「ごめ〜ん!」
綾芽が息を切らせながら走り込んでくる。
「まさか誘い主が遅れるとはな。」
「折角のデートに遅れちゃだめだよ〜。」
「別に大丈夫だよ。」
三者三様の反応が帰ってくる。
「なんで鈴菜達がいるの?」
しかし綾芽はその事気にも止めず、半目で冷静に突っ込む。
そう、今日はあくまで優祐と綾芽の二人きりのはずなのだ。
「見物。」
「あやちゃんが優祐君を襲わないように監視〜。」
「まあいいや。こんなのほっといて、早く行こう。」
二人の答えに綾芽は怒気を孕みながらも、完壁スルーを決め込む。
「うん。で、何処に行くの?」
二人は今日デートーー綾芽自身は必死に否定しているがーーに来ていた。
デートとは言っても、今日遊ぶ事が決まっているだけであり、何をするかは何も決まっていなかった。
「そうねぇ、何かしたい事ある?」
「特にこれといって……」
うーんと二人は頭を抱え考え混む。
「嘆かわしいな。若い男女が集まってやりたいことがないとは。」
「本当にね〜、本能に忠実になっちゃえばいいのに〜。」
二人はニヤニヤと、綾芽の顔を覗き込む。
「な、なんの本能に忠実になるのよ!」
綾芽は顔をみるみる間に真っ赤にしていく。
「食欲。」「購売欲〜。」
「へ?」
しかし想像とは正反対の事を言われ、一気に冷まされていく。
「いやいや今はこれだろ。ちょうどお昼時だし。で、何で綾芽はそんなに顔が真っ赤なのかな?」
「たぶん〜あやちゃんは愛しの優祐君との、アダルティーな事でも考えてたんだよ〜。」
「ふむ、確かに若い男女が集まればそれもあるかもな。だがそれをこの場所で晒すのはどうかと思うぞ。」
鈴菜はケラケラと、稟は淡々と綾芽を辱める。
「ば、ば、馬鹿〜っ!!」それに耐えられなくなった、綾芽は顔を真っ赤にして叫ぶ。
いきなり街中で大声を出した少女に人々の視線が集まり出す。
「藤崎さん、いきなりそんな大声だしたら恥ずかしいって。」
先程から女子連中のあんまりと言えばあんまりな会話に秘やかに赤くなっていた優祐は、その視線に耐えられなくなり綾芽に注意と逃走を懇願する。
「あ……い、行くわよ!」
綾芽もそれを察したのか右手に優祐、左手に鈴菜の腕を持ってぐいぐいと引っ張って行く。
「ちょっ、ちょっと〜。待ってよ〜。」
「うるさい!行くったら行くの。」
顔を真っ赤にした綾芽と彼女に引きずられる二人。
その後からくっくっくっと一人で笑っている凜が追いていく。
喫茶店の中に入り席についた一行は、そこでやっと一息付く。
「はぁ〜、もう、恥ずかしかったじゃない!」
「知らないよ〜」
「鈴菜達のせいじゃん。」
「違うよ〜、あやちゃんが勝手にアダルティ〜、な事考えて、勝手に自爆しちゃったんだよ〜。」
「だ、だからあれは鈴菜と凜が変な風に誘導したから……」
「誘導なんかしてないよ〜。あやちゃんの願望だよ、が ん ぼ う。」
「だから〜、違うって。」
「またまた〜。」
綾芽の必至の否定も流され、議論、熱論が続いていく。
「全く、元気なものだな。しかし、なんで君がそんなに赤いのかね?」
当事者なのに他人事のように傍観している凜は、顔を紅潮させている優祐に弄る目的を変える。
「いや、別に、赤くなんか……」
だが見目麗しい女子三人に囲まれ、会話の内容がそっち系の事をたやすく連想させ、更に自分が中心とされてしまっているのだ。
意識するなという方が無理である。
「おや、そうかい?おっと。」
わざとらしく凜が布巾を落とし、テーブルの下を覗く。
「顔に似合わず中々の物をお持ちのようだな。」
ニヤリとした顔を上げた凜が落としたのはーー優祐にはーー水爆級の爆弾だった。
「か、香原さうわっ……」
おもわず出そうになった声も、下半身から昇ってくる衝撃に中断させられる。
「あんまり大きな声を出さない方がいいぞ。また注目を集めてしまう。」
凜の指摘に優祐は慌てて口を押さえ、周囲を伺う。
「顔真っ赤だよ〜」
「だから〜〜」
幸い論戦中の二人は気付いていないようだった。
「ひぃっ、か……はらさん……やめ、」
が優祐は息をつく間もなく、下腹部から昇ってくる快感に翻弄される。
「まるで女の子みたいな嬌声だな。」
凜は淡々と足で優祐の逸物を弄る。
「それなのにこんなに大きくして……悪い子だな。」
凜は綾芽たちに全く頓着せずに、靴を脱いだ足で優祐のテントを撫で摩る。
「うあっ、そこ……ダメっ!」
「ここが弱いのかな?」
机の下という、他人に見られない状況を優位に生かし優祐を責める。
大きく反り立つそれの裏側を爪先で優しく撫でたかと思うと、先端の割れめをつんつんと突く。
「ううっ……ひゃあ。」
優祐の敏感な反応から彼の限界が近いことを見て取り、一気にとどめを刺そうとする。
「そろそろ……終わらせようか。」
両足をそれの右側と左側に合わせ、一気に上下する。
既に高まっていた優祐には充分過ぎるとどめだった。
「くうっ……」
ドクッドクッ
ズボンの中で一物が大きく脈動し精を吐き出す。
パンツの中は大惨事だろう。
「ふう、はぁ」
優祐はくたりとテーブルに倒れ、荒く息をつく。
それとは対象的に凜は何食わぬ顔で会話に参加していた。
「そろそろ出ないか?」
「「いいわよ。」」
何故か息ぴったしで答えるとまるで決闘のような目線を交わし、優祐に問いの矢を発した。
「優祐、この後私と付き合ってくれるよね。」「優祐君〜、今から私と行ってくれるよね〜」
「へ?」
顔を上げ二人を見た優祐は呆然としていた。