「クルトー、ヒルデちゃんが来たわよー」  
 階下の母親の呼ぶ声に、クルトは耳を畳んで布団を深く被る。  
「クルトーッ」  
 何度も母親の呼ぶ声がするが、クルトの頭の中を支配するのは、「眠い」、ただそれだけだった。  
 しばらくして声がしなくなった。と思うと、ドタドタと階段を上る音。  
 しばしの静寂。  
「ぁおーーーーーーーーーーん  
 閉じていた耳の奥まで響かんばかりの遠吠え。同時に、上からどすんと何かが降ってくる。  
「ぐぁっ」  
 しかも一度だけではなく、クルトの身体の上で誰かが飛び跳ねているらしい。といっても、こんな  
ことをする奴はそうそういない。  
 クルトはたまらず布団から這い出ると、布団の上で飛ぶ跳ねていたヒルデに怒鳴りつける。  
「バカっ、なにやってるんだよ」  
「なに言ってるんだよ。クルトが約束の時間をすぎても寝てるのが悪いんだぞ」  
 ヒルデは尻尾を振りながら、けろりとした表情で答える。「彼女」は、村で同じ年に生まれたせい  
か、昔からよく一緒に遊んでいる。今日も、いつもどおりのズボン一枚の格好で、ヒルデはそこに居  
た。  
「約束?」  
「今日は、村はずれの原っぱで遊ぶ約束だろ」  
 ヒルデの言葉で、クルトはようやく思い出す。  
「ああ、そっか」  
「だから早くいこう」  
 よほど早く出かけたいのか、ヒルデはベッドの上で舌を出して尻尾を振っている。  
 放って置くとまた暴れかねない様子に、クルトは慌ててタンスを開けてズボンをひっぱり出す。  
 
「……ヒルデ、なに見てるんだ」  
「何って?」  
「おまえも一応メスなんだから出ていけよ」  
「いまさら何いってるんだよ。おまえ変だぞ」  
「変なのはヒルデの方だろ。だからいつまでたっても子供なんだよ」  
「クルトだって同じじゃないか」  
 幼なじみの言葉に、クルトは黙る。  
 確かに村では、自分もヒルデも子ども扱いのままだ。以前、母親に尋ねたときには、「クルトがそ  
ういう年頃になったら、ちゃんと大人として扱ってもらえるわよ」と言われたがそれが分からないま  
ま季節が幾つか過ぎた。  
 いまでは、身体も大きくなったし、力もついた。それでも村の人たちは今でも自分を子ども扱いの  
ままだった。  
「クールートー」  
 ヒルデの声と、バシバシと尻尾でベッドを叩く音に我に返ったクルトは、慌ててズボンを着替える。  
「それじゃあ、いくか」  
「ああっ」  
 二人は階段を駆け下りる。  
「あら、もう出かけるの?お昼はどうするの?」  
「昼にはもどるー」  
 母親にそれだけ言うと、クルトとヒルデは玄関を飛び出す。  
「あらあら。あの仔たちったら仲がいいんだから」  
 そう言って、母親は複雑な表情を浮かべる。  
「でも、仲がいいだけっていうのもねぇ」  
 
 いつもどおり、村はずれに広がる草原を走りまわり、へとへとになった2匹はその場に転がる。  
「どーだ、クルト。ボクの勝ちだろ」  
「なーに言ってるんだ、オレの方がヒルデなんかよりずっと速かったさ」  
「なにおー」  
「やるかー」  
 二匹は、これまたいつもどおりに草原の中でじゃれ合う。互いの顔に手のひらの肉球が  
押し付けられ、上下を入れ替わりながらごろごろと草原を転がる。  
 と、たまたまクルトの手が、ヒルデの胸に触れる。  
「きゃっ」  
 ヒルデの突然の悲鳴に、クルトは思わず手を止める。  
 クルトに組み敷かれたまま、ヒルデは顔を上げる。2人の視線がぴたりと合う。  
 一体どの位のあいだ見つめ合っていたのか。  
 ずいぶんと長い時間だったような気もするし、ほんの一瞬だったのかもしれない。  
 不思議な時間の流れの中、クルトは自分の心臓の動悸が早くなっていくのを感じていた。  
ものすごい勢いで流れる血液の流れに、自分の中で眠っていた何かが、むくりと頭を上げた。  
「クルト……どいて」  
 ヒルデは、いつも通りの素っ気無い口振りで話したつもりだったのかもしれないが、クルトの耳は、  
その中に潜む微かな震えを聞き逃さなかった。  
(もっと知りたい)  
 そんな単純な思いが、クルトの心に浮かぶ。いままで何年も一緒に過ごしながら、一度も見ること  
がなかったヒルデのもう一つの姿に、クルトは好奇心を押さえきれなくなっていた。  
「い、や……」  
 自分を見つめるクルトの視線に、ヒルデは本能で何かを悟ったのだろう。身体をひねってクルトか  
ら逃れようとするが、肩にがっちりと食い込んだクルトの手がそれを許さなかった。  
 クルトはゆっくりと鼻先を、ヒルデの首筋に近づける。  
 クン……クン……  
 
 恐る恐る嗅いだヒルデの体臭は、妙に甘い香りを漂わせていた。クルトは思いきって鼻から息を吸  
い込む。  
 むせるような草いきれの中でもはっきりと分かる、熟した果実のようなヒルデの匂いを、クルトは  
夢中で嗅ぐ。やがて鼻先をヒルデの体毛の中に突っ込み、その地肌が放つ体臭を写し取るによう鼻を  
擦りつける。  
「あ……あぁ……ん……ぁ」  
 クルトの鼻先が自分の肌を擦り上げる度に、ヒルデは自分の身体に走る言葉に出来ない感覚が、頭  
の中に広がっていくのを感じていた。  
 クルトの鼻先は首筋から徐々に下がり、胸元に下りていく。ふくらみと言うには幼い緩やかな胸を、  
クルトは荒い鼻息を吹き付けつつ登っていく。  
 やがて、頂きの頂上の固い蕾を、クルトの舌が捉える。  
「ひゃっ」  
 敏感な部分をぺロリと舐められ、ヒルデの身体がピクンって跳ねる。  
「ここ、気持ちいいの?」  
「わ、わかんないよ……わかんないけど」  
 ヒルデの手が、クルトの肩をつかむ。しかし、それが自分を引き剥がすためではないことが分かっ  
たクルトは、ヒルデの乳首を口に含み、ちゅうちゅうと吸い立てる。  
「赤ちゃんみたい……うっ、ボク、変だ、よ……クルトが……ボクのおっぱい、ママの……はぁ、ん  
ん、もう……」  
 ガタガタと身体を震わせながら、ヒルでの口から言葉が漏れる。しかし、それは頭の中に断続的に  
浮かぶ言葉の羅列だった。  
 クルトは乳首から口を外すと、がむしゃらにヒルデの身体に自分の身体を擦りつける。何も分から  
ないまま、ただ沸き起こる衝動のままの行為。  
(ヒルデと、もっと……もっと……触れ合いたい)  
 クルトはヒルデの下半身を覆うズボンに目をやると、手をかける。  
「ヒルデ、いいね」  
「へぁ?」  
 惚けたヒルデの答え。クルトはそれを勝手に同意と解釈して、ヒルデのズボンを引き下ろす。  
「く、クルトっ」  
 いままで裸を見られることを、なんとも思わなかったヒルデだったが、なぜか今はとても恥ずかし  
かった。慌てて手を伸ばして、ズボンを上げようとする。だが、クルトは足でズボンを踏んで、それ  
を阻止する。  
 
「お願いだから、クルト……や……め……」  
 ヒルデは、抗議の言葉を上げようとしてその言葉を飲み込む。クルトがズボンを下ろし、その下半  
身をヒルデの眼前に晒している。そこには、いままで見覚えのないもの、赤黒くそそり立つそれに、  
ヒルデの目は釘付けになる。  
 そこにあるものを最後の見たのはいつだったろうか。ヒルデは記憶を探るが、記憶にあるそれと、  
眼前に晒されているそれは、似ても似つかぬものだった。  
「クルト……それ……」  
 ヒルデが何かを言おうとするが、クルトはそれよりも早くヒルデの身体を覆い被さる。互いの身体  
を覆うのは、己の体毛のみ。クルトは、ヒルデを直に感じようと、先ほどよりもさらに強くその身体  
を抱きしめる。股間で堅くなったものを、自然とヒルデの股間に擦りつけ、ヒルデもそれを腰を動か  
して角度を合わせて受け止める。  
「クルト……クルト……クルト……」  
 自分の身体を貪る幼馴染の名前を、ヒルデは熱にうなされた様に呼び続ける。  
 擦り合うお互いの性器から液体が流れ出す。どろどろとしたそれは体毛に絡みつき染み込み、地肌  
を濡らしていく。それに合わせて二匹の動きも徐々に動きが速くなる。意識は2匹の間でどろどろに  
融け、混ざり、真っ白になっていく。  
「ぅあ、はぁ、はぁ、なにか……くるぅ」  
「ヒルデ……ぐっ」  
 クルトは熱くなったペニスの中を何かが走るのを感じる。  
 どくんっ  
 大きく脈打つと同時に、その先端から大量の白濁液が放たれる。  
「ぁつっ……ああああああああっ」  
 一瞬遅れて、ヒルデが大きな声をあげる。しなやかな筋肉で編まれた肢体が弓なりに反り、柔らか  
な恥丘の割れ目が、クルトのペニスを挟み込む。  
 ひくん、ひくん  
 柔肉で裏スジを擦られ、クルトの尿道に残されたていた精液が最後まで吐き出される。  
「「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」」  
 草むらの中、二匹の荒い息が重なり、二匹はいつまでも身体を寄せ合っていた。  
 
 
「た、ただいま」  
 クルトとヒルデが、クルトの家に帰ると、そこには2匹の両親が待っていた。  
 もう日が沈んでいることを考えれば、両親達が心配していたのも仕方がないだろう。  
「どうしたの、こんなに遅くまで」  
「そ、それは……」  
 母親の問いに、クルトは口篭もる。  
 あれから目を覚まして、また二匹で互いの体を絡めあっていたなどとは、口が裂けてもいえなかっ  
た。なぜか分からないが、酷くいけないような気がしたからだ。  
「あ、遊びに夢中になってて」  
 ヒルデが慌てて言い訳をする。だが、クルトはその言葉に、先ほどまでのことを思い出したのか、  
思わず顔を紅くする。  
「まったく。とにかくお風呂に入りなさい。ヒルデちゃんも一緒に入っていくといいわ  
「え……いや……」  
 クルトとヒルデは互いに顔を見合わせる。いつもの事なのに、なぜかどきどきする。  
「い、いいです。その……家に帰ってはいるから」  
 そう言うと、ヒルデは慌てて家に向かって走る。  
「お、おい。ヒルデ」  
 両親は慌てて娘を呼び止めようとするが、ヒルデは姿はすぐに見えなくなった。  
「クルト、なにかあったの?」  
「な、なんでもない。オレ、お風呂入ってくる」  
 そう言うと、クルトはお風呂に向かって走る。  
 子供達の様子に、2匹の両親は、何かに気が付いたのか顔を見合わせて笑みを浮かべた。  
 

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