「朝だよー起きてー」  
「……ぅ?」  
 寝ボケている頭に姉の声が届く。どうやら姉は部屋の前にいるようだ。  
「…うぅう……」  
 寝ボケ眼で時計を確認。現在時間8:03、土曜日。  
 就寝時間は昨日、いや、今日の五時。休みということで少々夜更かしをした。  
 俺の頭は三時間の睡眠では我慢できないらしい。  
「土…休日…」  
「まだー?」  
 待ちくたびれた様だ。部屋に入ってくる。  
「ご飯冷めちゃうよー?」  
 ベット横に膝をついて俺の体を揺らす。  
 平日の俺ならば声をかけられる以前に起床できる。  
 だが今日は休日。平日とは訳が違うのだ。  
「ぬぅ…もうちょい…」  
「そんなこと言ってたらいつまでも起きれないよー。ご飯も冷めちゃうし」  
「俺は…冷めてても……」  
「……えぃ!」  
 とびかかってきた。そのまま俺の体の上でパタパタと体を動かす。  
「冷ーめーちゃーうーおーきーてー」  
 少々困る。毛布越しとはいえ、色々と柔らかいところが当たる。  
 とはいえ相手は姉だ。  
 例え顔がもう数センチで触れるとこだろうが、色々と当たってようが、とある欲の対象にはならない。  
「おりゃ!」  
 毛布をひっぺがされた。少々涼しくなるが俺の頭はまだ覚醒しない。  
「もー、どうすれ…ば…起き……る…」  
 姉が硬直した。  
─?─  
 徐々に赤くなっていく姉の顔。視線が固定されている。  
 視線を辿ると俺の─  
「!!」  
 視線の先にあったもの。  
それは、不自然に一部が膨らんだズボン。  
 つまり─  
「ちょっ!えっ!?」  
 あっさりと覚醒する頭。  
─何故!?俺は姉相手に欲じょ…あ、あれしては無いはずだ─  
 冷静に考えれば分かること。全くの無意識下に立つ、朝の生理現象。  
 男としては全くの問題の無い現象。ただ、彼にとってはタイミングが悪すぎた。  
 姉が触れてきた直後なのだ。勘違いするなと言う方が厳しいだろう。  
   
「あ……うぁ…」  
─こ、これってやっぱり……私…で?…なのかな……嬉しい…かも……でも…えと…なんて言えば……  
『大きいね』  
 ダメダメ!!これじゃまるで変態じゃない…  
『ほら、ご飯ご飯』  
 あからさま過ぎる…今更言える訳無いし…  
『そこ、どうしたの?』  
 この年になってそれを言うのは無理!!それは純粋とかじゃなくてただの無知だし!…  
 で、でも…な……何か言わなきゃ…気まずいし…何か…何か─  
「わ…  
   
「私がしてあげ  
「着替えるから部屋から出て!!」  
 

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