まいったわね・・・こんなことになるなんて・・・
地球に似た生態系の惑星を突き止めることができ、
その詳細調査に入ったはいいけど、うっかり深入りしちゃって。
得体の知れない物体がへばりついたと思ったら、
調査艇ごと彼らの巣?みたいなのに引きずられている。
このまま調査艇破壊で命を終えるか、彼らの巣に引きずられて食われるか・・・。
そんなことを考えてたら、いきなり調査艇のハッチが開いた。
後から考えれば、破壊じゃなく、開けるということが十分変だったけど、
今自分のおかれてる状況は、そんな所に思考を運ばせるほどの余裕も持たせなかった。
ハッチの中にまろびこんでくる、生命体の触手、触手、触手。
これらがあたしの体に巻きつき、がっちりと捕らえ、
そのまま調査艇から引きずり出され、巣の奥深くに引きずり込まれたからだ。
ん・・・くぅ・・・ふ・・う・・・ぐ・・・
そして私は、彼らの触手に、簡単に言えば「もてあそばれている」
私を引きずった触手たちは、そのままかぶりつくでもなく溶かすでもなく、
着ていた服の中に触手という触手が次々入り込んできて、
体の隅々を撫で回している。
これって、彼らの「調査」なんだろうか。
調査が終わった後、殺されるか食われるかするのだろうか。
しかし私の頭の中で離れない、「もう一つの予感」
彼らの執拗な「調査」と私の中で徐々に膨れる「感覚」が、その「予感」を大きくさせる。
う・・・あ・・・あ・・・そ・・・そんな・・・ぁ・・・
私は、彼らに「突かれて」いる。
最初はすごく痛かったけど、何度も突かれているうちに、
感覚が重くなり、頭がしびれ、からだの芯が熱くなる。
私の触感の全てを調査されてしまったらしく、彼らの一撫でひと撫でが、
私の感覚をさらに高めていく。
だめ・・・こんな所で堕ちちゃったら・・・もう・・・戻れなくなりそう・・・
んぁ・・・んああああああああああああああっ!
そして今私は、彼らの中の一体の・・・内部にいる。
そして、得体の知れないものを産み落とし、
そして、産み落としたらまた突かれる毎日を送っている。
このまま一生・・・いやもしかして永遠に・・・この中で過ごすのかな私・・・
ごめんね、クルーのみんな、私嫁がされちゃった。もう戻れないかも。
あ、また産まれる・・・。
遺伝子異常か何かの呪いか、はたまた暗黒の封印がとかれたか・・・
雄種しか生成されないという、怪現象に見舞われた。
触手星、触手種族。
彼らは今、絶滅の危機に瀕していた。
しかし、希望を捨てぬ者たちがいた。
きっかけは、触手星宇宙ステーションが捕らえた、1体のサンプルだった。
それはまさに、彼らにとって最後の希望。
彼らの遺伝子を継がせ、分かち合えることが出来、
生活を共にできる種族。
何より、彼らを嘗てないほど高ぶらせる、その姿。その声。
彼らはそのサンプルがどこからやってきたかを調査し、
ようやく突き止めた、その種族の住まう場所。
太陽系第三番惑星、地球
そして彼らの希望、人間♀
最早彼らに、選択の余地は残されていなかった。
彼らの存族のために、そして彼らの欲・・・いや希望のために。
一つの戦艦(ふね)が、今出発(たびだ)つ!