「あ、そのままそのまま。もうすぐ終わるからな〜〜」  
 
私は悠介の前に座ってる。一日の内で一番幸せな時間。  
その悠介は今日も軽いタッチで飄々と鉛筆を走らせてる。彼が絵を描き始めて以来、私はずっとモデルをやってるんだ。  
初めの頃は何十分もじっとしてるのが嫌で嫌でしょうがなかったんだけど、最近は悠介と二人っきりになれるこの時間が楽しみになっちゃってる。  
 
「腹減ったよなぁ・・・いくら誕生日だからって俺らもう17だぞ!?母さんもメシ一つにこんな気合入れることないだろぉ・・・しっかし腹減ったなぁ・・・・・・」  
 
実は私と悠介の誕生日は同じ。ナント生まれた時間までほとんど同じなんだ。  
その頃私の家族(って言ってもお母さん一人なんだけど)は悠介の家の隣に住んでて、  
 
「やっと悠介産んで一息ついたらさ、隣からも赤ちゃんの声が聞こえたんだよ。もーホントびっくり!」  
 
って、おばさんは何かある度に笑いながら話してくれるさ^^  
それ以来私と悠介はずっと一緒。いつも悠介の家の庭で走り回ってた。お母さんは悠介と遊んだって言う度に凄く嫌な顔をしてたけど、気にしないでいつも遊んでた。  
 
 
私達の2歳の誕生日の時、悠介の家でケーキをご馳走してもらって家に帰ったら、お母さんがいなかった。元々家にはあまり居ない人だったけどその日は何時になっても帰ってこなくて・・・  
次の日の夜、ひどい嵐の中おばさんが様子を見に来てくれて、事情を察して私を連れて帰ったんだ。その瞬間から今に至るまで私は悠介の家のイソウロウ。  
 
「悠介〜!小夜〜!ご飯だよ〜〜!」  
 
「お!メシだメシ!小夜ぉ、去年みたいに食い過ぎで腹壊すなよ!」  
 
(大きなお世話ですよ!)  
 
心配してくれてるのか、からかってるだけなのか、そんな悠介を無視って私はおばさんの所へ。  
正直私もお腹すいてたんだ^^座りっぱなしで体も痺れかかってたしw  
 
 
(よいしょっと!)  
 
食後はソファに横になるのが最近の私の日課。  
こうしてるとなんかおばあちゃんになった気分がして内心複雑なんだけどね。  
この頃体の節々が時々痛んでさ、あんまり動く気にならないんだ。  
今なら悠介とかけっこの競争しても負けちゃいそうな気分。  
まぁ、それだけは私のプライドが許さないからこの事は誰にも話さないようにしなきゃ!  
のろまな悠介に負けるなんて、考えただけで叫んじゃいそう。  
でも、、こうやって横になってると何か気分が穏やかになって、色々なことが見えてくるんだ。  
悠介がいて、おばさんがいて、私がいる。  
当たり前すぎて今まで全然気付かなかったけど、こうして三人で暮らしていることって、とても幸せで、それでいて大切なことなんだなぁ・・・ってことを考えさせてくれる。  
ふぅ、なんか眠くなってきた、、悠介はまだ食べてるのかなぁ。お、めずらしく真剣な顔してるよ!何か笑える〜。おばさんと何話してるのかな?明日聞いてみようかな。  
あ〜もうダメ、おやすみなさ〜ぃ・・・・・・  
 
 

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