15歳のデイビッド・オリビエには一人の愛人がいた。ある男の愛人に  
なっていると言った方がいいかもしれない。その或る男というのは、  
デイビッドの働いている屋敷の主で、三十もとうに半ばを過ぎ、  
今年成人した一人息子を持つ独身の貴族である。名前をジェームズ・  
クローデンといった。彼は今だに美男子で通っていて、若い頃の姿そのまま  
に年を重ねていた。女性関係は出入りが激しく、社交界でも老若を問わず憧れ  
の的だった。  
その彼が半月前に若い愛人を作ったのは、すぐに噂が広まる彼にしては  
珍しく周囲の誰にも知られていない。デイビッドがクローデンのもとで  
小姓として勤めるようになったのは、半月前から更に三ヶ月前に遡ることに  
なる。二人の馴初めを語るのは早い。15歳になったばかりのデイビッドは  
輝くような美少年だった。体のつくりは華奢で、肌は白くきめ細かく、  
顔といえばギリシャ彫刻を思い起こさせるような繊細さ。ガラテアの  
ピグマリオンを彷彿とさせるほど、この幼年期を抜け出したばかりの  
少年の面形は人形のように冷静で、しかし彼にはどこか官能をくすぐる  
ような肉感的な匂いがした。このような人間は当然人目を引かずには  
いられない。屋敷に入るなり彼の存在はたちまち皆に知れ渡り、クローデン  
の耳にもそれは入った。デイビッドはもともと馬丁だったのだが、  
十日後には主人の近侍、すなわち小姓になった。  
同性愛の嗜好を持たなかったクローデンは、その時は特に彼の外見以外に  
興味を見出さなかった。潜在的は持っていたかもしれない。しかし、彼の  
その時の考えは目立つデイビッドを近くに寄せることで、自分の周囲を  
華やかに見せることだった。  
 
しかし、時が経つにつれて彼の心中にも変化が起こる。もともと眩しかった  
デイビッドが、彼の目に段々眩しくなってきたのだ。ついにデイビッドの  
青い瞳を正視することが非常な困難に思えるほど、彼の心中にいつか芽生えた  
ある兆しが、残りのものを覆い尽くすほどの勢力となって彼自身を追い回したのである。  
クローデンは困惑し、自分に失望を感じた。彼は何事に対しても合理主義者であり、  
矛盾性を嫌う性分だった。このような事態における矛盾は、彼の最も恐れて  
いた所と言っても過言ではないだろう。人間が何に魅力を感じるかというのは、  
とりもなおさず彼自身の本質に関わるからである。  
クローデンの苦悶と忍耐は二ヶ月を越えた。  
彼の言うところの「病気」はますますひどくなるばかりで、一度ならずデイビッド  
を遠ざけようと試みた。が、いつもぎりぎりのところで押しとどめられた。  
理性によってか、感情によってかは不明である。  
そしてとうとう耐え切れなくなったクローデンは、ある日の昼下がりに  
彼を遠乗りにつき添わせた。館から随分離れた森の湖畔で馬を休ませた時、  
無邪気に裾をまくって裸足で湖を歩いていたデイビッドに近寄り、  
彼はこう言った。  
「オリビエ。お前は……今、いくつになるんだったかな?」  
クローデンは本題を切り出すような勇気を自分に対して持てなかった。  
そして、その「本題」というものの実態も彼自身よく分かっていなかった。  
 
「15です、旦那様」  
「15か。若いな」  
「赤ん坊ほどではありませんよ」  
と言ってデイビッドは笑った。  
クローデンは、自分でもよく分からないが、彼の微笑を目に映した、  
と思ったときには彼に口づけをしていた。唇が自然に離れた時、二人はお互い  
に事態の性急さの為に放心していた。デイビッドは場をとりなすように  
薄く微笑み、背を向けて再び水の中を歩き始めた。  
蜜色の短く刈られた柔らかい髪が太陽に照らされて、動くたびに光を放つ。  
クローデンは間を持たず追いかけた。右の二の腕に手をかけ、耳の後ろに  
キスをする。デイビッドは抵抗するように小さく動いた。  
彼はクローデンがキスをしている反対の方に首を動かして、こう言った。  
「待って下さい……どうしてこんなことを?」  
「それが分かれば、世話がないんだが」  
クローデンはデイビッドの細い顎をとらえて、形の良い赤い唇に唇を重ねた。  
デイビッドが抵抗らしい抵抗をしないので、そのキスは長く続いた。  
クローデンはデイビッドの体の向きを変えさせて自分の胸に引き寄せると、  
顎をとらえたまま、彼の唇を貪欲に食し続けた。そのまま服に手をかけると、  
今度は敏感に制された。それに構わないで無理やりジャケットの釦を外し、  
シャツの布の上を片手でまさぐると、すぐにあることに気がついて動きを  
とめた。デイビッドは精一杯の力を出してクローデンから体を離した。  
 
公爵は呆気にとられてデイビッドを見た。彼女は頬を紅潮させたまま  
気まずそうに目線を逸らし、急いでその場を立ち去ろうとした。しかし、  
二歩進んだ所で、やはりまたしても後ろから手首を掴まれた。そのまま  
振り切ろうとしたが、少女の細腕に男の力は強かった。  
「お前は女なんだな?」  
 女、と言う所で公爵はためらった。後ろを向く時のデイビッドの顔が、  
恐ろしい懲罰に繋がる事実の覆いを剥がされ、一瞬にして受刑者になって  
しまった人間の悲劇と後ろめたさ、そこから目を背けて逃れようとする  
必死さを色濃く表現していた。  
 事態に萎縮した為か、デイビッドは立ち止まったまま唖のように黙った。 
重い沈黙が公爵の頭を乱し、先ほどの確認をせずにはいられたなくなった。  
 彼は左の手首を掴んだまま折り曲げて背中に回し、左手で彼女の半身を拘束して、右手を  
上着の間に差し込んだ。デイビッドは驚いて小さく呻いた。薄い生地のシャツごしに、  
確かに男のものではない柔和な肉があった。ただしその厚みは非常にささやかで、何もしておか  
なくても上着の上からは目では判別できないのもよく分かった。  
 そのまま下へと手を這わせ、ズボンの上から下腹部を触れると、女性にはある筈のない物の  
質量を感じ、公爵は戸惑った。デイビッドが抵抗しようとして動き始めたので、  
強引にズボンをゆるめて中に手を突っ込んだ。すると下着の間に布で詰め物がしてあった。  
 デイビッドは懇願するように声を震わせて言った。  
「どうかお許しください。これ以上は……」  
 公爵は突然デイビッドの体にえもいわれぬ官能性を感じて、湧き上がった欲望のままに  
彼女を地面に押し倒した。仰向けにさせると、怯えて強張った頬に涙の筋が光っていた。  
濡れた睫毛の間からのぞく青い目が公爵を見つめ、青ざめた肌から浮き立つような赤い唇が、  
驚きで薄く開いていた。  
 公爵は馬乗りになり、吸いつくように激しく唇を重ね、顎に手をかけて舌に舌を絡める。  
デイビッドが腕を動かして足をばたばたさせるので、公爵は彼女の両の腕を頭の上に上げ、  
手首の交差した所を片手で抑えて腕を拘束し、股の間に膝を入れて両足を開かせた。デイ  
ビッドの目から涙が流れる。公爵は更に加虐的な欲情を燃え上がらせた。  
 
シャツを喉元まで引っ張り上げ、紺色の上着の間から血管の青く透き通る白い両胸を露にさせると、  
公爵はまだふくらみ始めたばかりの、しこりの残る乳房を揉みしだいた。片方にの  
小さく赤い蕾のような乳輪を舐めると、デイビッドの口から荒い息がもれる。彼は乳首を擦っていた  
手を下に移行させ、下着から詰め物を取り除くと、中に手を忍ばせて陰部に触れる。デイビッドは  
許しを乞い、公爵は小陰唇の間のしこりを触り当て、それを指先で弄びながら彼女の口唇に  
深くキスをした。彼女の息づかいが荒くなり、抵抗力を失ったのを見てとった彼は、両手をさっと  
離して自分の上着を脱ぎ、デイビッドのズボンと下着を剥ぎ取ると、彼女の細い腿の間の暗がりに  
頭をうずめた。恥毛は薄く、小陰唇は桃色の花弁だった。舌先をぬらぬらした膣の内部に差し入れ、  
唾液と愛液に音を立てると、彼女は身をよじって溜息を吐いた。  
 公爵はズボンをゆるめて屹立したペニスに手をあてがい、デイビッドの濡れそぼった膣口に  
一気に差し込んだ。彼女は破瓜の痛みに悲鳴を上げた。だが、痛みの為の呻きは彼女自身気がつかない  
内に喘ぎ声に変わっていた。公爵は上半身を起こして膝立ちすると、彼女の両足を折り曲げ  
膝の内側を掴んで腰を回しながら奥へ押し入った。デイビッドは声が出ないように片手  
で口を抑え、一方の手で地面に指を立てた。彼は腰を屈めると彼女の口を抑えている手を外し、  
乳首の勃起している乳房を撫で回しながら腰を動かした。デイビッドは紅潮させた頬を更に赤く  
染め上げ、悲鳴を上げると体を震わせて絶頂に達した。膣口の収縮にあって公爵も呻きを上げて  
達し、彼女の中に熱い飛沫を放って胸の上に倒れた。  
 

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