「今日も何もなしかぁ…」  
 暫く前から進まないお気に入りのスレ、パソコンのディスプレイから視線を外して呟く。  
「落ちちゃわないと良いけど…」  
 窓の外を暫く見やった後、再びディスプレイに目を戻してブラウザの更新ボタンをクリックするが、ここ数日にしても他愛もない保守の書き込みが1つ2つしか無いスレは延びるわけもなく、先程と同じレスが最下段に来る。  
「……保守、しとこうかしら?」  
 初代から見てきたスレももう7代目、沢山の神や職人達が盛り上げ、支えてきたスレが消えるのは…そして、何よりも私の嗜好に合ったスレが消えるのは耐えられない。  
「…そうね、保守位なら…」  
 今までずっとROMだったけど、保守位なら…そう思ってキーボードへ指を走ら…  
「かっなちゃ〜〜〜っ!」  
「ひぃっ!?!?」  
 メール欄にsageと打ち、本文に【ほ】と打ったとき、まるでそのタイミングを謀った様に、私の背中に飛び付き、驚かせてきた人影。  
「ひひひ、日和(ヒヨリ)!!?」  
「佳奈ちゃ、相変わらず不健康なんだ〜」  
「べべ、別に良いでしょ!」  
 一応世間様には一般以上で通してる私は、我ながら恥ずかしいほどろうばいしながらブラウザを最小化する……あ〜…ほって書き込みしちゃった……意味分かんないよ、アレ…  
「あ〜!今日こそ完璧超人佳奈ちゃの秘められたしこーが見れると思ったのに〜」  
 肩口から覗き込もうとしてた日和のオデコを軽くつついて首を捻った。  
「あのね…どこでそういう言葉を覚えてくるの…それに完璧超人ってなによ?そもそも、勝手に人の部屋に入ってこないでってあれだけ言ったでしょ?」  
 秘密を見られそうになった焦りから自然と早口になってしまう。  
「だぁってぇ…佳奈ちゃの部屋だしぃ」  
「私の部屋って…私は人じゃないとでも?」  
「うんっ!佳奈ちゃは佳奈ちゃだよ!」  
「………はぁ」  
 物心付いた時から一緒で、気付いたら高校も一緒の腐れ縁(日和に言わせると親友らしい)、家が隣と言うこともあり、日和は勝手に私の部屋に入ってくる。  
 そのせいでオチオチインターネットさえ見れなくて…え?後ろ暗い事をしてるから?プライバシーよ、プライバシー!  
 とにかく、背後霊よろしく背中にくっついてる日和を引き剥がそうと立ち上がる。  
 
「ほぉら、日和、降りなさい」  
「やだ!」  
「やだじゃないでしょ!重いんだから!」  
「えー?あたしそんなに重くないもん!」  
 ほっぺを膨らませて抗議する日和は、同い年の中ではかなり小柄な部類に入る。  
 逆に私は背が高い方になるので(もちろんスタイルも人並みにはあるつもりだし…)立ち上がると背中に日和がぶら下がるようになる。  
「と、とにかく…く、首が絞まるから…」  
 もちろん、私がしゃがめば良いのだろうけど、一旦立ったからにはしゃがむのも癪なので…って…ちょ、ほんと、絞まって…  
「あ……」  
「きゃあっ!」  
 ふぅっと目の前が暗くなれば…私は日和と共に倒れ込んだ。そこがベットだったのは私の日頃の行いの賜物だろう。  
「けほっ…けほっ…日和!」  
「佳奈ちゃ、ごっめ〜ん」  
 ベットに倒れ込んだのが楽しいのか、反省の色の見えない声で笑いながら言う日和に少し頭にくる。  
「あんたねぇ…怪我でもしたらどうするのよ?」  
「大丈夫だよ〜、ベットの上だし」  
「それは結果論!もし床の上だったら痛いでしょ?」  
「ん〜〜……だいじょぶ!佳奈ちゃだしっ!」  
「根拠がなぁぁぁい!!!」  
 暫く考え込んだので反省したのかな?と思った私が愚かだった訳で…ニパッと笑って確信した口調で言い放つ日和に思わず叫んでいた。  
「あくまでもそーゆー態度を取るなら…こうよ!」  
「ぇ?あっ!佳奈ちゃっっ!!あははははっっ!やめっ!だめぇ〜!!あはっ、あははははっ!」  
 日和は昔から脇腹や背中、脇の下なんかが弱い。  
 だから何かあればこうして擽り倒すことにしている。  
 今も、軽く脇腹へ指を滑らせただけで身をくねらせて笑い転げ、活発な内面そのままの服装…ティーシャツにフレアミニスカートはまくれ上がり、可愛いおへそとレギンスに包まれた小振りなお尻が丸出しになっている。  
「あは!あはは!か、なちゃ!やめてー!しんじゃうー!」  
「反省の色がみられないわよ?ほらほら♪」  
「あはははははっ!だめぇー!ほ、んとっ!あははははっっ!!」  
「日和、ごめんなさいは?」  
「あははははは!!」  
 両手両足をばたつかせて笑い転げながらも、首を振って謝るのを拒否する。  
 
「………」  
 目に涙をため、擽るために私が割り入ったせいで脚を大きく開き、私の体の下でもがいてる日和を見てふとある考えが浮かんだ。  
 何回言っても聞かないんだったらお仕置きしないと…でもソレをしちゃったら日和に私の秘めてる事がばれて…ううん、そう、これはお仕置きでなんの下心も無いのよ、日和を正しい道へ導く為のお仕置き…  
「か、かな、ちゃ?」  
 不意に押し黙った私の雰囲気の変化に、笑いすぎて息を切らせながら日和が伺うように問掛けてくる。  
 けれど、私はそれに答えずにいきなり日和の両足を掴んで引っ張りあげた。  
「ひゃあ!?ちょちょ、佳奈ちゃ!?」  
 さすがに私の行為に驚き、まくれたスカートを押さえながら引っくり返った声を上げる日和。  
「いくら言っても聞かない子には一回きついお仕置きをしなきゃね?」  
「え?え??」  
 もう止まらない、もう止められない。  
「あ…か、な…ちゃ?」  
 日和の両足を引き、そっと脚の付け根へ自らの足を押し当てる。  
 その感触に小さく震えて、いつもと違って張りの無い声で脅えたように私の名を呼ぶ。  
「ね、ねぇ、なにする…んっ!!」  
 もちろん、今まで実際にこんなことなどした事がないので、まずは土踏まずを使って日和の下腹部全体へ軽く振動を送ってみる。  
 けれど、その次の瞬間、言葉を途切らせ、ぴくっと震えて小さくうめく日和。  
「あ…んん…か、かなちゃ…やめ、てよぉ…」  
 いくら日和でも下腹部を足蹴にされ、振るわされているのは耐えられないのだろう、耳まで真っ赤にして両手で私の足を押さえるけれど、足と手の差、そして体勢の差、押さえたところで大差はなく、段々と声が力なくなっていく。  
「は、ぅ…か、な……ちゃ…んんっ…は、ふ…」  
「日和、もしかして気持いいとか?」  
 既に添えるだけになった手、足の動きに合わせてひくひくと震える腰…声が上擦りそうになるのを必死でおさえ、けれど、かすれた声で問い掛ける。  
 
「んふぁ…そ、そんな、こと、ぉ…ぁ…ひゃうぅん!?」  
「あら、高い声」  
「だ、だって、かなちゃが…ひゃうっ!」  
「私が何?」  
「かなちゃっ、ふあっ!かなちゃがっ!あっ!あぁっ!」  
 わざと言葉を途切らせるようなタイミングで少しだけ強い振動を送ると、日和の身体が面白いように跳ね、高い声が小さな口から溢れる。  
「ほら、私がどうしたの?」  
 細い喉を晒してのけぞり震えるのを見ながら、足を震わせ続け、答えられないのを承知で問掛ける。  
「あぅっ!んく、ぁ、はぁ…はぅぅ…んんっ……あぁぁっ!あっ!あぁ!」  
 段々と日和が鳴くコツを掴んできた私は、調子にのって強弱を付けながら、リズミカルな振動を与え続ける。  
 いつしか日和の口からは切な気で甘い声が漏れ、その端からは涎が伝い、黒いレギンスは足が当たっている所を中心に一層色濃い漆黒に染まっていた。  
「あぅ、ぁ…う、ぁぁ…あ、や、ぁ…か、ひぅ…あ、はぁぁ…」  
 足を震わせ、擦らし、当てるたびにニチャニチャと粘液質な恥ずかしい音がしそうな位湿っている所を休まず責め続ける。  
 日和の口から上がり続ける甘い声、それを聞いていると段々とぼーっとしてきて…  
「だ、めぇぇ…は、あぅ…ぁぁ、も…か、な、ちゃ…ぁぁ……っっああぁぁぁ!!?」  
 無意識に強くなっていた電気あんま…思わず滑った足、踵が一番敏感な突起を擦り潰すように当たった途端、背骨が折れるんじゃないかと心配になるほどのけぞって日和は高い声をあげた。  
「ひ、日和!!大丈夫!?」  
 その瞬間我に返った私は自分でやっておいて大丈夫もおかしなものと頭の隅で思いながらも、半ば白眼を剥きびくびくと痙攣している日和を慌てて抱き上げる。  
「日和、日和!」  
「…ぁ……かなちゃぁ…」  
「…日和…ごめん、ごめんね…」  
 ぐったりとした小さな身体を抱き締め、後悔しながら繰り返す。後悔先に立たずってこういう事を言うんだろうなぁ…  
 
「…かなちゃ、凄かったぁ…」  
「……ごめん……って、ぇ?」  
「…あのねぇ、最初は恥ずかしかったけどぉ…段々びくびくして、きちゃって…訳分かんなくなって…最後なんか、頭が真っ白になっちゃって……えへへ〜……」  
 ポカンと間抜け面してるであろう私の顔を見やりながら、赤い顔を両手で覆いながら続ける日和。  
「佳奈ちゃ、こういうの、好きだったんでしょ?」  
「…そ、それは、そうだけど……って、な、な、な!?」  
 そ、それって、日和の仕組んだシナリオに乗せられたって…いうこと…?  
「前ね、佳奈ちゃの部屋に来たらお風呂行ってて、パソコンに電気あんまっていうの、いっぱい語り合ってるの、見てたから…あたしも、大好きな佳奈ちゃに、してもらったら、どんなかなって」  
「………」  
 開いた口が塞がらない…つまり、既に日和は私の趣味を知ってて、わざと理性が飛ぶように仕向けた……それ以前に…  
「ひ、日和…だ、だ…大好きって……そ、その…」  
「………佳奈ちゃは、あたしのこと…嫌い?」  
 私の腕の中で上目使いに伺うように、脅えるように言う日和に私はあっさり降伏した。  
「そんなことあるわけないじゃない!大好きよ!」  
「ほんと!?」  
 ぎゅうっと抱き締めながら言った言葉にぱっと顔を輝かせて問いかえしてくる。  
「もちろんよ」  
「ほんとにほんと?」  
「ほんとにほんとよ」  
「ほんとにほんとにほんと?」  
「しつこい!」  
 繰り返す日和の頭を軽く小突く。  
「で、でもほら、あたし達女の子同士だし、佳奈ちゃ、完璧超人だし、あたしちみっちぃし、それにそれに…」  
「じゃあ好きじゃない方がよかった?」  
 私の意地悪な質問に、頭がとれそうな位力一杯振って否定する日和。  
「ううんっ!そんなことないっ!大好きの大好きだもんっ!」  
「あ〜、もぅ、恥ずかしい子なんだから」  
 流石に恥ずかしくなって、また軽く小突く。  
「そ・れ・は・そ・う・と…」  
「う?」  
「私のこと、まんまとはめてくれたわね?」  
「……え、えへ?」  
 にっこり笑った私の言葉に、日和は引きつった笑みを浮かべた。  
「あ、あの、佳奈ちゃ?」  
「お仕置き、ね」  
「ぁぅ…ご、ごめ…」  
「だぁめ、泣いても許さないわよ?」  
「ひにゃあぁぁ!?」  
 再び両足首をしっかりと掴み、濡れてヒヤリとする股間へ足を当てる。  
「か、か、佳奈ちゃ、今は駄目だよぉ!ゆるしっっあああぁぁ!!」  
「言ったでしょ?泣いても駄目って?」  
「ああぁぁ!つ、よっっ!すぎっっ!あぁぁ!!かっなちゃっっ!やあぁぁ!!」  
 さっきまでの残り火が簡単に燃え上がり、すぐにびくびくと痙攣して甲高い声をあげる日和。  
「一杯お仕置、しなきゃね」  
「は、ぁふ…だ、だめぇ…休ませ、てよぅ…」  
「だぁぁめ」  
「ひにゃあぁぁぁぁぁ!!!」  
 まるで猫みたいな悲鳴をあげて悶える愛しい日和…その声を聞きながら陶然と思う…この事を報告、しなきゃ…ね?  
 
…えんど?  

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