引きこもる事6年。遂に超能力に目覚めてしまった。  
色々2ちゃんのエロパロ板を見ていたおかげだろう。  
俺はこの能力を試すため久しぶりに自分の通う高校へ向かった。  
高校へは山手線で品川から池袋へ向かう。  
引きこもりの俺には朝のラッシュはつらい。今にも倒れそうだ。  
必死につり革につかむ俺の下から声が聞こえてきた。  
「あの、よかったらどうぞ」  
俺の前に座っていた女子学生(制服を見る限り俺と同じ高校のようだ)が立ち上がり俺に席を譲ってくれた。  
「どうも」  
俺は遠慮がちに座る。  
女子生徒は俺がさっきまで捕まってたつり革を握り再び読書を再開した。  
その女子生徒を俺はまじまじと見る。  
長い髪に整った鼻立ち。やっぱり可愛い子は性格までかわいいなぁと  
引きこもりの俺は普段味わったことの無い優しさに感激した。  
お礼に超能力の実験第一号にしてやろう。  
俺は徐にカバンから白いシールを取り出し念を込める。  
シールに文字が浮かび上がる。  
『吊革』  
そう書かれたシールを読書に夢中になる少女のスカートに貼り付けた。  
これで本人は気づかないが周りの人からは吊革と認識される。  
更に俺は腕にはめた時計のボタンを押す。  
すると電車の窓に映っていた景色が停止する。  
電車が止まったわけではない。時間が止まったのだ。  
その証拠に乗客たちも微動だにしていない。さっきまで電車の走る音が聞こえていたが今は無音、静寂の世界だ。  
時間が停止しているうちに少女を逆さまにして吊革に足を入れ膝まで通す。反対の足にも同じ事をする。  
これで吊革2つに両足を入れて逆さ吊りになった女子高生の完成だ。  
スカートは時間停止の影響で重力に逆らっている。早くパンツが拝みたかったが、その前に女子高生のポケットをまさぐりあるものを探した。  
生徒手帳だ。  
『R高校1年3組橘真由美』  
名前を確認するとカバンからノートと鉛筆を取り出し。  
『橘真由美 極度な引っ込み思案な性格になりどんな事があっても大声をあげられなくなる』  
と書いた。  
これで準備は万端だ。止めた時間を再び動かした。  
途端に景色は流れ、電車の走る音が蘇る。  
目の前には吊革に両足をいれ逆さまになった状態の女子高生。  
 
 
え・・・なにこれ・・・きゃああああっ!!!!!  
真由美は自分の状況をすぐには理解できなかった。  
さっき席を譲った子が目の前に逆さまに移っている。  
だが逆さまになっているのは相手ではなく自分だと気づいた時、真由美は読んでいた本を床に落とした。  
悲鳴を上げたくても恥ずかしくて上げられない。それより今はスカートをなんとかしないと丸見えである。  
せめてパンツが見えないようにと両手で前と後ろを抑えた。これで安心かと思ったが  
足が何かに掴まれる感触がする。何事かと足元を見上げると周りのサラリーマン達が自分の足を吊革代わりに掴んでくるのだ。  
やっ・・・やめて・・放してぇっっっ・・掴まないでよぉぉっっ・・  
そう思っても声には出せずに震えるばかりだ。  
 
周りの人達には吊革にしか認識されてない。そんな事を知る由も無く羞恥と恐怖に震える女子高生を見つめる。  
フフフ・・・大成功だ。恐るべし俺の超能力(つーか道具)  
「次は池袋〜」  
車内アナウンスがしたので降りるべく席を立った。真由美が落とした本を拾い自分のカバンに入れる。  
じゃあ座席を譲ってくれてありがとうございました。早くしないと遅刻しますよ。そう心の中でつぶやきながら電車から降りた。  
逆さ吊りですすり泣く女子高生を後にして。  
 
 

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