ある日、目が醒めたら超能力が使えるようになっていた。  
「夢じゃ、ないよな……」  
一人で呟きながらベッドの上で身を起こす。  
試しに、100万円出ろ、と念じてみる。  
ぽん。手の中には新札の一万円札の束が握られていた。  
数える気にはならないが、多分100枚くらいあるだろう。  
消えろ、と念じてみる。  
ぽん。手の中にあった札束は幻のように消えた。  
頬を思いっきりつねってみた。痛い。  
うん、夢じゃない。  
 
そんなことを考えながらぼんやりしていると、部屋のドアの外で声がした。  
「お兄ちゃん、まだ寝てるのー?早く起きないと学校に遅れるよー?」  
ドアが開き、今年で3年生になる妹の沙耶が部屋に入ってくる。上下ともまだパジャマ姿だ。  
「沙耶、入る前はノックをしろといつも言ってるだろ?」  
「いーじゃん別に。もしかして、この前エッチな本読んでるところ見られたの、気にしてるの?  
別に気にしなくていいのに、私だってもう大人なんだし」  
こいつ……小さい頃は素直で可愛かったのに、最近マセガキになってきた気がする。  
そんなことを考えながら、沙耶のパジャマが透けて見えろ、と念じてみた。  
「な、なによ」  
俺の視線を感じていぶかしげに詰問してくる沙耶に対して  
「……大人は、うさぎパンツなんて履かないだろ」  
ボソリと呟くと、沙耶は一瞬で真っ赤になる。  
「なっ……て、適当なこと言わないでよ。そんな子供っぽいの履くわけないでしょ!」  
「ふーん、本当かな?」  
軽く念じると、沙耶のパジャマのズボンがするりと脱げて床に落ちた。  
「……え?」  
うさぎパンツが丸見えのまま何が起こったのか一瞬理解できずに立ち尽くしていた沙耶だったが、  
やがて自分に何が起きたのかを知ると、パンツを両手で隠して悲鳴をあげた。  
「いやあああ!」  
避ける暇も無く、沙耶の拳が顔面にヒットする。一瞬で気が遠くなる。  
「お兄ちゃんのバカー!」  
薄れ行く意識の中、沙耶が急いでパジャマを元通りに履きなおし、  
泣きながら部屋を飛び出していったのが見えた。  
 
「痛たたた……本気で殴りやがった」  
沙耶が立ち去った後、しばらくして意識を取り戻した俺はなんとか起き上がった。  
「しかし、おかげで力の扱い方もだいたい分かってきた」  
時計を見る。8時か……学校に行くなら、そろそろ準備しないと間に合わない。  
俺は制服に袖を通しながらこの力のことを考えた。  
せっかく手に入れた力だ……たっぷりと楽しまないとな。  
 
 
「よっ!」  
 げしっ!  
 朝から威勢のいい声とともに、後頭部に軽い痛みが走る。  
「ほらほらー、ノロノロ歩いてると遅れるぞー!」  
 笑いながら振り返り、アハハッと笑うショートカットのスポーティな少女。  
 クラスメイトの宮口和美だ。運動神経抜群の、今で言うボーイッシュって奴だな。  
 男女分け隔てなく付き合うコイツは、クラスでも男そこのけの元気娘だ。  
「どした? 何か考え事?」  
「あ、いや、なんでも……」  
「変なヤツだなぁ。なんか変なコトでも考えてんじゃないのかぁ?」  
 俺の顔を覗き込み、ニマッと笑う宮口。  
 ……そういえば、コイツの女らしいところって見たことないな。  
 正直言って顔は可愛い。表情が豊かなのがさらに可愛さをそそる。  
 ただあまりにも快活すぎて、女子というのをほとんど皆に意識させない。  
 しかし。コイツだって年頃の女のはずだ。  
 俺はにわかに、宮口和美の快活の仮面の奥の女を見てみたくなった。  
 女を女らしくさせるには方法はひとつ。そして今の俺にはそれができる。  
(……透けて見えろ)  
 そう念じると、宮口のセーラー服がみるみる透けていき、下着が徐々にあらわれてくる。  
(うわ……マジかよ)  
 俺の先を歩く宮口のスカートを透かせたその先に見えたのは、白地にピンクの花柄パンティ。  
 
(うわぁ、イメージに合わねー、合わなさ過ぎるー)  
「ん? どうした鈴木。あたしの背中になんかついてるか?」  
「あ、いや、別に何も……」  
「変なヤツ」  
 呆れ顔でさっさと行ってしまう宮口。その背中、というか制服の奥の花柄パンティを見て思う。  
(あの宮口があんなパンツ履いてるとはな。これはぜひ皆にも教えてやらないと)  
 
 どうやって宮口に恥をかかせるか。笑いを堪えながら学校へ向かった。  
 
 
「あ……おはよう」  
「お。おはよう」  
 なんとか始業前に教室につけた俺に、隣の女子が挨拶してくれる。  
 田中陽子。セミロングで身体の線の細い女子。  
 はにかみ気味に向けてくれるその笑顔同様、控えめでおとなしめなヤツだ。  
 けど暗いってわけでもなく、思いやりのある優しいヤツだと思う。  
 宮口とは違うそのおとなしめな可愛さが、宮口とはまた違う嗜虐心をそそられる。   
(透けて見えろ)  
 俺が念じると、田中のスカートがみるみるうちに透けてくる。  
 透けてきた先に見えたものは、コイツらしいといえばらしい純白のパンティ。  
 綿無地に赤のワンポイントリボンが清楚な田中らしくて情欲がそそられる。  
「……? どうしたの?」  
「あ、いや、なんでも」  
「そう……」  
 不思議そうに首を傾げる田中をよそに、携帯を取り出しメール確認を装ってみる。  
 
「校内での携帯持ち込みは禁止!」  
 その瞬間、携帯がひったくられる。  
「校則で決まったでしょ? 決まった以上はちゃんと守りなさいよ」   
「……副会長」  
 腕を組んで、眼鏡越しの視線を俺に向けるのは、横にいる田中より背の高い女子。  
 三つ編み眼鏡にセーラー服という、真面目を絵に描いたような生徒会副会長。  
「あとね。副会長って呼ぶのもやめて。私には酒井裕美って名前があるの」  
「はいはい。わかりましたよ、ユミちゃん」    
「馴れ馴れしく名前で呼ばないで! それに私の名前はヒロミ! ユミじゃない!」  
(ったく、口うるさいヤツだなまったく)  
「何か言った?」  
「あ、いや」  
「とにかく携帯電話は没収します。  
 後で職員室行って返してもらいなさい。……たっぷりとお説教つきでね」  
 
「やーい、怒られた」  
「……うるせーな」  
 しょげてる俺に宮口がニタニタしながら声をかけてくる。  
「まあ裕美は裕美なりに必死なんだよ。大目に見てやってよ」  
 ポンポンと人の肩を叩く宮口。慰めているつもりなんだろう。  
 だけどな。こっちは超能力を手に入れて、女子の痴態をたっぷり拝ませてもらうつもりだったんだ。  
 もちろん携帯にも全て記憶してな。  
 それをアイツ、酒井裕美が全て台無しにしてくれやがって……  
 
 あえて酒井のパンティは透視しないでやった。  
 アイツには、その程度の辱めで済ませてなどやるものか。  
 目には目を。歯には歯を。携帯電話には携帯電話だ。見てろよ酒井裕美。  
 そして酒井をかばった宮口和美。元々の発端の田中陽子。  
 お前ら三人、今日は恥ずかしさに啜り泣かせてやるからな……  
 
 
そういえば、1時間目は体育だったな……丁度いい。  
まずは挨拶代わりにちょっとした悪戯でもしてやるか。  
 
ホームルームが終わると、ぞろぞろと男子が体操服を持って教室から出て行く。  
うちの学校にはプール以外に更衣室が無く、着替えは女子はこの教室で、  
そして男子は隣にある空き教室で行うことになっている。  
大抵の場合、男子はすぐに着替え終わって授業が始まるまで廊下でだべっているが、  
女子はいつまでも教室の中から出てこない。  
今日もその例に漏れず、俺を含む男子はほとんど着替え終わって廊下に出てきているのに、  
女子は教室の中で何をしているのか、カーテンをぴったりと閉ざしたまま一人として出てこない。  
昨日までの俺なら、このカーテンが透けて教室の中が見えることを妄想したものだが……今日からは違う。  
(透けろ)  
もう何度となく使ってきたおかげで、透視はお手の物である。  
あっという間に、目の前には女子たちの禁断の花園の光景が広がる。  
未だに制服姿の奴もいれば、既に体操服に着替え終わっている奴もいる。  
しかし、大部分は回りの奴と談笑しながらゆっくり着替えているようで、ほとんどはブラとパンツのどちらか、  
もしくは両方を晒している。  
(俺に覗かれているとも知らずに仲良くお喋りか……知らぬが仏ってやつだなぁ)  
などと考えながら教室の中をぐるりと見回す。  
 
しかし……中の音が聞こえないというのはいまいち臨場感に欠けるな。  
いや待てよ……透視ができるんだったら、超能力で教室の中の音も拾えるんじゃないか?  
そう思って耳に意識を集中させると、だんだん教室の壁を隔てた会話が聞こえてきた。  
「カスミちゃんって、胸おっきいよね、ちょっと羨ましいな……」  
「え……?そ、そうかな?」  
「うん……だって私、全然ないもん。このまま大人になっちゃったら、どうしよう……」  
「そんなことないって……成長期はこれからなんだから、胸くらいユリだっていくらでも大きくなるよ。」  
「本当?私の胸もこんな風におっきくてふにふにになるの?」  
「ひゃぁっ!?ちょ、ちょっと、触らないでよー!」  
……おーおー、男子の前では決してしないような会話までバッチリ聞こえるぜ。  
それにしても、意外と女子って同性の前では大胆なんだな……。  
 
くくく、周りの男子ども、羨ましいだろう。お前らがいくら妄想しても決して見ることのできない光景を、  
俺は廊下にいながらじっくりと観察できるんだぜ。  
本来なら独り占めしてもいいんだが、特別大サービスだ、お前たちにも少しおすそ分けしてやる。  
 
えーと、酒井はと……残念、既に着替え終わっていたか。  
まあいい……お前は後回しだ、別の機会にたっぷりと恥をかかせてやるよ。  
その前に宮口だ……ああいう生意気な奴は、たまには男子の目の保養になってもらうことにしよう。  
宮口の姿を探すと……教室の扉の近くで、周りの女子と血液型占いについて花を咲かせていた。  
上半身は体操服だが、下半身は下着だけという中途半端な格好だ。  
(まあ、そっちの方が好都合だ……その姿、廊下の奴らにたっぷりとお披露目させてやるよ)  
宮口がハーフパンツを鞄から出して、右足を通そうと足を上げる……その瞬間を狙って、「力」を発動させる。  
(今だ!)  
念じると、誰かに背中を押されたかのように、ぐらりと宮口の体が前に倒れかける。  
「え!?う、うわ……ちょっと、押さないでよ!」  
突然のことに戸惑いながらも、流石スポーツ少女というべきか、左足一本でケンケンしながら倒れないようになんとか踏ん張る宮口。  
ちなみにハーフパンツは両手に持って右の足首に通した状態である。  
(なかなかのバランス感覚だな……もっとも、それが身を滅ぼすことになるんだがな。)  
体勢を立て直す暇を与えず、どん、どんとタイミングよく宮口の背中を念動力で押してやる。  
「こ、こら、誰よ、ふざけてるのは……」  
ケンケンしながら慌てて後ろに声を掛ける宮口だが、当然そこには誰もいない。  
「何言ってるの和美ちゃん?誰も押してないよ?」  
不思議そうにそう答えたのは田中だ。  
混乱しつつ宮口が再び前に視線を向けると、目の前には……教室の扉があった。  
「うわ、ぶつかるっ……!」  
自分が顔面から扉に突っ込む姿を思い描いたのか、思わず目を閉じかける宮口。  
だが、幸か不幸か、恐れていた事態は起こらなかった。  
誰も手を触れていないはずの扉が、まるで自動ドアのようにガラガラと開いていったからである。  
「え……?」  
事態を把握する前に、宮口の体は廊下へと弾き出され……そのままつんのめるようにしてバランスを崩す。  
「ぐふっ」と間抜けな声を出し、宮口はお尻を突き上げるような格好で廊下の真ん中にうつ伏せに倒れていた。  
当然、可愛い花柄のパンツを男子の前で丸出しにしながら。  
 
「……」「……」  
騒がしかった教室と廊下の時間が、一瞬で止まる。  
そりゃそうだろう。なんたっていきなり教室から宮口が片足跳びで飛び出して、  
パンツ丸見えどころかめくれた体操服からブラチラまでさせながら、廊下に突っ伏しているんだから。  
誰もが目の前の光景に呆然としている中、一番最初に動き出したのは、宮口だった。  
「……うわああああああ!」  
大和撫子とは程遠い悲鳴を上げて飛び起き、真っ赤な顔で素早くハーフパンツを履く。  
反応のスピードも、スポーツ少女ならではといったところか。  
だがそれでも、男子たちが今の光景を目に焼き付けるのには充分な時間だった。  
そのまま逃げ込むように教室に戻ろうとする宮口だったが……非情にもその瞬間に授業のチャイムが鳴る。  
チャイムを聞いて次々と女子が教室を出て校庭に向かう中、宮口は教室に戻るわけにもいかずに、  
田中に男子の視線から庇ってもらいながら他の女子と共に校庭に向かうことしかできなかった。  
男子も、さりげなく宮口の周りを取り囲むようにして、時折チラチラとそちらを見ながら移動を始める。  
良かったな宮口、これでお前は今日からクラスの人気者だ。  
 
さてと、あとは田中陽子と酒井裕美か。  
言っておくが、お前らはこの程度じゃ済まさないからな……首を洗って待ってろよ。  
 

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