「おっちゃんっ!この秘薬500にしてくんないか?」  
「困るよ〜カイ。あんたはいつも気前よく買ってくれるがそいつは1000するんだ。」  
「じゃ、こっちの魔石も買うからさ〜。まけてくれよ〜。」  
「わかったわかったよ!だが、その魔石とあわせて1100だ。これ以上まからん!!」  
「しゃあねえな。じゃそれで。」  
 前回の魔法アイテム作成で道具を作るのに必要な秘薬を使い切った俺は、ベルがシルビア  
の護衛として出かけ、マオはその魔王としての習性(?)からか宿屋周りのスラムの悪党どもを  
手下にするのに忙しいらしく、俺は一人で買出しに来ていた。値切りも成功しほくほくだったのだが…  
そんなときだ。  
 
「ち、近づかないで下さいぃ〜〜」  
 声がした方向を向くと、路地裏でくすんだ帽子をかぶった金髪の汚れた華奢な少年が  
三人のごつい男に絡まれていた。  
 まあ、男なら自力で何とかしろと俺は通り過ぎようとしたが、  
 
「そ、そこの格好いいお兄さん、お願いですから助けてください!!」  
「格好いいっ!!!………しょうがないなあ。」  
 なかなか見る目のある少年を俺は助けることにした。正直な奴だ。  
 
「おい、やめとけ。この辺の奴なら俺を知らないわけないだろう。」  
「「「ぐる…ウウウウウウウウウウウ…」」」  
 自慢じゃないが俺はこの辺りでは顔が利く…が、どうも変だ。この男たちは…  
 
「ヤクか?」  
 理性が残っていないらしい。操られてるのか…当身をあてても気絶せず、逆に暴れられて  
俺は壁に叩きつけられた。  
 
「ごふっ……こいつらなんだ…」  
「お兄さんっ!!!」  
「心配すんな。格好いい俺様がこんな三下に負けるわけないだろうが。」  
 にやりと笑って詠唱を始める…眠りの魔法だ。三人には微弱ながら魔力の波動を感じた。  
 時間さえあればそれもぬけて元に戻るだろう。俺は三人を順番に眠らせると助けた  
少年に向き直った。彼は憧れの視線で俺を見つめて礼儀正しく頭を下げた。俺は軽く  
もう大丈夫だと頭をぽんぽんと叩く。  
 
「おい、坊主。あんなとこに行くと危ないぞ。」  
「助けていただき有難うございます。急に襲われて…。」  
「なんか変だったな。こいつら。」  
「僕が声をかけたら急に………お兄さんはなんともなりませんね。」  
 不思議そうに言う少年。  
 
「俺は特別だからな。格好いい男はあんなふうには理性を失わないんだ。」  
 脳裏にシルビアが嘘付けっ!!と叫ぶ映像が浮かんだが無視する。  
 
「まあなんだ、なんでこんなとこに。ここはスラムだぞ。お前さんいいとこの出だろ?」  
 少年は汚い身なりながらも丁寧な礼儀と仕草を持っていた。この辺に住むものとは明らかに違う。  
 
「その迷い込んでしまって……フォン・シュタインベルグ伯爵……という方を探しているんです。」  
「シュタインベルグ……シルビアか。いいぞ、会わせてやる。」  
「え、伯爵をご存知なんですか!?」  
 少年は驚きと尊敬の視線を向けて叫んだ。俺がもし嘘言ってても信じそうだなこの子。  
 
「この強さ……僕の魔力が効かない……そして、魔法の上手さ……貴族との人脈……まさか賢者様っ!!!」  
「賢者?なんじゃそら。シュタインベルグは侯爵だ。まあ、親戚かなんかだろ。  
ほらこい…夜あいつは遊びに来るからその前に風呂はいっとけ。」  
 俺は少年の帽子の上から頭をぐりぐりやると、荷物を持って宿への道を再び歩き出した。  
 
「け、賢者様!なんですかこれは!?」  
 どうにも厄介な奴を拾ったようだ。おやっさんに風呂を借り、入るようにいったのだが  
どこまでも世間知らずなのか、少年はシャワーの存在すら知らないらしい。仕方ないので俺が  
風呂に入れることにした。なんか構ってやりたくなる少年だ。  
 
「しょうがねえな。今日は一緒に入ってやる。」  
「え、でも…賢者様…」  
「ほら、さっさとしろ。使い方も教えてやる。」  
「わ、わかりました。先入っていてください!すぐ行きますっ!」  
 シャワーを少し浴び、湯船に使っていると少年が入ってきた。  
 
「お前…なんで胸までバスタオルで覆ってるんだ?」  
「えっ…だって…。」  
「まあいい、そこ座れ。シャワーは蛇口を開けば水が出るようになってる。」  
「へー便利ですねー。」  
 俺は小さい椅子に少年を座らせると髪用の洗剤を頭につけて洗ってやった。  
 彼はくすぐったそうに身を少し竦める。  
 
「帽子かぶってたから判らなかったが…お前、髪長いな。それに……綺麗な色だな。」  
「そ、そうですか?」  
 髪の毛をわしゃわしゃと後ろから洗ってやり、洗い残しのないように丁寧に仕上げていく。  
 くすんだ色は完全に落ち、残ったのは一本一本まるで一流の職人によって作られたかのように  
美しく、光り輝く金色の髪だった。男にしとくの勿体無いな…。  
 
「じゃ、次は体だな。そのタオル取れ。」  
「ええええっ!賢者様!僕一人で洗えますよっ!!!」  
 俺は少し笑って恥ずかしがってる少年に言った。  
 
「うちは、女ばっかだからなあ。たまには弟みたいな奴に構ってやりたかったんだ。」  
「で、でも…」  
「いいから取れっ!男同士で恥ずかしがることないだろっ!!」  
 ばっ!と少年のタオルを強引に取り上げた。女のような真っ白な肌に…………  
少し膨らんだ胸…………下は…………ついてないっ!!!!」  
 
「〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」  
 少年…もとい、少女は全身を真っ赤に染めて俯いていた。  
 
 
 風呂から上がった彼女にサイズ的にあいそうなマオの白を貴重としたゴスロリ服を着せると、  
そこには美しい流れるような金色の髪、澄み切った湖のような水色の瞳、庇護欲を誘う  
弱気そうな態度……どこからどうみてもお姫様な少女がいた。  
 
「事情を聞きたいな。俺はカイ。カイ・リスターだ。」  
「えっと…僕は…その…まだ名前がないんです…。」  
 なんかこんな話前にもしたような…。俺は脳裏に浮かぶ勝気な黒髪美少女を浮かべていた。  
 
「名前がない?」  
「えっと…笑わないでくださいね……僕……勇者なんです。」  
 俺はこめかみを押さえた。最近、超常現象に好かれているんだろうか…。嘘を言っている  
ようにも思えないし、タイミングがよすぎる。しかし、なんでお姫様っぽい目の前の少女は  
一人称が僕なんだ…。ギャップが…。  
 
「じゃあ、君の事はユウって呼ぶことにする。いいかな?」  
「はいっ!賢者様!!」  
 マオのときと同じように、名前を付けてあげると彼女は清らかに微笑んだ…何故だろう…  
俺にはこの子の笑顔がまぶしすぎるぜ。  
 
「で、賢者様ってなんだ?」  
「あ、はい、順を追って説明しますね。」  
 説明の内容は大まかにこんな感じだった。勇者は魔王が生まれると発生し、十年間  
勇者として戦い、魔王を倒すか死ぬか任期を終えると人間となる。記憶は次の勇者へと  
受け継がれていく。今回は何故か五百年経っていないにも拘らず復活してしまった。  
 
「しかし、さすが賢者様。僕の説明を聞いても全然動じないなんて。」  
 美しい金髪の少女はまるで少年のような口調で尊敬のまなざしを俺に向ける。  
 
「で、それで?」  
「えっとですね…歴代の勇者は魔王を倒すと時の権力者に酷い目にあわされてきたんですよ。」  
「そりゃそうだろうな。」  
 わからなくもない。権力者にとっては自分を脅かすものは全て敵だ。魔王を倒し、人望と  
名声を極めた勇者など邪魔なだけだろう。  
 
「で、僕の先代の勇者は一緒に戦った賢者様と恋仲だったので隣国……今のこの国に逃げたんです。  
 魔王に一族を殺されていた老シュタインベルグ伯爵は彼らを喜んで迎え入れて養子にし  
ました。ここで勇者としての記憶は無くなってますが…。賢者様がいなければ、  
 また、不幸は繰り返されていたに違いないんです!!」  
 要するにあれか…シルビアは勇者と賢者の子孫ってことか。あの剣術の天才、ベルと  
並ぶ剣の腕前と俺に少し劣る程度の魔力、剃刀のように切れる頭は……。  
 
「そこまでは、理解した。で、なんで俺が賢者なんだ?」  
「それは…。魔法力といい僕を助けてくれた格好いいところといい優しいところといい  
…そのあの…素敵だったから……ごめんなさい……勝手なこといって…ご迷惑ですよね。」  
 白いゴスロリ服を着こなした金色のお姫様は紅くなって俯いて搾り出すように呟いた。  
 俺は素直には喜べなかった……マオが中途で復活し、十代前半の容姿だったように  
この少女も同じくらいだったから……ようは、年齢射程圏外だった。泣くぞ。  
 だけど、俺はおくびにも出さずに少し微笑んでこの可愛い少女の頭を撫でた。  
 
 
「ふむ……そういうことでしたの。」  
 早めに晩御飯を食べにこちらに来ていた金髪縦ロール貴族、シルビアは金髪美少女…  
ユウから聞いた説明を俺から聞き、そう独白した。  
 ユウは水色の綺麗な瞳に困惑の色を浮かべながら、シルビアの膝の上で彼女に抱きしめ  
られている。  
 
「しかし、マオといいユウといい………なんで、こんなに可愛いのっ!!」  
「にゃぁ〜〜胸触らないで!いや、僕を放してくださいぃぃぃぃ!」  
「ふふ、大丈夫ですわ。痛くしないから♪」  
「ぼ、僕は賢者様のものなんです〜〜〜」  
「カイのセンスはいいわね。やっぱこの子には白が似合うわ。」  
「話し聞いてくださいよぉ…」  
 もはや、ユウは半泣きだった。ほんの少しシルビアにも似た彼女は抱きしめられていると、  
年の離れた仲の良い姉妹にも見える。だが、微笑ましい光景は長くは続かなかった。  
 
「カイっ!!!今帰ったぞっ!!!」  
 勢いよく宿の扉が開き、美しい黒髪に生気に溢れた勝気な黒い瞳の12.3歳の少女が  
飛び込んできた。マオは中に入るとまっすぐ俺に向かってきて首に手を回して抱きついた。  
 俺はそんな彼女の頭をやさしく撫でた。  
 
「ただいま。わらわは寂しかったぞ〜。ほら、ただいまのキスだっ!!」  
 軽く触れ合うようなキスをかわし、マオは俺の隣の席に座った。シルビアの膝の上に  
いた勇者の美少女は拘束から抜け出して、驚いたようにマオを見た。  
 
「なっ!!!!貴女は魔王っ!!!!」  
「むっ、その汚らわしい雰囲気は……貴様!勇者かっ!!!!」  
 犬猿の仲より仲が悪そうな二人の出会いに苦笑しつつ、なんとか取り持つために俺は  
動き出した。今日も長い一日になりそうだった。  
 
 
 シルビアは公爵主催のパーティに参加するため、再びベルを護衛として伴って出かけて  
いった。止めてからいって欲しかったのは秘密だ。  
 
 宿のほかの客に被害を出すわけにもいかないので、少し前に全力でマオと戦うために  
思いっきり強化した彼女の部屋に移動し、俺を挟んで黒いゴスロリ服の美少女と白いゴスロリ服の  
美少女はにらみ合っていた。  
 
「勇者…貴様は毎度毎度わらわの邪魔をしよって…」  
「魔王の野望はぼ、僕が止めるんだからねっ!」  
「お前ら仲良く出来ないのか?」  
 全くかみ合っていない二人の会話に苦笑しつつ、俺は司会進行をすることにし、  
 
「まずだ、ユウ。お前の目的はなんだ?」  
「世界制服を目論む魔王を倒して世界を平和にすることです!」  
「じゃあ、マオお前の目的は?」  
 マオは珍しく少し考えていたが、やがて自信満々に胸を張り高らかに宣言した。  
 
「ふふん、世界制服など下らぬことはせぬ。カイを伴侶にして我が友たちと面白おかしく  
 過ごすのがわらわの崇高な目的じゃ。」  
 可愛いことをいうマオの頭を撫でると、猫のように目を細め気持ちよさそうな表情になる。  
 そんなマオをユウはむーっと少し膨れてみていた。そして、  
 
「だめです。賢者様はこれから僕と一緒にいるんですからっ。」  
「ふん、今日会ったばかりの貴様に何がわかる。わらわとカイはお互い知らぬところは無い  
 男と女の仲じゃ。お子様な貴様の入る隙間などどこにもないわ。」  
「お子様は貴女もでしょっ。ぼ、僕だって……それくらいできますっえいっ!」  
 油断した。気がついたら綺麗な水色の瞳が目の前にあり、柔らかい唇の感触が  
数瞬遅れて頭に認識された。金髪の美少女は真っ赤になりながらマオを勝ち誇ったように  
見つめている。  
 
「勇者〜〜貴様〜〜〜!」  
 まずい、マオの魔力が…暴走する…。  
 
<汝ら術使うあたわず!!>  
 
「カイ…止めてくれるな。」  
「だめだ。それよりマオ…彼女は俺を賢者だといっている。が、俺はそんな柄じゃない。  
 お前から見た賢者はどんな奴なんだ。本当に俺に似てるのか?」  
 マオは先代の記憶を思い出し、憎憎しげに言葉を吐き出した。  
 
「前回は奴一人に負けた。わらわは人間の統治や戦略戦術を研究し、順調にことを  
 進めていたんだ。勇者の特殊能力の<カリスマ>も上手く使いこなせなければ、烏合の衆  
 だからな。あの賢者はそれを最大限に利用し、効果的に扱い、戦力で勝るわらわの軍を  
 打ち破っていった。時には謀略で仲の悪い将を自滅させられ…そして、最後の戦いでは  
 わらわと戦う前に、兵力の半数をわらわに『殺させるため』に戦わせた。あやつは、  
 それでも顔色一つ変えず…魔物よりよっぽどたちの悪い人でなしであったわ。」  
 俺はマオのほうを向いていたせいで反応できなかった…。ユウが人間業とは思えない  
強さの攻撃をマオに加えていた。不意を撃たれたマオは対応できずに気を失い、ユウは  
彼女に止めを刺そうとして……そこでなんとか割り込めた。  
 ユウは水色の瞳に冷然たる殺意を込め見下ろしている。  
 
「賢者様…そこをお退きください。」  
「断る。マオを殺すつもりなら…俺は全力で君に敵対する。」  
「何故です。彼女は魔王ですよ?」  
「友達だからだ。俺は友人を守るためなら国だろうが世界だろうが戦うんだ。」  
 彼女は少しだけ表情を緩めて微笑んだ。  
 
「やはり似てますね…。先代を助けるために自分を傷つけていったあの方に。中途半端な  
 復活で上手く制御の出来ないカリスマが効かなかったとき、もしやと思ったのですが…  
 だけど、僕はやらないと。それが僕の使命だから…僕はそれしか存在意義がないから。」  
 目の前の美しい少女は悲しそうに笑い、殺気を噴出した。俺は懐に入れている魔法の  
薬の瓶に手を当てる。  
 
「意義なんて作ればいいんだ。大体、お前のはマオへの八つ当たりだろう。羨ましいんだろう?  
 一人は寂しいんだろう。俺が一緒にいてやるから馬鹿なことはするな。」  
「…賢者様ありがとう…でも、僕…ごめんなさい。」  
「ちっ、聞き分けの無い子供にはお仕置きだ!」  
 俺は美しい金色の髪の少女を強引に抱き寄せて無理矢理唇を合わせ、舌を中に入れた。  
 暫くは驚いて抵抗していたが腕の中でユウの力がゆっくりと抜けていく。  
 
「やめる気になったか?やめないならもっと酷いことするぞ?」  
「や、やめません…。」  
「意地っ張りめ!」  
 俺は魔法の薬の入った瓶の蓋をあけて口に含み、もう一度唇を奪った。俺の舌を通じて  
薬品が雪のように白いユウの喉を通り過ぎていく。  
 
「んむ〜〜む〜〜〜っ!……ごほっ……ぼ、僕に何をっ!」  
「これで最後だ。馬鹿な八つ当たりはやめるんだ。」  
「僕は…やめないっ。やめたら何にもなくなっちゃう…賢者様も魔王に取られちゃう…  
 目的も何もなくなる…僕は…いやだ!絶対いや!!」  
 俺は黙って強く抱きしめると暴れて叫ぶその唇を三度塞ぎ、そのままベッドにその華奢な身体を  
押し倒した。金色の美しい長い髪がベッドに広がり水色の瞳が困惑に揺れる。  
 
「け、賢者様……何を……。」  
「これからユウを俺のモノにする。」  
「え、え……?」  
 俺は可能な限り冷たい声を意識して、耳元で囁く。  
 
 
「ユウを犯す。」  
 
 
 俺の囁きを聞いて、ユウの身体が緊張で強張った。水色の瞳が困惑から怯えの色に変る。  
 記憶が受け継がれる以上、そういう記憶もあるのだろうが無理矢理されたことはないのだろう。  
 それに今の身体では初めてのはずだ。  
 
「俺はユウの賢者じゃない。君が殺そうとする限り今はマオの味方だ。」  
 話しながらも俺は彼女の腕や脚に弱体化のルーンを施していく。  
 
「どんな犠牲を払っても誰が傷ついても俺はマオを守る。君だって例外じゃない…  
 貴族だろうが勇者だろうが…。」  
「そ、そんな…。」  
 彼女は信じられないようなものを見るような顔で、少し涙を流しながら呻いた。  
 俺はそんな彼女の涙を指で拭いて少し優しめの口調で、  
 
「だけど、ユウがマオを許してあげられるなら俺はユウも同じように全力で守ってやる。  
 一緒にいてやる。まだ、あいつは何も悪いことをしていないし…許してやれないか?」  
 ユウは暫く黙って考え込んでいたが、やがて口を開いた。  
 
「うん…。僕…マオが悪いことするまでは…我慢する…。」  
「よし、いい子だ。えらいぞ。」  
 安堵の息を俺は漏らした。マオを守るためとはいえ、正直あまり手荒なことを幼い  
少女にしたくは無かった。そんな俺を、水色の瞳がじっと見つめている。  
 
「約束だ。俺が絶対に守ってやる。」  
「ね……カイは賢者様じゃないんだね。」  
「そんな堅そうな人間に見えるか?」  
「違うけど…少し似てる。ね…カイは否定してたら…本当にしてた?」  
 彼女は真剣な表情で、俺の目を心中を全て覗こうかというように見ている。俺は  
正直に頷いた。  
 
「ああ。さっき飲ませたのはそのための秘薬だ。刺激を与えれば、身体が火照って  
 どうしようもなくなる。最悪、俺の言うことを絶対拒めないように奴隷にするつもりだった。  
 それも今から解呪してやる。少しま…」  
 最後まで言い終えることなく、俺の首に手を回したユウによって口を塞がれた。さらさら  
した綺麗に光る前髪が俺の顔にかかる。少し離した彼女の顔は…笑顔だった。  
 
「僕…マオが羨ましい。僕……魔王かどうか置いておいてもあの子には負けたくない。  
 初めてで…いつもより身体が小さくて…怖いけど…。僕はちょっと怖くて…でも、真剣に守って  
 くれるお兄さんをマオより大事にしたい。主人と奴隷でも…繋がる絆が欲しい。」  
「そんなことしなくても、俺はお前を守るよ。身体は大事にしろ。」  
「違う!僕は……僕はお兄さんが好きに…なっちゃったから…だから…僕をお兄さんの…  
お兄さんのものにして欲しいの。」  
 ユウはその整った美しい顔で眼を潤ませて必死に訴えていた。縋るように…。  
 俺は拒まずに優しく彼女を抱き寄せ軽く唇をかわす。最近どうも流されやすく  
なった気がする…。なんだか嬉しそうな小さな少女に微妙な罪悪感を覚えながら、脱がしにくい  
服をゆっくりと脱がした。  
 
 
 金色の川の上に浮かんでいる無垢な少女の肌は、白く一つのシミも無い。胸が少女らしい  
なだらかな曲線を描いており、この年代特有の愛らしさに満ちている。  
 誰にも触れられることのなかったその身体は、これから起こることの興奮で微かにピンク色に  
染まっており、俺は左手でユウの頭の下に手を入れると少しあげて、薔薇色の唇にキスをした。  
 先ほどとは異なる、奪うのではなく快感を与えるキス───貪るのではなく慣れていない  
ユウをリードしていく。口の中を確かめるように舌で探索していった。  
 
「ん…ぴちゃ……あっ…んんっ!!」  
「ユウ…キスでイったな。薬が効いたか。」  
「はぁ……はぁ……僕、頭が真っ白になっちゃった…お兄さんのキス凄い…。」  
「契約のキスだ。これからユウは俺だけのものだ。」  
「うん…僕はカイ様のもの…」  
 陶然とした表情で目の前の美少女は呟き、微笑む。俺は彼女の幼い肢体をゆっくりと  
唇で味わいながら、彼女を覆っている下着を剥ぎ取った。唇がふれるたびに彼女は  
身体を細かく震わせながらも感じているのが恥ずかしいのか、顔を手で覆っている。  
 身体は快楽をちゃんと感じることが出来ているらしく、幼い胸にちょこんと乗った  
乳首が自己主張するように立っていた。  
 
「いや……僕…恥ずかしい……」  
「……やめようか?」  
「え…?」  
「無理矢理って俺の主義じゃないんだ。続けるならちゃんと言ってもらわないと。」  
 あえて判ってて俺はいじわるそうに笑った。ユウは泣きそうになりながらも俺に  
必死にしがみつき鈴のなるような綺麗な声で、  
 
「お、お願いします。もっと…僕を…きちんとカイ様のものにしてください…。」  
 い、いかん…頭がくらっときた。  
 全力で襲い掛かってしまいそうなのをかろうじで堪え、胸を口で乳首を転がすように  
愛撫しながら、少しだけ金色に茂った場所を越えたところにある秘所に触れる。  
 
「っ〜感じ…すぎ……っ!」  
 白い身体がそれだけで電気が走ったように撥ねた。それを気にせずに軽い愛撫を続け、  
誰にも汚されていない身体を宣言どおり自分のものとするため、印を付けていく。  
 ユウの身体は時々痙攣し、息も荒く体温が上がって汗が珠になってその滑らかな  
肌を滑っていった。  
 
「ユウ、判るか?お前に印を付けていってるのが。」  
「うん……それに……自分の身体じゃないみたいにふわふわして…。」  
「何回イったかわかんないな。ご主人様を差し置いて…ユウはエッチだな。」  
 からかうように言うとユウは不安そうに顔を俯け、涙目になる。  
 
「ご、ごめんなさい…僕…カイ様はエッチな子は嫌い…?」  
「俺のためにエッチになる子は好きだ。」  
 耳元で囁き、そのまま耳を軽く噛んだ。そして蕩けるようなユウの唇に軽く口をつけ、  
俺は囁いた。  
 
「ユウ……そろそろ……いや…ユウ、おねだりしてみろ。」  
「え、うう…僕…恥ずかしいよ…。」  
「お前は俺のモノだ。俺のために…言ってくれ。」  
「はい…う…えっと……カイ様のを…僕に…その…入れてください…〜〜〜っ!!」  
「可愛いぞ…ユウ。本当に…。」  
 真っ赤になって顔を手で覆うユウの大事な場所に、俺は自分のものをあてがった。  
 付けただけでぬるっとした感触がし、身体がぴくっと反応する。綺麗な割れ目のそこを  
俺はユウの脚を大きく広げて開き、入り口に比して大きい俺のモノをゆっくりと入れる。  
 濡れてはいたが明らかに狭いそこを俺は強引に押し進み、やがてあたった薄い粘膜  
の前で一度止めた。  
 
「カイ様、僕…僕っ…この格好…こんな格好カイ様に見せるの…恥ずかしい!」  
「ユウ…。もっとお前の恥ずかしいところ見せてくれ。…今からお前を俺のモノにする。  
 後悔しないな?」  
「はい…カイ様…僕の初めて…貰ってください。」  
 その言葉を聴くと、俺は一度軽く柔らかい金色の髪を撫で膜を破ってモノを奥まで  
押し込んだ。同時に、大きく身体が震え膣が収縮する。  
 
「〜〜〜いいっ〜〜〜っ!!!」  
「入ったぞ痛くないか?」  
「い、痛かったけど…それより僕気持ちよくて…嬉しくて…カイ様のものになったんだって。」  
「ああ、これからもっと俺に染めるから…覚悟しろよ。」  
「はいっ!」  
 白いシーツに処女の証の血がついていた…だが、それほど痛みを感じていないようで  
労わりながらゆっくりと出し入れしていると、徐々に甘い声が混じってきていた。  
 
「カイ様…もっと……」  
「もっと…なんだ?」  
「あの………もっと激しく……突いてもらって……」  
「わかった。」  
 恥ずかしがりながら、欲情に水色の瞳を燃えさせた眼を向けられ狭いそこを手加減無く  
蹂躙した。激しい動きに汗が飛び散る。  
 
「あああっいい!気持ちいいですっ…僕…僕…っこんなの…!」  
「可愛いぞユウ。もっと感じろ!恥ずかしがるな!」  
「うああカイ様!カイ様……気持ちいい僕、もう、僕…だめっいくぅぅぅぅぅぅ!!」  
 がくがくと金色の美少女の腰が痙攣し、俺のモノを締め上げる…だが、俺はまだ  
イっておらず、余裕があった。俺は入れたままユウの体をうつ向けにする。  
 
「ユウ……俺はまだイってない。まだいけるな?」  
「はい…ご主人様……僕で……気持ちよくなってくださっひぐっ!」  
 答えを待つまでもなく、後ろから犬のように俺は突いた。少女に対する労わりはもうなく、  
ひたすら獣のように未発達の少女を味わう。そして、片手でわずかに膨らんだ胸を愛撫し、  
もう片方の手の指をかわいいお尻の穴に入れた。  
 
「ひやっ!!そ、そこはっ!!いや!!」  
「いったろ。俺のモノにするって…。お尻でも感じてるな、ユウ。」  
「そ、それはカイ様がっ…あん…僕を……っ激しく突くから…ひっ!」  
「ほら…いくぞ…。」  
「僕も…僕もまた……また来るっ!!いや…怖い…おかしくなる…!」  
「おかしくなれ。心配するな。」  
「うあっ!気持ちいい…いいよ…っ…ひやっ!僕、もうだめっ…うあ…お尻も…  
 お尻も気持ちいいっ!!……ああ〜〜〜〜っ僕もう…あういくっ!!!!!」  
「くっ!」  
 俺が後ろから最後に一突きし、体内に注ぎ込むのと同時にユウは大きく身体を  
振るわせた。ユウを正面に向くように向けなおし、二人荒く息をつく。  
 
「カイ……わらわを放っておいて勇者と戯れか?」  
 一度目の射精を終えたとき、声をかけてきたのは隣に寝かせておいたマオだった。  
 俺は彼女の首に軽く手を回し、  
 
「必要なことだったんだ。ユウはもうお前を狙わない。お前と仲良くすると約束した。」  
「む…じゃが…わらわとて、目の前で浮気をされると…嫌じゃ。」  
 マオは不機嫌そうに頬を膨らませ、顔を紅くしてそっぽをむいた。俺はそんな彼女に  
軽くキスをし、自分の胸に引っ張り込んだ。  
 
「マオも…ユウと仲直りしろ。俺はもう少しユウを可愛がるから…、マオも彼女が気持ちよく  
 なるように、手伝ってやってくれ。お前は俺より上手いからな。」  
 マオは汗を流し薄い胸を上下させ、荒い息をまだ吐いて幸せそうに呆けているユウを見て、にやりと笑い、  
 
「確かに……にっくき敵じゃが今の姿を見てると……可愛がってやってもいいな。」  
「マオはいい子だ。お前もたっぷり可愛がってやるからな。」  
 彼女が嬉しそうに笑うのを確認し、俺はユウに正常位でもう一度入れた。俺が  
彼女の足を掴んで豆を弄りながら突き、マオはその邪魔にならないようユウの胸を  
愛撫し始めた。マオの小さな可愛い舌は俺がそうしたように、身体の気持ちのいい場所を  
嘗め回し、ユウはあまりの快楽で痙攣し暴れまわった。  
 
「ふふ…勇者よ……ぬしも可愛いところがあるな…。わらわがたっぷりと可愛がってやろう。  
 光栄に思えよ。」  
「えっいやあっ!!何これっ!!うあああああっいやっイクっ止まらないっ!マオやめて!」  
「いい声じゃ。愛しいな…。こんな可愛い奴殺すのはわらわには出来ぬな。」  
「仲直りできたな…。」  
 マオの口はユウの唇にもつけられた。黒い美少女と白い美少女の舌が絡み合い、  
漆黒と金色が混ざり合って幻想的で扇情的な光景を作り出す。清楚な金色の美少女は  
舌が絡み合っている間も連続で痙攣を起こし、快楽に溺れていた。  
 
「ふああっ!いくっ!……あう…僕……とまらないっ!」  
「よし…そろそろ行くぞ!」  
「ああっ!……くっ…〜〜〜〜〜〜〜〜あああああああああああっ!!!!」  
 最後に絡み合うような抵抗を受けながら奥まで突いて射精し、ユウも繋がってる  
場所から潮を吹いて盛大に絶頂に上り詰めた。  
 
「はぁ…はぁ……これで僕は…カイ様のもの…ですね。」  
「ああ。ユウは俺のモノだ。マオ……奉仕だけじゃ不満だろう。お前が満足するまで  
 たっぷり可愛がってあげるからな。」  
「うん。こいつよりわらわを愛してくれよ。カイ…大好き。」  
「俺も大好きだよ。マオ。」  
「じゃあ、次はご主人様…僕がマオを手伝いますね。」  
 俺がマオに深く口付けし、愛撫を始めるとユウはマオの下半身の愛撫を始めた。  
マオとユウの仲直りは二人が快楽で失神するまで続けられた。  
 
 
 翌朝、俺は昼にようやく目を覚ましシャワーを浴びて食堂に下りると俺のいつもの  
席の右にマオが、左にユウが座っていた。ベルは先日、切り札を使用したらしくまだ  
眠っているらしい。護衛については考えないとな…。  
 
「カイ、遅いぞっ!」  
「カイ様、おはようございます…もう昼ですが…。」  
 赤いゴスロリ服を着た黒い美少女…マオは怒ってるような声で、青いゴスロリ服を着た  
金色の美少女…ユウは丁寧にお姫様のように頭を下げ…二人とも笑顔で俺のほうを向いた。  
 
「おはよう…マオ、ユウ。ユウの魔法制御用アイテムを作ってたら遅くなっちまってな。」  
「僕のために…ありがとうございます。ご主人様。」  
 その声に反応したのは、ベルを送ってきた金髪縦ロールの侯爵、シルビアだった。  
 怪訝そうな表情で俺に向き、  
 
「カイ…二人が仲良くなったようでいいことだけど…ご主人様ってなんですの?」  
「いやその……なんだ。俺がユウと仲良くなってマオと仲直りしてもらったんだ。」  
 俺の必死の弁解をぶち壊しにするかのように金色の美少女が透き通るような笑顔で言った。  
 
「僕…カイ様の奴隷にしてもらったんです!!」  
「うむ、わらわとユウとカイで非常に楽しいときを過ごした。あれほど気持ちがよかったのは  
 わらわの記憶にも殆ど存在しない。イった回数も両手までは数えたのだが。」  
 
食堂の空気が凍った。  
と、おじさんは後に語った。  
 
 シルビアは青筋を立てながら猛烈に怒っていた。俺が見る限り、メイド服でからかった  
とき並みの怒りっぷりだ…やばい…っ!!  
 
「カイ……貴方……こんな年端も行かない少女を!し、しかも…三人でなんてっ!」  
「お、落ち着け落ち着け…な?」  
「何で私を呼ばないのよ…あんたばっかり美少女独占してずるいわ。ずるいずるい!!!」  
「そんな理由かよっ!」  
 俺は呆れてため息をつき、ほぼ徹夜で作成した魔法封じの指輪をユウに手渡した。  
 
「ユウ。これをつけていればお前の特殊能力の暴走は抑えられる。マオもそうだが、お前ら  
 才能がありすぎて通常の制御が甘いみたいだから学んでもらおうと思うが…いいか?」  
 そんな俺の珍しい真面目な意見は誰も聞いていなかった。ユウの眼がきらきら輝き、  
マオが恨みがましく俺を見つめ、シルビアはそれを面白そうに眺めている。  
 魔法封じの指輪をユウは……左手の薬指に嵌めた。  
 
「ありがとうございます。カイ様。僕これ…大事にするね?」  
「こらユウっ!ずるいぞ。カイ、わらわも欲しいっ!!」  
 シルビアの馬鹿笑いが宿に響き、金色の髪に水色の瞳を持った美少女は幸せそうに笑った。  
 新しい仲間が増え、俺たちの日常生活はさらに賑やかになりそうだ。  
 
 

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