私の朝はジョギングから始まります。田舎ほど住んでいる場所は空気は綺麗では  
ないのですが、朝は空気が澄んでいて気持ちがいいです。  
 いつもなら、頭を空っぽにして気持ちよく走るのですが、昨日の沙希さんの  
態度を考えると……やはり、悩みます。あれが本音なら一春を任せるわけには  
いきません。まずはそのあたりを探らないと…。  
 
 適当な距離を走り終え、冷たいシャワーを浴びて汗を流し朝食何を作ろうかと  
浴室から出て体を拭いていると扉が開きました。……鍵忘れてたっ!?  
 
「あ……え……?」  
「………早く閉めて………お願い……」  
 目が一春とあって三秒ほど硬直しました。慌ててバスタオルで体を隠したのですが…  
 
「うわっ、ご、ごめん!」  
 迂闊でした。鏡を見ると自分の顔が真っ赤になっているのがわかります。  
 朝食中も顔を合わせづらいのか弟は中々こちらを向いてくれません。  
 
「………見た?」  
「え………その………ごめん。」  
 恥ずかしそうに赤くなって俯く弟を見てると許せる気持ちになりました。  
 
「気にしないで。鍵掛け忘れた私が悪かったんだから…。早く食べて学校一緒にいこ?」  
「うん。ほんとにごめん。」  
「ほら謝らないっ。」  
 弟は照れくさそうに笑い、食事を再開しました。こうしてみてると子供みたいに可愛いのに  
昨日みたいに男らしくなるんだから…思い出すと顔に血がのぼって大変です。  
 食事が終わると学校へ向かいます。今日も沙希さんが待っていました。  
 
「おはようございます。カズ君、千春先輩。」  
「一春、沙希さんと仲直りできたの?」  
「うん…。僕も悪かったしね。千春姉さんありがと。」  
「先輩、お手数をおかけしました。」  
 さて…。昨日のことについて直接聞くわけにも行かないし…そうだ。少し濁して  
聞いてみよう。  
 
「いいよ。そういえば、沙希さん…外で友達とお昼食べるのって気持ちいいよね。」  
「……はい?」  
「ううん。なんでもないよ。じゃ二人ともまたね。」  
 意味深に笑って去ってみました。これで何かリアクションが起こればいいんですけど…。  
 スルーされたら私が頭悪い子みたいでちょっと辛いなぁ…頭悪いけど。  
 
 
 朝起きて顔を洗おうと洗面所に入ったら姉が裸で体を拭いていた。  
 C?いや…D、D!と何故か僕の頭を謎のアルファベットが飛んでいた。姉の顔が  
まともに見ることが出来ない。今の姉の体は息を呑むほど綺麗だった…。  
 朝食のときには許してくれてほっとしたけど、その後の学校いこって笑顔でまた  
どきどきしてきた。僕はおかしくなったんだろうか。  
 
 学校に向かう途中で沙希がいた。姉が何か唐突によくわかんないことを言っていたけど  
それを聞いた沙希の様子が変だ。なんだろう?  
 
「どうした?沙希…風邪か?顔色が悪いぞ。」  
「う…ううん?なんでもないよ。それより千春先輩何か昨日いってなかった?」  
「んー。頭の悪そうな先輩に制裁くわえたくらいで、後は変ったことなかったな。」  
「そう…。それならいいの。あ、そうだ。千春先輩の連絡先聞いてもいいかな?」  
「なんで?」  
「色々相談したいことがあって…。ほら…。あの人面倒見もよさそうだし!」  
「わかった。」  
 なにやら必死な沙希に携帯とメルアドを書いて渡す。しかし…  
 
「自分に相談すればいいじゃないか。何か困っているのなら相談に乗るぞ?」  
「だ、だめだよ!女同士じゃないと出来ない相談もあるんだから。」  
「そっか。ま、出来ることならなんでも遠慮なくいえよ。」  
「うん。」  
 頷いたが沙希の顔は余り晴れやかなものとはいえなかった。どうしたのだろうか…。  
 ほんとに。  
 
 
 一春からメールで沙希さんに番号とアドレスを教えたと連絡が来ました。多分、あれで  
理解してくれたんでしょう。しかし、これからどうすればいいのでしょうか。  
 よく考えたら、他人に怒るということを今までしたことがない気がします。  
 悩んでたら友達の亜紀さんが声をかけてくれました。  
 
「あれー?千春ちゃんどうしたの?」  
「うん……ちょっと悩み事。」  
「なになにー教えてよー。相談乗っちゃうよー?」  
 やっぱり持つべきものは友達です。昔から差別することなく付き合ってくれるこの可愛い  
友人は机に身を乗り出して聞いてくれます。  
 
「もし…大事な人が…悪い女の子に捕まりそうだったらどうする?」  
 うん?周りのざわめきが止まりました。なんでしょうか。  
 
「ちょっ!それって千春ちゃんの好きな人がそうなりそうってこと!!」  
「え?それは勿論好きだけど……あ、悪いって確定したわけじゃないよ?話してるの  
 聞いただけだから…。本音じゃないかもしれないし。」  
 そういった私の肩をばしばし亜紀さんは叩きました。周りの人もこちらを注視しています。  
 
「やったねー!千春ちゃんにもついに春が!!」  
「え…ええ?なにそれ?」  
「皆まで言わなくていいよ。で、どんな話だったの?」  
 何か大きく勘違いされている気もしましたが、訂正せずに昨日の話とそれとなく  
相手にわかるようにそれを聞いたことを伝えたという感じの話をしたことをいいました。  
 
「それは……酷いね。」  
「私の悪口はいいんだよ。でもね。」  
「うんうん、千春ちゃん健気だねー。でその女と男の関係は?」  
「喧嘩して別れそうになってたけど…今は恋人のはずですけど…。」  
「おおお!千春ちゃん略・奪・愛!!燃えるね燃えるね!」  
「………亜紀さん?……男のほうは一春だよ。」  
 それを聞くと亜紀さんは小さい肩をぐったりと落としました。周りの空気もなんだか  
穏やかなものに変ります。  
 
「あのかっちょいい弟君かー。そんな女と付き合うくらいなら私が付き合いたいなー。」  
「だめっ!!!」  
 がたっ!!っと思わず立ち上がって…無意識のうちに叫んでました…あ…恥かしいぃ……  
周りの視線が痛くて俯いて真っ赤になりながら座りました。  
 
「ち、千春ちゃん……。えとえと…弟君のことだし、男の子なんだから任せたほうがいいかも…。」  
 亜紀さんは見ないふりをしてくれました。  
 
「ごめんなさい…。でも、私、夏休みに一春にお世話になっちゃったから…どうしても、  
 助けたくて…あの子には幸せになって欲しいから…。」  
「じゃあ、まずは本音を知らないとね。うっかり口に出しただけかもしれないし…。」  
「でもどうすれば…」  
 亜紀さんは私に色んな方法を教えてくださいました。先手必勝らしいので早速、  
メールを送りました。  
 
 『昨日のお昼のことでお話があります。今日の放課後、一人で屋上に来てください。』  
 
 
 僕は放課後、何故か屋上にあがる階段の屋根の裏にある貯水タンクの裏にいた。  
 理由は姉に頼まれたとかいうちんまい先輩に連れてこられたからだ。  
 
「やーやー。弟君ご苦労。」  
「えっと…村瀬先輩でしたっけ。何でこんなことに…。」  
「亜紀って呼んで。実はねー。千春がまた呼び出されちゃってね。ほら、昨日大変だった  
 らしいじゃない?私が頼まれたんだけど怖くてね。」  
「なるほど。村…いえ、亜紀先輩、千春姉さんのためにありがとうございます。」  
「親友のために力を貸すのは当たり前でしょ。礼なんていらないから今度一緒にお茶しようね。  
 というか今何かもってない?昼食べてないからおなかすいたよー。」  
 僕は、千春姉さんにいい友達がいることを素直に喜んでいた。時間までまだあるらしく、  
適当に雑談している。亜紀先輩は楽しそうにこちらを向いた。  
 
「夏休み頑張ったんだってね。どうやったらダイエットできるのかおねーさんにも  
 教えてよ。千春って曖昧にしかいわなくてさ。」  
 運動メニューを初め、夏休みにしてきたことを詳しく説明すると亜紀先輩は苦々しげな  
顔をして頭を横に振った。そもそもダイエットが必要そうに見えないけど。  
 
「まあ、そういうわけで夏休みはずっと二人でした。そこに至る理由は姉さんが話して  
 いないんでしたら僕からはちょっと。」  
「彼女は?いるんでしょ…休み中どうしてたの?」  
「姉さんが困っているのに僕だけ楽しく過ごすなんて出来るわけないじゃないですか。  
 ああ、ちゃんとメールは送りましたよ。でも、電話は甘えを残さないためにおいてきました。」  
 何を当然のことを…?という思いを込めて先輩を見ると、彼女は呆れたように  
こちらを見返している。  
 
「もうちょっとこう…さ…千春と距離置いたほうがいいんじゃない?」  
「どういうことでしょうか。」  
「このままじゃ千春、彼氏なんてできないよ。常に基準が弟君。弟君以上じゃないと  
 駄目なのよ。だけどね、それってちょっと難しいと思うんだよね。」  
「はあ…。」  
「しかも、姉も弟もお互い凄く気遣って…。何をおいても先!って感じだしさ。」  
 何がいいたいんだろう…。亜紀先輩。  
 
「でも、僕にはちゃんと彼女がいますよ。千春姉さんもいい人がいれば…。」  
「千春の場合は…あ、そろそろ来るって。黙ってみててね。」  
 屋上に千春姉さんが入ってくる。暫く待ってると後ろから見慣れた黒髪の綺麗な  
和風の女性が…。って沙希がなぜ…。  
 
「沙希さん、こんにちは。お時間とらせてしまって申し訳ありません。」  
「いえ……。千春先輩…何の御用でしょうか。」  
「単刀直入にいいます。あれが本音ですか?」  
「……何のことかわかりません。」  
 千春姉さんが何かを沙希に問い詰めてる…のか?  
 
「認めなくても構いません。その場合は一春にありのまま言うだけです。」  
「……くっ……」  
 あの気弱な千春姉さんがどちらかといえば気が強い沙希を睨みつけて一歩も引かない。  
 わからない。どういうことだ…。  
 
「そうよ…。先輩は邪魔なんです。先輩がいる限り、あいつは私を見ない。  
 今までだってそうだった。これからはきっともっとそうなる。」  
「沙希さん…私はね。姉として一春が幸せならそれでいいの。今までだってそうしてきたでしょう。」  
「それでもあいつは絶対に先輩を優先するの。ずっとそう。だから…ずっと恨んでた。  
 だから、夏休み前にあの馬鹿男使って仕返ししたの。それなのに結果は…全く腹立たしい。」  
 
……え……  
結局……姉を傷つけたのは…僕のせいなのか……。  
しかも、沙希が…。  
「んー。なるほどー。愛されてるね。弟君。まあ、君の彼女になる人も大変なわけよ。」  
 何か先輩が言っているがショックで余り耳に入らなかった。が、二人で睨み合っているところに  
さらに乱入してくるものがあった。四人の男、そのうち一人は…。  
 
「赤川とかいったか…。」  
「げー。あの蛇男かー。やだやだ、なんでこんなところに。」  
 その四人は千春姉さんと沙希を囲んでいた。千春姉さんは困惑し、沙希は平然と  
立っている。さっきの話から聞けば繋がりがあるのは判るが…どういうことだ  
 
「千春先輩…悪いけど…。」  
「沙希さん、貴女って人は…。」  
 四人の男は下品な笑みを浮かべて笑っている。限界だ。俺は飛び出そうとしたが…  
 
「まだ、早い。もうちょい。」  
 亜紀先輩は俺を止めた。そしてあるものを見せる。録音機…?  
 
「今から俺たちと熱いラブシーンをしてもらうわけだ。明日から逆らえばAV女優ってことよ。  
へっ、初めっから俺と付き合ってりゃこんなことせずに済んだのによ。」  
 赤川とかいったか…もっと殴って置けばよかった。  
 
「おっと、勿論藤宮おまえもだぜ。こっちは四人もいるんだ。二人だけじゃなあ。」  
「赤川あんた…。裏切る気?」  
「どうせ、お前もこれから取るビデオばら撒かれたら逆らえないんだ。後は…な。  
 お前の金も体もやりたい放題。俺ら頭いいよな。」  
 下種の下種な演説が続いている…。沙希も…馬鹿だな。もっと馬鹿なのは自分か…。  
 
「一春!亜紀!」  
 千春姉さんが叫んだ。その声で僕は自分のすべきことを全力ですることにした。  
 余計なことは考えない。姉を守る…それだけだ。  
 
「亜紀さん…先生を。ゆっくり降りてください。」  
 僕はそれだけいって屋根から飛び降り、走って昨日と同じく赤川を右足で  
思い切り顔面を蹴り飛ばし、そのままの勢いで左で殴り飛ばした。  
 
「千春姉さん、沙希!さっさと逃げろ。」  
 むかつく赤川はのしたが後三人残っている。このままだとジリ貧だ。千春姉さんは呆然としている  
沙希の手を掴んで屋上から走り去っていった。  
 後三人…いくら自分も夏に鍛えたとはいえ、喧嘩とは縁のない生活をしてきた  
自分には少し辛い。僕は時間を稼げるように扉を塞ぐように立った。  
 
「てめえ!!」  
 一人が殴りかかってくる。遅い…僕はそれをかわしすれ違いざまに膝をいれる。  
しかし、同時に横から焼けるような痛みが腹部に走る。別の奴に蹴られたか…。  
 
 後はもう滅茶苦茶だった。腕を振り回し、殴り殴られ蹴ったり蹴られたり…。僕は  
相手以上にぼろぼろだった。口の中に血の味が広がっているが、それも気にせずに  
抗い続ける。倒れることだけはせずに。そして、助けが来たとき……  
僕はやっと安心して倒れることができた。  
 
 
 私は今、保健室で眠る一春の手を握り締めています。ぼろぼろになった弟は私たちが呼んだ  
先生が来てすぐに倒れました。弟のために行動したつもりが逆に弟に迷惑をかけることに…。  
 情けなさ過ぎて涙が止まりません…  
 
「千春ちゃん…。ごめんね。私の余計な提案で…。」  
「亜紀さんのせいじゃありませんから…気にしないで。事情説明とか面倒なこと  
 全部やってもらっちゃって…ごめんね。」  
「でもよかったの?あの女の子許しちゃって。まあ余計なことしゃべってないし大丈夫だろうけど。」  
 私は頷きました。確かに…やったことは許せることじゃないかもしれない。だけど、  
一春が本当に好きなのはわかったから。  
 
「沙希さんのことは一春に任せる。私は一春を信じるから…。」  
「うん、それが…いいよ。じゃ、私は先に帰るね。あ、今日の借りはケーキ追加で。」  
 彼女は特徴的ないたずらっぽい笑いをして去っていきました。私は暫く亜紀さんには  
頭が上がらないかもしれません。  
 
「……もう手遅れか……」  
 亜紀さんは去り際何かを呟いていました。  
 
 二時間がすぎ、夕闇が空を覆う時刻になってようやく一春は目を覚ましました。  
 
「あれ、いたた…ここどこだ?」  
「一春っ!」  
 目を覚ました一春を衝動的に抱きしめます。涙は止まりません…。  
 一春の体の温かさが伝わって、少しずつ落ち着き安心しました。  
 
「…千春姉さん…無事でよかった…」  
「一春ごめん!ごめんね…!!」  
 彼は私の背に優しく手を回してぽんぽんと軽く叩き、慰めてくれました。それだけで、  
悲しかった気持ちが幸せな気持ちに変ります。ベッドから立ち上がった一春は暫くの間、  
私を抱きしめてくれました。それは幸せで優しい時間でした。  
 
 
 目が覚めると体中に激痛が走った。手にある柔らかい感触の主を探すと、千春姉さんが  
僕の手を握って泣いていた。徐々に記憶がはっきりする。  
 本当に千春姉さんが無事でよかった。自分のせいで姉さんを傷つけたのに姉さんは  
僕のために泣いてくれていた。愛おしくなってつい抱きしめてしまった。姉さんは  
嫌がらずに抱きしめ返してくれた。  
 
「ごめん、千春姉さん…抱きしめちゃって。嫌じゃない?」  
「ううん……もうちょっとこのままで居たい…。」  
 姉は僕の胸に頭をくっつけながらそういった。  
 
「一春の心臓の音聞いてたら落ち着くね…。ドキドキいってる。」  
 言葉にされると、同年代でも大きい胸が当たっているのを感じ、さらに顔が赤く  
なってきているのが自分でもわかる。  
 
「千春姉さん…?」  
「ごめん、一春。もう一つ謝らないと。」  
「え…」  
「私ね。沙希さんに嫉妬しちゃってた。一春を取られたような気がして。」  
「そう…。」  
「いつも偉そうなこと言っておいて…私は駄目なお姉ちゃんだよね。欲張りなの…。」  
 千春姉さんは寂しそうな諦めたような…そんな笑顔を涙を流しながら浮かべていた。  
 
「そんなことないよ。僕にとっては…。」  
「ううん…駄目…。だって…私…実の弟の一春を好きになっちゃったんだ。一人の男として…。  
 私が太っていた頃から、何をおいても助けてくれた…私をそのままに見てくれた…  
一春以上に愛している人は私にはいないの…。」  
 姉のその言葉に一瞬頭が真っ白になった。姉の寂しそうな顔を見る…。美しく優しい  
ある意味で理想とも言える女性…自分にとって一番大事な女性…僕自身はどうなんだろう。  
 
「ごめん、忘れて…一春。」  
 姉は我に返り、僕の手から抜け出そうとした。だけど、僕は放しはしなかった。さらに  
腕に力を込めて姉を抱きしめ、唇を奪った。優しい姉を尊敬していた、大切だった…  
守りたいと思った…離したくないと思った…そして…僕も姉をどうしようもなく愛していた。  
 
 
 ……許されないことなのかもしれない。  
 だけど、この人以上に愛することのできる人は現れないだろうと確信している。  
 姉が同じ気持ちなら…もし地獄に落ちるとしても、一緒に落ちて後悔しない。  
 
 
「千春姉さん…。僕も姉さんを愛してる。」  
 
 
 僕はもう一度引き寄せて唇を合わせると千春姉さんは幸せそうに笑ってくれた。  
 抱きしめた、唇をあわせたままベッドに倒れこむ。認めてしまえば後は自分の心を  
とめるものは何もなく、姉の口内を舌で欲情の赴くまま貪る。  
 
「ん……っ……一春………ちゅ……」  
 口を離すと強張っていた姉の体の力がゆっくりと抜けていき、顔を紅く火照らせた  
姉の熱い吐息が僕の顔をくすぐる。  
 
「一春…キス上手だね。」  
「えー…それはその…。僕も健全な男でして…。ごめんなさい。」  
 しまった、しどろもどろだ。言い訳が思い浮かばない。  
 
「いいよ。でも次はお姉ちゃんに任せてね。」  
 指を震わせながら、それでも大丈夫と包み込むような温かい笑みを浮かべて  
千春姉さんはチャックを下ろしていく。僕の興奮してそそりたったモノが、姉の前に  
あらわになった。姉は暫く、驚いたように見ていたが、感触を確かめるようにさわり、  
舐め始めた。  
 
「…びちゅ…れろ…ぴちゅ…………少し変った味…こういうのって気持ちいいのかな…」  
「うん、千春姉さん…気持ちいいよ…咥えて上下に…そう…僕も姉さんに…。」  
 しばらく姉に優しく奉仕されていたけど、自分も姉を気持ちよくしたい衝動がおき、  
自分の体の上で僕を気持ちよくしようと頑張っている姉の大事な場所を僕も舌でいじり  
はじめた。姉のいつもの優しい匂いではない、女の匂いが僕をさらに興奮させていく。  
 
「………っ!!……一春……」  
「千春姉さん…一緒に気持ちよくなろう。」  
 僕は姉の下着越しになぞるように舐めると姉がびくっと体を震わせる。下着が少しずつ  
濡れころあいを見て下着の隙間から直接指と舌で愛撫していく。その間も姉は僕のモノを舐めたり、  
口で責め、僕は限界まで来ていた。  
 
「姉さんごめん、出るっ!」  
「うんん……っ!けほっ……」  
「ごめん、大丈夫?」  
 姉は暫くむせていたが、首を縦に振った。そして、着ていた服をゆっくりと脱いでいく。  
 全裸になった姉さんは漆黒の綺麗な髪、少しだけ日に焼けた白い肌…普段にない艶っぽい  
表情…思わず見とれるほど美しい姉…いや、美しい女性だった。  
 
「……一春はそこに寝たままで…」  
「千春姉さん…初めてだろ…無理したら…。」  
「大丈夫、一春がくれることなら痛みだって…。」  
「ううん、僕は千春姉さんにも気持ちよくなって欲しいし、大事にしたいんだ。」  
「………わかったわ。一春…優しくしてね…」  
 僕は千春姉さんをベッドに寝かせ、僕のモノを姉さんのあそこにあてがった。  
狭い肉壁をかき分けてゆっくりと中に入っていく。そして、一度さえぎるものの前で止まった。  
 
「……痛!……くぅ……一春……」  
「大丈夫?……少しだけ我慢して…。姉さんの初めて…貰うよ。」  
「一春……愛してる。」  
「千春姉さん僕も……愛してるっ…」  
 そしてついに…僕のモノは奥まで達した。  
 
「……はっ……はっ…一春が中にいるの…ちゃんとわかるよ。」  
「うん…。一つになったよ。姉さんの中…暖かくて気持ちいい。」  
「もう…動いて大丈夫だから。」  
 頷いたものの初めてのそこは、狭苦しく少しでも気を抜くとすぐにイキそうになる。  
 それでも胸と乳首を軽く愛撫しながら腰をゆっくりと動かし始めた。  
 
「くっ……んっ……」  
 腰を突くたびに姉の表情が苦しそうになる。それを眺めているのに気づくと姉は大丈夫と  
いうふうに微笑み僕の頭を両手で大事そうに抱え込む。  
 やがて、その辛そうな表情もなくなり、快楽の表情が表に出てきた。僕も徐々に理性が  
殺がれ、激しく腰を使い始める。  
 
「ひっ…あっ…一春……一春っ!」  
「千春姉さん、ごめん!気持ちよすぎてとまらないっ」  
「うん…いいから!私は大丈夫だから…気持ちよくなって!」  
「くっ……そろそろ…まずい…」  
「今日は…中でも大丈夫だから……」  
「…………っ!」  
「あっ…………」  
 最後に奥まで強くつくと姉の中が急速に閉まり、体が後ろに張って綺麗な首元があらわになった。  
 暫く放心したように体を重ね合わせ、お互いの体温を感じ、顔を見合わせて笑う。  
 
「一春…痛かったけど気持ちよかったよ…。やっちゃったね。駄目な姉さんだよね。」  
「ううん、こういうときは男の責任らしいよ。僕にとって千春姉さんは最高の姉だから…。  
 それにしても…千春姉さんって結構えっちだったんだね。」  
「もう、一春の馬鹿っ!」  
 真っ赤に染まった姉の顔を見て、僕はくすくすと笑った。太陽は沈み、もう外は  
星空が広がっている。僕たちはこの日、してはいけないことをした。  
 
 だけど僕たちはしあわせだった。  
 
 
 
 
エピローグ  
 
 
 私たちが結ばれてから三年近くの時が流れました。  
 親はあまり家に帰ってこないので私たちの恋の秘密は周囲にばれることもなく、今でも  
続いています。距離が近くなったことにより、お互いの駄目な部分も見えるようになりましたが  
喧嘩や仲直りを繰り返し、どんどん近づいていきました。  
 
 私は弟と共に勉強に励み、実家から離れた国立大学を受験し合格しました。弟とよく相談  
して決めたこととはいえ、一人暮らしをするために弟と一年間も別で暮らすのは  
私にとって非常に辛いものでした。  
 
 唯一の救いは…休み期間中、弟と一緒に田舎に帰って一緒に暮らせたことでしょうか。  
 あの私を替えた楽しい夏の行事はもう慣行となっていて、亜紀さんを初め、友人たちも  
遊びに着たりするようになりました。  
 沙希さんとも和解し、今では普通にお付き合いしています。私たちの関係を知ったときは  
さすがに呆れてはいましたが…。  
 
 そして、月日は流れこの日がやってきました。  
 今年の試験で見事に私と同じ大学に弟が合格し二人で暮らすために、広い部屋に引っ越すのです。  
 誰にもはばかることなく弟と過ごすことのできる…そんな楽しい日々の始まりです。  
 
 まずは、お花見の計画からかな。新しい友達もたくさん呼んで…  
 そんなことを考えていると部屋のチャイムが鳴りました。  
 
 
 
 僕たちの新しい住処は2LDKのそこそこ広い部屋だった。チャイムを鳴らすと  
美しい女性が笑顔で出迎えてくれる。姉は昔からの美しい姿はそのままに、大人の女性  
らしい、落ち着きと女性らしい仕草があいまって僕には勿体無いほどになった。  
 
「千春姉さん…おまたせ!」  
「おかえりなさいっ!一春!」  
 僕は、姉を強く抱きしめた。  
 
 僕たちはこれからこの場所で新しい日々を始める。ここには僕たちを知るものは  
誰もいない。だから、僕たちは夫婦を名乗る。  
 正確には結婚は法律上できない。だけど、僕が愛するのは千春姉さんしかいないし、  
姉もそうなんだと信じている。親不孝だといわれるかもしれないが、仕事仕事で  
僕たちに家事一切を任せきった報いとでも思ってもらうしかない。  
 結婚なんて、結局のところ書類一枚の関係なのだ。僕たちのしったこっちゃない。  
 
 それまで普通の姉と弟だった僕たちが変わることになってしまった一年。それまでは、  
僕たちはゆっくりとお互いに大事なものをうちに秘めて溜めてきたのだろう。  
 そして、きっかけができた一年で僕たちの関係は大きく変った。姉は美しくなり、  
僕も強くなった…愛し合うことで…そう思う。  
 
 僕たちは幸せにこれからも運命を共にして過ごしていく。だけど、どれだけ幸せになっても  
あの夏の日々は忘れないだろう。僕と千春姉さんという幸せの幼虫が美しい蝶に生まれ変わった日々のことを。  
 
 
終わり  
 
 

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