漆黒の闇。頼りない松明と魔法の明かりのみがあたりを照らしている。蝙蝠や恐ろしい怪物の  
鳴き声と思しき音と水の滴る音がぴた…ん…とその沈黙の空間が本当に存在しているのだということを  
証明していた。  
 
「………で、なんなんだここは………」  
 俺───カイ・リスターは妹に仕事を変わってもらい、暗い洞窟の中を進んでいた。  
 
「何度も言っておるではないか。わらわの昔の知り合いに会いに行くと。」  
 俺の少し後ろを道案内しながら歩く美しい長い黒髪に生気のあふれた勝気な瞳を持つ、今日は動きやすく、  
少し迷彩の入った冒険家ルックを着こなしている少女は機嫌よさそうに答えた。こんなことになった原因は  
たしかに俺にあるのだが…  
 
 数日前、シンに歴史の講義をしていたところ今に伝わってる伝説って本当なの?と聞かれた俺は、最近  
まじめに仕事をしているせいか知的好奇心を刺激され、マオやユウになるべく詳しく250年ほど前の戦争に  
ついて話を聞いたのだ。  
 
「250年くらいならまだ生きてるやつもいるかもしれん。しかし、懐かしいな。」  
と腕を組みながらうんうん頷くマオを見て俺はなんとなく地雷を踏んだことを悟った。  
 
「そういえばなんでも一つ自由に聞いてもらえる権利があったな。あれを使わせてもらおう。デートも兼ねて、  
 なんといったか…そう、一石二鳥だ。」  
 これは名案とばかりに嬉しそうに笑うマオに俺は不安を隠せなかった。  
 こいつの知り合いって………  
 
 そして今、俺は深い洞窟にいる。一人だと確実に迷っていただろう。誰が仕掛けているのか罠もいくつもあった。  
 怪物はマオを見ると後ろを向いて逃げていくので助かったが。  
 
「魔族にはこういうダンジョンを作ることを生業としているものもいるのだ。」  
とマオは教えてくれた…あまり意味のない知識のような気がする。  
 
「しかし、こう暗いところでカイと二人きりというのは悪くないな。」  
「あ、こらひっつくな。足場悪いから危ないぞ。」  
「怖いのなら手を繋いでもいいのじゃ……きゃっ」  
 躓くマオを後ろから抱えて助けて立たせる。  
 
「全くこんなとこに何が住んでるんだ。」  
「ふふふ…それは会ってからのお楽しみじゃ。」  
 暫く進むと急に明るい開けた場所に出た。ここは天井がなく、大きく空が開けている。  
 急に明るくなった場所に目をゆっくりとなじませる。そのとき急に刺激する臭いが鼻を突いた。  
 
「これは…硫黄か?」  
「うむ、さすがはカイじゃな。ここは火山。いまは大人しいが250年前はここも蒸気が多く噴出して  
 かなり危険な場所じゃったな。」  
 マオは懐かしそうに目を細めながら笑った。そして、少し離れた場所にある大きな扉を指差した。  
 どうやら到着したらしい。  
 
 その扉を開くと中は驚いたことに、貴族の館そのものだった。  
 
「驚いたな…これは。」  
「ふふ…。その顔…わらわもつれてきたかいがあったというものじゃ。」  
 いたずらっぽく笑うマオに先導されながらゆっくり観察しながら歩く。彼女は我が家のように  
広いこの屋敷を歩いていった。驚いたことにこの中はシルビアの館に似ていた。  
 
「わらわじゃ。入るぞ!」  
「あ、おい!」  
 250年前と今のお前は明らかに違うと思うんだが…と声をかけるまでもなく、館の中央の  
主人の間とおぼしきひときわ大きい部屋の扉をマオは勢いよく開けた。  
 
「え……うそ、侵入者でござるか?って…きゃぁぁぁぁ!」  
 中では10代後半のように見える少女が服を着替えていた。珍しい青い髪をポニーテールにした赤い瞳の少女…。  
白い肌は健康そうだ。とりあえず、俺は扉を閉めた。語尾が変だったのは気かなことにした。  
 かなり可愛い。らっきーだ。  
 
「おい、マオ………どういうことだ。」  
「おかしいのお。ここにいるのはもっと別のやつだが…むさくるしいおっさんだ。」  
「どーみても女の子だったぞ。あれは。」  
 俺はマオと顔を見合わせ、首をかしげてもう一度…今度は扉をノックしてから開けた。  
 
「……………」  
「おおっ!」  
 驚きすぎると声も出ないというのは本当らしい。目の前には青い鱗の巨大な…ドラゴンがいた。  
 ここでドラゴンについておさらいしておく。ドラゴンはこの世界に無数にいる魔獣の中でも最強の  
生き物で人間をはるかに超える高度な知能を持ち、魔法を操りそのブレスは恐ろしい破壊力を  
持つという。  
 
 
「えーっ…………と、よくきたなーぼうけんしゃよー。た、宝が欲しければそれがしをー……  
 えっと倒して……そうそう、奪い取るがいい〜でござるよ。…こうだっけ…」  
 
 
 苦笑してマオを見る。マオは黙って首を横に振った。どれほど高度な知能を持っていてもそれは  
使うもの次第なのだ。  
 
「ななんでござるかーその生暖かい目は!侵入者なんて150年ぶりなんだから仕方ないでござろう!!?」  
 短気な竜だ。なぜだろう。全く怖くない。多分、口調とサイズがでかすぎて部屋からでれそうもないことが  
原因だろう。なんてまぬけなんだ…。きっとマオが前回ユウに負けたのは…  
 
「カイ…えっと…こ、こいつは特別だからな?ほかは大丈夫だからな!!?」  
 目の前のでかい竜を無視して必死で主張するマオになんか涙ぐましいものを感じながら、  
とりあえず竜のほうを向いた。  
 
「話は通じるようだな。喧嘩をしに来たわけじゃないんだ。」  
「そうじゃ。竜王はどこだ?ここはやつの住処のはずじゃが…。」  
…って竜王?伝説じゃ勇者の仲間の人間の戦士に負けたはずじゃ…。そういや、倒したってことは  
ユウからは聞いていないな。マオも何もいってなかった。  
 
「パパ………じゃない、父上なら人間に化けてでてって50年に1度くらいしか帰ってこないでござるよ。まったく…  
 人間のどこがいいのか…むー。」  
 会話だけだと少女のそれだが、姿がドラゴンだと声が野太いのでかわいくもなんともない。むしろ怖い。  
 
「そうか。やつは不在か。」  
「そこの子供…ぱ…父を知っているなんて人間じゃないでござるな。何者?」  
「わらわは魔王じゃ。」  
 ドラゴンの動きが凍った。なんか動揺してるらしい。震えているのが判る…部屋ごと震えてるからな。  
 
「ええええーっ!貴女があの無意味に偉そうでふんぞり返ってそれがしを見ながら、ほっぺた柔らかそうでうまそうとか  
 いってたあの魔王様でござるか!?」  
「……………だれじゃその変なやつは。」  
 お前だ。  
 
「そうか、思い出したぞ。あの竜王のちっこい娘か。成長したな。」  
「そ、そういう魔王様は小さくなったでござるな。それにまだ250年しか…」  
「不慮の事故というやつじゃ。それにしてもやつはいないのか。残念だな。」  
 少し残念そうではあるが、昔の知り合いらしい少女と会えて嬉しいのか機嫌は良さそうだ。  
 
「えーっと、このままだと話しづらいので戻るでござるよ。えいっ」  
 でかいドラゴンは荘厳な低い声でそんなことをいいつつ、光に包まれた…そして、  
 
「きゃーっ!!ふくっ!ふくっ!!!」  
 当然のことながら人間サイズに戻ったその体に服は着ていなかった。  
 
「なあ、マオ。」  
「なにもいうな。カイ…」  
 マオは何か全てを諦めたような表情をしていた。  
 
 
 落ち着いた後部屋の中で俺たち三人はテーブルに座っていた。人間に化けている父親が色々もってかえって  
来るらしくなんとか使えそうな、魔法の保存箱に入った茶葉を見つけた俺はお湯を沸かして紅茶を入れていた。  
 ついでに簡単なお菓子も作る。  
 
「前に父上が帰ってきたのは…数年前…もぐもぐ。…ずずー。む…人間の癖にできるでござるな。」  
「そりゃどうも。」  
 どうも彼女は人間が嫌いらしい。マオに対する態度と俺とでかなり違う。俺に対してはかなり否定的な  
態度をとっている。口調がおかしいのでまぬけにしか思わないが。ちなみに服装は薄手の布で折った東方の  
ものらしい服だ。シンプルなデザインだがすっきりした感じで(風貌だけは)落ち着いたクールな大人の  
目の前の女性には似合っているように思えた。向こうの出身なんだろうか。  
 
「ふむ…で、やつは今なにをしておる?」  
「はい…なんだか魔法の道具を作って売ってるとか。友人がいっぱいできて楽しいっていってましたなあ。」  
「ごほっ!!」  
 同業かっ!しかも、人間に混じってだれ一人気づいてないのかっ!!  
 
「そーいえば、前に帰ってきたときは飲めないお酒を飲んだと思ったら、友人の一人が馬鹿貴族に絡まれて  
 逃げるはめになっちまったー。とか、王城をはらいせに燃やしてやろうかーとか酔って泣きながらいっておったような。」  
 なんかどっかで聞いた話だ。ひと段落ついて彼女はふと俺のほうを向くと俺の顔をまじまじと見て暫く考えていたが  
何かに気づいたように叫んだ。  
 
「思い出したっ!!!その顔!あんたは詐欺師!!よくもそれがしを騙したでござるな!?」  
「まてまて、いきなりなんだ。初対面だぞ。俺は!」  
「しらばっくれないでござるよ!10年後に迎えに来るっていったくせに250年も待たせるなんて。それにとぼけるなでござる!」  
 掴みかからんばかりに俺を締め上げるドラゴン娘をマオがなんとか宥めた。  
 
「まぁまぁ。まてまて。わらわもお主とカイは初対面だと思うのだが…。」  
「初対面もなにも250年も生きてる人間なんていないわいっ!」  
「どう見ても貴方、リヒター・シュバルツじゃないの。」  
「俺は、カイだ。カイ・リスター。」  
 思いっきり人違いじゃないか。全くわけがわからん。俺が首をかしげていると、  
 
「懐かしい名前が出てきたな。」  
「そういや、何かで聞いたことのあるような…知ってるのか?マオ。」  
「昔のユウの四人の仲間の一人だ。詐欺師、リヒター・シュバルツ。当時の人間最強の戦士だ。」  
 うんうんと、青い髪の少女が頷いている。ぴょーんと飛び出した一房の癖毛が上下に揺れる。  
 そういえばマオが前話してたな。ユウの四人の…名前は言わなかったが仲間の評価。性悪賢者、詐欺師、地雷女、  
そして、癇癪エルフ。ちなみにユウからみたマオたちは、下ネタドラゴン。殺人メイド、菜食バンパイアロードに  
怖がりダークエルフとこちらもバラエティーに富んでいる。  
 
「なんで詐欺師なんだ?」  
「性格がな。大雑把で楽天的、女と見れば口説き人を見れば法螺を吹くといった感じのやつでな。腹黒さも女好きも  
 カイといい勝負だな。」  
「まて、腹が黒いのはシルビアだ。俺は正直者だ。」  
「確かに色々正直だな。女好きは否定しないのか。ああ、話がそれた。まあ確かに似ているが、他人じゃ。」  
「全く、せっかちなドラゴンだな。」  
 からかうように言うときーっ!!と怒る。なんかからかいがいがありそうだ。  
 
「大体、おぬしどういう約束をしたのじゃ?」  
「パパ……じゃなくて父上との勝負が終わったあと、水を持っていったら。かわいいねー。10年後恋人にしたいから  
 迎えに来るねって……約束したでござる。」  
 む…う……そんな言葉を本気にするとは。俺も気をつけなければ!ありがとう、偉大な先人。  
 
「それは社交辞令だ。男ならだれでもそういうんだ。」  
「ち、ちがうもんー!ちがうもんー!」  
 幼い口調で否定する…十代後半の女性…かわいくないとはいわないが、整ったどちらかというと冷静な  
美人といった感じの目の前の青い髪の少女がそんな口調だとかなりのギャップだ。  
 
「ふー…これだからもてたことのないやつは………」  
「きーっ!!顔が似てるから余計むかつくーー!!魔王様この人間いじわるっ子でござるよっ。なんでこんなのと  
 いるんでござるか!!!」  
 こんなのとは酷いなあ。からかいすぎたか。しかし、なんていいリアクションを返すやつだ。周りは  
あっさりしたやつと性格の曲がったやつしかいないからなぁ。素直なやつは貴重だ。  
 
「確かにひねくれてはおるが、いいとこもあるのじゃ。」  
 楽しんでいるマオは俺を見てにやっと笑い、  
 
「それにお主よりこの男は強いしな。」  
「そ、そんなことありません。竜族たるそれがしが人間に負けるわけがありません!!!」  
「おいマオ…」  
 なんか雲行きが…。マオは猫が罠にかかったネズミを見ているような笑いを浮かべている…これは…  
 
「おお〜?自信満々じゃ。じゃあ賭けをするか?」  
「いいでしょう。人間なんてぺしゃんこにしてやるでござる。」  
 言い方はかわいいが、本当にぺしゃんこにされそうだからなあ。てか、口調は東部の義理堅い戦士の  
雰囲気なのに人間相手に本気でドラゴンの姿で戦う気か。こいつは。  
 
「おい、マオ。無茶言うな。」  
「へへーん。自信ないんでござるな。人間。やっぱ口だけだな。」  
「俺はどこぞの裸ドラゴンみたいに足りない無能じゃないからな。無駄な喧嘩は避けるんだ。」  
「カイ…そなたも売っておるではないか。」  
 ますます、顔を真っ赤にするドラゴン娘に俺は不敵に笑った。  
 
「で、何を賭けるのかのう?」  
「負けたらそれがしを好きにするがよい。」  
 マオに向かって必死で宣言する。  
 
「じゃあ、どら子負けたら俺の奴隷な。」  
「お主をさっさと倒して一生こき使ってやるでござる。……ってどら子ってだれでござるかー!!」  
 顔を真っ赤にして腕を振って怒る彼女を見ながら俺はすでに楽しんでいた。  
 
「じゃあお前名前なんていうんだ?」  
「に、人間などに名乗る名はないでござるっ!」  
「じゃ、どら子な。」  
「どら子じゃないっ!!」  
 マオは呆れたようにため息をついた。  
 
 勝負を俺は二時間後と時間を指定した。代わりにどら子(仮)は場所を広間に指定する。  
 ここまでは予想通りだ。自分の体を生かすには広い場所に行くしかない。どうせ行くなら  
こっちに有利な条件をもらうほうがいい。しかし…  
 
「なんで俺がドラゴンなんかと戦わないといけないんだ。魔王、勇者と着て今度は〜なんか前世  
 程悪いことしたのか…」  
 挑発の聞く相手だからましか…とか思いつつ準備をしながら、マオからの情報を思い出す。  
 ドラゴンは幼龍、成龍、老龍と一つずつ扱える属性が増えていく。どら子(仮)は250年前  
氷の属性を持っていたらしい。今は成龍で何を持っているかは不明と。弱点は…あるが、問題は  
どうやってそこまで持っていくかだ。  
 
「魔力も負け、身体能力は考えるのも馬鹿馬鹿しいな。」  
 苦笑する。普通、人間では太刀打ちできない相手だ。死ぬかもしれない。だが、それほど恐怖はない。  
 まあ、相手があれだからな…。  
 
「せいがでるな。カイ。それにしてもよく受けたな。」  
「一日マオのいうことを聞く約束だからな。断ってもそういったろ?向こうはもういいのか?」  
「ちがいないな。そうだな…」  
 どら子と話していたマオが戻ってくる。俺は先日シルビアの指輪の件で問い詰め、発見した  
魔道書を元に、自分のものにしたあたらしい魔術を作成する手を止めずに続け、その間にマオは答える。  
 
「油断しておるな。わらわが見たところ…そう、何事もうまくやって1:9といったところか。」  
「1が俺だな。」  
 そう、実力差は大きい。生物そのものとしての強さが違うのだ。  
 
「十分だ。」  
 だが、俺は笑って頷く。マオはそれでこそじゃと、喜んでいた。  
 
「その魔法は始めてみるな。」  
「ああ。知り合いの遺品さ。使える魔法だから貰っておいたんだ。今回の相手はちょうどいい。」  
 元の持ち主には及ばないだろうが、俺の魔術と組み合わせれば使い道は多い。元より俺と  
二人で連携することを目的とした魔法だったからだ。  
 
「楽しみじゃな。見せてもらうとしよう。」  
「しかし、なぜ俺とあいつを戦わせるんだ?口で丸め込めばいいじゃないか。」  
 マオは少し怒ったように顔を横に向け、  
 
「ふん、わらわのカイを馬鹿にするからじゃ。小娘にはお灸をすえてやらねばないかんじゃろう。  
 それだけで理由は十分じゃ。」  
「俺は直接戦闘は苦手なんだがなぁ。」  
 やれやれと思う。平和的に解決…というのはマオにはないらしい。当人の活発な負けず嫌いの  
性格からか、魔王としての特質なのか…前者の気がするが。  
 
「心配するな。死んでもバンパイア・ロードとして復活させてやる。ずっと一緒じゃ。」  
「アンデットは勘弁して欲しいな。」  
 俺は笑って一度マオのほうを向き、頭を軽く叩くと再び作業を再開した。  
 
 
「準備はいいか?」  
「「いつでも。」」  
 二時間後、広間で距離を開けてどら子と向き合っていた。目の前に立つ彼女は、  
人間の姿でありながら明らかにそうではない美しさと気配を放っている。開いた空から光を浴び、  
青い髪が風でたなびいてきらめいている。  
 
「よく逃げなかったでござるな。」  
「必要ないからな。」  
 そういって片手剣を抜く。昔ベルのために作った対魔法の剣だ。対して彼女は青い宝石のような  
うろこをもつ巨大なドラゴンへと変貌していた。改めてみると圧倒的だ。爬虫類のようでいて  
醜悪ではなく、その姿は魔物なのにむしろ美しいとさえ感じさせる  
 
「その度胸だけはほめてやるでござるよっ!」  
 大きな羽音を立てて巨大な体が中に上がった。先手を取ったのは俺だ。マジックアイテムに詰めてある  
簡易術式により、細い氷の槍を左手で生み出し予測狙撃する。狙いは…目!  
 
「がうっ!」  
 魔力のこもった短い吼え声が魔法をあっさりと打ち消す。構成も何もないただの魔力の塊だ。  
 仕返しとばかりに複数の火弾を生み出し、放ってくる。狙いも構成も甘い。が、威力は  
俺のとは比べ物にならない。広間に熱気が篭るが汗は冷たく流れる。頭は冷静にどら子の火の属性の  
可能性を打ち消す。ブレスじゃなく、小手調べのただの魔法だ。  
 
「とんでもないな。」  
 正直空を飛ばれては勝機はない。さてうまくいくか!  
 
<領域よ我の命に応じよ!>  
 コマンドワードとともに広間の風の流れが大きく変わる。地に近いところは凪、上空は嵐のように  
風は生きているかのごとく荒れ狂う。空間を支配する領域魔術だ。シルビアが回収していた形見の魔法。  
 それを時間の許す限り準備しておいたのだ。一度発動させれば一定時間続くため、楽になる。  
 どら子は飛びにくくとも降りる気はないらしく、空中から魔法を放ち続ける。崩れた体勢からのそれを何とか  
かわす。ここまでは予想通り。汗をにじませながら次の罠を仕掛けを発動させる。  
 
<無限の剣よ。舞え!>  
 
「きゃあああっ!」  
 可愛らしい(?)悲鳴が響き、どら子が地に落ちる。領域にルーン魔術を介在させ羽を狙って無数の  
氷の針を飛ばしたのだ。もちろん、俺は間合いを詰める。…が。  
 
「かてえっ!剣が通らないのか!!」  
 首を狙ったのだが、刃が通らない。事前に聞いていたとおりだが、あえて慌てたように見せる。  
 
「ふふん。なかなかやるけどそこまででござるよ!」  
 飛行を封じたとはいえ、大きい割りにすばやい体格からの攻撃を必死でかわす。巻き込まれたら  
それだけで致命傷だ。まだだ…。  
 
「当たらなければ意味ないぜ。へたくそ!」  
 けん制の細かい魔法を放ちながら逃げ続ける。やがて、いらついたのかどら子が口を開けた。  
 きたかっ!!  
 
「終わりでござる!」  
「甘いっ!」  
 超低温のブレス…氷のブレス。それを一時間費やして発動するようにしておいた氷の楯でを起動して  
斜めに受け流す。それを影にして接近しながら俺は最後の罠を起動した。  
 
「そのようなもので防げるものか。」  
 そう、受け止めるのでなく、時間をかけて魔力を殆どつぎ込んだ楯で受け流してなお俺の体は  
ぼろぼろだった。予想以上の威力。どら子なめてたかなーと。ちらっと後悔もよぎる。  
 ベルから預かった…自分の作った昔の剣も砕け散った。これがなければ防ぎ切れなかったろう。  
 帰ってからが怖い。マオのせいにしよう。  
 
「剣もなく。魔法も尽きたでござろう。お前は人間にしてはよくやったし降参せぬか?」  
 どら子の目の前にいる俺は馬鹿にしたように笑った。どら子は俺に向かって全力で走り、  
その体を噛み砕いた。  
 
「なっ!!!」  
「ひっかかったな。おっと動くなよ。予備の武器くらいあるぜ。逆鱗貫かれたら…死ぬだろ。  
 お前の負けだ。あきらめろ。」  
 最後の罠───像の投影。それを囮に背後から近づき、一気に体に飛び乗ったのだ。  
 俺は祈る。降伏してくれるのを。殺したくないからじゃない。殺せないからだ。想像以上に  
どら子が強かったので手持ちの駒を全て使い果たしたのだ。手段がない…。どちらかの返答を  
俺は待っていた。  
 
 だが、どら子がしたことは俺の予想とはかなり異なったものだった。  
 
「奥の手はそれがしにもあるでござるっ!」  
 太く大きなドラゴンのその声を聞きながら、俺の意識は薄れていった。  
 
 
 気がつくとそこは俺の部屋だった。色調はモノトーンで単調だ。  
 
「またかよ…」  
 思わずつぶやくが前と違うのは、学生時代の部屋ではなく真珠亭の俺の部屋というところだ。  
 そこに色を持つもの…青いポニーテールに癖毛が一本みょんと飛び出た十代後半の  
クールな印象を見るものに与える和風の女性が立っている。  
 
「よお。これは予想外だったぜ。」  
「……そなたは平気なのでござるか?」  
 どういうことだ?不思議そうな表情をしている。  
 
「一度、進入してそれがしのペットのジャイアントモールを殺した冒険者に使ってみたんでござるが  
 その男はここに来た瞬間精神の崩壊を起こしたでござるよ。」  
 ちょっと待て!んな凶悪なのかこれは!  
 
「まあ慣れてるからな…お前そろそろ名前くらい教えろよ。」  
「ふむ…まあよかろう。キアラ・フリージア・マインドリード。属性からドラゴンは名前がつくでござる。」  
「で、キアラ。こっからどうするんだ?まだやる気だろ?」  
 目の前のどら子…もといキアラはにやりと笑った。有利に立っているものの笑みだ。  
 
「ここでは、それがしの思い通りでござる。無駄な抵抗はやめて降参するがいい。」  
「ふぅ…」  
 大喜びの彼女にため息をつく。どうしてこんな…甘いんだろうか。  
 
「ここの支配権なら半分はすでに回収したぞ。お前の魔力が強すぎてさすがにそれが限界だが。」  
「な、なにっ!!!!」  
 彼女はあわてて驚いている。  
 
「魔力の使い方が荒いんだ。強いから問題ないんだろうが…。」  
「おぬし…本当に人間でござるか?」  
「人間だからだよ。弱いからな。」  
 どうも納得できないらしく首をかしげている。  
 
「まあいいでござるよ。主の過去から遡って崩してやるでござる。」  
「あ、おいこらやめとけどら子!」  
 静止も聞かず、場面は変わる。子供の頃の俺の体に二人の精神が入っているらしい。体は動かないが、  
俺の感じていたものらしい感情は伝わってくる。  
 
「どんな性格の悪い生き物でも小さい頃はかわいいでござるな。」  
「楽しんでるな。お前…。」  
 忘れかけた親の顔。もううすらぼんやりとした幼い頃の記憶が鮮明に思い起こさせられる。  
 確かにこれはきついな。俺は覚悟を決めた。  
 
 おだやかな日常が続く。どら子はそれを眩しそうに見ているようだが…。見覚えのある森。これから  
起こる悪夢をこいつは知らない。  
 
「な、なんでござるか?」  
 馬の駆ける音。あわてる森でのキャンプを楽しむ俺たち。貴族の紋章。目の前で父親の額に突き刺さる矢。  
 
「ひあっ!!」  
 戸惑っているのだろう。幼い心に吹き荒れる感情の嵐に。俺も辛い。だが俺にとっては乗り越えた辛さ。  
 
「や、やめるでござるよっ!いやっ!」  
 かなりの部分で同調しているせいだろう。どら子から悲鳴が上がる。目の前で斧を振りかぶる醜悪な顔が映る。  
 
「あ…あ…」  
 強いもの。敵などいないはずの彼女にとっては初めての類の恐怖だろう。子供の俺は急所に向かって  
頭をぶつけ、男の落とした斧を拾い上げる。  
 
「え…っ」  
 怒りの感情の爆発。悲しみにくれながらも心は折れていない。ベルを頼むと常々いっていた叔父さんの  
言葉を支柱にして生きるために振りかぶる。  
 
「あ…や、やめっ!だめええ!」  
 躊躇なく振り下ろした。まきを割るためのそれは男の頭を割った。すでに回りは阿鼻叫喚と化している。  
 女は犯し殺され、男は狩の獲物といわんがばかりに追い立てる。俺はベル一人だけを連れ、手を引き  
全てを捨てて逃げた。  
 
 村にかろうじで生きて戻った俺たちは何故か殺人者の烙印を押されていた。まあ、俺に関しては  
間違いではない。捕縛された。  
 ベルは震えて動けず、俺は諦めずに胸を張っていた。  
 
「なんで………」  
 処刑があっさりと決まり俺は処刑場へと引いていかれた。首に刃が落ちる。  
 
「…いや…ぁぁぁ……」  
 だが、気がつけば何故か俺は町を越える山の上で村を見下ろしていた。手持ちには少しの食料と水。  
そして手紙。あて先は俺にいつもほらを吹いていたじいさんだった。俺の変わりに身代わりになって  
時間稼ぎをすると書いてあった。俺は振り返らず、ベルを連れて山を降りた。……しばらくして振り返ると  
村は燃えていた。  
 
 改めてみると俺もよく生きてるなと思う。  
 
「おい、どら子…?どら子!!」  
 ようやく俺はまずいことに気づいた。どら子の反応がない。さっきのショックが大きすぎたせいか、  
放心してしまったらしい。精神世界ではそれは死を意味する。  
 
「しっかりしろ!馬鹿!!しゃあない!!」  
 俺は自分に残っている支配の力を全て使ってどら子を元の部屋へと戻した。あそこならましだろう。  
後は祈るだけだ。そして俺は…  
 
「うんざりだな…」  
 どうやら全て見させられるはめになるらしい。  
 
 
 
「うう…ん。」  
「気がついたか。」  
 全てを見終わり、俺も部屋へと戻っていた。中には俺自身覚えていない事実、  
どうしてベルとシルビアが暫く仲が悪くなったのかなどの真実も混じっていた。  
 俺もどうしょうもないなと思う。  
 
「やああっ!!いやっ!!!」  
「ああくそっまだかっ!しっかりしろ!もうだれも来ない!!」  
 気づくと再び暴れる。力が強いせいで俺の腕力では取り押さえることすらできない。  
 
「仕方がない。ショック療法っ!!」  
「むぐ…ん…!!!」  
 彼女の口を強引に塞ぐ。1、2、3、4,5…少し甘い。戦う前に食べたお菓子のせいか?  
 
「……ぷはっ!なっなにするでござるかっ!!!!」  
 正気にもどったどら子が顔を真っ赤にして俺を突き飛ばした。  
 
「よかった、戻れたか。どら子。」  
「どら子違うっ!…そうかそれがしは…なぜ助けたでござるか。ほっておけばお主の勝ちであったのに。」  
 俺は呆れたように苦笑していった。  
 
「あほかお前は。」  
「あほとは失礼なっ!」  
「助けるに決まってるだろうが。お前、マオの知り合いだろう。それに親父さんも悲しむぞ。死んだら…。」  
「あ…」  
「遊びは取り返しのつくところでやめるのがいいんだ。後はごめんなさいで終わりだ。それに俺の過去みたろ?  
 俺は奴隷なんていらん。」  
 俺は笑ってやった。目の前の青い少女も苦笑している。  
 
「遊びでござるか。それがしは本気で殺す気だったのに。」  
「ルールを決めてする戦いなんざ遊びさ。ちょっと危なかったけどな。強くて。準備もなかったから  
 続ける気なら降参する気だったよ。」  
「あそこまで苦戦するとは思ってなかったでござる。準備されてたら…人間は強いでござるな。」  
「弱いから工夫するんだ。作戦を立て、落としいれ、複数で戦い…いつかは勝つ。さてこれからどうする?」  
「この空間は外の時間で3時間、こちらの時間では感覚的に一週間は帰れないでござるよ。  
 ああ、食事は必要ないけど。」  
 俺は頭を抱えた。このダメドラゴン…自分の技なのに解除もできないのか。  
 
「けりつけるか。支配権は全部お前にいってしまったが…」  
「助けられたのに有利な条件では戦えない。そちらが決めるといいでござるよ。」  
 なんか心なしか態度が柔らかくなったような…それにさっきから落ち着きなく挙動不審だ。ふむ…  
 
「まさか、キス初めてだったのか?悪いことしたな。」  
「そ、そんなわけないでござろう。き、キスくらい…」  
 間違いないな。考えてみれば当たり前か。ずっと引きこもってたみたいだしな…。部屋を確認する。  
予想通り俺の部屋らしく、魔法の道具はそろっている。  
 
「じゃあエッチなことはしたことあるのか?そんなわけないか。もてなさそうだし。」  
「もちろんあるでござるよっ!!それがしならば選り取りみどりでござる。」  
 どこまでもちょろいどら子だ。ここまで来ると可愛いかもしれん。必死であたふた弁明する彼女を見て  
心底そう思った。  
 マオすまん。男と女が一週間も同じ部屋にいるんだ。仕方ないよな。と心の中で言い訳してみる。  
 
「じゃあ、こうしよう。俺はどら子…もとい、キアラを気もちよくする。キアラは俺を気持ちよくする。  
 先に気持ちいいって言わせたほうが勝ちだ。どうだ?」  
「そ、それは…」  
 顔を赤くしてしり込みするどら子に、意地の悪い笑みを浮かべて続けた。  
 
「無理にとは言わないけどな。流石に250年も生きてて未経験のやつには無理だろうし。」  
「お、おぬしのようなへたくそなぞ、相手にならぬでござるよっ!!」  
 あっと驚いたような顔をするどら子。勿論ここまできたら逃がしはしない。自分より  
少しだけ低いところにある端正な顔の唇に再び口付けた。背中から抱きしめると俺の胸でそこそこ  
あるどら子の胸が押し付けられるのがわかった。たっぷり20秒ほど口を合わせ続ける。  
 
「うう…。」  
 見上げる何かいいたげな困ったような顔。薄い服から感じられる肌が熱をもってきているのが  
わかる。少し震えているようだ。  
 
「かわいいな。キアラ。」  
「おぬしは誰にでもそういっているのでござろう。」  
「いや。俺は正直だから、本当にかわいくないとそうはいわない。」  
 今度は軽く触れるように口を付ける。  
 
「こういうのもかわいい相手にしかしない。」  
「おぬしは人間でござろうに…それがしはドラゴンだぞ。怖くないのか!」  
「関係ないな。」  
 すでに手遅れだ。スイッチは入ってるし、最早ドラゴンくらいでは驚かない。魔王と勇者と  
いった前例もあるしな。  
 
「俺は勝つからな。ちゃんと気持ちよくさせてやる。」  
「お、おぬしこそすぐに…その…負かせてやる。」  
 その精一杯の強がりをいって笑う彼女が本当にかわいく思え、馴染み深いベッドへとゆっくりと  
押し倒した。  
 
「変身した後みたい…」  
 後で聞くとどうも、ドラゴンに変身すると抑えてある、自制心が少し緩むらしく、変身した後は  
大変らしい。  
 彼女を寝かせると、上を脱ぎ俺はゆっくりとキスをし、触れるだけで反応するどら子を怖がらせないよう、  
とにかく、優しく体を触ることにした。すらりと長い足の太ももに触れる。  
 どら子は自分の体の反応に驚いたような反応を見せながらも熱い息を漏らす。  
 
「大丈夫か?」  
「あ、あたりまえでござる。」  
 少しだけ顔を離し、声をかけるとまだ強がりをいっていた。  
 俺は頷くと、キスをしながら華奢だがそこそこある胸を押しつぶし、抱きしめ、同時に秘所へと手を伸ばす。  
 
「ひっ!な、なにが…」  
 触るだけで体が跳ねる。ずいぶんと敏感なようだ。自分でしたこともないのかもしれない。  
 体を強張らせて愛撫の快楽を堪えようとする彼女の隙を突くように脱がせやすい和装を手早く脱がしていく。  
 
「あっやめ……!」  
「負けでいいのか?」  
「う…いや…その…恥ずかしいでござるよ…。」  
「綺麗だから恥ずかしがることないさ。」  
 事実だ。肌は滑らかで程よく筋肉もついており、健康そうに張りを与えている。女性としてみれば赤い瞳も  
神秘的で美しい。手際よく下着だけの姿にする。拒む様子もない。その間にも下では愛撫を続ける。  
 
「あ……ん…」  
 口から少し甘い声が漏れ自分でそれに気づきこらえるように懸命に口を閉じる。ちゃんと濡れている  
ことを確認すると俺は少し意地悪な気分になり、聞いてみた。  
 
「やめたほうがいいか?」  
「えっ…」  
 困惑した表情を見せた隙に、下着の中にすばやく手を伸ばし一番敏感な場所を摘んだ。  
 
「〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!」  
 瞬間、どら子の体がこわばり力が抜けた。…もうイったのか?  
 
「はぁ…はぁ……なんでござるかいまのは……」  
「気持ちよかったか?」  
「ぜ、全然でござるっ!!」  
 ひっかからなかったか。どちらにしろやめる気もないが。俺は彼女が落ち着くのを待ち、  
指をいれ、乳首を舐めて転がす。そしてすぐに体がこわばる。もしかして…  
 
「随分感じやすいんだな。」  
「し、知らないっ!」  
 はじめてみたが、女の早漏というやつだろうか。なんにせよ、もう準備はできているようだ。  
 力の抜けた彼女から下着を剥ぎ取ると、力をの抜けて放心している彼女の足を開いて  
腰を掴みゆっくりと挿入した。  
 
「ひあっ!!やあああっ!!」  
「つっ!」  
 半分も入らないうちに愛液を噴出し、中が閉まる。どら子の中は体が発達している割には  
狭く、しかもすぐにイクため、痛みすら感じた。  
 
「キアラ。息をゆっくり吸え。」  
「ううう……ふ〜………」  
「よし、ゆっくりは吐け。」  
「ふ……ってああっ!ううくあっ!痛!あああっ!何っ!!」  
 どら子が息を吐き出すタイミングを計って俺は一気に処女を奪った。彼女はなみだ目で  
俺をにらみつけている。  
 
「ううう、酷い。痛かったでござるよ。」  
「すまんすまん。じきに慣れるから。」  
「そういう問題じゃないでござる。それがしの初めて…あ…」  
「初めてだったのか。それは悪かったな…」  
 自分の失敗にいまさら気づいたのか本気でなきそうになっている彼女の頭を撫でた。  
 
「子ども扱いするな!それがしのほうが年上でござるっ…やっ…動かないで…」  
 ゆっくりと腰を動かすが、痛みを感じている様子はない。愛撫も休まずいっているおかげか  
体もほぐれてきている。余裕ぶってはいるが、俺のほうも少し辛い。どら子の体がよすぎる。  
 ちょうどいい大きさの胸。程よくしまった体。中も俺にちょうどよく快楽を与えてくる。  
 
「いやあ、やめるっ…ああっ!!ござっ…」  
 必死で理性を保ちながら、どら子の体へ叩きつける。俺が2.3回腰を打ち付けるたびに  
どら子は軽くイっているらしく、快楽で顔がゆがんでいた。それすらも愛おしく、俺を  
獣にしようと駆り立ててきた。だが、それもなんとか堪えて傷つけないように抑えて突く。  
 やがて中がひくつきだした。俺は併せるようにスピードを上げた。  
 
「やっ!頭が真っ白に…やめてっ怖いっ!!!いやいやっ!ひああああああっ!!!!」  
 大きくイったのと同時に奥まで突くと俺は自分の欲望を吐き出した。  
 
「あ……あ……中に…なにかが…っ」  
 ぴくっ…ぴくっ…と俺のモノを咥えたまま痙攣する彼女の頬をゆっくりと触る。  
 
「気持ちよかったか?」  
「あ…う……気持ちい……よくないで…ござる。」  
 放心状態で思考力も残ってないだろうに、対したプライドだ。モノを抜くと接合部から  
どろっと精子がこぼれた。自分でも信じられない量が出た。今までで最高の相性の体かもしれない…  
 
「終わりでござるか…。それがしの勝ちでござるな。」  
 色々失ったような顔をしながら彼女は勝ち誇って笑っていた。だが…  
 
「今のは準備体操みたいなもんだ。どら子初めてっぽかったから…な。最初はいい思い出に  
 しておかないと。」  
「……どういうことでござるか?」  
 まだまだ甘いというか…いや、警戒心がないというより行き当たりばったりなんだろう。それで  
なんとでもなるのだ。こいつは…。だが、俺は違う。  
 
「支配権しばらくもってたんだ。俺の記憶は大体わかってるだろう。」  
「ん…?」  
「さっきの行為の間にお前から魔力を少し奪ってそれを元に全て支配権を奪い返した。」  
「な、なにっ!!!!」   
 俺はにやりと笑う。  
 
「俺は命とられかけて仕返ししないほどお人よしじゃないってことだ。どら子にも無力っていうのが  
 どんなもんか理解してもらおうか。」  
「そ、そんな…」  
 どら子は呆然として俺を下から見上げている。  
 
「魔王だろうが勇者だろうが貴族だろうが関係ない。ドラゴンだってな…お仕置きの時間だ。」  
 俺から不吉な予感を感じ取ったのだろう。どら子がおびえて震える。  
 
「そ、それがしの負けでいいから…やめるでござるよ…」  
「ちゃんとルールどおり言わせてやるから遠慮するな。」  
 俺は集中すると、部屋の中から太目のロープを召還した。  
 
「な、なんでござるか…」  
「こいつはちょっと不評でお蔵入りしたものでな。結局シルビアに売ったんだが…。こいつは俺の  
 思うとおりに動くんだ。長さも自由、力も強くてこんなこともできる。」  
 ロープはどら子の両腕に巻きつくと上からつるすように立ち上がらせる。足を少し宙に浮かせ、  
逃げられないようにした。  
 
「うわ!降ろせ!おろすでござる!」  
「もちろんそれだけじゃ芸が無いからこんな機能もつけた。」  
「ひゃっ!!」  
 俺がぱちっと指を鳴らすと巻きついているロープがぬるぬると湿り気を帯び始める。  
 
「いやっ!ぬるぬるして気持ち悪い…うう、どうして…はずれないのっこれくらいっ!!」  
 必死で暴れるが少しも解ける様子は無い。力も普通の少女に抑えたのだ。俺は集中すると  
芋虫を這わせるように綺麗な裸身へと絡ませていった。  
 
「うっ……やぁ…そこは…ひっ!」  
 魔法のロープに愛撫を続けさせている間に、ローションを取り出す。探す必要が無いのが  
便利だ。それをねっとりと指につけるとどら子の後ろに回る。  
 
「な、な、なにを……」  
 色々な場所をランダムに刺激するロープに翻弄されながら不安そうな声を漏らす。  
 俺は少しかがむとゆっくりとローションを塗りつけた指を彼女の後ろの穴に突っ込んだ。  
 
「ひっやだやだっ!!いやっ!!そこはっ!!!」  
 新しい刺激を受けて背中をそらして反応するが、俺はやめずにほぐすように何度も出し入れする。  
 
「これからこの空間が解けるまで、お前を俺のものにする。精神体だから戻ったら元通りだろうが…  
 悔しくて戦いたければ何度でも相手してやる。とりあえず、今の勝負だな。」  
「勝って…く……絶対殺してやるでござる。」  
「強がりをいえるなら上等だ。後ろの処女ももらうぞ。」  
 俺は少しだけ、ロープを下ろすと後ろの穴に自分のものを突っ込んだ。  
 
「ひぐううううううっ!!!裂けるっ!!いやああああっ!」  
「くっ」  
 さすがにきつい。だが、俺の特性ローションがうまく潤滑油になり、奥まで入った。  
 
「どうだ、何もできない気分は。」  
「最悪で…ござるよっひあっ…あん…なんで…っ!」  
 ロープは細めにまとめて豆を刺激させ、胸にはねっとりとまきつけ、俺自身は後ろを犯す。  
 そんな場所で感じている自分を不思議がるようにどら子はもがく。  
 
「どうした?気持ちよさそうだぞ?」  
「そ、そんなわけ…あ……ないっ……ひゃっ…息をっ!耳に息を吹くなっ力がっあああ!!」  
 どら子の体が震える。愛液はもうベッドに水溜りを作り、えんえんたれ流されている。  
 
「少しいったな。ほら、どんどんいくぞっ!」  
 俺は肉付きのいい尻を掴むとバックで宙に浮くように足を持ち上げそのまま尻の穴を  
蹂躙し続けた。  
 
「やああっ。っうあっ…だめっ体がっああ…ひああああっきゃあああああああっ!!」  
「出すぞっ!」  
 俺は後ろに思い切り吐き出し、ゆっくりと抜く。尻の穴でイったショックからか放心しているが  
容赦はしない。ロープを少し太めに設定すると不意を突くように前の穴に突っ込ませた。俺自身は  
背中から全身を舐め、触っていく。余すところ無く、自分色に染めるように。  
 
「うあっ…動かないでっ!ああんっ」  
 感度のいい彼女の体を休まずに攻める。ロープなので彼女がいっても関係なしだ。その間ひたすら  
いろんな場所を俺は愛撫しつづける。どら子から、徐々に理性的な言葉がなくなっていく。  
 
「ひゃあああんっだめええああああいくっ…うわああとめてっ……だめっ!!いくっ!!」  
 何度も大量の潮を吹く。体力までは奪っていないためか、まだまだ大丈夫そうなのは  
さすがドラゴンというところか。愛撫だけでは我慢できない。俺も彼女の体を存分にむさぼりたい  
要求が我慢できないほど強くなってきていた。そのときにはロープは二つに別れ、前と後ろを  
同時に攻めている。  
 
「このまま、ロープと俺とどっちがいい?優しくしてやるぞ?」  
 我慢は限界だった。  
 
「か、カイのほうが………」  
 俺はロープを解くと彼女に襲い掛かった。  
 
 時間の概念が薄いせいか疲れも無く、食事もいらず、今はもうすでにお互いの酷い体臭だけが  
部屋には存在していた。俺自身も10回までは覚えていたが、今はただ自分の要求を満たすために  
彼女をむさぼっている。勝負のほうはあの後すぐについた。今ではどら子も自分から腰を振り  
快楽を得ようと貪欲に腰を動かしている。少し前まで処女だったとは信じられないほどだ。  
 今まで溜め込んでいたものを一気に吐き出しているのかもしれない。元来ドラゴンは好色らしいし。  
 
「カイどのっ…気持ちいいっ!!もっと!もっと突いて!」  
 手持ちのありとあらゆる道具を使い、知る全ての性技を使う。前も後ろも口も犯していないところは  
全身のどこにもない。  
 今は魔法で作ったメイド服姿の彼女を後ろから犯す。  
 
「ちゃんと教えたおねだりをいってみろっ!!」  
「そ、それがしは…人間に犯されて喜ぶっだめなっ…ドラゴンっ…ですっ!」  
「よく言えたな。お前は最高だ。ほらっご褒美だ。」  
「ああんっ♪」  
 時に彼女が上になり、獣のようにお互いを求め合う。もう、初めの仕返しといった感情は  
かけらもなく、ただただ本能に忠実だ。俺はそのまま彼女の中に何度目かわからない精を吐き出す。  
 どら子も自分の体をコントロールする術を覚えたらしく、うまく併せてくる。さらに時間は過ぎていき、  
 
 
「くうっ!キアラ…いくぞっ!」  
「カイどのっ……うあそれがしもっ……ああっ!!」  
 
 足を巻きつける彼女を正上位で激しく突き、二人同時にイった時、俺たち二人の意識は薄れていった。  
 
 
 じゃぶじゃぶ…とお湯が流れる音が響いている。ここは、どら子の館にある温泉だ。  
 俺はそこにマオと二人で入っていた。濁っているが泉質はいいそうだ。  
 
「しかしさすがだなっ。カイは。なかなか楽しかったぞ。人間でドラゴンにタイマンで勝つなど  
 はじめてみたわ。」  
「竜王を倒したってやつは?」  
 マオは顔を下に向けるとうなるように、  
 
「やつは全属性を持つ最強のドラゴンじゃ。わらわと互角の力を持っておった。だがやつは…。  
 油断から勝負を相手に選ばせてしまったのじゃ。負けたら戦争から手を引くと。」  
 なるほど。と俺は思う。強いやつが負けるときってそういうもんだ。  
 
「あの詐欺師はこういった。酒で勝負だと。そして竜王は下戸だったのじゃ。」  
「…………マオ……………」  
 俺はもうなんも言葉が出ないよ。  
 
「ちなみに…俺は何点くらいだ?」  
「70点っ…と言うところ…ぅ…かのう。」  
「厳しいな…。」  
 マオは上機嫌で俺の体にその小さい体をすっぽりはいるように上に乗り、彼女の命令に従って  
後ろから抱きかかえてゆっくり中を突いていた。  
 
「ちゃんと温まれよ。凍傷が酷くて癒さなければ危なかったぞ。」  
「げっ…やっぱりか。」  
「ふふ、ここの温泉は色々な効能があってのう。勢力増強と……」  
「子宝に恵まれやすくなるでござるよ。」  
 マオの声を遮って新たに入ってきたのは、どら子…もとい、キアラだった。長いバスタオルを  
体に巻きつけ俺たちの隣へ座る。長いポニーテールは解いているため、腰より長い髪が水に広がる。  
 
「ひゃんっ!あ…こらっ!」  
「………?」  
 幸い湯の中は見えないので、いたずら心で豆を摘んだりテンポを変えて突いたりすると  
さすがに恥ずかしいのか、顔を赤くして下から殴られた。俺はやめずにそのまま中に出した。  
 同時にマオもイく。どうやらキアラも気づいたようだが見てみぬふりだった。成長したな…  
 
「次第に体だけじゃなく、性格も丸くなっているシルビアを見たら羨ましくなってな。  
 わらわにも産めるのか、妊娠したとして何か変わるのか知りたくなってな。ここが目的だったのじゃ。」  
「なるほどな。って…どら子と戦う意味ないじゃないか。」  
 俺たちのやり取りを見ながら、どら子はくすくす笑っていた。  
 
「色々学んだでござるよ。魔王様のおかげで。」  
「そうか。よかったな。キアラ。」  
「ええ、人間は面白い。父のいってた意味がようやくわかったでござるよ。だから、しばらく  
 あの侯爵に世話になろうかと。」  
「なんじゃとっ!」  
 名案とばかりに頷いている彼女の言葉にマオは驚いていた。  
 
「そういえばおぬし、何故そんなにひっついておるのじゃ。離れぬか。人間嫌いじゃないのか。」  
「カイ殿は特別でござるよ。そうそう、カイ殿。帰りは送っていきますゆえ。」  
「おー。いいのか?」  
「ええ、契約は交わさないとだめでござるが。」  
 俺の顔を見つめながら続ける。  
 
「竜族がの上に乗せる異性は生涯に一人だけ。同性はいいんでござるが…。」  
 
 そういうと俺の手を掴み、爪を少し尖らせて突く。じわっと浮かんできた血の玉を指ごと  
口に咥えると指を愛撫するように舌を動かした。唾液の糸を張りながらゆっくりと指を離す。  
 
「おわりか…んんっ!!」  
 フェイントだった。にやりと笑うと俺の唇に思いっきり吸い付き、舌を絡める。体は処女の  
はずなのにこれは…。たっぷり時間をかけてようやく離す。  
 
「おい、キアラ。契約に最後のは余計だぞ。」  
「いやいや。必要でござるよ。最後のは魔王様含めそのほかの方々への宣戦布告でござるゆえ。  
 まあ、竜族は一夫多妻なので仲良くやっていいんでござるがな。」  
「おい、カイ。どういうことだ…?」  
 熱いお湯の中なのに冷や汗が流れる。  
 
「そ、そうだ。契約するとどうなるんだ?」  
「えっと…近くにいるとき少しだけ魔力を共有できるのと…後は…後は……  
 いろいろでござるよ。」  
 いろいろっておい…。俺はどら子の頭にチョップを食らわす。  
 
「よくわからない能力は使うなっていったろうが。」  
「でも、契約したかったし…。負けは負け。それがしは役に立ちたいでござるよ。それに  
 責任もとってほしいし…」  
 可愛すまなさそうな顔でいうどら子を見てると怒る気もうせ、頭を撫でた。  
 気持ちよさそうに微笑む。犬みたいだな…。そういえば竜王の娘なんだよな。親父は  
大丈夫なんだろうか。  
 
「おい、カイ。誤魔化すな。」  
 う…  
 
「帰ったら全員の前で説明してもらうぞ。」  
「えー、それは恥ずかしいでござるなあ。お子様の魔王様にはちょっとはやいでござる。」  
 その返答を少し顔を赤くしたどら子から聞いたマオの笑顔はかつてないほどの恐怖を  
俺に与えていたのはいうまでも無い。  
 
 

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