「トリック・オア・トリート!あー写真ですか?いいですけどお触りは厳禁ですよ?
色がにじむしアプライエンス崩れるので…はいどうもー」
「アプ…何?」
「特殊メイク用語です。伊達に長年生きてるわけじゃないですよ」
「…前から思ってたけどキリィって何歳なのその外見で」
「女性に年を聞くのは死に値する罪ですよぉ?」
「申し訳ありませんでした!……でもそれにしてもやたら慣れてるよね。よく来るの?こういうとこ」
「そりゃ、毎年この日だけは、変装せずにそのままの姿で大手を振って歩ける日ですから」
「確かにみんな全然疑いもせず仮装だと思ってるよね…キリィは黒猫で魔女だからなおさらぴったりで」
「私達以外にも、結構紛れ込んでますよ。本物」
「えぇ!?」
「私達と同じような闇に潜む者も、それから哀れな被害者も、ね。
私もこれから数人見繕ってお持ち帰りしちゃいましょうか」
「…みんなが悪魔の悪戯から逃げられるよう、菓子を沢山用意しているのを祈るばかりです」
「私の悪戯は菓子より甘いですよ?それでは皆様、トリック・オア・トリート<お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ>!」