「痛っ!」  
「どうしたの?」  
 食事中、俺がいきなりあげた声に正面に座っていた姉が反応する。  
「あーいや、ちとボケっとしてたから口の中噛んじゃって」  
「大変!!消毒とかしなきゃ!!」  
 立ち上がりかけた姉を手を上げて止める。  
「良いって、唾つけて舐めでもしてりゃ治るから」  
「でも…」  
「大丈夫大丈夫。そんな深く噛んだわけでも無いし」  
 少々困ったように頬に手を当てる姉。  
「…じゃあ、応急処置だけでも」  
 結局姉は立った。テーブルを回り俺の横に来る。俺の顔を両手で挟む。  
─?─  
 何をしたいのかがいまいち分からない。  
「ちょっと失礼して…」  
 姉の顔が寄って来…って、近っ!?  
「ちょ、姉ちゃンッ……」  
 俺の言葉は唇に止められた。何かを言おうと口を開きかけたがそこに何か入ってくる。  
─これ…舌!?─  
 そのまま姉の舌が俺の口内を這い回る。唾液まで流し込んでくる。  
「ちょ…ね………姉ちゃ…ん…」  
「はぁ…んっ……はふっ…ん……」  
 やっと離れた。時間にして長くても十秒前後だろうが俺には数十分にも感じられた。  
「な、何をしますかね…あなた様は……」  
 顔を少々赤らめた姉が首をかしげる。  
「だって……唾つけて舐めてれば治るんでしょ?」  
 

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