シュタインベルグ城に着てから随分たった。  
 スラムで生きてきた俺──じゃなかった、私にとっては本来一生縁のない  
はずだけど、師匠に弟子入りしたことで住み込むことになってしまった。  
 
 師匠───カイ・リスターは超一流(シルビア様は紙一重といっていた。)の  
魔法技師であり、武術から政治まで幅広くこなす私から見れば超人みたいな人である。  
 この間はついに竜まで友達にしてつれてきた。本当に人間なのかな。  
 だけど、普段の態度はちょっとぬけてて調子がいい明るいお兄さんみたいで、  
凄い雰囲気は微塵もない。私は尊敬している…当人の前じゃ絶対っ言わないけど。  
 
 
(私もこんな人になりたい…)  
 
 
 そういうわけで、私ことシン・ロシェーヌは先日、いろんな人に強さの秘密を  
聞きこんでみたんだけど…その結果どうなったかは忘れることにしたので忘れた。  
 思い出すだけで顔が紅潮してなんだかむずむずしちゃうから。  
 いや、忘れたんだってば!  
 
 でも、やっぱり不思議だ。気になるものは気になるのだ。  
 師匠の強さの秘密…そういうわけで、私は再び師匠の強さの秘密を探ること  
にしたのだった。  
 
 師匠の朝は早朝から始まる。真珠亭にいたころはもっとぐーたらなイメージが  
あったけどこちらに着てからはそんな無頼な感じは消えた気がする。  
 ベル姉さんなんかは昔に戻ったみたいなことを言ってた。  
 
 一通り体を動かし、政務に取り掛かる。合間の休憩に私に戦闘訓練の稽古を  
つけてくれたり、魔法の講義をしてくれる。  
 書類仕事は嫌いだとか言ってる割にシルビア様と二人で取り組んでる姿が楽しそうに見えるのは気のせいなんだろうか。  
 
 夕方はみんなで食事。シルビア様は賑やかなのが好きなので身分とか  
気にせずみんなで食事をしている。  
 新しい竜の人──青い長い髪の古いしゃべり方をする綺麗な女性──キアラさんも一緒だ。  
 シルビアさんと気があったらしく、和やかに談笑している。  
 
 そして、夜───師匠が不自然なことを毎日していることに気づいた。  
 空き部屋のはずの場所に、交代で誰かを伴って中に入るのだ。一緒なのはこの城でも  
一流の人ばかり…ま、まさか!  
 
 私に天啓が閃いた。きっと師匠はここで秘密の特訓をしているんだ!  
 
(さて、覚えたての魔法だけど。魔法のランプにセットして誤魔化せるように魔力を  
同調させて…っと。)  
 数日後、例の空き部屋に覚えたての魔法で細工を用意する。これで師匠の強さの秘密がわかって私も強くなれるかも!  
 私は、期待で胸を膨らませながら夜を待った。  
 
 
 そして夜───  
 
 
 よし、見える見えるっと。私は例の空き部屋の隣の部屋で待機していた。用意したのは  
探知系の魔法、「遠視」と「盗聴」。私の魔力は探知系を得意としているらしく、この二つは  
数少ない私の得意魔法になってる。  
 遠視の魔法は魔法の範囲の情景が脳裏に送られるというものだ。瞼を閉じればかなり  
クリアに部屋の状況がわかる優れものだ。持続時間も長く、魔力を切断しない限り続く。  
 盗聴の魔法はそのままだ。部屋の音を広い耳に届ける。  
 お、きたきた。魔法のランプに偽装した遠視の魔法で確認する。今日師匠と一緒に  
入ってきたのは綺麗な黒髪の自分と同じくらいの年頃…といってもたまに男と間違われる  
私と違って、美しさ、気品、知性…そして自信に満ち溢れた少女…マオ様だ。  
 さて…  
 
「…心配……竜…契約………大丈……」  
「……あたり……程度…」  
 
うーん、聞きづらいな。危ないけど少し盗聴の魔力を強めて…これでどうかな。  
 
「ふふ、ならばよい。最も何があってもわらわが守ってやる。」  
「言うほうと言われるほうが逆だ。」  
 
師匠は幸せそうな顔のマオ様の小さな頭を抱き寄せるように腕を回し、少し困ったように  
笑っている。  
なんかいいなぁ…。…って…えええ!  
 
「ん…カイ…ちゅ…ん…っ!」  
 
 お、おお、大人のキス〜〜〜っ!!?!?  
 師匠がマオ様の顔を自分のほうに向け唇をあわせる。マオ様もそれを拒まず、年に  
相応しくない妖艶な光を瞳に漂わせながらそれを受け入れている。  
 
 心臓がどきどきと早く脈打ってるのがわかる…。これ以上見ちゃいけないのに…。  
 私は魔力の切断をすることができなかった。  
 
「ん…ぁ……」  
「マオ…」  
 
 マオ様の寝間着を慣れた手つきで脱がし、師匠も服を脱ぐ。マオ様の羨ましいくらい  
綺麗な白い肌と、古傷だらけで逞しい…あれ以来、夢にまで出る男らしい体…  
師匠が優しくマオ様を抱きしめる。  
 
(あの感触…男の人の体の…あの時みたいな…)  
 
 近くにいるだけで、どきどきしたのに抱きしめられたらどうなるんだろう。  
 マオ様を自分に置き換えて想像してみる。…体が火照る…。師匠のことを考えたときに  
たまに感じるよくわからない感覚。それが普段の数倍の強さで体を襲ってくる。  
 
「う…ぁ……んんっ!」  
 
 師匠の口と指がまだ成長しきってないマオ様の体を這う。そのたびに気持ちよさそうな  
女の私でもどきどきするような甘い蕩ける声を…。あれ?一瞬マオ様がこっちを見たような…  
気のせいかな。  
 
(気持ち…いいのかな…)  
 
 罪悪感めいたものを感じつつも、私の手は師匠と同じように以前より少し成長した  
自分の体をまさぐっていく。師匠が触っているように想像しながら。  
 
「あっむぐっ!!」  
 
 声が出そうになったのをなんとか堪える。な、なんだろ…痺れるようなのが走ったような…。  
 落ち着いたところで今度は力を加減しながら…師匠とマオ様の行為を自分でなぞっていく。  
 ぴちゃ………無意識に一番熱くなっていた場所を触っていた指にとろっとしたものが  
つくが気にもならない。意識は二人の性行為に集中しているのが自分でわかる。  
初めて見る大人の愛し合う行為。だけど…。  
 師匠はシルビア様と…じゃなかったのかな。そんな思考も浮かんだがすぐに快楽の波に  
押し流されていく。指の動きは刺激を求めてどんどん早まっていった。  
 
「カイっ!カイっ!いい、もっとっもっと突いてっ!!」  
 
 淫らな矯正とそれに答える師匠。そして、卑猥な水の音。  
 
(うっ、師匠っ!……師匠っ!!)  
 それを聞きながら私は指を秘所に這わせて激しく動かす。  
 
「ふあああ、イクっ!カイ!わらわと一緒にっ!中にっ!!」  
 
(うあっ!!な、なんかくる。怖いっ!止まらないよう!!)  
 頭が真っ白になるような感覚。体がぴくぴく痙攣し、上り詰めた後ゆっくりと波が引いていく…。  
なんだろういまの…。  
 私は荒い息をついて魔力の接続を切り、体を反転させてベッドに顔を押し付けた。自己嫌悪。  
 私ってえっちなのかな。  
 初めてみた性交と初めての絶頂の余韻に浸っていた私は開いたドアの音にまったく気づいていなかった。  
   
「ふふ、シン…。わらわは覗きはよくないと思うのじゃが…。」  
 その声に私は飛び起きた。ええっ!なんでっ!!  
 私のそばには寝間着を着なおしたマオ様がいたずらっ子のような笑顔を浮かべながら立っていた。  
 
「何故…といった感じじゃの。激務で疲れているカイはともかく、わらわが魔力に気づ  
かぬとでも思ったか?」  
 淡々と話している…けれども、感じるのは本能的な恐怖。普段どおりにしかみえないのに。  
 
「え、あ、その…。」  
 気迫に押されて、言い訳もできない。  
 
「ふん。しょうがないやつじゃ。…見てるだけじゃつまらなかろう。」  
 え…?意味が…マオ様がにやりと笑い私にゆっくりと近づいてくる。な、何っ?  
 
「男はカイ以外いらんが…お前は可愛い妹分。わらわが『いろいろ』教えてやろう。」  
 くすくす愉快そうに笑うマオ様。目が妖しく…なんだか別の意味で身の危険を感じるっ!?!?  
 
「そ、その、ごめんなさいっ!え、遠慮…」  
 しかし、マオ様はベッドに座っている私の前まで近づき綺麗な顔を近づける。そして、  
ゆっくりと言い聞かせるように、  
 
「なあ、シン。悪いことをしたらお仕置きしないといけない。お主の師匠がわらわに  
言った言葉じゃ。そのときのお仕置きを再現してやろう。」  
 にやりと笑った。その笑みは美しくも邪悪な魔王の笑みだった。  
 
 

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