悪魔は喘いでいた。全身をうっすらと汗で滲ませ、高い嬌声を漏らしつつ、  
男――自分の羽をもいで揚げて喰った悪魔のような天使――の体の上で  
追い詰められたような表情を見せながら必死になにかをこらえていた。  
 
「ホラ、イきたいのか? あぁ? イきたいんだろ?」  
 天使は騎上位の下から悪魔をいたぶっている。  
 長い腕が悪魔の豊満な乳房の先端を摘み、指先で挟む。  
 
 胸の先端から生まれた「痛みと快楽のない交ぜになった感覚」が電流のように  
悪魔の全身を打った。背筋が震え、汗まみれになった頭を振る。汗でぐっしょりと  
塗れたセミロングの黒髪から霧のように飛沫が飛び散った。  
 天使は指先に力を入れ、悪魔の乳首を指で挟んだまま転がすようにいたぶった。  
薄い桜色の乳首が扁平に潰され、転がされた。  
 一時間ちかくにわたって散々快楽責めにされ続けていた悪魔の肉体では  
痛みが快楽にたやすく変換されてしまい、そしてその快楽は最後の一線を  
たやすく越える。  
 自分の弱点を知り尽くした天使の責めに悪魔はこれ以上耐えられない。  
――今日も、またイかされちゃう…  
 天使の肉棒の先端が高まりきった悪魔の肉体の最奥を突いた瞬間。  
 脱力を催すような絶望感と、重力のなくなったかのような絶頂感。  
「い、いやはぁッーー」  
 絶鳴のような悲鳴をあげて、悪魔はびくびくと全身を痙攣させた。  
 
 体の奥底から溢れてくる快楽の波、それに翻弄された悪魔は全身の  
力を奪われてしまう。  
 シーツについた膝からも、天使のものを受け入れている腰からも、  
ぴんと張った背筋からも。  
 そして悪魔は天使と繋がったまま糸の切れた人形のようにくったりと倒れこんで、  
汗と涙と涎に塗れた顔を天使の胸元に埋めた。  
 
 悪魔のトンだ意識を取り戻させたのは天使の掌だった。  
 ぱち、と頬を軽く張られると悪魔の蕩けた瞳に色が戻ってくる。  
「あ…あたし…」  
 軽く狼狽している悪魔。天敵のはずの天使に、またイかされてしまった。  
 悪魔の胸の中には激しい屈辱感と、わずかばかりのなんとも形容しがたい感情が  
渦巻いている。  
 目の前のこの、自分を思うままに貪っている天使のことは大嫌いだ。  
 でも、大嫌いだけど、なんだかそれだけじゃない。  
 犬みたいに後ろから突かれたり、何時間も男根を咥えさせられたり、お尻の穴に…  
人には言えないようなことをされてしまっても、それでもなんだか、コイツを  
感じるたびに胸の中のどこかが暖かい気持ちに…なってしまう。  
 地獄にいたころに小悪魔を苛めて喜んでいたときでも。  
 人間を騙して魂を盗んでやったときでも。  
 こんな気持ちは今まで一度も感じたことがなかった。  
 
 悪魔が目を覚ましたのを見ると、天使は口を開いた。  
「バカ。テメーばっかりイってんじゃねえよ」  
「…え?」  
「コッチはまだイってねえんだよ。動けホラ」  
「――っ!!!」  
 体の下から腰を使われる。まだ固いままの男根が悪魔の弱点と化した器官を  
思いっきり突き上げる。絶頂を迎えたばかりの悪魔の肉壷に衝撃が走った。  
 どろどろに融けた粘膜を固い肉竿で突かれ、脳天にまで響く衝撃に  
視界が真っ白く飛びかける。  
 飛びかける意識の中、脳内で激しく前言撤回しながら悪魔は思った。  
――コイツのほうが悪魔だッ!  
 
 
 身体を起こして座位の体勢で悪魔をいたぶる天使。  
 悪魔の白くて大きな尻を揉みしだき、艶やかな背筋に指を這わせる。  
 敏感になった悪魔の身体は天使の手指が触れるたびにぴくりと反応してしまう。  
――キライだ。こんなヤツ大ッキライだ!  
 そう思いながらも悪魔の腕は天使の背中に回されてしまう。  
 落ちないためにこうしてるんだと悪魔は自分に言い訳をしてみても、豊満な乳房を  
天使の胸板に押し付けると、どうしようもない熱情が体の中で高ぶってしまう。  
 
――キライなのに、こんなにキライなのに、どうして憎めないんだろう。  
 悪魔は泣きたくなった。  
 
 媚粘膜を男性器で激しく擦られながら、悪魔は再び高みにのぼりつめさせられていく。  
 
 掌どうしで指を組むようにして手を握られる。手指からじわりと暖かい波が伝わってくる。  
 耳朶を甘く噛まれる。てらてらと光る粘液が悪魔の尖った耳を覆うたび、悪魔は鼻から  
甘い吐息を漏らしてしまう。  
 そして耳元で本当の名前を囁かれる。(悪魔は他人には真の名は絶対に教えない。  
…教えないものだが、「飼われ」はじめてすぐに二日掛りで「責め」られて白状させられた)  
悪魔は屈辱で息ができなくなる。悔しさのあまり涙が零れるが、その涙もすぐに汗と  
よだれ塗れの顔に溶けてしまう  
 唇を奪われ、舌を吸われる。天使のされるがままに。  
 「飲みこむなよ」と命令されながら唾液を流し込まれる。流し込まれた唾液を吸い取られる。  
 
 熱い肉竿の抽送を受けながらされる、そういった天使の仕草一つ一つが  
悪魔を弱い生き物に変えていってしまう。  
 
 
 
 
 
 結局その後悪魔が5回イかされ2度失神させられたあとで、天使はようやく精を放った。  
 
 
 
 
―――――オチのないまま終わる。……続く?  
 
 

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