高校二年  
中肉中背、顔は可もなく不可もなく  
運動神経学業成績は並  
普通と平凡に判を押したような少年、それが彼、修地大輔(しゅうちだいすけ)だった  
いつもと変わらない平凡な日々を彼はおくっていた  
いきなり空から天使が降ってくることも異世界に召喚されてしまうことも勿論ない平和な日々  
勿論それが悪いとは言わない、人間平和が一番だからだ  
だが、そんな彼の日々はある日を境に劇的に変化することになる  
そう、彼は非日常の能力…つまり超能力を手に入れてしまったのだから  
 
それは雨の日だった  
下校時、運悪く傘を持っていなかった大輔は雨宿りをするべくある店の軒先に避難した  
その店は客の一人もいない、それどころか店主の姿すら見えないがらんとした店だった  
なんとも陰気臭い…それが大輔の第一印象だった  
「おや、当店に御用ですかな?」  
「っ!?」  
「おっとこれは失礼、驚かせてしまいましたかな?」  
いきなり背後から聞こえてきた声にビビる大輔  
慌てて振り返るとそこには一人の老人がいた  
人の良さそうな眼鏡をかけた白髪の老人は大輔をじっと見つめていた  
「…いえ、俺は雨宿りをさせてもらっているだけです」  
「おや、そうなのかい?」  
「はい…あの、ここってなんのお店なんですか?」  
好奇心を刺激された大輔は質問をぶつけてみた  
店内は薄暗く、陳列されている商品はよく見えないが、どの商品も見覚えのないものばかりだったのだ  
 
「ホッホッホ…ここはお客様の望むものを売る店なんじゃ」  
「望むもの…?」  
「ホッホッホ、そうじゃ、驚かせてしまったお詫びがまだじゃったの。侘び代わりといってはなんじゃが、これをお譲りしよう…」  
す、と差し出された小瓶を見て大輔は戸惑った  
小瓶の中身は液体、だがその色は緑ととても怪しさ爆発な色だったからだ  
当然断ろうとする大輔、だが  
「これは飲んだ者に超能力を身につけさせる薬での…どんな能力が身につくかは飲んだ者次第じゃが」  
「超…能力?」  
「左様」  
ゆっくりと頷く老人に対し、大輔はごくりと唾を飲んだ  
超能力  
普通に考えれば胡散臭いことこの上ない話だ  
だが、大輔はそれを信じていた  
老人の迫力に押されていたということもあるが、彼はむっつりスケベである  
年がら年中想像の中の女の子を辱めてはニヤけている彼にとって、超能力という言葉は非常に魅力的だったのだ  
透視、念動力、遠視、瞬間移動、透明化…どの能力も一青少年としては憧れだった  
 
「どうしたのかの?」  
「あの…いいんですか? あなたの話が本当なら、その、これってとても貴重なものなんじゃ…」  
「ホッホッホ、物を扱うものにとっての一番の喜びはその物を一番必要としているお客に使ってもらうこと。  
 そういう意味ではお前さんほどこの薬にあう者はおらんよ」  
にかりと笑う老人の表情は好々爺そのものといった風体で、大輔は思わず笑ってしまう  
自分の思考を読まれてしまったかのような老人の台詞だったが、大輔は不思議と不快を覚えなかったのだ  
「じゃあ、遠慮なく頂きます」  
「どうぞ」  
ごくっと一気に薬を飲み干す大輔  
飲み下されたその液体は喉を通ってあっという間に大輔の身体へと吸収されていく  
瞬間、大輔の身体にカッと熱が広がった  
 
「…なんか、身体が熱いんだけど」  
「ホホホ、すぐにおさまるて。それよりも、どんな能力が身についたのか試してみたらどうかな?」  
「どうやって?」  
「何、集中して能力を意識すればよい。あとはお前さんの脳が勝手に教えてくれるだろうよ」  
「わかりました…むんっ」  
言われたとおり意識を集中する大輔  
すると、店の中におかれていた壷が一人でに宙に浮き始めるではないか  
「ホッホッホ、これは驚いた」  
「これは…念動力…サイコキネシス?」  
「そのようじゃの」  
「お、おおお…すっげーっ!!」  
興奮してはしゃぐ大輔  
壷は勢いよく宙を旋回していた  
 
数分後、一通り壷を動かした大輔は老人に深々と頭を下げていた  
「ありがとう、爺さん!」  
「喜んでもらえたようで何よりじゃて」  
「今度はちゃんと客としてくるよ!」  
「楽しみにまっとるよ」  
ぶんぶんと手を振ってかけていく大輔を老人はニコニコと見送った  
だが、大輔がこの店を訪れることは二度となかった  
何故ならば、大輔が帰宅した頃には店の姿は忽然とその場所から消えていたのだから  
 
「ふむふむ…どうやら重さや形状に関わらずこの力は有効みたいだな」  
帰宅した大輔は早速手に入れた念動力の実験をしていた  
超能力に憧れていた大輔だったが、最もお気に入りの能力が念動力だったのだ  
何せ念動力はその応用性と便利さは他の能力と一線を画する  
特にその使い道がエロ方面ならば一際だ  
それだけに大輔の歓喜と探究心は大きなものだった  
何ができるかできないか、どれくらいの時間使い続けることができるのか  
大輔は好奇心の赴くまま小一時間能力の調査を行うのだった  
 
「お兄ちゃーん! お風呂空いたよー!」  
「ん、ああ今行くー!」  
調査が一段落したちょうどその時、リビングから妹の声を聞いた大輔はよいしょと立ち上がった  
空いた風呂に入るべくリビングに向かう大輔  
 
「…お前なあ、少しは恥じらいってものを持てよ」  
「いいじゃないちゃんとタオルは巻いてるんだから」  
手を腰に当て、牛乳を一気飲みしている少女に大輔は呆れた声を漏らした  
少女の名は愛菜、大輔の妹である  
「ったく年頃の女の子ともあろうものが…」  
ぶつぶつ言いながらも大輔の視線は愛菜を向く  
大輔の一つ下、高校一年生になる妹の発育は存外に良い  
きゅっとくびれた腰にぷりっと突き出たお尻  
そしてCカップ以上はあるであろう胸  
裸でなくてもその魅力的な身体はタオル一枚ではとても隠しきれていない  
ごく、と大輔は唾を飲み込んだ  
 
(そうだ…ちょっと悪戯してやるか)  
妹の身体に少し欲情してしまった大輔は身についたばかりの能力の行使を決意する  
これは羞恥心のない妹へのしつけなのだ  
そう自分を正当化した大輔は妹の身体を包むタオルへと視線を向ける  
狙いはタオルの結び目だ  
 
「んくっんくっ…ああ、おいしい〜」  
兄の邪な企みにまるで気がつくことなく愛菜は牛乳を飲み続ける  
こくこくと牛乳を通す喉の動きに合わせて胸が僅かに上下する  
と、胸の中央で結ばれていたタオルの合わせ目に変化が起きた  
しゅる…と僅かではあるが結びが緩んだのだ  
 
(よし…!)  
大輔は念動力の成功に心の中でガッツポーズをとった  
能力を持ってすればタオルを一気に剥ぎ取ることも可能だが、それでは情緒がない  
少しずつ堤防が決壊していくようなそんなスリル感が彼は大好きだったのだ  
「何、お兄ちゃんじろじろ私のほうを見て…牛乳欲しいの?」  
視線を誤解した愛菜が呆れたような顔で大輔へと近づく  
だがその瞬間、ゆっくりとほどけていたタオルが限界を迎えた  
 
「え…?」  
愛菜はその瞬間を呆然と見つめていた  
しゅるしゅると自分の身体から滑り落ちていくタオル  
それは彼女にとってスローモーションのようにゆっくりとした時間だった  
パサ…と床にタオルが落ち終わる  
「え…あ…?」  
愛菜はまず自分の一糸纏わぬ身体を見下ろす  
そして次に目の前にいる兄を  
「……!!!」  
ボ、と状況を理解した愛菜は顔を真っ赤にし  
そしてタオルをかきあわせるように拾い、しゃがみ込むと同時に―――叫んだ  
 
「きゃああああああああーっ!!」  
 

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