【完結編?】  
 
pm15:15。  
校門。  
 
リンゴ、のように顔を赤らめた少女が一人。  
といっても羞恥には非ず。  
眉間をピクピクと震わせながら、携帯を耳に当てている。  
 
「ほっほー、ではカケルさんはハゲ山との『デ・ェ・ト』をどうぞお楽しみ下さい!』  
引きつった笑顔、鬼の形相。  
『ああああああごめん!ほんと絶対すぐ終わらせ・・・』  
――プチッ。  
カケルからの弁明も終わらないうちに未久は通話を切った。  
「あ・ん・の・や・ろー・はー!」  
 
つまり、カケルが国語教師竹山に掴まってマンツーマンの補習を食らったということ。  
その連絡が本人から今、待ち合わせを約束していた少女へと届いたところ。  
「はぁー。」  
一人残された未久はため息をついた後、メールを送った。  
『待ってるから、終わったら連絡しなさい。』  
絵文字は苦手。女の子らしくない簡潔な文面。  
ほどなく返信のメール。  
『ごめん。』  
謝罪文だけの返答。  
多分、ハゲ山の目を盗んで返信したのだろう、文面が短いのは想像の範疇。  
それにしても。  
(あちゃー、こりゃ相当凹んでるなー。)  
こういう返事をする時のカケルは本当に平身低頭になる。  
もちろん今回は非の全てが彼の側にあるのだから、謝るのは当然。  
問題は、あまりにも素直に真正面から受け止めてしまうこと。  
少しくらい軽口でも叩いて受け流してくれれば罵倒なり何なりできるというのに。  
「ふぅー。」  
再度溜め息。  
(私の言い方もキツイよねぇ・・・。)  
カケルが凹む一端に自分があるのも理解しており、未久も軽く凹む。  
 
・・・。  
 
ぼんやり立ち尽くしていた未久であったが、何もここで待ち続ける必要はないことに気づく。  
(中で待ってよっと。)  
どこで、ということは特に考えず校舎へ戻る。  
(確か読みかけの文庫本が・・・。)  
時間潰しに使えるものでもないかと鞄を探る。  
その下の方に包まったレジ袋。  
(あ・・・。)  
その中の『モノ』を思い出して頬を赤らめる。  
他でもない、今朝彼女の小豆粒を散々苛めつくした淫らな凶器。  
駅のトイレで外し、恥ずかしい記憶と共に封印して鞄の一番下へ押し込んだもの。  
散々濡らしまくったペチョペチョのパンティ3枚も一緒だ。  
(や、やだ・・・。)  
甘美で淫猥なその時間が記憶に蘇る。  
身体の中心線を真っ直ぐ下から上まで貫いた衝撃。  
いやらしく震え悶える自分。  
それを射抜くカケルの視線。  
ぐっしょりと濡れそぼったパンティ。  
それでも足りずに内腿を垂れる恥ずかしい雫・・・。  
(・・・うぅ・・・ど、どうしよう・・・。)  
ふと脳裏に、もう一人の自分から妖しい提案が投げかけられる。  
(・・・で、でも・・・そんな・・・)  
一度絡まれると抜け出せない、倒錯した性の欲求。  
そして思い出す、早朝に発されたカケルの一言。  
――『放課後まで我慢できたら、エッチしよう。』  
(・・・。)  
未久の意識を一気に縛り上げるたその言葉。  
(い、今からだと・・・遅い?・・・でも・・・今からでも・・・付けてれば・・・・。)  
言い聞かせるように、近くの女子トイレへと駆け込んだ。  
 
・・・。  
 
暫くしてトイレから出てくる未久。  
眉を顰めて、辺りを伺って、そっと歩き出す。  
まずは三階にある自分の教室へ。  
(・・・・んっ!くっ!・・・ン・・・・・・・・・・んんっ!・・・・・・)  
階段を上るためには当然、左右の脚を交互に持ち上げなければならない。  
その度に蝶々が左右へクネクネと旋回し、未久の下腹部を捻じり廻す。  
スイッチは当然入ってないが、蝶々の裏の無数の突起に撫でられるだけで昂ぶりだす。  
終業から既に小一時間。  
大抵の生徒は既に部活か帰宅かのいずれかへ移行しており、人影は無い。  
それでも何時どこで誰と鉢合わせるか分からない以上、不自然な歩き方はできない。  
パンティが再び湿りだす。  
それが気持ち悪くてしかたない。  
・・・はずなのに、それすらも官能を刺激するエッセンスへと転じはじめている。  
(あぁ、もう・・・なにこれ・・・・・・・・・・・・カケルの・・・・・・・ばかぁ・・・)  
自分をこんな風にした男への糾弾。  
だが言葉通りの非難だけでないことは、未久の恍惚とした表情が証明していた。  
 
やがて教室近くに到着し、そっと中を伺う。  
教室最前席に座って、竹山からの叱咤を受けるカケルがいた。  
(時間、かかりそうね・・・。)  
恐らくお得意のネチネチした攻撃が延々続いているのだろう。  
相手がお気に入りの女子だとセクハラ紛いの言行もあり、未久も苦手としている。  
害した気分を紛らわすべく、再度徘徊を始める。  
(『そのまま散歩でもして来い。』)  
そんなカケルの言葉が脳内で捏造される。  
「・・・はい。」  
カケルの命令には逆らえない、そんな自分を演出して自ら没頭する。  
――自分の理想をカケルに押し付けても嫌われるだけ――  
そんな自制心が、未久を偏屈な妄想に走らせる。  
 
しばらくの間、出鱈目に歩く。  
時々階段を上り下りして、小豆粒をコリコリと虐める。  
(・・・っ!・・・・・・・・・ん・・・っ・・・・・・・くぅ!・・・・・・・・・・・・・・・・・ん・・・・・)  
パンティはじっとりと重みを増しているが、まだ多少の『余裕』はある。  
故にもう少し強い刺激を、と求めて思案する。  
(そういえば・・・)  
ふと、今朝方のハプニングを思い出す。  
――『電波の多い地域とかだと、勝手に動き出しちゃうことが・・・』  
勝手に動き出す。  
自分の意思に反して。  
もちろん理想を言えば、それはカケルの手によってであって欲しいのだが。  
それでも、今この状態で放置されるのは辛い。  
未久の足は『電波』を求めて動き出した。  
 
・・・。  
 
(強いて言えば・・・ここかな。)  
なんとなく、電波という言葉のイメージで、向かった先は放送室前。  
(けど・・・。)  
当然、蝶々は沈黙を保ったまま。  
そんなに頻繁に誤作動するようでは商品として成り立たない。  
(・・・なにやってんだろう私。)  
当たり前の現実を突きつけられて、我に帰る。  
ドアに背を付けて、何度目かの溜め息。  
中途半端に火照っていた身体を持て余し、腰をクネクネと捩る。  
辺りに人影はいない。  
(・・・。)  
――今なら少しくらい――  
そう、もう一人の自分が耳元でそっと囁く。  
「・・・はい・・・。」  
それをカケルの声だと思うことにした未久は、そっと下半身へ手を伸ばす。  
視聴覚室への廊下は、他の教室へ向かう廊下とは90度曲がった形で横へ伸びている。  
ゆえに誰か近づいてきても、この静かな校舎なら事前に気づくことができる。  
そんな環境も未久の劣情を後押しした。  
鞄を床に落とす。  
左手でスカートの裾を持ち上げる。  
涼しくなりだした外気が、内腿をスッと撫で上げる。  
「あぁ・・・いや・・・・・・・・だめ、・・・・・・・・・見えちゃう・・・・・」  
朝の列車、意識がふと混濁した間に、カケルは未久のスカートを捲り上げていた。  
あの時カケルはどんな想いだっただろうか。  
あの時の自分はどんなに恥ずかしい格好だったのだろうか。  
記憶の隙間を補完するかのように没頭する。  
「だめ・・・・・・・・・カケルぅ・・・・・・ここ・・・・・列っ・・・車・・・・・・・人が・・・・」  
ダメと言いつつ左手はゆっくりとスカートを捲り上げる。  
ほぼ真上から見下ろす形になるため、臍まで持ち上げただけでは全く見えない。  
ソコが見えるまで、と心に決めてさらに持ち上げる。  
結局、のど元まで届くかというところまで上げてようやくパンティが露になった。  
 
薄いピンク色のスキャンティ。  
ショーツよりもずっと縦方向の用寸が短い下着。  
お尻の側を見れば、上の縁から割れ目が覗けてしまうほどだ。  
ショーツよりもエッチで、ランジェリーほど妖しくはない、そんな乙女用の勝負下着。  
日曜の初デートの時もどちらを付けていくかで悩んだ一品。  
今日ここで使わずにどうするか、と着けた魅惑の薄布。  
ヘソ下の赤い小さなリボンがロリータテイストを後押しする。  
その布地の下から四方へ伸びる黒い紐の存在があまりにもアンバランス。  
それ以前に、スキャンティの下端を盛り上げる異物の存在が極めて卑猥。  
いっそスキャンティが無ければ、蝶々を指して『これが下着です』と言えなくもないのに。  
なまじ重ね穿きにしてるがために弁解の余地が無い。  
それらを隠すように手のひらを宛がう。  
「あ・・・あぁ・・・・ん・・・・・あぁ・・・・あぁん・・・・・・んん!」  
蝶々を鷲掴みにして、上下左右へグリグリと蠢かせる。  
スカートの裾を口で咥える。  
空いた左手はトップスの下へ潜り込み、ブラを押し上げて乳房へと到達する。  
その頂に実るさくらんぼに照準を定め、親指と人差し指でコリコリと捏ね回す。  
「あぁ・・・・いや・・・・・やらひい・・・・・・あらひ・・・・・・・あんれこんな・・・・」  
ぞくぞくと湧き上がる劣情。  
呼応するように溢れる秘蜜。  
咎めるように襲う羞恥心と背徳感。  
(だめ、こんなところ見つかったら・・・・見つかったら・・・)  
僅かな足音も聞き逃すまいと耳に意識を集中する。  
――くちゃっ!ぐちゃっ!ぐちゅぎちゅっ!  
(ぁうっ!?)  
至近距離から自分の耳に飛び込んでくる、クリアなオナニーミュージック。  
思わず手が止まる。  
だが下半身は陵辱を要求してくる。  
再び動き出す右手。  
暴れ回る蝶々。  
耳をつく自慰ノイズ。  
その度に恥ずかしさに震えて硬直してしまう。  
なまじ静かな放課後が恨めしい。  
胸だけの愛撫に専念すれば音は響かないが、とてもそれだけ満足できそうにはない。  
(も、もう・・・耳、閉じて、一気に、・・・・しちゃいえば・・・・。)  
覚悟を決めてラストスパートをかけようとする未久。  
 
しかし。  
 
――ピンポンパンポーーーーン!  
 
(!!!!!!!!!)  
心臓が飛び出るかと思うほどの驚き。  
そして。  
――ヴィーーー!  
「ひぃぃぃ!?」  
カケルと会うまではもう決して動くことはないと思っていた毒蛾が蘇生する。  
待ち望んでいたはずの誤作動。  
だが、動作したのはほんの一瞬だけ。  
毒蛾は再び沈黙する。  
 
――『下校時刻になりました。校内に残っている生徒は、速やかに――』  
 
どこかで聞いたような明朗な音声が、学校全体へと響く。  
「はぁ・・・・はぁ・・・・はぁ・・・・・・・・・はぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」  
振動はあまりにも一瞬すぎて、快楽を貪る暇も無かった。  
自慰行為に耽らんとする不純な少女を叱責しただけの衝撃。  
現実に引き戻されて、立ち尽くす少女。  
(ああぁぁぁぁ・・・・、な、何をしてたの私は!?)  
今自分が曝けていた痴態を認識して冷や汗が出る。  
神聖な学び舎の一角。  
そこでパンティを曝け出し、オナニーに耽り、あまつさえ絶頂を求めて戦慄いてしまった。  
誰に見つからなくても、自分には嘘はつけない。  
椎名未久という名の目撃者の眼による視姦。  
卑猥な夢から覚めたかのような狼狽。  
慌ててトップスから手を引き抜き、裾を正す。  
スカートは先ほどの驚きで口から離れ、自重で元の位置へ戻っていた。  
「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っはぁー!」  
――パンポンピンポーーーン  
ビクッ!?  
放送終了のチャイムにまで驚く始末。  
しかも『また動き出さないか』と期待までしてしまった。  
毒蛾は沈黙を保ったままだった。  
 
・・・。  
 
乱れた着衣、空ろな瞳、艶かしい吐息・・・。  
自分を客観的に観察することすらできないまま、呆然と。  
このままカケルから連絡あるまで待ってようかな――  
 
そう思った時。  
 
――ガチャッ  
(えっ!?)  
 
真後ろ。  
本当にすぐ真後ろ。  
至近距離で扉が開く音。  
反射的に振り向いたそこに人がいた。  
 
「あら?」  
「し、敷島さん!?」  
 
うっかりしていた。  
下校を促す放送が終わったところなのだから、そこから放送委員が出てくるのは当然のこと。  
そんなことにすら気が回らず自慰の余韻に耽っていたのである。  
誰にも気付かれなかったのは不幸中の幸い――となるかは目の前の相手を誤魔化せるか次第。  
「どうかされましたか?このようなところで。」  
向こうも驚いている様子。  
当然だろう、普段こんなところへ一般生徒は来ない。  
まして終業から2時間以上――帰宅放送ということは既に17:30――驚くのも当然である。  
「え!?あ!っと、その!」  
都合のいい言い訳が一言も出てこない。  
焦れば焦るほど頭が真っ白になる。  
「そ、それより敷島さんはなんで?」  
「?」  
どうしようもなくなり、質問に質問で返す有様。  
「私は、放送委員も兼ねてますから。」  
委員長は怪訝な顔をしつつも抑揚無く答える。  
そして『あなたは?』と聞き返さんばかりの沈黙へ。  
「えー・・・っと、その・・・・・・・・・・・・・あ、カケ・・・じゃなくて望月君、見なかった?って。」  
脈絡の無い質問に未久自身冷や汗を流す。  
「望月君なら、竹山先生の補習だったはずですよ。」  
これまた抑揚無く答えられる。  
「あ、あぁそうなんだ!なーんだもう!あ、ありがと!じゃぁ!」  
なんとか脱出口を見出した未久は、これ幸いにと踵を返す。  
――グリュリュリュッ!!  
(ひうぅっっっーーーーーーーー!?)  
勢いよく振り向いてしまったため、豆粒をしとどに捻り上げる形になる。  
幸い、声は上げずに済んだ。  
驚愕の表情も、背中を向けたために見られずに済んだ。  
(あぁ!っく!・・・・うぅ・・・)  
だがそれでも、パニック手前まで追いやられていることには変わりない。  
それでもこの場を離れればなんとか――と思う未久を委員長の声が留める。  
「あ、待ってください。」  
(うっ・・・)  
ようやく抜け出せる、と思った未久には辛い声。  
「なっ、なにかなー?」  
非難の心が声に乗らないように必死に抑えて返す。  
「ちょっと待って下さいね。ええと・・・・・・・・・」  
そう言って委員長は鞄をの中をゴソゴソと探る。  
 
(はやく・・・・はやく・・・・離して・・・・赦して・・・・・・あぁ・・・もぅ・・・・・)  
やがて、委員長はカギを一つ取って未久に手渡した。  
「落し物みたいです。どなたか先生に会えたら、これ渡しておいて頂けますか?」  
そう言って委員長はカギを一つ、未久に手渡す。  
カギには『視聴覚室』と書かれていた。  
視聴覚室は放送室のすぐ隣の部屋。  
「そ、それだけ?」  
「はい。居なければ明日の朝でもいいのですが。」  
「う、うん、あいよ。リョウカイ!」  
「ありがとうございます。ではすみません、お先に失礼します。」  
そう言うと委員長は未久を残してさっさと行ってしまった。  
委員長が廊下を曲がり、足音が遠くへ消えていく。  
すぐさま未久は受け取ったカギで視聴覚室の扉を開ける。  
先ほど拾い忘れていた鞄を慌てて掴んで、部屋へ駆け込み、内鍵をかける。  
「はぁーー!はぁーー!はぁーー!・・・んんんうぅっ!!」  
偶然にも手にした至福の密室。  
遮光カーテンのために殆ど暗闇同然の広い部屋。  
それは外からこの部屋を窺い知れないことの証明。  
吸音ボードで囲まれた壁。  
それは恥ずかしい声を外へ漏らさない障壁。  
椅子も机も全部片付けられていて、何も無いカーペット地のスペースが忽然と。  
「はぁうん!あああん!・・・ぅん!あうん!・・・ぁああっ!」  
右手はスカートの上から股間をゴリゴリとこねくり廻す。  
左手で壁を探りながら壁伝いに部屋を歩く。  
その指先が照明のスイッチに触れるのを感じて、無茶苦茶に押しまくる。  
部屋にバラバラと光が灯る。  
一瞬の眩暈、と同時に誰か居るのではと不安になって硬直する。  
しかしやがて、ジンジンと下腹部から響く要求に促されるように指が蠢きだす。  
――ぐちょっぐちゅっ!ぐちゃっ!くちゃくちゅっ!にゅるっ!くちゃっ!  
「あぁ・・・・嫌ぁ・・・・あぁ、私・・・・・・・こんなところで・・・うぅ・・・・恥・・・しい・・・」  
広い部屋の中をフラフラと歩く。  
どうやら自分ひとり。  
そのまま行き着いた先は、照明の最も強いところ。  
部屋の端、スクリーンの前。  
おそらく原稿などを読むために使われるスポットライト――が光っている場所。  
未久はそこへ引き込まれるように立つ。  
「だめ・・・・・・カケル・・・見ないでぇ・・・・・・・・・・いや・・・なの・・・・・あぁ」  
そこには居ないはずの少年の姿を思い浮かべてトリップする。  
――ぐちょっぐちゅっ!ぐちゃっ!くちゃくちゅっ!にゅるっ!くちゃっ!  
右手はスカートの上から股間を、左手はトップスの下へ潜り込んで乳首を。  
それぞれ乱暴に弄くり倒す。  
だが。  
――ぐちょっぐちゅっ!ぐちゃっ!くちゃくちゅっ!にゅるっ!くちゃっ!  
「・・・・・・・・・・んん!・・・・・・・あぁぁもうっ!・・・・・・・んー!・・・・・んーーもうっ!!」  
――ぐちょっぐちゅっ!ぐちゃっ!くちゃくちゅっ!にゅるっ!くちゃっ!  
しかし。  
「ーーーっなんでよ!なんでイケないの!?もうほんとイキたいのにぃぃぃぃ!!」  
イケない。  
苦悶の叫び。  
あとほんの少しなのに、自分の中に宿る『羞恥心』というブレーキ。  
今の今までその感情は刺激の元となっていたというのに。  
臨界点まであと少しのこの場に及んで、一転して枷となる。  
ゆえにイケない。  
 
そこへ。  
 
――ズッチャララチャッ!ッチャ!ズッチャチャラチャラッ!  
「はっ!?」  
 
鞄から鳴り響いたポップサウンド。  
自分の携帯だと気付くまでに数秒を要した。  
相手はカケル。  
――ピッ  
『ごめーん!今終わった!すぐ向かう!今どこ!?』  
漸く補習から開放されたカケルが捲くし立てる。  
「しっ!しちゅうかっ!くしつぅ!!」  
『へ?支柱??』  
「しっ!ちょうかくっ!しつっっ!!」  
『視聴覚、室??』  
「そう!・・・・・ぁぁあお願い早く来てぇ!!」  
『わわわかったすぐ行く!』  
――ピッ  
 
やがて。  
 
 
――・・・・ダダダダダッ!・・・コン、コン。  
扉をノックする音  
『未久?』  
「カ、カケルッ!」  
慌てて内鍵を開ける。  
入ってくる少年に、崩れ落ちながら抱きつく。  
丁度カケルの下半身に、膝立ちでしがみつくような形。  
「え?え?未久??」  
尋常ならざる様態に慌てるカケル。  
見方によっては乱暴された後のように見えなくもない。  
とりあえず部屋をグルっと見回して、誰もいなさそうなことを確認する。  
次に、足元に纏わり付く少女を確認。  
「カッ・・・カケ・・・りゅ・・・おね・・・・い・・・・」  
(!)  
今朝何度か見た、絶頂直前で寸止めを食らった時の未久の顔。  
経緯は全く不明だが、とにかく今未久には『エッチのスイッチ』が入っている。  
ゴクン、と唾を飲み込む。  
そっと後ろ手で鍵をかける。  
「ミク、お、おねがいって?」  
「・・・し、してっ!おねがい!」  
『何を』が無い、漠然とした要求。  
だがそれで十分。  
「お、おぅ!」  
慌ててチャックを下ろす。  
(ええええええと、ゴム、ゴムッ!)  
テンパるカケルは避妊具をどこに入れたか忘れてパニックになる。  
「あぁっ、おねがいカケル!おねがい、スイッチもぉぉおお!!」  
「スイッチ!?え、まさかアレつけてるの??」  
てっきり朝、駅で外したものだとばかりに思ってたカケル。  
「つけてるの!つけてるから早くぅ!!」  
「お、おう!」  
涙目で懇願してくる少女。  
少年は、とりあえず時間稼ぎのつもりでポケットに手を伸ばす。  
 
――ピッ!  
 
――ヴィーーー!ヴィーーー!  
「ひぎぅぅ!?ひぃっ!あああっ!?ひっ、ひいいいいいぃ!!」  
未久は股間を押さえて蹲る。  
正座の状態から、股間へ両手を指し込み、そのまま前屈したような体勢。  
――ヴィーーー!ヴィーーー!  
「んん!ああああああっ!ああああああああぃぃぃいいいいいいい!!!」  
思わず魅入りそうになるカケルだが、かろうじて我に帰る。  
(えっと、えっと、ゴム、ゴム、・・・そ、そうだサイフの中に!)  
ギンギンに反り返ったペニスを左手でポロリと開放する。  
その間に右手でサイフを取り出そうとする。  
だがそんな猶予も無く、少女が臨界を伝えてくる。  
――ヴィーーー!ヴィーーー!  
「あっ!あっ!あっ!いっ、いくいくいくいくいくいくいっちゃうっ!!」  
「おわっと!」  
反射的にスイッチを切る。  
――カチッ  
――ヴィーーー!ヴィー・・・  
「え!?あー!ひぃー!!いやぁー!なんでよイジワルぅぅっ!!」  
やっと顔を上げた未久の目の前には丁度――  
 
「あ。」  
「あ。」  
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。  
 
「ひぃっ!」  
その物体が何なのかを認識して、未久は半歩後退る。  
体育座りのまま後ろへ手をついたような格好。  
カケルの眼には、丁度、未久のパンティが覗けて見えた。  
薄いピンク色の極小パンティ。  
ワンポイントの赤いリボン。  
そのままマンガにでも出てきそうな、エッチな下着。  
「はぁっ、はぁっ、カッ、カケルッ・・・・眼、こ、怖い・・・・」  
「ご、ごめん、未久・・・・でも、抑えられそうに、ない・・・・」  
カケルの手は未久の下半身、スカートの中へ。  
「あ、あっ、ああっ、ああああっ」  
未久は金縛りにあったかのように動けなくなる。  
――スルッ  
カケルの指先が、スキャンティの両サイドを捉える。  
「・・・未久、お尻。」  
「う、うん・・・」  
カケルの言葉に操られるかのように、未久の可愛いお尻がスッと浮き上がる。  
両手を後ろにつき、足を肩幅程度に開いて、腰を浮かせた状態。  
卑猥。  
――スルスルッ  
しかもそこから、少女の最後の防波堤たる薄布を引っぺがす。  
一応、その下には蝶々が張り付いているが、M字開脚風の姿勢ゆえ、肝心の  
女性器は正面から丸見えになる。  
そこに気付いたカケルは、太股の途中まで降ろしたスキャンティから手を離す。  
そのまま両手の人差し指を陰唇に当てる。  
「ひっ!?」  
カケルがどこを見ているのか、どこを弄ろうとしているのかが分かる。  
「だっ、だめっ!!」  
両手でスカートを押さえて、ソコへの侵入者をブロックする。  
「・・・ミク。」  
「うぅ・・・。」  
だがすぐにカケルが鋭い眼差しで射抜いてくる。  
未久は気圧されるように、おずおずと手を離した。  
 
今日散々少女を虐めてきた蝶々が、カケルの手によって外される。  
その下に、ギブアップ寸前の小豆粒が、恥毛と共に出現する。  
カケルの指先が小豆粒をそっと撫で上げる。  
「ひぅっ!」  
コブ付き蝶々の残酷な陵辱に比べれば、羽で撫でるような優しい刺激。  
だがそれがカケルの手によるものとなれば別。  
(も、もう、ダメっ!これだけで、イッ・・・・イッ・・・・・・・)  
だがそんな未久の願いも空しく、カケルは指の腹でグリグリと捏ね回しはじめる。  
「ひゃぁ!?ひぃっ!」  
その度に未久の身体はビクンと跳ね上がる。  
「ひっ!ひぃっ!ひぃぃっ!」  
軽微な絶頂なら既に何度達したことか。  
その度にピュッピュッと、恥ずかしいお汁が噴出する。  
そんな淫らな未久を観察していたカケルは、やがて淫核の構造に気を留める。  
(ん?これって・・・)  
それまで、ただの単純な粒状だと思っていた淫核。  
それが実は、薄い皮のようなもので包まれていることに気付く。  
(・・・あ!これって・・・・・・つまり男と同じように・・・・・被ってるってこと?)  
好奇心に駆られたカケル。  
淫核の両サイドを右手の人差し指と親指で押さえる。  
左手の指先で、その間に盛り上がってくる肉粒を摘み上げようとする。  
「ひぁ!?」  
だが、ヌメリ気でツルツルと滑ってしまい上手く摘めない。  
(くぅ!もうチョイなのに!・・・ならば!)  
ガバッ!っと身を乗り出し、顔を一気にスカートの中へ。  
「えっ!?」  
と未久が驚いている間に、カケルの唇が肉粒を捉える。  
「えっ!?え!!ちょちょちょっとぉ!??」  
 
――チュルルルル!!・・・ちゅぽんっ!!!  
 
一気に吸い上げる。  
一瞬の空白。その後。  
「ああああああああああああああああああああ!!!」  
――ビクンビクンビクンビクン!ビクンッ!ビクンッ!・・・ビクンッ!  
――ブシュビシュブシュシュシュー!・・・ピシュッ!・・・ピシュゥー!  
 
本格的な絶頂。  
盛大な潮吹き。  
痙攣の瞬間、カケルの頭は未久の太股に強く挟まれて身動き取れず。  
必然、噴射はカケルの顔面へ直撃。  
「むぶっ!?」  
未久はその後も何度か腰を跳ね回らせる。  
ようやっと落ち着いてもなお、カケルの頭を挟んだまま離さない。  
「み、ミク・・・?」  
「あ・・・カケ・・・ル・・・」  
「こ、これ、頭・・・」  
「ご、ごめん、カケル、その」  
「ん?」  
その後に発せられた未久の言葉は・・・  
 
「おしっこ・・・」  
 
今度はカケルが硬直。  
 
「へ??」  
「もう・・・だめ・・・」  
「ちょっちょちょちょちょまて!しかもここカーペット!?」  
「だめ、もう、我慢・・・でき・・・」  
それがギブアップの言葉。  
同時に未久の両脚がカケルの頭を抱え込むように巻く付いてくる。  
「むぐぉ!?」  
そのまま前へ倒される。  
恥毛が鼻先を擽る。  
刹那、カケルの口元で水しぶきが上がる。  
――プシャァ!  
(むぁっ!?)  
驚いて開いた口の中へ。  
――ショァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・  
(んむぉ!?んぐっ!んぐっ!んぐっ!)  
とても口の中だけでは蓄え切れない水量。  
カーペットへを汚さずに『処理』する方法は、一つしか無かった・・・  
 
・・・。  
 
幸いにも、周囲への飛散は殆ど無かった。  
つまり、大半はカケルによって『受け止められた』ということになる。  
手洗いから返ってきたその功績者は、しかし当然ながら憮然とした表情だった。  
 
「ご、ゴメンナサイ・・・」  
「・・・。」  
 
ろくに動けそうにない未久は、手持ちのティッシュで応急処置するのが精一杯。  
 
「あの・・・その・・・」  
 
恥ずかしさと申し訳なさで一杯な未久は、かつて無いほど萎縮していた。  
 
「・・・ミク!」  
「はっ!はいぃ!!」  
 
何と言われようとも甘んじて受け入れるしかない、そんな心境の未久。  
 
「仰向けになって・・・足を持って開け。」  
「あ・・・あぁぁ・・・は、・・・・・・はぃ・・・。」  
 
つまり、ここからはカケルが一方的に主導権を握る、ということ。  
未久に拒絶する権利は無い・・・。  
 
未久がゆっくり腰を下ろし、背中を床につける。  
「あぁ・・・あぁ・・・」  
カケルを直視してしまわないよう、顔を横に向ける。  
「え・・・えっっと・・・」  
「足を持って開け。」  
「は、はい・・・。」  
何をするために『開け』と言っているかは明白。  
ゆえに、『どのように開く』のかも自明。  
「は、恥ずか・・・しい・・・よぉ・・・・。」  
羞恥の極みを必死に伝えて、なんとか慈悲をと願う未久。  
「ほぉ?人にションベン飲ませるのは恥ずかしく無いのか?」  
「あぁ!ご、ごめんなさい!ごめんなさいぃ!」  
「なら早くしろっ!」  
「は、はいっ!」  
苛立って『早くしろ』と言ったようにも見えるが、実際は違った。  
カケル自身がもう我慢できなかったのである。  
そもそもカケルは先ほどの件を、露ほども怒っていない。  
それどころか。  
(これで今日の未久は思いのままだぜ!!ラァァッッキィィイイイ!!!)  
と感謝までしていたのである。  
トイレで何度、ガッツポーズしたことか。  
ゆえに今は、思わずニヤけてしまいそうになる頬を引き締めるのに必死だった。  
 
そんなこととは知らない未久は、恥辱の自主的M字開脚に打ち震えていた。  
「・・・で、できまし・・・た・・・。うぅ。」  
「ん。」  
恥ずかしさに震える少女は、何故こんなにも美しいのだろう。  
こんなものを見てしまったら、もう世のAVなどでは興奮すらできないだろう。  
カケルは、記憶に焼き付けるよう、まじまじと凝視する。  
その視線を本能的に察してしまったのか、未久の身体がブルブルと震える。  
「あぁ・・・おね・・・がい・・・・・・・見てない・・・で・・・・おね・・・がい・・・」  
息も絶え絶えだった。  
 
あまり焦らしても可愛そうだ、と思いつつも、最後に一回だけ、と命令する。  
 
「ちゃんと『おねだり』できたら、ね。」  
「あぁぁ・・・ううぅぅ・・・・・・・・・・うぅ!!」  
 
そう言いながら、カケルはズボンから怒号を抜き放つ。  
ゴムは先ほどトイレへ行ってきた時に装着済み。  
もういつでも打ち込める状態。  
 
「あっ・・・あっ・・・あぁ・・・あぁぁぁぁ・・・・」  
「ほら。」  
 
そう言いながら少しずつ近づいていく。  
そのまま未久の身体に覆いかぶさる。  
凛々しく聳え立つ怒号が、未久の内腿を『ビタンッ!』と叩いた。  
(あ・・・あんなのが・・・・・・・あんなのが・・・・・)  
入るわけが、と怯える未久。  
だがカケルから発せられる熱気の前に、拒絶の動きすらできずにいる。  
――クチュッ  
「!」  
怒号の先端が、ずぶ濡れのクレヴァスにめり込む。  
カケルの腰が少しずつ前へ動く度に、未久は無意識に後ずさりしてしまう。  
「未久、動いちゃダメだよ。」  
優しく、しかし心なしか命令風な口調で。  
「うっ、うん、・・・で、でもぉ・・・」  
勝手に動いてしまう身体までは制御できない。  
やむなくカケルは両手で未久の腰を掴んで引き寄せる。  
――グチュッ!  
「あん!」  
「うぉ・・・」  
未久のソコは、未開の地への侵入者に怯える。  
カケルのソコは、纏わりつく媚肉の感触に酔う。  
――コツン  
「あぁぁ」  
「・・・・・・」  
やがて、といってもほんの2cmほどの侵入の後にやってくる、行き止まり。  
「ま、まって、まだ・・・ちょっと・・・無理・・・」  
「・・・ん。」  
もう十分すぎるほど濡れそぼっているようにも見えるが、まだ未久は怖いようだ。  
 
「じゃぁ、ここまででちょっとシてみようか。」  
そう言うとカケルは、許された短いストロークでのピストンを開始した。  
――クチャッ!クチャッ!ピチャッ!クチャッ!クチャッ!!  
「はぁ!?ひぃ!!ひゃああ!!ひっ!!あっ!!あっ!!あっ!!ああっ!!」  
「ぅお!?おっ!!うっ!!くっ!!くぉっ!!ふぅっ!!くっ!!ふぅっ!!」  
薄膜に軽くメリ込ませる程度まで押し込んでも、亀頭がキリギリ収まるかどうか。  
それほど短い注送にも関わらず、二人とも耐えがたい昂ぶりに襲われる。  
――グチュッ!グチャッ!グチャッ!グチュッ!グチャッ!グチュッ!  
「はっ!はっ!はぁっ!ふぁっ!はぁっ!はっ!はっ!はっ!」  
「ふっ!ふっ!ふぅっ!っふっ!くぅっ!ふっ!ふっ!ふっ!」  
――ギチュッ!グチャッ!ニュチャッ!グチュッ!グチャッ!グチュッ!  
「はぁっ!ひっ!はぁっ!ひっ!はぁっ!はっ!はっ!はっ!」  
「くっ!くぅっ!ふぅっ!っふっ!くぅっ!ふっ!ふっ!ふっ!」  
もうこのまま果ててしまってもいいのでは?と思えるほどの幸福感。  
にも関わらず、オンナの障壁をブチ破りたいという衝動がふつふつと湧き上がる。  
それが彼女に痛みを押し付ける行為であることは承知している。  
それでも止まらない。  
一度、腰を抱えていた手を拭い、再度宛がう。  
下半身の怒号も、薄膜直前で一度止める。  
息をゆっくり吸い込む。  
「あっ・・・」  
ついにその時が来る、そう覚悟するミク。  
「ミク、『おねだり』は?」  
そしてついに、渇望の言葉を漏らした。  
 
「い、入れて・・・入れて・・・くださいぃぃぃぃぃいい!!!!!!」  
 
それだけで十分だった。  
 
――グイイッ!!  
「ぎぅっっ!?」  
「くぉぉぁぁああ!!」  
 
一気に押し込める。  
亀頭は、処女膜の中心に空いた穴を抉じ開けるように侵入していった。  
「ああああああああ!?」  
「うぉぉあああああ!!」  
そのまま一気に。  
凄まじく狭い裂け目の中を、天然ローションの滑りを借りて突進する。  
――ブチィッ  
「ぐひぃ!」  
「くっ!」  
はっきりと感じる断裂感。  
そのまま一気に、最奥部まで貫く。  
直後、未久が喚起の声を上げる。  
「あぁー!あぁぁーー!イクッ!いくっいくいく・・・ぅううううう!!!」  
――ギチギチギチィ!!!!  
「おわ!??」  
ただでさえ狭く窮屈な肉壷が、さらに収縮して締め付けてくる。  
「わわわ!!」  
――グニュグニュグニュ!!  
しかもただ締め付けるだけでなく、縦横にうねるように脈動する。  
――ニュルニュルニュルニュリュニュル!!  
「くぉっ!?だっ!!ミ、ミクゥッ!!お、俺も!!」  
「あぁぁ来てェ!来てェカケルゥゥゥ!一緒にぃ!!」  
――ガクンッ!ガクンガクンッ!ガクガクッ!ガクンッッ!!  
――ビクンッ!ビクンビクンッ!ビクビクッ!ビクンッッ!!  
「あぁぁぁー・・・・。」  
「くぅぅ・・・・・・・・。」  
――ビュルッ!ビュルルッ!ビュッ!ビュッ!ビシュッ!・・・・ビュルルッ・・・  
――ビシュッ!ビシュッ!!ブシュ!ピュッ!ピシュッ!・・・・プシャァァ・・・  
 
 
 
 
 
・・・。  
 
繋がったまま、折り重なる二人。  
顔中が唾液に塗れるかのような、荒々しいキッス。  
その度に、グチュグチュとかき回される秘肉。  
ゆっくりと、味わうように、ねっとりと。  
静かな部屋に、二つの吐息。  
しかしやがて、どちらからともなく起き上がる。  
もう随分な時間だ。いつ守衛が見回りに来るとも限らない。  
いそいそと身支度を整える二人。  
二人とも気恥ずかしいのか、背中を向け合うように。  
衣擦れの音だけが響き渡る。  
そこに小さく未久の声。  
「あっ!」  
既に支度を終えたカケルがそっと振り向く。  
鞄の中を覗き込んだ状態で硬直していた。  
未久は手にスキャンティ――と呼ぶことを先ほど聞いた――を持ったまま。  
「どした?」  
「えっ!?いや、の、な、なんでもないっ!!」  
そんな答え方をされたら余計気になるだけである。  
仕方なくカケルは伝家の宝刀を抜く。  
「ほー、人にオシッコ飲ませておいて・・・」  
「わーわーわー!言う!言うからもう!!」  
これは使える、とカケルは邪な手ごたえを感じる。  
「・・・その、もう、無いことに、気付いて・・・。」  
要領を得ない応え。  
「その、3枚しか、持って来てなかったから・・・。」  
だがさすがにそこまで来れば、何を言わんとしているかは明らかである。  
「つまり・・・もう替えのパンツが無い、ってこと?」  
ズバリ指摘されて、カァッと顔を赤らめる。  
「なら大丈夫。一つあるじゃん。」  
「え?」  
カケルからの意外な言葉。  
まさかこのような事態を想定して下着を用意してくれてたのだろうか?  
しかし、そんな未久の期待はアッサリと裏切られる。  
「ほら、それ。」  
そうカケルが言って指差したモノは・・・  
 
――蝶々。  
 
未久はクラッと眩暈を起こす。  
すぐに立ち直って睨む。  
「あ、あ、あ、あ、あ・の・ねぇー!!」  
だがカケルは臆することなく返す。  
「今それ着けて帰るなら、もうオシッコ飲まされたことは忘れるよ♪」  
「なっ!?」  
今度は卒倒しそうになる。  
辛うじて耐えて再び睨もうとするが、状況は完全に劣勢。  
結局。  
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・もう、・・・ほんと・・・忘れてくれる?」  
哀願の表情。それだけで至福。  
「うん♪」  
満面の笑みでの承諾。  
「ほ・・・ほんとにほんとにほんとにほんとにほんとに忘れなさいよね!!」  
「うん♪♪」  
「くぅぅぅう!!」  
本当に楽しそうなカケルの笑顔に、もうどうにでもなれといった心境で流される。  
「あ、あっち向いてなさいよっ!」  
「へいへい。」  
それがせめてもの抵抗。  
どこと隠れられるわけでもないが、それでも背を向けて装着する。  
何も考えないように、何も考えないように、と自分に言い聞かせながら。  
 
・・・。  
 
「・・・・・・・・・・・・・・・・・つ、着けたわよ!」  
「ん。じゃ、帰ろうか。」  
「はぁー・・・、まったく災難だわ・・・」  
思わず本心からそう呟く。  
しかし。  
 
「それはこっちのセリフだよ。」  
「え?」  
 
目の前に突き出される、赤紫色のスイッチボックス。  
そこへ這わされるカケルの指先が――  
 
――ピッ!  
「あぁぁ!」  
――ヴィーーー!ヴィーーー!  
「ひぃぃぃぃい!!」  
蝶々の裏側に密立する突起が一斉に震えだす。  
しかもパンティを穿いていないため、淫核に当たるか当たらないかのギリギリの  
距離で高速振動する。  
――ヴィーーー!ヴィーーー!  
「ひぃいぃい!!ひぃぃいいいいいい!!だぁぁだめぇぇぇぇ!!!」  
一度剥きだされた淫核は、勃起することで再び包皮から顔を覗かせる。  
そこへ見舞われる無慈悲なブラッシング。  
――ヴィーーー!ヴィーーー!  
「ぎひぃぃぃい!ひぃっ!ひぅっ!ひぃぃいいいいいいいいい!!」  
――ガクンガクン!ガクンッ!  
――カチッ  
「くはぁ!あはぁっ!あぁ!・・・くぅぅ!・・・・・・・・あぁ・・・・はぁ、はぁ・・・」  
息も絶え絶えな未久。  
「こ、こんらの、む、無理らよぅ・・・・」  
必死で抗議しようとするが、呂律が回らない。  
「こ、こんなんら・・・、れったい、変におろわれる・・・・」  
だがカケルはそれも想定済み、といった様子。  
「そうだね。ならもう、これ穿くしかないね。」  
そう言ってカケルが広げて見せたのは、先ほど未久が穿いていたスキャンティ。  
「あぁコラァ!」  
慌てて奪い返す。  
「あぁもういつの間に!・・・ったく!」  
パンティ無しで蝶々だけ着けるわけにはいかない。  
結局、他に選択肢は無いことを悟り、やむなく脚に通す。  
 
――ぺちょっ  
 
「ううぅ・・・」  
じっとりと下腹部から臀部にかけて広がる粘着間。  
「・・・もっと持ってくればよかった・・・」  
結局、この日未久が持ってきたパンティは3枚だけ。  
沢山持ってくることは『それだけ濡らす予定』と同義ゆえ、躊躇われたのだ。  
が、結局は裏目。  
 
そこへ掛けられる、カケルの言葉。若干の罠を含んだ言葉・・・  
 
「明日からは10枚くらい持ってこないとダメだね。」  
「はぁ・・・ほんと、そうする・・・。」  
「んじゃまた明日も。」  
「はいはい。」  
 
うっかりそう受け答えする未久。  
だが、失言。  
それはカケルの『してやったり』な顔が物語る。  
「え?・・・・・・・・あぁ!?ちょ、ちょっと待ちなさいよ!何で明日まで!?」  
昨日と今日だけが特別なはずなのに、いつの間にか日常の予定として話が進んでいた。  
しかもそれに気付かず受け答えしてしまった自分。  
「さぁ〜てねっと!」  
おちょくるように応えながら、帰路につこうとするカケル。  
慌てて後を追う未久。  
「あ、あれっ!?」  
だが脚が笑って上手く歩けない。  
カクンと腰を落としてしまう。  
「ミク?」  
「あ、いや、その、あはは・・・」  
エッチしすぎて立てなくなりました、とは言いづらい。  
だがさすがに付き合い長いカケルはすぐ察知する。  
ミクの前まで戻って、背を向けて、腰を屈める。  
 
「――え?」  
 
「・・・乗れって。」  
「え?え?」  
「ひ、人がいたらすぐ下ろすけどなっ!」  
「あ!う、うん!」  
「ほら、早くしろって!」  
そう急かされて、カケルの背中へ身を委ねる。  
 
――おんぶ。  
 
「・・・。」  
「・・・。」  
暫く無言の二人。  
やがてカケルが一言。  
「・・・いやなら下ろすけど。」  
すぐに未久。  
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・イヤじゃなくはなくない。」  
「どっちだよ。」  
「さぁね。」  
素直なようで、素直じゃない二人。  
 
「よーし!そんな素直じゃない子にはっ!」  
そう言ったカケルの手には、いつの間にか・・・  
「え?あっ!ちょっと!この体勢で!?」  
 
――ピッ!  
 
――ヴィーーー!ヴィーーー!  
「あぁっ!・・・ちょっ!!!」  
 
少女は抗議しようとするも、少年の背中に顔を埋めたまま悶絶するしかなかった。  
少年は、密着したまま震える女体を堪能しながら、階段をゆっくり下りていった。  
 
 
 
 
 
 
 
その後の二人の顛末については、また機会があればその時に。  
 
――ヴィーーー!ヴィーーー!  
「・・・とっ・・・・!・・・・止め・・・・っ!」  
「♪〜」  
 
                              - 完? -  
 

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