「大声で助けを呼べよ。運が良けりゃ誰か来てくれるさ」  
二人の男はそう言って車に乗り込み、去っていった。  
あとには、ずたずたに裂けたセーラー服姿で、木に縛られた少女が残された。  
擦りむき傷ができた頬は涙で汚れて、低めの鼻にメガネが斜めにずれて乗っている。  
「なぜ?……なぜあたし、こんな目に……誰か助けて……」  
桃子はすすり泣いた。  
学校帰りに2人組みの男に車へ押し込まれて山の中へ連れてこられ、さんざん犯された。  
そのあと二人は、半裸の桃子を木にもたれて座らせ、両手を幹の後ろに回して縛った。  
脚を大きく広げ、足首をロープでそれぞれ別の木につないだ。  
それだけでも死んでしまいたいくらい恥ずかしいのに、男達は脚の間に懐中電灯を置き、  
スカートをめくり上げショーツを脱がせた下半身に光を当てた。  
最後に輪姦の途中で落ちたメガネを、桃子の顔に乗せて、笑いながら去ったのだ。  
 
恥ずかしくて助けは呼べなかった。手のロープをゆるめようと桃子はもがいた。  
「帰らなきゃ……ロープを、ほどいて……」  
けれど動くと背中に木の皮が擦れて痛い。地面の草が裸の尻に当たってちくちくする。  
土に触れている腿がむずむずする。むず痒いのが、だんだん移動して……。  
「なに……いやっ!」  
内腿を動く黒い粒に気づいて桃子は叫んだ。蟻が這い上がっていた。2匹、3匹、反対の  
脚にもいる。  
「やっ……いやぁ!やだ、来ないで……あぁ!!」  
脚をばたばた振った。でも足首を木につながれて、蟻を振り落とせるほど動かない。  
「やめて、やめて! あっ、いや……きゃっ! やんっ、こっちも!?」  
セーラー服の襟元は大きく広げられ、ブラジャーはちぎり取られて、右の乳房が  
はみ出していた。濡れ光るその胸にも、いつのまにか蟻が這う。  
白い肌が敏感な桜色へ変わる境目のあたりを、六本の細い足が歩き回る。  
頂点のつぼみに今にも登りそうで登らず、周辺を這い回る。縛られた桃子は、払い落とす  
こともできずにただ見ているだけだ。  
 
「いや……いや、ぁ……ふぅっ、あっ……ぁん……やぁ、そこ、はぁ……」  
体が火照ってくる。細い筆の先で軽く撫でるよりもっと繊細なタッチが、乳首や内腿を  
嬲っている。桃子の息が熱くなった。  
腿を這う蟻達は、少しずつ奥へ寄ってくる。一直線ではなく桃子をじらすような、ジグ  
ザグを描いて歩く。物足りないほど頼りない刺激が、無数に体を這う。  
桃子は喘いだ。気力が萎えていく。  
「んっ、ダメ、こん、な……はぅっ、あぁん、変に、なっちゃう……きゃぁっ!」  
乳首に鋭い痛みが走った。噛まれた。  
いっせいに蟻が内腿のやわらかい皮膚や乳首に噛みついた。  
「痛い、いやっ! こんなの、いや、やめてぇ!!」  
さっきまでの、じれったいようなむず痒さとはまるで違う。  
針を刺されたような痛みに桃子は泣き叫んだ。軽く突いたような痛みから本当に  
刺されたような痛みまでさまざまだ。  
気がつくと2列の蟻の行列ができていた。地面からは桃子の一番恥ずかしい  
場所へ、木の幹から桃子の乳首へ。  
 
桃子は、さっき自分を犯した二人が潤滑液代わりだと言って、ゼリー飲料を桃子の体に  
塗りたくったことを思い出した。  
「あっ……いや、いや! 入らないで、やだぁ!!……やっ、あぁんっ……」  
蟻が、桃子の肉ひだの奥へ侵入してきた。上顎を動かして粘膜の表面を噛み、ゼリーを  
すくい取っては離れていく。乳首も、肛門周辺も。  
ちくちくと、熱く痛い刺激が粘膜を何ヶ所も同時に責めてくる。それだけではなく、あの細い  
足で這い回る繊細な、繊細すぎて物足りなかった刺激も続いている。  
「ああ……いた、い……ふ、ぅんっ。ひぁっ……くふっ……」  
最初は痛いだけだった蟻の噛みつきが、だんだんと気持ちいい。脚で這い回るだけでは  
物足りなかった分を、蟻の上顎が補う。体が熱い。  
「あはぁっ……、そこ、だめぇ……あん、そ、そんなぁ……ひ、いいっ」  
日が暮れて暗くなった。  
光に引かれ、蜜を求める虫が活動する時間が来たのを、桃子は知らなかった。  
 

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