いきなりだけど…私は乗馬が嫌いだ。  
 
「か〜〜な〜〜ちゃ〜〜!!」  
 
 あんな大きくて臭い生き物になぜ好き好んで乗らねばならないのだろう?  
 
「見て見て!高い高い!!」  
 
 馬だって好き好んで人間なんか乗せたくは無いはずだ。  
 
「きぃ〜あ〜♪」  
 
 そう、これは相互の利害関係が一致しているわけで…  
 
「お馬さんごーごー!」  
「あー!もううっさあぁい!!」  
「ひんっ!?」  
 人が重要なことについて考えている側で賑やかな日和(ひより)を一喝する。  
 青い空、緑豊かな景色、そこまではいいけれど…草いきれの中に香る動物特有  
の臭い…  
 そう、由緒正しいお嬢様学校という建前のある我が校は、本日情操教育に関わ  
る課外授業の一環として乗馬実習をしているわけである。  
 今の時代に乗馬とか、ほんの一部の特殊人種以外に全く何の役にも立たないと  
思うのだが…  
「ねね、かなちゃ乗らないの?」  
「うるさいわね…乗ろうが乗るまいが私の勝手でしょ?」  
「でもお馬さん、こんなに可愛いのに〜」  
 背に乗ってる小柄な日和が一層小さく見える大きな体躯のサラブレッド。確か  
に目は優しいし、暴れ馬というわけでもないのだが…  
「ねー、お馬さんもかなちゃと走りたいよねー?」  
「日和、馬に勝手な価値観を押し付けるのはやめなさいよ…どう考えたって重量  
 物運搬の強制労働でしかないんだから」  
「あら?その労働という対価に彼らは食事と馬房、そして何よりも生きるという  
 報酬を得ているのよ?」  
「ひぃっ!?」  
 いきなり後ろから気配もさせずに抱きすくめ、耳元で囁いてきた彩花(あやか)  
先生の行為に思わず総毛だって変な声が漏れてしまう。  
「ああああああああっ!」  
「あ、がどうしたの?」  
 
「彩花先生!!」  
「はーい?」  
 以前の一件以来妙になれなれしい変態養護教諭は綺麗な笑みを浮かべて小首を  
かしげる。  
「そんなえげつない聖人ぶりを見せても無駄ですよ!」  
 これは本性を知らなければ絶対に騙される魔性の笑み…詐欺師の笑みだ。  
「あら、私は素直で率直な人間よ〜?」  
「どこが!!」  
「どこがって…全部じゃない」  
「…はぁ?」  
「佳奈ちゃんや日和ちゃんの可愛いすg」  
「はいはいはいはい!そこまで!!」  
「…かなちゃのいけずぅ…」  
「先生が日和の真似しても気持ち悪いだけです」  
 まとわり付く彩花先生の顔に手のひらを当て、強引に押し剥がしてにべも無く  
言い放つ。  
 
 本当にこの先生は本心が分からない。  
 
 以前日和を散々な目にあわせ、そして私にも手を出し…かといってそれをネタ  
に強請るわけでもなく、今まで通りの一生徒として養護教諭的な立ち位置で接し  
てくる。  
 …あ、いや、やや過剰なスキンシップが増えたかもしれないけれど…正直こっ  
ちがこの人の本当の性格のような気がしてならない。  
「まぁ冗談はこのあたりにして…一応授業だから乗馬はしてもらわないと困るの  
 よね。それに山崎さん生徒会長なんだし」  
「…それはそうかもしれませんけど…そもそもなんで彩花先生がここにいるんで  
 すか?」  
 教諭の立場での相手の意見に反論の余地は無く…無駄な抵抗かもしれない質問  
返しをする。  
「決まってるじゃない。山崎さんと外舘(とだて)さんがいるから…という冗談  
 はおいといて、万が一落馬でもしたら大変でしょ?その為の養護教諭よ」  
 どこまでが冗談でどこからが本音か全く分からない、けれど全くもっての正論  
にぐうの音も出ない。  
「け、けどあれ見てください」  
「きゃぁ〜ほぉ〜♪」  
「あらあら、外舘さんすごいわねぇ」  
 なんというか…既に係員さんの手を煩わすことなく、一端の乗馬経験でも有る  
かの如く自由自在に馬と駆け回る日和。  
 なんとうか…まさに野生児…本気で頑張ればオリンピックにいけそうな勢いで  
さえある。  
「あの調子だとまだ暫くは馬が空きそうに無いですし…」  
「はい、山崎さんのお馬さんですよ〜」  
「ぐっ…」  
 彩花先生の背後になぜ空馬が居るのか考えるべきだった…  
「大丈夫よ。一番小柄でおとなしい仔をチョイスしといたから」  
「…うぅぅぅぅ」  
「ほら、観念しなさい?生徒会長ともあろうものが授業サボっちゃだめでしょ?」  
「……鬼!悪魔!!変態!!!」  
「あらあら可愛いわね〜」  
「〜〜〜っっっ!!!」  
 結局…彩花先生の手管に下るしかない私だった…  
 
*    *    *    *    *    *    *    *  
 
「ひっ…も、もう少し、ゆゆ、ゆっくりっいっ!!」  
「これ以上ゆっくりは無理よ。止まっちゃうもの。ほんと、お馬さんも困るわよ  
 ねー?」  
「う、う、馬と、か、会話なんてしないでっ!下さい!!」  
 彩花先生に引かれてゆっくりと歩を進めるサラブレッドの背中で身体をガチガ  
チに固め、今にも泣き出しそうな顔で叫ぶ佳奈。  
 
 これが天下のお嬢様学校のカリスマ生徒会長と誰が思うだろうか?  
 
 けど怖いものは怖いのだから仕方が無い…実は強度の高所恐怖症な上、大型動  
物が苦手な私にとって、乗馬とは拷問以外の何者でもないのだから。  
「ちょっっ、ほ、ほんとに!もっ、もう無理っ!!」  
「無理って…まだ50mも進んでないわよ?」  
「無理っ!無理ぃ!!」  
「もう少し我慢しなさい。ほかの子はしっかり乗れてるんだから」  
「いぃぃ〜〜やあぁぁ〜〜!!」  
 亀のようなゆるい歩みを僅かに速められると身も蓋も無い情けない声を上げて  
馬の首にしがみつく。  
「……山崎さん、本当に意外ね…」  
「意外でも何でもいいからっっ!!おろっ、降ろしっ!止めっっ!!」  
 佳奈の叫びなどどこ吹く風、結局授業時間一杯強制的に乗馬をさせられること  
となった。  
 
*    *    *    *    *    *    *    *  
 
 
 
「かなちゃ、大丈夫〜?」  
「………もうだめ……」  
 乗馬の授業が終わり、生徒が各自好き好きにお弁当をひろげている頃、牧場か  
らやや離れた休憩所でぐったりとしている佳奈と心配そうに覗き込んでいる日和  
の姿があった。  
 勿論四番でエース並みの人気を誇る佳奈なのでお弁当の誘いは山ほどあったの  
だが、余りに具合が悪そうなので皆一様に誘いの言葉を心配の言葉に代えて散っ  
ていったという経緯がある。  
 しかしながら幾分かの同級生の視線や表情が何となく興奮気味で怖かったこと  
も付け加えておこう…  
「かなちゃ、お弁当食べる?」  
「……吐く」  
 据付の長いすに仰向けに転がり、ぴったりした乗馬服を着替えることもせず、  
ぐったりと腕を顔に乗せて目隠ししたまま呻くように応える佳奈。  
「えと…じゃあ私、ちょっと外で食べてくるね」  
「…ん、ありがと」  
 お腹は減ったも、具合の悪そうな佳奈の側で食べ物の匂いを拡げるのは流石に  
気になったのか、何度も振り返りながら出て行く日和だった。  
 
*    *    *    *    *    *    *    *  
 
「………う〜…」  
 一人になり、軽く寝返りを打つ。  
「あの…鬼養護教諭…訴えるわよ、ほんと…」  
「それは困るわね〜」  
「いぃっ!!?」  
 思わぬ答えに飛び起きる佳奈。  
「はぁい♪」  
「何がはぁい♪なんですか!!そもそもいつ湧いたんです!!?」  
「湧いただなんて…虫みたいにひどい…」  
「嘘泣きやめてください…っていうか、キモイです」  
 よよよっとしなを作って嘘泣きをする相手を一刀両断する。  
「まったく…ひとが心配で付き添ってあげてるのに可愛気のかけらもないんだか  
 ら」  
「あんなことした人を信用することができると思ってるんですか?」  
「あら、あんな可愛気があるのにツンケンしてる方がもったいなくない?」  
「い、い、意味がわかんないです!論点ずれてます!!」  
 彩花の暴投気味の切り返しに、しかし真っ赤になってしまう。  
「ふぅん?それじゃ意味が分かるようにしてあげよっか?」  
「……な、何する気ですか…」  
 目を細めた相手の雰囲気の変化を感じ取り、両手で己が身を抱くようにして警  
戒心も露に唸るように言い返す。  
「勿論…ナニ♪」  
「お、お、親父ギャグはんたあぁぁぁい!!!」  
 構えはしていたものの、長時間の乗馬による目眩と吐き気はいかんともしがた  
く、あっさりと両足を掴まれてしまい、どう考えてもろくな事にならない体勢に  
されてしまう。  
「お、大声出しますよ!!」  
「いいわよ〜?この状況だったら貴女のほうが恥ずかしいことになる公算が高い  
 し、それに…」  
「それに…?」  
「鍵も掛けてあるし♪」  
「悪魔!ド変態!!人でなし!!!」  
 思わず自分が日和にしていることは棚に上げて叫ぶ佳奈だった。  
 
 
*    *    *    *    *    *    *    *  
 
「さって、と…そろそろ覚悟はいいかしら?」  
「か、覚悟なんて最初からしてないしできませんっ!」  
「そうよね、山崎さんは敏感だものねぇ」  
「なっっ!!!だっっ、だっっっ、だっ、誰が!!?」  
 以前保健室で散々な目に合ったことを反射的に思い出して耳まで赤くする。  
「まぁ論より証拠、やってみればわかることよね」  
「だ、だからやめっ、ぃひうっ!?」  
 必死で逃げようとするも、彩花の足が軽く揺らされただけでヒクンっと震えて  
言葉が途切れた。  
「………」  
「………」  
 そして暫しの沈黙…先に口を開いたのは彩花だった。  
「山崎さん、一層敏k(ry」  
「わーわーわーわーわー!!!」  
 余りに恥ずかしい指摘を大声でさえぎる。  
「ちちちち違います!!!!」  
「でも…ほら」  
「あうんっ!」  
 再び軽く足揺らされただけでびくっと腰が跳ねる。  
「前はもう少しアレだったと思うんだけど…」  
「こ、これは先生が無理矢理あんな物に乗せるから!!!」  
「…もしかして山崎さん、敏感なここを揺らされるのが嫌で乗馬が嫌いだとか?」  
「んっ!ひぁっ!あっ、くっ…ち、違い、ま、ます…」  
 乗馬で散々揺れた股間を新たに足で揺らされ、本当なら大声で嬌声漏らしそう  
なのを、全身全霊でもって必死に堪えながら呻くように答える佳奈。  
「でも前より大分敏感に見えるわよ?」  
「そ、れは…あっ!ぅくっ…ふ、副産物、ぅ…」  
「じゃあ何で?」  
「ほ、ほんと、に…ぃぁっ…う、馬…きら、いぃ…あっ!くぅぅ…」  
 抵抗しようにも足をつかまれ、反論しようにも股間に当てられた足がゆっくり  
振るえ、もうどうにもできずにただ切れ切れに素直な答えを返す。  
「ふぅ〜ん?あんなに可愛いのに何で嫌いなの?」  
「は、ぅっ…んふっ!お、おっき、いぃ…んっ!か、ら…ぁぅ…」  
「大丈夫よ、別に襲ってきはしないし」  
「は、ひっ!いっ、あぁ!!っっ…くぅぅ…た、しかに…せんせ、と違い、ます  
 からっああぁぁぁ!?」  
 やんわりとした電気あんまには流石に何とか耐えつつ、反抗的な返答しかけた  
瞬間、いきなり激しい振動を股間に与えられてびくうっっと仰け反って絶叫して  
しまう。  
「そういうこと言う悪い子にはおしおきね」  
「やっ!ああぁっ!!ひっ!いっっひっっ!!?ぃっっくっっぅぅっっっ!!」  
「勝手に気持ちよくなるのはだぁめ」  
「んふあっ!!?あっ…ひ…ぅぁぁ…?」  
 激しい電気あんまにあっという間に達しそうになるも、達する寸前に振動緩め  
られ、生殺しのような感覚に視線泳がせつつも震えながら彩花を見つめる佳奈。  
 
 
「お仕置きって言ったでしょ?」  
「ひはぁっ!!?あっ!あぁっ!!ふゃあぁぁぁ!!!」  
 僅かな間を空け、絶頂感が引いたのを見計らうように再び敏感な下腹部を振動  
が襲い、大きく背を仰け反らせて喘ぐ。  
「あっ!あっ!!あっ!ああっ!!ふっ、くっっ!!っっっ…っくは!や、やあ  
 あぁぁぁ!!!」  
 しかしまたビクビクと痙攣して絶頂を迎えかけた瞬間、秘部を責め苛む振動は  
僅かなものになってイクかイかないかの間際でたゆたわされる。  
「はっ、はっ、はっ…はっ…せ、せん、せぇぇ…」  
「なぁに?」  
「うっ…ぅ、ぁ…あ、あう…」  
「きちんと言ってくれないと私は分からないわよ〜?」  
 流石に生殺しをやめて最後までしてくれなどと口にできるわけはなく、半泣き  
で耳まで赤くして口ごもってしまう。  
「くっ…ぅ…ひはっ!!?あっ!!やっ、ああぁっ!!もぉっ、ぉぉ!!」  
「ふふ…山崎さん可愛いわよ?」  
「ああっ!あっ!ひぁっ!!くっ、うっっ!!っっ!!っあ、はっ、ま、たあぁ  
 ぁぁ!!!」  
 またもや絶頂を迎える寸前に電気あんまを緩められ、敏感な股間を責め苛む彩  
花の足を両手で掴んで首を振って悶え泣く。  
「どうしたの?もう降参?」  
「うっ、あぁぁぁ…ぁ、ぅぅ…」  
「外舘(とだて)さんはもっと頑張ったんだけどね〜」  
「っ…ぅ…ぅぅ……」  
 終わりの無い快感の責め苦に心が折れかけていた佳奈だが、彩花の言葉で口を  
真一文字に結んで涙目ながらにキッと相手を睨みつけた。  
「ふふ…その表情(かお)、いいわぁ」  
「くっ…貴女みたいな卑劣なっ、くあぁぁあぁぁっ!!!」  
「卑劣な、なぁに?」  
 必死で奮い立たせた心、けれど啖呵を切りきる前に激しく股間に振動与えられ、  
両手で彩花の足を掴んで抵抗しながらも悲鳴上げて背を反らす。  
「ほらほら、もう終わっちゃうんじゃない?」  
「やあぁぁっ!!いやっ!いやあぁ!!イかないっ!イかないぃっ!!」  
 焦らし抜く生殺しの電気あんまから一転、敏感な突起を擦り潰し、蕩けた割れ  
目も揺すり犯すような攻めの電気あんまにビクビクと腰を跳ねさせながらも抵抗  
の言葉を叫ぶ佳奈。  
「ふふふ…その調子でいつまで頑張れるかしら?」  
「あっ!!ふやあぁぁああぁっ!!あっ、ひぐっ…く、ひあぁぁぁぁ!!」  
 首を振って抵抗の意思を示してはいるものの、彩花の足が数回振動するたびに  
腰が跳ね、高く鳴き、背骨が折れんばかりに背を反らすその姿は何よりも絶頂を  
繰り返していることを物語っていた。  
 
「ああぁあぁっ!!あっ、っっっ…くっ、ひっっ…ふぁ!!」  
「ほらほら、イっちゃってるんじゃない?」  
「っっ!!っ!!っっっ!!」  
 彩花の楽しげな問いかけに、唇をきつく噛んで頭を振りたくる。  
「意外と頑張るけど…」  
「ひぐぅっ!!?」  
 踵で敏感な芽をグリッと擦り潰されて一際大きく背を反らせ、それまで乗馬ズ  
ボンの股間辺りだけにできていた染みが一気に太股辺りまで広がった。  
「あら?お漏らしでもしちゃったのかしら?」  
「ふーっ、ふーっ…ふぐっ、うぅ…」  
 びくっびくっと痙攣しながら、それでも涙のたまった瞳で彩花を睨みつける佳  
奈。  
「まだそんな目ができるなんて、ほんと可愛いんだから」  
 どう考えても逃れられない絶望的な状況でも、絶対に屈しないという強い光を  
宿した視線に軽い興奮を覚えながら微笑む。  
「でもね…そんな娘(こ)って何が何でも屈服させて叫ばせたいって思わない?」  
「だ…れが…そんな、変たいひぃっ!?いっ、あっ!!やひゃあぁ!!」  
 反抗の言葉の舌の根が乾かぬうちに激しく股間揺さぶられて泣き叫ぶ。  
「あああぁぁあぁ!!あっ!あー!あぁぁぁぁ!!」  
 喉が裂けそうな位に絶叫しつつ、気が狂ったように暴れるも、彩花が掴んだ足  
首はまるで万力に固定されたかのごとく振りほどけず、より激しさを増す電気あ  
んまに下半身が弾けてしまいそうな錯覚に陥ってしまう。  
「だめっ!らめっ!!もっ、もぉっ、もぉっ!!」  
「何がだめなの?そんな気持ち良さそうに悶えてるのに」  
「もぉっ、もぉぉ!!っっ!!っ!っっ!!〜〜〜っっっ!!!!」  
 息を荒げ、頬を上気させ、やや興奮気味に言いつつ容赦ない電気あんまを続け  
る彩花の足裏に不意に何か熱い物が溢れたかと思えば、彩花が驚き足を離した股  
間からそれは徐々に勢いを増し、やがて乗馬ズボン越しにアーチを掛けるように  
黄色がかった液体が撒き散らされた。  
「ぁ…ひぁぁ…ぁ、ぁぁぁぁ…ぁ、は…ぅぁ…ぅふ、ぁ…ぁ…」  
 下半身が砕けてしまいそうな暴力的な快感に続く背徳的な開放感…半ば白眼を  
剥き、涙と鼻水とよだれでぐちゃぐちゃになった顔を快感に染めて痙攣をする佳  
奈。  
「…ちょっとやりすぎたかしら…」  
 ベットのシーツを恥ずかしい証と排泄の証でまだらに染め、失神したかの様な  
有様で痙攣する生徒会長を見下ろしつつ、反省半分、興奮半分で呟く彩花だった。  
 
*    *    *    *    *    *    *    *  
 
「………な……か……ちゃ……」  
 何よもう…うるさいわね…私はもう少し寝てたいのよ…  
 軽く揺らしながら遠くから聞こえる声に不満と抵抗の意を示す。  
「か……ちゃ…お…て…」  
 だから私はだるいのよ…まだ眠いの…寝るの…  
「…きて……かな…お…て…」  
「うっさあぁぁいっ!!!」  
「ひんっ!!?」  
「おはよう、山崎さん…あ、おそようかしら?」  
 結局根負けして怒鳴り起きたら、聞きなれた日和の頓狂な声と同時に聞きたく  
ない養護教諭の声まで聞こえた。  
「でたわね魔女!!」  
「……それは寝言かしら?」  
「いえ、これ以上無い程正気です」  
 とりあえずベットの側に居た日和をしっかりと抱き寄せながら威嚇するように  
唸る。  
「とりあえず冗談として受け取っておこうかしら」  
「ですから本音です。本気です。正気です」  
「佳奈ちゃん、め!」  
「へ?」  
 唸る私のほっぺをつつきながら日和が何故か責める様な眼で私を見ていた。  
「めって…だって…この悪魔は私のこと…」  
「そーなのよ!だからそんなこと言っちゃめーなのっ!!」  
「だ、だから、なんで…」  
 日和の言うことが全く理解できず、日和と彩花先生の顔を交互に見ながら困惑  
する。  
「佳奈ちゃがお馬さんで気持ち悪くなったの、彩花せんせはずーっと看病してく  
 れてたの!お昼ごはんも食べてないんだよっ!?だかな佳奈ちゃ、そんなこと  
 言っちゃめーなのっ!!!」  
 日和の言葉に辺りを見回すと先ほどまでの陵辱の後はどこにもなく、シーツも  
お布団も牧場らしい太陽と牧草の混ざった柔らかな匂いしかない。  
 
「…………」  
「あらなぁに?」  
「………あ、ありがとうございました…」  
 釈然としないものを押し殺しながら唸るようにお礼を言う。  
「いえいえ、どういたしまして」  
「佳奈ちゃ、もう大丈夫?」  
「うん、もう平気」  
「じゃあ帰ろ♪みんな先に帰っちゃったよー!」  
 その言葉に壁の時計を見れば、既に17時を回っていた。  
「私こんなに寝てたん、っだぁっ!?」  
 服は乗馬服のまま、けれど何も変わった所がないのを確認すると、やはり夢だっ  
たのかと思いつつゆっくりベットから降りた…てずに、ずっこける。  
「佳奈ちゃ、ほんとに大丈夫?」  
「仕方ないわね。私がバスまでおぶってあげるわよ」  
「ちょっ、なっっ、やっ、やめっ!!」  
 中学にもなっておんぶされるという屈辱に抵抗しようとするが、思いの外強い  
彩花の力に結局おぶわれてしまう。  
「佳奈ちゃいーなー」  
「…はいは、いっ!?」  
「山崎さんどうしたの?」  
「な、なんでもありま、っっ…せ、せん」  
「佳奈ちゃ、まだ調子よくないとか?」  
「だ、大じょっ…大丈夫、だから」  
 おんぶした端から、お尻を撫でたりつついたり、その度に小さく震えて声を上  
げそうになるの堪えて睨み返す。  
「…この狸、女狐、ド鬼畜、ド畜生教師」  
「何のことかわかんないわ〜」  
 相手の耳元で小声で呻くのに対して愉しげに切り返す彩花。  
 
 …絶対に…絶対に化けの皮剥いででやるんだからねえぇぇぇぇ!!!  
 
 
 終わりっ!  
 

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