――暖かい波の中、ゆらゆらと揺られていた。  
――白くて暖かい光に包まれて、ふわふわしてて、なんだか懐かしくて…  
――なんだか、とっても、しあわせ……  
 
 
 
 
 悪魔はシーツの中で目を覚ました。  
 いつもの部屋。広めのワンルーム・マンションの一室。  
 腰の中が熱い。  
 悪魔は最初にそう思った。  
 ベッドの上で意識を取り戻した悪魔は、自分がさっきまで天使に散々に嬲られて苛められて  
絶頂させられていた、ということを思い出した。  
 首を動かすと首輪につながった鎖がジャラリと鳴る。  
 悪魔がこの天使に捕えられてから一ヶ月。  
 悪魔はこの天使にすっかり「飼われて」いた。  
 
 
「お、起きたのか。汗流しとけよ」  
 部屋の反対側のキッチンに向かっている天使が背中越しにそう言った。  
 そう言うのと同時に、突如としてベッドのすぐ横に満々とお湯が張られたバスタブが出現する。  
 毎度のことながら悪魔は驚いてしまう。  
 ちょっとした物体を無から「生成」するのだけでも、普通だったら長い呪文と  
膨大な魔力が必要なのだけれど、この天使はひょいと何か懐から出すみたいに気軽に  
いろんなものを「生成」してしまう。  
 
――コイツ、なよっとした女みたいな顔してるのに、とんでもない魔力持ってるんだ。  
 
 悪魔はその風呂に入るまいかどうか悩む。  
 たしかに、全身は汗とアイツの唾液と精液でドロドロでカピカピになっちゃってる。  
 だからといって、アイツの言いなりになって風呂に入るのはなんだかシャクだ。  
――でも「入らない」と言っても力づくで入れられるのがオチだろうし……全身  
べたべたして気持ち悪いし……股間はぬらぬら濡れちゃってるし…  
 
 抗っても仕方がない、と悟った悪魔はベッドから降りるとそのまま、とは言っても  
捕まったその日から身に着けるものは一切許されていないので全裸のままなのだが、  
浴槽へ足を入れる。  
 
「ちゃんと百まで数えるんだぞ」  
 キッチンから天使の声がする。  
 うひゃひゃ、とさぞ面白い冗談を言ったかのように笑う天使。  
 子ども扱いされて怒る悪魔のことなど歯牙にもかけないでフライパンを振る。  
 
 
 ダイニングテーブルを引っ張り出しテーブルクロスをかける天使。  
 そのテーブルはベッドに鎖で繋がれた悪魔が届くくらいの距離に置かれている。  
 椅子に全裸のままで座ると、天使が目の前に皿を並べてくる。  
 
 捕まって以来、ちょっと太った。  
 そもそも運動らしい運動は天使とのセックスくらいで、鎖がいつでも行動を阻んでいる。  
そして、三食は栄養たっぷりの天使の手料理を食べさせられてるのだから太らない筈は無い。  
 ふとももとか、むっちり太くなってきたみたいだし、なんかお尻とか胸に脂肪が余計に  
ついてきた気がする。  
 こういうの、エッチっぽくて、あんまりスキじゃない。……この天使は好きみたいだけど。  
 とにかく、ちょっと太ってしまったような気がする。  
 でも、その割にはあんまりお腹には脂肪がついてないようにも思えるのは、毎晩毎晩  
イヤらしい悲鳴をあげさせられてるせいか、腹筋が鍛えられてるのかもしれない。  
 
 とにかく、毎日毎日この性悪天使にいいようにいじめられている悪魔は不幸だった。  
 
 そして悪魔は天使の手料理を今日も食べさせられている。  
「野菜も食え、野菜も」  
「……」  
 残すとそれはもう酷いイジワルをされるので、悪魔は好き嫌いを言わずに出されたおかずは  
まんべんなく食べるのが習慣になっている。  
「美味いだろ?」  
 天使のメガネの奥の瞳が優しげに光る。天使のクセに。  
 なんでメガネなんかしてるのかと訊いたら  
「そのほうが悪魔を引っ掛けやすいからな」  
 と言ってニヤっと笑った。  
 
 とにかく悪魔はその瞳の色に一瞬目を奪われてしまう。  
 
――騙されちゃダメだ。  
 悪魔は自分に言い聞かせるように心の中でさけんだ。  
――コイツは、酷いヤツなんだから。  
 そう心の中で言い続けながら、悪魔はご飯をかっこみながら銀ダラの西京焼きと  
ほうれん草のおひたしをバクバクと食らう。  
 お米は一粒一粒が立ってるし、銀ダラは絶妙の焼き加減で口の中で蕩けるようだ。  
 
――悔しいけど、やっぱこいつの料理、美味い…  
 それまで食事なんて「ただ食えればいい」と思っていた悪魔は  
天使の手料理を食べさせられるようになって初めて「美味しい」という言葉の意味を知った。  
ガツガツとご飯を平らげながら、悪魔は米つぶを頬につけたまま天使を睨む。  
「美味いモンいっぱい食って、また美味い羽を生やしてくれよ」  
 その言葉を聞いた悪魔の表情が険しくなる。  
 胸の奥が痛くなる。  
 
……それは三日前のことだった。  
 
 
「なあ、そろそろいいだろ」  
 天使に飼われ始めて四週間。  
 黒々とした羽根が、悪魔の背中からしっかりと生えている。  
 戦って、負けて、羽をもぎ取られてソレを料理されて食べられた羽根。  
 天使がもぎとったあとで生えてきたその新しい羽根は、生え始めた当初は  
ほんの細い羽ペンほどの細さだった根元も今では太いマジックペンほどの直径に育っている。  
 漆黒のそのコウモリみたいな羽の皮膜は、悪魔の薄い褐色の肌にくろぐろと広がっている。  
「そ、そろそろ、って、な、ナニがよ?」  
 悪魔はどもりながらそれをたずねた。それが何かわかっていたから。  
 
「判ってんだろ。羽だよ羽、ハネ!」  
 そう言う天使は悪魔をどかんと足蹴にしてベッドの上にうつ伏せにさせた。  
 
 天使は有無を言わさずに、悪魔の背中に生えている黒い闇色の羽をつかむ。  
 悪魔は背中に鋭い痛みを感じた。  
 
 
――痛い!  
―――いたい!!  
――――イタイイタイイタイイタイイタイ!!!!!  
 悪魔の瞳には涙が浮かんでいる。  
 翼の付け根に食い込む激しい痛みに、悪魔は涙をこぼしてしまう。  
 
 
――最初に切られたときは痛いだけでなんでもなかったのに。  
――なんで、こんなに涙が出るんだろう。  
――コイツは天敵の天使で。私は悪魔で。  
――敵だから、殺し合いの相手だから、痛い目に遭わされても当たり前なのに。  
 
 なぜだか涙が止まらない。  
 漏れる声を枕に押し付けて、悪魔は泣いた。  
 翼を切り取られただけなのに、心の中までズタズタにされたみたいな痛みに  
悪魔は苛まれてしまう。  
 痛くて、背中が痛くて、でもそれよりも心の中がなによりも痛くて。  
 悪魔は枕に涙を浴びせていた。  
 
 
 いい感じに切り取れた食材をまな板の上に横たえると、天使は流しで手を洗う。  
 そしてベッドの上でグスグス泣きわめく悪魔に天使はそっと近づいた。  
 
 
 
 
 
――天使のヤツがまた近づいてきた。  
 そして、悪魔の背中に激痛が走る。チリチリと肉が焼ける音がする。  
――まだいじめ足りないのかッ!  
「……なにすんのよっ」  
 天使の気配に向けて悪魔は後ろ蹴りを放つ。  
 
 それをまともにみぞおちに食らってベッドから転がり落ちる天使。  
 
 ベッドの下に転げ落ちた天使は悪魔をびしっと指さしながら、怒鳴った。  
「いてえじゃねえかこの野郎!  
 あんま痛がってぴーぴー泣いてるから傷治してやろうとしてやっただけじゃねえか!」  
 
 悪魔は怒りと痛みに顔を赤く染めながら、叫ぶ。  
「ば、馬鹿じゃないの! 悪魔に神の力が効くわけないじゃない!  
 そんなの人間にしか効かないの! 悪魔の属性は悪なんだから!  
 
 悪魔にとってそんなのは常識だ。  
 だから、コイツはそれを知ってて嫌がらせをしてきた、と悪魔は思った。  
 天使が悪魔の身体に無知なだけだ、とは気づかない。  
 
「そーかよそーかよ悪かったな。悪魔なんぞ治してやろうとしたのは初めてだからな。  
 知らなかったんだよ」  
 悪魔は初めて目にした。  
 傷ついたような目の色。  
 泣き出す寸前の子供みたいな瞳。  
 
 そんな顔を見せられて、悪魔はどうしたらいいかわからない。  
 つい、内心とは裏腹に怒鳴ってしまう。  
「ふ、フンだ! 神の力をただバカみたいに流し込むような野蛮な天使には  
わかんないでしょーけどね!  
 そこんとこ、悪魔の治療魔法はすごいんだから。生命の治癒能力を魔法で加速するのよ!  
 人間も、悪魔も、まあ絶対しないけど天使だって治せるんだから!」  
 
 天使は不満そうな顔で言う。  
「じゃあ自分で治せばいいじゃねえか」  
「は? 自分で治せるわけないでしょ!」  
 dでもないことを言う、という驚きの顔で悪魔は天使を見つめる。  
 
 こっちもポカンとしている天使。  
「悪魔は自分の体を治せねえのか?」  
「天使の癖になんでそんなことも知らないの? アンタどこで魔法習ったのよ」  
「はぁ? 魔法なんて覚えるもんじゃねえだろう」  
「じゃあどうやって魔法が使えるようになるのよ!?」  
「生まれつき知ってた」  
「へ?」  
「俺は天才だからな。怪我なんていっぺんもしたことねえからそう言うの、しらねえんだよ」  
 悪びれもせずにしゃあしゃあとそう言ってのける天使。  
 
 
 ベッドの上で、半裸の悪魔と天使はなんとなくヘンな雰囲気になった。  
 
「わかったっつーの。魔法は使わねえって。ちょっと背中見せろ」  
 天使はそう言うと、空中から「生成」した脱脂綿をあてがう。  
 それで傷跡の血を吸い取ると、言った。  
「まだ血ィ出てるな」  
 なぜだかその手つきの優しさに悪魔はドキドキしてしまう。  
「あ、当たり前でしょ!」  
 他人から、こんな風にされたことなんか今まで一度もなかったから。  
 人間なんてのは騙して食い物にする相手に過ぎなかった。  
 悪魔同士でも、お互いに疑い寝首を掻かれないように警戒することしかしていなかった。  
 
 だから、この悪魔は今まで誰かに優しくされる、という経験はまるでなかった。  
 その生まれてはじめての感覚は悪魔の身体の芯に染み込んでいった。  
――痛い。心が、キュンとなって痛い。   
――甘い。甘い甘い蜜みたいな感覚が、体中に広がってる……  
 
 他人に触れられて。他人に手当てしてもらえて。他人に、優しくされるという経験。  
 それは、悪魔の身体の中心を甘く熱く炙っていくようだった。  
 
 
 そんな悪魔は恍惚の表情を枕に押し付けている。  
 ぬらりとした感触が悪魔の背筋に走った。  
 それは天使の舌だ、と判るまでに数秒。  
 天使が、羽根をもぎ取った傷跡を舐めている。  
 
「うくっ…ふぁぁあっ」  
「ヘンな声出すな」  
 
 裂けた皮膚を舐められる。  
 痺れるような、刺すような刺激。  
 でも、なぜだか痛くない。  
 優しく舌が這い回り、暖かい唾液を塗り込められる。  
 悪魔はもう、痛みであえぎ声をあげているわけではなかった。  
 天使の柔らかい舌が傷口を舐めるたびに、悪魔は心がゆるゆるになっていくのを感じていた。  
 敵なのに、仇なのに、悪魔はもう天使のことを恨めない。憎むことができない。  
 背筋を白い快楽が駆け上ってくる。  
 悪魔は、天使に背中を舐められながら生まれてはじめて感じる恍惚のなかを漂っていた。  
 
 
 
 
 
 
 絆創膏でガーゼが背中に留められる。  
「よし、コレでベッドも汚れねえ」  
 ポン、と背中を優しく叩かれると悪魔は胸の中がキュンと切なくなってしまう。  
――ダメだ…コイツは……コイツは天使で…敵なのに…  
 
 コロン、とベッドの上に仰向けにされる悪魔。  
 
「いい声で鳴いてくれたからな。なんか、スゲー来ちまったぜ」  
 そう言うと天使はジーンズのズボンを脱ぐと、その中から隆々と立ち上がる勃起を悪魔の眼前にさらす。  
 
「なななな、な、なに、すんのよ」  
 心が甘くほどけてしまった悪魔に、天使は迫る。  
「ナニに決まってるだろ」  
 そう言いながらあまり濡れてない悪魔の肉裂に天使は無理矢理に突きこむ。  
 ただでさえ大きな天使の勃起は、ぎゅうぎゅうにきつい肉粘膜を押し広げながら  
悪魔に悲鳴をあげさせる。  
 
「ふああああああっ」  
 痛みで悪魔はこらえきれない喘ぎを漏らす。  
 しかし、二度、三度と突かれるうちにその喘ぎの意味が変わってくる。  
 痛くない。痛いのは痛いのだが、その痛みが心地よいものになっている。  
 太い、血管の浮き出た天使の肉竿。それが肉を裂くような痛みも、次第に暖かい波に洗われて  
喜びに変わっていってしまう。  
 
「お前の身体ってつくづくエロいよなあ」  
「ぅうっ、うあっ、ふわあっ」  
 悪魔はもう返事ができない。  
 快楽に蕩けた瞳で天使の顔を見つめながら、ただ喘ぎを漏らすことしかできない。  
 天使の手が、乳房をおもちゃみたいにまさぐってくる。  
 その手指の動きは悪魔をさらに高みに上らせていく。  
 
 いったん天使は、つながった肉竿を抜くとベッドの上に胡坐をかく。  
 そして、悪魔を軽々と抱えあげる。  
 天を突くような自分の男根の上に悪魔をゆっくりと降ろしていく。  
「そ、そんなっ……お、大きすぎ…」  
 内側から全身を裂かれるような痛み。その痛みの中で悪魔は喘ぎを漏らした。  
 
「そんなこと言いながら感じてるじゃねえか。中、ぬるぬるだぞ」  
 いつしか悪魔の肉粘膜はとろとろに蕩かされていた。  
 反り返った肉槍で無理矢理広げられた粘膜。亀頭の凹凸でそこを擦られるたびに、  
筋肉がほどけてしまいそうな快楽に全身が支配されてしまう。  
 
 じゅぷ、じゅぷっ、という液体の音がマンションの部屋に響き渡る。  
「あっ…ふあああっ」  
 意味の無い喘ぎを漏らす悪魔。汗で身体を濡らしながら、くなくなと首を振る。  
 
 手遊びに悪魔の尻をまさぐっていた天使は、その尻肉の上のほうから生えている、  
親指くらいの太さの何かに気づいた。  
 悪魔の裸の尻、その尾てい骨あたりから伸びている黒い光沢のある尻尾。  
 先端に逆さになった返しのついているその尻尾をつまんで、天使は言った。  
 
「おい、なあ、もしかしてこの尻尾も美味いのか?」  
 快楽に呆けていた悪魔は瞬時に青ざめると、言った。  
「なっ、だ、だめっ! そ、そのし、尻尾、切られたら……ま、魔力がなくなって……し、死んじゃう…」  
「ふーん」  
 ニヤリ、という人の悪い笑みを浮かべる天使。  
「つーことはここに魔力がたっぷり蓄えられてるってことだよなあ?」  
「……っ」  
 青ざめる悪魔。この天使がしようとすることを悟ったのだ。  
 
「さぞかし美味えんだろうなあ……」  
 天使の指が尻尾をつまみ、撫でる。  
 悪魔は体の芯から恐ろしさに震えていた。  
 
 天使は手を振ると、その中に冷たく鋭い巨大な肉切り鋏を錬成していた。  
「俺より先にイっちまったら尻尾切るからな」  
 
 
 
 
 
 
「いはぁっ、だ、だめっ、きらな、きらないでぇっ」  
 下からズンズンと勢いよく突き上げられている悪魔は、スタッカートのような悲鳴をあげながら  
イキそうになる身体を必死に引き止めている。  
 天使の男根の段差の大きなカリ首が、粘膜を引っかく。熱されたとろとろの粘膜を  
こそぎながら責めたてていく。  
 
 全身の力が抜けそうになるのを必死にこらえながら、悪魔は腰に力を入れる。  
――先にイカせないと、ホントに…切られちゃう…  
 全身を凍らせるような恐怖と、腰の中から生まれる蕩けそうになる快楽。  
 その二つの感覚の中で、悪魔は必死に綱渡りをしていた。  
 天使の硬い亀頭の先端が、悪魔の膣奥の子宮口をコンコンとノックをする。  
 悪魔の脳裏で、白い電撃が弾けた。  
「らめっ、あっ、イ、イクっ、いっちゃう、あっ、きらない、切らないでぇえっ」  
 そんな懇願をしながら、悪魔はのけぞりながらついに絶頂を迎えた。  
 ぷしゅ、という音がする。  
 悪魔の陰部から透明な液体が噴出している。  
 潮吹きをしながら、悪魔は尻尾が切られてしまう、という恐怖とともに  
必死にせき止めていた快楽電流の崩壊で途方も無い恍惚のさなかに失神しかけていた。  
 
「だめっ、だ、だめっ、き、きったら、しんじゃう、お、おねがい、ゆ、ゆるしてっ…」  
 顔面をグズグズにして天使に懇願する悪魔。  
 
 唇を歪めた天使は、ダメだ、と冷たく言い放つ。  
 ヂャキン!!!  
 という恐ろしい音と、冷たい感触が悪魔の尻尾の付け根に走る。  
 
 そのまま天使の肩に倒れこむ悪魔。  
 もう何も考えられない。  
 
 そんな悪魔の耳に、天使のささやきが聞こえる。  
 
「バーカ。尻尾切っちまったらお前の羽が食えなくなるだろうが」  
 鋏は切ったフリをしているだけだった。  
 天使がいとしげに尻尾をなでてくる。  
 
――切られて、ない…  
 涙でグズグズになった顔を天使の胸に押し付けて、悪魔は泣いた。  
 
「ばか……ばかぁ……ほ、ホントに、きるんじゃないかって、しんじゃうって、ばかあああ」  
 子供みたいに、泣きながら嗚咽交じりの声を上げる悪魔。  
「フン。……こんな美味い食材を無駄に潰しちまう訳ねーだろ」  
 そう言いながら、天使は悪魔の髪をくしゃくしゃと撫でる。  
 
 
 
 
 
 
 
 
 そのあとで、結局悪魔は6回イカされて、口と肛門と膣に一発づつ天使の白濁を受け止めさせられた。  
 
 
 
 
 
 
 
――恥ずかしい。  
 すーすーと寝息を立てている天使の横で、悪魔は一人赤面していた。  
――あんな、敵なのに、あんなふうに泣いてすがり付いてしまったなんて……  
 恥ずかしさと悔しさで、顔が真っ赤になってしまう。  
 
 でも、その恥ずかしさの中にかすかな嬉しさがあるということに悪魔は自分でも  
わかっていない。  
 
 
 そんな悪魔はあることに気づいた。  
――あのとき……背中を焼かれたと思って蹴りを入れたとき、アイツはなんで防御しなかったんだろう?  
 
 
 天使に最初に捕まってしまったときの戦い以来、悪魔は何度も天使を攻撃しようとした。  
低級とはいえ、悪魔である。  
 肉体だけではなく、霊体にまで被害を与える攻撃をするくらいのことはできる。  
 
 しかしどんな攻撃も、天使はシールドしていた。  
 不意をついた攻撃も、寝ている間の一撃も、すべて神の防御壁の前にむなしく防がれていた。  
 
――それなのに、なんでアイツは…?  
 悪魔は気づいた。  
――アイツ。…防御、してなかったんだ……  
 途端に蹴ってしまったことに対する罪悪感が湧き出てしまう。  
 アイツは、ホントに私のことを心配して、治癒してくれようとしてたんだ……  
 
 悪魔は自分の体の奥に、じわりという熱が産まれてくるのを感じた。  
 
――そんな、アイツのこと…蹴っちゃうなんて…  
 悪魔は胸の中が弱くなった。  
 やるせないざわめきが、体中にひろがっていく。  
 お腹の底の、一番柔らかいなにかがきゅううう、と締め上げられるような切なさを感じてしまった。  
 
 
 
 
 
――違う! 違うわよっ!  
 
 アイツは私の体が目当てなんだから。  
――そもそも、悪魔と敵同士の天使が、そんな優しいことするわけないじゃない!  
 そう決め付けている悪魔。でもその胸の中では甘い蜜のような感覚が生まれている。  
 
「んがあ」  
 横で寝ている天使が、寝ぼけて抱きついてきた。  
 ぎゅううう、と身体が悲鳴をあげそうなくらい強く抱きしめられる。  
 でも、悪魔にはその締めつけは全然苦痛ではない。  
 
――こんな…こんな、こんなヤツ…こんなヤツのことなんか……ぜんぜん…なんとも、思ってないんだから…  
 そうつぶやきながら、天使の胸元に顔を埋めつつ悪魔は眠りに落ちていった。  
 
 
 

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