私より2つ年上の、とても気の良い、鉄道が大好きな幼馴染は、ずっと『私のヒーロー』だった。
田植え前、きれいに代かきされた田んぼの深い泥に足を取られて、全然動けなくなった時も
七夕お泊り会の深夜、怖い話を聞きすぎて、一人で真っ暗なおトイレにいけなくなった時も
ドングリ拾いの帰り道、崖の高い所に咲いている竜胆の花が、どうしても欲しくなった時も
大雪の翌朝、融雪路の雪捨て場にうず高く積もった雪を踏み抜いて、危うく流されかけた時も
何時でも鉄ちゃんは、莫迦な私をちゃんと助けてくれて、拙い言葉で背一杯感謝の気持ちを伝えると
『さっちゃんは、面白いからほっとけない』とか言って、私のお下げを2、3度引っ張るのが癖だった。
本当の事を言うと、幼かった時の私にはイマイチ良く解らなかった旧国鉄車両の微妙な差異をいかにも
楽しそうに滔々と熱く語るその内容よりも、きらきらと目を光らせてる真剣な顔にずっと見とれていた。
だけど、小学校高学年頃から、何故か前みたいに気安く『さっちゃん』ではなく、他人行儀な『祥子さん』
なんて呼ばれ始めてしまった事に少し寂しさも感じたが、鉄ちゃんは中学校で剣道部に入ったあたりから
初夏のイタドリみたいにぐんぐん背が伸びて、声が低くなり、体つきもすごくがっしりして、あっという間に
男の子から男の人になっていったので、それも仕方が無い事なのかなぁ……と思って我慢した。
一方の私は、鉄ちゃんのお家にも『お赤飯のおすそ分け』をした頃から、背が全然伸びなくなって
胸に付いた以上に腰や太ももに重たく余計な肉がどんどん集まって、ひどくみっともない体になっていた。
それでも、『清竜鉄道同好会』は、ずーっと鉄ちゃんと私と結局本当にいたのか最後まで良く解らない
何名かの幽霊部員とで、二人がご近所さんだった小・中・高校の12年間は、なんとか細々続けてこられて。
だから、私が、鉄ちゃんの隣に永遠に居ても良いんだと、一人で勝手に思い込んでしまった。
勘違いにやっと気が付いたのは、鉄ちゃんが遠くの大学から始めて帰省してきた高二の夏の暑い日。
鉄ちゃんの隣の洒落た日傘の影では、背がすらっと高くて、胸が大きくて、とても垢抜けた、綺麗な都会の
女の人が凄く楽しそうによく通る高い声で、絶えず笑ってた。
井戸でよく冷やした西瓜に麦わら帽子を被せ、鉄ちゃん家の軒先に黙って置き去りにして、一人でまとめた
『清竜鉄道同好会』のレポート抱えて西日に照らされながら、とぼとぼ自分の家へ逃げ帰り、深夜お風呂の中で
12年間以上何にも言わなかった自分の大莫迦さ加減を噛締めながら、生まれて始めて本気で泣いた。
一年目と二年目は同じ人で、三年目と四年目はそれぞれ違う人。
夏になる度に、背が高くて、胸が大きくて、赤いバラみたいな雰囲気が共通している女の人を連れて
帰ってくる鉄ちゃんと、絶対鉢合わせしたくない一心で、私は毎年一週間決まって酷い夏風邪を患う。
そして、枕元には毎年律儀に、都会の鉄道会社の期間限定グッズ(主に食べ物)が、届けられた。
玄関先で、お母さんが鉄ちゃんに色々と上手く謝ってくれてる声を布団の中で必死に耳をそばだてて聞き
その後必ずタヌキ寝入りをして、最後にはお母さんからも酷く怒られてしまったけれど……。
地元の短大を卒業後、保母さんになるつもりだったのに、鉄ちゃんが『清竜鉄道』に入社するらしいと
聞いて、駄目元で試験を受けたら『清竜鉄道同好会』のレポートが功を奏したのか見事、補欠合格。
総合職として採用予定だった大学卒の女の人が、入社直前に寿辞職して、本当に同僚になってしまった。
鉄ちゃんの邪魔にならない程度の距離から、こっそり見ているだけで、十分だったハズなのに。
学習能力の無い莫迦な私は、又同じ過ちを犯してしまった。
「おい、祥子」
ともすれば、後悔やら罪悪感やらで見っともなく震え出してしまう声を、極めて短い語彙の
命令口調でなんとか取り繕ろう事にして、俺は意地の悪いニヤニヤ笑いを貼り付けた顔のまま
俺の戒めから必死で逃げ出そうと無駄な努力を続けている、哀れで愛しい幼馴染を見下ろした。
「聞いてんのか、痴女」
ぎゅっと固く閉じられた瞼からはとめどない煌めきが流れ落ち、泣き声を漏らぬように
強く引き結ばれた薄赤い口元は、俺からの許しの接吻を乞うかのように、わなないている。
力の入らない両手で、弱々しく俺を押し退けようとしているが、どうやら腰が抜けたようで
女の子座りの格好で力無く投げ出されている両足は、青い血管が浮き出して見えるほど白く
むっちりとした太ももが時折ひくひく痙攣するだけで、少しも動かせていない。
「……いっ……ゃ……ぁぁぁ」
「い・や?」
ぐらぐらと頼りなく、それでもなお小刻みにいやいやと振られ続ける細い顎を掴んだままの手に
ゆっくりと力を込め、吊り下げるようにして無理矢理立たせると、彼女は小さな悲鳴を上げた。
それを態々、猫なで声で繰り返してから、そのまま小さな桜色の耳たぶを咥えて舐めしゃぶり
一気に耳の穴へ舌を突っ込んで掻き回してやると、面白いぐらいに体が跳ねて、又くたりと崩れた。
「ははっ、祥子ぉ。……イッた?」
「……あ、あっ……、いやぁっっっ、ごめんなさい、ごめんなさい、鉄也さんっ
見ないで、私を、もう、見ないで……ぇ、下さぁぃ、おっ……、お願いーっ!!!」
一度苦しげにひゅぅっと息を呑んだ後、祥子は唯一自由になる両手で己の耳を塞ぎながら、そう喚く。
(本当ならそれは、こっちの台詞なんだけどな、祥子。
……あぁ、でも、今ココで辞めてしまったら『お仕置き』にはならねーんだよ)
心を鬼にして、二人を隔てているその華奢な手を、指が砕けんばかりの勢いで握り締めて
引き剥がし、頭を垂れ身も世もなく泣き続ける彼女に向けて厳かに、魔法の言葉を告げてやる。
……コレは『お仕置き』だよ、祥子。イケナイ体と心に対する、正当な『お・仕・置・き』」
ほどなくすすり泣きが止み、わずかな沈黙の後、ゆっくりと俺を見上げて来た幼馴染の顔には
最早、ある一線を踏み越えてしまい、ほとんどの意識を放棄した、白痴の笑みしか浮かんでいない。
……もっともそれを見た瞬間から、俺の根性無しな下半身様は持ち主の自制心を完全に殴り倒し
一刻も早くこの窮屈な場所から開放しろと、暴力的なまでの快感で全身を乗っ取りに来やがったが。
出来る事ならもう少し、祥子と遊んでいたかったけど、意志薄弱なこの身では、もう無理だ。
愉悦にのみ支配され、頭のネジを完全にすっ飛ばしたまま『お仕置き』と言う言葉を何度も
嬉しそうにぶつぶつ繰り返す幼馴染の心を取り戻し、二度と俺なんかには届かない遥かに遠く
安全な所に、しっかりと据えてやらなきゃいけない。
これで『お終い』にするための覚悟を固め、祥子をそっと抱き寄せると、彼女はこれから
自分がどんな目に合わされるのかまったく解らぬがゆえの無邪気さで、俺に擦り寄ってきた。
……俺からの最後の口付けは、わざと小鳥がついばむ様な軽いものにした……。
今時の幼稚園児でも、もうちょっとマシな技を持ってるぞ? とか、突っ込まれそうなほど
無愛想なキスを一度だけ、幼馴染と交わす。
今や、その程度の刺激では物足りなくなってた祥子は一瞬、不思議そうな表情で俺の顔を
覗き込んでくるが、あえてソレに気が付かない振りをして。
だが、それにめげる事無い彼女は、俺を簡易寝台の上に押し倒し、自分から積極的に舌を
使って、少し前にうっかり教え込んでしまった以上の技で、俺の口内を遠慮会釈無しに犯してくる。
しかも、今回は俺の胸にわざとらしく、下着越しでも十分柔らかい胸を、絶えず押し付ける
という、とんでもない特典付きでだ。
(本当、コイツって、昔っから無駄な所で、器用なんだよなぁ……)
体中が感じている感覚とは全然関係無い事を必死で考えていないと、あっと言う間に総てを
持って行かれそうな快感を、握り締めた拳の内側に爪を立てると言う恐ろしくしょぼい方法で
なんとか押さえ込む。
……案の定、大莫迦野郎な俺の下半身様には、なんの効果が無かったが。
まぁそれも、東海道本線の駅名をオサコヘから逆に、何回か行きつ戻りつしながらもシツヘンあたり
まで唱えた辺りで、いきなり口の中に広がった塩辛い錆味のおかげで、あっさり中断させられる。
「……なんで、なんにもしてくれないの、鉄ちゃん!!!」
形良い薄赤の口元から、それ以上に赤い血をつぅっと一筋垂らしながら、祥子が叫ぶ。
この器用だか不器用だか良く判らない幼馴染が、俺の気を引くために、俺のではなく
自分の唇を態と噛み切りやがった事に、やっと気が付いたが、ぐっと我慢して無表情で言い返す。
「『机』は一々、反応しない」
ざざぁっという派手な音が聞こえそうな勢いで、又、真っ赤な顔が一瞬で真っ青になった。
「『机』は一切、喋らない」
つい先ほど踏み越えた一線の向こう側から、リニア並の速度で引っ返してきたようで
泣き出すよりも前にこわばった表情が、どんどん険しくなっていく。
「『机』相手に欲情なんかするな、変態」
祥子の体を押し退けながら心底嫌そうに吐き捨てて、簡易寝台と俺の体の間で皺だらけになった
彼女の制服を次々引っ張り出し、手荒く投げつける。
「……さっさと、着ろ。歩いて帰るつもりか?」
絶対、祥子の方を見ないように(帰ったら、まず『配置転換願』か『退職届』だよなぁ……)
なんて事を、天井あたりを半眼で見上げながら、ぼんやり考えていたために一瞬、反応が遅れた。
腰の辺りでカチャカチャという音がして、いきなりズボンを下ろされる。
「……ソコデ、ナニヲ、シテイラッシャルノディスカ、祥子サン?」
「『机』は喋らないっ!!!」
どこかで見た覚えの有る表情の幼馴染が、上目使いで睨みつけながら、俺の下着に手をかけてきた。
ソレは間違いなく『スイッチ』が入ってしまった時の顔で、俺がこれまでそれに勝てた事は一度も無い。
「ちょっと待て、祥子!!!」
「私専用の、大切な『机』に、変な釘が、出っぱってるので、これから、修理、しますっ!!!」
「……なんだ、それはーっ!!!」
「『机』は一々、反応しないっ!!!」
抵抗虚しく、一気に全部降ろされたのとほぼ同時に後退る俺の足がもつれて、二人とも床に尻餅をつく。
結果、男のO字開脚の真ん中で屹立している俺の下半身様の超至近距離で、祥子が固まってしまった。
その顔は、みるみるうちに真っ赤っ赤になって……。
「……う、動くなよ、祥子、絶っっ対動くな……、っ!!!」
かつて『スイッチ』が入っちゃってる状態の祥子に、俺が何か提案をして、それをそのまま
すんなり聞き入れて貰った事も、決して無かったのを完全に忘れてる辺りがもぅ、てんぱり過ぎ。
そんな追い詰められた状態でも、彼女の荒く熱い吐息を感じ、おずおずと伸びてきた細い指がそっと
やさしく添えられる……、只それだけで、俺の根性無しな下半身様はよりいっそう大きく反り返った。
「……すごい……、熱くて……どきどきしてる……」
膝を大きく開いた女の子座りのまま、にじり寄ってきた祥子は、とろんとした瞳でうっとりと
呟きながら、凶暴さを増していく俺の下半身様に、冷たくなめらかな指先で絶えず刺激を与えてくる。
一方の俺はと言うと、そんな祥子の両膝の間のショーツのクロッチ部分が、いまやなんの役にも
立たないくらいぐちゃぐちゃに濡れて喰いこみ、布越しに透けて見える茂みの奥に有るモノの形すら
はっきり判ってしまう光景から完全に目が離せなくなった自分の浅ましさに、一層追い詰められていた。
……あれは、俺が一方的に気恥ずかしさなんて小賢しいものを覚えて、気軽に『さっちゃん』と
呼べなくなり、なんとなく祥子との間に距離を置き始めた時より、ほんの少し前。
最後に二人っきりで、俺の家のお風呂に入った時にも何故か『スイッチ』が入ってしまった祥子は
恐ろしいまでの天真爛漫さを炸裂させて、俺の股間にあるコレを『私に無いのは、不公平!!!』とか
訳解らん屁理屈こねて散々いじくりまわし、結局コレは取り外しや付け替えが出来ないモノなのだと
十分納得してからやっと開放してくれたという微笑ましい思ひ出も……。
(……あれ? なんかその時、とんでもない『約束』を、させられたような覚えが……)
目の前の現実から一瞬でも逃避したい俺の甘酸っぱい昔話……なんぞ全然お構いなしに、生身の祥子の
拙い指使いは、自分が空想の中で御奉仕させていた性奴隷の時とは全然違って、素人丸出しな所作のため
早く往かせるためのテクニックとか男を喜ばせるツボもへったくれもない、ぎこちなさ満開なのだが……。
「……あ、なにか……出てきた……」
自分の指先を濡らす、俺の先走り汁の感触をしばらく面白そうに確かめていた祥子は、その
にちゃにちゃで汚された指を一瞬もためらう事無く、自分の口の中に突っ込んだ。
「……ん、ちょっと苦……しょっぱい?」
ぺちゃぺちゃと言うイヤラシイ音を立てながら、細く白いその指をゆっくりなめまわすという
痴態を丁寧に見せ付けた後、俺の下半身に再び覆いかぶさる直前に、記憶力も良い俺の幼馴染は
にっこり笑いながら、言う。
「コレ、私が好きな時に好きなようにして良いって『約束』だったよね、鉄ちゃん!!!」
(やっぱり、覚えていやがったーっ!!!)
薄赤い口元は、ピンク色の小さな舌をちろりと覗かせて、俺の頂上にゆっくりとキスをした。
ずいぶん小さい頃に、さんざん見せっこや触りあいした時と比べて、随分グロ……じゃなくて
凄く逞しくなってた鉄ちゃんのアレには正直、一瞬驚いた。
だけど、ちーちゃんの『資料』のお陰でその後の私は、初めてにしては、割と上手く行動出来たと思う。
しかも、ちーちゃんは『良いかぁ〜、祥子〜ぉ。まず、最初が肝心だぁ〜。 相手の反応を確認後
速やかに、対処〜っ!』とか言いつつ、自慢の『資料』をがんがん見せ付けながら、必ず最後には
涙目になってる私の口内に、ミルクアイスバーやソフトクリームを遠慮会釈無しにねじ込むという
『特訓』を何度も何度も施してくれた。
その、美味しいんだけど結構辛かった練習を無駄にしない為にも私は、鉄ちゃんの顔をちらちら
盗み見ながら、どこをどうすれば一番気持ち良くなってくれるのか、体当たりで調べ始めた。
溜めた唾を少しずつ少しずつ舌をつたわせて、熱い塊に注いでから、優しく丁寧に舐め上げる。
亀頭から雁首には細かく舌を這わせて、裏筋あたりはゆるゆる舐め上げ、根元の方はくすぐる様に。
時々、鈴口をちょんちょんと舌の先でつっつく事も、勿論忘れてない。
暑い日の犬みたいにハァハァ息を弾ませて、私の唾液と鉄ちゃんのお汁でどろどろになっても
熱さを失わず、そそり立つモノに頬をすりつけると、それだけで頭の中がビリビリ痺れた。
……なんだか、この辺りから無意識に、鉄ちゃんを気持ち良くさせる方法より、自分の方が
気持ち良くなれる事を、どんどん追求し始めてたような気がするけれど。
それ以上に、鉄ちゃんの切なそうにしかめられる顔や短く息を呑む声が、私を深く酔わせていった。
だから、『じゅぶじゅぼ』と、はしたなく響く水音も、『ふぁぁん、ふぅ、んふ』と鼻に抜ける嬌声も
どこか遠くの方から聞こえてきた『祥子、咥えてくれ』というお願いも、全部私の心が発したモノ。
出来るだけ大きく口を開けゆっくりと、頂上から麓へと何処まで行けるのか、慎重に飲み込んでみる。
絶対、歯を当てないように、そして舌を全体的に絡め這わせながら、喉の一番深い底まで、誘い込む。
亀頭がこつっと当たった時、思わず咳き込みそうになったけど我慢して、今度は逆の方向へと唾液を
まぶしながらゆるゆると送り出して一転、リズム良く強めに唇でしごく。
急にブラが乱暴に引っ張り上げられ、私のあんまり大きくないオッパイが、ふるんと飛び出した。
なんだか、少し怒ってるような顔の鉄ちゃんがつっと手を伸ばして来て、太く長い指で背一杯優しく
強く、私のはしたないくらい固く立ち上がっていた乳首を、つまんで捻り上げ、弾きながら転がす。
すると、そこからきゅんきゅん甘い痺れが立ち起こって、お腹の一番奥深い所に絶え間なく流れ込み
私の中から、どんどんイヤラシイ滴りがあふれ出て、床にオモラシしたような水溜りを作っていく。
鉄ちゃん、コレ、私の、モノ、だよね?
私、だけの、モノ、だよね?
もうすぐ、身も、心も、蕩け堕ちる。
だから、私を、繋ぎ留めて。
世界中の、誰よりも、大好きな、鉄ちゃん。
一刻も、早く、私で、気持ち、良く、なって、下さい。
私の、魂に、鉄ちゃんを、しっかり、刻み込んで、下さい。
どうぞ、莫迦な、私に、お仕置きを……。
口内に収まりきらない熱い塊から直に流れ出る、総てを焼き尽くす媚薬を一滴も漏らさぬよう
私は、小さな子供みたいに良く回らない舌で、ちゅばちゅぶと一層強く吸いたてた。
瞬間、訳の解らぬ咆哮が、私の名前を繰り返し、がっしりとごつい大きな手が、私の頭をわしづかみ
ながら引き上げて、欲望をその爆発へ向けて滅多矢鱈に突き入れてきた。
思わず、悲鳴を上げて激しく身悶えしたけれど、本当は嬉しくて堪らずに、体が勝手に動いただけ。
何度も何度も、重く粘つくご褒美を流し込まれ、全部飲んでしまいたかったのに、量が多くて間に合わない。
やがて、私の喉の奥底からずるりと、白い粘液が絡みついたままの熱い塊が引きずり出されて……。
(……私の、机……、ちゃんと、綺麗に……)
舌で舐め取ろうとしてみたけれど、何故か口の中からどろどろと青臭い白濁液が次々溢れ出して
更に酷く汚してしまい、私はそのまま、気を失った。
糸が切れた操り人形のようにくたくたと、床に崩れ落ちる体を抱きとめると、祥子はすごく嬉しそうに
微笑みながら、ゆっくり目を閉じた。
途端に重みが増した体を、簡易寝台にそっと横たえて、こびり付いたままの俺の残滓を拭き取ろう
と口元に当てられた指を無意識のまま、しゃぶり始める。
その時始めて、屋根を叩く強い雨音に気がついて、内ポケットの携帯を取りだそうとしたら上着の
裾が、強く握り締められていた。
上着を脱ぐため、未練たらたらで祥子の口内からゆっくり指を引き抜くと『……嫌だぁ……
鉄ちゃん……、もっとぉ……』との御達。
(……流石に、意識の無いヤツを襲うのは、趣旨に反するんだよなぁ……)
とりあえず、脱いだ上着を彼女に掛けて、そのまま枕元に座り込み、しばし規則正しい寝息を
堪能してから、送信。
To.MAP 【件名】明日レチ、ウヤ
本文:オマエと連結中ウテシの最新属性は『緊縛』
携帯画面をぼけーっと見つめながら、左薬指のサイズ とか、祥子の父親は昔から結構腕っ節が
強かった事 とかを、つらつら考えてるだけで胸の奥底がどんどん暖かくなってきた。
お、早速返信が……。
To.金失 【件名】ヌキ&車交、セチ
本文:4P、スワップ、NTRに興味有?
脊髄反射的速度で
To.MAP 【件名】市ね!!!
本文:今後ともレチ教育ヨロ
と叩き返し、祥子が次に覚めた時、必ず目の前に居るために腕枕添い寝してやって
まずは最初に『俺もさっちゃんが世界で一番大好きだ』って、しっかり教え込まねーと……
なんて思いながら、幸せな眠りに付いた。
……あぁ、これで翌朝、超鈍行とオッパイ性人が、人の枕元でやらかしていた手鎖プレイの嬌声で
強引に起床させられなきゃ、本当に最高だったんだけどな!!!