「よ、よう!」  
望月カケルの第一声は緊張で裏返っていた。  
「お、おはよう。」  
それが伝染したのか、椎名未久の返事もどもっていた。  
初夏の日曜、まだ日は昇りつつある午前9時。  
閑静な住宅街の一角、望月家のすぐ左隣、椎名家の玄関先。  
赤ん坊のころからの腐れ縁、ケンカしたり罵倒しあったりしてきた二人も、  
今日は妙に互いを意識しあってギクシャクしていた。  
そもそも互いの家を直接訪れるなど、どれくらいぶりであろうか?  
やや早めの思春期を迎えて、相手を異性として意識しだして以来、  
こんな風に時間を合わせて出迎えることなんて無くなっていた。  
 
ほんの僅かな時間の沈黙を破ったのは、奥から出てきた椎名母だった。  
「あらあらカケルちゃん久しぶり!まぁまぁかっこよくなっちゃって〜」  
カケルのことを持ち上げられて急に気恥ずかしくなってしまった未久が遮る。  
「お、おかあさん!いってくるから!」  
未久がカケルの手を取るように駆け出す。  
カケルは引っ張られながら、後ろを向きつつ一礼していく。  
 
「はぁ、はぁ、はーっ。」  
ひとしきり走ったところで二人は足を止めて一息つく。  
人気の少ない公園のベンチ。  
「ふー、いきなり、ダッシュから、始まるとは、思わなかったぜーっ。ふー。」  
「な、なんとなくよなんとなく!」  
ちょっと起こり気味に返してくる未久。上気した顔にドキッとさせられる。  
それと共に、カケルは今日の『約束』を思い出す。  
「・・・ミク、今日はそんな走ったりして平気なのかよ?」  
「!・・・う、わかんない・・・」  
「分かんないじゃ分かんないぞ。」  
「だ、だって!『こんなもの』付けたのも、付けて外へ出るのも初めてだもん!」  
「まぁそりゃ・・・ん?『アレ』は昨日渡したんだから、昨晩使ってみたりしなかったの?」  
「・・・使ってない。」  
カケルとしては、今日会っていきなり『それ』を渡して付けさせるというのも考えていたが、  
いきなり見せて拒絶されるのも怖かったので、昨日のうちにそっと渡しておいたのである。  
だからてっきり未久は試しに使ったはずだと思っていたのである。  
「なんか、怖くて。それに、これカケルが買ってくれたんでしょ?だから勝手に使うのって・・・」  
(ドキン!)  
いつもの粗暴な態度からは想像もつかない反応に、カケルの体温も一気に上がった。  
 
話は数日遡る。  
ある日、いつもの言い争いから、テストでの点数勝負が勃発した。  
どうせいつもどおり未久の圧勝&罵倒→カケルがプロレス技で反撃→未久華麗にスルー、の  
コンボが決まるはずだった。  
唯一の違いは、負けた方は買った方の言うことを一日聞く、という罰が加わったこと。  
子供らしいといえば子供らしい、しかし危険といえばこれほど危険なものはない賭けが成立した。  
 
そして、偶然という名の神が光臨した。結果はまさかのカケル初勝利。(といっても超僅差)  
『見たか!』と言おうとしたカケルより先に、未久の方が「すごいすごい!」と喜ぶ始末。  
嬉しい反面、未久が凹まなかったことに少々憤慨のカケル。  
コイツをギャフンと言わせる罰は無いだろうか?  
 
そう考えていた時、真っ先に思いついたのが某エロマンガの中でのワンシーンであった。  
劇中の女の子は、ブルブルと震えるイヤラシイおもちゃをテープで肉芽に貼り付けられた状態で  
彼氏に街中を引き回されていた。  
彼氏の腕に必死でしがみつき、目で『もうやめて』と懇願するも、彼氏はリモコンで何度も  
彼女を責め悶えさせていた。  
女の子の髪型や背格好、それに平時の強気な振る舞い方は、なんとなく未久に似ていた。  
そのせいか、邪な妄想の相手はいつしか未久そのものに変化していた。  
 
家に帰ると、カケルはすぐさまネットで大人のおもちゃを探しまくった。  
最初は劇中同様、リモコンで操作できるものを探してみた。  
が、どれもちょっとしたゲーム機を買えるくらいの値段で簡単には手を出せるシロモノでは無かった。  
結果選んだのが、1980円のピンクローター。『それ』系のモノの中では最も初歩的なアイテムである。  
 
「えっと、じゃぁ、今、着けてるの?まだ動かしてない?」  
着けるように自分で命令しておきながら、カケルはその現実がまだ飲み込めないでいた。  
「着けてる。動かしてはいない。」  
ぶっきらぼうに答える。  
「ど、どど、どこに?どうやって??」  
興奮を抑えられないカケルは矢継ぎ早に畳み掛ける。  
「マ、マンガに書いてあった通りよ!」  
「あ、ああぁ、な、なるほど。」  
着け方を仔細に説明するわけにもいかなかったカケルは、  
思い切って件のエロマンガをピンクローターと一緒に未久に渡していたのである。  
「男ってあんなこと女の子にさせたいわけ?」  
「・・・だと思うよ?そういう本が実際に売れてるわけだし。」  
「だからって・・・外で・・・あんな・・・おもちゃ・・・ノーパンなんて・・・」  
「え、まさか今ノーパン!?」  
「ばっ!ばか言わないでよ穿いてるわよ!何考えてるの!マンガの中の話!!」  
劇中の女の子がノーパンで歩かされるのは後の方になってからのはずなので、  
未久がそこまで読んでいることが分かる。  
それでもローターを着けてきてくれたということは、もう少しだけなら踏み込んでも  
拒否されないということだろうか?  
そう考えたカケルは勇気を振り絞って言葉を発した。  
「じゃぁ早速、スイッチ入れてみようか!」  
「え!?」  
 
「・・・」  
「・・・」  
しばしの沈黙の後、未久が聞き返してきた。  
「・・・・・・・・それ、命令?」  
「え?ええっと・・・」  
『命令だ』と言うだけだ。  
今日はそういう一日だ。  
今日だけは未久を自由にできるんだ。  
そう自分に言い聞かせるカケルだったが、結果自分の口から出た言葉は真逆だった。  
「その・・・ミクがイヤがるなら・・・やめとくよ?」  
最後が疑問系になってるあたりは、優しさでもあり、優柔不断さでもあり。  
「・・・」  
「・・・」  
再度沈黙。  
「それ卑怯だよ・・・」  
「え?」  
『卑怯』と言われてカケルは血の気が引きそうになる。が、すぐ次の言葉で引き戻された。  
「そんな言われ方されたら・・・拒否できないじゃん・・・」  
(え?え?え?えええ!?)  
「え、え、あっとっ、そ、す、スイッチ・・・」  
「・・・後ろのポケット・・・」  
カケルは『スイッチ入れていいの?』と確認を求めるつもりであったが、  
未久は『スイッチはどこにあるの?』という意味で取ったようだ。  
未久はクルリと背を向ける。  
未久は膝上10cmほどのデニムスカート。その尻ポケットの片方が膨らんでいた。  
上はキャミソール。  
その裾をちょっと上げてみると、ポケットからピンク色のコードが伸びている。  
コードはそのまま腰のところから中へと続いていた。  
その先がどこに繋がっているのかを想像して、トランクスの中のアレがビン!と震えた。  
未久は俯いたままじっとしている。どうやらこの状況を承諾しているようだ。  
カケルはコードを摘んで上へ引っ張り上げた。  
 
その途端。  
――ヴイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイィ!!――  
「ふぁう!!?」  
「え!?うわっ!」  
いきなり響く羽音。  
カケルは手にしようとしていたコントローラを落としてしまう。  
未久は突如局部を襲った振動に嬌声を上げ、股間を押さえて蹲ってしまった。  
「あぁ!うぁ!イヤ!何!あぁああ!ひいっ!ダメェ!」  
「え?え?」  
即座に状況が飲み込めないカケルただ呆然と少女を見下ろしていた。  
淫具責めに翻弄される少女は必死で救いの声を上げる。  
「とっ・・・止めて!止めて止めて止めて止めて止めて!」  
「え?あ!?あああごごごごごごごごごごめんっ!!」  
やっと状況が飲み込めたカケルは慌ててコントローラを拾い上げる。  
スイッチはスライド式で、「MAX」の部分に合わさっていた。  
すぐに反対側まで動かす。  
響いていたモーター音も静まる。  
どうやらポケットから取り出そうとした時に引っかかって勝手に動いたようだ。  
「はぁ、はぁはぁ、はぁ・・・っはぁ・・・・・・」  
「ミク・・・」  
なんと声をかけていいか分からない。  
「ミク・・・ご、ごめん、ごめん!」  
『嫌われる』、そう思ったカケルは転地が揺らぐ感覚に囚われた。  
(バカなことをした、こんなことしなければよかった、何を考えているんだ俺は・・・)  
グニャグニャと捻じ曲がる視界。危ぶむ平衡感覚。朧げになる現実感。  
それを引き戻したのは未久の次の一声。  
「・・・おしっこ。」  
「え?」  
『おしっこ』、確かにそう聴こえた。  
「え、あ、の、その、あ!ほら、あっち、トイレあるよ!」  
しかし、その後に続いた言葉は、さらにカケルを絶望させる一言だった。  
 
「・・・漏らしちゃった・・・」  
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!」  
(も、漏らし・・・おしっこ?・・・えええええええええええええええ!?)  
『お漏らし』  
『ミクがお漏らし』  
『ミクが公園でお漏らし』  
『ミクが公園でおしっこをお漏らし』  
『ミクが公園で服を着たままおしっこをお漏らし』  
『ミクが公園でローター責めで服着たままおしっこを・・・』  
次々に浮かぶ言葉のパーツが連結していく。  
平時であればこれだけで「使える」シチュエーションであったろう。  
「・・・着替えてくる・・・」  
そう言うとミクはコントローラを拾い上げて、そっとポケットに突っ込み、一人走り出した。  
足元に残った水跡はほんの僅かだったから、漏らしたというよりはチビった程度のようだ。  
だが、一人残されたカケルの心は酷い罪悪感で一杯だった。  
このまま消えてなくなりたい。  
いやひょっとしたら訴えられてそのまま消されるのではないか。  
どちらにせよもうミクとはオシマイだ・・・  
そんなネガティヴな予測しか浮かばなかった。  
 
どれくらいの時間が経ったであろうか。  
一人残ったカケルはベンチに腰掛け、頭を抱えたまま死んでいた。  
そこへ。  
――バシーン!――  
背中に激痛。  
「!!」  
何事!?と思うまでもない。挨拶代わりに日常的に食らっている、背中への平手打ち。  
「ミ、ミク!?」  
まさか、戻ってきてくれるわけがない。  
あんなことをした自分のところへ、戻ってくるわけがない。  
そう思いつつも、背中に感じたエネルギーに確信を持ちつつ振り返る。  
「なーに死んでるのよ!」  
「ミク・・・」  
いつもの勝気な表情。いつもの仁王立ち。  
さっきまでのは自分の妄想が生み出した虚像だったのか?いやそんなわけがない。  
「ミク・・・」  
相手の名しか出てこない。  
言いたいことは山ほどある。謝って謝って謝り倒したい気持ちで一杯。  
なのに言葉が出てこない。  
「どうしたの?今日はもうオシマイ?」  
いつもの口調で、しかしほんのりと赤みが差した顔で。  
「え、あ、や、その」  
「あぁそう、オシマイなんだ。あー良かった。一日何でも言うことを聞くなんて言うから、  
 一体どんなエロいことされるのかと心配だったんだから!」  
「いや、あの、そ、ミ・・・」  
(罵倒?挑発?あれ、これいつものミク?あれ、なんで??)  
自分が覚悟していた扱いと180度違う少女の態度に、完全にパニックになるカケル。  
そんな様子に、未久は『ほらやっぱり』と言わんばかりにため息を一つ入れて話す。  
「長い付き合いなんだから分かるわよ。どーせこの世の絶望とか思って沈んでたんでしょが。」  
「う」  
「で、何か一言あるんじゃないの?」  
未久は腰に手を当てて見下ろしてくる。  
「ご、ごめん」  
「相手の目を見る!」  
「ごご、ごめんなさい!」  
「・・・」  
「・・・」  
 
沈黙。思い沈黙。  
「・・・はい、OK。」  
「・・・へ??」  
「聴こえなかったの?許すっての。アンタ気にし過ぎ。あたしにくらい、その・・・」  
「で、でも・・・」  
「不可抗力でしょ!それともワザと?」  
「まさか!」  
「ならいいじゃん。」  
実にサバサバした答え。  
「・・・俺はてっきりもう・・・」  
「あれ、まだ病んでるの?」  
「そりゃぁ、だって、あんなことさせちゃったら・・・」  
――『あんなこと』――  
「ちょ、こら、さすがにアレは忘れなさいよ!」  
「あわう、ご、ごめ!」  
再度沈黙。ただし今度はお互い真っ赤。  
「まぁ、そうね、もし悪いと思ってるなら、一つ私が言うこと聞きなさいよ。」  
「え?」  
「それでぜーんぶ許してあげる。どうよ?」  
「もももモチロン!何でも言ってくれ!」  
「なんでも?」  
「なんでも!」  
「ふーん・・・」  
審判の時を待つ被告人の心境、というには明るいか。  
「んじゃ」  
「うん」  
 
「さっきの続きをしなさい。」  
「はい。」  
それでいいのなら、と続けようとして、その意味を反芻する。  
そして驚愕。  
「ま、待て!続きって!?」  
「だから、あんた・・・アレ・・・動かそうとしてたんでしょ?」  
「で、でも・・・ミクの嫌がることは・・・したくない。」  
本心。正直な気持ち。  
「それに、ミクさ、家戻ったってことは、・・・外したんだろ?」  
「・・・」  
憮然とした表情の未久は、カケルの斜め前まで来てクルリと後ろを向く。  
自然、ポケットに目が移る。  
(膨らみは・・・無いか。そりゃそうだよな。)  
期待させておいて裏切られたような気持ち。  
だが未久はそのまま腰を下ろす。  
自然、カケルのふとももを挟むように座る形になる。  
――ピタッ――  
(ドキン!)  
女の子のお尻の感触を、何枚かの布地越しとはいえふとももに感じる。  
ボッと体温が上がる。  
それと同時に、ふとももに硬い『何か』が当たるのを感じる。  
場所は未久の股間の前の方。  
大きさは、ウズラの卵くらい。  
硬い感触。  
「え!?」  
「・・・」  
 
「え!?だ、って、その、スイツィ・・・」  
舌を噛みそうになるカケル。  
未久は何も言わずカケルの右手を取ると、太ももの上へ導く。  
デニムスカートの下に感じる、四角く硬い物体。  
「・・・」  
カケルも沈黙。黙って未久の太ももをまさぐる。  
「ぁ・・・」  
声を漏らしてしまう未久。  
「その、ここなら、勝手に動いちゃうこと、無いと思うの。」  
例のマンガ本では、女の子は太ももにゴムバンドでスイッチボックスを固定されていた。  
おそらく未久はそれを参考にしたのだろう、医療用のテープで太ももに頑丈に止めていた。  
「最初からこうしてれば良かったんだよね。」  
「・・・ミク・・・」  
「・・・」  
コクンと頷く未久。  
カケルはゆっくりデニムスカートをめくり上げていく。  
もう少し上げたらその下のパンティが見えるのではないか、と思えるあたりまできて、  
漸く全貌を現した直方体。  
スライドスイッチが付いたソレ。  
ただしスイッチの溝は途中にテープが張られており、動かせるのは下半分に制限させれていた。  
「・・・ここまでなら、いいってこと?」  
――コクン――  
体温が一気に上がる。血流が体の一点に集中する。自然、男の子が反応する。  
「あ!」  
跳ね上がった男の子が、未久のお尻をツンと突く。  
一瞬ビクッとした未久だが、それでも腰を上げることはしない。  
カケルの右手の指先が、スライドスイッチを少しずつ動かしていく。  
 
――・・・・・・・・・――  
まだ動かない。  
――・・・・・・・・・・・・・・・――  
まだ動かない。  
その次の瞬間  
――ヴィン!――  
「ひぅ!」  
未久の体が大きく跳ねた。  
ただでさえ秘部に直接当てたために刺激が強いのに、さらにカケルの太ももに押し当てて  
圧迫していたために初撃の微震でも絶大な威力となった。  
慌てたカケルは一度スイッチを切る。  
跳ねた拍子に、未久のデニムスカートは完全にめくれ上がってしまった。  
肩越しに覗き込むカケルの目に、フリル付きの可愛らしい白いパンティが見えた。  
(ミクってこんなの穿いてるんだ・・・)  
平時の粗野な振る舞いからは想像もつかない、子供っぽいパンティが逆に艶かしい。  
しかもその中心部が、異物によってぶっくりと盛り上がっていた。  
パンティは軽く透けており、下にピンク色の物体が食いついていることが確認できる。  
(あれが、ブルブルと・・・)  
パンティの脇からは医療用のテープが何本もはみ出しているのが分かる。  
それは単に『多少動いても外れない』というだけでなく、  
ローターの振動の全エネルギーが未久の『女の子』に直撃することも意味する。  
想像してさらにアレを堅くする。未久のお尻に当たって気持ちいい。  
もっと押し付けようと、左手で未久の腰を抱え込むように引き寄せる。  
「あぅ!」  
太ももの上を擦るように引き寄せられ、未久は思わず喘いだ。  
間髪いれず、カケルの指は再度スイッチに這わされていた。  
――ヴィン!――  
「!」  
今度は耐えた。というよりは軽い不意打ちを食らって息を呑んだ、といった様子。  
そのままスイッチを押し上げていく。  
――ビィィィィィィィィィィィン!――  
「っ!っっ!!はぅっ!っ!」  
未久は両手を口に手を当て、必死で喘ぎ声を抑えようとする。  
結果として、カケルは未久の体を好きにできる機会を得る。  
右手ではスイッチを出鱈目に動かし、左手はパンティの上からローターに触れる。  
「あ!う!ちょっ!と!う!」  
拒否とも取れかねない言葉を発しながら、それでもカケルの上から逃れようとしない。  
(本当に嫌なら、逃げてるよな。)  
拒絶されてない、そう確信したカケルは女の子への直接攻撃を開始する。  
――くちゃっ、くちゅ、ちゅく、くちゃ、くちゅ・・・――  
秘泉からは愛液がトロトロと流れ出してくる。  
未久のパンティはエッチなシースルーと化し、お尻の側まで染みが広がっていた。  
(スカートは完全にめくれてるから、汚れることは無さそうだな)  
そんなことを冷静に考えられる程度に、カケルは主導権を確立していた。  
一方で、スイッチ一つで女の子を自由にできることにこの上なく興奮していた。  
 
(もっと、もっと狂わせたたい!もっと喘がせたい!)  
――ヴイイイィ!・・・・ヴ・・ヴヴ・・・ヴイイイ!・・・ヴィヴィヴィヴィ・・・――  
――クチュクチュクチャクチュクチャクチャクチュ!――  
「ひっ!・・・・・くぅ!・・・っ!・・・あっ!」  
未久は艶声を上げながらビクンビクンと身を震わせる。  
カケルは右手でピンクローターのスイッチを、左手で女の子のスイッチを、それぞれ弄る。  
性に興味津々な男児が、淫具の力を借りながら、全力で女の子の急所を苛める。  
無防備な女児には、とても抵抗できる責めではなかった。  
「あ!あぅ!う!ひぃ!ひぃい!はぁ!・・・でちゃう!!」  
(あ!)  
『でちゃう』のワードに反応したカケルは、慌ててスイッチを切った。  
「いっ!・・・・・・え?」  
突然の停止に、むしろ驚いた様子を見せたのは未久の方だった。  
「あ、いや、その、またさっきみたいなことになるんじゃ、と。」  
「さっきって・・・あ!」  
自らの痴態を思い出して真っ赤になる未久。  
「だ、大丈夫、家寄った時に、その・・・・・・全部、出してきたから!」  
「そ、そうなの?」  
「お願い!早く!」  
(は、早く!?)  
エロマンガの中では、執拗なローター責めを繰り返された女の子が、最後ついに陥落し、  
自分から責めを求めるようになっていた。  
未久もそれに近い状態になっているのだろう、そう確信したカケルにもう遠慮はなかった。  
左手をパンティの中へ差し込む。  
「あ!」  
手のひらでローターをグリグリと押し付ける。  
テープは既に剥がれており、カケルの手の動きにあわせて未久の下肢を蹂躙する。  
「う!ふぅ!ひぅ!うぁ!」  
指先が秘裂に届く。  
そこは酷い有様さった。  
「濡れている」という表現では足りない。  
「漏らしている」という方が妥当だった。  
もちろん小水ではない。  
女が狂いつつあることを示す秘蜜。男を狂わせる媚薬。  
カケルはローターのスイッチを一気に押し上げる。  
ストッパーのはずのテープはふやけて役に立たなかった。  
スイッチは禁断の最大領域までノンストップで届いた。  
 
――ヴイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!――  
「!!!!!!」  
悶絶する少女。  
そこにトドメを刺そうとする少年。  
キャミの裾から手を入れ、胸まで一直線に進む。  
「あ!!」  
少女がガードする間もなく、下をお揃いのロリブラに包まれたやや窮屈そうな頂に到着する。  
そのままギュっと鷲づかみにする。  
偶然、人差し指と中指が、頂点にある『スイッチ』を挟むかたちになる。  
臨界点直前にいた未久には、意識の外にあった上半身への責めが決定打となった。  
「イッッッ!!!!ッックゥゥウ!!!!!!アアァ!!!!!!」  
――ビクン!ビクン!ガクン!――  
経験の無いカケルにも、未久の身に何が起こったのかは分かった。  
太ももに広がる生暖かい染みすらも心地良く感じていた。  
 
・・・。  
 
考えてみると、そこは公園のベンチ。  
まだ午前中、人通りは無い。  
それでも随分な痴態を演じたものだと今更ながらなことをカケルは思った。  
脱力した未久。  
とりあえず肩を貸して茂みの中へと移る。  
見つからないように、かつ日陰でゆっくり休ませよう、と思っての行動。  
しかし、上気した顔、汗だくな体、乱れた着衣、太ももを垂れる愛液・・・  
カケルのエネルギーは再び下半身へ集まってきてしまう。  
そこへ未久の一言が追い討ち。  
「す、・・・すごかった・・・」  
その一言で、カケルは軽く絶頂に達してしまった。  
「うぁ」  
股間を押さえて俯く。  
「あ・・・」  
そんなカケルの様子に、未久は慌てて身を起こす。  
「ごめん、私だけ・・・」  
「ああいやあのそのえっと」  
「ね、ねぇ、どうしたらいい?」  
困惑気味に問いかけてくる未久。  
 
思わず、『口で!』と言いそうになって飲み込む。  
(俺エロマンガ読みすぎ!)  
「えっっっっと、そのーーーーーーーーっ、キ、キスしたい!」  
瞬間、未久に引き倒される。  
未久の体を押しつぶすような形。  
恥じらいに満ちた二人の顔が至近距離に迫る。  
そのまま――  
――チュッ――  
「・・・」  
「・・・」  
――チュバッ!――  
――クチュッ・・・チュプッ!・・・ニチュッ――  
――クチャッ・・・チュウウウゥ・・・チュッ・・・ンチュ・・・――  
「ンッ、んあぁ!・・・!!・・・んん!!」  
「はぁ・・・ん・・・・・・んむっ・・・・ん・・・ん・・・」  
キスの仕方なんて知らないはずなのに。  
本能に任せて貪ってるだけなのに。  
なぜかキモチイイ。  
このまま溶けてしまいそうなほど――  
「はぁーー!はぁーー!はぁーー!・・・っはー!」  
「あっ・・・・・・・・っ・・・・っ・・・・・ん・・・・はぁ・・・・・・」  
抱き合ったまま、息を整える二人。  
絡ませあった脚が、互いの局部を刺激する。  
「・・・・・ね、ねぇ、カケル・・・」  
「ミ、ミク・・・・・・・・・・いい?」  
うっとりと見詰め合う二人。  
このまま――  
 
 
「おねーちゃんたち何やってるのー?」  
 
 
「!!!!!!!!!!」  
「!!!!!!!!!!」  
心臓が飛び出るかというほどの驚愕。  
足元の方、いつのまにか近くにいた小さな女の子。  
「あー、えっちなことしてるー!」  
「!!!」  
「!!!」  
最近のガキはー!などと突っ込むよりも先に、カケルはミクの手を取って起き上がる。  
そのままダッシュ。  
必死でダッシュ。  
・・・。  
 
「はー!はーっ!はぁーーーーぁ・・・、も、もう、いいかな?」  
無意識に繋いだ手の感触に、今更ドキドキしてしまう。  
が、未久はと言うと、股間に手を当てて悶絶していた。  
「え!?」  
「っ!・・・っ!・・・ろっ・・・ローター・・・動い・・・てるっ!」  
「ええええ!?」  
先刻、見つかった時のショックで、擦り合わせていた脚がスイッチを  
動かしてしまったのである。  
「は!っっあ!くぅ!・・・!・・・!!!・・・ィ・・・クゥ!」  
股間を抑えたまま、ビクンビクンと震える。  
――ヴイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイィ!――  
ストッパーのテープは既に剥がれていたのだろう。  
振動音は明らかに最凶クラスの音を響かせていた。  
カケルは慌てて駆け寄り、スカートの中へ手を入れ、スイッチを止める。  
そのまま太ももからスイッチボックスを剥がし、グイッと引っ張る。  
「んぁ!?」  
大した抵抗も無く、パンティの中から振動部が抜け落ちた。  
てらてらと光るそれを手に取る。  
(こ、これが、ミクのあそこに・・・)  
などという思考に感づいたのか、未久は慌てて淫具を取り上げる。  
「きょ、きょうは、もう終わりっ!」  
――ダダダダッ――  
そう言うと未久は猛スピードで消えていった。  
 
(ああああああああああああああまたやっちまったあああああ!)  
ようやく我に返ったカケルは、またしても頭を抱えた。  
(やべーよどーしよーなんてあやまろうー)  
後になるほど取り返しがつかなくなるような気がして慌てて携帯をかける。  
――プルルルッ、プルルルッ、プルルルッ、プルルルッ――  
(やっべーでないよーあたりまえかーうあー)  
 
一方の未久は。  
――チャララッ、ッチャッチャッチャチャラララッ、ッチャッチャ――  
(あああああああああどうしようどうしようどうしよう!)  
家の自室に帰って布団に頭を突っ込んだ矢先、携帯が鳴った。  
メロディから相手がカケルであることはすぐ分かった。  
でも取れない。  
(あああああああたしやばいーよー)  
(あんなことされて気持ちイイなんて!)  
(弄られたりキスされたりで気持ちイイのは分かるけど)  
(ローターで!スイッチ入れたまま走って!いっちゃうなんて!)  
(ああああああああああどうしようー!絶対これクセになるよー!)  
先ほどまで収まっていた位置に再度ローターを忍ばせる。  
スイッチに指をかける。  
どこまで上げようかと一瞬悩むが、すぐにMAXまで動かしてしまう。  
――ヴイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイィ!――  
「んんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん!」  
すぐさま湧き上がる劣情。  
パンティの上からグリグリと押し付ける。  
顔は布団に押し付けて、声を押し止める。  
しかし――  
(ああぁ!?なんでー!?なんでよ、あと、あと少しなのにぃー!!)  
届かない。  
あとほんの少しが届かない。  
さっきはあんな簡単にイけたのに。  
(うー、だめなの?自分じゃダメなの??もぅー!)  
・・・。  
 
その後も暫く奮闘したが、結局諦めてスイッチを切った。  
不満そうな顔。  
鳴り止んでいた携帯を手に取る。  
着信履歴を選択し、コールボタンを押して耳に当てる。  
ワンコールも鳴る間もなく繋がった。  
『ミク!』  
「心配してた?」  
『もちろん!それと、ごごごめん!さっきは・・・』  
「いいの。」  
『でででも!』  
「カケル!」  
『は、はい!』  
カケルの慌て方に噴き出しそうになって、やっと少し落ち着く。  
そしてちょっとカケルを困らせてやろうという悪戯心が湧いた。  
「ねー、カケル。」  
『何、何?」  
「明日さ、一緒に学校行こ?」  
『え?えぁ、あ、で、でも!』  
(ふふっ、カケル面白い。もうちょっと焦らせてみようかな。)  
「えーダメなのー?んじゃぁさー」  
深呼吸を一つ。  
「『アレ』、着けて行くって言ったら、一緒に行ってくれる?」  
『え?、あ、アレ?アレって・・・、・・・・・・・・えええええええええ!?』  
もう未久は可笑しくて可笑しくてしょうがなかった。  
『もももももちろん!でででもそのあのミクはあれ嫌じゃあのその』  
「さ・あ・ね!・・・じゃ、そういうことで。またね。」  
『あ!ま、まってミク!」  
「え?」  
『あ、あの、その、一つだけ。』  
「なによ、まだなんかあるの?」  
『え、えっと・・・』  
 
『そ、その・・・ト、トイレだけはちゃんと行っとけよ?』  
「!!!!!!」  
『そ、そんだけ!んじゃ!』  
「あ!こらっ!ちょっと!」  
――ピッ。  
「あー!切りやがったあのやろー!・・・ったく。」  
けど、まぁいいか、と受け流して、携帯を置く。  
(告白とかしろってーの!・・・ま、私たちらしいと言えばらしいか。」  
(それに、そうだよね。さすがにまた漏らしちゃったら・・・あははっ。)  
恥ずかしさを紛らわせながら、なんとなく、スイッチボックスを手に取る。  
コードの先はまだスケスケパンティの中に入ったまま。  
(・・・ほんと、エッチだよねぇ・・・)  
 
・・・。  
 
スイッチボックスを眺めて、未久はぼーっとしていた。  
これは何のスイッチだろうか。  
モーターのスイッチ。  
女の子を感じさせるスイッチ。  
それにどうやら、男の子を狂わせるスイッチでもあるようだ。  
「・・・」  
もう一度、スイッチを入れようとして、思いとどめる。  
明日になれば、本気で気持ちよくなれるのだから。  
エッチな男の子が、いくらでもエッチなことをしてくれるのだから。  
それまでは、この火照りも大切に取っておこう、そう思う未久だった。  
 
                       −完−  
 

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