2006年、4人のエンジェルたちの手によりデスパイアと呼ばれる人類の敵が住む世界への扉は閉じられる。
世界は元の形へと戻り、平和な時間が過ぎていった…
2016年 極東地区にて異形の怪物が目撃される。
2020年 異形の怪物が94年前のデスパイアであることが判明。
2021年 国会により対デスパイア特殊チームを組織することが決定される。
2022年 特殊チームが人工クリスタルの開発、製造に成功。
2022年 日本各地にてデスパイア異常発生。人工クリスタルによるエンジェル部隊投入
2025年 花菱アカネ、月影霞、2名エンジェル部隊入隊
2026年 現在時間…
ここは対デスパイア特殊組織宿舎。
間取りは1k、いかにも寮という言葉がしっくりとくる。他には食堂ぐらいしか共有スペースは無い。独身寮と言われても否定できる要素は無いだろう
その中の一室、部屋の主である花菱アカネは目を覚まして伸びを一つ
『う〜ん、今日もいい朝!!』
元気のいい声を挙げカーテンを開く。薄暗い部屋に光が差し、闇を照らす。
アカネは朝が苦手ではない。肩にもかからないショートカットの頭に櫛を通して薄い化粧を施す。そして隊員専用の制服に身を包み、朝食にありつく為に部屋を出たのだった
『アカネちゃんおはよ〜〜』
部屋を出たところで声がかかる。非常に眠たそうなおっとりとした声、隣の住人の月影霞(つきかげ かすみ)であっる
同じ隊員の制服を着た彼女は朝だけでは無くいつもこの調子だ。腰にまで届く長髪と豊かな…いや、豊か過ぎる胸に人気が高い(なんの?)
『おはよっ!!霞。今日もがんばろうね!』
二人は同期であり年齢も同じ、さらに部屋も隣同士で仲が良い。性格とスタイルは正反対なのだがそれ故に惹かれるものがあるのかもしれない
かたやボーイッシュな活発娘、かたやおっとりのんびり娘(世の男性曰く超絶つるぺた娘と超絶ナイスバデー娘でもあるらしい)
こうしてエンジェル部隊花菱アカネの一日は始まる
二人は食堂に到着するが、まだ早い時間なのか席は疎らだ。その中でよく知る顔を見つけて声を掛けた
『おはようございます。玲奈先輩!!』
『おはようございます。玲奈先輩』
彼女は吹雪玲奈。アカネと霞とチームを組む先輩であり小隊長に当たる人物だ。先輩と言っても一年しか違わないのだが
『おはよう。アカネ、霞 今日も元気そうね』
霞と同じぐらいの髪を片手で掻き揚げてどこと無く気品に溢れている返事を返す玲奈(世の男性曰くスリムかつすっぽりサイズだそうだ。以上交信終わる)
通常エンジェル部隊は3人一組で行動することが多い。アカネと霞にとっては頼れるお姉さんという感じだ
エンジェル部隊……それは対デスパイア専用特殊戦闘部隊を指す。デスパイアが出現するようになり人類が生み出した人工クリスタルと共鳴することができる者のみが入隊可能な部隊。
クリスタルとはいっても100年前のエンジェルのように魔法少女のようなコスチュームは出現させることはできない。
可能なのは武器の具現化と身体能力の強化と身体の保護機能。当然変身限界という弱点も備えている
いわば量産型エンジェルといえば分かりやすいだろうか。
量産型といえどもクリスタルに適応可能な魔力のある者は少なく、しかも何故か女性しか適応できないために絶対数は少ない
だが事実上デスパイアに対抗できる唯一の戦力のために皆の期待は大きい。いわば人類の希望
『二人とも、今日も訓練よ。食事を終えたらトレーニングルームに来て頂戴』
『了解です!!玲奈先輩!!』
『今日もよろしくお願いします〜』
ビィー!!!!ビィー!!!!ビィー!!!!ビィー!!!!ビィー!!!!ビィー!!!!ビィー!!!!ビィー!!!!
突然響き渡る警報。出動命令だ
このように出動命令は時間を選ばない。しかもこの施設にはアカネ達しかエンジェルはいない
頭よりも身体が反応。すぐに三人とも戦士の顔になり与えられた情報を元に現場に急行する。既に数回程三人で出撃を繰り返しているので慣れたものだ
現場に近づくにつれデスパイアの気配を濃く感じる。アカネはこの感触には慣れることはどうしてもできなかった
思わず負の感情が生まれ表情が険しくなる
なぜならアカネや霞の家族はデスパイアによって破壊されたのだ……
だが対デスパイア部隊の中には同じような境遇の者は少なくない
そして三人は現場に到着…その惨状を目の当たりにし、さらに感情はうねりを上げる
ここはこの世なのだろうか?
繰り広げられるは殺戮と肉の宴……男は全て殺され、死体が転がる
若い女は全ての衣服を剥ぎ取られ穴という穴に欲望の塊である触手を埋め込まれている
女達は触手を通じ白濁した邪悪な液体を流し込まれるたびに細かい痙攣を繰り返す。胎内に収まるはずのない白液は触手と女穴との結合部より噴出し続ける
触手により女性達の陰部は酷使されすぎて赤く腫れ上がって痛々しい。抵抗する気力がないのか、はたまた失神しているのか、彼女らの顔に生気は感じられない
クリスタルの加護がない一般人はデスパイアの人智を超えた責め苦に耐えることができるはずもない。実際に命を落とすものも多い
だがこれが現実…異形の怪物に襲われたならば、潰され壊され奪われるのが今の世の掟なのだ
エンジェル隊が実戦投入されるまでは……
デスパイアが三人に気付く、新しい獲物だと思ったのか触手を伸ばしてくる
だが彼女らは違う…
彼女達は……天使だ。アカネと霞、そして玲奈は人からエンジェルとなる
『エンジェライズ!!ナックルエボリューション!!!!』
『エンジェライズ!!スナイプエボリューション!!!!』
『エンジェライズ!!ランサーエボリューション!!!!』
アカネはナックル形状の武器を、霞は狙撃手が扱うような銃を、玲奈は槍のような武器を具現化させる
各々の特性や性格を反映した最適な武装…
敵は一体のみ。それぞれ前衛、後衛、中衛と別れて攻撃を開始する
『うおおーー!!ファイアーナックル!!!!』
前衛のアカネは突撃を敢行する。炎に包まれた拳が触手を焼き払いながら敵に接近してゆく
『アカネはそのまま接近戦を、私はアカネを援護。霞はフォローをお願い!!』
玲奈の指示が飛ぶ。それと同時に玲奈のランスがアカネに向かう触手群を切り払い注意を引き付ける
『アカネちゃん!あぶない!!!!』
霞はデスパイアの届かない後方よりアカネの死角から忍び寄る触手を正確に打ち抜く
見事な連係プレー…この三人はこれが基本形だった
『よし!!射程内……シャイニングナックル!!!!』
デスパイアに接近を果たしたアカネが必殺の一撃を放つ。光の拳が炸裂して辺りは閃光に包まれる
閃光が止むとそこには異形の姿は無く、天使だけが君臨していた
こうして対デスパイア専用特殊戦闘部隊……通称エンジェル部隊の戦いは続く
つづく