「ふぅん、これが兄貴の作ったゲームか。」  
 
少女はキョロキョロと周りを見回した。  
眼前には見たことのない世界が広がっている。  
少女にとっての見慣れた都会の街中。  
それとは全く異なった人の手の入っていない自然の世界。  
この景色にはそれを思わせるものがある。  
 
「なかなかよく出来てるじゃん。」  
 
満足気に少女はうんうんと頷いていた。  
そして、何かを確かめるように少女は一歩だけ歩いた。  
その足は想像通り、滑らかに移動する。  
出来の悪いゲームだと、一歩動くだけでも苦労することがある。  
中には、そういう粗悪な物もあった。  
 
「反応は悪くないね。」  
 
呟いて、少女はもう一度、辺りを見回した。  
視線の先には、村のようなものがある。  
最初に手近な村に向かうのがゲームの基本だろう。  
このゲームもその例に洩れないようだ。  
 
「よし!」  
 
少女は小さく気合をいれる。  
そして、村に向かって歩きだしていた。  
 
 
少女が村で情報を集めた結果わかったこと。  
近頃、村の近くの水源に魔物が住みついたらしい。  
そのせいで水に困っているようだ。  
ようするに魔物を倒せということらしい。  
 
・・・魔物を倒せばお礼が貰えるのかなあ。  
 
と、打算的に考えてしまう少女。  
ゲームにはありがちなイベントではある。  
 
 
魔物を倒しながら、快調に森の中を進んできた少女。  
さすがに序盤だけあって、苦戦をするような魔物はいない。  
そんな少女の目の前に泉が見えた。  
 
泉の前まで少女が歩いた時、泉の中から魔物が姿を見せた。  
魔物は『くさいいき』を吐いてきそうな植物系の魔物だった。  
ボスキャラらしく、とても強そうに見える。  
 
少女の攻撃は魔物にダメージを与えられない。  
それどころか、『触手』の反撃で少女は戦闘不能に陥ってしまった。  
 
「イベントをスキップしますか?」  
そんなメッセージが少女の前に現れる。  
 
「いいえ、っと。」  
少女は迷うことなく、その選択肢を選んでいた。  
すると、不意に少女にゲームの視界が広がっていく。  
少女の眼前にはさっき少女を倒した魔物がいる。  
 
ふしゅるるる。  
 
そんな息を吐き出し魔物の触手が少女に襲いかかってきた。  
よける暇もなく少女は触手に身体をからめとられる。  
 
「は、はなしてよっ」  
 
少女は触手を振りほどこうと暴れた。  
しかし、少女の身体はびくともしなかった。  
触手はゆっくりと確実に獲物の動きを封じていく。  
両手を頭上で縛り上げ、足が地につかない高さに吊るし上げる。  
 
「な、なに? なにをする気なの?」  
 
身体中に絡みついた触手が重みを分散して支えている。  
そのために身体が痛くなることだけはなかった。  
 
魔物は少女を殺そうとしているわけではない。  
まして、少女を食べようとしているわけでもなかった。  
少女には魔物の意図は理解できなかった。  
なぜなら、それは少女の知識にないことだからだ。  
 
そして、触手が動いた。  
 
「ひっ・・・!?」  
 
ぬるぬるとした触手が鎧の隙間から潜り込んでくる。  
鎧の隙間に入れなかった数本の触手が諦めきれずに鎧の上を這い回る。  
気持ちの悪い感触が少女の肌を覆っていく。  
 
「いやっ、いやだぁ」  
 
鎧の中では触手が少女の肌を這いまわっていた。  
触手は鎧によってみっちりと少女の肌に押し付けられている。  
そして、触手から分泌される粘液が少女にはまた気持ち悪かった。  
なんとも言えないぬめぬめとした感触が少女を襲う。  
 
触手は少女の鎧の中を縦横無尽に暴れまわっていた。  
すると、偶然なのか鎧の留め金が外れた。  
 
少女の身を護っていたとは言えない鎧が、がしゃりと音を立てて地面に落ちる。  
鎧による触手との密着から解放され、少女は助かったと思った。  
 
しかし、それは間違いだった。  
鎧がなくなり、より多くの触手が少女の身体に触れることが可能になったのだ。  
それまで手持ち無沙汰だった触手達が、少女の眼前で揺れる。  
まるで、少女の恐怖心を煽るかのように。  
 
「い、いやああああ!」  
 
少女の絶叫とともに、触手は少女の身体に殺到していた。  
もう、その行動を妨害する邪魔な鎧はない。  
好きなように少女の身体を弄べるのだ。  
 
一本の触手が少女の胸の膨らみを下からすりあげた。  
少女の柔らかな膨らみは触手に沿ってその形を変形させる。  
 
「ふっ・・・ぁ」  
 
少女は口を固く結んで耐えようとした。  
気味の悪い感触が少女の膨らみをすりあげていく。  
粘液に覆われた触手のぬるぬるとした感触。  
その感触が、少女を何とも言えない気分にさせる。  
 
触手がゆっくりと少女の膨らみを通りすぎる。  
少女の膨らみが触手の圧力から解放され、ぷるんと震える。  
その時、少女の胸の先で何かが弾けた。  
 
「あっ!?」  
 
膨らみの先端を触手がこすったのだ。  
少女には胸の先で火花が散ったように思えた。  
不思議な痺れが胸の先から拡がっていく。  
 
「な、なに? いまの?」  
 
少女が何かを考える暇もなく触手は襲いかかってくる。  
今度は少女の小さな膨らみにやんわりと巻きついてくる。  
粘液を塗りつけられる感触に少女の身体を怖気が走る。  
触手の触れているところからぞくぞくとする。  
 
「んんっ。」  
 
ぬらりと触手が少女の膨らみの先端を撫で上げる。  
それだけで身体がびくっと震えるほどの刺激が少女の身体を襲う。  
 
その感覚に耐えようと声を殺す。  
無意識に身体に力が入ってしまう。  
 
「ん、はぁ・・・。」  
 
身体から力が抜けて、やっと息を吐く。  
そんな行為が幾度となく続く。  
いつのまにか少女の呼吸は息をするのもやっとなほど乱れていた。  
 
「誰か・・・助けてぇ・・・。」  
 
少女の瞳からぽろぽろと涙がこぼれる。  
触手に身体を好きにされる絶望感から涙が溢れた。  
それでも触手は少女の身体を弄ぶことを止めない。  
それどころか、その活動は余計に活発になるばかりだった。  
 
「やだっ・・・やだよぉ・・・。」  
 
触手が少女の瞳からこぼれる涙をねろりと撫で上げる。  
まるで、少女が流す涙ですらも彼らの娯楽であるかのように。  
あとに残るのは冷たく気持ちの悪い粘液の感触だけだ。  
 
「い・・・いやっ!」  
 
触手の一部が少女の足首から巻きつくようにして這い上がってくる。  
ぬるぬるとした分泌液を少女のすべらかな太腿に塗り付けながら。  
その動きを止めようと少女は太腿で触手を挟み込む。  
しかし、触手は止まらなかった。  
 
「やあぁっ!」  
 
少女の行為はただ悪戯に触手の感触を味わっただけに他ならない。  
ぬるぬるとした粘液を潤滑液に、触手は少女の腿の間をするすると滑り抜ける。  
その感触に少女の身体はぴくぴくと身悶える。  
そして、触手は少女の大切な処へと到着した。  
 
「ひゃうっ!」  
 
触手の先端が少女の秘所をするりと撫でた。  
ぬるぬるした分泌液が少女の衣服に染み込んでいく。  
その冷たさに少女の口から声が漏れる。  
 
「ひぅっ!」  
 
またしても触手が少女の秘所を撫で上げる。  
ぬるりとした粘液に覆われた触手の感触。  
ぞくっとするような痺れが少女の身体を走る。  
 
「ん〜っ・・・んうっ!?」  
 
一本の触手が少女の口の中に潜り込む。  
最初は少女を黙らせるために口を塞いだのだと思った。  
けれど、それが違うということはすぐにわかった。  
少女の口の中で触手が出入りを繰り返す。  
 
一際早く触手が動き出したかと思うと、  
触手の膨らみが少女の口を通り抜け、少女の口内に何かを吐き出した。  
 
「んぅ〜〜〜っ!?」  
 
どくどくと脈動を続ける触手は少女の口の中にどろりとした粘液を注ぎ込み続ける。  
口を塞がれた少女には、それを飲み込むことしかできない。  
ごくり、と、少女の喉が液体を嚥下する。  
少女が液体を飲み込むと触手はその口からずるりと引き抜かれた。  
飲みきれなかった粘液がどろりと少女の胸にこぼれ落ちる。  
気味の悪いほどに白い粘液が少女の身体をゆっくりと伝い落ちた。  
 
「げほっ、げほっ、げほっ。」  
 
喉に絡む粘液の濃さに少女はむせ返る。  
はあっ、はあっ、と荒い呼吸を繰り返す少女に触手は手を出さない。  
少女が身体の異変に気づいたのは乱れた呼吸が整い始めた時だった。  
どっどっどっと、心臓が今まで以上の早鐘を打つ。  
少女の身体が熱く火照る。  
 
「あっ・・・いやぁっ。」  
 
身体に絡みついた触手の動き。  
それらが先程までの比較にならない程、はっきりと感じられる。  
身体に浮いた汗の一粒一粒が身体を伝う感触の全てが感じとれるかもしれない。  
それがさっき飲み込んだ粘液のせいだということはわかる。  
けれども、何の為にそんな効果があるのかまでは少女にはわからない。  
 
 
「くっ、ふあぁ!」  
 
秘所を撫でられる度に身体中を電気が走るかのようだ。  
 
その感覚は小波のように押しよせてくる。  
そして少しずつ確実に満ちていく。  
少女の秘所に押し当てられた触手がぬらりとうねる。  
 
「な・・・なに、これぇ・・・?」  
 
得体の知れない感覚が少女を襲っている。  
少女はいまだにこの感覚を知らない。  
快感という名の感覚を。  
 
ぬちゃっ。  
 
粘性を含んだ液体が糸を引いた。  
ただでさえ気持ち悪いものが粘液によりさらに気持ち悪く感じられる。  
それなのになにかが違う。  
 
「はぅっ・・・あぁっ!」  
 
あまりの気持ち悪さに少女の身体に痺れが走った。  
触手がぬらりぬらりとうねりだす。  
ぬるぬるとした感覚が少女の全身に満ちていく。  
そして、ぴたりと触手が動きを止めた。  
 
「はぁっ・・・はぁっ・・・。」  
 
触手が動きを止めたことで少女に与えられた一時の安息。  
少女の胸が大きく上下している。  
触手の激しい愛撫で少女の呼吸は乱れきっていた。  
 
「いっ・・・いやだぁっ!」  
 
少女の中へと触手が潜り込んでくる。  
時間をかけて、ゆっくりと。  
まるで、少女があばれもがくのを楽しんでいるかのように。  
 
「うあぁっ・・・ああっ!」  
 
少女の中で触手が僅かに暴れる。  
それだけのことなのに、少女に伝わる感覚は恐ろしいほどに強い。  
まるで電撃が身体中を走っているかのようだ。  
 
「あああああっ!」  
 
触手が少女の奥へと一気に突き込まれる。  
こつんと、少女の中の何かに触手が当たる感触。  
激しく中を擦られた感覚に少女の身体がびくびくと震える。  
 
「あっ・・・ふあぁ・・・。」  
 
少女の口から唾液がとろりと垂れる。  
糸を引き胸元に垂れた唾液を触手は少女の胸へと塗り広げる。  
唾液は粘液と混じり合い、その粘度を増していく。  
次第に粘液がぬちゃぬちゃと妖しい音を上げ始める。  
自分の唾液だったものが、淫らな音を立てているという事実が少女の羞恥心を煽る。  
 
「やっ、やだよぉ・・・」  
 
その光景に少女は思わず目を瞑る。  
しかし、目を塞いでなお、粘液の音は少女の耳に飛び込んでくる。  
それどころか、その行為の淫らさを少女に余計に強く意識させるだけにすぎない。  
 
「あっ・・・ああっ・・・!」  
 
うねうねと蠕動する触手が少女の中からゆっくりと引きだされていく。  
少女の中で触手が擦れる度に、少女の頭の中で火花が散る。  
視界を遮断した少女には、それがはっきりと感じられる。  
先端を残し引き出される触手と同時に、とろりと少女の中から何かが溢れる。  
 
「んんっ・・・あっ・・・はぁっ!」  
 
触手がゆっくりと挿入を繰り返す。  
狭い洞窟の中を蛇行するような蛇の動き。  
触手は少女の中に自身を舐めるように擦りつけていく。  
 
「だっ、だめっ・・・!」  
 
触手が少女の中から引き抜かれる。  
その度に、自分の意思とは関係なく、身体が触手を逃すまいと締めつける。  
今の少女には、それが、はっきりとわかる。  
 
「ひあぁっ・・・!?」  
 
眼を瞑ろうが開こうが、地獄に変わりはない。  
開かれた少女の眼に、鎌首をもたげた触手の姿が映る。  
それは、少女の中に再び触手が入り込んでくる瞬間だった。  
 
「うああぁっ・・・!?」  
 
それは頭の中が真っ白になるほどの衝撃だった。  
それまで以上の感覚が少女の身体を貫いていた。  
鎌首のようにもたげられた触手が少女の何かを擦った。  
それが少女の身体が痙攣するほどの刺激を生み出していた。  
 
「あっ・・・ふあっ・・・!?」  
 
触手が少女の中を出入りする度に淫らな水音が辺りに響く。  
何もそれは触手の粘液によるものだけではない、ということに少女も気付いている。  
その多くが少女の身体から分泌されたものだということも。  
最初は、ぐちょぐちょとした粘着質な感じだった。  
それが今では、くちゃくちゃとした水気を帯びたものにかわっている。  
 
「はあっ・・・ああっ・・・ひゃうっ!?」  
 
少女の中への挿入を繰り返す触手が少女の身体を激しく揺さぶる。  
空中という支えの少ない状況が少女の身体を余計に揺らすのだろう。  
その振動が少女の胸を愛撫する触手を稀に膨らみの頂点へと擦りつける。  
胸の先端が擦れると、ちりちりと拡がる。  
焼かれるような熱さが胸の先端から頭の中へと飛び火する。  
 
「ふああっ・・・ああぁっ!」  
 
胸の先端を擦られる度に。  
秘所を擦られる度に、中を擦られる度に。  
触手が少女の身体の奥をこつんと叩く度に。  
少女の頭の中はちりちりと焼けるように熱くなる。  
 
「ああああああっ!」  
 
身体に溜まった熱が一気に爆発した。  
その衝撃は身体を走り少女の頭の中を真っ白に焼き尽くす。  
少女の身体が身体に絡みついた触手を、振り切らんばかりに大きく跳ねる。  
そして、びくんびくんと大きく痙攣を繰り返していた。  
 
 
−−−ブラックアウト  
 
ぼんやりとした意識がしだいにはっきりとしてくる。  
『第一章 紅涙の剣士 完』  
真っ黒な液晶画面には白文字ではっきりと記されていた。  
どうもゲームはここまでのようだ。  
 
「あ・・・戻って来れたんだ。」  
 
少女は夢見心地で呟いた。  
実際に身体はくたくたに疲れきっている。  
 
「うわぁ、ぐしょぐしょ・・・。」  
 
タンクトップが汗ではりついて気持ち悪い。  
見れば、タンクトップは汗が染みて透け透けになっていた。  
あるかないかの膨らみとその先端がはっきりと浮き出てしまっている。  
ホットパンツに至っては、股の辺りがお漏らしでもしたかのように染みていた。  
幸いなことに椅子に何かが垂れている様子はない。  
 
「どうなってのかな、これ・・・。」  
 
そっと、ホットパンツのボタンを外して、その中へ手を伸ばす。  
ぬるりとした愛液が少女の指に触れた。  
そのまま、何とはなしに溝に指を這わせてみる。  
 
「んんっ・・・。」  
 
びくっと、ゲームの中で感じたような感覚が少女の身体に拡がる。  
また、とろりと何かが溢れるのを感じた。  
怖くなって、指を引き抜く。  
少女の眼前で中指についた愛液が糸を引く。  
ふと見た姿見には、頬を赤くして惚けている自分が映っていた。  
うわあ、エロい顔してるなあと、自分でも思った。  
 
「やばっ、こんなことしてる場合じゃないって。」  
 
少女は鏡を見て思い返した。  
視線をちょっと移せば、透け透けのタンクトップを着た自分の姿が目に入る。  
これは誰がどう考えても普通ではない。  
特にホットパンツの染みなんかは誰にも見せられたものではない。  
兄貴なんかにばれようものなら自決ものだ。  
少女はPCを急いで切ると、浴室に逃げるように駆け込んだ。  
 
汗でねとねとして火照った身体に冷たい水が心地良い。  
シャワーを浴びるついでに、タンクトップとホットパンツとパンツも洗った。  
パンツは特に念入りに。  
お気にのストライプが染みになるのは勘弁。  
衣類は洗濯機に入れて、証拠隠滅完了。  
少女はバスタオルを巻いて、誰にもばれないように自分の部屋に移動する。  
 
「ふーっ。」  
 
全てをやり遂げた仕事人のように息を吐く。  
でもまあ、そんな心情なのは間違いない。  
衣装棚から取り出した、キャミソールと白のミニのスカートとパンツに着替える。  
ブラはあるけど邪魔くさいからつけない。  
まだ、つけるほど立派なものがあるわけでもなし。  
本当は活動的なパンツ系の方が好みなのだが、さすがに今は着る気がしなかった。  
 
 
−−−夜  
 
コン、コン。  
軽く兄貴の部屋のドアをノックする。  
 
「兄貴いるー?」  
 
ガタガタと、中で慌てたような音がする。  
きっと、あのゲームの続きでも作っていたのだろう。  
 
「な、なんだよ。」  
 
慌てを取り繕うかのように兄貴が答える。  
今、兄貴の部屋に入ってもきっとその痕跡は見つからないだろう。  
 
「そのゲームが完成したら、またやらせてよね。」  
 
兄貴の答えを聞かないまま、私は上機嫌で自分の部屋に戻った。  
「なっ・・・!?」とか言って、動揺する兄貴の姿が眼に映るようだ。  
まあ、兄貴が悪いよね。  
私にこんな体験させちゃう兄貴がさ。  
 
兄貴の困惑している姿を想像して、私はくすくすと笑った。  
 
 

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