世界は三つの勢力から成り立っていた。  
 一つは天上界。創世の神々が座する天空の聖域。  
 一つは魔界。魔に属する者達が蔓延る地下の暗黒。  
 そして人間界。下界とも呼ばれるそこは人間が住む混沌。  
 これら三つが共存することで世界のバランスは保たれるはずだった。  
   
 しかし魔界の者達はそれを良しとはしなかった。  
 彼等は地下から這い出て、人間たちを脅かすようになった。  
 下界においてそれらは悪魔と呼ばれ、恐れられた。  
 長く人間は悪魔達に虐げられるようになる。  
   
 それを見かねた天上界は下界に使者を遣わせた。  
 その者等は天使と呼ばれ、悪魔と激しい戦いを繰り広げた。  
 戦火は広がりいつの間にか、人間界の平和を巡る戦いは天使と悪魔の戦争へと姿を変えた。  
 これが遥か三〇〇〇年前から続く戦争の正体である。  
   
 そして三年前、下界を挟んで膠着状態となった戦争に変化が生じた。  
 これまでは狩られ、守られる立場であった人間が突如として隆起したのである。  
 魔界の尖兵として。  
 悪魔達はあらゆる欲の権化でもある。  
 それらにそそのかされた人間が天使側に反旗を翻したのだ。  
 瞬く間に戦力のバランスは崩れ、魔界と人間界の両軍は天使達を駆逐した。  
 三〇〇〇年以上も続いた戦争は僅か三年の間に勝敗を決することになった。  
   
 そして今、天使達の下界における総司令部、大神殿に悪魔の手が伸びていた。  
   
 
   
 仰向けの姿勢のため、天使の証でもある翼が押しつぶされ痛みが走る。  
 悪魔はその巨躯で暴れる女体の動きを封じ、空いた片手で手触りも滑らかな絹のローブを引き裂く。  
 ぶるん、と豊かな双乳が内から零れでた。  
   
「いっ、いやぁぁぁぁぁぁ!」  
   
 羞恥に泣き叫ぶ声も意に介さず、量感溢れる乳房を揉みこねる。余った片方には舌を這わせる。  
 乱暴に扱われ、苦悶に身をよじる天使。痛みを訴え悲鳴が上がる。  
   
「うあぁっ……くっ、んぅっ。痛ぅッ! ああぁ!」  
    
 執拗に責める悪魔。  
 舌は乳房だけでなく露わになった上半身を舐る。  
 唾液に濡れた真白の肌の上をごつごつとした手が這い、それを揉み込む様に愛撫していく。  
 僅かに首をもたげた桜色の乳頭を爪で引掻き弄ぶ。  
 耳から首、鎖骨にかけての流麗なラインを幾度も長い舌が往復する。  
 段々と悲鳴は小さくなり、微かな喘ぎ声が美しい口から漏れ出てきた。  
   
「くぅぅぅっ、んはぁ! あっ、んっ、ふぅっ、んっ!」  
   
 頬は朱に染まり、眉が切なげに歪められる。  
 吐息には湿り気が帯び、くねくねと白蛇のように悩ましげにうねる肢体からは甘い体臭が香る。  
 重点的に責められた部位は内側からじんわりと熱を発し、淡雪の如き肌を火照らせていた。  
 悪魔が身に纏う魔力は媚毒となり、無垢な天使の肉体を快感に酔わせる。  
   
「ぃやぁ……はぁ、はぁっ、ンぐむっ?! んぅぅーっ! ぐぅううぅぅッ!」  
   
 突然、薄く可憐な唇に赤黒い肉帯が挿入された。長く伸ばされた悪魔の舌が咽喉を犯す。  
 刺激にビクビクとその身を痙攣させる。青く澄んだ瞳から涙があふれる。  
 硬く尖った双丘の頂を抓られると、電流が走ったかの如く体が跳ね、翼が震える。  
   
「んぐっ! うぐっ! んっ、んっんっん! んぷぁっ! えほっ、げほっ……!」  
   
 ようやく強制口淫から解放され咽る天使。  
 涙を浮かべるその目はもはや焦点が定まらず、口からは混ざり合った唾液を垂らす。  
 もはや両腕の拘束は解かれていたが、神殿全体を包む魔気と目の前の悪魔から発せられる魔力によって  
哀れな天使の体力や抵抗力は奪われ、被虐の快楽に身を揉まれる他は無かった。  
   
「ぃゃぁ……そこ、だめぇぇぇ……」  
   
 弱々しい拒絶の声など意に介する筈も無く、悪魔はゆらゆらと揺れる下腹部に狙いを定める。  
 肉感溢れる躍動的な太腿も今や凌辱を待つばかりとなり、その奥に鎮座する秘所からは滾々と淫液が湧いている。  
 ぐっしょりと濡れて重くなった下着が無造作に引き剥がされ、ムワリと濃密な雌の匂いが立ち昇った。  
   
「見ないでぇ……イヤぁぁ……」  
   
 耳まで紅く染め、力の篭らない両手で必死に山羊頭を遠ざけようとする。  
 袖や裾に衣の残骸を纏わりつけて、視線から逃れようと腰を小刻みに振るその様は、この上なく淫靡だった。  
   
「──っ!! ひぃあぁぁぁぁぁぁッ!」  
   
 濡れそぼつ花弁に悪魔がむしゃぶりつく。  
 縦横無尽に蠢く舌はジュルジュルと溢れ出る恥蜜を吸い上げ、秘唇の奥まで貪欲に啜り尽くす。  
   
「うあぁッ! やぁ、あっ、あ! あッ!! 〜〜〜ッッ!」  
   
 突然の強烈な刺激に目は見開き背筋は弓なりに反る。  
 ブンブンと首が左右に振られ汗が飛び散り、甘酸っぱい匂いが広がる。  
 石床に爪を立て、持っていかれそうになるのを懸命に堪える。  
   
「んぅぅ! ふ、あぁ! いひゃっ、イヤっ、いやぁぁーッ!!」  
   
 はしたない喘ぎ声を出すまいとするも、荒い呼吸とあまりの快感にもはや口を閉じることさえ出来ない。  
 激しい動きに合わせて揺れる乳房は張り詰め、一層その豊かさを増している。  
 スラリと伸びた足は引き攣り、足の指先は何かを掴もうと曲げられている。  
   
「──っ、ハァ、ハァ……。っ! くぅぅぅううぅん!」  
   
 今まで予測のつかない動きを見せていた舌が規則性を持ち始めた。  
 尻の谷間に刺し入ると、そのまま上方向にゆっくりと、しかし力強く一定の速度で舐め上げる。  
 仄かに息づく秘蕾から、とろとろと愛液が垂れる門渡りを舐め上げ、花弁に舌を擦りつけ、淫芽を舌先で掠める。  
   
「〜〜っ、やぁめ……! あぁぁあぁァっ!」   
   
 舐め上げから逃れようと腰を浮かせるが、柳腰を捕まえられそれも叶わない。  
 張りのある、桃のような尻肉がぐいぐいと揉まれる。  
 無駄な抵抗の仕置きとばかりに、ペースが上がり、より力強く舌が擦りつけられる。  
 まるで回転する肉の車輪を押し付けられているような責めに、天使の肢体は限界を迎えようとしていた。  
   
「駄目……ダメ、だめぇっ! だめ、らめらめらめえぇぇぇ!!」  
   
 呂律の回らない舌で必死に訴えるが、舌の動きは止まるどころかますます苛烈になる。  
 腰はがくがくと痙攣し、秘所からは断続的に愛液が飛び散る。  
 床と背中につぶされた翼が狂ったように羽ばたく。  
 頃合を見計らったのか、舌が硬く充血した淫芽を重点的に擦り上げたとき、ついにそれは決壊を迎えた。  
   
「──ッ!! ひゃ、め、ぇ! ェぇああぁアァァァァァァァァァ──ッッ!!」  
   
 盛大に潮を噴き上げ達する天使。  
 背筋は限界まで反り返ったのち、ぷつりと糸が切れたかのように崩れ落ちる。  
 腰はまだ小刻みに震え、秘所からは時折思い出したかのように少量の淫汁が噴出される。  
   
「……ぁ、ぅ……ん……」  
   
 吐く息は荒く、仰向けになっても形を崩さない豊乳が大きく上下する。  
 目は虚ろで、どうやら意識を失っているらしい。  
   
 しかし、だからといって悪魔が責め手を休める道理は無い。  
   
 極上の獲物を前にして、その男根は禍々しくそそり立つ。  
 グロテスクな容貌を持つそれが、ひくひくと息づく可憐な処女孔に狙いを定めた。  
   
「んっ、ぇ……? んぁ、あっ、ぅ──?」  
   
 徐々に意識の光を取り戻す天使の瞳に飛び込んできたのは、覆い被さり腰を打ち付ける悪魔の姿だった。  
 状況を飲み込む暇も無く、与えられる快楽に翻弄される。  
   
「あぅっ、んあ! ぃあッ?! ンっ! くあぁん!」  
   
 気絶中も休まず突かれ続けた膣肉は本人の意思とは関係なく蠢き、ネットリと肉槍に絡みつく。  
 粘性の高い恥蜜が泡を立て、本人にしか聞こえない水音が背筋を通り頭に響く。  
 パン、パンと湿った肉を打つ音が辺りに響き、戸惑うような嬌声がそれにのって卑猥な楽曲となる。  
   
「くぅッ! あ、あっ! はげ、し──っ、こわれちゃ、うぅぅぅぅッ!」  
   
 狭い膣道が限界まで広がり凶悪な肉棒がぐっぽりと咥えこまれている。  
 本来なら激痛を伴うはずのそれはしかし、度重なる抽送運動により蕩け、強烈な快感となって天使を襲う。  
   
「──っ!! ソコぉっ! だめぇっ、こすっちゃ、やぁぁああっ!!」  
   
 矢尻のように張り出したエラが膣壁のあらゆる箇所を擦り立てる。  
 逃れようと腰を動かせば、また違う所に自分から擦り付けることになってしまう。  
   
「ひぃあッ!」  
   
 腰が持ち上げられ、挿入が更に深くなった。  
 あまりの深さに不安を覚え目を落とせば、そこには赤黒い剛棒を貪欲に咥えて離さない淫らな女性器が映った。  
 直接目にすることで膣内のそれをより意識することになる。  
 肉茎の表面を這う太い血管の一本一本まで鮮明にイメージされ、快感が倍増する。  
   
「はあうッ! やぁんっ! ぁ! あ! アっ! んはぁぁぁっ!」  
   
 それまでは突き入れるようなだった腰の動きが変質した。  
 挿入った肉棒はそのままに、にちゃにちゃと腰を擦りつける。  
   
「はあぁぁぁん……っ! くぅあぁぁぁ!」  
   
 悪魔の手にも余る大きさの乳房はぱんぱんに張り詰め、荒々しく揉まれる度に愉悦が走る。  
 耳朶を舐られてぞくぞくと肢体が震える。  
   
「んうぅぅ! や、やめ──きゃあぅっ!」  
   
 敏感な秘芽が腰に擦られ先程味わった絶頂が脳裏に浮かぶ。  
 肉の期待に膣壁は収束し、肉棒を強く絞めつける。  
   
「っ!! あああぁぁぁッッ!!!」  
   
 しばしその感覚を味わうように腰を振るっていた悪魔だったが、突如として責め手を変えた。  
 片足を抱え込み、そこを支点に猛然と腰を打ちつける。  
 先程迄とは比べ物にならない速度と強さの律動に、天使の体と意識は荒波の中の木の葉のように翻弄される。  
   
「きゃああぁぁぁァァッ!! ひぃあぁああぁぁ──!」  
   
 筋骨逞しい大腿部が充血して肥大化した秘芽を摩擦する。  
 純白の翼は戦慄き、腰はガクンガクンと跳ね回る。  
   
「あっあッアッあっアっあぁン!! んんん──っ!!」   
   
 それまで終始無言で責め続けた山羊頭の悪魔が低く唸った。  
 同時にその巨根がさらに膣内で膨らむ。  
 意味を理解した天使はその美貌を恐怖に歪める。  
   
「イヤぁっ! それだけは、やめ──!」  
   
 拒絶の声は途中で愉悦の媚声に染まる。  
 その肢体はもはや本人の意思に沿わず、与えられるであろう絶頂に期待して打ち震える。  
   
「あッ! あッ! 堕ち、ちゃう──!! 堕ちちゃうのぉぉぉォォ!!」  
   
 膨張した亀頭が膣壁を削り、奥まで突きこまれる。  
 びしゃびしゃと愛液が飛び散って結合部の辺りは床に水溜りを作っていた。  
   
「いや……いやイヤ嫌イヤいやイやイヤっ! いやアァァァァァァ!!」  
   
 最期に一際強く腰が打ち付けられる。  
 その衝撃に目を見開き、背骨が折れんばかりに肢体を反らせて、天使は絶頂の高みに堕ちる。  
   
「──っ!! ぅ、あああぁぁぁぁああああああぁぁぁ──ッッッ!!!」  
   
 引き千切らんばかりの締め付けに、間髪入れず悪魔が吼える。  
 汚濁が穢れを知らない処女宮にぶち撒けられた。  
   
「あぁ、熱いぃぃ……ぃやぁぁぁ……」  
   
 射精のリズムに合わせて腰が痙攣する。  
 絶望に涙する意思とは裏腹に一滴でも多く搾り出そうと膣壁は蠢く。  
   
「あっ、止まって──お、ねが……ぁ、あ、あ! また、あぁああああぁぁ……!!」  
   
 大きく跳ねながら精液を吐き出す肉棒の動きと、止め処なく注がれるそれの熱さに再び果てる。  
 逆流した白濁が震える花弁からドロリとこぼれた。  
   
 未だに冷め切らぬ快楽を持て余し、荒く息を吐く天使の体に変化が生じた。  
 白く輝いていたはずの翼がその光を鈍らせ始めたのだ。  
    
 悪魔の精を体内に受けた天使は、天上の者としての力、即ち神性を下げられる。  
 己の象徴たる翼の光が失われたのはこのためだ。  
 神性を魔に染め上げられ、白い翼が黒くなった時、その天使は堕天使となり魔界にその身を委ねることになる。  
 それこそが悪魔全ての目的であり地上侵攻の手段なのだ。  
   
 また、幸か不幸か。一度や二度精を注いだだけでは神性は染まらない。  
   
「……ぇ? あ、うあぁっ!」  
   
 挿入されたまま少しも大きさが衰えない肉棒が勢いもそのままに再び律動を開始した。  
 丸く熟れた尻を持ち上げられ後ろから獣のように突かれる。  
   
「うあっ! んっ! イヤ……ぁはあぁゥッ! んっんっんっんっんっ!!」  
   
 身を起こすが、自らの重みで揺れる乳房の先端が床に擦れる。  
 目ざとくそれに気づいた悪魔の巨体が多い被さり、乳肉を根元から搾るように揉みしだく。  
 鼻息荒い山羊頭から伸びた長い舌がうなじを這い回る。  
   
「んうぅうううぅぅぅッッ!! はっ、あっあ──!!」  
   
 連続して起こる小さな絶頂の波に、くすんだ翼が羽ばたく。  
 目障りに感じたのか、悪魔の無骨な腕がそれに伸ばされた。  
   
「ぎ……っ、ぃあぁぁぁああああァァァ?!」  
   
 翼が捻られ、羽根が掻き毟られる。  
 輝きを失った翼に鮮血がにじむ。  
 しかし本来であれば激痛を伴うはずのその行為は、魔力に蕩けさせられた天使にとって被虐の快楽と成り果てる。  
   
「あぎぃッ! くぅああぁぁァ──ぁ……ぁ?」  
   
 無理矢理身を起こされ、見開いたその目にあるものが見えた。  
 広間の一面を飾る巨大な壁画。  
 彼女ら天使が敬い焦がれる、天界の女神の肖像画がそこにあった。  
   
「あ……ぁ、あぁ──」  
   
 翼を解放され崩れ落ちた。  
 ぼろぼろと涙を流し、床に額を擦りつける。  
 懺悔交じりの嬌声が虚しくあたりに響く。  
   
「御赦し、を……んんっ! どう、くぅあぁぁああ!! おゆ、あっ! はぁッ! るしをォォアァ──!」  
   
 許しを乞う言葉に合わせて絞めつける膣壁に怒張が爆発する。  
 再び注ぎ込まれる汚濁に膣内も意識も白く染まり、贖罪の淫天使は深く暗い絶頂を迎える。  
   
「──!! 〜〜〜〜〜っ! っ、っ──────ッッ!!!!」  
   
 声なき絶叫。  
 所々に灰色が侵食し始めたその翼は、もう天界を羽ばたくことはないだろう。  
   
 射精しようが絶頂を迎えようが、悪魔の凌辱は終わらない。  
 再開された嬌声が神殿の中に木霊し、他の天使たちのそれと混ざる。  
 この世の全てを闇色に染め上げるまで宴は続くのだ。  
 

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