『敗北』
締めつける、と云う感覚ではなかったもののその怪物の触手はしっかりと四肢を掴みびくともしなかった。
「…くそぅ…」
己に腹が立ち、らしくもない悪態が口をつく。
シュリン……
何かを引きずる音に顔を上げると、眼前に大剣の切っ先が突き付けられていた。
この怪物を屠る為に携えてきた己のものである。
だが、普段頼りにしているその美しい刃は今自身に向けられているのだ。
「ち…っ」
殺られる。そう覚悟し、きつく目を閉じた。
ビュン!ビュン!ビュン!
逞しい腕によって力強く風を切って振りまわされる剣。
しかし、いっこうに痛みは襲ってこない。鼠を前にした猫のように甚振るつもりなのだろうか。
キン!…ガラン…ガラン……カラン……
急に肌寒さを感じ目を開くと、
己の体はいっさい傷が付いていないのに鎧だけがきれいに切り落とされほぼ全裸に等しい姿を晒していた。
「な!…」
今まで人前で肌を晒したことなどない剣士の顔は恥ずかしさに見る見るうちに真っ赤になっていく。
これで緊張の糸もあっさりと切れてしまった。
「き・貴様!何のつもりだ!人思いにやれ!!」
恥辱、怒り、悔しさ。感情が爆発し一息に捲くし立てる。
その言葉に答えるように剣の切っ先が上段に構えられた。今度こそ最期か。そう思った。
だがまたしてもその「期待」は裏切られる。
くるり
刃を下に向けると、
ガキン!
深深と地面に突き立てたのである。
「え…?」
怪物の意図するところが掴めず、呆然としている剣士の体が触手によってゆっくりと持ち上げられ始めた。
身を捻って足掻くが、やはりまったくそれらが緩む気配は無い。
ほどなくして突き立てられた剣の真上にくると、
がば!!
両足に絡みついていた触手が左右に引っ張られ大の字に近い格好となった。
「ちょ、ま、まさか!?」
顔が引きつる。嫌な考えが頭をよぎる。
そのまさかであった。
少しずつ剣士の体の真芯をそそり突き立つ剣の「柄」に向けて下ろしだしたのである。
「いやだ!やめろ!やめて!それだけは!!」
頭を振り乱し半狂乱になってもがく。
しかし、そもそも人の力でどうこうできる相手では無いのだ。
更に、音も立てずに左右から伸びてきた触手ががっちりと腰を掴んだ。
「やだ!はなせ!やめろ!やめろぉぉぉっ!!」
叫び声だけが虚しく響く。そして、
「ひぃっ!!」
柄頭が秘裂の入口に触れ、終に、
すぶぶっ
「っ!!…かはっ……ぁ…!」
処女の秘肉を割って太い柄が胎内にねじ込まれた。