「さて、と。ようやく今年も終わったかー……っと」
「で、山内は今年はお袋さんのところに帰るのかい?」
仕事納めも無事終わり、帰りの駅に向かいがてら、大きく伸びをする同僚に、僕は話しかけた。
「ああ、そうだな。去年は当直で帰れなかったし、今朝お袋から電話が来て、何だか分からんが、
『今年は絶対帰って来い!』とか言われたし、久々に田舎でのんびりさせて貰うよ」
「ふうん。ま、ゆっくりと、骨休みしてきてちょーだい。仕事はきっちりと残しておくからさ」
やや首を傾げながら返事をする同僚に、僕は肩をすくめながら返事をした。
「くぉら」
僕の言葉を聞きとがめたようで、同僚が呆れ返った顔でつぶやく。
「まあそれは半分冗談。……じゃ、よい年を」
「ああ、よい年を」
同僚の呆れ顔に、思わず歯を見せて笑いながら、僕は別れの言葉を掛けた。
「ふ〜う。ただいま〜」
「お帰り〜。ねえねえ、今年のお正月はさあ……」
家に帰ると、エプロン姿のアイリスが、いつものように声を掛けてくる。
「へ? 今年は会社で当直だって、言わなかったかい?」
「え?」
だが僕は、ネクタイを解きながら、首を傾げながら答えた。
その言葉に目を丸くさせ、ピタリと固まるアイリス。……ど、どうしたの?
「…………………聞いてない」
しばしの間、お互い何も言わずにじっと見つめあっていたが、アイリスがポツリとひとこと。
「聞いてない! 聞いてないよ、御主人サマ!」
「え? そ、そだっけ?」
と、思った次の瞬間、アイリスは堰を切ったように声をあげ、僕に詰め寄ってきた。
……あれ? 言わなかったっけか?
「ひどい! ひどいよ!」
「あ、いやその……確かに、言い忘れたのは悪かったけど………」
そんなことを考えていたが、アイリスの涙交じりの声に、思わず詫びの言葉が漏れ出す。
……確かに、『絶対言った』とまで断言は出来ないし……。
「………お風呂はいろ」
「えっ?」
などと思っていると、アイリスは顔をうつむかせながら、おもむろにつぶやく。
「お風呂に入ろうって言ってるの。……それとも私と入るの、もうイヤ?」
「い、いや……。よ、喜んで入らせていただきます……」
僕が戸惑いの声をあげると、ゆっくりと顔を上げながら、これまたゆっくりと声を掛けてきた。
少々、身の危険を感じながらも、アイリスの言葉に逆らえなくなっていた僕は、反射的に答えていた。
「さ、御主人サマ。背中流してあげるから、座って座って」
「う、うん」
風呂に入るや否や、僕に椅子に座るように勧めるアイリス。
その嬉しそうな様子からは、さっきまでの不機嫌さは微塵も感じさせない。
……本当に機嫌が直ったのかどうか、はなんとも言えないけれども。
「……ねえ、御主人サマ……」
「な、何?」
「……いいや、なんでもない……あっち向いてて……」
椅子に腰掛けると、アイリスが妙に沈んだ声で話しかけてきた。
気になった僕が、振り返りながら返事をするが、アイリスは石鹸を泡立てながら首を振る。
……ど、どう考えても、なんでもなくないでしょう?
「ど、どうしたの、アイリス? あ、あう…っ……」
ふたたび声を掛けようとする僕だったが、アイリスぴったりとしがみつかれた途端、
背中に二つの柔らかい感触を覚え、思わず言葉の代わりに吐息が漏れ出してしまう。
……我ながら、ホント情けない……。
「ふふっ……御主人サマ……外で冷えちゃってたんだね……。いいよ、私が暖めてあげる……」
「ア、アイリス……あ…っ……」
「んふっ、御主人サマ……女の子みたいな声出しちゃって、かっわいい……」
「あっ…だ……だって、あ、ああっ!」
アイリスは僕にもたれかかるようにして、耳元でささやきながら、ゆっくりと体を上下に動かし始める。
さらに、手のひらで胸を撫で回してきたかと思うと、胸の頂を指先で軽く突っついてきた。
そんな微妙な刺激に抗うすべもなく、僕は悶え声を漏らし続けていた。
「………でも……ココは、立派な男の人だね……」
「ちょ、ア、アイリス……あ、はあっ!……」
耳の穴へ舌先を潜り込ませながら、泡まみれの右手で僕のモノを優しく握り締めてきた。
「さて……こっちも、っと……」
「え? ひゃあっ! アッ! アイリスうっ!」
「んむ…っ、どう? 御主人サマ…気持ちイイ?」
かと思った次の瞬間、やはり泡まみれの左手で、モノの下の袋をさわさわと撫で回してくる。
耳から舌を抜き、そのまま耳たぶを軽く甘噛みしながら、アイリスは僕に問いかけてきた。
僕は何も言えずに、ただ首をガクガク上下に動かし、頷くことしか出来なかった。
「そっか……。でも、イヤらしい御主人サマが、一番嬉しいところは、ココ、だもんねっ」
「はあうっ! あっ…あ……え? ア、アイリス……?」
そんな僕を見て、アイリスは嬉しそうにはしゃぎ声をあげたかと思うと、
尻尾の先端を僕のすぼまりへと突き立ててきた。思わず全身をビクリとすくませながらも、
頭にとある疑問が浮かび上がり、アイリスに質問を投げかけようとする。
……なんで? なんで、椅子に座ってるお尻をつつけるの?
「どうしたのかな? 御主人サマ?」
「あ、そ、その…ひゃっ! こ、この、椅子……ああんっ!」
手と尻尾の動きを緩めることなく、小首を傾げるアイリス。
僕は快感に悶えながらも、どうにか自分が座っている椅子を指差した。
そう、僕が座っている椅子は、いつもの風呂用椅子ではなく、
いわゆる風俗店でお目にかかる、スケベ椅子だった。
……念のため言っておきますが、僕は風俗店には通ってはいません。昔、同僚に誘われたっきりです。
「これ? この前の深夜番組で、通信販売で売ってたから買ったんだけど?」
「ど、どうし…てえっ!?」
僕の疑問にあっさりと答えながら、モノをしごきあげるピッチが増すアイリス。
……いったい、どんな深夜番組を見ていたのですか。
「だって。この椅子のほうが、御主人サマのココ、綺麗に洗えるんだもの。違う?」
「ち! ちが…っ! …な……ああっ!」
そう言いながら、アイリスは尻尾をすぼまりの中へと潜り込ませ、円を描くようにうごめかせてくる。
反射的に上半身がビクビク震えてしまい、返事をしようとしても息が詰まって返事にならない。
「ん〜? 何て言ったのかなあ?」
「ち、違わない! 違わないですうっ!」
そんな僕に追い討ちをかけるように、モノの下の袋をこねこねと撫で回しながら、
子どもを諭すような声でささやくアイリス。僕は必死になって、半ば絶叫するように返事をしていた。
「でしょお? さ、無駄口はいいから、綺麗になりましょうね」
「ちょっ! ア、アイリスっ! あっ! ああ! あっ!」
僕の返事に、凄く嬉しそうに頷きながら、アイリスの手と尻尾の動きがさらに激しくなりだす。
あまりの快感に涙があふれ、口からはあえぎ声が次々と漏れ出してしまう。
こみあげる快感が絶頂に達しようとして、全身が硬直した次の瞬間――
「………? ア…アイリス?」
「どうしたの、御主人サマ」
アイリスの手と尻尾の動きがピタリと止まり、下腹部からもたらされる快感も、途切れてしまった。
涙交じりの目で振り返ると、怪訝そうな表情を浮かべたアイリスが、小首を傾げていた。
「な……何で、何で途中で止めちゃうの?」
「だって、もう綺麗になったでしょ? これで、お・し・ま・い」
かすれる声で質問する僕に、モノの先端をつんつんと指でつっつきながら、あっさり答えるアイリス。
「そ、そんなっ! さ、最後までイカせてよっ!」
「………そんなに、イキたいの?」
悲鳴混じりに絶叫する僕の顔を、アイリスは覗き込むようにして、優しく語り掛けてくる。
口調こそ優しいアイリスだったが、その目はまるで獲物を見つけた小悪魔のように妖しく輝き、
口元には意地悪そうな笑みさえ浮かべていたのだが、イキたい一心の僕に、
そんなことを気にする余裕などあるはずもなく、ただひたすら首をガクガク上下に揺り動かし、
必死になって肯定の意を示していた。
アイリスは、そんな僕をじっと見て、考え込むような表情で首を傾げていた。
時間にすると、10数えるかどうかの間だったのだが、
僕にとってはそれがまるで、無限の時のように感じられていた。
「そっか……じゃ、イッちゃっていいよ」
「え?」
と、アイリスが唐突にあっさりと、つぶやくように言った。
一瞬、アイリスの言ってる意味が分からず、思わず聞き返してしまう僕。
「だから、御主人サマが自分でシゴいてイクところを、ちゃんと見ててあげるって言ってるの♪
ささ、遠慮なくどうぞっ♪」
「そんなあっ! ア、アイリスが最後までイカせてよっ!」
アイリスは僕の肩にアゴを乗せ、両腕を回してしがみつきながら、嬉しそうに声を掛けてきた。
僕は子どものように首を振りながら、アイリスの手を取って、懇願するように叫び声をあげる。
「ふ〜ん……御主人サマ、私の手でイキたいの〜?」
「う、うんっ!」
アイリスは、いかにも仕方がない、といった口調で語りかけてくる。
その口調から、アイリスにシテもらえるという期待感を覚えた僕は、元気よく返事をした。
「そうなんだ……しかたないなあ。でも、その代わり……」
「そ、その代わり?」
僕の返事に優しく頷いたアイリスは、悪戯っぽく笑みを浮かべ、そこで言葉を切った。
アイリスの表情を目にした僕は、まるで蛇ににらまれた蛙のように、
ビクリと身をすくませながらも、胸をときめかせてアイリスの次の言葉をじっと待った。
「その代わり、私がいいって言うまで、イッちゃダメだよ?」
「え? そ、そんなあっ!」
だが、僕の淡い期待は、アイリスからもたらされた言葉によって、あっさりと打ち砕かれた。
まさに天国から地獄へと、一気に突き落とされたような感覚に、思わず叫び声が漏れ出す。
「そんなも何も、言ったでしょ? 今すぐイキたかったら、御主人サマが自分でシテもいいよおって」
「い、イヤだあっ! 今すぐ、アイリスの手でイカせて欲しいよおっ!」
あくまで優しく、落ち着いた口調で話しかけてくるアイリスとは対照的に、
僕は悲鳴のような叫び声をあげながら、駄々っ子のように足をジタバタさせていた。
「もお〜。どうして、そんなわがまま言うかなあ、御主人サマはっ」
「だ、だって……」
しゃくりあげる僕の頬を伝う涙に舌を這わせ、ため息をつくアイリス。
「さ、早く決めちゃいなさいな。早くしないと私、あがっちゃうよ〜?」
追い討ちをかけるように、アイリスは僕にささやきかけながら、
袋をちょんちょんと尻尾の先端でつついてきた。
その感触を覚えた次の瞬間、僕の頭は真っ白になっていた。
「う……ア、アイリス……」
「えっ!? ちょ、ご、御主人サマ!?」
……手でシテくれないのなら、せめて尻尾で!
そう思った僕は、アイリスの尻尾を鷲掴みにしたかと思うと、
自分自身のモノに巻きつけながら、一心不乱にアイリスの尻尾ごとモノをしごき始めた。
突然の事に驚いたのか、アイリスの声に動揺の色が見え出す。
「あっ、ああっ……ア、アイリス……アイリスうっ……」
「ご、ごしゅっ! ひうっ!」
たちまち、モノから痺れるような快感が押し寄せ、口から歓喜の声が漏れだす。
アイリスは可愛らしい悲鳴をあげながら、必死になって尻尾を振りほどこうと、
僕のモノへと弱々しく手を伸ばしてきたが、逆にその手を押さえ込んだ僕は、
半ば無理矢理に、尻尾とモノを握らせながら、そのまま上下に激しくしごきあげさせていた。
「アイリスっ……アイリスっ! も、もう僕っ……っ!」
「……ごっ! らっ! らめえっ! ごひゅじんひゃまあっ!!」
無意識のうちに、しごくピッチがあがっていく。それとともに、僕たちの声も少しずつ甲高くなっていく。
モノをしごいているのに合わせ、尻尾の一部が袋を擦りあげていく感覚が、またたまらない。
「あっ、アイリスっ! イクっ! イクううっ!!」
「ごっ! ごひゅじんしゃまああっ!!」
やがて、二人揃って舌っ足らずな悲鳴をあげると同時に、
僕のモノはビクンビクンと震えながら、宙に向かって盛大に精を放っていた――
「あ、ああ……アイリス……」
「はあ……はあ、ご、ごひゅひんひゃまあ……」
射精後の脱力感に見舞われた僕は、肩で大きく息をさせながら、アイリスを仰ぎ見た。
そのアイリスはと言えば、床にへたり込んだまま、僕にもたれかかってきている。
いつの間にやら、滅多に見せない背中の羽も生えていた。
「ア、アイリス……だ、大丈夫?」
「ごひゅちんちゃまあ、わ、わたひにも……ごしゅひんしゃま、くださあい…っ……」
僕の問いかけに、答えているのかいないのか、アイリスは虚ろな目で僕を見つめ、
舌をもつらせながら、両手を伸ばして腰へとしがみついてきた。
僕は、そんなアイリスの妖艶な仕草に誘われるように、
フラフラと椅子から立ち上がり、アイリスのほうを振り返った。と、
「……うっ、ア…アイリス……っ……」
たちまち、モノから快感がこみあげ、腰が引けてしまう。
僕が立ち上がったおかげで、丁度モノとアイリスの顔が同じ高さに来てしまい、
アイリスは半ば無意識的に、僕のモノを咥え込んでしまったのだ。
「ん……んむっ……ん……」
「あ、あっ…アイリ、ス……っ」
裏筋をなぞるように舐め上げながら、ゆっくりと顔全体を前後に動かすアイリス。
焦点の定まっていない、虚ろな目はそのままだ。
そんな表情でモノを咥え込んでくれるという状況に、何だか無性に興奮してきた僕は、
アイリスの頭を押さえつけながら、ゆっくりと腰を前後に動かし始めていた。
「あっ! アッ、アイリスっ!」
不意に、袋とすぼまりから刺激がこみあげ、思わず腰が引けてしまう。
アイリスは、左手で袋をこねこねと優しく揉み上げながら、
残った右手の指で、すぼまりの辺りをさわさわと、撫で回してきたのだ。
「ああんっ! あっ! アアッ!」
すぼまり周辺を撫で回していた指のひとつが、とうとうすぼまりの中へと潜り込んできたのだ。
尻尾が潜り込んでくるのにはすっかり慣れていたが、指先が潜り込んできたのは初めてのことで、
その違和感に戸惑いながらも、こみあげる快感には逆らえずに、喘ぎ声が漏れ出してしまう。
「うああっ、アッ、アアッ!」
やがて指先が根元まで潜り込んだかと思うと、ゆっくりと引き抜かれる。
指先が完全に外に出る寸前で、ふたたび中へと潜り込みだす。
もちろん、その間にもモノと袋へともたらされる刺激は、少しも緩んではいない。
そんなことを繰り返されているうちに、いつしか腰の動きも止まり、下半身がガクガク震え始めていた。
「あっ、アイリスっ! もっ、もうダメっ! イ、イッちゃうっ! イッちゃうよおっ!」
「ん? んむっ……んっ、んふっ、んんっ、んっ」
僕の悲鳴交じりの喘ぎ声を耳にしたアイリスは、何を思ったのか、さらに舌と頭の動きを早め出す。
「ちょっ! あっ! あああっ!!」
次の瞬間、僕はアイリスの口中めがけて、今日2度目の精を放出していた――
「あ……ああっ、ア…アイリス……」
「んむ……っ、ご…ごひゅじんしゃまあ……んぐ…っ……おいひ………」
僕は腰が砕けるような快感に、さっきまで座っていた椅子に、思わず座り込んでしまった。
未だに虚ろな表情で僕を見つめ、舌をもつれさせているアイリス。
と、口を開いた弾みで、隙間から白い液体が零れ落ちてしまう。
だがアイリスは、それを指ですくいあげたかと思うと、口の中へと戻し、
嬉しそうに笑みを浮かべ、ゴクリと咽喉を鳴らして飲み下してしまった。
「……アイリス…っ……」
「ご……ごしゅじんひゃまあ………っ、ん。んふ……」
そんな姿に、何ともいえない気持ちがこみあげてきた僕は、
気がつくとアイリスをしっかりと抱きしめ、くちびるをふさいでいた。
くちびるを離した僕は、アイリスを風呂の縁に座らせ、両足を広げさせた。
その中心部には、ヒクヒク震える割れ目が姿を晒している。
「アイリス……い、いくよ……?」
「ご、ごしゅじんしゃま……」
僕はアイリスの両太ももを抱え、モノの先端をアイリスの割れ目へとあてがった。
アイリスは僕の背中に腕を回したまま、恍惚とした表情でコクリと頷く。
「……っ」
「あっ、ああっ、ご…ごしゅじんさま……っ……」
モノを突き立てた瞬間、全身を駆け抜けるような快感が襲い掛かった。
同時に、アイリスは上半身を仰け反らせながら、喘ぎ声をあげだす。
「ア…アイリス……っ…アイリスっ……」
「ご、ごしゅじんサマ…ご主人サマ……」
腰を前後に動かすたびに、快感とともにお互いを呼び合う声が漏れだしていた。
「あっ、あく……アイリス……」
「ごっ! 御主人サマッ! アッ! アアッ! ご、御主人サマが……お、奥に……あっ、アアンッ!」
繋がった姿勢のまま、僕はアイリスを持ち上げた。途端にアイリスは声を裏返させ、
ポロポロと大粒の涙をこぼしながらも、僕から離れまいとばかりにしがみつく腕に力がこもり、
両足も僕の背中で交差するように絡みつかせてきた。
「ああ……アイリス……」
「あ……あっ、ああっ、あああんっ!」
多少よろめきながらも、アイリスを抱えたまま湯船へと体を沈ませる。
水に入った途端、浮力で軽くなったアイリスの体を突き上げるように、ふたたび腰を動かし始めた。
アイリスもまた、僕にしがみつきながらも、体ごと上下に動き始める。
「あっ、アイリスっ、あっ、ああっ!」
「はあっ、あっ、気持ちイイッ! 気持ちイイのっ! …は、ああっ! ご、御主人サマあっ!!」
二人で腰を突き上げながら、喘ぎ声をあげ続ける。
と、僕の目の前でアイリスの豊かな胸が、ぷるぷると揺れている。
僕は夢中になって、アイリスの胸の頂に吸いついた。
「ごっ、御主人サマっ! 御主人サマっ! あっ、ああ、ああっ!」
すでにピンと張り詰めている頂を、舌先でコロコロ転がしてみると、
アイリスはあられもない声で喘ぎ続ける。それに、モノへの締め付けも強くなってきた、気がする。
だがそれでも僕は、絶頂に達せそうで、なかなか達せそうになかった。
……まあ今日は既に、2回も出しているせいでもあるのだろうけれど……。
「ね、ねえ、アイリス……」
「……あっ、あ…ああっ……?」
僕の問いかけに、アイリスは火照った顔で喘ぎ声をあげながらも、僕の顔を見やった。
「お……お願い………ア、アイリスの尻尾……う、後ろに……シ、シテ………」
言いながら、顔が熱くなるのが自分でもわかる。
だがアイリスは、何も言わずに優しく微笑みを浮かべたかと思うと、尻尾を僕のお尻のほうへ回した。
「あ…ああ、アイリス……」
すぼまりの入り口を、ちょんちょんと尻尾が突っつくのがわかる。
僕はお預けを食らった犬のような表情を浮かべ、腰をもぞもぞとうごめかせていた。
「あっ! あ、ああっ……」
だが次の瞬間、突き抜けるような快感が、すぼまりから脳天へと駆け巡っていた。
そう、アイリスが尻尾をすぼまりの中へと潜り込ませたのだ。
「あっ……あ…アイリス……」
「御主人サマ……あっ! ああっ! あはっ、ああっ!」
尻尾がすぼまりの中でうごめくのに合わせ、僕の腰の動きも激しくなる。
それとともに、こみあげる刺激もどんどん強くなっていく。
あまりの激しさに風呂の湯が波打ち、湯船から溢れ出してしまうほどだった。
だが、そんなことも気にならないほど、僕たちはぶつけ合うように夢中で腰を動かし続けた。
「あっ……あっ! ああっ! ああーっ!」
「ああっ! あうっ! あっ、ああっ! イッ、イクーッ!!」
やがて、叩きつけるような抽走の末に、僕は今日初めて、アイリスの中へと精を放っていた――
「ご、御主人サマ……」
「アイリス……っ…」
湯船に浸かったまま、アイリスが甘えた声で僕に微笑みかけてくる。
僕はそっとアイリスを抱きしめ、くちづけを交わした。
「………。ごめんなさい、御主人サマ」
「え? な、何が?」
くちびるを離してからの、アイリスの第一声は、あまりにも意外なひと言で、
思わず目を丸くして、聞き返してしまうほどだった。
「御主人サマ、お仕事なのに、わがままばかり言って。当直、頑張ってね」
「い、いや……言うのを忘れていた、僕のほうが悪かったんだよ。ごめんね、アイリス」
しゅんとなるアイリスの手をとり、僕はペコリと頭を下げた。
……まあ、言うのを忘れていたのは、事実なんだろうし。それはそうと……。
「……御主人サマ……」
「それより……大丈夫?」
「え?」
ぱっと顔をあげ、嬉しそうな表情を見せるアイリスだが、僕の言葉に目を丸くさせる。
「い、いや……さっきは、あんなに舌がもつれていたけれど……」
「うん……もう、大丈夫。心配かけてごめんなさい、御主人サマ」
もしかしたら覚えていないのかも、と不安になりながら、アイリスに問いかけるが、
アイリスは申し訳なさそうに眉をしかめながら、ペコリと頭を下げてきた。
「な、ならいいんだけど……どうしちゃったの? いったい」
「そ、それが、そのう……わ、私も、何がなんだか、わからなくなっちゃって……」
「そう……なんだ」
首を振りながら、不安げな表情で答えるアイリス。……そう言われると、凄く不安になるんだけど。
「で、でも……」
「でも?」
などと思っていると、アイリスは視線を逸らしながら、聞こえるかどうかという声でつぶやいた。
「その……す、すっごい気持ち…よかった………」
「え、えっと……ぼ、僕もその……気持ちよかった、よ……」
思わず僕が聞き返すと、顔を真っ赤にさせてうつむきながら、ぽそぽそとつぶやく。
恥ずかしさが伝染してしまったのか、僕もまた途切れ途切れにつぶやいた。
「よ、よかった……。で、ま、また……あんなコト…シテ、欲しいなって、そ、その……」
アイリスは、ほっとした表情で顔をあげたかと思うと、頬を赤らめたまま、ためらいがちに口を開く。
僕は返事の代わりに、アイリスをしっかりと抱きしめ、熱い口づけを交わしていた――