小春日和の2月15日。
セーラー服の上に巻いたバーバリーチェックのマフラーも少し暑苦しいくらい。
推薦でR学園に合格が決まってからというもの、わたしは少しぼーっとした日々を過ごしていた。
バレンタインだって、特に意中の男子なんてものはいないし、
適当に友チョコとやらを交換して、なにげなく過ぎ去っていくはずだった。
昨日、部屋に帰ってから、チョコの包みを一つずつ開けた。
最後に開けた一番重かった包みは、ヒロコからのもの。
チョコにしては妙に厳重な包みを解いて出てきたのは、
クリアブルーのプラスチックで出来た、単三電池より一回り大きいくらいの物体。
部分的に、イボイボがついている。電池が入っているのが透けて見えた。
底のスイッチを回すと、そのモノ全体が激しく振動を始めた。あわててスイッチを切る。
メッセージカードには「チョコより、もっと甘い刺激をどうぞ」なんて、
丸いヒロコの文字で書いてある。
ちょ……ヒロコ、これって……アレじゃないの?
何考えてんのよ、どういうジョークよ…なんて突っ返すつもりで学校に来てみれば、
ヒロコは今日風邪で熱を出して休みだとかで。なんなのよ……どうすんのよコレ……
モヤモヤしたまま、放課後のコンビニでテレビ雑誌を立ち読みしていた。
芸人のインタビューページを開いたまま、バッグの片隅に入れた例のモノを意識する。
ヒロコには彼氏が居る。私には居ない……
「へえ、こういうのがタイプなんだ?」
ふいに横から声をかけられる。わたしは首を動かさず、目線で声の主を見極めようとした。
R学園の制服である、濃い緑色のブレザー。165cmはある私と、同じくらいの身長。
水泳部の1年先輩で、先にR学園に入ったユカリ先輩だった。
「違いますよぉ。ちょっとぼーっとしてただけです」
視線を雑誌に戻して、パラパラと適当にページをめくる。
先輩も何かの雑誌を手にとって、めくり始めた。
「ひさしぶりですよねせんぱ……」
言いかけたところで遮られた。
「昨日は誰かにコクったりしたの?」
「いやー、うちの学年パッとしないのばっかりですから。」
「ふーん、そっかー」
ユカリ先輩は、基本的に面倒見も良くてやさしくて、いい人なんだけど。
「ていっ」
ユカリ先輩の左手が、私のスカートの裾を一気に持ち上げて、離した。
スカートはふわっと元にもどり、タイツを履いたお尻に風を感じる。
「ちょ・・・先輩ッ!」
そう、こういうことをしなければ、ほんといい先輩なんだけど。
「あー。タイツだからパンツ何色だかわかんなかったー♪」
悪びれる様子もなく、笑いながら雑誌を棚に戻すユカリ先輩。
「勘弁してくださいよー」
自分も雑誌を置いて、先輩の顔をにらみつける。
先輩はふざけた顔からすうっと真面目な顔になった。
すました表情になると、ちょっとドキっとするくらい、整った顔立ちだ。
「んでさ、最近泳いでる?」
急に何を言い出すかと思えばこれだ。
「ふぇ……受験モードだったし……最近ぼーっとしてて……そいえば泳いでないですねぇ」
「じゃ、今から行こうよ。今日ウチの学校のプール、なんか工事で使えないんだって。
だから市民プール、いこ。」
「あたし水着もってないですよぉ」
それは嘘ではなかったし、正直、今日はだるくて泳ぐ気にはなれなかった。
「いーのいーの。大丈夫。練習用と試合用あるし。」
「いやほんと……」
「いーからいーから。いこいこー」
先輩に手を引っ張られてコンビニから連れ出された後は、なぜかよく覚えていない。
いつのまにか市民プールの前まで来ていた。
ユカリ先輩は、券売機で二人分の券を買ってくれた。そして更衣室。
「はい、キミはコレ。まだ結構新しい」
先輩は、目に染みるようなロイヤルブルーの競泳水着を私に差し出した。
「んでアタシはコレっと。ほんとは試合用なんだけどね」
R学園の白い文字がプリントされた、濃いグリーンの水着を見せびらかすユカリ先輩。
わたしも春になって、水泳部に入ったらコレを着るんだな、と思うと少しワクワクした。
それぞれカーテンで遮られた個室に入る。
手早く制服を脱いで、下着とタイツだけになったところで、
いきなりユカリ先輩が隣の個室から滑り込んできた。ブラウスとパンツだけの姿。
「……ちょっ 先輩 またそーゆーことをする……」
「いいじゃないの 一緒に着替えようよっ」
狭い個室のなか、身体をくっつけるようにしながら先輩は白いブラウスを脱いで。
私は黒いタイツを脱ぐ。そして、お互い、パンツとブラだけに。
「結構かわいいの持ってんじゃん」
「そですか?いやぁ……ピンクって好きなんですよ」
恥ずかしさに間抜けな返答をしながら、あたふたとやり場無く手を動かすわたし。
「ああ……もうかわいいっ」
先輩がいきなり、強く、抱きついてきた。
わたしは、あんまり人とくっついたりするのって好きじゃない。
ヒロコも結構くっついてくるけど、いつも逃げたり、押しのけたり。
でも今日は、今は、じゃれあうどころか下着で抱きつかれているというのに、
なぜか嫌じゃない。ひんやりとした空気が漂う更衣室の中で、
先輩のやわらかい身体が、やわらかい胸が、暖かく、心地よかった。
「抱き心地良いだろうなって思ってたんだ、キミのこと」
「あたしもすごく……気持ちいいです」
いつの間にか、わたしの耳たぶを唇で弄ぶ先輩。
自分で自分の身体全体が、熱くなってくるのがわかる。
このままじゃおかしくなってしまう。わたしは、ふと思いついた。
「先輩、100mで勝負しましょうよ。勝ったほうが相手を好きにしていいっての、どうですか」
「へぇ、キミも結構すごい事言うんだねえ……いいよ、やろうよ」
先輩は、うまいこと勝負に乗ってきてくれた。
私も調子にのって、先輩の綺麗にくびれた腰、ひきしまったお尻をなでる。
「でも先輩って最近も、私と違ってガンガン練習してるじゃないですか だからハンデ」
「どんな?」
わたしは先輩に抱きついたまま手を滑らせて屈むと、バッグから例のモノを取り出した。
スイッチを入れて、先輩の白くて小さなパンツの股間にそえる。
ヴーンというかすかな振動が、抱き合ってくっついたお腹からも伝わる。
「ちょ……キミ、コレって……」
我ながらずいぶん大胆な事をしてるな、と思いながらも、思い切って言ってみた。
「先輩は、コレ入れて泳いでください」
「たは……それ……マジで言ってるの?」
さすがの先輩もちょっと呆れ笑い。
だけどわたしは無言のまま、さらにそれを押し付けた。
「お……面白そうじゃん。受けて立とうじゃないの」
「じゃあ、入れちゃい、ます、よ?」
わたしは先輩のパンツに手をかけて、脱がすでもなく横に引っ張る。
「ちょ…自分で入れちゃダメ?」
「……。」
わたしは黙って先輩のパンツに両手をかけ、するっと30センチくらい下ろした。
小さく整えられた黒い茂みが露になった。
ハイレグな競泳水着から、それをはみださせないための処理。
わたしは、モノを茂みの下の部分へと滑らせる。
そこで一旦止めるつもりだったのけど、既に分泌されていた液体のせいで、
抵抗無く「ぬりゅん」と先輩の粘膜まで達してしまった。
「あんたいつからそんな大胆になっ……ああっ……!」
先輩が、強くわたしの身体にしがみつく。
やわらかいたっぷりとした胸の先端にある硬くなった乳首が、
私の平らな胸に押し付けられているのがわかった。
ここまできたら、そのまま行くしか無い。
わたしは、さらにモノを奥へと進める。
「ぬるんっ」わずかな抵抗を感じた。モノが先輩の中に入り始めた証拠だ。
「ぬる……るんっ」そのまま力を少し上の方向へ向ける。
「入れるならさっさと全部入れちゃってよぉっ」
先輩の、今にも泣きそうな真っ赤な顔が、妙にそそる。
わたしはそこから一気にモノを押し込んだ。
「はい、お望みどーり。全部入ったみたいです」
先輩はまだわたしの肩に抱きついたまま、腰をぴくぴくさせていた。
入れただけでこんなに感じちゃうものなんだ……?
わたしが入れられたら、どうなっちゃうんだろう。
「ちょっ…これ…良すぎ……」
「先輩、これから勝負ってこと忘れちゃだめですよお、ははは」
ユカリ先輩に、ちょっとした復讐をしている気分が心地よかった。
「はぁ…あっ…くぅっ…」
私にしがみついて、肩で息をする先輩。
その息づかいが伝わってきて。
このままじゃ、やばい。
こっちまで変な気分になってくる。
「はい、これどうぞ」
少々乱暴に先輩を引き離して、水着を押し付ける。
そしてわたしも先輩に背中を向けると、下着を取り、水着を着る。
しゅるるっ
きゅきゅっ
狭い個室の中に、私と先輩が水着を着ていく音が響く。
ぴっちりとした競泳水着が身体を心地よく締め付けていく。
先輩が貸してくれた水着はSサイズ。
より軽さやフィット感を求めてクロッチ(股間)部分の裏地を取ってしまう人も
いるらしいが、まさかユカリ先輩もそうだとは。
強いフィット感を求めてワンサイズ小さいものを着用するのは常識らしく
これはわたしもそうしていたが、ここまではした事が無かった。
ちょっと恥ずかしいが、今日はしょうがない。
胸元やお尻を、ぱちんという音を立てながら直し終えて振り返ると、
顔が若干紅潮してはいるものの、既にアスリートの眼になった先輩と目が合った。
私もカーっと、テンションが上がる。
更衣室を抜け階段を降りると、すぐプールサイドだった。
ちょうど2コースぶん空いていたので、その前に陣取るようにして身体をほぐす。
先輩は軽くジャンプを繰り返したり、手首を振ったり。
中学時代から胸の大きかったユカリ先輩だけど、もっと大きくなったような?
先輩が上下に跳ぶたびに、ぴっちりとした水着に押しつぶされながらも主張を
止めない乳房と、既にはっきりと確認できる先端がふるふると揺れる。
「何ぼけっとしてんの。勝負だっての」
そう言われて先輩の胸に見とれていた自分に気づいた。
しかし…あんなに跳んだら、あそこ、どうなっちゃうんだろ…もしかして、わざと?
そんな事を考えながら自分も足首を延ばしはじめる。
「さて、と」
先輩は微妙にぎこちない動きで、スタート台の上に立つ。
「ちょっ、せ、先輩、飛び込んだら怒られますって今は」
「何言ってんの。自由形のスタートは飛び込みじゃん。これ、マジ勝負なんだよ?」
「……はぁ。」
ああ、この人は本気だ。仕方ない。
監視員に怒られるのを覚悟で、私もスタート台に立つ。
「じゃあ、合図は…?」
「怒られたら」
笑顔の先輩。でも顔が真っ赤。
ピーーーー!
向こうの監視員がこっちを指差して笛を吹いた時、先輩と私は飛び出した。