田中クンの災難・3――ひな祭り
「さ、隣の人にも福を分けてきたよっ。早速豆まきしようよ〜」
「分かった分かった。まったく、ホントこういうこと好きだな、千奈美は」
千奈美が満面の笑みを浮かべ、パタパタと家の中に戻ってきた。
僕は多少呆れ気味に、肩をすくめながら答える。
「あ〜。おにいちゃん、本気でする気無い〜! ちゃんと豆を撒かないと、鬼が来るんだよ〜」
僕のやる気の無い答えがお気に召さなかったのか、千奈美は頬っぺたをぷくりと膨らませ、
人差し指をピシリと僕に突きつけながら言った。まったく……鬼なんているはずないって……。
「まあ、千奈美ちゃん。人に指を突きつけるなんて、無礼ですよ。
…さて、それはそうと、せっかくお豆を買ってきたんです。豆まき、始めましょうよ」
雪枝さんが、指を指している千奈美をそっとたしなめながら、僕に向かって微笑みかける。
……節分だから、豆を撒きたくなる気持ちはよく分かるよ、雪枝さん。
でも、テレビでタレントや相撲取りが豆を撒いているのを見たからって、ズタ袋で買う人はあまりいないでしょう。
しかも3袋も……。おかげで、今月の家計も火の車、かなあ……。
「?? どうしたの、おにいちゃん? 豆まき、始めるよっ」
「あ、ああ分かった。そうしよそうしよっ」
そんなことを考えていると、千奈美が怪訝そうな顔をしながら、僕の顔を覗き込んできた。
物憂げな千奈美の表情に、思わずドキリとしてしまった僕は、それを誤魔化すように慌てて立ち上がった――
「福は〜うち〜! 鬼ば〜ばそと〜!」
「まあ、千奈美ちゃん。誰に向かって鬼婆なんて言っているのですか?」
元気よく豆を撒く千奈美に、雪枝さんが振り向き様に言った。
思い切り声は穏やかで、顔には笑みさえ浮かべていた。が、多少頬が引き攣っているような……。
「え〜鬼婆〜? そんなふうに聞こえた〜? 空耳じゃないの〜? 福は〜うち〜!」
雪枝さんの声にまったく動じる様子も無く、千奈美はあっけらかんと答え、再び豆を撒きだした。
「あ、もしかしたらさ。雪枝さん、自分が鬼婆って心の中で自覚してるんじゃないのかなあ?
だから、わたしの声に反応してるんだったりして〜♪」
……かと思ったら、止せばいいのに余計なひとことをポツリ。
「まあ、千奈美ちゃん。いつも思うけど、かなり想像力が豊かに育ったようね」
………なんとなく、雪枝さんの背中から怒りのオーラが出ている、ように見えました。本当です。
まったく……千奈美がそういう性格だってのは、分かりきっていることなんだから、
それに毎回毎回乗ってしまう、雪枝さんもどうかと思うんだけど……。
思わず溜め息が漏れる。何故なら、二人の子どもじみた喧嘩は、
ほとんどと言っていいくらい、僕にとばっちりがやってくるのだから……。
「ねえ、おにいちゃん?」
「え? な、何!?」
千奈美の声に、思い切り反応してしまう。
…この呼び方をした千奈美は、大抵その後に恐ろしい言葉を発する。
「お兄ちゃんはさあ、わたしの掛け声どう聞こえたかなあ? 鬼婆、なんて言ってなかったよね?」
「いいえ、そう聞こえても差し障りが無いくらい、悪意が篭ってました、ですよね?」
………………言ってるそばから思い切り来ました。しかも二人揃って詰め寄らなくても…。
まったく……この二人、初めて会った時もこんな調子だったんだよね……。
確かあの時は……座敷わらしである千奈美が僕の部屋に現れた次の日、
仕事から帰ると疫病神である雪枝さんが居て、突然住み着くと宣言されて……
で、あんなことやこんなことがあって、何故か三人で暮らすようになったんだよね……。
「あ〜。おにいちゃん、何か膨らませてるよ〜。何考えてるの〜?」
「まあ、本当。どうしちゃったのかしら? 調べてみましょうか?」
「ちょ、ちょっと! 二人とも!!」
雪枝さんと初めて出会った夜を思い出すと、どうしても股間が疼いてしまう。
と、そこを二人に見咎められたようで……って、何だかヤな予感……。
慌ててその場を逃れようと、後ずさりしかけた僕の両足の上に、雪枝さんがのしかかってきた。
思わず反射的に、ズボンを手で押さえようとするが、今度は千奈美が脇腹をこちょこちょくすぐってくる。
「さてさて、おとなしくしましょうね〜」
「はひゃ…ちょ……や…ひゃっ……」
幼子を諭すような優しい声で、雪枝さんがズボンに手を掛ける。
抵抗の声をあげようとしたのだが、くすぐったさのあまり、何だか分からない声が漏れてしまう。
「も〜う。おにいちゃん、大人なんだから、ジタバタしないのっ!」
「だ…ひゃ……って…ううっ……」
頭上から千奈美の、これまた年下の子を叱るような声が聞こえる。
そうは言うが……くすぐったいものは仕方がない。僕は身をよじらせながら、最後の抵抗をしていた。
「んん〜、これはいったい何でしょうか〜? パンツの中から膨らんでます〜」
「あう……ひゃっ…」
ズボンを太股まで下ろしたところで手を止め、トランクスの上からツンツンと膨らみを指で突つく雪枝さん。
絶え間なくくすぐられている状態で、その微妙な刺激に耐えられるはずがなく、自然と声が漏れだしてしまう。
「どうしたんだろうね〜? ね、雪枝さん、早く調べてみようよっ!」
脇腹から、へその周辺までくすぐる範囲を拡大しながら、千奈美が雪枝さんに語りかけた。
その目はキラキラと輝いている。……雪枝さんはともかく、千奈美って、こういうケがあったの?
などと思いながら、目は台所に向かう。そこには……空の一升瓶が3本と牛乳パックが何本か転がっている。
まさか………二人で、あれだけ飲んだのか? しかも僕が働いている間に!
「そう…ね。でも…これは……何なのでしょう? あら? 膨らみだけでなく、丸いものもあるわ」
「はあ…っ……あっ……」
冷静に分析しようとする、僕の思考回路を破壊する、雪枝さんの言葉と仕草。
雪枝さんは、千奈美の問い掛けに答えながら、膨らみから足の付け根にそって、
つつつっと指でなぞったかと思うと、根元に丸い、別の膨らみがあるのを確認して軽く握ってきたのだ。
同時に、下半身から流れ込む刺激に反応してしまい、思わず腰が動いてしまう。
「まあ、亮太さん。いきなり動き出したりしちゃって。どうやらこれは、何かが中でうごめいてますよ?」
「ええ〜っ!? 何が入ってるんだろ〜? 見たい見たい見てみたい〜!!」
「や…やめ……ひゃうぐっ!」
大袈裟に顔をしかめながらつぶやく雪枝さんの言葉に、千奈美がはしゃぎ声をあげて答える。
次の瞬間、千奈美がくすぐりを止めたかと思うと、今度は両手首を掴みあげながら、
そのまま僕の顔に腰を下ろしてきた。抵抗の声を上げようとした途端だったので、潰れたような声が漏れる。
僕の視界は、100パーセントが千奈美の大事な場所を覆う、真っ白い布で占められていた。
「やめるなんてとんでもない。悪い病気だったりしたら、どうするのですか。さ、開けてみますよ」
「ぐぶ…ぐ……っ……」
僕の抗議の声を軽く流し、トランクスに手を掛けて、ゆっくりと下にずらす雪枝さん。
千奈美はその様子を声ひとつ出さずに、僕の顔にまたがったまま、まじまじと見つめている。
僕はと言えば、千奈美に圧し掛かられているおかげで、声はおろか、息すらもまともに出来ずにもがいていた。
「まあ、亮太さん。こんなところに、立派な棒がありますよ? どうしたのでしょうか?」
「わあホントだ〜。でも、先っぽから透明なお水が出てるよ〜?」
「んぐ〜! んん! ん! んんん!!」
とうとうトランクスを膝まで下ろした雪枝さんが、僕に聞こえるようにつぶやいた。
そう、このような状況下に置かれても、僕のモノは完全に天井を向いていまして……。
と、千奈美が片方の手を離して、指で先端をつついた。透明な液体が、モノと千奈美の指の間で糸を引く。
優しい刺激と息苦しさを同時に味わいながら、僕はうめき声とともに、
解放された手で千奈美の太股あたりを、ぴしゃぴしゃとひたすら叩き続けた。
「まあ、千奈美ちゃん。亮太さんが何か言いたがってますよ? ちゃんと聞いてあげないと」
「ん? あ、ホントだ〜。ね、おにいちゃん。何があったの? あたしに教えて〜!」
雪枝さんが僕の様子を見て、ようやく千奈美に諭すように言った。
千奈美は素直に、腰を少しだけあげ、自らの股間越しに僕の顔を見つめながら問い掛けてくる。
「だああっ! 二人とも、いい加減にしろっ!! …はあ…はあ…はあ…はあ……」
僕は思わず、大声で叫びながら、肩で息をしていた。
「分かりました! これは多分、鬼の金棒です。鬼の手に渡っては大変です。早くどうにかしないと」
「ど、どうにかって……どうするの〜!?」
突然、雪枝さんがポンと手を叩いて大袈裟に頷く。千奈美もまた不安げな顔で雪枝さんに尋ねる。
完全に僕の言葉は無視されています、はい。
「そうですね…とりあえず、ここは鬼の目に触れないように、隠してしまいましょう……んっ……」
「あう……っ……」
言うや否や、雪枝さんは僕のモノを咥えはじめた。その目はとろんとして、焦点が定まっていなかった。
下腹部を襲う刺激に、僕は身悶えしながら悲鳴をこぼす。
「ん……んふ…ん……。ん……んんっ……さ……千奈美ちゃん……変わって……」
「う……うん……ん…んっ…」
「そ……千奈美ちゃん、お上手ね……ふふっ……」
舌をモノに絡みつかせ、顔を大きく上下にゆっくりと動かし続ける雪枝さん。
と、突然顔をあげ、千奈美にモノを咥えるように語り掛けた。
千奈美は、雪枝さんの言葉に素直に従い、おもむろに僕のモノを咥えだした。
雪枝さんの口の中とはまた一味違って、歯がモノを擦り続けている。多分、口が小さいおかげだろうけど。
千奈美に僕のモノを咥えさせている間に、雪枝さんは僕のズボンとトランクスを脱がしだした。
なんて見事な連携プレーなんだ………って、二人とも、さっきまでのケンカはどうしたんだ?
「ん……こふ…こふっ……けほっ……」
だがやはり、千奈美の口では少し小さかったようで、モノを奥まで咥え込もうとして咳き込んでいる。
これはこれで、結構嬉しいシチュエーション……かも。
「んん? 千奈美ちゃんのお口じゃあ、まだ早かったかな? 仕方ないか。じゃ、こうしましょうね。
れろ……れろ…れろ…れろれろっ………」
「あく! うっ……!」
「…んふ? ……ん…んっ…れろ…れ……れろっ……」
「ちょ…ちょっと……ふた…り………とも…っ…あ…ああっ……」
雪枝さんが顔をあげ、千奈美が苦しそうにしている様子を見て、小首を傾げたかと思うと、
そっと千奈美の口をモノから離した。と同時に自分の舌を伸ばし、モノをチロチロと舐めあげ始めた。
モノ全体を包まれているのとはまた違う、局所的に強く感じる刺激に背筋がゾクゾクしてくる。
特にモノの先端、亀頭の付け根に舌が潜り込んだときに、耐え難い刺激が走り、声を漏らしてしまう。
千奈美は雪枝さんの様子を見て、同じように舌を伸ばしてモノを舐めあげる。
モノを挟み込むような、柔らかい刺激に、僕はあえぎ声を漏らすしかなかった。
「ん…んふ……んーーっ」
「あっ! ああっ!!」
雪枝さんが、亀頭から伸びる筋に沿って、舌をつつつっと滑らせる。
あえぎ声とともに、思わず腰がビクンと震えてしまう。
「んむ…ん……んっ……」
「…くう……ち…千奈美い……」
かと思えば、千奈美は両手で亀頭を左右に押し広げ、真ん中の穴に舌を潜り込ませようとする。
脳が痺れるような快感を覚え、無意識のうちに、快感をもたらしている相手の名を口走ってしまう。
もう…もう……限界…だ………。
「あ…ああっ!!」
まるで、腰が抜け落ちたのではないかと錯覚させるような快感の中、
僕は叫び声とともに絶頂に達してしまった。
「うわっ、す、すっご〜い!」
「んふふっ…たくさん……たくさん出ました…ね……白酒が……」
絶頂に達した瞬間、モノから大量の白い液体が、二人の顔目がけて吹き出す。
だが二人とも顔を背けるでもなく、僕からあふれ出した精を顔で受け止めていた。
千奈美は真ん丸い目をさらに丸くさせて、いっぽうの雪枝さんはうっとりと顔を紅潮させて……。
……待て!? 雪枝さん、今なんて言った!?
「ん…んんっ……ん……ん……んっ…美味し……」
「んん……っ…んっ………」
僕がそう思う間もなく、雪枝さんは舌を伸ばして、千奈美の顔に飛び散った僕の精を舐めはじめる。
それに釣られるように、千奈美も舌を伸ばして、まるで白化粧でも施したように、
僕の精で真っ白になった雪枝さんの顔を舐めすくいだした。
「ん…ん…んん…っ…」
お互いがお互いの顔を舐めすくっているうちに、舌が触れ合う。
すると、まるで申し合わせたかのように、お互いの舌を絡ませあい、そのままくちびるを重ねだす。
僕は絶頂に達した直後にも関わらず、生まれて初めて見る、女性同士のディープキスに興奮していた。
「はあうっ!?」
「んふ……お元気ですね…亮太さん……ん…ふふっ……」
油断していた僕の下腹部に、突然襲い掛かる刺激に、思わず声が漏れだす。
ふと見ると、雪枝さんが千奈美と口づけを交わしながら、
ぞっとするような妖しい笑みを見せ、こちらを横目で見つめたまま僕のモノをしごいていた。
すでに絶頂に達し、刺激に対して敏感になっていたモノは、早くもピクピク震え始めている。
僕は、雪枝さんの笑みに射すくめられたかのように、指一本動かすことも出来なかった。
身動きしない僕を見て、満足そうな笑みを浮かべた雪枝さんは、そっと僕の両足をがばっと広げる。
「んふふっ。亮太さん……こちらは、どうなんでしょうか…ね…んぐ…ぐ…ぐっ……」
「ああ! うっ!!」
雪枝さんは、さらにペロリと舌舐めずりをしたかと思うと、いきなりモノの付け根にある袋を口に含んだ。
目の前が真っ白になるような錯覚とともに、快感が脳に響き、全身がビクリと痙攣してしまう。
「うん…んっ……んんっ…」
「く…っ……」
と、今度は千奈美が再び僕のモノに舌を這わせだす。
立て続けに襲い掛かる刺激に抗いきれず、意思とは裏腹にあえぎ声が漏れてしまう。
い…いかん……、こ…このままじゃ…また……またすぐ、イッちゃう……っ…。
混乱した頭の中、何か紛らわさせるものが無いかとあたりを見渡そうとするが、
目に入るのはぷるぷると揺れている、千奈美の可愛らしいお尻を包む、真っ白い下着だった。
よく見ると、真ん中の部分がほんのりと湿って、シミを作っている。
「ん…? きゃっ!」
ええい! このまま黙ってイカせられるのなら! とか半ばヤケになった僕は、
おもむろに千奈美の下着をずり下ろし、千奈美のお尻を揉みしだいた。
千奈美は突然の刺激に、かなり意表を付かれたようで、上半身を仰け反らせながら悲鳴をあげる。
「んん…ふっ……じゅ…じゅるっ……」
「あ…ああ……あ…」
両手で千奈美の割れ目を押し広げ、中に舌を潜り込ませる。
やはり、そこはすでに熱い蜜が次々と湧き出していて、僕は夢中になって舌を動かし続けた。
僕の狙い通り、千奈美は僕のモノを弄るという目的を忘れ、舌の動きに合わせて声を震わせている。
「あ! あああ! ああんっ!!」
左手の中指で、割れ目の先端にちょんと突き出ている、真っ赤な豆を撫でてみた。
すると千奈美は、天井を見上げてあられもない声で叫びだした。
「ん? 千奈美ちゃん? ……まあ」
千奈美の声が気になったのか、雪枝さんがぱっと顔をあげる。
一目見て今の状況が飲み込めたようで、冷静にポツリとひとこと。……何で冷静なんだろ。
「んは? あ…雪枝…さん?」
ゆっくりと身体を起こし、千奈美を抱えあげる雪枝さん。
千奈美はきょとんとした表情で、雪枝さんを見つめている。いや、きょとんとしてるのは僕もだけど。
「! ゆ、雪枝さあんっ!!」
だが、雪枝さんが千奈美を僕の上に、仰向けに寝かせた途端、千奈美が叫び声をあげた。
どうやら雪枝さん、千奈美の胸に吸いついたようで、チューチューと音が聞こえてくる。
当然、思いも寄らない刺激に、千奈美が四肢をパタパタ振って暴れだした。
「ああ? お、おにいちゃん! おにいちゃん!!」
僕は両腕で千奈美の太股を抱え込み、そのまま割れ目に舌を這わせた。
「いや! あ! ああ! あああんっ!!」
程なくして、千奈美はひときわ大きな声をあげ、全身をひくつかせながら失神していた。
「ふふふっ…千奈美ちゃんも、ああしておとなしく眠っていると、いい娘なんですけれどね」
布団の上で、スースーと寝息を立てる千奈美を見て、雪枝さんがそっとひとこと。
……僕から見ると、そういう風に優しく語っている雪枝さんは、いいお母さんに見えるのですが。
「さて……亮太さん…ひな祭りの白酒ですが…私たちは亮太さんのおかげで
美味しく頂けましたが……亮太さんはお飲みになりますか、白酒?」
雪枝さんが、ちらりと片方の胸をさらけ出しながら、流し目を僕に向ける。
当然のことながら、雪枝さんの視線に敵う僕ではなく、迷わず雪枝さんの豊かな胸にむしゃぶりついた――