ、あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっぁっ」  
それが自分の物か他人の物かさえ分からないまま、ただ肌を濡らす汁を嘗め液を啜り穴を穿りあった。  
そして3人は繋がり合ったまま重なり合い、意識を失うのだった。  
 
 
あれから1週間たった新聞部の部室で、廃工場で千鶴を助け出した件を理沙と加奈は記事にまとめていた。 
……もちろん、千鶴の名前は伏せ、自分たちや彼女の受けた行為も大幅にごまかして、ではあるが。  
「結局、あれは夢じゃなかったんだよね」  
「本と夢みたいなことばっかりだったよね。あの男達も廃人みたいになってたし。  
朝起きたら3人ともいつの間にか服着てたのは助かったけど」  
「ブルマの手が着させてくれたんだろうね。  
じゃなきゃ見つけにきたお父さん達にもっと怒られてたよ」  
 
加奈はにやりと笑う。  
「お義兄ちゃんも目覚めて目出度し目出度し、ですな。  
妹とのキスが目覚めの鍵なんて童話みたいだよなぁ。 
接吻により妖怪から人間に戻りハッピーエンドか。できすぎで妬く気も起こらないね、こりゃ」  
理沙は少し複雑そうな顔をした。  
「それなんだけどさ……お義兄ちゃんブルマの手になってたときのこと忘れてて……」  
「ありゃりゃ。いやー、損だよねぇ。初キスもロストバージンも妖怪になってたときだから、 
結局どっちも幻になっちゃたか」  
よしよしと加奈は理沙の頭を撫でる。  
「う……どっちも忘れるなんてひどいよ……」  
 
「ま、がんばれがんばれ。わたしはもー、今回の件で向こう5年は恋もHもいいや。  
なんかあの日にやりつくした感じ」  
それだけいうと、急に二人だけの部室内に沈黙が訪れる。  
理沙と加奈は目をあわし、そして頬を染めて目を反らす。  
((うう……思い出したら気まずくなっちゃった……))  
お互いにあの廃工場で最後に抱き合ってブルマでつながったことを思い出したのだ。 
 
「あ、そうだ……ひとつ気になってることがあるんだけどね」  
「え、なになに?」  
「あの日あの工場で『ブルマの手』に化けたブルマがその後工場からなくなってるんだよね」  
「へ?あんたのお義兄さん元に戻ったから、それで普通なんじゃない?」  
「いや、確かに私のブルマはお義兄ちゃんが目覚めて普通に戻ったけど、 
他のブルマはさあ、普通に戻ってたらあの工場にいっぱい散乱してるはずでしょ? 
でもこの前見に行ったら工場内にもその周辺にも何にもなくて。  
それでもしかしたらあいつら、勝手に自律して今もどこかで動き回ってるんじゃないかな、なんて。  
親であるお義兄ちゃんの『ブルマの手』がなくなって枷が外れて、  
野生の『ブルマの手』になってたりしてないかな、って」  
「……いやいや、それはないって」  
「ははは、ないよね。……ないといいよね」  
 
 
それからしばらく町ではブルマを穿いたり被ったりした女性が失神したまま見つかる事件が立て続けに起こった。  
被害にあった女性達に聞いても皆顔を赤くするばかりでその犯人の正体と目的はいまだ謎のままである。  
 
終わり  

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