「くーっ、最高!」  
学校から帰宅した大輔は愉快さに転げまわっていた。  
超能力を手にいれ、実際に自分の欲望に使う。  
その素晴らしい快感に酔いしれる。  
まあ、やっていること自体は痴漢と大差はないが。  
いや、チカンのほうがもっと大胆なことをする分大輔の行為は悪戯レベルでしかないと言える。  
しかし彼は満足だった。  
元々大輔は超能力を手に入れたからといって即犯罪に走るほどの身の程知らずではない。  
しかも基本的に小心者である。  
女の子にイタズラができるということはそれだけで彼の欲望を満足させていたのだ。  
無論、これからのことはわかりはしないのだが。  
 
「お兄ちゃん、その…お風呂、空いたから!」  
明日はどんなことをしようかと妄想していた大輔の耳に昨日よりも心なしか小さめになった妹の声が届く。  
ちらり、とみた時計は既に帰宅から一時間をまわっていた。  
「いけね」  
妄想にふけりすぎたな、と反省しつつ大輔はリビングに向かう。  
そこにはやはり、昨日と同じく風呂上りの牛乳を飲んでいる愛菜の姿があった。  
違うのはその肌を覆っているのがタオルではなくデフォルメされた牛がプリントされたパジャマだということ。  
(今まではタオル一枚だったのに…)  
いぶかしむ大輔。  
 
「その、ち、違うんだからね! これは、恥ずかしくなったとか、そういうのじゃっ」  
兄の視線に気がついた愛菜は慌てたように自白を開始する。  
頬を赤らめてぶんぶんと手を横に振る愛菜。  
あまりの勢いに腰まであるポニーテールが手の動きにあわせてびゅんびゅんと揺れる。  
 
(くっくっく…)  
だが、大輔にとってその反応は朝に引き続き軽い感動を与えるものでしかなかった。  
恥らう妹、それがこんなにも萌えるものだったとは!  
改めて超能力、ひいては老人に感謝する大輔だった。  
 
「な、何をニヤニヤしてるの!?」  
「いやなに、ようやくお前も俺を男として認識したんだなと」  
「なっ…何言ってるのよ! お兄ちゃんのえっち! すけべ! セクハラ! 変態!」  
「ひ、酷い言い草だな。大体何で今ので俺がえっちになるんだよ」  
「うっ……そ、それは……その、知らない!」  
照れ隠しからか、ぷいっと顔を背ける愛菜に大輔は苦笑する。  
だが寂しいものがあるのも確かだった。  
妹が恥じらいを覚えてくれたのは確かに大きい。  
しかしその代償もまた大きかった。  
タオル一枚でうろつく愛菜は今まで毎晩自分の目の保養をしてくれていたのだ。  
それがいきなり取り上げられる、これはちょっとしたショックだった。  
一度タオルの下まで見ておいて今更何を、とは思うのだが  
裾から覗く胸元と太もものチラリズムがもう見れなくなると思うと寂しさは隠せない。  
 
(待てよ。明日用に買っておいたあれを使えば…)  
ふと一つのアイデアを思いつき、大輔はポケットをまさぐる。  
そこには、手のひらに収まる柔らかな手ごたえがあった。  
ニヤっと口元を吊り上げる。  
(ふっふっふ…お兄ちゃんのえっち、ね…言葉通りにしてやるよ、これを使ってな!)  
大輔は愛菜に気づかれないようにそれを取り出し、そっと床に置いた。  
その正体はねずみのおもちゃ。  
だが、その作りはかなり精巧で、見た目だけなら手にとってじっと見つめでもしない限りは判別は難しい出来だった。  
 
(よし、行け!)  
念動力によって命を吹き込まれたねずみはかさこそと愛菜の足元へ近づいていく。  
瞬間、大輔は叫んだ。  
「あ、ねずみだ!」  
 
「え……きゃあっ!? ね、ねずみぃ!?」  
(予想通りの反応、ナイス愛菜!)  
妹の狼狽振りに内心でニヤリと笑いつつ大輔はねずみを操作する。  
愛菜は大のねずみ嫌いである。  
それを知っていた大輔はその弱点をつく悪戯を思いついたのだ。  
 
「や、やあっ! こないでぇ!」  
涙目で迫り来るねずみから逃げ惑う愛菜。  
だが大輔の操作という追尾ねずみから逃げ切ることなど不可能だった。  
その小さなおもちゃは本物さながらの動きであっという間に愛菜の足に飛び乗り  
そしてパジャマズボンの裾から内部へと侵入していく。  
「ひあっ? ちょ、ちょっとやだぁ! ダメ、出てって! 出て行って〜!」  
ぴょんぴょんとねずみを振り落とすべくジャンプを繰り返す愛菜。  
反動によってパジャマ越しの胸が激しく上下に動く。  
しかし、念動力仕掛けのねずみはその程度では振り落とされることはない。  
逆にどさくさにまぎれて徐々に足を駆け上がっていく始末だった。  
「ひっ…」  
足首、ふくらはぎ、膝とどんどん愛菜の身体を上っていくねずみ。  
そして、その小さな作り物の体が太ももをよじ登り、愛菜のパンティに辿り着いた瞬間。  
彼女はたまらずズボンに手をかけた。  
 
「やぁぁぁん!」  
するっと勢いよく着用者本人の手によって脱げ落ちていくデフォルメ牛プリントのズボン。  
次いで、眩いばかりの乙女の生足があらわになる。  
(おおっ!)  
大輔は思わず身を乗り出した。  
毎晩お目にかかっている足だったが、シチュエーションの違いは重要である。  
気にせずむき出しになっている時と、隠されていたものが出てくる時では興奮度に差があるというものだ。  
目の前の光景を焼き付けんとばかりにさりげなく愛菜にがぶりよる。  
 
「あ、あっちいって!」  
一方、愛菜は兄の視線に気づく余裕もない。  
ぱっぱっと両手でねずみを振り払おうと健闘する。  
だが、ねずみは起用に少女の手を避け、愛菜のむちむちした太ももとお尻を縦横無尽に駆け回る。  
 
ふわっ…  
その激しい動きにチラッチラッとパジャマの上着の裾から純白のパンティを顔を出した。  
(いいぞ、ねずみくんっ!)  
大輔は妹の下半身に目が釘付けになりながらも操作を怠っていなかった。  
きわどい部分はあえて通らせず、ぎりぎりのところを動くように念を込める。  
「あっ…もう…そんな…そんな場所…!」  
まるでじらしているかのようなねずみの動きに、徐々に汗をにじませ始める愛菜。  
頬は既に真っ赤。  
羞恥心が嫌悪感を上回り始めた証拠だった。  
 
(うむっ、良い表情だぞ愛菜!)  
大輔はAV監督になった気分で次なる念を込めた。  
すると、腰周辺を逃げ回っていたねずみは突如針路変更をして未踏の上半身へともぐりこみ始める。  
「ひゃあっ」  
ねずみの更なる移動に愛菜は戦慄する。  
だが大輔は彼女に冷静になる時間を与えない。  
ねずみをお腹に背中に胸元にと、少女の上半身をくまなく蹂躙させる。  
「あはっ…く、くすぐったい! もう…ふぁぁんっ!」  
くすぐったさに頬を赤らめ、息を切らせて愛菜は身悶える。  
性的興奮が発生しているわけではないようだったが、その様子はそんなことは関係ないくらい色っぽい。  
思わずゴクリ、と大輔は唾を飲み込む。  
 
「ひっ!」  
そうこうしているうちに愛菜のひきつったような悲鳴が口から漏れた。  
ねずみが胸の谷間にもぐりこんできたのだ。  
「はぁう! ダメ、そんなところ…ダメだってばっ!」  
女の子の大切な部分を蹂躙され、再び嫌悪感が立ち上がる愛菜。  
ねずみを追い出さんと、パジャマの裾を両手で掴むと迷わず一気にめくり上げていく。  
それによって純白のパンティ、可愛らしい小さなおへそ、すべすべとしたお腹が流れるように公開される。  
そして次の瞬間。  
 
ぷるんっ  
 
と、形の整った大き目のおっぱいがふるふると元気に弾みながら現れた。  
 
(ノーブラかっ!)  
揺れ弾む柔乳をはっきりと目にとらえた大輔は感激と欲情の念を隠せない。  
よくぞここまで育ったものよ! と兄として感無量の喜びと悦びにひたる。  
だが、一瞬奪われてしまった意識は予定外の事態を生んだ。  
念動力が途切れ、ねずみが元の動かないただのおもちゃに戻ってしまったのである。  
(やばっ)  
ぽとりと愛菜の胸の谷間から無念そうに滑り落ちていくねずみ。  
慌てて大輔はねずみを操作し、部屋の外へと撤退させる。  
万一にも手に取られておもちゃとバレたら非常にまずいからだ。  
 
「…はぁ…はぁ…なんだったの、もぅ…」  
逃げ出したねずみを気にすることもなく、解放された安堵感から崩れ落ちるよう愛菜はへたりこんだ。  
両手は身体を支えるように床につけられているため、汗で彩られ、ツヤツヤと輝く双乳は天井へ向かって投げ出されたままだった。  
「おい愛菜。それは流石にはしたないんじゃないか?」  
いけしゃあしゃあと指摘する大輔。  
ニヤけそうになる顔を必死に押さえているためか、何気に口元がピクピクと痙攣していたりする。  
「へ?」  
と、愛菜はそこで初めて兄の存在を認識する。  
床には脱ぎ散らかされたパジャマ。  
身体を覆う唯一の下着。  
無防備にも、兄に見せ付けるように上向いている乳房。  
「…ええっ!?」  
両腕を交差して胸を隠しつつ、愛菜はようやく気がついた。  
今までの一部始終をずっと兄に見られていたということに。  
 
「いっ…いっ…」  
「い?」  
「いやぁぁぁん! もう、バカーっ!!」  
羞恥に震える身体を抱きしめるように立ち上がり、愛菜は叫ぶ。  
そしてその刹那、大輔の視界が真っ暗に染まった。  
パジャマを顔面に投げつけられたのだ。  
「私…私、もうお嫁にいけないーっ!」  
ドタドタと廊下を走り去る音を聞きながら、大輔はゆっくりとパジャマを顔から剥いだ。  
既に愛菜の姿は見えなくなっている。  
「これが若さというものか…」  
大輔は一筋の鼻血と共に呟いた。  
少女のぬくもりを残すパジャマをマジマジと眺めながら。  
 

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