「ふう……」  
会社の椅子に座ったまま、両手を後ろで組みながらため息をつく。  
正月の当直とは言っても、元旦からそうそう仕事が入る事は、まずは無い。  
年末に残していた仕事は、意外と早く終わってしまったし、ネットサーフィンでもしてるかな……。  
 
プルルルル  
 
「ん? 誰か来た……? はい」  
『あ、もしもし? 御主人サマ? お昼ご飯、持ってきたよ〜』  
などと思っていると、呼び鈴代わりの内線電話が鳴り響いた。  
出てみると、アイリスの弾んだ声がする。  
「あ、ちょ、ちょっと待ってて。今開けるから」  
……そういえば出掛けに『今日のお昼ご飯、持ってってあげるね〜』と、  
布団の中から尻尾と手を振りながら、言ってったっけか。  
そんなことを考えながら、僕は玄関へと向かった。  
 
 
「わざわざすまな………」  
「ん。あけましておめでとうございます、御主人サマ」  
ドアを開けながら、礼を言おうとした僕は、アイリスの姿を見て固まってしまった。  
 
アイリスは、いつもの服装とは違って、和服を身に着けていたのだ。  
薄い紫色の地に、薄い金色で松と鶴が描かれている留袖に、何かの花が描かれた帯を身にまとい、  
いつもは長くおろした髪の毛も、頭の後ろでまとめ、綺麗に編みこんである。  
髪の毛の色を除けば、まるで雑誌かどこかから抜け出したモデルのようだった。  
……いや、それどころか下手なモデルも裸足で逃げ出すような、綺麗さだった。  
 
「あ……そ、その…お、おめでと……」  
「はい、お昼。……どうしたの、御主人サマ?」  
そんなアイリスの姿を目にして、言葉が言葉にならない僕を見て、  
風呂敷に入った重箱を僕に差し出しながら、小首を傾げるアイリス。  
「い、いやその……。そ、その格好…」  
「これ? 似合う?」  
重箱を受け取りながら、ぽかんとした表情でつぶやくように返事をすると、  
アイリスは嬉しそうに、その場でくるりと一回転しながら微笑みを浮かべる。  
「あ、ああ。……って、何でまた、そんな格好で?」  
「えっと……本当はこれ着て……一緒に、初詣で行きたいなと思ってて……。  
でも御主人サマ、お正月はお仕事だから無理だから……でも、せっかくだから、  
私の着物姿、見て欲しいなと思って、その……」  
我に返ってアイリスに問いかけると、アイリスは顔をうつむかせながら、ぽそぽそと答える。  
「そ、そうだったんだ……。本当にゴメンね、アイリス」  
「あ、ちょ、ご、御主人サマ!?」  
アイリスの言葉に、申し訳ないという思いがこみあげ、胸がかーっと熱くなってきた僕は、  
謝罪の言葉を口にしながら、アイリスをしっかりと抱きしめていた。  
突然の僕の行動に、アイリスは目を白黒させながら、驚きの言葉を漏らしていた。  
 
 
「へ〜え。御主人サマの職場って、こんなトコだったんだ」  
応接室に足を踏み入れたアイリスは、首を巡らしながらつぶやく。  
……さすがに、『このまま帰れ』なんて言えるはずないし、かといって事務所に入れるわけにもいかないし。  
「ああ、まあね。今、お茶を淹れてくるから」  
「うん」  
椅子に腰掛け、風呂敷をほどくアイリスに声をかけながら、隣の給湯室へと向かう。  
アイリスはにっこりと笑みを浮かべ、鼻歌を歌いながら重箱を広げ始めていた。  
 
「お待たせ……って、こりゃまた何とも豪勢な……」  
「豪勢って、お正月だよ? おせち料理は日本の伝統なんだからっ」  
給湯室から戻ってきた僕は、テーブルの上に広がる料理を見て、思わず感嘆の声を漏らす。  
3つの重箱の中に、ぎっしり詰まった色とりどりの食べ物――本当に美味しそう。  
ゴクリと咽喉を鳴らす僕に向かって、アイリスは人差し指をピンと立てながら、ウィンクしてきた。  
 
「はい、あ〜ん」  
「ん……あ、あ〜ん」  
アイリスは箸で料理をとったかと思うと、僕の口元へ差し出してきた。  
どことなく照れくさく感じながらも、僕は素直に口を開け、目の前のおかずを口にした。  
「どう、美味しい?」  
「う、うん」  
「ふふっ、よかった。まだまだたくさんあるから、たくさん食べてねっ」  
もぐもぐ口を動かす僕に、アイリスが首を傾けながら問いかけてくる。  
僕がおかずを飲み込みながら頷くと、アイリスは嬉しそうに笑みを浮かべたかと思うと、  
ふたたびおかずを箸にとって、僕の口元へと差し出してきた。  
 
「はい、これでおしまいっ」  
「ん、……んんっ?」  
最後のおかずを差し出し、にっこり微笑むアイリス。  
今までと同じようにおかずを口にして箸が抜かれた瞬間、アイリスはいきなり僕に口づけをしてきた。  
不意を突かれた僕は、一瞬何が起こったかわからずに、頭の中が真っ白になってしまう。  
「……っ。食後は私を……召し上がれ」  
「ア……アイリスっ……」  
くちびるを離したアイリスは、そう言って妖しく微笑む。  
そんなアイリスの仕草に、逆らうことが出来るはずもない僕は、  
気がつくとアイリスをしっかりと抱きしめ、くちびるを塞いでいた――  
 
「ん……んむ、んっ……」  
「んふっ……あ、あんっ」  
くちびるをそっと離し、着物の上からアイリスの胸を撫で上げると、アイリスは艶っぽい声をあげる。  
さらにそのまま、服の合わせ目から手を潜り込ませようとして……  
「え……えっと……」  
「うふふっ……しょ、っと……はい」  
潜り込ませようとしてみたが、よほどきつく締めているのか、指が入る隙間すら無かった。  
戸惑う僕を見て、嬉しそうに微笑みながら、ゆっくりと帯を解くアイリス。  
「きゃっ、御主人サマっ!? あ…ああんっ……」  
次の瞬間、僕はアイリスの服の合わせ目を大きく広げ、露わになった豊かな胸へとむしゃぶりついていた。  
「も、もうっ……御主人サマったら……おっきな赤ちゃんみたい……あ、あんっ……」  
アイリスは困ったような笑顔を見せながら、僕の頭を優しく撫で回す。  
僕はまるで、本当に赤ん坊の頃に戻ってしまったかのように、アイリスの胸に夢中になっていた。  
 
「あんっ……あ、ああっ、……あ、あはあっ!?」  
胸の頂に舌を這わせたまま、下腹部へとそっと手を伸ばしてみた。  
その途端、アイリスは上半身を仰け反らせながら、ひと際甲高い喘ぎ声を漏らす。  
僕はアイリスの胸から離れると、ズボンを下ろしながらアイリスの顔にまたがるように、体を入れ替えた。  
「ん……んむ、ん……」  
「あ、ああっ……アイリス……」  
体を入れ替え、腰を落とした途端にアイリスが僕のモノを咥え込んできた。  
腰が砕けてしまうような快感に、思わず喘ぎ声が漏れてしまう。  
「んむ……んふ、んむっ……」  
「く…うっ……ア…アイリスうっ……」  
アイリスは口をすぼませ、舌先をモノに絡めながら首をゆっくりと動かし始めた。  
さらにその指先で、つつつっと蟻の門渡りをなぞってくる。  
背筋をゾクゾクするような快感が走り、無意識のうちに腰が動き出してしまう。  
「んっ……ん、んむっ…」  
負けじと僕もアイリスの両足を押し広げ、股間の割れ目へと舌を這わせた。  
アイリスの中は、すでにぐっしょりと濡れそぼっていて、熱い蜜があふれ出している。  
「すごい……アイリスの中…大洪水だよ……ん……ごく、っ……」  
「んふ、っ……あむ、っ……」  
僕はアイリスに聞こえるように独り言をつぶやきながら、咽喉を鳴らして溢れる蜜を飲み下した。  
さすがに恥ずかしいのか、アイリスはモノから口を離し、下半身をよじらせて僕から逃れようとするが、  
僕が両手をアイリスの太腿に回しているので、それもままならないようだった。  
「……! アッ、アイリスうっ!」  
が、突然すぼまりから突き抜けるような刺激が走り、思わず上半身を仰け反らしてしまう。  
アイリスが舌先で、ちろりとすぼまりを舐めあげてきたのだ。  
「…んっ、んんっ……」  
「あっ、あ……ああっ…」  
思わず動きが止まる僕に対して、アイリスは容赦なく指ですぼまりを押し広げ、舌先を潜り込ませてくる。  
僕はアイリスの割れ目に舌を這わせることも忘れ、ただ全身を震わせ喘ぐことしか出来なかった。  
 
「あっ! あ、ああっ! ああんっ! ………あ?」  
僕はアイリスの攻めになすすべも無く、ただひたすらアイリスの太腿にしがみついたまま、  
喘ぎ声を漏らし続けていた。と、嬉しそうにピコピコ動く、アイリスの尻尾が目に入ってきた。  
半ば朦朧とした意識の中、僕はアイリスの尻尾を手に取り、つつつっと舌を這わせていた。  
「ひゃっ!?」  
その途端、アイリスはすぼまりから舌を離し、可愛い悲鳴をあげだす。  
「ア……アイリス…っ………」  
「ごっ! 御主人サマっ! そっ、それっ! それダメえっ!」  
アイリスの悲鳴を耳にして、意識が戻ってきた僕は、おかえしとばかりに尻尾をくちびるで咥え、  
舌を這わせながらゆっくりと顔を動かし始めた。  
それだけでアイリスは、全身をビクビク震わせながら、絶叫に近い喘ぎ声を漏らしていた。  
「ふん……ん、んむ…っ…」  
「ごっ、ごしゅっ! ……む、むぐうっ……っ、ん…んふ……っ……」  
僕は尻尾を咥えたまま、アイリスの割れ目へと指を潜り込ませてみた。  
ぐちゅっという湿った音とともに、僕の指はアイリスの中へと難なく沈み込んでいく。  
と同時に、アイリスが喘ぎ声を漏らしながらも、僕のモノを口に含ませてきた。  
モノからふたたび凄まじい刺激が押し寄せ、思わず腰が引けてしまう。  
「んっ、ふっ、んふっ……」  
「……んぅ、うん………んむ、んんっ……」  
だがアイリスは、僕のそんな行動を読んでいたかのように、腰に手を回していた。  
押し寄せる快感から、逃れる事が出来ないと悟った僕は、  
快感を紛らわせるかのように、尻尾と割れ目への愛撫を激しくさせる。  
一方のアイリスもまた、モノを咥え込んだまま、袋をこねこねと優しく握りまわしてきた。  
それがまた、更なる快感となって僕に襲い掛かってくる。  
まるで、僕が僕自身を激しく愛撫しているような、そんな不思議な錯覚に陥り始めていた。  
「ん!? んっ! ん〜っ、んんっ!」  
そんな錯覚すらも快感へと摩り替わってきた僕は、いつの間にかカクカクと腰を動かし始めていた。  
アイリスがくぐもった悲鳴を漏らすが、そんなことも気にならなかった。  
ただひたすら、モノから伝わる快感だけを味わいたい、それだけしか考えられなかった。  
「んっ! んふ、んっ! んっ!」  
アイリスもまた、僕と同じような感覚に陥っていたのか、くぐもった声が切ない喘ぎ声に変わり、  
濡れそぼった割れ目を僕に見せつけるかのように、自ら両足を大きく広がせてくる。  
僕は尻尾から口を離し、割れ目の先端にちょこんと顔を出している、充血しきった肉芽に軽くくちづけをした。  
「んんっ! んっ! ん〜〜〜っ!!」  
「あっ、ア、アイリスっ! い……イク、イッちゃうよおっ!」  
くちづけをした途端、アイリスは全身をヒクつかせながら、絶頂に達していた。  
同時に、限界寸前まで高まっていた僕自身もまた、アイリスの口中へと精を放っていた。  
「ん…んぐ、ん……んっ、んふ…んぐ…っ……」  
アイリスは咽喉を鳴らしながら、何度にもわけて僕が迸らせた精を飲み下していった――  
 
「はあ……はあ、はあ……ご、御主人サマあ……」  
「ア、アイリス……」  
やがて、僕の精をすべて飲み下したアイリスは、肩で息をさせたままゆっくりと口を開き、  
甘えた声をあげながら、僕に向かって両手を伸ばしてきた。  
そんなアイリスの妖しげな仕草に誘われるかのように、僕はアイリスの隣にそっと横になった。  
「御主人サマ……大好きっ」  
「アイリス……僕もだよ……っ……」  
アイリスは、女神のような微笑みを浮かべ、僕に体を絡ませながら、ゆっくりとつぶやく。  
僕もまた、アイリスを抱きしめ返しながら応える。  
それと同時にアイリスは、僕のくちびるを塞ぎ、舌を潜り込ませてきた。  
苦いようなしょっぱいような味が、口の中に伝わってきたが、  
気にすることなくただひたすら、アイリスの舌に自らの舌を絡ませていった。  
 
長い長いくちづけが終わったあとも、僕たちはしっかりと抱きしめ合い、お互いの温もりを感じていた。  
「…………………あ」  
「ど、どうした、の?」  
と、不意にアイリスが、何かを思い出したような声をあげる。  
「そ、それが……そのう」  
視線を泳がせながら、歯切れ悪そうにつぶやき始めるアイリス。  
僕は何も言えずに、アイリスの次の言葉を待った。  
「…………服の着方、わからなくなっちゃった」  
待つ事しばし、アイリスはペロリと舌を出しながら、不意に明るい声であっけらかんと言った。  
ああ、そういうことか……って、ちょ、ちょっと待って!?  
「ね、ねえ、それって……」  
「うん。……どうしよう?」  
口をパクパクさせる僕に向かって、アイリスはコクリと頷きながら、小首を傾げる。  
「ど、どうしようたって……あ、そうだ」  
ふと、ロッカーの中に作業服が、入れっぱなしだったことを思い出した僕は、ゆっくりと立ち上がった。  
「ちょ、ちょっと待ってて。代わりの服を持ってくるから」  
「う、うん……ごめんなさい」  
上半身を起こし、着物で前を隠しながら、申し訳なさそうにつぶやくアイリス。  
完全に肌を隠しきれていないその姿に、何ともいえない色気を覚えていた僕は、  
思わずゴクリと生唾を飲み込んでしまったが、克己心を最大に発揮して、応接室を飛び出していた。  
……というか、誰もいないとは言え、職場でエッチする時点でもう手遅れ、な気がするけれど……。  
 
「アイリス、お、お待たせ」  
「ど、どうもありがとう………でも」  
応接室に戻った僕は、ロッカーに入っていた作業服をアイリスに手渡した。  
作業服を受け取ったアイリスは、礼を言いながらも顔を曇らせる。  
「でも?」  
「御主人サマ、洗濯物はちゃんと持ってこなかったら、ダメだよ?」  
「あ……う、うん」  
顔をしかめながら、作業服を広げるアイリス。……やっぱり怒られたか。  
「下着が無いから、ちょっとツライかな〜」  
言いながら、肌襦袢を身に着けていくアイリス。  
……かえって裸よりも色っぽいかも。  
そんなことを思いつつ、僕はアイリスの着替えの様子を憑かれたように見ていた。  
 
プルルルル  
 
と、そこに突然、会社の電話が鳴り響いた。  
不意を突かれた僕は、口から心臓が飛び出すような感覚を覚えながら、このままずっと、  
アイリスの着替えを見ていたいという衝動を必死に堪え、ふたたび応接室を飛び出していた。  
 
「ふう……やれやれ」  
ため息をつきながら、応接室に戻る僕。結局、電話は上司のおめでとうコールだった。  
まあ、急な仕事が入ったわけじゃないから、まだマシだったんだけどね。  
「あ、御主人サマ。お電話、終わったの?」  
「……あ、う、うん……」  
部屋に入ると、僕の作業服を着たアイリスが、テーブルの上の重箱を片付けていた。  
やはりサイズが合わなかったのか、袖を肘の辺りまで捲くっている。  
「そっか……。それじゃ、私そろそろ帰るね。お仕事、頑張ってねっ」  
アイリスはにっこりと微笑みを浮かべ、ゆっくりと立ち上がった。  
かがんでいた時は気づかなかったが、アイリスの豊かな胸がその存在を主張するかのように、  
パンパンに張り詰めているのが分かる。  
……こ、これって……。  
「で、さあ。御主人サマがお仕事から帰ってきたら、改めて初……ご、御主人サマっ!?」  
荷物をまとめようと、反対側を向きながら僕に話しかけるアイリス。  
そんなアイリスを、僕は背後から抱きすくめていた。  
「ご、御主人サ……マ、あ、ああんっ」  
作業服の上から、アイリスの胸を揉みしだく。  
アイリスは身を捩じらせながらも、僕の手に自らの手を重ねてくる。  
「ア、アイリス……っ」  
僕は片手を胸から離し、ベルトを解きに掛かった。  
「も、もうっ……御主人サマったら……あんっ」  
ベルトを解き、ファスナーを下ろすと、ズボンが自然に床へと落ちる。  
ズボンの下にはいつもの下着ではなく、ステテコのような肌着を身につけていた。  
「あ、あんっ……」  
肌着の隙間へ手を差し入れると、アイリスは喘ぎ声とともに膝を崩してしまう。  
僕は、アイリスにもたれかかるようにしながらも、さらにアイリスの下腹部へと手を伸ばしていた。  
「あっ、ああ、あんっ」  
指が割れ目に触れた途端、アイリスは一瞬身をすくませながら、声を裏がえさせた。  
アイリスの割れ目は、一度絶頂に達していたおかげなのか、既に潤みを帯びている。  
興奮してきた僕は、さらに指を割れ目へ潜り込ませながら、片手で自らのズボンを脱ぎ始めた。  
 
「あっ、アイリスっ……あっ……」  
と、アイリスが手を後ろに回してきて、僕のパンツの膨らみを優しく撫で回す。  
不意を突かれた僕は、思わず腰を引いて逃れようとするが、今度は尻尾が伸びてきて、  
パンツの下の隙間から中へと潜り込み、モノをつつっと撫で上げてきた。  
「ご、御主人サマ……わ、私、もう……」  
アイリスはソファに手を突き、お尻をこちらに突き出した姿勢で、目を潤ませながらこちらを振り返る。  
「アイリス……ぼ、僕も……」  
パンツをずり下ろしながら応える僕もまた、一刻も早くアイリスと繋がりたい衝動に駆られていた。  
「い、いく、よ……」  
「う、うん……」  
モノを割れ目に突き立て、声を掛ける。アイリスは消え入るような声で返事をしてきた。  
表情は見えないが、ピコピコと嬉しそうに動く尻尾が、アイリスの心境を端的に表している。  
「……っ、あ、ああっ!」  
「ああっ! ご、御主人サマあっ!」  
思い切ってひと息に、モノを根元まで潜り込ませた。同時に、二人の口から歓喜の声があふれ出す。  
「気持ちイイ……気持ちイイよ、アイリス…っ……」  
「御主人サマあ、御主人サマあ!」  
僕はうわ言のようにつぶやきながら、夢中になって、腰を前後に動かし始めた。  
アイリスもまた、上半身を仰け反らせて自らの胸を揉みしだきながら、腰を揺さぶりだしている。  
「ふああっ!? ごっ、御主人サマああっ!!」  
激しく腰を動かしながら、アイリスの尻尾の根元を掴みあげてみた。  
すると、上半身を仰け反らしていたアイリスはソファに突っ伏し、ひと際大きな叫び声をあげだす。  
「ごっ、ごひゅじんひゃまっ! もっ、もうっ! わらし、わらひいっ!」  
さらにオナニーをするように、いつもより強めに尻尾をしごきあげてみると、  
アイリスは激しく首を振り乱しながら、舌をもつれさせる。  
「イッ、いっひゃうっ! いっちゃうひょおおっ!」  
「ああ、アイリスうっ! ぼ、僕もっ……!」  
まるで、二人の嬌声に張り合うかのように、腰を突き入れるたびに、  
ぐちゅっ、ぐちゅっ、と濡れた音が部屋中に響き渡る。  
だが、そんなことも気にならないくらいに、僕はただひたすら腰と手を動かし続けていた。  
「ごひゅじんしゃまあっ! あっ、あああーっ!」  
「ああっ、アイリスうっ!!」  
それからほどなくして、二人は外に聞こえるのではないかというくらいの、  
凄まじい絶叫をあげながら、揃って絶頂に達していた――  
 
 
「ふ〜うっ。アイリス、そろそろ帰るよ」  
「はあいっ」  
結局アイリスは、そのまま家に帰ることなく、会社に残っていた。  
あれから都合……いや、数えるのは止めとこう。  
一段落ついて時計を見ると、終業時間までそんなに遠くないから、  
それなら一人で帰るより一緒に帰ったほうがいい、とアイリスが言ってきたのだ。  
 
「ね、御主人サマ、あそこで初詣、していこうよ♪」  
「え? あ、あそこ……?」  
駅に向かって歩いていると、僕の腕に手を絡ませているアイリスが、弾んだ声で話しかけてきた。  
指差す先には、とても神社といえるような代物ではない、小さな鳥居と賽銭箱が置いてあるだけの、  
小さな小さな社があった。  
「…………嫌なの?」  
「い、いや……嫌じゃないけれど、いいの? あんな小さい場所で、しかも着物だって……」  
「いいよ」  
戸惑うような声をあげる僕を見て、アイリスは寂しそうに眉を潜ませながらそっとつぶやく。  
僕は首を振りながら、そう返事をすると、アイリスはもの凄くあっさりと頷いていた。  
「私、気づいたんだ。大きな神社に行って、綺麗な着物を着飾るのが初詣とは限らないんだって」  
「そ、そりゃあそうかもしれないけれど……」  
「むしろ……御主人サマが一緒なら、どこででも、どんな格好でも、一緒だな、って」  
「あ……アイリス……」  
アイリスの言葉に、顔がかあっと熱くなるのが自分でもわかる。  
「御主人サマだって、いつか言ったでしょ?」  
「え? な、何て?」  
「自分で言ってて忘れたの? 私を女神サマって呼んでくれる、って」  
と、不意に話を振られ、何を言っているのか分からずに、思わず目を丸くさせてしまう。  
そんな僕を見て、拗ねたような寂しそうな表情を見せるアイリス。  
「ああ……忘れるはずないだろう? アイリス――いや、僕だけの女神サマ」  
「ご……御主人サマ…っ……」  
だが僕は、アイリスをじっと見据え、ゆっくりと首を振りながら言った。  
するとアイリスは感極まったのか、ポロポロと涙をこぼしながら僕の首筋にしがみついてきた。  
僕はそんなアイリスの、女神サマの表情に惹かれるように、そのままくちびるを重ねていた――  
 
おしまい  
 

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