どういう事だろう?
今、俺の目の前には姉の背中。
素肌。服も無ければ、ブラジャーの紐も無い。
俺の右手には温い湿ったタオル。
どうやら俺はこのタオルで、姉の背中を拭いて欲しいと頼まれたらしい。
甘えて欲しいとは思ったがこれは色々と厳しかったりするんだけどもって言うかこれは甘えに入るのか?
ああパニクってる。今なら本気で1+1=2とでも答えられそうだ。あれ?3だよな?
「じゃ、じゃあ、お願い……」
姉の声が若干震えてる気がする。
「う、あ……うん…」
逃げ道は無し。
首筋まで薄紅色に染まった姉の肌。その肌が少し光っているのは薄くにじんだ汗のせいか。
姉の体から、微かに鼻孔をくすぐる甘い体臭と、ほんの僅かな汗の匂い。
ゆっくりと、出来る限り優しく、姉の背中にタオルを触れさせる。
「ん……」
少しばかり姉が身じろぎ。
「その……体に力…入らないから………支えて……」
「う、ん……」
姉の左肩に手を掛ける─
……柔らかい…
柔らかくも弾力があり、滑らかな肌。微熱が指先から伝わってくる。
唐突に、この肌の上で、指を滑らせたいという誘惑に駆られる。
肩胛骨のラインをなぞり、そこから脇腹へ。背骨に沿ってうなじへ。うなじを撫で、それから顎へと─
っつ!?何を考えてる。相手は病人。俺を頼ってくれている人。阿呆な事は考えるな。
私はどれほど赤くなっているだろうか。
彼が私の肌に触れている。私の素肌を見ている。そう考えるだけで、体が火照る、熱くなる。
弟の手が肩に。冷たい。いや、彼の手が冷たいんじゃない。私の体が熱いのだ。
心地よい冷たさと、微かな震えが伝わってくる。
タオルの感触が腰の方へと下がる。
その感触で感じる。感じてしまう。弟がしてくれているから。
油断したら声が出そうになる。卑しい、淫らな声が。
体の前を隠している手を、下腹部に伸ばしたい。指を這わせたい。シたい。
けど、ダメ。彼が見ている。聞いてる。触ってる。そんな事したら嫌われちゃう。卑猥な女と思われちゃう。
服を抱えているのに、その上からでも乳首が勃起しているのが分かる。
アソコが疼く。キュンとする。
どれだけ意識しても、吐息の荒さ、熱さが直せない。
ああ、ダメ。もう少しで弟が背中を拭き終わってしまう。ダメ、もっと……
私を見て、私に触って、私を感じて。もっと、続けて……
「……これ、くらいで…」
「待って……」
胸の前で抑えていた服を手放し、立ち上がる。
「他も……拭いて…」
長く続いた刺激で、頭がおかしくなってたのかもしれない。
俺は姉の要求に素直に応じていた。
もちろん恥ずかしい。恥ずかしいが、応じたからには、やらなきゃ……
姉がこちらを向く。胸を隠していた服は、今は無い。
紅潮した顔、首筋。桜色に染まった乳房。まるで花の様に綺麗な桃色で、ツンと突き出た乳首。
半裸を晒しているのに、動きの節々に見える恥じらいが普段の清楚さを忘れさせてくれない。
目を、離せない。
「下も……ね?…」
そう言ってズボンに手を掛ける。
俺は何も言わない。何も言えない。
手が降りる。露になる下着。
薄水色のショーツ。股の部分の色が違う。まるで濡れた様に染みが……
「ん……」
ショーツも下げる。
申し訳程度に生えた陰毛。それに隠された割れ目とショーツの間に白色の糸が垂れる。
さっきから生唾と冷や汗が止まらない。頭の中で警鐘が響いてる。これ以上はまずい。
息が荒い。舐め回すように姉の肢体を眺めてしまう。
シミ一つ無い白い肌。
浮き出た鎖骨。くびれた腰に小さな可愛らしい臍。
一定のリズムで上下を繰り返す、胸、乳房。
手は所在無さげに閉じたり開いたりしている。
俺は今はっきりと、姉を女として見ている。
そうでなけりゃこんなにドキドキするはず無い。こんなに興奮してしまうはずが無い。
こんなに欲情してしまう訳が無い。
「……お願い…」
「……うん…」
首筋にタオルを当てる。少し滑らせると、あっ………と姉がなまめかしい声を出す。
─っう………
気を抜くと理性が吹っ飛びそうになる。それほどにその声は艶やかだった。
我慢するのは苦しい。だがそうしなければ、俺は姉に襲いかかる。
それはダメだ。俺は言った。答えは出すと。自分の言ったことぐらい、守れ。
「……腕…上げて」
しなやかな腕。無駄な肉など無く、女性らしい柔らかさ。
少し小さめの手。細くて長い指。一本一本拭く。
逆の腕も同じように、丁寧に。
タオルを胸へ。
谷間に汗がにじんでいる。谷間をなぞるようにタオルを下ろす。
そのまま乳房を下から持ち上げるように撫でる。確かな重さが伝わってくる。
─俺としては、これで勘弁して貰いたいが……
「ちゃんと……拭いて…」
思い通りにはいかないらしい……
体が熱い。足はガクガクしてるし、吐息の荒さは隠しようが無く、瞳には情欲がにじんでいるだろう。
─我慢できない……
カゼをひいていたことなんて忘れていた。
乳房は張って、乳首は痛いくらいに勃っている。
揉みしだいて欲しい。タオルなんて放り出して。少しぐらい荒っぽくてもいいから。
にじみ出た汗は、舌で舐めとって欲しい。
彼は顔を真っ赤にしながらも私の体を拭き続けてくれる。
弟の息も少し荒い。下腹部に視線を滑らせるとズボンが少し膨らんでいる気がする。
欲情してくれているのだろうか?
「あ、ぅっ……」
足から力が抜け、後ろにあったベットに尻餅をつく。
なにが?……
乳首にジンジンという感覚。快感。
タオルが乳首を擦った?それだけでもうこんな有り様。
「だ、大丈夫?……」
心配そうな弟の声。
直視はしてくれないけれど、こんなときでも私のことを心配してくれるのが伝わってくる。
それなのに、私は卑しい欲望のことしか考えれなくなっている。
その腕に抱かれて、君の暖かさを感じたい。交じりあって、君の熱さを感じたい。
セックスしたい。
ああ、これじゃあまるで痴女だ。恥知らず。
もしもこんなことを考えてるなんて知られたら……
………いや………知られても、いい……知られたい。
知られて―私は―
「ねぇ……」
「な、なに?」
「私ね……今すごく体が熱い……」
いきなり何を言い出すのか。
「か、風邪ひいてるからじゃ?やっぱり安静に」
「だってね」
俺の手を掴む。導く先は―
「ほら、こんなにあっついの……」
「なっ………」
導かれた先は左胸。姉の手によって俺の手は乳房に埋まった。
「ちょ……ねぇ…ちゃ……」
まるで指に吸い付くようにしっとりとした柔肌。柔らかいのにしっかりと反発してくる弾力。手のひらに当たる小さな突起。
全て経験したことのない感触。分からない。どうなってる?どうしたらいい?
姉の瞳は、綺麗に潤んでいて―
「はぁっ……はぁ…」
「……ん…」
気付けば、俺は姉をベットに押し倒していた。
「ごめん、姉ちゃん……でも、俺は…」
俺は…姉ちゃんが……
「…………誘っておいて……ごめん…いいの?」
「え?……」
「私、ワガママだよ?一度抱き締められたら、もう離せなくなっちゃうよ?」
「……」
「抱き締められたい。離したくない。甘えられたい。甘えたい。全てを見せて欲しい。全てを見て欲しい。綺麗なところも、汚いところも」
これは、姉の欲望、だろうか?これが、ワガママだろうか?
だとしたら、俺も、ワガママだ。
「ずっと、ずっと一緒にいたい。こう思っちゃう。こんな重くて面倒臭い女、突き放すなら、いま―
「いいよ」
姉が目を見開く。微かに涙がこめかみにこぼれる。
悩んでいたんだろうか?涙になるほど、辛かったのだろうか?
これからはそんなこと、全部俺に吐き出してくれていい。全て受け止めよう。飲み込もう。
指で姉の涙を拭う。
「いいよ?そんな姉ちゃんも、好きだから」
拭った涙を舐める。少しだけ、甘い気がした。
「大好きだよ。姉ちゃん……愛してる」
これまでも、そしてこれからも。
「ずっと、ずっと一緒にいたい。こんなワガママな俺でも、いいかな?」
姉の目から涙が溢れる。聞こえるのはか細い声。
「…あ………ぁあっ……ぅん……うんっ……」
初めての、俺からのキスを。