亜人の数が緩やかな減少傾向を続けている。  
 人類より格段にすぐれた身体能力や回復力、神通力ともいうべき超能力は、幾多の英雄や天才を輩出し、伝説となった。  
 神代の時代には、亜人は人類に言葉を含めた文明を教え、神の代理人として人類の上に君臨したこともあったという。  
 亜人、ホモ・モンストローズ、デミ・ヒューマン、そう呼ばれた存在は、しかし人類の台頭を機に徐々に衰亡していった。  
 その中ではホモ・サピエンス……人類種との血の抗争を繰り広げたこともある。  
 しかし人口の圧倒的差を自覚した亜人達は、数百年前を最後に人類との協調態勢をとるようになった。  
 それでもその決断をもってしても衰亡は止まらず亜人達は繁殖力を大きく低下させていた。  
 大きな戦争で、亜人の男が死にすぎたのもあった。  
 もともと長命で頑健な肉体も持っている亜人だから、繁殖力は低かった。  
 そこに栄養状態の改善や、病気の克服によるさらなる長命化故の繁殖力低下もあっただろう。  
 生まれる亜人の子供の数が次第に減り、亜人の男はさらに減った。  
 
 不意に殺気と風切り音を感じて、俺は身を沈めた。  
 頭の上を音をたてて、可憐な足が通り過ぎた。  
 キックボクシングの試合でも見られないような、綺麗な回し蹴りだった。  
「大神(おおがみ)、うまくよけたじゃん」  
 パンツ丸見えながら華麗な蹴りを放ったのは、虎宮眞子(こみや・まこ)である。  
 虎宮は、名の通り虎の獣人系亜人だが、今は可愛い人間の女にしか見えない。ただ一つ違うのは、その耳が尖り獣毛に覆われているところだ。  
 ネコを連想させるコケティッシュな顔立ちだと、小柄でスレンダーな身体は、人間であったらさぞかしもてるだろうと思わせる。  
 もっとも、可愛くても虎は虎であり、その上気性が荒いと来ては、普通の人間は寄りつかない。  
 本人もプライドが高く、友人は多くないが、しかしその友人に対しては気さくで良い奴である。  
 問題は、俺だった。俺の名は大神晃(おおがみ・あきら)。  
 平凡で目立たない高校生で、成績も標準なら、顔も人並み、体も普通ということで問題ない……はずだった。  
 そんな俺をなぜか彼女は、攻撃対象と認識していた。平たく言えばいじめる相手ということだった。  
 虎宮は口の端を歪めて笑うと、恐ろしいスピードで拳を繰り出す。  
 俺は足をよたつかせる動作をしながら、リーチを見切って後退し射程圏外に逃れた。酔拳の要領だ。  
「虎宮ぁ、頼むからやめてくれよぉ」  
 哀れっぽい声を出して、ちょっと涙を見せてみる。  
 周囲の助けを期待してるわけでなく、彼女の気を削ぐのが目的だった。  
 気まぐれ虎さんは、たまにお願いすると止めてくれることもある。  
「かかってこいよ、大神。おまえ男だろ! あたしを倒してみろよ!」  
「人間が獣人に勝てるわけないだろぉ!」  
 絶望に落ちた哀れな男を演出してみる。声を震わせるのがポイント。  
 歴戦の格闘技家でも獣人は恐るべき存在だ。  
 ましてやあちらが虎で、こちらが平凡な一高校生では、普通どうにもならないからこの演技も通じる  
 
「大神、あたしを倒せたら、あたしを抱かせてやる。本気でかかってこい!」  
 だが演技は逆効果だった。彼女の目に真剣な光が宿り、殺気が満ちた。  
 女子高生好きのロリコンでもこんな恐い目をする女は抱きたくないに違いないと虎宮の目をみながら思う  
 大技一発で吹き飛んでおくか、俺はそう内心でつぶやいた。  
 それで決着をつけば、虎娘は収まり、俺は狸寝入りで授業もさぼれる。いいぞ、悪くない。  
 となると、彼女の大技を誘わなければならない。  
「ちくしょぉぉぉ!」  
 そして本日の俺の会心の演技が決まった。  
 へっぴりごしでよたよたとハエが止まれるパンチを、震えて情けない叫びと共に繰り出す。  
 案の定、虎宮の目に失望と怒りの色が生まれる。  
 虎宮の腰が引き方をみて、ストレートアッパー系の右パンチを予想する。  
 案の定、やや下から出はじめた虎宮のパンチの軌道は、俺の腹部を狙っている。  
 肝臓を避け、臍のやや上で受けるべく腹筋を思い切り絞める。  
 タイミングをはかり、パンチが届いた瞬間、俺は後方に向かって床を全力で蹴った。  
 体をくの字に曲げ、虎宮の荷重移動も利用して、虎宮の拳に乗る。  
 あっけなく俺の体は宙に浮き、廊下側の窓にすっ飛んでいく。計算通りだった。  
 傍目には、きっと俺が派手に殴り飛ばされたように見えただろう。  
 背中のかすかな衝撃と共に、ガラスの割れる派手な音がした。  
 うまく窓を破ったと思っているとすぐに廊下の壁が迫る。  
 女生徒の悲鳴を聞きながら、壁で受け身をとって衝撃を最小限に殺し、そのまま床に落ちる演技も加えた。  
 先生を呼べなどという怒声を聞きながら、俺はさっさと狸寝入りすることに決めた。  
 
 
 狸寝入りを保健室で本当の眠りに変えて三十分。あまり寝過ぎれば単位の問題もあるので起きることにした。  
 かすり傷はすでに処置してあって、それ以上の骨や内臓の痛みはなかった。  
 演技が上首尾に終わったことにほくそ笑んでいると、ベッド脇のカーテンが開いた。  
「目が覚めた?」  
 そこに白衣をはおった巨乳の女教師が、俺を見下ろして立っていた。  
 穏やかで優しげな瞳の下に整った小振りな鼻と小さめのつややかな唇があり、そうしたパーツが見事な配置で顔に乗っている。  
 その顔を軽くウェーブがかった長い髪が飾り、後で緩やかに束ねられていた。  
 その下の身体は腰のくびれも尻の大きさも充分にダイナマイトなのだが、一番強烈に存在感を発揮するのはスイカほどの巨大な胸だった。  
 まあ、ぶっちゃけ男の夢を実現したような巨乳ダイナマイトボディで優しい養護教諭なのであるが、彼女は牛の獣人である。  
 その証拠に髪の毛に隠れてわかりにくいが、額の少し上に獣人たる証拠の小さな角が二つある。  
 フルネームは牛島優香、最近俺はここに担ぎ込まれることが多いので、話こそするが、あくまでも俺は生徒で彼女は教師。  
 親しく言葉を交わす間柄でもないので名前が正しいかどうかは確かめていない。そもそも女教師の名前など俺には関係ないからだ。  
「はい」  
 あまり元気に動きすぎるのもなんなので、あえて俺はゆっくりと体を起こした。  
「どうしてこんなことになったのか、教えてくれる?」  
「どうしてっても、『また』、彼女から一方的に攻撃を受けただけです」  
「なにか虎宮さんに酷いことを言ったとか?」  
「酷いこと? 最近ずっとこんなのなんで、俺は虎宮から逃げ回って口もきいてませんが?」  
 こちらに非があるような問いつめ方に、おれは少し怒りを覚えた。  
 彼女の俺に対する暴力行為は、はっきりいえば、すでに日常茶飯事となってきている。  
 何が気に入らないのか、目があっただけでも……いや目が合わずとも彼女は攻撃してきた。      
 いちいち相手するのもめんどくさいので、俺は彼女から逃げ回っている。  
 それでも鉢合わせて、さっきのようなざまだ。  
「ごめんなさいね。ただどうしてかなって思ったから」  
 俺が聞きたいぐらいだと思ったので返事をしなかった。  
 それを承服と受け取ったのだろう。女教師は俺のベッドに近寄るとベッドに腰を降ろして続けた。  
「虎宮さんは、理由もなく暴力をふるう子じゃないの。明るくて気さくでいい子なのよ」  
 彼女を擁護しても実際に被害に遭っている俺には無意味な話だ。  
「先生ね、虎宮さんからも話を聞いたの。  
 そしたらね、大神君が、虎宮さんを馬鹿にしている。  
 弱いふりをしてからかっているって言ったの」  
 意外だった。あの虎娘、わりと鋭いらしい。いきなり攻撃してくるから単純だと思っていた。  
「……俺には何言っているのかわかりません」  
「先生はね、虎宮さんの言っていること、どこかわかるような気がするの」  
 演技でごまかそうとしたところで、女教師が俺の目を見据えた。   
 
「先生の目をみてくれる? 大神君って、虎宮さんとやりあってる割には落ち着いているわね」  
 内心であせる俺を見通してか、彼女は圧迫するかのように顔をよせる。  
「目をそらさないで。……先生は、虎宮さんをえこひいきしているんじゃないの。  
 ただね、大神君は、虎宮さんにも、そして今も、本当の大神君を隠しているような気がするの」  
 これだから亜人は始末に悪かった。人間ならもっとドライでクールに放置してくれるところだ。  
「あ、あのもう次の授業なんで!」  
 無理矢理に話題をそらして、俺はベッドから立ち上がろとした。  
「あ、待って! ……きゃぁ」  
 と、俺に手を伸ばした先生が腰掛けていたベッドでバランスを崩した。きっとでかすぎる乳のせいだ。  
 とっさに先生の腕をつかむが、俺自身も立ち上がりかけた不安定な姿勢だった。  
 巻き込まれてバランスを崩していく中で、女教師の頭の行き先に椅子の足が待ち受けているのを確認する。  
 とっさに先生の腕を巻き込むようにして俺の身体を地面と先生の間に潜り込ませ、足を伸ばして椅子を全力で蹴り飛ばした。  
 受け身をとって、衝撃を最小限に殺したところで、柔らかい身体が被さってくる。  
 でかい胸が俺の顔で押し潰れ、視界が肉でふさがる。甘ったるいミルクの香りが広がった。さすがに牛らしい。  
「だ、だいじょうぶ? 大神君!」  
 さすがに胸をつかむのもなんなので手探りで先生の肩をつかみ、先生の身体を下にずらす。  
 柔らかな肉がずり下がって、白いうなじ越しに視界が開け、俺は新鮮な空気を吸い込んだ。  
「ふう。だいじょうぶです」  
「そう……大神君の頭、いい匂いがする……」  
 なぜか心配そうだった先生の顔が呆けて、俺の髪の毛をしきりにいじくりまわし、いっこうに俺の上からどこうとしなかった。  
 亜人と密着していると色々不都合があるので大急ぎでしかしあくまでも丁寧に先生の身体を押しのけて、俺は素早く距離をとって立ち上がる。  
「先生! 怪我がなさそうですね。じゃ、俺、教室に帰りますので!」  
「……え? あ、大神君!」  
 背後で呼び止める声に構わず、俺は保健室を飛び出した。  
 
 
「ふーん、やっぱり大丈夫だったみたいだね」  
 教室に向かって急いでいると、突然空から声が降ってくる。  
 見上げると、階段を背中から黒い羽根を生やした女生徒が飛んでいた。  
「鞍馬か。もうすぐ授業なのにこんな所でなにしてるんだ」  
「確認だよ。眞子がさ、大神はぜったいピンピンして帰って来るって言ってたから」  
 羽根を生やした女生徒、鞍馬京(くらま・みやこ)はいたずらっぽく笑い高度を下げてきた。  
「冗談じゃない! 偶然、怪我が少なくてすんだんだぞ」  
「大神ってさ、そういう偶然怪我が少ないとかさ、たまたま避けられたとかが、多いよね」  
 俺の隣に舞い降りると、黒羽根を畳んでこっちにむき、にやにやしながらつぶやいた。  
 亜人はどいつもこいつも嫌なところをついてくる、そう思って、俺は心の中で苦虫をかみつぶした。  
 彼女は天狗だった。獣人系ではない、自然神の末裔で、ちょっとした神通力を使える。  
 もっとも山伏姿でなく、当たり前だが制服姿なのでこの格好では天狗とはわかりにくい。  
 顔も俗に言う鼻高天狗ではない。  
 つんと尖っているが美しく可愛い鼻に神秘的で大きな黒い瞳、そして桜色の唇で、ショートヘアも相まってボーイッシュな雰囲気の美少女だった。  
 身体は長身で少年的な顔立ちにふさわしく、胸は薄くて腰もくびれず、尻も小さい。手足は折れそうなほど細い。  
 天狗と言うより、鳥人の少年のほうがシックリくる姿だった。  
 彼女と虎宮は親友であり、クラスでたった二人の亜人ということでよくつるんでいる。  
 だからだろう、彼女は俺の様子を見に来たようで、教室に戻る俺に彼女はついてきた。  
「偶然じゃなかったら、何なんだ? わざと殴られているとでも? 俺はマゾか?」  
 舌打ちしたい気分を声に乗せ、不機嫌な調子で反駁して、疑念を封じることを試みる。  
「うーん、それがわかんないんだよねぇ」  
「冗談じゃない。俺は虎宮とあわないようにしてるのに、虎宮が追いかけて来るんだぜ」  
「そりゃ、あいつは虎だもん。逃げると追いかけたくなるんだよ、きっと」  
「もっといい男を追っかけてくれ。俺みたいな貧乏で平凡で取り柄のない高校生をなぜ追っかける?」  
 なんとか話の焦点をずらせたことで、俺は内心安堵した。そして思わず叩いた軽口に、予想もしない返答が返った。  
 
「……そっかなぁ? 大神は平凡じゃないよ。人間にとっては平凡みたいだけど、私はそう思わないな。  
 たぶん、眞子もそうだよ。牛島先生もきっとそう」  
「……どこが? 俺のどこが人と違う?」  
 今まで築き上げてきた自信がぐらりと傾いたのを自覚する。思わず鞍馬に詰め寄ると彼女は意外な答をした。   
「人間達は白黒で、大神だけカラー」  
「は?」  
「私達、人間とも普通につきあうけど、でもやっぱり異種族。興味がわかないんだよ。人間には悪いけどどうでもいい白黒の存在なんだ。  
 だけどさ、大神は違う。私達と同類って気がするよ。だから白黒の人間達の中で大神だけカラー。だから大神のこと正直、すごく気になる」  
 よくわからない比喩に俺は焦った。なにか失敗していたのではないかという不安が俺を襲う。  
「おいおい、俺は普通の人間だよ? どこがおまえらの仲間なんだよ?」  
「それそれ。なんでだろ? 臭いとか姿も人間なのにね。  
 天狗の眼鏡で見てもちゃんとした人間だったから、人間で間違いなんだよねぇ。おかしいよねぇ」  
 顎に拳をあてて、鞍馬は考え込むポーズをした。俺はその答えに納得した訳ではなかったが、しかし心の奥底でそれを肯定する小さな声があった。  
「つきあってられん。そんな理由で人を殴り飛ばさないで欲しい」  
「まあまあ、そういうわけで私とつきあえば、私が守ってあげるよ」  
 考えを必死に巡らしていた俺は、鞍馬の言った内容に完全に虚をつかれた。  
「は? 鞍馬が?」  
「うん、大神が私とつきあえば、眞子には手を出させないよ?」  
「からかってる?」  
 しばらく無言のまま、じっと鞍馬は俺の目をみて、やがてにぱっと笑った。  
「全く、もてない男をからかうのはよしてくれ」  
 それは冷や汗をかいた俺がかろうじて言えた言葉だった。しかし鞍馬はなにも答えなかった。  
 
 思ったより亜人達の注目を浴びていたことを知った俺は、行動を変えた。  
 亜人達との接触が最小限になるようにしたのだ。  
 休み時間は彼女たちの目のつかない所に移動するようにした。  
 登校は始業五分前、ぎりぎりにやってくる多数の生徒達に紛れて席についた。  
 放課後は、すぐに学校から出た。  
 効果は程なく現れ、虎宮の暴行は激減した。授業中に睨まれることはあったが、休み時間に素早く脱出することでトラブルは回避できた。  
 そのことにより、俺は自分の今までの行動に慎重さが欠けてたことを自覚した。  
 そうやって、平和な日々が過ぎた。  
 
 その日も、昼休みになって早々に教室を脱出し、俺は人気のいない廊下を歩いていた。  
 向こうから歩いてくる白衣の女性をみて、軽く頭を下げて通り過ぎようとしたところで、がっちりと腕を捕まれた。  
「なぜ、私を避けるのかしら?」  
「た、たまたまじゃないでしょうか?」  
 先生は確かに微笑んではいた。微笑んでいたが、目はまったく笑っていず、腕を放してくれる気配も見えなかった。  
「話がしたいって私からの伝言聞いたわよね?」  
「いろいろと忙しくって」  
「ふぅーん、確かに図書館でぼぅーっと本を眺めたり、グラウンドの端の草むらで寝っ転がっていたり、屋上で昼寝をしたりで忙しかったようねぇ」  
「え、えーと」  
「あんまり来ないから私、大神君を鞍馬さんに空から探してもらったの。  
 そうそう、そういえば鞍馬さんも、避けていたわね? どうしてかしら?」  
 こんな時ににこにこと笑う牛島先生がなぜかとても怖い感じがする。  
「い、いろいろと抜き差しならない事情がありまして……」  
「そうなの。じゃあ、保健室でたっぷりと聞かせてもらいましょうか?」  
 捕まれた腕を凄い力で握りしめられ、俺は先生にそのままずるすると保健室まで引っ張られた。  
 
「緊張しなくてもいいのよ? ミルクでも飲んでリラックスしてね」  
 保健室につくと、俺は丸椅子に座らされた。取り調べのような雰囲気の中、マグカップに入ったミルクを差し出される。  
 先生の顔は、相変わらず目が全然笑っていず、能面のような笑顔だった。   
「さてと、……言い訳をききましょうか?」  
 すでに判決は下っているようだった。  
「えーと、虎宮とのトラブルを最小限にしようと考えまして」  
「ふんふん」  
「虎宮の頭が冷えるまで、接触を最小限にするのが、いいんじゃないかと。暴力を未然に防いで、俺ばかりか虎宮も守るということで」  
「なるほどねー。じゃあ、どうして鞍馬さんまで避けるの?」  
 先生の声がとても冷たかった。返答も棒読みだった。  
「えー、あの二人は親友じゃないですか。虎宮を避けるために、鞍馬まで巻き込んじゃったというかなんというか」  
 先生のプレッシャーが強くなって、俺は無性に喉の渇きを覚え、ミルクを飲んだ。  
「そうなのー。じゃあ、どうして私の所に来なかったの?」  
「校舎内は、虎宮との接触率が高いので、やむなく校舎外や図書館に退避していたわけで。行きたいのはやまやまだけど危険が高いというか」  
 そこで先生は笑顔を消して無言になった。据わった目で俺をじっとりと見つめる。俺は真剣に逃げ出したくなっていた。  
「……どうして私達を避けるの? 亜人が嫌いなの? 亜人が怖いの?」  
「いや、だから虎宮の暴力を避けるためであって……」  
「私達を露骨に避けてわよね?」  
「そんなことは……」  
「嘘! 避けていた! こそこそと隠れまわってた! ……どうして! どうして逃げるの!」  
 先生の迫力に言葉を失っていると、やがて先生は落ち着きを取り戻した。  
「私ね、虎宮さんとちゃんと話をして、もう暴力をふるわないって約束をしてもらったの。  
 虎宮さんもね、ちゃんとわかってくれたのよ。虎宮さんはね、体調がおかしくていらいらしてたの。  
 だからそれをきちんと説明して、大神君と虎宮さんに仲直りしてほしかったのよ?  
 なのに呼んでも来てくれないなんて、駄目じゃないの!」  
 仲直りって小学生か!と俺はつっこみたくなって止めた。先生の顔がとても真剣だったからだ。  
「あー、わかりました。虎宮の件はわかりましたから。別にもう気にしてません」  
 近づかなければ気にならないだけだが。  
「虎宮さんも鞍馬さんも、あなたに嫌われたって思ってとっても気にしてるのよ。虎宮さんは本当に気にして落ち込んでいるの」  
 なんとも返答に困ることを先生は語った。自分で喧嘩売っておいて嫌われたって落ち込むというのは理解できなかった。  
 
「えーと、あいつらに嫌いとかそういう悪感情はないです。これは本当です」  
 そういうと先生の顔がはじめて柔らかい安堵の微笑みを浮かべた。もちろん悪感情がないのは理解できないからなのだが。  
「……でも、先生は逃げ隠れしていると言いましたけど、俺としては距離を取っていたつもりです。  
 実際それであいつも暴力ふるわずに済んだし、俺も痛い目に遭わないようになりました。  
 このまま距離を保ったつきあいでは駄目ですか? ひょっとしたら虎宮も顔をあわせば、また暴れたくなるかもしれませんし。  
 その方がお互いのためじゃないですか?……」  
「大神君!」  
 俺の言葉を遮って先生が叫んだ。目には涙すら浮かんでいて、俺は少し驚いた。   
「大神君は人間だから亜人なんか関係ないと思ってる? でもね、昔から亜人と人間は混ざり合って暮らしてきたの。  
 自分が人間だと思っている人の中にも亜人の血はわずかずつ流れているわ。亜人と人間で結婚すると子供ができるのがその証拠。  
 なのにこれからどこに行っても亜人を避けて生きていくの? 自分の中の亜人すら避けるの? そうやって全部逃げて生きるの?」  
 一気にまくし立てて、先生は荒い息をついた、大きな胸が息に合わせて揺れる。  
「落ち着いてください、先生。……先生の言う事はわかりましたから。  
 でも、距離を置くことなんか、普通の事じゃないですか。亜人と人が別々の星に済んでたら争うことだってなかったんですよ。  
 ちょっと距離を置けば、摩擦も減って、みんな幸せになるんです。これは逃げてるんじゃないんです」  
「駄目! そんな考え、絶対駄目! 誤解やすれ違いを一つ一つ解いていって、亜人と人間は分かり合っていかなければならないの  
 先生は、大神君は亜人の良いところを知らないといけない思うの。だから、逃げちゃ駄目なの!」  
 言い終わった後先生は、目の端にわずかに涙を浮かべ、顔を紅潮させでいた。  
 俺は何か先生のスイッチを入れてしまったようで、先生は俺の手を恐ろしいほどの力で握りしめていた。  
「わかりました。わかりましたから!」  
「大神君……」  
「でも先生、俺と虎宮や鞍馬の話にどうしてそこまでこだわるんです?」  
 俺がふと疑問を口にすると、なぜか先生はすこし慌てた。  
「え? ……あ、き、教師として見過ごせないって思ったの。大神君には亜人を誤解してもらいたくなかったのよ」    
「気をつかってくれてありがとうございます。でも、もう暴力が治まったんで、後は俺と虎宮や鞍馬との問題ですよ。  
 俺は俺なりに考えてやっていきますけど、でも仲良くしろって言われても、そうすぐにうまくはいきませんよ」  
「大神君!」  
「怒ってもだめです。俺にだって事情や考えあるんですから。さ、話はこれでいいですか?」  
「待って、大神君!」  
 引き留めようとした手を俺は思わず振り払っていた。傷ついたような目をして先生は立ちつくしていた。  
 しかし俺はそのまま保健室をでた。  
 保健室から出て、保健室が甘ったるいミルクの匂いで充満していたことに気付いた。  
 
 
 その後も何回か俺は保健室に呼び出された。  
「虎宮さん達を避けるのはもうやめましょう? 彼女達、とても気にしているわ」  
「ですから、嫌いで避けてるんじゃないですから。状況を見て適切な距離を模索しているわけで。感情の問題じゃないんですよ」  
「そんな理由は、反省している虎宮さんを避けて悲しませていい理由にはならないと思うの。  
 悪意も偏見も無いって大神君は言うけど、先生はね、やっぱり大神君が間違った思いこみをしていると思うわ。  
 そういうのをちゃんとぶつけ合って一つ一つ解いていって、亜人と人間は分かり合っていくのよ。  
 逃げちゃだめなの。ちゃんと向き合って!」  
「先生の考えは立派ですけど……」  
「駄目、大神君! 逃げないで向き合って」  
 そんな平行線を辿るような空しいやりとりをしているうちに、俺は保健室に行かなくなり、牛島先生も避けるようになった。  
 学校に行っても誰とも話をしない日々が続いたが、しかし誰からも干渉されず穏やかで平和な日々だった。  
 虎宮と鞍馬、そして先生はあきらめた。そう俺は思いこんでいた。  
   
 
 最後に保健室に行ってから二週間がたっていた。  
 晴れ渡った夜空にこうこうと満ちた月が輝き、温かさを帯びた春風が夜の町を吹き抜けた。  
 俺はバイトを終わらせて、足取り軽く家路についていた。満月が俺に喜びを与えてくれていた。  
 月の光を浴びるだけで、身体の疲れも心のモヤモヤも流れ落ちていき、叫びだしたくなるほどのエネルギー身体に満ちる。  
 丸い月の下では、どこまでも遠くに行ける気がした。  
「……なんにせよ、ごたごたが片付いてよかった」  
 今回は少々ついていなかった。高校にもぐりこむというのは名案に思ったのだが、亜人と同じクラスになってしまった。  
 これ以上トラブルが続けば、詮索が強くなったに違いない。そうなれば、俺は姿を消さなければならなかった。  
 亜人の世界はせまい。人口が少なく、マイノリティということで結束も固いからだ。ゆえに、彼らの間に情報がまわるのもこれまた早い。  
 亜人の間で目立てば、どこに行っても亜人達はかぎつけるだろう。  
 目立たないように、詮索されないように、集団の隅で人の影にかくれて、そっと存在するのが、一番いい。  
「座敷童がそんなこと言ってたっけ」  
 俺のつぶやきに、月は答えず、ただ恵みの光をさしかけるだけだった。  
 アパートに帰り着いたとき、俺の部屋のまえに誰かがたたずんでいるのに気がついた。  
 鋭敏になった鼻が、人影の正体を知らせる。甘いミルクの匂い、牛島先生だった。  
 満ちた月により浮かれた心を戒めて、いつもの状態を保つように念ずる。  
 視界が暗くなって、鼻が利かなくなる。  
 そのままなにも知らない振りをして自室に向かって歩んだ。  
 扉の鍵穴に鍵を差し込んだ所で声がかけられる。  
「こんばんわ、大神君」  
 驚いた演技をして振り返ると、暗闇の中から、緑に光る二つの瞳があらわれた。  
 それが近づき蛍光灯の光を浴びて、いつもの優しげな牛島先生の瞳になった。  
「牛島先生だったんですか? 驚きました」  
 白々しくならないように、すこし早口でしゃべる。  
「話をしにきたの」  
 その姿はもちろん白衣ではないが、今はいつもよりも飛び抜けてきわどい姿をしていた。  
 彼女は、巨大な胸を半ばまでさらけ出しているような扇情的なタンクトップとパンツまで見えかねないミニスカートだったのだ。  
 手にはセカンドバッグの他に小さな水筒のようなものを下げてる。  
「ですが……もうこんな時間ですし、ここは俺しか住んでないから二人きりってのもまずいと思いますし……」  
「じゃあ、こんな時間に私を一人で帰して、襲われてもいいのかしら?」  
「それは……」  
「お邪魔していいわね?」  
 普段からすこし強引だったが、この時の先生はさらに強引だった。  
 帰りそうな気配もないので、俺は仕方なく先生を部屋に上げた。それが失敗だった。    
 
 俺に続いて部屋に上がり込むと、彼女は一部屋しかない我が家の中をしげしげと見回した。  
 この部屋は、借りるときに保証人不要で最低限の家具付きという手間が要らないだけが長所のワンルームだった。  
 だから内装は画一的で、大量生産された機械に等しい無機質さがあった。もっとも俺にとってはそれがいい。  
「ほんと、殺風景ね」  
 あきれかえったという顔で彼女は首を振った。   
 小さなTV、小さなちゃぶ台と、敷きっぱなしの寝乱れたマットレス。古ぼけたエアコン。わずかな本と私服、そして鞄と制服。  
 それだけしかない。家具や電化製品はもともと部屋の付属物だから、実質の俺の持ち物は、服と本ぐらいだった。、  
「寝るだけですから。……お茶もないんで、ミネラルウォーターになりますけど?」  
 冷蔵庫も作り付けの小さなものしかない。  
「いらないわ。それより私が飲み物持ってきたから、それを飲みましょ」  
 そういうと、すでにちゃぶ台のまえに座り込んでいた彼女は肩から提げていた水筒を取り出した。  
 俺は小さなキッチンで100円ショップで買ったマグカップとグラスをざっと洗い、ちゃぶ台に持って行って先生にグラスを差し出した。  
 しかし先生は俺のマグカップにだけ水筒から白い液体を注いでにっこりと笑う。  
「友人に絞りたての牛乳をもらったの。私が飲んでもおいしかったから、味は保証するわよ」  
「前も先生は牛乳だしてくれましたよね? 先生は牛の獣人なのに牛乳好きなんですね」  
 とはいうものの、喉が渇いていたのもあって、俺はミルクに口をつけた。  
 さらっとした喉越しながら、コクがあり、決して不快なものではないわずかな甘みが舌に降りた。  
「へぇ、おいしい」  
「でしょ? もっと、飲むわよね?」  
 そういいながら俺が返事をする前に、ミルクが注がれている。  
 嫌いな味じゃなかったので、また口をつけた。  
 それを三度繰り返すと、小さな水筒は空になった。  
「すいません。一人で飲んでしまって」  
「あら、気にしないで。それよりね……」  
 そういうと女教師は、他愛の無いことをしゃべりだした。  
 
 虎宮や鞍馬の事を語り、亜人の歴史を語り、人との共存の意義を女教師は語った。  
 そして話が亜人の女の悲しさに及んだとき、不意に女教師の胸が俺の視界に入った。  
 いつもならきっちりと上までボタンで留められたシャツが見えるだけだった。  
 例え、谷間が見えていたとしても、視線を外すのは容易なはずだった。  
 なのに、頭の中で鼓動がやけに大きく響いた。  
 他愛もなく股間が持ち上がり、視線が外せなくなった。  
 心の中で呆然としながらなんとか、視線を外すと、今度は白い太股で目がとまった。  
 胸と股間で恐ろしく早い拍動が始まり、頭の奥で赤いものがちらついた。  
 視線が胸と太股に貼り付いてどうしようもなくなり、目を閉じた。  
 淫靡なイメージを振り払おうと首を何度も振って、深呼吸した。  
「大丈夫?」  
 その声は恐ろしく近くからした。  
 目を開けると、心配そうな先生の顔が至近距離にあった。  
 そしていつもならすぐに距離をとれるはずなのに、俺は動けなかった。  
 視線が赤い唇に吸い寄せられ、白いうなじに落ち、胸の谷間に滑り降りる。  
 股間が痛いほどうずいて盛り上がった。  
「……エッチね。私の胸がそんなに気になる?」  
 赤い唇が、いやらしく動いて笑いの形に歪む。  
 おかしいとささやく理性の声が、頼りなく小さく、声が麻痺したように出なかった。  
 壊れそうな勢いで心臓が脈打っている。  
「……な……ん……で……」  
「いいのよ、我慢しなくて」  
 女の手が俺の手をとり、タンクトップの下に導いた。  
 
 滑らかでかつ柔らかく重い感触が掌に伝わる。それだけで脳裏の赤いものが広がった。  
 暴風が吹き荒れるような音は、自分の呼吸音だった。  
 手を動かすと、少し固い固まり触れた。  
「亜人と人と……分かり合いましょう、大神君」  
 真っ赤な唇がそういうと、俺に近づいてきた。  
 首に滑らかな腕が巻き付く  
 やがて俺の口に柔らかいものが貼り付いて、口の中に温かくぬめったものが入ってきた。  
 ぬめったものは舌にからみつき、口蓋をつついた。それだけで股間が爆発しそうになる。  
 送り込まれる唾液をすすり、舌を重ねて、女の口を舌でまさぐる。  
 気がつくと女のもう一方の手が俺の股間をさすっていた。  
 白い肉がたまらなく欲しくなって、俺も空いている手ももう一方に伸ばす。  
 女の口を味わいながら、重く柔らかい胸肉をゆっくりこね回して感触を楽しんだ。  
 固く尖った乳首を指で転がし、はさみ、押し込んで、先端をやさしくなでた。  
 何度か女が身体を震わせた後、耐えられなくなって、女は口を離した。  
 女が手を伸ばして蛍光灯を消す。部屋を暗闇が被ったにもかかわらず女の身体は月の光で白く輝いていた。  
 俺に体重をかけて押し倒すと、女は自らタンクトップとミニスカートを脱ぎ捨てた。  
「大神君、私の中に吐きだしてね。そして素直になって、愛し合うの」  
 女の白い手がベルトを外し、スラックスをはぎとった。  
「大神君はね、亜人と結ばれたほうが幸せになれるのよ。……いえ、人間なんかには大神君を渡さない。  
 亜人の愛で、軽薄で移り気な人間の愛なんか忘れさせてあげる」  
 女の目が燐光を発するかのように緑に輝き、その手が俺のトランクスにかかり、ずり下げた。  
「うふふ、こんなに固くして。……亜人と交わったら、死ぬまで離れられないわよ。  
 この綺麗なおちんちんで人間の女としたことは?」  
 俺の陰茎に指を這わせながら女が尋ねたが、俺は首を横に振ることしかできなかった。  
 喉が熱く焼け付き、声が出なかったからだ。  
「そう、じゃあ、もう人間とはSEX出来ないわね。でも大丈夫よ。……私が一生面倒をみてあげる」  
 女の上半身が、はだけられた俺の股間に降りてすぐに、陰茎が柔らかい胸肉に挟まれ、快感に漬かった。  
 陰茎が柔らかい肉に埋まり、周囲の肉が形を変えながらからみついていた。飛び出した先端は女の舌になぶられている。  
「はぁ、熱くて固い……。ね、先生のおっぱい、気持ちいいでしょう? ほら、こんなにお汁がでてる」」  
「くっ……うぁ」  
 滑らかな肉に揉みしだかれる快感が、腰にわき上がって脳まで突き刺さった。  
 突然、快感がとまる。見ると女が陰茎を離し、俺を凝視していた。  
「大神君、亜人を……私を愛してくれるわね? 避けたりしないわね?」  
「……な、なにを? ……くぅ」  
 返答に答えず、女は再び陰茎を胸肉で挟み、先端を舐めた。再度快感がわき上がったが、すぐ消えた。  
「ね、答えて? 答えてくれたら、出させてあげるわ。……逃げちゃだめよ? 私を愛してくれるわね?」  
 そういうと女はゆっくりと胸肉で陰茎をしごいた。じわじわと快感が湧く。腰をひこうとしたが、がっちり押さえつけられていた。  
「……わかったよ。わかったから……もう……」  
 ぐらぐらする頭の中でどうしようもないもどかしさがつのり、口が勝手に動いていた。  
 
 女の顔が喜びに輝き、そしていやらしく笑った。  
「そうよ、大神君はもう私のものだから。逃げたりなんかできないように、私の身体じゃないと満足できないようにしてあげる」  
 そういうと陰茎が再び胸肉に包まれる。そればかりか、先端が生ぬるい感触に覆われた。女が胸から出た陰茎の先端をくわえていたのだ。  
 そして胸肉に溶けそうな勢いでこすって揉みしだかれ、先端が猛烈に吸われながら、舐められた。  
 尿道口を舌が突っつきながら入り込もうとすると、殴りつけられたような快感が湧いて、うずきが陰茎に集まり放出感となった。  
「ダメだ、出るっ!」  
 反射的に女の頭をつかむ。小さな角が掌に当たった。命が出て行くような放出感が続いて腰が浮き、目の奥が白く輝いた。  
 やがて、手足の先がしびれ、四肢の力が抜けて、だらしなく床に横たわり、荒い息をつくだけとなった。  
 陰茎に舌がからみついて、残った精液を吸われていった。  
「……大神君は、先生に精液を飲ませる悪い生徒ね」  
 頭をあげた女が俺の胸元ににじりよってきた。彼女は自身の上半身に飛び散った白濁液を指でぬぐって舐め取っている。  
「でも、先生にだけなら許してあげる。精液溜まったら私の所に来るのよ。……こんなおいしい精液、人間なんかに飲ませたらダメなんだから」   
 そういうと舌に残った白いものを幸せそうに飲み下し、胸を押さえる。  
「大神君の精液、粘っこくて、濃かったわ。……こんなに溜めてたのに、私達を避けるなんて……、ほんとにもう」  
 少し怒った顔をしながら、女が身体をさらに頭の方に移動させて、自らの乳房を俺の口元に差し出した。  
「さぁ、今度は先生のミルクを飲んでね」  
 快感でぼやけた俺の頭はなにも考えずに口を開き、乳首をくわえる。  
 乳首を無我夢中で吸うと、かすかに甘い何かが口に広がった。  
「どう? さっき飲んだときはおいしいっていってくれたけど」  
 まわらない頭で俺は「さっき」を考える。コクがあってほのかに甘い何かが口に溜まり、喉を鳴らして飲んだ。  
「んん、はぁぅ。あ、……もっと吸って。そう、あ、あはぁぅ、あうう」  
 なぜか、何の愛撫も受けていないのに、また陰茎がみなぎりはじめた。右乳首からなにも出なくなり、反対側の乳首に吸い付く。  
「んふ、そんなに……。はぁぅん……気に入ってくれたのね。ああ……またおちんちん元気になって……」  
 ひんやりとした手が、屹立した陰茎を愛しげになでまわした。  
「そうよ、……ふわぁぅ……私のミルクを、はぁぁ……いっぱい飲んで、……んふぅ……私だけを愛してぇぇぇ」  
 不意に先生がもっていた水筒が俺の脳裏に浮かぶ。  
「あ、あの……水筒……」  
「んふふ、気がついたんだ。……んんんぁ……そう、あれは……私の……あはぁ……母乳よぉぉぉ……」  
 頭を強く抱きしめられ、胸の中に埋められる。甘いものが出なくなった乳首を舌で転がし甘噛みすると女の身体が震えた。  
「はぁぅぅぅ……大神君を想いながら……オナニーしてぇぇ……くぅぅんん……おっぱい絞ったのぉ。  
 私ぃぃ、あんあんあああぁぁ……発情期だからぁぁ……私の母乳はぁぁ……そこぉぉ……媚薬にぃぃ……なっちゃうのぉぉぉ」  
 空いた手で反対側の乳首をこすりたて、乳房をこね上げる。……びやく? ああ、頭が回らない。なぜかうまく考えられない。  
 ただ股間の熱くたぎるものを、突き入れたいだけだった。  
 乳房を手をおろして、女の股間に入れると、女が淫蕩な笑みを浮かべた。  
「……大神君、もう我慢できないのね? ……いいわ、私が包んで絞ったげる」  
 女が腰を浮かして、パンツを脱ぐ。白い房のついたしっぽが飛び出し、誘うようにくねった。  
 俺をまたいで女性器を陰茎の上に持って行くと、女の手が俺の陰茎に添えられる。  
 紅い成熟しきった女性器から糸を引いて滴が垂れ、俺の下腹部に落ちた。  
 その女性器が、ゆっくりと下がり、亀頭にあたる。  
「ふふ、これでもう、大神君は人間の女では満足できなくなるわ」  
 女の顔に征服感と勝利と淫蕩と女の自尊心が入り交じった蠱惑的な表情が浮かぶ。  
 膣口が開き、ゆっくりと陰茎が飲み込まれていった。  
 
 途端に無数のひだが俺のものを巻き付いて、奥へと飲み込もうと絞り上げはじめる。  
「くぅぅぅ」  
 あまりにも淫らな中の動きに、思わず腰を入れてしまう。  
「だめぇぇ、大神くぅぅぅん。んんんはぁぁぁ、奥をつかないでぇぇぇ」  
「せ、せんせぇ、腰がぁぁ、とまらないぃぃ」  
 陰茎に巻き付いて奥に引き込もうとするひだで腰がしびれ、それを我慢するために腰を打ち付けるしかなかった。  
 暴れ狂う女の腰を押さえ込み、奥の奥まで打ち込むと、先端をついばむような壁の動きが出迎える。  
「いやぁぁぁ、だめぇぇぇ、はげしすぎるぅぅぅ」  
 女は視点の定まらない目を泳がせながら、自分の頭をおさえて、よだれをたらしていた。  
 俺は急速に股間の根本に熱くうずく塊を自覚し、出口を求めて陰茎を駆け上る感触に駆られて、腰をさらにつきいれた。  
「せんせぇ、ごめん、だめだ、でちゃう。だしちゃう!」  
「出してぇぇ、おーがみくぅんの子供ぉ、はらませてぇぇ。せーえきを中にぃぃぃ」  
 その言葉と共に、女の身体が俺の胸に落ちた。しかし壁は別の生き物の如く一層うねって陰茎を絞る。  
 思わずのけぞった俺の目が、窓越しの空の白くやさしい満月を捉える。  
 脳裏が白くフラッシュして、白く丸く輝く月の残像が頭の奥底に焼き付いた。  
 陰茎の先端で急速に拍動をともなった解放感がうまれる。だが腰は止まらなかった。  
 女が俺の唇をむさぼり、しっぽらしき細長いものが足に巻き付いた。  
 放出しているにも関わらず、陰茎は萎える気配がなく、いきりたったままだった。  
 溜まっている物を全て出し切りたくて、緩やかに突き入れる。壁がそれを察したかのように陰茎にまとわりついた。  
「……大神君がおなかの中でトクトクしてる……大神君?」  
 女が身体を起こし、不思議そうな顔をした。  
 視界が明るくなる。きっと今、俺の目は金色になっている。  
 鼻が敏感になり、精液の匂いと女の匂いがどっと押し寄せた。  
 月の光が、頭いっぱいに広がり、脳裏の紅い霧もぼーとする意識も全てをきれいに洗い流した。  
「え、そんな……うそ、信じられない!」  
 うろたえる女の顔を、いまはクリアな意識で見ることが出来た。  
 手の爪が伸び、剛毛が生えそろう。きっと足もそうだろうし、顔にも毛が生え始めているだろう。  
 歯も少しうずいている。舌で触ると、牙になっていた。  
「お、大神君……きゃっ、お、おちんちんが!」  
 陰茎がさらに硬くなり、太さと長さもまし、彼女の中を押し広げた。   
 俺は身体を起こし、対面座位の形をとる。  
「やっちまった。……変身してしまった……人前で」  
 呆然とする先生を見て、俺は頭を押さえてため息をついた。  
「お、大神君が……狼の獣人? そんな! 嘘よ! だって、そんな匂いも気配も無かった!」  
 信じられないと先生は首をふっていた。  
「訳あって、かなり完璧な変身が出来るんです。匂いはおろか神通力もだませるようなのがね」  
 呆然とする先生を抱き上げ、陰茎を抜いた。  
「でも、どうしてか、亜人には目立っちゃうみたいで……。詮索されたくないのにうまくいかないなぁ」  
 さすがに媚薬と満月と性的絶頂の三つ同時相手では、変身も保てない。  
「だから適切な距離を保とうって言った……のに?」  
 よけいなお節介に文句の一つでも言ってやろうとしたとき、先生はその目から大粒の涙をぽろぽろとこぼしていた。  
「ちょっと、先生? どうしたんですか?」  
 そういった途端、彼女は俺に抱きついて大声で泣いた。泣いて泣きまくって、俺の胸毛がびしょびしょになった。  
 よくわからないまま、俺は彼女の背中をなでてやるしか無かった。  
 
「亜人の男と、しかも獣人と出会えるなんて思ってなかった」  
 かなり時間が経ってようやく彼女は泣きやみ、彼女と俺は、マットレスの上で抱き合いながら寝そべっていた。  
 まあ、俺のものは元気だったが、我慢はできた。泣いている女を犯すほど飢えてはいない。  
「ずっと一人だと思ってた。人間を好きになることもなかったし、死ぬまで孤独に生きるんだなって」   
 彼女が俺の毛にほおずりをした。  
「発情期なんか惨めだった。あそこはうずいて、母乳も出ちゃうのに、それを一人で処理しなくちゃならなくて。  
 人間の男としたこともあったけど、私が好きにならなかったから長続きしなかった」  
「まあ、亜人と人間って、物語のようにはうまくいかないですから」  
「うん。だけどね、大神君は、一目で好きになったのよ。この人だ! って。  
 けど、大神君、虎宮さんと喧嘩してたから、亜人を嫌いにならないか心配だった。  
 私、がんばったのに大神君は適切な距離をとろうなんて言って逃げるから、私すごくくやしくて」  
 俺は苦笑いをするしかなかった。潜り込んだ早々からロックオンされてたらしい。  
「それで媚薬入り母乳を?」  
「だって、大神君をこのまま逃したら、絶対駄目だと思ったし。  
 すごい頑固だから、これはもう身体で教えるしかないと思ったし。  
 それにちょうど発情期が来たし……」  
 ぼそぼそごにょごにょと先生は頬を染めながら言い訳をした。  
「おかげで俺は大変ですよ。変身は解けるし、こいつはこうなったままだし……」  
 と立ったままの下半身を指し示す。意識はクリアになったが、母乳を飲み過ぎたため影響は残っているらしい。  
 先生にちょっとは反省してもらいたくて、俺は陰茎を見せつけるようにふった。  
 無言で先生は、身を起こした。四つん這いになって、尻を俺に向ける。  
「先生? なにしてるんです?」  
「一生、面倒見てあげるって言ったでしょ?   
 先生のおまんこで、大神君のがまんできないおちんちんを慰めてあげる。  
 変身したんだから心おきなく、私の中でいっぱい出して」  
 くいくいと尻がふられた。白い尻尾がさそうようにくねり、それがとてつもなくいやらしかった  
 
 真っ白い二つ尻肉の間に見える女性器に、俺は陰茎の先端を押し当てた。  
「……行きますよ」  
 返事はなかったが、尻尾が右腕にまきつき、俺はいきりたったものをゆっくり突き入れた。  
「はぁぁぁぁ……あ、熱くて……奥までぇぇぇ、とどいてるぅ……」  
 大きく白い尻を抱えて、反り返った陰茎で背中側の膣壁をまんべんなく?くように腰を動かす。  
「だ、だめぇぇぇぇ。変な感じが、変な感じで気持ちいいのぉ! ふわぁぁぁ!」  
 相変わらずひだが絞るようにまとわりつき奥に引き込もうとする。快感が湧くが今度はこちらに余裕があった。  
 陰茎の下側にざらつくようなぶつぶつした膣壁の感触があり、腰をひねりながらそこをこする。  
 先生の身体が痙攣したように震えた。  
「そこ、そこそこそこぉぉ、こすったらだめぇぇ。……あぁぁぁぁ、おかしくなるぅ」  
 俺は身体を先生の背中にかぶせるようにして、うなじの汗をなめとり、手をまわして、胸をまさぐり、乳首をいじくった。  
 先生の身体の震えが休みなく起こるようになり、俺は抽送を早めた。  
「あはぁぁぁ、大神くん大神くん、おおがみくぅぅぅぅぅん!!!!」  
 ぴんと四肢がつっぱり、がくんがくんと壊れた人形のように緊張と弛緩を繰り返すと、先生はベッドに崩れ落ちた。  
 まだ放出していなかったが、俺は構わず陰茎を引き抜いた。  
 
 そして尻を突き出す形で脱力しているその尻に顔を寄せる。  
 女性器は、濡れそぼって月の光を反射し、膣口は開いたままで、白濁液を垂らしていた。  
 小陰唇の合わせ目のクリトリスを手で向くと、唇でクリトリスを挟む。  
「ひぃぃぃぁぁぁ! そこはぁぁ!」  
 尻の向こうで声が上がるがそれに構わず、つきだした舌でクリトリスをつつき、吸った  
「いやぁぁぁぁぁぁ。そこはぁぁ、そこはだめなのぉぉぉ! ひゃぁぁんん」  
 暴れ回る尻をしっかり抱え、クリトリスを舐めて、軽くほんの少しだけ歯を立てる。それだけで尻が踊りまわった。  
「駄目っていっても、気持ちよさそうですよ」  
 媚薬入り母乳の復讐ぐらいはさせてもらうつもりだった。  
 クリトリスを責めて尻と身体を何回か痙攣させた後、膣口の周囲をなめ回し、膣に舌を突き入れる。  
「中をぉぉぉ、舐められてるぅぅぅぅ。舌がぁぁぁ……はぁぁぁぅぅ! も、もうお願いぃぃ」  
「なにが?」  
 尻を振りたくって先生はねだった。  
「大神君の……おちんちんを……お願いぃぃ、ここにぃぃ、おまんこにぃぃ、いれてぇぇぇ」  
 その言葉で先生を瞬時にひっくり返して仰向けにし、先生の足を折りまげて、正常医で先生の中に突き入った。  
 腰を動かしながら、空いた手で乳房をいじめ、先生の口を舌でむさぼる。  
 先生の中は根本から先端までひだがびっちりと巻き付き、俺をしごいていた。  
 腰をひこうとすると、壁もひだも離すまいと奥に飲み込もうとし、突き入れると俺を存分に絞った。  
 デイープキスで声を塞がれた先生は、切なげに顔を歪め、マットレスに爪を立てる。  
 先生の全てを味わいながら、俺も精液が陰茎の根本に溜まってくるのを感じていた。  
 陰茎の背の部分で先ほどのぶつぶつの壁を感じ、亀頭でこすりあげた。  
 先生の身体が大きく痙攣すると同時に生暖かい液が結合部で噴出する。  
 そろそろ限界が近くなって、俺は唇を離し、腰を打ち込んだ。  
「いやいやいやぁ、私だけいかせないでぇぇぇ。おーがみくんもぉ、おーがみくんもぉ  
 ああああぁぁぁぁ……いくいくいくいくぅぅぅ、はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」  
 その時強烈に先生が俺を絞り上げ、我慢できなくなった俺も先生の中に放った。  
 拍動しながらの放出は長々と続き、さすがに腰がたよりない感じになってきた。  
「あはぁ、中で大神君がぁ、いっぱい出てるぅ、……お腹が温かい……こどもできちゃぅ……」  
 そういって先生は目を閉じると、幸せそうな顔をしてすぐに寝息を立てだした。  
「あらら、寝ちゃったよ」  
 まだ、陰茎はゆっくりとした拍動を残し、最後の精液を吐出していた。  
 やがて精液を出し切ったので引き抜くと、陰茎はやっと半立ち状態までおさまっていた。  
 先生にタオルケットを掛け、俺は窓際に移動して窓をあける。夜風がほてった身体をやさしく冷やした。  
 肉体的な疲れはわずかで放出後の心地よいすっきりとした感じが全身に満ちていた。  
 月を見上げる。やっかいごとを抱え込んだのは間違いなかった。  
「でも、泣かれちゃったからなぁ」  
 俺の胸で泣きじゃくっていた先生の姿を思い出す。  
「成るようにしかならないか」  
 西の空に傾いた満月は、ただ優しい光を送るだけで、なにも答えなかった。  
 
 
 結局、俺は先生と話し合って行動を少し修正することになった。  
「つまり、晃が亜人だとばれると、都合が悪いのね?」  
「俺をしつこく捜している亜人がいるんですよ。そいつに見つかりたくないんで」  
「見つかるとどうなるの?」  
「ダッチハズバンドですかね」  
 俺がそういうと先生が小首をかしげた。  
 ちなみにここはいつもの保健室。先生と寝た次の日だった。  
 今朝はいろいろと大変だったが割愛する。  
 二人ともなんとか登校し、昼休みに事情を説明しろと呼び出されたのだ。   
「……ダッチハズバンド?」  
「自由意志を剥奪されて、命令のままに女を愛するんです。  
 ついでに種付けもして、もちろん浮気もしないでしょうね」  
 おぞましい記憶を思い出し、俺は肌をあわ立てた。  
「……なんかそれちょっといいかも」  
「冗談は止めて下さい。こっちは本当に恐いんですから。  
 ……もしなっちゃったら、俺、たぶん先生のことなんか忘れますよ」  
 そのことを俺は確信をもって言えた。  
 それが伝わり、先生の顔もまじめなものになった。  
「そ、それは困るわね。わかったわ、それで人間として目立たないように暮らしたいわけね」  
「そういうことです。先生以外の亜人に目をつけられるとどこでどう情報が流れるかわからないので」  
「でも晃は、なんか目立つわよ、うん」  
「匂いや神通力もごまかせる変身をしているのになぁ。なんでだろ」  
 がんばって潜伏しているつもりなのに、鞍馬に続いて先生にまで断言されて俺はへこんだ。  
 落ち込む俺をみて、先生があわてて励ましにかかった  
「ま、まずは学校生活からがんばろうよ。とにかく学校では一人浮かないこと。  
 いつも一人でいると目立つわよ? それから友達を避ける行動も目立つから止めること」  
「そ、そうかな?」  
 今までの行動をばっさり否定されて、俺は動揺した。  
「そうよ。本人は目立ってないつもりでも相手や端からみれば、ばればれなの。  
 そりゃ、虎宮さんが悪いのは皆わかってるけど、でもやっぱり目立ってるわよ?」  
 それを聞かされて、俺はたっぷり落ち込んだ。  
「しゅ、集団生活って難しい……」  
「まあまあ、私に任せておきなさい。晃をどこからみても普通の高校生にしてあげるから」  
 えっへんと巨大な乳房を揺らして胸を張る女教師に、俺は頭を下げるしかなかった。  
 
 
 そしてさらに翌日、登校すると虎宮が俺の後の席に座っていた。  
「自分の席に戻れよ、虎宮」  
「今日からここがあたしの席」  
 不機嫌そうな顔が俺を見上げ、文句あるかと噛みつかれそうで、俺は黙った。  
 虎宮に背を向けて、椅子をひくと後から声がかかった。  
「ちなみに、京があんたのとなり」  
「よろしくぅ、大神。言っておくけど、これ牛島先生の案だから抗議しても無駄だよん」  
 右隣で手を振る天狗少女、鞍馬がいた。   
 頭痛を感じながら無言で席に座ると突然、凄い勢いで襟首を引かれた。  
「クラスメートの、しかもかわいい女の子に、朝の挨拶は?」  
「……おはよう」  
 半絞首刑状態でかろうじて声を絞り出すと襟がゆるむ  
「よろしい。じゃあ、これからのスケジュールを言っておくわね。  
 昼休みは保健室であたしと京と牛島先生と大神で楽しくお弁当。  
 放課後は三人で遊びに行くの」  
「なんだよ、それは!」  
 そのラブコメちっくなスケジュールを聞かされ、思わず振り返ると虎宮はすごみのある笑みを浮かべていた。  
「あんたに拒否権はない。これは亜人と人間の交流を深め、相互理解をしていく重要なミッション。わかった?」  
「そうそう、大神は、ワイルド系少女と、巨乳女教師、そして天使のような美少女に囲まれて楽しい学園生活を送るのでした」  
「京、なぜあたしがワイルド系で、あんたが美少女?」  
 吠えつきかねない勢いで虎宮は鞍馬につっこみを入れるが、鞍馬は顔色一つ変えずに反撃した。  
「しょうがないじゃない、事実なんだから」  
「いつか、京とは決着をつける必要があるわね」  
「山岳神の末裔たる私と、がさつな虎では、勝負は見えているけどね」  
 鞍馬の茶化しに虎宮の注意がそれたところで、俺は身体を戻し、そっとため息をついた。  
 一人で孤立するのが目立つというのはわかる、  
 でも、綺麗なクラスメートの女二人と美人女教師に囲まれるのも、それはちょっと、いやかなり、目立つのではないだろうか?  
 ほら、さっそく騒がしい俺達を、クラス中が見つめている。  
 これでいいのだろうか? これが普通の高校生なんだろうか?  
 何かが違う気がして、俺はもう一度盛大にため息をついた。  
 
End  
 

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