夏、青年はただ目的もなく海岸沿いを歩いていた。日差しは既に高く、青年を照らしていた。  
 その海岸は子供の頃から知っている穴場であり、海が美しく見える割に人は少なかった。  
 今日も、海外に人は青年のみ。  
 青年は一人で海を見ながら歩いていた。  
 時を同じくして少女が一人、ただ目的もなく海岸沿いを歩いていた。  
 少女はこの日、学校を休んでいた。ただ行くのが億劫になり、休んだ。いつも通りの日常である。  
 少女はショートカットの金髪で耳にはピアスを開けていた。白いワンピースを来てぶらぶらと歩いている姿は妙にちぐはぐで、少女自身もそれに気付いており時折笑っていた。  
 二人は互いに近づいていることに気付かず、ただ海を見ていた。  
 二人の距離はどんどん狭くなっていく。  
 後数歩歩けば衝突してしまうであろう距離まで近づいてから二人は突然立ち止まった。  
 海が大きく波を海岸に送ってきた。  
「すごっ」  
 二人同時にそう声に出し、そこでお互いの存在に気付いた。  
 顔を見合い、しばらく見つめ合う。  
 そして二人同時に吹きだした。  
 
「お兄さん、何してるの?」  
 少女が先に訊ねた。  
「別に。ブラブラしていただけ」  
 青年がそれに答える。  
「私と同じじゃん。私鈴野亜弥っていうんだ。お兄さんは?」  
「吉城拓真。お前、不良か? そんな髪の色して」  
「ほっとけよ。いいじゃん。まだ若いんだからさ」  
 亜弥が笑う。拓真もつられて笑っていた。  
 それから二人はしばらく海を眺めていた。  
 ふと亜弥が気が付くと拓真の姿が消えていた。  
 別に一緒にいてほしいわけではなかったが、姿が消えたことを知ると少し寂しくなった。  
 そう感じていた時、拓真が再び姿を現した。手にコンビニ袋を提げて。  
「ほれ、アイス。食うだろ?」  
「あ、ゴチになりまーす」  
 亜弥はアイスバーを受け取り袋を破き中身を取り出す。  
 拓真もそれに習ってアイスを食べ始めた。  
 無言でアイスを食べる二人。  
 ふと拓真は隣でアイスを頬張っている亜弥を見た。つーっとアイスに舌を這わせて溶けた部分を舐めている姿が妙に艶めかしく、しばらく見入っていた。  
「なんだよ。あんまり見ると金取るぞ」  
「あ、悪い」  
 見られていたことに気付いた亜弥がそう言うと拓真は謝った。その様がおかしかったのか亜弥はにんまりと笑う。  
「なんだよ」  
「お兄さんは何をやってる人?」  
「あ? 特に何も?」  
「あ、ニートってやつか」  
 そう言われると反論したくなったが、あえて拓真は反論しなかった。  
「今さ、別にニートでもいいかなって思ってるんだよな……」  
「あれ? なんか人生の袋小路にはまったんか?」  
 亜弥がアイスを食べ終え、その棒を拓真に差し出す。  
 拓真はそれを受け取り袋に入れた。  
 
「ああ。なんかさ、君みたいなガキ、しかもヤンキー女に言っても意味無いかもしれないけど」  
「誰がガキだ。誰がヤンキーだ」  
 べしっと平手で頭を叩かれつつ、拓真は話しを続ける。  
「俺、今やってる職業向いてないのかもしれない。君と接していてふと思ったよ」  
「なんで私と接していて思ったんだよ」  
「別に……ただ何となくさ。世の中君みたいに素直な子ばかりじゃないんだよなって」  
「素直? 私が?」  
 そう言われ、少しムキになった。  
「私は素直じゃない。素直だったら今ここでこんなことしてないし、私はもっと……」  
「もっと? なんだい?」  
「私はもっと……」  
 人に好かれていた筈だと言いかけて止めた。  
 亜弥は昨日までの事が頭に蘇り、泣きそうになった。  
 俯き、身を縮める。  
「どうした?」  
「なんでもない」  
「……泣いてる?」  
「泣いてねえよ! 馬鹿!」  
 そう言って、亜弥は立ち上がる。  
 そしてすたすたと海へと歩いていった。  
「お、おい」  
「泳ぐ」  
「泳ぐって、お前」  
「どうせ誰もいないからいいじゃん」  
 白いワンピースを脱ごうとする亜弥を拓真は慌てて止める。  
 こんな所で脱がれたら――確かに人はいないが――厄介極まりない。  
「まあ、待て。泳ぐなら家に帰って水着でも持ってこい」  
「……やだ」  
「あ?」  
「家には帰らない。帰りたくない。このまま下着で泳ぐ」  
 拓真は何故彼女がそう言うのか理解できずに、ただ彼女が脱ぎ出すのを止めていた。  
「おいおい……だから待て」  
「離せよ!」  
 強引に拓真の手を体から引きはがした亜弥はその反動で尻餅をついてしまう。  
 すでに波打ち際まで来ていたので、その時勢いよく波が押し寄せてきた。  
「あ」  
 バッシャーンと亜弥の体が波に呑まれた。あまりにも突然でしかも驚くほどの勢いでやってきた波は簡単に亜弥を持って行ってしまった。  
「おいおいおいおいおい!」  
 拓真は慌てて海へ入り、亜弥を引っ張った。亜弥はと言うとずぶ濡れで放心している。  
「おい! あんまり面倒かけさせるなよ! ヤンキー!」  
「……うるさい……」  
 そう呟き、亜弥は涙を流し出した。  
 
「どうしたんだよ」  
「うるさい! うるさい! ほっといてよ……」  
「あ?」  
「アンタになんか話しても仕方がない……アンタになんか話しかけなければ良かった……」  
 亜弥は何故、今自分が彼に当たり散らしているのか理解していなかった。  
 ただ、心の片隅で自分は今最低なのだと思っていた。出会ったばかりの青年に当たり散らしている。  
 我が儘な、癇癪持ちだと思われてしまったかもしれない。  
「もう、私に構うなよ……」  
「……本当に、そうなのか?」  
 拓真は真剣な表情で、そう訊ねた。  
 亜弥はしゃがみ込み、答えない。  
「じゃあ、俺は帰るぞ。いいのか?」  
「うるさい。馬鹿。早く消えろ」  
「本当にいいのか?」  
「うるっせえ! 死ね!」  
 そう叫んでからしばらく波の音しか聞こえなかった。  
 ずっと、ずっとうずくまっていた亜弥はふと顔を上げる。  
 ここには一人しかいない。自分一人しかいない。  
 大丈夫だ、一人には慣れている。誰かがそばに居た所で自分は一人なのだから。心は一人だ。  
 人はずっと一人なんだ。  
「……うっ……うえぇぇん……」  
 泣き出してからどれだけ経っただろう。  
 亜弥は何故あそこで自分の話を彼に聞いて貰わなかったのか、後悔していた。  
 他人と衝突する自分を正して欲しかった。彼になら出来ると思っていた。  
 亜弥は、今、一人に。  
「ひゃん!」  
 突然、亜弥の首筋に冷たい物が触れた。  
 見上げると拓真が缶ジュースを手に亜弥を見下ろしていた。  
 
「お、お前……何やって」  
「お前じゃねえだろ? ほれ。ジュースやるよ」  
 拓真は亜弥にジュースを手渡し隣に座る。  
「そのままじゃ風邪ひくぞ。タオル持ってきてやったから体ふけ」  
「あ、うん」  
 亜弥は拓真からタオルを受け取り、濡れた体を拭う。  
 その間拓真はビールを飲んでいた。  
「あ、私もそっちがいいな」  
「馬鹿。やらねえよ」  
「ケチだな」  
「ああ」  
 しばらく沈黙。  
「ねえ、なんで戻ってきたの?」  
「お前にタオル届けてやらないとなって思った」  
「それだけ?」  
「他に理由がいるのか? ……じゃあ、お前に会いたかった」  
「え?」  
 亜弥は少し胸が高鳴るのを感じた。  
「どうしたんだ? なんかあったのか?」  
「……あのね。私、学校で浮いてるんだ」  
「そりゃ、そんな髪の色じゃあな」  
「ううん。髪は最近染めた。それにこんな髪の色のヤツは私以外にもたくさんいる」  
 亜弥はジュースをぎゅっと握る。  
「私、昔から人と接するの下手なんだ。なんていうかさ、素直になれないんだよ。たとえば嬉しい時に嬉しいって言えない。謝りたい時に謝れない」  
「ふうん」  
「私、みんなともっと仲良くなりたいのに。私下手なんだ、そういうの」  
「……俺もさ、昔そうだったよ」  
「え?」  
「なんか人と壁作ることしかしなくてさ。俺、友達少ないんだよなぁ。でも、なんでだろある日から思ったんだ。俺は一人ではいたくないって。俺は一人じゃないって」  
「どういうこと?」  
「俺は、人は誰かと触れあわないと人になれないんだよ。その事を知らなすぎたんだ。人の汚い所や、綺麗な所ばかりに眼をやっていると、簡単なふれあいってのに気づけないんだって」  
「私は、そんなこと」  
「明日さ、学校行ったら最初に大きな声で挨拶してみろよ。そんで自己紹介とかしてみたら?」  
「恥ずかしいだろ馬鹿」  
「恥ずかしいことやるくらいで丁度良いんだよ」  
 そう言って拓真はビールを飲み干した。  
「なんていうかさ、俺達の作りって単純なんだよ。ま、お前がどんだけ壁を壊せるかは知らないけど、やれるだけやってみたら?」  
「……うん。やってみる」  
「そしたら彼氏できるかもしれないだろ?」  
「……うるっせえ!」  
 バシっと背中を叩かれ拓真は咳き込んだ。  
 亜弥はそれを見て笑った。  
「……ねえ、あのさ。お兄さん」  
「ん……?」  
「キス、しようか」  
「……ああ」  
 ゆっくりと唇を重ね合わせた。  
 
波の音しか二人の世界に響いておらず、ゆっくりと世界は廻っていると実感した。  
「ん……」  
 拓真の手が亜弥の胸に触れる。服の上から形をなぞる。  
 砂浜に押し倒し、ワンピースの肩ひもをずらし、ゆっくりと下にずり下ろす。  
「あ、ちょ……」  
「駄目か?」  
「い、いいけど……」  
 胸を露出させ、その小振りな手に収まるくらいの大きさの乳房を優しく揉んだ。  
「あ、ん……」  
「へえ、感度はいいな」  
「あんま、変なこと言うな馬鹿野郎……」  
 乳首を指でつまむ。コリコリと刺激するとすぐに勃起した。  
「ふわぁ……」  
「なあ、初めてか?」  
 そう訊ねられ、亜弥は静かに頷いた。  
「そうか」  
 そう呟き、拓真はゆっくりと乳首に舌を這わせる。  
 舌の感触がぬめっとしていて亜弥は背筋がぞわぞわとして仰け反った。  
「下のほうも敏感だな」  
 すっとスカートに拓真が手を入れ、下着の上からスジをなぞる。  
「ああ……」  
「濡れてるな。さっきの波のせいか?」  
 下着を太股まで下ろし、その秘所を眺める。  
「あんまり……見るな」  
「可愛いな」  
 すっと指でなぞる。ビクリと体が反応した。  
 クチリと水の音がして、拓真は指をゆっくりと差し込んだ。  
「あ、ちょ、おにいさ」  
「きついな。入るかな」  
 拓真は指を離し、カチャカチャとベルトを外し、ズボンを下ろす。  
「あ……」  
「見るのも初めてか」  
 拓真のモノは既に自己主張を始めており、亜弥はそれを思わず見入ってしまった。  
「触ってみて」  
 亜弥の手を取り自分のモノを触らせる。熱を持ったそれを亜弥は軽く握った。  
「固い……」  
「そうか」  
「あの、これが。私の中に入るの?」  
「嫌ならやめるさ」  
「いい。して」  
 
 拓真はそう言われ、亜弥の両脚を掴み、そっと開く。  
 秘所がよく見え、そこに自分のモノをあてがった。  
「あ! はあ……!」  
 ずぷりと拓真のモノは亜弥に侵入する。  
 ゆっくりと差し込んでいく。亜弥の中はヌルヌルとしていて、締め付けが激しかった。  
「痛くないか……?」  
「痛い……けど平気」  
 拓真はそう聞くと一気に置くまでペニスを挿入する。  
「あん! ひぐ!」  
「動くよ」  
 ズプズプとペニスが動くたびに結合部から音がする。  
 拓真は必死に腰を振った。  
 その際に亜弥の胸を揉み、亜弥にキスをする。  
「お兄さん……いい、いいよぉ!」  
「くっ、気持ちいい……」  
 拓真は一度ペニスを引き抜き、亜弥を四つん這いにする。  
 秘所から先走りの液と、血が入り交じって流れ出る。  
 そして、再びゆっくりと亜弥に挿入した。  
「ひぃ……ヌプって入ってきたぁ……」  
 ズプズプとペニスが出入りする。  
 亜弥は自分でクリトリスを指で刺激し始める。  
「はあ……! 気持ちいいよぉ、お兄さん……」  
「もう、出る……!」  
 拓真は奥に射精した。勢いよく飛び出した精液は亜弥の子宮にまで届いた。  
 ドクドクとペニスが脈打ち、精液がそそぎ込まれていく。  
「はあ……ザーメン……出てるぅ……」  
「あ……中に……」  
 拓真はゆっくりとペニスを引き抜いた。  
 するとそこから拓真の吐きだした精液がプギュっと音を立ててあふれ出していた。  
 
 
 
 しばらくしてから落ち着いた二人は海岸で海を見ていた。  
 亜弥は拓真の膝の上に乗り笑っている。  
「あのさ、お兄さんに今日会えて良かったよ」  
「うん? そうか」  
「うん。今日は良い夏の想い出になったね」  
「そうか」  
「ロストバージンしちゃったしね」  
 拓真はそう言われ、少し顔が熱くなるのを感じた。  
 何故自分はあんなことをしたのか、今でもよくわからなかった。  
「お兄さん私明日から夏休みなんだよ」  
「そうなのか?」  
「うん。だから学校に行くのは四十日後。でもね、私変わるよ」  
「そう、か」  
「うん。だからお兄さん。また、会ってね」  
「ああ、わかった」  
 それから二人は夕陽が沈むまでそこにいた。  
 別れ際に言葉は無く、ただ手を振って別れた。  
 亜弥の言葉のように再び出会う事を願って。  
   
 
 
 春、新入生や、転校生、新任の教師を迎えて学校は新学期をスタートさせていた。  
 亜弥は一人、教室へと向かっていた。  
「亜弥ー」  
 後ろからクラスメイトが声をかける。  
 今の彼女は黒髪であった。ピアスはそのままだが。  
「今日来た新任の先生に若い人がいたよー。結構カッコイイの」  
 そう彼女は笑顔で言う。  
 亜弥は微笑む。  
「そうなの? どんな感じ?」  
「えっとねー。なんかねたとえるなら……」  
「おーい。そこの君たち」  
「あ、噂をすれば……」  
 クラスメイトの子は振り返り、声の主に返事をする。  
 亜弥は今の話しの教師だろうかとクラスメイトの後ろから覗き込んだ。  
「いや、悪いんだけど三年生の……あれ?」  
 そう、新任の教師は言った。  
「あれ……?」  
 そう亜弥も言う。  
「ん? どうしたの?」  
 間に挟まれ、一人、不思議そうに立っている。  
「あ、せんせー。三年生のクラスですか? あっちですよー」  
 亜弥がそう言って、廊下の向こうを指さす。  
「あ、そうなんだ。ありがとう」  
「どういたしましてー」  
 亜弥はそう手を振る。  
 教師も手を振り、そして。  
「またな、ヤンキー」  
「うるっせえよ。お兄さん」  
 そう言った。  
 
 完  
 

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