集中────一字一字、アイテムにルーンを刻み込んでいく。正確に一ミリの狂いもなく。  
 魔法のアイテムを作るのに最も技術を要する作業だ。  
 
 
 俺は今、金髪縦ロール貴族のシルビアから得た大量の報酬を元手に、  
新しい魔法のアイテムを作成していた。  
 夏真っ盛りのくそ熱い室内でも必死で集中を続けていたが、疲れたので  
休憩を入れることにする。あちい…  
 
「……………」(お兄様、何を作ってるの?)  
「ふ…男のロマンだ。」  
 目の前には赤い髪を腰まで伸ばした無表情な少女が目の前にいる。  
 端正な顔立ち、引き締まった肉食動物を思わせる綺麗な肢体。  
 顔は美人というよりはかわいいという感じだろうか。妹のベルだ。  
 無表情だが分かる。ベルは疑ってるな。男のロマンを解さないやつめ。  
 
 
「……………」(お昼にしましょう。)  
「ああ、飯にするか。」  
 一階の食堂でおやっさんに声をかけた。  
 
「おっす、二人分、一番いい昼飯頼むぜ。」  
「おー。カイか…最近はぶりがいいようだな。そんなシルビアの嬢ちゃんの  
 報酬はよかったのかい?」  
「普通に暮らすには五年はいける額だ。最も新しいアイテムの作成で殆ど消えたがな。」  
 おうおう、ベルの顔が青くなったり赤くなったり…おいまて!木刀は反則だ!!  
 
「……………」(お兄様何考えてるんですか!)  
「おやっさんなら分かるよな?」  
「何がだ?」  
「未知への挑戦は男のロマンだ。漢たるもの常に探究心を持つべきだ!!」  
 おやっさんは俺の肩を叩いて呆れるようにいいやがった。  
 
「そろそろ妹に楽な生活をさせてやれ…それも男の甲斐性だろう。」  
 俺はそんな無理解なおやっさんにちっちっちと指を振る。  
 
「ふふふ…おやっさん。そんなこといってられるのも…俺の研究を知らないからだ。  
 実はな……ごにょごにょごにょ。」  
 妹に聞かれるわけにはいかんからな…小声だ。  
 
「すまねえカイ。俺はお前のこと誤解してたぜ。漢だ!やはり漢は馬鹿でなくてはな。うん。」  
「……………」(お兄様何を企んでいる?)  
 ベルは一人蚊帳の外で、訝しげにしていた。無表情だが多分。  
 
「カイ。注文を受けてた材料を届けに着たわよ。感謝なさい。」  
 暫くしてそんなことをいいつつ訪れたのは、金髪縦ロールにドレスを着た  
いかにもお嬢さまな侯爵、シルビアだった。  
 
「おめーだからなんで侯爵が直接くるんだよ。こんな下町に。」  
「気晴らしですわ。たまには馬鹿の相手しないと肩がこってね。それにおじさまの  
 料理はいつも楽しみにしていますし。で、今は何を作ってますの?」  
 俺はにやっと笑ってもったいぶって言った。  
 
「内緒だ。完成したら貸してやるぜ。お前さんは使うだろうしな。」  
「ふーん。何か良く分からないけど商品化は無理そうね。こんな高価な材料使うなんて。」  
「調整が難しくてな。一つの効果を付加するたびに倍で難しくなるのが魔法のアイテムだ。  
 今回のアイテムは十ほどの効果を組み合わせる、まさにオリジナル、まさに至高の一品だ。  
 設計だけは三ヶ月かけて作っていたんだが、やっと金が出来て作成中ってわけだ。」  
 腕を組んで少し考えてシルビアは微笑んだ。  
 
「ま、面白そうではあるわね。出来たら教えて。」  
「ああ、勿論だ。俺の腕が落ちてないことを教えてやるぜ。」  
 ふっふっふ、お前さんも今までの仕返しにいつか実験台にしてやるぜ。  
 
 
────一ヶ月経過────  
 
「これが最後の一字だ………よっしゃああああああああああ。完成!!!」  
 俺はやった。俺はやったんだ!やりとげたんだ。俺は漢だ!全世界の男よ俺を崇めよ!!!  
 
「……………」(お兄様、お疲れ様です。)  
「ああ。ありがとう。流石に疲れたぜ…。だがそれも今日で終わりだ。」  
「……………」(お兄様これは…シャツ?)  
「うむ。後で実験するから少し協力を頼む。」  
 まずは頑丈なやつで実験だ。多少失敗しててもこいつなら死にはすまい。  
 
「……………」(何かいやな予感がするのですが…)  
 ちっ。勘のいいやつだ。だがここで引くわけにはいかん。  
 
「まあ、晩御飯を食べよう。風呂に入って…実験はその後だ。」  
「……………」(危険はないんでしょうね?)  
「俺を信じろ。俺が失敗などするわけがない。完璧だ。」  
 疑いの目でベルがじと眼で睨んでいるが気にしたら負けだ。俺たちは晩御飯を食べ、  
風呂に入って自室へと戻った。  
 
 自室に戻ると、早速下着とその魔法のシャツ(?)一枚になってもらい、  
アイテム発動のキーワードを唱える。よしよし、ついにこの時が!!  
 
<汝の主は我なり>  
 
 言葉と共にシャツが光り輝きベルの体全体を覆っていく。  
 
「……………!!!」(なになに!?)  
「大丈夫だ。成功だ!!」  
 
 十秒後、そこには黒のワンピース、フリルの付いた白いエプロンを組み合わせた  
エプロンドレスに、同じく白いフリルのカチューシャをつけたベルの姿があった。  
 俗にメイド服ともいうが。  
 
「ふ……自分の才能が恐ろしいぜ。この完璧なデザインに何日を費やしたか。」  
「……………」(一回死んだほうがいいのでは。)  
「合言葉一つで華麗にメイドさんに変身できるのだ。ま、成功だな。さんきゅ。」  
 もう一つの目的をこいつに知られるわけにはいかん。実験は残念だが今日はここまで。  
 明日が楽しみだ。これはお前のためのものじゃないんだ。  
 
 
 翌日、俺はベルに仕事で出かけると伝えて侯爵家へと向かった。  
 
「よー、シルビア。傑作の魔法アイテムが出来たから持ってきたぜ。」  
「その貧相なシャツですか。作者の品性が分かりますわね。」  
 豪奢な金髪縦ロールにいつも強気の表情を浮かべた、現侯爵家当主は怪訝そうに呟いた。  
 
「安全の確認はしてある。効果を見せてやるよ。」  
「それじゃ、私の部屋へ行きましょうか。で、どうやって使用しますの?」  
「まずは下着とそのジャツだけになってくれ。」  
「………まあ、いいでしょう。後ろを向いていてくださいな。」  
「おうよ。」  
 ふっふっふ、この傲慢娘に天誅を加えるときは刻一刻と迫ってるぜ。  
 おっと、怪しまれないように気をつけねば。  
 
「着ましたわよ。」  
 
<汝の主は我なり>  
 
 キーワードを唱えると昨晩と同じようにシルビアが光で覆われていき、  
黒のワンピース、フリルの付いた白いエプロンを組み合わせたエプロンドレスに、  
同じく白いフリルのカチューシャ姿になる。  
 
「これは…うちのメイド服ではありませんか?」  
「ああ。お前んとこのを参考にしたからな。」  
「この私に…こんな格好をさせるために…作ったんですか?だめだだめだとは  
 思ってましたが、本当にだめな人ですわね。」  
「まーそういうなって。本番はここからだぜ。」  
 
<汝は我の奴隷なり>  
 
 次のルーンを唱えると、シルビアの表情が驚きに染まった。  
 
「か、身体が勝手に動きますわっ!……それに熱い……カイ!貴方なにを!」  
「ふふん。『いけないメイド』機能だ。どんな生意気なメイドもこれを使えば  
 従順なメイドに!さらに催淫魔法のおまけ付だ。これからいつも生意気な  
 シルビアを従順なメイドさんに調教してやるぜ。」  
「馬鹿!カイ!やめなさい!!」  
 やめろといわれてやめる漢はいないぜ!はっはー!!  
 
「これからは、ご主人様と呼べ。」  
「だ、だれが…うう…ご主人…様……」  
 きつめだが綺麗で端正な顔を羞恥と屈辱で真っ赤に染めて言い馴れない言葉を呟く。  
 これだけでも、半年近く頑張った甲斐はあったな。だが、ここからだ。  
 
「おい、シルビア。お仕置きをしてやるからベッドでうつむけになって尻を出せ。」  
「い、いやよ…ああ…何で…体が…うう…。」  
「でも、命令されて体は喜んでるぜ?」  
「そ、そんなわけないで…しょ…!」  
 メイド服のままベッドの上に上がり言われたとおりにするシルビア。抵抗は  
出来ないらしい。やはり金はかけて正解だった。パンツを少しずらす。  
 
「いやっていうが…体は正直みたいだぜ。何もしてないのに濡れてるじゃないか。」  
「そ、それは魔法のせいで!!」  
「嘘つきにはしつけが必要だよな。」  
「いや!やめて!」  
「やめてください、ご主人様。だろ!」  
 むき出しになっている尻を数度加減しながら叩くと、大きく体を反らし  
くてっとベッドに力なく崩れ落ちた。いつも強気な大貴族のシルビアがメイド服姿で  
扇情的な格好をしていることに加虐心が膨れ上がる。  
 
「尻叩かれてイクなんて…いつも高貴ぶってるがとんだ変態だな。」  
「ち、違う…わ…」  
「なにが違うんだ?気持ちいいんだろ。ほれ言ってみろ。気持ちいいですご主人様って。」  
「そんなこという……うぁ……気持ちいいです…ご主人様…」  
「おー。もうアソコがびちゃびちゃだな。」  
 普段より催淫の魔法で過敏になっているそこを、いかせない程度に軽く愛撫する。  
ゆっくりゆっくり焦らす。イキそうになる前に指を止め、落ち着いたら再開していく。  
 メイド服のスカートとベッドのシーツに愛液が付いてじわじわと濡れていった。  
 
「あああ、いやぁ…焦らさないで……ちゃんといかせて…」  
「気持ちよくなったらお仕置きにならないからな。いかせてほしいならメイドらしく  
 ちゃんとおねだりしないとな。無理やりじゃなくて自分で。」  
「あ…う…ご主人様……いかせて…ください。」  
「叩かれて感じる変態メイドを滅茶苦茶にいじめてくださいと言え。」  
「いや!そんなこと私がいうわけ…あああ…叩かれて…感じる…うう…  
 変態メイドを…滅茶苦茶にいじめてください……やだあ…」  
「可愛いぞシルビア。ちゃんと言えたな。そらご褒美だ!」  
「ああっ!ひぃ……んっ!!!」  
 焦らしたせいで俺もかなり限界まではちきれんばかりになってたそれをシルビアに  
突き入れるといきなり、膣が締め付けるようにうごめき軽く潮を吹いた。  
 
「ご主人様より先にイクなんてまったくだめなメイドだな。」  
 魔法の効果がよく効いているのか突き入れるごとにシルビアは軽く絶頂に達している。  
 だが、俺は緩めない。  
 
「怖いっ!感じ…すぎ!!…こんなのって…あっ…!」  
「ほらもっと腰を振れ!ご主人様におねだりしろ!」  
「はいっ!…ご主人様!!ご主人様!!!もっと!もっとついてっ!だめなメイドにもっと  
 お仕置きしてくださいっ!!」  
「ちゃんといえたな。よし、最後まで行くぞ。」  
 十数回いかされ、最早侯爵としての威厳も何もなく、一人の快楽に酔う雌メイドとして口から  
涎を垂れ流すシルビアに最後の止めを刺すべく激しく動き出した。  
 
「ああっ…これ…すごい!くる…おっきいのがくる!!」  
「く、出すぞシルビア!」  
「あっ!!!いい…!!いくっ…あああああああああああああっ!!!」  
 俺がシルビアの中に出すとひときわ大きく体を震わし、絶頂を迎えて失神した。  
 
 
数時間後。  
「で………これはうちで買い取らせていただくわ。」  
「おいおい待てよ。俺の傑作の品だぞ。ご無体な。」  
「いやならいいのよ?さっき味わされた屈辱…残念ながら死んでもらうわ。」  
 魔法を解いて、いつもの豪奢なドレスに着替え正気に戻ったシルビアは当然のごとく  
怒り狂っていた。こいつはやるといったらやる。本気で俺を殺る気だ!!  
 
「わ、わかったよ…畜生…男のロマンが…」  
 そういって、キーワードのメモを書いた紙を渡す。  
 
「これは確かに使えるわ。こんな馬鹿なものを作る奴はほかにいないでしょうし…。  
 どんなものでも使い方次第で使いようがあるものよ。」  
「ほう〜例えば?」  
 なんかとてつもなく嫌な予感がした。  
 
「ふ…この私をメイド扱いして弄んでくださった、どこかのお馬鹿さんに復讐するとかね。」  
「え、ちょっと待てやめろ!!」  
「体術で私に叶うわけないでしょう。諦めなさい。」  
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁ!メイド服はいやだぁぁぁぁぁぁっぁぁぁやめろぉぉぉぉ!!!」  
「ふふ、どんな命令を出そうかしら。やめろといってやめる馬鹿はいないのよ?」  
 漢の叫びが夜の侯爵家に響き渡った。俺は男のロマンを達成し、同時に…  
…同時に…男として大事なものを失った…。  
 
 
 後日、この魔法のメイド服は先祖代々侯爵家の捕虜を拷問するためのアイテムに  
なったとかならなかったとか。  
 

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