◆眠れぬ夜が終わるまで… >>301-302、 及び>>311までのあらすじ
私、桜井 日芽子(さくらい ひめこ)。ごく普通の高校生。
「着けるだけでとても気持ちよくなれます」というクリトリス専用バイブを
ひょんな事から手に入れて、好奇心を抑えきれずに自分のクリに付けちゃったけど…。
なんと、それは一度付けたが最後、内臓電池(寿命およそ100時間!)が切れるまで
決して外れず、延々とクリを責め続ける…という、とんでもない代物だった!
否応なしに初めての絶頂を味あわされた上、どんなに頑張ってもバイブはクリから外れない。
そのせいで、私は果てしない絶頂から降りられず、ついには気を失ってしまった…。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
◆眠れぬ夜が終わるまで… ――Another Chapter #1 淫夢・隷姫――
(バシャァッ!)
「うあっ?!…っ…こ、ここはっ?!」
突然冷や水を浴びせられ、目を覚ます。
何故か、私は童話か何かに出てくるようなお姫様のドレスを身に纏っていた。
しかし、所々引き裂かれてボロボロで、胸元やお尻、アソコ…恥ずかしい部分があらわになっていた。
慌てて隠そうとしても、両手足は鎖で繋がれており、四つんばいのまま身動き一つできない。
(な…なんで?…これって、夢…でしょ…?)
「…お目覚めですかな?」
突然の声に振り向くと、そこにはフードを目深にかぶった男と、無数の細く長い触手を蠢かせる…怪物。
「ひっ…!!」
「さぁ、楽しませてあげなさい。」
男が命令すると、触手の1本が私の股間に伸びていく。それは迷うことなく、私のクリトリスへと喰いついた。
「…!…くっ、あっ…ふぁ、う、うぁあぁぁっ…!」
腰を振ってせめてもの抵抗を試みるが、そんな事で振り払えるはずもなく。
「いっ、嫌ぁっ!そこ、弱いのぉっ!吸わないでぇぇっ!」
思わず出た言葉も、触手の怪物には届かない。
触手の先の口は私のクリトリスを思い切り吸い上げ、さながら甘噛みのごとく刺激する。
無数の舌とも歯ともつかないものを蠢かせるとともに、触手そのものも身をよじらせて、
上下左右へとクリトリスをねじり、つねり、引っ張り…執拗に責め続ける。
「あひぃっ…は、はんっ、だ、めぇ…やめ…っ、おかしく…なっ、ちゃ…。
ぁぁぁあっ、なっ、何ぃっ…?クリ……じゅるじゅる、され…て…うぅぅっ!
お願…い、止めて…夢…なら、覚め…てっ…。」
触手の異質な――それでいて、なぜか甘美な――感触に、私は成す術もなく翻弄される。
止め処ない快感に、いつしか私は何も考えられなくなっていった…。
「んぁぁあっ、あぅっ…だめぇ、やめてぇぇ…。クリ…責め、られ…て、い、イッちゃ…う…よぉぉ…!」
「おやおや、民衆の前で何とはしたない言葉を…。」
「っ?!」
嘲りを含んだ男の声。ふと周りを見渡すと、そこには無数の人、人、人。
その中には、見知った顔…学校のクラスメイト、先生、さらにはお父さん、お母さん、弟の顔までもがあった…。
「えっ………。…ひっ、ひぁぁ――――――っ……!!」
それに気付いた瞬間、触手は吸引を強め、咀嚼を早める。
単調な刺激から一転、さらに充血させられ過敏となった私のクリに触手は容赦なく牙を剥く。
身構えることすらできなかった私は、肌から汗、目から涙、口から涎、
そして下の口からも涎を撒き散らし、虚ろな声を上げる事しかできない。
「いっ…嫌ぁぁぁぁぁぁぁっ…!!み、みんなぁ、見ないでぇぇぇっ…!
恥ずか…し、ぁぁああっ、でも…クリ、吸われて、苛められ、てぇっ…気持、ち…ぃぃぃ…
ひあぁぁぁっ、はぁっ!も、もう…駄、目ぇっ…イクッ、イッちゃううぅぅっ…!!」
触手が鞭を打つように激しく暴れ、その動きは喰いついている私のクリに一際激しい刺激として伝わる。
「はぁんっ、ううぅあぁっ!こん…な、のぉ…いっ、ゃあぁぁぁぁ――――――――っっっ!!」
絶叫とともに、張り詰めていたものが音を立てて切れる感覚がした。
背筋が凍りつくような絶望感と背徳感、そして例えようのない快感。
それらがないまぜになって襲い掛かり、私は再び気を失った…。
◆眠れぬ夜が終わるまで… ――日曜日 Chapter.1 覚醒――
(ヴィィィ……!)
「ひぅっ?!」
突如として激しく暴れだしたクリバイブの刺激に、強制的に目を覚まさせられる。
気が付くと、そこは私の部屋。
「はぁ、はぁ、はぁ…ゆ、夢かぁ…よかった…。…んっ、くぅぅっ…ううぅ…。」
でも…あのクリバイブは、未だ私の股間に吸い付いて離れず、昨日の夜の勢いのまま振動し続けている。
つまり、さっきの悪夢の正体は…。夢よりもっと残酷な現実に憂鬱感を覚えつつ、目覚まし時計を手繰り寄せる。
…液晶はまだ、午前5時を示していた。
ふと、この快楽地獄から開放されるのは、いつだろう?と思い、指折り数えて解を導き出す。
「あと…4日間…今日が、日曜日…だから、月、火…水曜日…まで、外れない、なんて…。はぁ…
ぁ…っくしゅん!んっ、んぅぅ…。――はっ?!」
ため息ついでに出てきたくしゃみと、背筋の寒気。そして、今なお下半身裸の私…。
ここで、はたと気付く。私…イキッぱなしでこの格好のまま一晩眠りこけてた?!
「まずい……早く、服、着なくちゃ…!こんな…格好、見られたら…!」
この時ばかりは、起こしてくれたクリバイブに感謝する。
とは言え、バイブはそんなことお構いなしに私に快感を送り続けるのだけど…。
腰が砕けそうな所をどうにか堪えて立ち上がり、洋服タンスへ向かう。
(キャップの、吸引と…バイブの、振動が、こんなに…つらい、なんて…。
歩く…どころか、立ってる…だけで、精一杯…だよぉ…。)
それでも何とかタンスにたどり着くと、引き出しからタオル、ショーツ、パジャマのズボン、
そして多い日用のナプキンを探し出し、ベッドへと放り投げる。
(これが、ないと…、あっ、という間に、パンツ、びしょ濡れ…だろうなぁ…。
本当は…シーツも、換えたかった…けど、今は…気持ち…よくて…動け…ない…。)
…吸収しきれない予感もしたが、その辺は考えないことにして、ベッドへ戻る。
まずは股間を濡らす愛液をタオルで拭い取る。
バイブに触れたくなるのをぐっと堪え、丁寧に、慎重に…。
それでも何度か手やタオルが触れてしまい、その度イッてしまいそうになる。
そして、ナプキンをあてたショーツ、ズボンを続けざまに穿き、とりあえず完了。
目下やるべきことを全て片付けると、ベッドへと横たわり、布団を体にかける。
(…まだ早朝だから、二度寝しちゃおうか。今日は日曜なんだし…。
…あれ?バイブの振動、さっきまでより、弱くなってる?…そっか…私も、刺激に…慣れちゃったのかな…)
と思った瞬間、唐突にモーター音が激しさを増す。
(ヴヴ――――……)
「はぁうぅっ?!んぅっ、ぁぁうぅっ…!そん、なっ、あぁっ、あぁ――……っ!」
不意打ちの刺激を受け、身体は電気が走ったようにびくんっ、と反り返る。
喘ぎ声を上げそうになる口を咄嗟に手で押さえ、快感を堪えようとするが、
完全に油断しきっていたところを攻められたため、あっという間に絶頂に達してしまった。
「い、意地悪ぅぅぅっ…!お願い…っ!止まっ、ぁああっ…またぁ、イッちゃうぅっ…!!」
当然、一度イッたくらいでは済まず、私が再び気を失うまで執拗な責めは続いた…。
◆眠れぬ夜が終わるまで… ――日曜日 Chapter.2 団欒――
(ピピピピピ…)
「ん…7時…そっか、また気絶しちゃったんだ…。」
目が覚めると同時に、クリトリスへの甘い刺激が頭に伝わってくる。
どうやらこのバイブ、振動の強弱が不規則に切り替わるらしい。
付けた直後やついさっきは、イカされっ放しになるほど激しい振動だったのに、今はうって変わって微妙な振動…。
イクところまでは行かないけれど、さりとてほんの数時間前まで散々クリでの絶頂を味あわされ、
その快感の味を覚えさせられた私にとっては、この振動は…何と言うか、蛇の生殺し…。
股間に手が伸びそうになるのをぐっと堪え、私は階段を下りた。
「あら、おはよう日芽子…どうしたの?顔色悪いわよ?」
「ん…実は、昨日ちょっと、勉強で根詰めすぎちゃって…。風邪かなぁ?」
「それは大変ねぇ…。大事を取って、お医者さんにでも行ってきたら?」
「えっ…そ、それは…」
「大丈夫だよ。ねーちゃん、病弱ってヤワなキャラじゃねぇし。」
「そっ、そうそう!心配しないで、1日おとなしくしてれば、きっと治るから。」
「…ならいいけど。念のため、お薬は飲んでおくのよ?」
「はーい。」
とりあえず、昨日の夜の騒ぎは気付かれてないみたい。それより今は、朝食を食べなくちゃ…。
食パンをトースターにセットし、インスタントコーヒーを1さじ入れたマグにお湯を注ぎ込む。
(そういえば、アレを付けちゃってから、まともに眠れてないなぁ…。)
などと思いながら、黒い液体を口につけ…ようとしたけれど。
(ヴゥィィ……)
「えぅっ!…くっ!」
「なっ、ど、どうした!」「日芽子っ!」「ねーちゃん!」
突然振動の強度を上げるクリバイブ。思わず苦悶の声を漏らしてしまい、父・母・弟が一斉に私の方へ振り向く。
「うっ、うぇぇ…や、やっぱり、ブラックは…苦いや…。」
咄嗟のアドリブでごまかしはしたものの、その後はバイブの快感に耐えるのが精一杯…とても食事どころではない。
「パン焼けたけど、食べないの?…日芽子、ほんとに大丈夫…?」
「し、心配…しない、で…。ほんとにっ、だ、大、丈…夫…だから…。」
「…無理しない方が良いわよ。確か今日だったわよね、お友達と映画観に行くって。
楽しみにしてたのは分かるけど、こんな状態じゃ…やめた方がいいんじゃない?」
「あっ…そう、だったね。ちょっと、残念…だけど、後で…、連絡、しなくちゃ…ね…。」
母の問いに、私は明らかに大丈夫ではないような声で返すことしかできなかった。
結局、私は朝食をまともに食べられないまま、自分の部屋へと戻る。
バイブが激しく暴れている今は、快感で膝ががくがくと振るえ、立っているだけで精一杯。
これじゃ、街を出歩くどころか、目の前の階段を昇ることさえままならない…。
手すりに必死でしがみつきながらようやく部屋に辿りつき、ベッドに横になる。
なおも強い振動を続けるバイブの快感に耐えつつ、携帯電話を開いてメールを打つ。
“ごめん、千夜(ちや)、朝香(あさか)…今日の映画、行けない。急に体調を崩しちゃって、動くのもつらい…”
二人に送信した後、私は遂に快楽責めに耐えかねて股間に手を伸ばす…が、触れる寸前。
(今…イッちゃったら、多分、気絶…するまで、イキっ放し…。
喘ぎ声…誰かに…聞かれでも、したら…バレちゃう…!そ、そんなの…絶対、嫌…!)
最悪の事態が脳裏をよぎり、私はすんでのところで踏みとどまる。
(それに…もう、あんな…怖い夢…見るの、嫌だよぉ…。)
◆眠れぬ夜が終わるまで… ――日曜日 Chapter.3 親友――
バイブは相変わらず、キャップの陰圧で吸い上げられた無防備な私のクリを刺激する。
イッても地獄、イカなくても地獄…破滅的な快楽と、理性との板挟みで悶え苦しむ。
返信を待つ時間が、とても長く感じる…。
(ぴっ、ぴぴぴぴっ)
苦悶のさなか、携帯から鳴り響くメール着信音。内容を確認してみたら…。
“残念だけど、病気なら仕方ないか。ということで、急遽予定を変更して
朝香と一緒にお見舞いに行くことにしまーす♪ 千夜”
「…えぇぇっ?!ちょっ…家に来るのぉ?!そこまでしてくれなくても!」
予想外の返信に面食らう。…まずい!一刻も早く断らなきゃ!すかさず千夜に電話を掛ける。
「もしもし、千夜…?」
『おー、おはよー日芽子。…声からして、何だか辛そうね…。
まさか、最近話題のノロなんちゃらとかじゃないよね?』
「違うってば…。私抜きで、映画行ったっていいのに…。」
『そんなの、後でいつでも観に行ける!みんなで観るから楽しいのに…。
今は身体を治すのが第一よ。…そうだ、一旦朝香に代わる?』
「えっ…そ、そうね。」
『…やっほー、朝香だよ。日芽子、何か買って来てほしい物ってないかな?
一応、家からちょっとした差し入れも持ってきたけど。』
「そっ、そんな、心配ないって…私なら、大丈…っ…くっ!」
ぶ、と続けようとした時、突如激しい振動がクリを襲う。
「あぁぁぁっ、はぁっ、ぅぅうぅっ、…はぁっ、はぁっ、はぁ…だ、だい…じょう、ぶ…。」
『説得力、ゼロ…。』
『ちょっと、日芽子っ!こりゃ大変だわ、急いで行くから!』
「ぅぅぅぅっ…あぁぁぁ…ち…やぁぁ…あ、ああぁぁ……っ!」
千夜へ断りの意思を伝えられぬまま、私は絶頂に達してしまう。
…結局、逆効果になってしまった。狙いすましたかのように暴れだすバイブが憎い…。
(ぴんぽーん、ぴぽぴぽぴぽーん!)
「……っ、くっ……ん…?」
「日芽子っ!だっ、大丈夫っ?!」
「…病室内はお静かに。」
呼び鈴が鳴るや否や、私の部屋へと駆け込んできた千夜と、少し遅れて現れた朝香。
「…あっ…千夜、朝香…そんな大声出さなくても…今は少し落ち着いてるよ。」
実際、今のところバイブはごく弱い振動。バレずに済むかな…いやいや、希望的観測は禁物。
朝香は普段はぼーっとしてるように見えて、実はやたらと勘がいい。
この間の昼休み、トランプのダウトで全く歯が立たなかった記憶が蘇る…。
何度挑戦しても手の内がことごとく見抜かれる有様で、絶望感すら覚えたほどだ。
まして千夜も一緒の状況…もしバレたら、私に何をしでかすかわからない。
千夜には…幼稚園のころから、不意に胸を揉まれたりとか、エッチな悪戯をされ続けてきたからなぁ…。
戦々恐々とする私をよそに、二人は私のベッドの枕元近くに座る。
◆眠れぬ夜が終わるまで… ――日曜日 Chapter.4 来訪――
「電話越しとはいえ、あんなに様子がおかしくなるから、驚いちゃった。
とりあえず…命にかかわるような事態じゃなくて安心したわ。」
「大袈裟だなぁ…。」
「いやいや、日芽子は病弱って訳じゃないけど、無理しがちな性質だからさ。
熱出してるのに学校に行って、結局授業中にダウンなんて事もあったし。」
「ふーん、そんな事もあったんだ。日芽子、頑張り屋さんなのはいいけど、体調には気を使ってね。
…家族もわたし達も、心配しちゃうよ?」
「うん…そうね。これから、なるべく気をつける。」
「それはそうと、朝ご飯ちゃんと食べた?」
「実は…朝はちょっと調子悪くて、食べられなかった。」
「あらら…、じゃあ、コレ食べなよ。…ついでにコレも、はい。」
朝香から、バナナ一本とスポーツドリンクの缶を手渡される。
「あ…ありがと朝香、丁度お腹が空いてたの。…けど、なんでバナナ一房丸ごと持ってきたのよ?」
「昨日、近所のスーパーで安売りしてたのを、お母さんが買い込んできたの。
健康番組にすぐ影響されて、困ったもんだよ…。食べきれないから、おすそ分け。」
「あ、あはは……。私もその番組見たけど、そこまでは行かないなぁ…。」
苦笑いしつつも、ドリンクを飲む。身体に水分が染み渡る感覚が心地よい。
この水分も、愛液として出て行くのだろうか…と思うと、ちょっぴり複雑な気分だけど。
そんな中、ふと千夜の方を見ると…何やら辺りをキョロキョロ見回していた。
「どうしたの…?私の部屋、何か…変なものでもあるの?」
「いや、相変わらず綺麗に片付いてるな〜って思ってさ。あたしにゃ真似できないや。」
「えへへ…そうでもないよ。」
「……。…けど、これって…いったい、何?」
朝香が指差す先は…クマのぬいぐるみの亡骸の綿で溢れた、ゴミ箱。
「えっ?!あっ…それは、あのー…金曜日の、宿題が…はかどらなくて、ついムシャクシャして…。」
「へぇー、日芽子にしちゃ珍しいなぁ。そんなに荒れるなんて、やっぱり難しかった?」
「……。」
突然、朝香が立ち上がる。唐突に呟いた一言に、私は凍りついた――。
「…何だか、この部屋…妙な音、しない?」
(――――――――っ!)
「ほら、この近くで、何というか…小さなモーターが、ぶーんっていう音が…。」
耳に手を当てながら、朝香はベッドの周りをゆっくりと歩く。
(い、嫌ぁっ…お願い、気付かないでいてよぉっ…。)
私の思いとは裏腹に、バイブは非情にも激しく動き出す。
「っうぅっ、くぅっ…」
「あれ…音が大きくなった。…分かった、多分、ここ。」
異変を見逃さず、朝香が指差した先…そこは紛れもなく私の股間部分。
瞬間、千夜の眼差しが…餌食を見つけた、飢えた獣のそれへと変わったような気がした。
「……むふふ……日芽子、あたしに隠れて何をしてるのかなぁ…?さぁ、覚悟ぉっ!」
言うや否や、千夜は布団をはぐり、パジャマもろともショーツを脱がせてしまう。
「やっ…だっ、駄目ぇっ!見ないでぇぇっ…!」
「往生際が悪いっ!さぁ、潔く足を開きなさいな!」
閉じようとした足をこじ開けられ、私の性器が二人の視線に晒される。
そして、独特のモーター音を発しながら、クリトリスに吸い付き離れないキャップも…。
千夜はその異質なモノに目を白黒させ、対照的に朝香はそれを冷静に見つめている。
「……あ、あんた…何ですかい、こりゃ…?」
「ローターか何かだとは、思ってたけど…。」
「……もう…全部話すから…見ないで…恥ずかしい…。」
ここまで来てしまっては、もう逃げられない。仕方なく、私は事の顛末を洗いざらい話した。
◆眠れぬ夜が終わるまで… ――日曜日 Chapter.5 発覚――
「…で、土曜の夜から今まで、このちっこいのにずーっとクリを苛められ続けてる、ってか。」
しかし、100時間外れないって…本当?RPGの呪われた装備品じゃあるまいし。」
「えっ…千夜、ちょ…駄目ぇっ、引っ張らな…っぅぅ!あぁぁ…っ!」
千夜が無造作にクリバイブを引っ張る。
しっかりと掴まれ、逃げ場を失った振動はクリに直接伝わり、引っ張りの刺激と共に私の体を駆け巡る。
「っ、あっ…だっ、だからっ…駄目なのぉっ、どうしてもっ、取れないのぉぉっ…!
あぁっ、はっ、早くぅっ…放してぇぇ…クリトリス…おかしく、なっちゃうぅっ…!」
「…ごっ…ごめんごめん!」
千夜が手をバイブから放す。危うくイク寸前まで意識が飛びかけたが、私は辛うじて堪える。
「ぁあぁっ、はぁっ、はぁ、はぁ…バカぁ…。」
「…ごめん、疑って…。でも、イキそうだったのなら、いっそ最後までイッちゃえば…」
「そうしたら、私…イキっ放しで…気絶、しちゃう…。」
「…そんなに、気持ちいいの?」
千夜の疑問に、朝香が割り込んで回答する。
「当然。クリトリスって、女の子の性感帯の中でも、一際敏感な部分だよ。
そこを陰圧で無理矢理勃起しっ放しにされてるから、より敏感に刺激を感じちゃう…。
普通に指だけで責めるのとは、比較にならないくらいにね。」
「……。」
「ましてや、日芽子のコレは自分の意思で外せないから、ずっと敏感なままだよ?
振動が強いときに、下手に刺激を与えられちゃったら…わかるよね?」
「詳細な解説ありがと…でも朝香、なんでそんなに詳しいの?」
「だって、わたし…普通のクリキャップなら、何度か…使ったこと、ある。」
こんな所で、赤裸々な体験談を語らなくても…。
親友の意外な一面を見てしまい、私と千夜は二人して複雑な表情になってしまった…。
「…そっ、そーだ、日芽子、お風呂入らない?手伝ったげるからさ。」
妙な沈黙を破ったのは、千夜の提案。
いきなり何を…とは思ったけれど、千夜が指し示している部分…愛液にまみれた股間を見て、納得…。
「学校じゃ、タンポンも併用した方が良さそうだね。明日の朝、わたしのを分けてあげるよ。」
「ありがと…。」
クリ刺激だけで、こんなになっちゃうなんて……。頭では拒んでいても、体は正直…と言ったところか。
自分がエッチな身体になってしまった気がして、私は顔を真っ赤にしてうつむいた。
「すいませーん、お風呂借りてもいいですかー?…って、ありゃ?誰もいない。」
「父さんは今日も仕事だし、母さんはもう書道教室に出かけちゃったし…。」
「ここに来た時は、弟さんもいたのに。部屋をノックしたけど、返事がないね。」
「えっ、康太いない?…だったら、リビングでテレビでも見てるのかも。」
念のため、私達三人はリビングへ向かう。…そこには一枚の置手紙があった。
“友達の家に遊びに行ってくる。夕方6時くらいまでには戻るから。
千夜、ねーちゃんであんまり遊ぶなよ?宿題見せてもらえなくなるぜ。 康太”
「あんのマセガキ、要らん事書きよって…。」
「ついでだから言っておくけど…こんな時まで、私のノートをあてにしないでね。」
「へーいへい。…誰もいないなら、勝手に入っちゃいますよーっと。」
肩をすくめつつ、千夜はお風呂場へと向かう。朝香と私も、後に続いた。
◆眠れぬ夜が終わるまで… ――日曜日 Chapter.6 入浴――
我が家のお風呂は、いわゆる一戸建て住宅向けのユニットバス。
バスタブは「大人の男性が足を伸ばして浸かれる」だけの余裕はあるので、
体育座りならば二人までは何とか入れるだろう。流石に、三人だと少々窮屈そうだけど。
まずはシャンプーで髪を洗う。新商品の使い心地や自分のお気に入りなど、他愛もない話をしていたが…。
「それにしても、日芽子の胸っておっきいわねぇ…。今、いくつ位?」
千夜が私の胸をまじまじと見つめながら、唐突に聞いてきた。
「…92の、Hカップ。」
「うーん、幼い頃から揉み続け、育てた甲斐があったなぁー!
あたしもそういう努力はしたけど、何やっても効果がなかったのよねぇ。」
「でも…胸大きくたって良い事ないよ。服や下着は可愛いのがないし、
男子は胸ばかり見るし、揺れて動きづらいし…。千夜くらいが丁度いいんだよ。」
「っ…!そんなの、巨乳側が上からの目線で見た意見に過ぎないっ!
あたしの79Cなんざ、巨にはちょっと足らない、さりとて貧としちゃ大きすぎる、
箸にも棒にもかからない乳としか男どもは見てないんだっ!」
「ちょ、ちょっと…千夜?」
私の発言が逆鱗に触れてしまったか、急に激昂する千夜。
たじろぐ私などお構いなしに、さらに激しくまくしたてる。
「黙れ黙れぇぇぇっ!男はみぃ〜んなオッパイ星人なんだよぉっ!
さぁ、雪代朝香よ!70Aなんて現状に甘んじず、この夏目千夜のゴッドハンドによって
遅れてきた第二次性徴を発現させるのだぁぁ〜っ!」
両手の指をわきわきさせながら、千夜は朝香に迫る。…やめなさいって。
「いや、わたしは別にいいよ。小さいのが好きって人も意外といるし。」
朝香は落ち着き払って、千夜の突進をひらりとかわす。
「のぉうわぁっ…ととっ!」
「そもそも、胸の大小だとかに執着するのはいわゆる『フェティシズム』。恋愛とは全くの別ものだよ?
それに、千夜くらいなら『うつくしい』と書く方の『美乳』とも言うからさ、そう嘆かないの。」
「うぅぅ…言われてみれば…ごもっとも。日芽子、朝香、取り乱して悪かった。」
千夜が落ち着きを取り戻したところで、三人とも洗髪を終える。
続いてボディソープでの身体洗い。私が背中を洗おうとしたところ…。
「日芽子、あたしが背中流してあげるから。」
「あ…ありがと。」
千夜が言うので、何の気なしにスポンジを渡す。
最初のうちこそ普通に背中を洗ってくれていたが…突如、胸を鷲掴みにされる。
「ひぁっ……!」
「むふふ、この夏目千夜に背中を見せたがお主の迂闊!
…ってな訳で、日芽子の身体の隅々まで洗っちゃおっと!」
…しまった、千夜の本当の狙いは…!後悔しても時既に遅し、慣れた手つきで私の胸を責め始める。
右手は泡に包まれたスポンジで擦り、開いている左手ではつまみ、揉み…。
時折スポンジを持ち替えつつ、両乳房を丹念に、執拗に洗っていく。
「ふふっ、ちょっと揉むだけで乳首勃たせちゃって…。こんなに感じてくれると、いぢめ甲斐があるわね。
あぁん、あたしも一度、日芽子のそのおっきな胸でお背中洗ってもらいたいなぁ…。」
「バ、バカぁっ!私にっ…そっちの、趣味は、ないってばぁ…っ!」
冗談とも本気ともつかない言葉を耳元で囁かれ、私はうろたえるばかりだった。
「あ、朝香ぁっ…!ちょっとっ、助けてよぉ…っ!」
「…日芽子、油断しすぎ。こんな裸の付き合いなんて状況、千夜が黙って見逃すと思った?
それとも、こんな風に悪戯されたくて、わざと隙を見せた…とか?」
「は、薄情者〜っ!そんな事っ、あるわけ…ないでしょ…!」
口では反論しつつも、私のクリは言葉と裏腹に、次なる責めを待ち望んでいた…。
◆眠れぬ夜が終わるまで… ――日曜日 Chapter.7 翻弄――
当然ながら、千夜の攻撃はなおも続く。
幼い頃からセクハラ攻撃を続けてきた賜物か、千夜は私の弱い部分…性感帯を熟知していた。
乳房・首筋・脇腹・腹部…スポンジは私の身体を丹念に愛撫する。
しかし、それは巧みに性感を刺激こそすれ、決して絶頂へは導いてくれない…。
もどかしさに耐えかね、私は思わず声を洩らしてしまう。
「…っ…ぁあっ…やっ、ぃやぁ…っ…。」
「っ!ごっめんごめん、あたしとした事が…感じさせちゃった?」
声を聞いて、千夜は大げさに手を引いてみせる。
「ぁあっ…、ちっ、ちがっ…そう、じゃ…。」
「えっ?声小さくて聞こえなかった、もっかい言って。やめて欲しいの?…それとも、続けて欲しいの?」
「うっ、うぅぅっ……。し、して……ほしい…。」
「うーん、もっと具体的に言ってくれないと困っちゃうなぁー。」
意地悪ーっ!してやったり、といった表情の千夜がまた憎らしい。
でも、悔しいけれど…もうこのままお預けじゃ我慢できない!
エッチな気分を抑えきれなくなっていた私は、考え付く限りで最高にいやらしい言い方で訴える。
「私の…苛められっぱなしの…クリトリス、と…トロトロの、アソコ…きれいに、して…欲しい…っ!」
「うっ…そこまで言わなくても良かったのに。でもまぁ、確かに承りました!じゃあ、足を開いて。」
言われなくたって…。昂ぶる欲望に突き動かされ、私は足を開いた。
「あーらら、自分から足開いちゃった。焼けぼっくいに火がついちゃった、ってとこ?」
「そうさせたのは、何処の誰なのかなぁ…。…千夜、あまり無茶しないようにね?」
快感にまどろむ私の心の声を見透かしたように、朝香が千夜に釘を刺す。
「わかってる。ま、ここまで来ちゃったら最後まで付き合うわよ!…覚悟はいい?」
「うん…。もう、私…我慢…限界…。は、早くぅぅ…。」
まずは内股から徐々に股間に近づくように、優しく丹念に洗っていく。
加えて、空いた手の指先は性器付近を微かに撫で続ける。
触れるか触れないかの微妙なタッチで、何度も行ったり来たり…。
(うぅぅ…は、早く…クリ、触って…欲しい…のに…。)
「んんー、焦れてる表情も可愛いーっ♪そんなに焦らないの。
敏感な場所なんだから…周りからじっくりと、ね?」
とか言われても、少なくともクリは十何時間じっくりと苛められてるのに…。
千夜のことだから、分かってて言っているんだろうけど。
「…これくらいで充分ね。じゃ、お次はお待ちかねの…。」
そう言うと、千夜は左手でキャップをつまみ、ゆっくりと円を描くようにこね回す。
「ひぅぅっ、ぅく…っ、あ、ぁあ…んっ…。」
散々焦らされたクリトリスに、ようやく与えられた刺激。
待ち望んだ快感に、私は思わず身をよじらせ、喘ぎ声を漏らす。
不規則に弄り回し、時にはキャップを軽く小突く、引っ張る…
バイブとはまた違う刺激に酔いしれるうち、いつしか身体が火照りだす。
(あ、あぁっ…私…千夜に、好き勝手に、責められて…感じちゃってる…。)
◆眠れぬ夜が終わるまで… ――日曜日 Chapter.8 泡沫――
「…そろそろ、もっと強く刺激しても大丈夫かな?」
左手の動きはそのままに、千夜は右手のスポンジで性器の部分を洗い始めた。
ボディソープがちょうど潤滑剤となってくれているのか、独特の快感が体中を駆け巡る。
強く擦られているわけではないけれど、クリとの同時刺激はかなり感じちゃう…。
くちゅりくちゅりという妙に淫靡な水音にも、興奮をかきたてられてしまう。
もう限界、イッちゃいそう…と思った、その時。
「さぁーて、それじゃあ流すわよー!」
と言いつつ、千夜はシャワーヘッドを私の股間に向けた。まっ、まさか!
(ぶしゃああぁ―――――…)
「はぁあぁっ…あぁんっ、んなぁあうぅ――……っ!」
至近距離から、お湯が勢い良く私の性器に浴びせられる。
ただでさえ、先程のボディソープ洗いで執拗に苛められたところに、トドメの一撃…。
私はたまらず、大きな喘ぎ声を上げながら達してしまった。
「はぁ、はぁ、はぁっ……!…くっ、ううぅ、あぁぁぁっ…。」
「こら、千夜!悪戯が過ぎるよ。家族が帰って来てて、聞かれちゃったらどうするの?」
「あっ…!そ、そうだった…。…今回ばかりは、やり過ぎちゃったか?」
「はぁっ、はぁっ…うくぅぅっ、あぁぁぁんっ…!」
私も怒りたかったが、クリバイブの追い討ちに喘ぎ、発言のタイミングを逃す。
いっそこのまま快感に身を委ねてしまおうか…と思ったけれど。
(ぴんぽーん♪)
「ただいまー…あら?日芽子ー…康太ー…?いないのー?」
「!」
突如鳴り響く呼び鈴に続いて、母の声。瞬間、私は総毛立ち、快感のまどろみから一気に引き戻される。
「すいませーん、お風呂借りてまーす。日芽子、ひどく寝汗かいてたもんで…。
あと、康太君は友達の家に遊びに出かけてまーす。」
「あら、それは大変…。手間掛けさせちゃって悪いわねぇ。」
千夜の咄嗟の説明で納得したようで、母の足音は台所へと向かっていった。
「……間一髪、だったね。」
先程のやりとりを聞いて、朝香が呟く。あともう少し焦らされていたら、下手すれば…。
「千夜…。散々、感じておいて…言うのも、何だけど…、ホントに…反省、してる?
今度やったら、いくら…私でも、怒るよ…。」
「…この通りだ。ホント、ごめん!学校じゃ、絶対こんな真似はしないからさ…。」
さっき言えなかった苦情をぶつけたら、千夜はひたすら平謝り。
これに懲りて、三日と言わず今後一切悪戯をやめてくれると助かるんだけど…。
色々ありつつも、私達は湯船につかる。…やっぱり、三人だとちょっと窮屈。
それはともかく、お湯の中だろうと振動を止めないバイブを見て、私は思わず溜め息。
「はぁ…ご丁寧にも、完全防水…。至れり尽くせりで涙が出そう…。
付け外しの不自由ささえなければ、とっても気持ちいいのに…。」
「…好奇心に逸って、説明書の※書きを見落としたのが失敗だね。」
「うわっ!あ、朝香っ、急に何よっ?!」
「ちょっと前のニュースでさ、携帯の料金プランの広告が問題になったでしょ。
細かな条件や制限の手合いは、総じて隅っこに小さな文字で書かれてるものだよ。
だから…そういう情報ほど、注意して読むように。さもないと、今回みたいに痛い目見たり、損しちゃうよ?」
「はい…以後気をつけます。」
「でも、過ぎたことはもうしょうがないよ。それより、明日からの学校…残り3日間をどうしのぐか考えなくちゃ。」
「そうね…って、あれ?説明書…?朝香、コレの説明書なんて、どこで読んだの?」
「ゴミ箱の脇に落ちてた、丸まった紙…。」
「あっ…!」
そういえば…バイブが気持ちよすぎて、今の今まで忘れてたけど、昨日投げ捨ててそのままだった…朝香、恐るべし。
◆眠れぬ夜が終わるまで… ――日曜日 Chapter.9 作戦――
お風呂から上がった私達は、部屋に戻って作戦会議。
「確か…このバイブって、まるっきり不規則に強さが変わるんだっけ。」
「うん。だから、刺激に慣れるってことができないの。弱い振動なら、それなりに我慢できるけど…
弱い刺激でずーっと責められた後で突然強くなったり、かと思えば気絶するまでイキっ放し…とかもあるから。」
「つくづく厄介な機能ねぇ…。どれだけ高性能なグッズなのよ。」
「うぅぅ…月曜と水曜の体育、どうしよう…。こんなの付けたまま運動なんて、いくらなんでも無理だよぉ…。」
「あんた、ただでさえ運動音痴だからねぇ…。
『生理痛がひどい』とか言って、見学しちゃったら?…あっ、駄目だ、たしかあんた先週…。」
「うん…普段は何でもないのに、今月はなぜかひどくつらくて…。」
「あちゃ〜、都合の悪い…。となれば、腹くくって出席するしかないか。愛液でブルマ濡らさないようにね。」
「うっ…。千夜、変なこと言わないで…思わず想像しちゃったじゃない…。」
クリバイブの分だけわずかに膨らんだブルマの股間、そこにはなぜか妙な湿り気…。
恥ずかしすぎる光景が脳裏をよぎり、私はがっくりと肩を落とす。
すると、朝香からフォローの一言。
「まあ、ナプキンやタンポンでカモフラージュの余地はあるから、心配しないで。
水泳の授業だったら、隠しようがなかったかもしれないけど。」
「うっ…そりゃ確かに。ただ、あたし個人としては…見てみたいっ!
ねぇ日芽子、あたし達のためだけにスクール水着着て見せて?」
「…あのねぇ…。他人事だと思って、変な事言わないでよ…。」
…このように、少々脱線しがちではあったものの、その後も三人で様々な状況への対処方法を相談しあった。
いつしか、窓からは夕日が差し込み、私の部屋をオレンジ一色に染め上げる。
「しっかしまぁー、アレだ。こうクリばっかり責められてると、アソコ寂しくならない?
せっかくだから、下のお口にもバナナ1本くらい食べさせてあげたら?」
「バカッ!」「馬鹿。」
千夜のセクハラ発言に、私と朝香が同時にツッコミ。
「…日芽子、もしもコレの換え電池が手に入ったら、
千夜の寝込みを襲ってクリに付けちゃえば?少なくとも4日間は大人しくなるよ。」
「うっ、ご、ごめん!それだけは本当に勘弁っ!」
朝香の非常にブラックな反撃に、千夜が大仰な土下座。それを見て、思わず私も笑ってしまう。
「けどさー、イキたいのを無理に我慢し続けるのも、それはそれでよくないよ。
…疼いて仕方なかったら、あたしが何とかしてあげるから!」
「…結局、そっち方面?気を使ってくれるのは嬉しいけど……それくらいは…自分で、できる…。」
「あははっ、それもそうだね。…っと、もうこんな時間。
千夜、くどいようだけど学校じゃ日芽子に悪戯しないようにね。それじゃ、ばいばい。」
朝香に釘を刺され、千夜は少々不満げにつぶやく。
「分かってますよーだ…。っつーことで、あたしも帰るとしますか。」
ふと時計に目を向けると、示す時刻は午後6時。
「うん。それじゃ、千夜に朝香…また明日ね。」
親友とのしばしの別れの言葉を交わした後、部屋の窓越しにそれぞれの家路につく二人を見送る。
すると、ちょうど入れ違いになるように、康太が我が家の玄関に駆け込んできた。
しばらくして父も帰宅し、一家揃って夕食の時間を迎える。
今回はバイブも大人しく、久々にちゃんとした食事を摂ることができた。
とはいえ、いつ暴れだすか分からないため、早々に食べ終えて自室に退散。
明日の授業の時間割りを確認し、持ち物の準備を済ませる。
…さて、残るは本日最後の難問。どうやって眠りに就けばいいのだろう…?
◆眠れぬ夜が終わるまで… ――日曜日 Chapter.10 忘我――
装着してから丸一日、まだまだ元気に動き続けるクリバイブ。
昨日はコレを無理に外そうとして…結局イキっぱなしになっちゃったんだっけ。
けれど、この延々と続く甘い快感…とても無視なんてできない。
(ううぅ……このままずっと我慢してたら、眠れっこないよぉ…。
こ、こんな時間なら、みんな…眠っちゃってるわよね…。……仕方ない、かくなる上は!)
他に手段は思いつかない、やるしかない…そう自分に言い聞かせながら、私は股間に手を伸ばす。
これから行おうとしている行為を想像すると、耳の奥からバクンバクンと心臓の鼓動が聞こえだし、
自分の体内の血液すべてがある一点…吸引され続けているクリトリスに集まっていく錯覚を感じてしまう。
まずはお風呂にて千夜にされたように、キャップをつまんで優しくこね回してみる。
自らの指先で、不規則にキャップを弄び、時折小突いての刺激も織り交ぜて…。
たまらず発してしまういやらしい声も、劣情をかきたてるスパイスとなる…けれど。
「ぁあ…っ、くぅっ、…っ!ぅぅうぁぁあぁ…っ、あ、ああっ…あっ…、気持ち…っ、いいっ…!
…で、でも…だめぇっ…これ、だけじゃ…、だめ…なのぉ…。」
おっかなびっくり、拙い指戯。吸引で過敏になっているクリには、これでも充分な刺激のはずなのに。
…心のどこかでイクことにまだ抵抗があるのか、あるいは散々苛められ続けたせいで、弱い刺激に満足できなくなったのか。
いずれにせよ、まだ足りない…もっと、強い刺激が欲しい…。
私の胸中を知ってか知らずか、バイブは徐々に振動の勢いを増していく。
微弱な振動が、いつしか身をよじらせずにいられない快楽に変わり、足のつま先から耳の先まで熱を帯びていく。
股間をまさぐる指先を伸ばせば、愛液の潤いがたっぷりとまとわりつく。
その潤いを股間全体に塗りたくり、さらなる快感を貪るように私は指先の動きを早める。
「ん…ぅっ、うぅっ、クリ…強いの、来てる……。はっ、はぅぅっ…!」
(お願い…今は…思いっきり、私のクリを苛めて…。
何もかも、忘れちゃうくらい…壊れちゃうくらい、気持ちよく、させて…っ!)
静まり返った寝室に響くのは、クリバイブの蠢くモーター音、抑えきれず洩れる喘ぎ声、愛液の水音。
そして私の脳裏には…ひたすら淫らな快楽のみを求める、心の叫びがこだまする。
「…っ、あっ、あぁっ…ぅあぁぁ!やぁぁ…んっ…。はあっ、ぁぁぁぁ…!
んっ、う…ぅぅ…いっ、イクぅぅ……っ!!……ぅぅっ…ぁあぁっ…!」
体中を駆け巡る快感に突き上げられ、次第に頂点が見えてくる。あと、もう一歩…。
瞬間、モーターが一際激しく唸りを上げる。
「っ、来る…強いの、くるぅぅっ…!あ、あっ、あっ…もう、だめぇぇ…っ!」
(…もっと、もっと…暴れてっ!私を…、壊してぇっ…!)
「……ぅぅぁあぁっ?!はぁうっ、ぁああぁ――……っ……!!」
意識が、どこか遠くへ飛んでいく……もう何度味わったか分からない、絶頂の極みに昇りつめる感覚。
その先にあるのは、なおも勢いを緩めないクリバイブがもたらす連続絶頂…。
立て続けに襲い来る快楽に呑み込まれ、気を失うのにさほど時間はかからなかった。
――次回『月曜日』へつづく――