大会後、彼のクラスでは打ち上げが行われた。クラスから大会優勝者が出たのが一応の理由だが、実際は皆で騒げれば口実など何でもよいのだ。  
大勢で集まって、カラオケボックスにつくと、団体用の大部屋が空いていたため、そこに入り、各自ドリンクを注文した。  
当然、ほとんどがアルコール類だ。彼自身もビールを頼み、目の前の歌本を眺めていると、扉が開き、保健室で休んでいた彼女が入ってきた。  
おそらく友達に誘われて断れなかったのだろう。  
その友人がリモコンを握ったまま、彼女に声をかける。  
「美香、大丈夫? 倒れたんでしょ、あんた」  
「…う、うん。もう平気みたい。でも、ちょっと休んでてていいかな」  
「そうしなよ。今日はオールなんだし」  
さすがにはしゃぐ気にはなれないらしく、部屋の隅にぽつんと腰を下ろした彼女の横に、少年はビールのグラスを持って近づいた。  
「もういいいの?」  
突然の隣からの声に驚いて振り返る。  
ああ、彼は…。記憶がよみがえる。急に熱くなった身体、こらえきれずに漏れ出る嬌声。そして、快感に震えていってしまった自分。  
その瞬間、死にたいほどの恥ずかしさが押し寄せてくる。目の前の彼に絶頂を見られた事を思うと、顔が真っ赤になった。  
「あっ、さ、坂本君が運んでくれたんだってね。先生から聞いたよ。ありがとう」  
「いいよ」  
「よくないよ、なんかお礼しなきゃ。あ、なんかおごろうか?」  
「じゃあ、食べさせてもらおうかな」  
それを聞いて、メニューを開いた彼女は、彼がにやりと笑っているのに気付かなかった。  
彼は、舌に力を込めた後、ポケットに入っていたミルク味のガムを二枚口に含み、何度か強く噛んでやわらかくした。そのガムを舌でべっちょりと舐める。  
瞬間、隣の彼女の身体がびくんと跳ねた。  
「はぁぁっつ」  
大会の時と同じような刺激が両方の乳首を襲った。しかも今度はぬめぬめとした熱く柔軟なものの感触である。  
それが何度も繰り返されるうちに、そこはびんびんに立ち上がっていた。  
 
「あ、このから揚げおいしそうだな」  
「じゃ…じゃぁ…はんっ、それでい、い?」  
「うーん、でもピザも食べたいんだよね」  
話しながら、今度は尖らせた舌先でそこをつんつんと突付いた。  
「はっぁ…どっちにする…?」  
唾液でぐちょぐちょになったそこに強く吸い付く。ほっぺたがへこむほど力を入れると、身体ががくがくと痙攣した。  
「ひ、ぁあっつはやく、きめってぇ」  
「じゃ、から揚げにするよ。注文してきてくれる」  
注文用のインターホンは部屋の入り口にある。つまり、皆から丸見えの位置なのだ。  
彼女はゆっくりと立ち上がると、扉に向かった。後一歩で着く、そう思った瞬間だった。  
「ちょっと美香、顔赤いじゃん」  
歌っていた彼女の友人が、目ざとく身体の変化に気付いて声をかけた。しかもマイクを持ったままだったので、その声はたちまち全員に届いた。  
「本当だ」「美香ちゃん、平気?」「脚も震えてるみたいだし」「風邪かなぁ」  
突然の注目に、彼女はさらに顔を赤くした。その間も乳首の先端はちゅぱちゅぱと舐められている。  
「何でもな、いよ。でももう少し座っ…てよ、かな」  
その言葉に安心したらしく、クラスメイト達はカラオケを再開しだした。  
彼女はほっとしてインターホンに手をかけると、注文を言い出した。  
「302なんですけどぉ…はんっ、からっあげを…」  
「ええと、何ですって?」  
「か…からあげをお願いし、ま…すぅっ」  
「302号室様にから揚げ一人前でよろしいですね」  
「はいっつ、そ…です」  
「ご注文ありがとうございました、ただいまお持ちします」  
会話を終え、彼女が隣に戻る隙に、僕はすっかり味のなくなったガムを吐き出し、新しいマロン味のを噛み締めた。  
 
座ったとたん、彼女はひくっと苦しそうに脚を閉じた。その間の小さな突起が尖った舌で、乱暴にほじるようにして剥かれていく。  
「はんっ…ぁはあっ、く、ああっ」  
舌でべろべろ舐め上げられ、こりこりに硬くなったそこを、奥歯でねちゃねちゃと甘噛みされ、声は次第に大きくなった。  
「ふ、ああっ、ああんっい、くぅっつ」  
あらわになったそこをちゅうっと力強く吸い上げられると、我慢できずにひときわ大きな声が出て、シートにもたれかかった。  
「はぁぁぁっつ!!」  
ちょうどカラオケのサビの部分と重なったため、誰にも気付かれなかったようだったが、少年は彼女の耳元に囁いた。  
「声、大きいよ」  
少女の顔が恐れと驚愕で青ざめていく。  
…気付かれていた。声を出して、喘いでいた事に。  
「路上の次は友達の前? 意外とやらしいんだね、君って」  
「違っ…あれは勝手に…」  
「だって誰も居ないじゃん、君の周り。自分でバイブでも入れてるんでしょ」  
「そんなんじゃなぃの。身体が急に」  
涙目で弁解する顔を間近で見るうちに、少年は彼女を自由にしたい欲望に駆られた。しかし、これが自分の能力だとばらす事は出来ればしたくない。  
「まあ、どっちでもいいよ。けど、これ人に言ったらどうなるかなぁ。そういえば新聞部の武石がネタがないって困ってたっけ」  
「やだっ、それは嫌」  
「見出しはさ、『路上で絶頂、そのまま気絶』とか? 『淫乱高校生、人前だと感じちゃうの』なんてのもいいよね。はは、なんかAVのタイトルみたい」  
「やめてぇっ。…誰にも言わないで」  
「やめてほしい?」  
彼の声に少女はこくこくとうなずいた。  
「じゃあ、ここで僕のを扱いてよ。大丈夫、暗いし、テーブルの下ならだれも見ないから」  
 
確かにこの部屋のテーブルは、カラオケには珍しく長いテーブルクロスがかかっていて足元は見えない。けれど、すぐ側には何人もの友人が居るのだ。  
「嫌? ならいいよ。ええっと、武石のメルアドは…」  
「ま、待って…ああ…やる、やるからっ」  
「じゃ、ちゃんと言って。『お願いですから僕のを扱かせてください』って。はい」  
その恥ずかしい言葉に、彼女は顔を下に向け、蚊の泣くような声で囁いた。  
「お…お願いですからっ…坂本君…のをし…し…しごかせて、ください」  
「そんなにしたいの? やっぱ淫乱だね。じゃあどーぞ」  
彼女の腕を掴み、テーブルの下に導く。熱くなったそこは、既にズボンを突き上げてそそり立っていた。ジジーっつと音を立てて、ジッパーを降ろすと、グロテスクなそれが顔を出す。  
「本当は口でしてほしかったんだけどさすがにばれちゃうからね。ほら、そこを握って」  
いまだ戸惑いを隠せずにいる彼女の手を、見えない手で無理やり引き寄せると、太い幹をきゅっと握らせた。突然手の中に熱を感じて、彼女は悲鳴を上げる。  
「ひぁっ」  
「お、自分からいったね。やる気いっぱいだ」  
その言葉に反論する暇もなく、上からかぶせられた透明な手が上下にそれをしごきたてる。  
…あ、熱い。熱くて硬いの…。あたしの手でおおきくなってる…っ!  
そんな物を触っているというだけで、頭の中は沸騰しそうだった。  
「いいよ。もっと、先っぽやくびれのほうも触って」  
いつの間にか、彼女は自分の意思で手を動かし始めていた。全てが見えない何かにさせられているものだと思う事で、どこまでが自分でやっている事なのかの境界があいまいになっていたのだろう。頭上で少年が何をしているのかにも気付かなかった。  
上下に激しく手の筒を動かした後、両手で先端をくりくりと撫で、くびれた部分をさすり上げると、透明な蜜がてらてらとそこから溢れる。  
指を絡ませ、その間でこすると、さらにびくびくっとそこが震え、溢れる液も増えていく。  
「気持ちいいよ、いきそう」  
彼女の白くて小さな手が何度も幹を往復すると、どくんと膨張したそこから粘液が発射され、その手がべたべたに汚された。  
 
バッグの中からタオルを出し、そこをふき取りながら彼は言った。  
「僕、もう帰るよ。あ、そうだ、メール送ったから」  
「うそっ、だって…」  
「あ、違う違う。武石にじゃないって。君に」  
浜崎あゆみの明るい着信音が流れ、メールの受信が知らされる。しかし、携帯を開いた彼女は表情を凍らせた。  
「手コキ写真、撮っちゃった」  
「ひ、ひど…」  
そこには、ついさっきまでのみだらな行為がいくつものアングルで写されていた。もちろん、彼女の顔がしっかり分かるものも何枚もある。  
「馬鹿だなぁ。証拠写真もないただの噂、新聞部が使うわけないでしょ? でもこれがあれば別だよね。」  
少年は自分の携帯をぱかっと開けていつもの笑みを浮かべた。彼女の指が絡められた陰茎が  
待ち受け画面に大写しになっている。  
「これ、ばら撒かれたくなかったら、僕の奴隷になってくれる?」  
それは質問ではなく、答えの決められた命令だった。少女は絶望を感じながら、帰っていく少年の後姿を見つめていた。(終)  
 

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