がたこん  
がたこん  
暑苦しい満員の通勤電車の中で、セーラー服を着た牝犬が鞄を抱いて苦しげに呻いている。  
「うぅ…ふっ…わうー…」  
誰あろう私である。  
長きに渡る受験との戦いを終えて、今日は初めて制服を着て登校する日なのだ。  
軽く学校の説明を受けて、組割りを受けて帰るだけ。  
新しい制服の感触を楽しむ予定だったのに。  
私は顔を赤くしながら、肩をがっくり落とす。  
なんでこんなところで、下着がびっしょりになるくらい塗れなきゃいけないのだ!  
がたん  
「んぁっ…!」  
電車の揺れな合わせて微かな喘ぎが口から漏れる。隣に立っていた猫のOLが、汚いものでも見るように私を睨みつけた。  
そんな目をされても困る。  
私はただ、ちょっと人より敏感なだけなのに。  
 
母の姉も似た体質だったらしいから、多分遺伝だ。  
他人の匂いに対して妙に敏感で、特に発情臭に反応するとかえって自分の方が興奮してしまう。  
平たく言うと、近くにエロいことを考えてる奴がいると、私まで濡れてしまうのである。  
 
ちきしょう、痴女みたいだよ。  
頭を抱えたくなりながら、揺れの度に熱くなっていく体を押さえつける。  
こんな体質と、人と話すのが苦手な性格のせいで、中学の頃は友達がほとんど作れなかった。  
内気だった自分に別れを告げ、高校では友達を沢山作るのだ!  
そんな決意を決めた矢先だったのに。  
誰だ、朝の電車なんかでえろいこと考えてるのは!  
しかも匂いが段々強くなってきた所から、やらしい考えをしているのは一匹ではなさそうだった。恥を知れ。  
下着に収まり切らぬ熱が滴となり、腿を伝って毛皮を汚していく。  
「…ばれたらどうしよう」  
今日から3年間乗り続ける車両で初日から醜態をさらすことになる。  
しかし完全にスイッチが入ってしまった私の体は、そんな妄想にすら反応する。無意識に尻尾をぱたぱた振っていたことに、そのときようやく気がついた。  
さて、誰かさん(たち?)のせいですっかり発情してしまった体は、服越しに毛皮が擦られるだけで泣きそうなほどの気持ちよさがびりっと頭に響くようになっていた。  
私は涙目で吊革に掴まり、快感の波を必死に受け流し続けた。  
 
 
がたん  
「やぁんっ!」  
びくっ!  
体が震え、軽い絶頂が訪れる。  
次いで、それに被さるような衝撃が背中にあった。  
「わぅっ!」  
こんなときの私にぶつかってくるな。声が漏れるじゃないか。  
思わず睨み返した先を見て、私は呆気にとられた。  
「え」  
「ご、ごめん…」  
目の前にいたのは、同い年ほどの兎の少年だった。  
そして気まずいことに同じ学校の制服を着ていやがる。  
いや、確かに学校の最寄り駅に通じる路線なんだから、不思議でも何でもないんだけど。  
そして私を驚かせたのは、車内に満ちた濃い匂いが、ほとんど彼から発せられていたということだった。  
ふと見ると、彼の周りの乗客はそれに反応してしまうらしく、皆居心地悪そうに足をすりあわせていた。  
しかし今の私にはその程度の発情臭はノイズとしかいえない。  
目の前で申し訳なさそうに縮こまっているうさぎ。こいつが元凶らしい。  
「…気をつけて下さいね」  
私は平静さを装いながら早口で呟き、すぐに振り向いた。  
「…くぅぅん」  
もう立っていられなくなりつつある。吊革に必死でつかまり、早く学校の最寄り駅についてくれと必死に願う。  
なんということだ。同じ時間帯に乗る面子にこんな奴がいたなんて。  
 
たまにいるのだ。自覚無しにやたら強い匂いを振りまく奴が。  
頭の中で悪態をつきながら、目をつむり歯を食いしばり耳を震わせて、全身に襲いかかる快感に耐え続ける。  
ふと口の端から涎がでていることに気が付いて、あわてて口を拭う。手のひらの肉球がくちびるにふれる感覚すら気持ち良い。  
 
幼いときは自制心が効かず、人前で発情した挙げ句自慰をしてしまったことすらあったが、中学に上がってからはどんなに激しい衝動も必死に押さえ込んできた。  
受験の時期にずっと自慰を我慢していたこともあって、牡っぽくいうなら…そう、「溜まっている」状態。  
そんなときにこの濃い匂い。  
そもそも普通のヒトはそうそう簡単に発情なんかしないのに。  
 
二本足で立ち上がったときから、獣は野生の本能や能力と引き替えに理性を手にしてきた。  
周期的な発情がおこらない者も珍しくはなくなったし、本来種が持つ視覚や聴覚も失われつつある。  
それでもたまに私のような“先祖帰り”がでてくるのだ。  
一般的にそういう獣の血が濃い者は、発情や火への恐怖などが消えぬ代わりに、失われた身体能力や野生の勘を身につけているといわれる。  
が、私には何もなかった。不自由な体だけ。不公平な話だ。  
 
やがて電車が路線の交わる大きな駅に着くと、多くの出入りのせいで空気が外に流れ匂いがゆるんだ。生ぬるい風を新鮮にすら感じながら深呼吸をする。  
 
そんな私の後ろにいつのまにか回り込み、心配そうに見つめる兎。  
あ、こいつのこと忘れてた。  
よく考えたら元凶のこいつがいなくならない限り状況は変わらないじゃないか。  
しかも再び満員になった電車の中で、密着するように。  
「大丈夫?気分悪いの?」  
うん、貴方のせいだよ。  
「いえ、貧血で目眩がしただけです、ありがとう」  
のぼせたように真っ赤な顔で、貧血も何もあったものじゃないが。  
 
「その制服同じ学校だよね、連絡いれておく?」  
しかもタメ口かよ。女の子には敬語を仕え。  
というか、匂いの元が真後ろにいるせいで返事をするのも困難になりつつあるのだ。  
「ホントに大丈夫ですから…」  
「うそ?」  
言いながらウサギが顔をよせてくる。  
「な、なんですか」  
「本当に大丈夫なら…」  
うさぎは恥ずかしそうに顔を赤らめながら、その癖に意地の悪い笑みを浮かべた。  
「…じゃあ、そんな音させないでよ」  
え?  
ちょっと待て。彼の耳は何を捉えたのだ。  
狼狽する私にウサギは囁く。  
「布と毛が擦れる時の音が、妙に濡れてるよ…」  
なんだそれ?  
まさか、そんな濡れているからって、小さな音が聞こえるはずがない。  
というか先に私の挙動からわかってもおかしくはない気がする。  
もしかしたら、この少年も獣の血が濃いのかもしれない。  
 
にやにやと好色な笑みを浮かべながら、耳元でうさぎはささやき続ける。エロオヤジかこいつは。  
「別に、好きでやってるなら止めはしないけど」  
ひっでぇ事いうなぁ。  
「さっきからなんなの、変なこと言わないでよ…」  
いい加減敬語も崩れて不機嫌な顔を向けると、彼は一瞬不思議そうな顔をした後、閃いたように目を丸くした。  
「あ、そうか」  
そしてうなだれる。  
「ごめん、君もか…」  
するとさっきまでのむかつく態度はどこへ行ったか、しょんぼりと耳を垂らし、八の字に垂れた眉の下の瞳は子羊のような憂いを見せた。  
そんな顔をされたらふりあげた拳も下ろしようがない。こいつを怒鳴りつけて気を紛らわそうとしたのに。  
しかしこれ以上セクハラを受けないならもうそれはそれでいい。  
「わかってくれたらいいよ。でも、君もって…」  
そこで気が付く。  
こいつも先祖帰りの気があるなら、私と同様に匂いの影響を思い切りうけている筈。  
変な事を考える…という程度じゃない。  
こいつも発情してたんだ。  
 
そう考えると、少し気の毒になってきた。  
ただでさえ好色な種として有名な兎は、一度発情すると何回達しても一晩は正気に戻らないとまで聞いたことがある。  
発情している私に襲いかからなかっただけ、まだこいつは紳士なんじゃないだろうか。  
要は互いに運が悪かったのだ。そういうことにしておこう。  
 
がたん  
「んっ…!」  
びくっ  
また背中に兎の体が当たった。  
でも、さっきよりはずっと弱い。衝撃を足で殺して軽くしてくれているのがわかった。  
ちらりと振り返ると、彼も理性が飛びそうなのか、うつむいて歯を食いしばっている。膝までがたがたとふるえ、張りつめたように全身が毛羽立っている。  
 
頑張れ。もうすぐ学校のある駅だ。  
私もがんばるから。  
励ますようにそっと手を差し出すと、強く握り返してきた。  
「あっ」  
「ひぁっ…」  
その瞬間、無意識に二匹ともが声を漏らしてしまった。  
しまった。これは逆効果だった。  
強く握手をして互いの体温を感じてしまうと、更にその温もり味わいたいという欲望が頭をもたげてくる。  
体の割に結構大きい手のひらはふわふわの毛で私の肉球を包み込み、その手に力がこもる度に、私の手のひらにも柔らかな刺激が伝わってくる。  
 
この体中の疼きをどうにかしなければ、学校へ行くことすらおぼつかない。  
手を離したいけど離したくない。  
そんなジレンマに悩まされながら、私たちはずいぶん長い間手をつないでいた。  
後から考えると、一駅間くらいのほんの数分だったはずなのに、その時は、手を握ってから離すまで、本当に何時間もたったように感じたのだ。  
 
しかし、拷問のような時間も、ようやく終わろうとしていた。  
車内に響くアナウンスは、学校の最寄り駅への到着を知らせるものだった。  
 
出席がとられるまではまだ一時間ほど間がある。  
駅から学校へはほんの数分。  
早めに行って新しいクラスに慣れておきたかったけど、それどころじゃない。  
 
兎。責任とって私につき合え。  
彼にしか聞こえないように、小声で振り向いていそいで振り向き、ひときわ手を強く握る。  
握り返してきた。  
 
電車がしまり、扉が開く。  
後ろにつないだ手を振り返らないまま、  
私は…私たちは、まっすぐ女子トイレに向かって歩きだした。  
 
一応人目を避けてうさぎをねじ込むと、自分もその中に飛び込んだ。  
意外と清潔なトイレの中に荷物をばたばたと置くと、思い出したようにお互いの顔をじっと見た。  
 
「…ごめん」  
先に口を割ったのは兎。  
「ごめんじゃないよ、どうにかしてよ、これ」  
「どうにかって…して、いいの?」  
「何、お互いこのまま学校行くの?」  
「そりゃいやだけどさ…」  
「だったら…」  
もう我慢できなかった。  
スカートのホックを外し、下着を脱ぎ捨て鞄につっこむ。  
「どうにかしてよ」  
尻尾をぱたぱた降りながら、正面に腰を突き出す。  
セーラー服に下半身は裸で牡に交尾を迫る牝犬。  
どう見ても痴女だけど。お前が悪いんだからな。  
こんな気持ちにさせたお前が。  
「じゃあないと」  
ぐわしっと垂れた耳を鷲掴む。  
「こんな耳引きちぎってやるぞぉ」  
ぐにぐにと揉みながら引っ張ってやる。  
「んぁっ!やだ、やめてよっ!」  
牝みたいな悲鳴を上げやがった。どうもこいつの弱点は耳らしい。  
「なんでもするから耳はやめて…出ちゃうよお…」  
…なんだかだんだん可愛らしくなってきたぞ。  
「ようし、言ったなあ」  
私は熱っぽい目で兎を見つめる。  
「じゃ、まず」  
ぐいっ  
じゅぷ…  
暑苦しい体を引き寄せて、抱きしめながら唇を兎に押し当てた。  
「んむっ…」  
「ひぅはへぉっ(キスさせろっ)」  
犬特有の長く薄い舌を差し込み、大量の唾液を流し込んでやると、柔らかい舌が懸命にこっちの口にまで延びてくる。  
包み込もうとすると逆につつみこまれ、兎の唾液を味わうことになった。  
「んぐっ…」  
「むぅ…」  
口の端から透明な筋をいくつも垂らしながら、不器用な口づけは続く。  
歯の内側まで舌をのばし、歯茎の根本をすってやったり、舌の根本を絡めとろうと深くまでつきこんだりと、兎の口の中を探る作業に没頭するうちに、気がついたら抱きしめ返されていることに気がついた。  
更にいつのまにかズボンを脱いでいたようで、おなかの毛皮に熱いものが当たっているのがわかる。  
ふかふかの腹の毛同士が絡み合う隙間が、熱いものから漏れる粘液で濡れていくのが気持ち良すぎる。  
 
ついにまともに立っていられなくなって、壁へ体をよせながら足を絡ませ始める。  
意外と肉付きの良い兎の太股は暖かく柔らかい。それが私が股間をすり付ける度にびくびくと震えるのがおもしろかった。  
 
興奮は高まり続け、口だけでは物足りなくなってきた。  
「ぷはっ!」  
肩を掴んで無理矢理引き離す。だらだらと牙にかかる透明なアーチを無視して、新たな快楽を求め乞う。  
「ね」  
腰をつきだし、股間へと手をやり、周りの毛皮を巻き込んで水浸しになっているところを、ゆっくりと押し開く。  
「嘗めてよ」  
「…うん」  
すっかり従順になった兎はその場にひざまづき、私の一番敏感なところへ、  
何の躊躇いもなくかぶりついた!  
「くぅうううんっ!」  
バカ、いきなりそんな強く吸ったら壊れるっ。  
指でさわるとか何か思いつかなかったのか!  
自ら望んだとはいえ、心の準備が十分にできていなかったところにこれはきつすぎた。  
「わんっわぅっ!くぅんっ!」  
トイレの外まで聞こえそうな声でひたすらに喘ぎ続ける。  
愛液をちゅうちゅう吸いながら、さっきのキスより更に激しく舌を動かし中をかき混ぜていく。  
電撃にしびれながらとろとろに溶けていくような快楽に、私の理性は崩れようとしていた…。  
 
外側から中心にかけて円を描くように嘗め回したり、舌を深く深く潜らせて暴れさせたり、感覚の固まりである突起を念入りになぶったり、襞のあちこちを跡が付くほど強く短く吸ったり。うさぎの責めはバリエーションに富み、私の体を解放しない。  
「んひぃっ…」  
ていうかさっきからいきっぱなしなのだ。  
力が抜けてくる。涎が止まらない。  
「わぉぉぉん…」  
弱々しげな遠吠えが口から漏れていく。  
ときどき口が疲れるのか、口を閉じ粘液まみれの口ひげを、私の毛皮まで巻き込むようにすり付けてくる。  
くすぐったいようなその柔らかい感触がまた違う官能を私に与える。  
「くうぅん…わうぅぅぅっ…」  
後ろの壁に手を突き崩れそうな体を必死に支える。  
堅く瞑っていた目を見開き、やっとの思いで見下ろすと、上目遣いでこっちを見上げるうさぎと目があった。  
「………」  
にこ  
「かわいいね」  
びくんっ  
そういわれた瞬間、私の心臓は跳ね上がる。肉体の悦楽に精神的な快感までもが加わって、私の理性はどんどん食いつぶされていく。  
変に色っぽい淫らな笑顔で殺し文句を吐いたうさぎは、更に続けた。  
「ね」  
立ち上がりながら、自身の肉茎を両手で握りしめる。  
「こっちにも…して欲しいな」  
思わず喉を鳴らしながら頷く。  
「…いーにおい」  
今度は私がひざまづく番だった。  
鼻をすり付けるようにして匂いを楽しむ。青臭い真っ赤な肉茎の先端からは、とどまるところを知らないように熱い滴が溢れている。  
そうして良く見ていたら、とんでもないことに気が付いた。  
「あれ…ふとい…よね、これ…」  
恐る恐る両手でにぎったそれは、下手をすると私の手首より太いかもしれなかった。  
「うん」  
うんじゃなくてさ。  
申し訳なさそうに耳が垂れたかと思うと、またぴんと立つ。  
「大きいでしょう」  
自慢げにいうなよ。  
……むしゃぶりつきたくなるから。  
目の前に美味な肉を突きつけられ、涎がさらに開きっぱなしの口からたれていく。  
更に顔を寄せ頬ずりをすると、ほっぺたの毛皮が濡れてぬちゃぬちゃといやらしい音をたてる。  
「…いただきます」  
あむ  
「ふひゃっ…」  
意外に可愛い声をたてて兎が鳴いた。  
「あぐ…」  
口いっぱいに広がるのは生臭い牡の香り。巨大な肉塊に蹂躙される狭い口の中で、私は懸命に舌を動かしそれに奉仕する。  
どぷどぷ流れる先走りが涎と混じりあいながら、舌の上をゆっくり伝って喉の奥へ流れ落ちていった。  
 
生まれて初めて味わう牡の体液は、打ち震えるほど美味に感じた。  
その味は口の中に籠もる濃厚な匂いと相まって、私の牝としての本能に強烈に働きかけていく。  
「むぐぅ…」  
喉の奥までゆっくりと飲み込んだ後、またゆっくりと口の中からを引き抜いていく。  
よだれでべとべとになったそれを再び両手でにぎり、肉球をすべらせるようにしごいていく。  
くちゅくちゅと淫らな水音が密室に響いていく。  
熱く柔らかくも弾力に富み、握りしめた手を堅く押し返してくる。  
先端だけ加えて上目遣いで見上げると、こんどは兎の方が余裕のない涙目で私を見下ろしていた。  
たれた粘液を指にまぶし、片手で私の拳ほどもありそうな玉をぐにぐにと揉んでいく。  
「ふぁあああ…」  
それに併せて彼のものがびくびくと震えるのを見て、さらなる快楽に落としたくなる。  
まず、両手で再び強く握りしめた。  
「んっ…」  
上下にしごきだし、少しづつ勢いを強めながら先端を甘噛みしてやる。  
「ひゃあっ!?やっ!」  
雁の裏に牙が軽く食い込む度に、兎は牝のように甘い声を上げる。  
 
兎は顔を歪ませながら、腰を振り出し必死に快楽を得ようとする。  
口からたれる露が真新しい学ランにたれて染みを作っていった。  
「くふぅぅぅ…」  
涙目で息を吐き出し張りつめた快感に流されまいとする兎を、私は更に追いつめていく。  
反則技で。  
もう何でどろどろかわからない手を睾丸から更に後ろへ、筋をなぞりながら辿っていく。  
「や…やめ…」  
何が起こるか察した兎が腰を引く。  
「だめなの」  
逃がすものか。閉じる太股と、尻の肉を押し割って、私の指は目指すところへたどり着いた。  
「…いくよ」  
「こな…いでぇ…」  
草食動物が何事かつぶやいたが、無視。  
孔のまわりをゆるゆるとなぞると、意外なほどに柔らかい。  
そっと人差し指を押し当てると、潤滑油がまぶされていることを差し引いても、簡単に滑り込んでいってしまった。  
つぷぅ  
「きゃあっ!」  
牡がきゃあって言うなよ。  
きつく締め付けられた孔の中に、もう一本指を入れる。  
中の熱い脈動を感じると、ゆっくり指を動かし始めた。  
「んっ、んあぁああ…おかしくなる、よ、やめ…」  
びくびくと握った肉管が震え露が迸るのを見て、私は絶頂が近いのを知る。  
 
射精の前兆にふるふると耳を震わせる兎。もう少しこいつを虐めたくなってきた。  
まず根本を握りつぶし、欲望の出口をふさいでしまう。  
その上で甘噛みの勢いを強め、尻の中に埋まった指を、鉤爪のように曲げ、中をひっかき回していく。  
「ふっぅあっっっっ!?」  
声にならない悲鳴をあげながら、苦痛と快楽にのたうちまわる。  
ざまみろ。さっき私もこうだったんだぞ。  
血流が激しくなっていくのか、口の中で更に重量感が増し、堅く太く反り返っていく。  
そして、指が尻の中のしこりをひっかいた瞬間。  
「ひゃあ!いくっいっちゃうっ!」  
「だから、だめなのだ」  
潰れた尿道は白く濁った先走りをどぼどぼと吐き出すだけで、結局うさぎの絶頂は中途半端に終わる。  
出さなきゃうまくイけないなんて。牡ってのは不便だね。  
にやにやしながら涙やら愛液やら涎やらでぐちゃぐちゃになったうさぎの顔をとっくりと拝んでやる。  
「…ちくしょっ…あとでっ…おぼえてろっ…」  
かすれ声でなにかほざきやがった。  
「なぁに、私はなにを覚えてればいいのかなっ」  
かり  
敏感な雁裏を、歯を噛み潰してやる。  
「ひぃいうあぁああ…」  
なんか、生意気だけど可愛いぞこいつ。  
そろそろとどめをさしてやろ。  
 
熱い肉孔の中に再びしこりを探し、その近くをかき混ぜるように指を動かす。  
ただし、力強い代わりにゆっくりと。  
絶頂には届かなくても指の動きは体の芯に響いているらしく、腰を揺すり孔を締め付けて私の指をもとめてくる。  
更に私は、空打ちの苦痛に暴れる肉棒から手を離すと、顔を捻りながら緩やかに根本までを口の中へ導いていく。  
先端から玉までに舌を絡み尽かせ、喉の奥まで使ってしめつけ、少しづつ口にを出し入れする速度を上げていく。  
挙げ句余った手をシャツに滑り込ます。腹の毛皮をなぜながら上らせ、ふんわりした胸毛をかきわけ堅く突き出た突起を探し出すと、摘み、こねだした。  
「ふにゃあああぁぁ…」  
そうだ。お前は猫だ。猫になるのだ。  
尻と乳首をいじられて甘い声を出す淫乱な雌猫になってしまえ。  
「にゃ…ふぁあっ…」  
尻をいじる腕にあたる睾丸は、今やぱんぱんに溜まった精液で爆発しそうなほど膨らんでいた。  
 
その哀れな緊張を、今解放してやろう。  
 
乳首から引いた手を下ろし、尻尾の根本を親指でぐりぐりと刺激しながら、  
丸い毛玉をにぎりつぶした。  
くしゃっ  
「ふにゃっ!?」  
うさぎが耳を跳ね上げた。  
 
どこまでも追いつめてやる。餓えた獣の目をした私は獲物を食らいつくさんと陵辱を加速する。  
尻に付き込む指をどさくさに紛れ二本増やし、尻の中の雄が感じるところを探し求めて大暴れを始める。  
尻から垂れる透明な液体が先走りに代わる潤滑油となり、自ら異物を飲み込んでいく。  
口も両頬の肉や上顎まで使ってしごき立てるにとどまらず、再び甘噛みを加えぶにぶにと弾力のある先端や雁の裏を蹂躙の牙で柔らかくえぐりこみ、快楽の爪痕を刻み込んでいく。  
それと共にまた少し尻穴が緩んだところにもう一本指を入れ、更に付き込む。  
フィストファック完成。  
 
いや待て。いくら何でもゆるすぎだろ。  
しかし拳一つを飲み込んで未だ締め付けはなくならなかった。  
発情するだけでここまで壊れるのか、うさぎって?  
(…あとでやってもらお)  
にたにたと顔が肉食獣の笑みを浮かべるのを自覚しながら、私は今度こそうさぎに止めを指すことにした。  
一番感じるらしい肉茎の裏にあるしこりを指で捕まえ、  
肉球で摘みつぶした。  
ぶにゅ  
 
「にゃっ…………!!!」  
全身が弱々しくがくがくとふるえ、次の瞬間、喉の奥で熱い奔流が噴き出した。  
 
びゅうううううっ!びゅくっびくびゅくっどくんっぶびゅるぶじゅびゅるるるっ!  
ごぷっどろろろっずぶぶしゅうぐぴゅびゅくっ…  
 
「んぶぅううっ!」  
ごくん、ごくごくっ  
喉が灼けそうな程熱い噴精を、口から溢れさせながら啜り飲み下していく。  
すっかり牡の味の虜になった私は、濃厚な精に身も心もとろかされていく。  
 
…ていうかとってもおいしいよう。  
なんで?なんでこんなに  
もっと欲しいと思っちゃうんだろう?  
この数十分くらいで、凄く淫乱になってしまった気がする。  
口いっぱいに精液を含み少しづつ飲み込みながら、なんとなく幸せな気分になりながらぼんやりうさぎを見上げる。  
あれだけ出したのに未だ硬く反り返り、睾丸は再び張りを取り戻しつつあった。  
一旦出しておちついたのか、表情にも余裕が戻りつつある。  
…一人で素面に戻るなよ。  
すっと立ち上がると、口の中に残る精にも構わず、また抱きしめてキスしてやった。  
「んっ…!?」  
びっくりするだろうと思ったら、何のためらいもなく舌を入れてきた。  
愛液の味がする舌と、精液の味のする舌が絡んでいく。  
 
互いの味を混ぜ込むように舌を押しつけあい、粘液と唾液の入り交じった匂いが二匹の口の中に満ちる。  
さっきよりもなお大胆に舌を絡み合わせ、口中を愛撫していく。  
こちらが頬の肉を強く押し擦ると、負けじと舌の裏の柔らかい部分へ突っ込んでくる。  
とめどなく流れる透明な露が二匹の不揃いな口の隙間から漏れ、首筋をぬらす。  
今朝までおろしたてだった制服は、もはや粘液や汗にまみれぐちゃぐちゃになっていた。  
こんな格好でどうやって登校したら、今のこの情事が誰の目から見ても明らかだ。  
でももうそれもどうでもいい。今の私は羞恥すら快感にしかならないから。  
この喘ぎも匂いも、これから同級生になる皆に聞かれているかもしれない。いや、少なくとも声が外にだだ漏れなのは明らかだ。  
それを意識した途端、二人きりの個室の中なのに、周りが視線で満ちているような気がした。  
少し耳がよければ、中の音を聞いて具体的に行為を想像することもできるだろう。  
覗かれている。そんな気がしてならなかった。  
ただ、もはやそれは快感を増すための小道具にすぎない。  
みてほしい。獣に堕ちて浅ましく快楽を貪る私たちの姿を見てほしい。  
 
くちゅりくちゅりと、わざと大きな音を立てて唾液を吸っていく。  
「そほ…きこえひゃ…(外…聞こえちゃ…)」  
一瞬反論しかけた兎だったが、すぐに抵抗をやめ、とろんとした目で私の口に強く吸いついてきた。  
ちゅぱっ、ぐちゅぷちゃっ、じゅぽっ!  
向こうも同じことを考え出したらしい。  
音が鳴るたびに、二匹のお腹に挟まれた熱い肉塊がさらに大きさと堅さをましていく。  
臍の上まで立ち上がったそれは、先端の口から涎を垂らしながら、己が収まるべき場所を求めてふるえていた。  
 
先に口を開いたのは兎。  
「…いい?」  
口をはなし、舌にかかったままの唾液の橋をつぅと啜って話し出す。  
「…したいの?」  
そんな兎を腰から抱きしめたまま、その鼻先を犬のマズルでつついてやる。  
「わたしの中に入りたい?」  
「…うん」  
その瞳程に真っ赤な顔が、静かに頷く。  
私は優しく微笑んで、頷きながら額をこつんとあてた。  
わかったわかった。いいよ、私の処女はお前にくれてやろう。  
私をこんな淫乱にしやがって。  
責任とれよ。愛しい奴め。大好き。  
壁を向いて手をつき、お尻を突き出し、振り向き誘う。  
「おいで」  
すると私の入り口に、柔らかい肉を優しく押し割るように熱い何かが当てられた。  
 
「いくよ」  
ずぷ  
ずぶぶぶぶ…  
ゆっくりゆっくりと私の肉扉を押し割り、巨大な異物が入り込んでくる。  
「んんっ…」  
散々に濡れてはいたものの、ほぐしきれていなかったのか、微かな痛みが走る。  
しかし、頭の先から足の指までに満ちていくような甘美に深い牝の官能は、そんなことを無視できる位だった。  
指しか入れたことのない場所を、かなり無理矢理押し広げながら、とんでもない熱を持った質量が進んでいく。  
ゆっくりゆっくりと異物が私の中の道を進んでいく。ほんの少しの距離を、永遠に近い時間をかけてじらすように潜っていく。  
「ふっ…ぅ!」  
不意に、体の中で何かがちぎれるような感覚。  
白濁に溶けた思考を、一瞬破瓜の痛みが洗い流す。  
ふるえる私の背中と尻尾を優しく彼が撫でる。  
「だいじょうぶだよ、すぐに消してあげるから」  
その声が私を再び牝に変える。  
「安心して、気持ちよくなってよ」  
尻尾を触る手が根本に延び、付け根をぐりぐりと押す。  
「わふぅぅん…」  
発情の中心ともいえるつぼを押されて、強ばった私の肉壁が弛んでいく。  
二匹の繋がったところからは熱湯のような粘液がどろどろと垂れて、どちらかが漏らしたかのように床はべとべとになっていた。  
 
やがて破瓜の痛みも消え、巨大な圧迫感がお腹の近くまで昇ってきても、もう怖くはなかった。  
そしてその動きが止まる。  
どこまでも入ってきて私の口から出てきそうなほどに長大に思えた肉槍も、どうやら根本まで収まったらしい。  
なんだか入ってはいけない所にまで入っているような気がしたが、怖くなるので考えないことにした。  
 
背中をなでていた手がお尻に回され、ぐいとつかまれ押し開かれる。  
「すごい…全部入ったよ」  
君のために開けてやった道だ。もうどうにでもしたらいいよ。  
「うごいて」  
「え、もう大丈夫な…」  
「いいから」  
後ろ手に兎の手を掴んで催促する。  
「一緒に気持ちよくなりなさい」  
一緒に獣に堕ちて下さい、ご主人様。  
強気の口調とは裏腹に、私はもはや快感の隷従となっていた。  
振り向くと、微かに揺れる兎の目にも、本能の奴隷になった証、肉食獣のように情熱的に淫らな笑みが浮かんでいた。  
「わかった」  
その兎唇が歪む。  
「それじゃあ…」  
軽く腰を引き、  
「いくよ」  
ゆっくりと突き込んできた。  
じゅぷっ  
「くぅぅうううんっ」  
弱々しくそれだけ声を上げるのがやっと。  
白濁の海に微かに浮かんでいた思考の泡が、ぼこぼこ割れて消えていった。  
…キモチイイ。  
 
 
きもちいいよ。  
私の目から一滴の涙がこぼれた。  
「うやぁ…」  
ぬちゅ、ちゅぷっぐぷっ  
引き抜かれては突き込まれる肉棒が、盛大に音を立てながら私の中をかき回していく。  
先端が私の胎へ沈み込んでいくたびに、甘い官能が私を包み、牝の喘ぎを上げさせる。  
指なんかとは比べ物にならないその快感が、牝犬を更に淫らな奴隷へと調教していく。  
 
お願い。もっと腰を振って。もっと早く動いて。  
わたしはあなたのおちんちんがほしくてほしくてたまらないんです。  
「もっとぉ…おねがいだよ…」  
物欲しげに尻尾をくゆらせ、催促する。  
「もっと…どうしたい?」  
さっき一回出したせいか、妙な余裕を持ちながら腰を揺らしている。  
「どうしてあげたら、気持ちよくなれるかな?」  
言わせたいか。言ってやるよ。  
変態め。  
きれた。大声で言ってやる。  
「もっとふかくつくのだ!私の腹の中をそのでかいちんちんでいっぱいにするのだぁ!」  
やけくそに怒鳴り散らしながらまた涙がこぼれた。ちくしょう、もう外には丸聞こえどころの話じゃないぞ。恥ずかしい。恥ずかしいのにそれが気持ち良い。  
背中に倒れ込んできた兎が顔をすりよせ、その滴を嘗めとった。  
 
精液の匂いのする舌が目元の毛皮をちろちろ濡らしていく。再び間近でみる兎の顔に、私はまた口づけの衝動にかられる。  
しかしそこまでは首が回らない。  
「いっぱい動いてあげるよ。二匹が何もかも忘れて動物さんになっちゃうくらいに」  
兎は私の背中を抱きしめるように体を倒し、腹に手を回して体を固定した。  
膝を折らずに立ち続けるので必死な私は、耳元で囁かれる恥知らずな言葉に欲情し、自ら快楽を求めて腰を振り出す。  
兎が腰を引き、肉がぶつかる音がひびきはじめる。  
 
「んふひゃああああぁっ!」  
「わ、わおぉぉぅううぅうんっ!?」  
ぱんっぱんっぱんっ!  
じゅぷっじゅぶっぢゅくっ!  
兎の下半身のバネから繰り出される突きは、想像を遙かに越える動きで私の中の奥深くを蹂躙していった。  
がくがくと倒れそうになる体を、お腹に回された手が支えてくれる。  
私は壁を手で押さえてどうにか姿勢だけでも維持し続けた。  
「つらそう…だね…」  
申し訳なさそうに言う兎。  
はい、君のせいでもう意識何回か飛びかけました。  
足もがくがくして今にも力尽きそうですから。  
そろそろ言葉がしゃべれません。  
 
「じゃあ」  
そんな笑う膝を兎の手が握って、  
「ふぇっ?」  
一気に持ち上げた。  
「ひぃぃあっ!?」  
「こうしようね」  
Vの字に足が持ち上がっていく。意外と力持ちだこいつ。  
「くぅんっ、なっなにして…ひぃっ!」  
体重が後ろにかかり、赤ん坊が用を足すみたいな姿勢にまで持ち上がってしまった。  
 
そのまま兎は個室の便器に腰掛ける。  
みしみちみちっ  
「くあぁぁぁ…」  
二匹の繋がっているところに、私の体の重みが丸ごと加わり、巨大な肉槌が根本まで差し込まれて行く。  
「くぅんっ…」  
深い。深すぎる。子宮の奥まで届いてるんじゃないかこれ。ていうか喉元まできてそうな気さえする。  
がくがくと震える私の背中に兎がほおずりをする。  
「これでもっと気持ちよくなれるよ」  
そして制服ごしに舌を這わせ、うなじまでをゆっくり嘗めあげていく。  
ぞくぞくするような快感が走り、兎をきゅうと締め付ける。  
兎の赤い眼が爛々と輝いた。  
「気絶するまで犯してあげる」  
にやりと笑みを浮かべた口からは涎を滴らせる舌が垂れっぱなしで、彼自身も余裕がないことを告げていた。  
 
「うごくよ、淫乱なメスイヌさん」  
てめぇ人のこと言えねぇだろがっ。さっきまで可愛い声でなく牝猫だったくせにっ。  
……でもそんな反抗的な思考はもうできなくなってきていて、  
「わんっ!」  
私は獣に堕ちていく。  
従順な犬。ご主人様に忠実な、一匹の淫乱な牝犬に。  
 
じゅぷん  
じゅぷっずぶっ!  
ぐぷっ  
兎は私の体を膝から抱え、上下に揺すり続ける。  
「わっ、わふっくぅぅんっおぉおぉんっ!」  
遠吠えとも唸りともつかない叫ぶような喘ぎが私の口から漏れていく。  
体の中の奥深くで、熱を帯びた本能が暴れ回っている。きつく締め付ける牝肉の扉を愛液と精液の混ざった粘液でこじあけ、激しい腰の動きが肉柱を根本まで打ち込んではすぐにまた引き抜いていく。  
堅い結び目が解けるように、突かれる度に柔肉はこねあげられ、柔らかく牡に吸い付いていった。  
堅く反った牡の造形が柔らかい肉壁を擦りあげるたびに、熱湯を頭から浴びせられたような、痛いほどの快楽が全身を満たし、その波はどんどんと高くなり私の思考を彼方へと追いやっていく。  
もうどれだけの時間こうしているのだろう。一時間?二時間?それとももっと?  
凄まじい勢いで叩きつけられる快楽の奔流に飲まれ、時の過ぎる感覚はぐしゃぐしゃに崩れてしまっていた。  
でも、さっき手を繋いでいたときより遙かに深い幸福感に満ちている。  
ずっとこうしていたい。二匹でいつまでも繋がって交わっていたい。この心の底からとろけてしまう感覚に、少しでも長くひたっていたい。  
 
兎が汗のにじむ首筋に顔を寄せ、うなじを甘噛みする。小さな歯と舌が毛皮を擦り、口の隙間から背中に熱い涎がとろとろ垂れていく。  
全身が汚されていく被征服感に尻尾から耳の先までぞくぞくと快感が走り、牝犬は陵辱の喜びに目覚めていく。  
 
二匹の汗と涎でべとべとになった制服からは、濃い淫香が立ち上っていた。  
ぐちゃぐちゃと音を立てながら結合部からまき散らされる液体は、床に踏み場もないほどの水たまりを作り、壁の隙間から部屋の外に漏れていく。  
 
しかし本能のままに腰を振る私たちは、もはやそんなことは気にならない。  
例えこの個室の前に誰かがこようと、不審がる誰かに中を覗かれようと、そのまま駅の構内まで引きずり出されて大衆の面前に曝されようと、二匹は構わず腰を打ち付け続けるだろう。  
いや、むしろ、浅ましく快楽を貪るけだもののような姿を人目に曝してしまうことで、いよいよ後戻りできない快楽にはまりこんでしまうんじゃあないだろうか。  
 
そうすることで更に深い悦びをこの身に刻み込めるなら、今の私は躊躇いはしない。  
兎が許すなら、一瞬の逡巡すら見せずにこの繋がった姿で外にでていくだろう。  
 
恍惚の奔流に沈んだ思考が、白濁色の海の底で、そんな邪な考えにゆっくりと浸っている。  
まるで、快楽の荒波に翻弄され一片の余裕さえ失っていく私の肉体から離れ浮遊していくように。  
どこか冷静ささえ見せながら、思考は澱んでいく。  
 
やがて子宮の奥で何かが張り詰めだして、  
一突きごとにそれは跳ね上がった。  
大きな絶頂の訪れる予兆が、泡のように緩やかに丸く膨らんでいく。  
私の中で快楽を貪る牡肉も勢いを徐々に増し、二匹は揃って高みへ上り詰めていく。  
 
兎が悲鳴を上げた。  
「ねぇでるよっ…気持ちよすぎるっ!中に出しちゃうよ!いいっ!?」  
いいにきまってるだろ。よこせ。  
「出して!中に思いっきりそそぎ込んでっ!白いのでお腹一杯にするのだっ!」  
私が自らの主人でもある肉奴隷に命じると、兎は感極まったように耳を震わせ、ふっと腕の力を抜いた。  
真っ直ぐ落ちた私の体は、  
全体重に自由落下の加速を加え、  
今までにない勢いで、  
肉杭に貫かれた。  
 
その瞬間、私はかつてない高みに上り詰め、  
付き落とされた。  
胎の中の奥深くで大きな稲妻が弾け、拡散していく。  
体が融けそうな程熱い、射精というより噴精というべき熱塊の放出は牝孔を一瞬で終端まで満たし、それでもまだ打ち出される子種が、くわえ込んだ肉槍との隙間から溢れて噴き出していく。  
がくがくと体が震え、全ての思考が一点に凝縮し、消失する。  
 
「     っ!!」  
「     〜!!」  
二匹の獣の咆哮が、  
急速に密度を失っていく世界の中で響いたような気がした。  
 
 
ぐるり  
ずぷぐぷるるるっ  
 
白濁色の幸福をお腹一杯に充填され、ふわふわと快楽の海を漂っていた私の意識を、  
躯の中で巨大な物体が回転する衝撃が引き戻した。  
 
「ぎゃひぃっ!?」  
突然のことに、我ながら可愛くない悲鳴を上げてしまう。  
思わずとろんと閉じていた目を見開くと、回っていくのは天井。そして壁。  
肉壁を抉る回転が終わったとき、目の前には兎の顔があった。  
どうやら繋がったまま私の体を回転させて、無理矢理自分の方へ向けてしまったらしい。  
「あ、起こしちゃった?ごめんね」  
言葉とは裏腹に、兎は一向に悪びれず淫らな笑みを瞳と唇に浮かべる。  
しかしその顔は、まるで幼い仔供が友達に秘密を打ち明けるときのような、心を開いた無邪気で純な表情にも見えた。  
「君の顔が見たかったんだ」  
兎は私の鼻っ面に自分の小さな鼻をつんと付ける。  
「あんなに可愛い声で鳴く顔」  
だからぎゃひぃって可愛くないだろ。  
恥ずかしいなぁ。  
恥ずかしいといえばこの姿勢。膝を抱えられたまま体を回されて、まだ離してくれないものだから、私は赤ん坊の体位のまま、彼に全てをさらしているのだ。  
もちろん体重も預けっぱなしで、彼の腕に揺られる度に私の中で同じ振動が走る。  
 
首から上だけで見下ろすと、毛皮越しにも判るほどに赤く充血した分厚い牝貝が太く長い牡銛に貫かれ、隙間から白い粘液を漏らしているのがよく見えた。  
そのまま目線を上にやると、おなじようにじっと見入っていた兎と目が合う。  
上目遣いのまま顔を赤らめる。あんまりしげしげ見て欲しくない。  
兎はそんな私の顔をとっくりと眺めたあと、嬉しそうに情熱的な視線で全身を嘗めていく。  
 
「そんなにじろじろ見ないでよ」  
「だって凄く綺麗なんだもん」  
……っ!  
あどけない笑顔から突然放たれた殺し文句に思わず体がびくんと跳ねた。  
「あ、きゅって締まったね、今」  
うるせ。この女たらし。  
 
兎の腕がゆっくり私の膝を離していく。  
彼の柔らかい股の上に私のお尻が乗ると、ふよんと柔らかい感触がした。  
「わ、やわっかいなぁ」  
感心したように兎が声を出した。  
でめ私はそんな声を出す余裕はない。  
「んっ…」  
兎が支えていた体重の分を自分の足でささえ、結果肉槌はもう少しだけ深く潜り込む。  
足が地面につくと、そのまま私は兎の体に倒れ込んでしまった。  
対面座位で抱きつく体は、互いの体液でべとべとに汚れていても、いまだふわふわと柔らかい。  
 
精液まみれの兎の手が髪に触れる。  
 
「ふぁっ…」  
兎は髪を優しくなぜる。  
液体の滲む手のひらは意外にも未だふわりと柔らかく、毛皮越しに伝わる体温が心地よく頭を包んでいく。  
やがて兎は両手で私の顔を上げさせ、額をこつんと私に当てた。  
 
「ねぇ、名も知らぬ行きずりの牝犬さん」  
兎が緊張した面持ちで私の瞳に視線をぶつける。  
そして泣きそうな顔をしながら、不器用そうな声で告げた。  
「好きです」  
「っ!」  
再び尻尾の先から耳まで震えが走る。  
生まれて初めての告白に、私は歓喜と羞恥と恐怖を同時に表情として浮かべ、戸惑った。  
「付き合ってください」  
そして私を抱き締める。制服の中に回された腕は私の背中に直に触れ、強く体に巻きつく。  
顔を見るのが恥ずかしいのか、頭が行き違うように互いにの胸をぴったりと寄せ、頬ずりをするように抱き寄せる。  
 
「くぅん……」  
先ほどまでとはまた違う、肉の歓びでない快楽が心を満たしていくのがわかった。  
ぴったりと体を寄せて首筋に頬ずりをするこいつが、今はたまらなく愛おしい。  
 
「…うん」  
とてもとても小さな囁きが牙の隙間で密かに響き、  
それに答えるように兎の耳がびくんと動いた。  
 
吊り橋のように不安定な危ない場所では、生命の危機に対し緊張し、心臓の鼓動が早くなる。  
そういう状況で告白したりすると、その早鐘を相手への好意によるものと勘違いし、本当に恋心を抱いてしまう現象がある。  
それが吊り橋効果。別名、ジェットコースター効果。  
 
私も今、まさにそういう状況なのかもしれなかった。  
反則だろ。このタイミングは。  
 
でも仕方ないから許してやる。  
もうこの気持ちは消えそうにないから。  
死ぬまで離さないぞ。こいつめ。  
互いにぴったりと絡ませた毛皮から、鼓動と温もりが伝わってくる。  
心臓が熱い。どくどくと振動が子宮に響いていくような気がした。  
 
「ね」  
兎が顔を私に見せないまま言う。  
「なに?」  
「もっかい、いい?」  
もう一回?  
できる、けど。  
大丈夫かな。今お腹ぱんぱんなんだけど。  
「もう一回意識飛ばしてもいい?」  
そこまでやんのかよ。  
 
 
「一度抜こうか」  
兎はまだ顔を見せてくれない。  
鼓動と腕の震えに、感情の揺れを示すのみだ。  
「吸い出して上げる」  
「んがっ……!?」  
思わず可愛くない声をあげて絶句。  
ありがたいけどさ。確かにありがたいけどさ。  
抵抗無いの?  
 
ふるふると首を振る兎。  
 
「だってさ」  
急に澄ましたような芝居がかった声で兎が言う。  
「さっきあんなに美味しそうに飲んでたのは」  
びくっ  
「誰だっけ?」  
意地悪いぞ、こいつ。今度は尻に両腕いれるぞこら。  
「君だって自分が垂らしたのを抵抗無く嘗めてた」  
お前の口の中を犯したかっただけです。  
舌を絡ませて唾を吸いたかっただけです。  
喉の奥まで愛撫したかっただけです。  
私そんな嫌らしい子じゃないです。  
精液の匂いが気に入って毛皮に染み着かせたいとか思ってしまったけど淫乱じゃないです。  
口の中に満ちた青臭い匂いの元をまた味わいたいとか思ってるけど色情狂じゃないです。  
なんかさっきから恥ずかしくなる度に気持ちよくなってるけど、痴女じゃないんだよ!  
「とにかく、自分は気にしないよ」  
多分、またあのにやにや笑いをしているんだろう。  
 
「けだものは何してもいいの」  
ふひひ。兎は音にならない含み笑いを漏らす。  
「腰が抜けてなければ、立ちなよ。吸って上げる」  
 
そう言われたら立てないとかえってくやしい。  
私は生まれたての子鹿のようにおぼつかない足取りで立ち上がる。  
すると体の中で大質量の喪失感が起こる。  
ずりゅずじゅぷ  
ずるっ  
「わぅんっ!」  
忘れてた。入りっぱなしだったね、これ。  
 
どぽどぽと緩んだ穴から白い粘液が吹き出す。  
「うあぁぁ…」  
私は目の前に立ち上がった肉茎を見て軽く目眩を覚えた。  
なんだよこれ。  
私もさっき兎の尻にひどいことしたけど、ごめんこれで帳消しだよね。なんで中で更に太くなってるのさ。  
その根本の膨らみも異常。あれだけ出したんだからいい加減萎んでもいいのに。  
 
どろろっ  
「くぁっ」  
「ん、吸い出して上げる。向こう向いて壁ついて」  
言われるままに私はまた兎に尻を突き出す。  
彼はひざまずくと、私の割れ目にそっと舌を這わせ、全体を優しく唇で覆った。  
肉扉を丸ごと包み込んだ口が暖かい。  
「いぐよ」  
「舌をつけたまま喋らないで…」  
 
ちゅうじゅぷっちゅくちゅくじゅぷぶっ  
「ひぃ、んあぁはぁあっ」  
吸い付きながら舌で肉壁を押し開き、中を広げていく。  
「……くぅん」  
吸われていくと共に、少しづつ下腹部の張りがなくなって行く気がした。  
 
やがて肉壷に埋まった舌がゆっくり引き抜かれ、柔肉についた白濁をなめとりながら離れた。  
しかし私が覚えたのは軽い驚き。  
え、もう終わり?  
だってまだお腹張りっぱなしなのに。  
 
「もう出てこないね。中がきつく締まってるんじゃないかな」  
「………」  
恥ずかしさにふるふるとわななく。  
「後ろ押せば出るかもよ。あ、やっぱり柔らかいなあ…」  
お尻の肉に頬摺りしながらエロウサギがほざきやがる。  
…でも、さっきこいつあんなによがってたしなぁ。興味は確かにあった。  
「じゃあ、試してみれば」  
あえて素っ気なく言って、お尻を左右に振る。  
「そんな尻尾振っちゃって。嬉しいんだ」  
あ。ばれた。  
 
兎の手がお尻の肉を左右に押し開く。  
「孔の周りはちょっと毛が薄いんだねぇ」  
のんびりと兎が言う。  
喋んないで下さい。息が。ヒゲが。  
「じゃ、とりあえず舐めて慣らして、それから指入れて押してみようか」  
くんくん  
「ちゃんと洗ってあるねぇ」  
……あとでぶん殴ってやる。  
 
「んむ…」  
ぺちゃ、と軟体動物のような兎の舌が私のお尻に当たる。  
暖かい。柔らかい。  
「わああ…」  
舐めてる。今私、お尻の孔を牡に舐められちゃってるんだ。  
羞恥と緊張がないまぜになって、排泄孔を反射的に締め付けてしまう。  
「ベロが入んないよ、もう指でいい?」  
怖いけど、しかたない。  
私が頷くと、兎が私の肉露を手に取り始める。  
 
人差し指が少しだけ開いた肉孔に触れ、慎重に挿入されていく。  
「わぁあ……っ」  
思わず耳を伏せ、目を堅くつぶり震えてしまう。今まで感じたことのない感覚。やだ。  
いやだ。肛門を弄くられるのがこんなに変な感じだなんて。悲鳴をあげてしまいたい。  
直接触れることすら殆どない場所に、柔らかい指がめりこんできて、実際の大きさ以上の異物感を与えてくる。  
「痛くない?」  
「…うん、大丈夫」  
不安そうな顔で兎が聞く。  
本当は、けっこう痛いんです。  
 
でも、自分がさっきあんなに強引にねじ込んだ手前、とても痛いなんて言えない。  
中にゆっくりと押し込まれる指は、毛皮に絡んだ私の淫蜜を頼りに、意外なくらい滑らかに肉壁を拡げて行く。  
「中、あっついね。すっごく締め付けてくるよう」  
「黙って…」  
俯いて、そのまま下に頭を回すと兎の下半身だけが見えた。  
有機質製の巨大な槍が、重力に逆らって鎌首をもたげ、その先端からどろどろと吹き出る透明な滴りが、二匹の作った水たまりに幾重もの波紋を広げていく。  
既にそれは個室の床全体に広がり、下ろしたてだった革靴の底をどろどろに汚していた。  
 
 
敏感な粘膜を毛皮が擦る度に走る気持ち悪さは、少しずつ奇妙な快感に変わっていく。  
狭い肉室が指で広げられて、本来なら決してそこには触れない筈の空気が当たる冷たい感触が、全身に無意識の震えを起こしていた。  
 
ぬるぬると指が排泄管を遡っていく。いつの間にかその潤滑油は私の愛液でなく、お尻の中に滴る生暖かい粘液へと変わっているようだった。  
孔を広げる異物感の周りに、不思議な官能が渦を巻いていく。  
いつしか私は牝の快感とは異なる異形の愉悦に魅了され、腰を振り舌を垂らしながら更なる責めを望み始めていた。  
 
「じゃ、お尻押しながら前吸ってみるからね」  
くちゅりくちゅり  
小さな体の割にやたら太い指を蠢かしながら、兎が言う。  
少しずつ数の増える指は、もはや片手に余る本数になっていた。  
「あのね、柔らかすぎない?」  
兎は嬉しそうだ。さっきのお返しと言わんばかりに私を言葉で辱めてくる。  
「あのね、右手も左手も、もう親指以外全部入っちゃったんだよ」  
 
「でも、まだ物足りないのかな?結構、余裕ありそうだね。牝犬さんは欲張りだねえ」  
「あのさ、ちんこ踏むよ?」  
四つ足の犬が匂いを付けるときのように片足を上げる。  
「ごめん」  
宜しい。  
 
そうして下ろそうとした足をがっしりと兎が肩で押さえる。  
そして更に上に押し上げる。  
彼の目の前には今、私の全てがさらけ出されているだろう。  
「ね、今凄くやーらしい姿勢だってわかる?」  
うん恥ずかしいです。やめて下さい。  
…ちょっと嬉しいけど。  
足離してよ。  
「だぁめ」  
ちゅぷっ  
お尻をいじる手を緩めないまま、兎の口が私の淫唇に吸い付く。  
「きゃんっ!?」  
だから、唐突なんだってばっ。  
ちゅぶぷぷ  
じゅるっ  
「ん、出てきたよっ。わかる?」  
「くうぅぅぅ………んっ」  
勿論、私に答える余裕なんて全くなかった。  
 
お尻が熱い。内側を抉られる感覚にすっかり馴染んだ淫穴は、大量の涎を垂れ流しながら、激しく動く指を飲み込んでいく。  
指先の毛皮が敏感な肉壁に強烈な摩擦を与え、粘液を絡め取りながら更に奥を目指し暴れ狂う。  
 
その刺激だけでもいっぱいいっぱいなのに、  
正気を失う程気持ちよかった前への責めが、同時に行われるのだ。  
たっぷりと唾液を絡ませた兎の舌が、私の肉扉をこじあけていく。  
……また理性が吹っ飛んだ。  
 
「きゃんきゃうんっ!わん、わぅ…っ」  
本能のままに腰を振る牝が、子犬の様な幼い声で喘ぎ始める、甲高い声で兎に更なる行為をせがむ。  
「凄いよぅ、お尻熱くていいよぅっ」  
「んぐっ…ごくっ…」  
ぷはぁっ  
不意に兎が口を離す。緩んだ肉孔から熱い液体が押され出ていく。  
「ねえ」  
だから喋るな息が当たるヒゲがこすれる。くすぐったくて気持ちよくて恥ずかしい。  
「仕返し、しようか。さっきの」  
何だっけ、思い出せない。  
何かとんでもないことをした気もするけど、身も心もとろかされてすっかりバカになった私は、何の迷いもなく首を縦に振るしかできなかった。  
「くぅん…」  
 
「ふぅふふふふっ」  
どっかの青狸みたいな含み笑いを漏らしながら、兎は腕をまくった。  
 
ずぷ  
兎が片手の指を尖らせ、緩みきった私のお尻の中にゆっくりと拳を入れてきた。  
「んひゃああっ!?」  
知らずに声を漏らすほどの圧迫感が、力強く肉壁を押していく。  
その勢いに負けて、胎の中から熱い液体が噴き出していく。  
びゅるっ、びゅくくくっ  
それを舌に受け口に含むと兎はまたくすくすと笑い、空いた手で私のお尻をぺんと打つ。  
私が涙目になりながら振り向くと、含んだ液体でほっぺたを膨らませていた彼は、ごくんと喉を鳴らして口を開く。  
「こら、おもらししちゃ駄目だよ、わんちゃん」  
ちくしょう、ちょっと理性が残ってるからって、人のことを四つ足のケダモノ扱いしやがって。口から精液だらだら垂らしながら言う台詞じゃないぞ。  
…そんな事言われたら、言葉だけで気持ち良くなっちゃうじゃないか。  
「やぇ…」  
でも、涎を垂れ流す口と痺れたように動かない舌は、  
反論の機会を与えてくれはしなかった。  
 
やがてすっぽりと兎の大きな拳がお尻に収まってしまうと、ゆるく手首を締め付ける淫孔のまわりを、柔らかい舌でそっとなぞり始めた。  
「ふふ、すっかりひろがっちゃったね」  
「くぅん…」  
その言葉に反応し更に開いていくお尻の中で、兎はゆっくりと指を開いていった。  
 
白濁を絡ませたけむくじゃらの指に、熱くぬめった排泄孔が広げられていく。  
そしてさっき私がしたように、敏感な襞を摘んだり擦ったり抓ったり、とても丁寧にいじめてくるのだ。  
こんなに屈辱的な快楽があるだろうか。  
「指が溶けちゃいそうだね。あっつくて、とろとろだよ」  
 
手首を振りながら、兎の拳は更に私の奥へと進んでいく。  
お尻がどんどん広がりながらそれを飲み込んでいくのが、少し怖い。  
もう閉まらなくなってしまうかもしれないという恐怖が生まれ、本能に根ざした肉欲によってねじ曲げられていく。  
蹂躙して欲しい。更に私を壊して、もう取り返しのつかない所まで堕として欲しい。  
お願いご主人様。私を肉欲の奴隷に調教して下さい。  
再び白濁に塗りつぶされる思考を自覚し、私はぱたぱた尻尾を振りながら、歓喜の遠吠えを叫び続けた。  
 
 
お腹の中を指が抉っていく。巨大な拳が狭い管を無理矢理変形させて押し通っていく。  
その腕はどんどん深くまで押し込まれ、くわえ込む肉菊は、肘と同じ太さまで広がろうとしていた。  
可哀想な牝犬は、胃袋まで上ってきそうな異物感を快楽と見なして、よだれをだらだら垂らしながら、焦点の定まらない目で兎の肉茎を見つめていた。  
 
ここまで広がっちゃったらさ。  
もう、それが入んない筈、ないよね。  
…ね?  
私は後ろ手に兎の耳を掴む。  
くいくいと引っ張りながら、ささやくように告げる。  
次はこっちに、入れてよ。  
答えの代わりに、兎は私の中で腕をぐるりと回した。  
「くうぅぅぅんっ…!」  
ぞわぞわと、背中の毛皮を優しく逆撫でされるような、不快と快の入り交じった強烈な感覚が突き抜ける。  
 
そして拳は引き抜かれていく。ずるずると、お腹の中が丸ごと引きずられていくような喪失感を与えながら、兎の腕が抜けていく。  
「ひっ…ふぁ…くぅぅ…んっ」  
びくびくと、勝手に体が反応してしまう。緩慢に動く毛足の長い腕は、再びお尻の中に絡み付き、肉の壁をくすぐっていく。  
あちこちを引っかくような動きをしながら、手首から先は未だ私を攻め苛んでいる。  
その隙間から溢れる粘液は兎が口を埋める牝孔にまで滴り、地面に流れ落ちぴちゃぴちゃと音をたてる。  
「いい匂い、だよね」  
兎の声に再び興奮が混じり始める。  
二匹の香りは個室の中でどんどん濃くなっている。  
そうだね、いい匂いだね。  
今の私には、他のどんな香りより、お前のそのおばけみたいな肉塊が巻き散らす牡臭い匂いの方が、ずっと魅力的だよ。  
 
すんすんと兎特有の鼻をひくつかせる動きをしながら、頭がお尻の穴と牝の孔をいったりきたりしている。  
恥ずかしいんだけどなぁ。  
でも、こいつのせいで羞恥心は快楽の一種としてしっかり体に刻まれてしまった。  
恥ずかしいと思う度に、きゅうと切なくなって、愛液の量が増していく。  
本当はもっとひどいこと言って欲しいんだけど。くやしいから内緒にしておこう。  
さっきから何回も、お尻だけで小刻みにイっちゃってるのも、秘密。  
そこまで考えたところで、びくん、と少し体がふるえて、密かに絶頂を示す。  
「じゅうにかいめ、だね」  
ばれていたらしい。コノヤロウ。  
「声がふるえるから、すぐわかるよ」  
言いながら兎がまた拳を捻ると、牝犬の体に十三回目の震えが起こる。  
 
ぬにゅぐぐぐ、どぼっ  
深くまで突き刺さっていた拳が、中をかき回しながらようやく抜けた。  
「はぁ…はぁ…っ」  
ごめん兎。やっぱりさっきいきなり無理矢理フィストしたの、謝る。  
こんなのよっぽど慣らさないと無理だよ。  
でも…お前は、慣らしすぎ。激しすぎ。すっかり開発されちゃったじゃないか、女の子のお尻を何だと思ってるんだ。最後に拳が抜けるときなんて、いきっぱなしだっだんだぞ。  
 
そんな私の無言の謝罪と抗議を無視して、兎は片手を掲げて見せた。  
「みてみて、こんなどろどろになったよ」  
肘近くまでが半透明の粘液で濡れた腕を見て、たまらず私は顔を背けた。  
すると兎は私のお尻に両手の指を突き入れ、尻肉ごと左右に広げていく。  
「わ、奥までぱっくり開いてる。お尻の中、すっごくはっきり見えるね。綺麗なピンク色だよ」  
もう、うーうーと俯いて呻くことしかできない。恥ずかしさで顔が真っ赤に染まり、淫肉から愛液がとぽとぽとこぼれていく。  
そしてそこに顔を埋め、中を嘗め回す兎。  
「んむっ…お尻、すごーくやらしい匂い、だねっ」  
嬉しそうにエロ兎が喋る。口を密着させたまま。  
黙れ小僧。  
口の毛皮が擦れるからやめてって、何度も言ってるのにさ。  
…ていうかいい加減離して欲しい。  
この片足上げた姿勢、  
恥ずかしいし、  
…疲れる。  
 
「じゃ、下ろそうか」  
ゆっくりと兎に持ち上げられた足を解放してもらうと、ようやく私は一息つくことができた。  
そこに兎がべたりとのしかかってくる。  
休む間もない。  
「ちょ、ちょっと、タンマ…」  
首を傾げる兎はほっぺたで背中の毛皮を擦りあげる。  
「なぁに?」  
「さ、さっきと同じ姿勢で…したい…な」  
 
抱っこされて、相手に良いように動かされながら、繋がりたい。  
その顔をじっと眺めながら、柔らかな舌と甘い唾液をたっぷり味わいたい。  
お腹の中にたらふく彼の子種を注ぎ込まれたら、どれだけの快楽が私を満たしてくれるんだろうか。  
 
「わかった…うん、いいよ」  
兎は優しく微笑みながら、私のほっぺたにすりすりと顔をよせた。  
お互いに毛皮はべとべとで、擦れる度ににちゃにちゃと音が立った。せっかくのふかふかだった感触は台無しだったけど、伝わってくる頬の体温はたまらないほど心地よかった。  
 
兎は私を正面にたたせて屈み込むと、前後逆に肩車をするように、膝を肩に乗せて腰を掴み、ゆっくりと体を持ち上げた。  
その腕の力強さに、兎とは言っても男の子なんだ、と素直に感心してしまった。  
そのまま彼は便器に座り込む。  
「お尻、広げて…」  
「…うん」  
指をねじ込んで左右に広げると、兎はゆっくりと私の体をおろし始めた。  
 
熱いものが押し当てられ、ゆっくりと沈んでいく。  
巨大な圧迫感に、私は口をぱくぱくさせながら必死に耐えた。  
牙を伝い垂れる涎を兎が舐めとっていくが、お返しに舌を絡ませる余裕もない。  
 
火照った牝犬の躯は、再び巨大な肉の杭に貫かれていく。  
 
「ひゃあっ…んくっ!」  
私の声ではない。  
先に声を上げたのは、兎だった。  
「すごぉ…い。熱いぃ…溶けるぅ」  
閉じた口からは舌がだらしなくはみ出て、その隙間からは涎が滝のように流れ落ちている。  
私の中に埋もれていく肉槍の先端から、熱い滴がどくどくと溢れ出ているのがわかった。  
とろんとした真っ赤な目に、涙が浮かび始める。  
…悦がり泣き、してやがる。牡の癖に。  
だから、一匹で先に向こうに行かないで欲しい。  
抗議の意味で、頭の上でふらふら揺れる左右の耳を両手で掴んだ。  
未だ液体に犯されていないふわふわの耳を、肉球の手のひらで軽く握り、捻る。  
 
その瞬間、不意に兎の体から力が抜けた。  
「はふぅ……っ!」  
「きっ、きゃああああんっ!?」  
私の体を支える腕が突然消えた。  
当然私の体は重力に引かれて落ちていき、いきなり根本近くまで突き込まれる。  
「あがっ……ぐぁおおうん…」  
重い圧迫感に、思わず怪獣みたいな呻きをあげてしまう。  
さっき前を突かれてた時みたいに、散々ほぐれた後だったから、この衝撃も、…実は気持ち良かったけど。  
 
いきなりなにすんだコノヤロー。  
「いきなり何すんのさ…」  
泣き声を出すなッ。  
それはこっちのセリフなのだッ。  
 
「耳はだめってゆったじゃん!」  
意外にも兎のテンションが上がりつつある。  
「弱いんだー?」  
握ったままの耳をまたねじってやると、  
「ぎゃうあうあ………」  
目を閉じて首を振りだした。良い反応が帰ってくる。  
それに併せて牡茎がお尻の中でびくびくと跳ねる。お腹の中が揺すられていく。  
さて、今度は私が復讐する番なのだ。  
片方の耳を口元へ寄せ、がぱりと顎を開く。  
いただきます。  
かぷ。  
「にゃああああっ!」  
兎の体から力が抜けていく。  
崩れ落ちる頭を抱き抱えるようにしながら、私は兎の耳をしゃぶっていく。  
「やめえっほんろにそれらけはっ…!!」  
懇願する兎を前にして、再び私の中から肉食獣の本能が顔を出す。  
食べちゃいたいな、もう。  
耳に浅い歯形をつけながら、涎を絡めてじっくり甘噛みを続ける。  
えぐえぐと泣きながら、気がつくと彼は私を抱きしめ胸に顔を埋め、胸元の毛を涙で濡らしていた。  
耳を伝って、髪の毛に精液の混じった唾液が垂れていく。  
 
私はべとべとになった片耳を離して、今度は反対の耳を口にくわえた。  
ふと思いついて、離した方を片手で握り、さっき兎の肉竿を擦り上げたように、濡れた耳を上下にしごいてみた。  
「っひゃあああぅんっ!?」  
 
腰に回された兎の腕が、強く私を抱き寄せる。  
お腹の中に埋め込まれた巨大な肉杭が、少しづつ大きく熱くなっていく気がした。  
「もうやめてぇぇぇ…ゆるひて…」  
胸の谷間から、赤い瞳が雨に打たれる子犬のような潤んだ目で見上げてくる。  
「やだ」  
獲物の哀願をそっけなく突っぱねて、再び私は兎の耳に舌を這わせる。長い舌にたっぷりと唾液を絡め、内側の赤い地肌を肉の絵筆で塗りつぶしていくのだ。  
垂れていく液体の粒を指で押しつぶし、広げ染み込ませるように肉球で擦っていく。  
「ふぅぅ……はぐっ」  
反対の手はいまだに耳をしごき続けている。  
涎でびしょ濡れになった指で、耳の中を上下に擦っていくと、くちゅくちゅと心地よい水音が立つ。  
「……気持ち良い?」  
とびっきり意地の悪い笑顔を浮かべながら、兎の耳元で囁く。  
顔を伏せた兎は、私の胸毛に顔を擦りつけるように首を振った。  
「やめてくらひゃい……」  
蚊の鳴くような声で、兎が初めて敬語を発した。  
 
「やーだ」  
両手に握りしめた耳を交互にしゃぶりながら、私はいやいやと横に振る。  
頭ではない。腰である。  
「ひゃああぁ……やぁんっ!」  
「わう……ふぅっ」  
お尻を抉りながら、肉根がお腹の中で捻れていく。  
 
耳に押しつけた舌は、予想外に熱い体温を地肌から掬いとっている。  
放熱板としての役割も持つ兎の大きな耳が、体の熱を逃がそうとしているのだ。  
私自身も、出しっぱなしの舌から涎を際限無く滴らせ、温い雫で兎の耳を濡らしながら、少しでも体内に籠もった熱を吐き出そうとしていた。  
それでも私たちの体の火照りを冷ますのに足りるわけもなく、二匹の体から滴る汗は、床の水たまりを再現無く広げていった。  
 
そして今、激しい高熱をはらんだ肉の松明が、私の肉炉の中に快楽の火を点して回り、火の粉のように雫をまき散らしている。  
そこからとめどなく滴る先走りは、吸い付くように密着した肉壁の隙間を縫って、やがて腸液と混ざりながら孔の外へ溢れだす。  
兎の腿の上で腰を揺すっていると、汗と流れ落ちた粘液で、結合部周りの毛皮がくちゃくちゃになっていくのがわかった。  
 
「うわー…変な感じ。お尻、揺するだけで気持ち良い…」  
貫いた肉槍から、そのままじわじわ体の中に染み入るように、快感が伝わっていく。  
時折反射的に締め付けてしまう度に、その肉蛇は体をよじり、周りの敏感な粘膜を巻き付けていく。  
 
「耳、もうやめて…でちゃう…」  
すがりつくように、兎は懇願を続けた。  
 
私は無情に兎の耳を握り、口元から堪えきれない笑みをこぼしながら、猿のようにしごき続ける。  
胸元で鼻をひくつかせながらべそをかく仔兎は、声にならない声を漏らして首を振り抵抗した。  
しかしそんなささやかな抗いすらも、私がほんの少しお尻を揺するだけで、  
「はふっ…」  
小さな震えと共に消えてしまうのだった。  
 
握った耳の両方を先端からくわえ、交互に甘噛みと吸引を繰り返す。  
その間、兎は焦点の合わぬ目を震わせながら、私の体を強く抱きしめ背中に爪を立てていた。  
…普通牝がやることだと思うんだけど。  
暫くそうやって兎の反応を楽しんだ後、私は片方の耳をより口元に導いた。  
先端から舌を伝わせて行くと、根本に持っていき、  
耳の穴の中に舌をつっこんだ。  
その時である。  
「ふわぁっやっやぁあぁあんっ!?」  
兎は大きく仰け反ったかと思うと、  
そのまま達してしまったのだ。  
 
ぶびゅうううっびゅるるっ  
どくどくんっずぷびゅっごぷっぷちゅぶびゅっ!  
 
「きゃ、きゃうううんっ!?」  
お尻の奥で突然弾けた熱塊は、更に奥へ登り私の腹を満たす一方で、  
肉蕾と牡芯の隙間から滝のように流れ出し、二匹の体の隙間を流れ、足下の水たまりに波紋を投げかけていった。  
 
ふぅふぅと息を荒げる兎の頭を引っ張りあげて、鼻先をつんとマズルで突っついた。  
「こら。…何勝手に一匹(ひとり)で行っちまってるのだ」  
 
「うぅ…」  
兎はそんなことを答える余裕はないみたいだった。  
達した直後とはいえ、いや、達した直後だからこそ、敏感になった肉竿を締め付けられ、苦痛に近いような快楽を感じているようだった。  
「うー……!」  
赤い目いっぱいに涙を溜めたふくれっ面が、私を見上げて悔しそうに睨み付けてくる。  
「ふふん、大変そうだね」  
お腹の中に大量の子種を吐き出された私の体は、酔ったように心地よい火照りに満ちていた。  
上気した赤い顔を誤魔化すために、精一杯口の端を釣り上げ、牙を剥き出しにした微笑みで兎の視線を真っ向から受け止める。  
 
小さな子供が駄々をこねるような目で泣きじゃくる兎と、  
そんな彼の髪を優しく撫でながら(あまり品の良い笑いではないが)微笑む犬。  
どちらが主導権を握っているかは言うまでもない。  
さて目の前の獲物を更にどうやって貪ってやろうかと、私は思案し始めた。  
 
 
しかし、  
巧く取り繕った筈の張りぼての余裕は、兎が首筋に噛みつき勢い良く腰を振りだした瞬間に、  
あっけなく砕け散ってしまったのだった。  
 

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