【外伝1】
「マリア隊長!カイル軍捕捉しましたっ!」
「早馬が姫様を確認っ!拷問を受けてるとの…」
姫様に拷問?私の逆鱗に触れる情報に私は部下に命令を下す。
「カイルめ…、奴の喉元に白狼の牙を突きたててやるっ!」
「姫様を取り返す。我等の誇りを示せ!全軍突撃っ!」
私達は馬に跨ると勝鬨を上げカイル軍に殺到した。こちらの兵は1500、カイル軍は少なくとも8000はいるだろう。生きては帰れまい…しかし、姫様だけは…
この私、白狼騎士団の長、マリア・イズルミの命に賭けて…
「雑兵はけちらせっ!狙うはカイルのみ!」
我が精鋭部隊の一点突破で敵軍の中腹まで駆け抜ける
「隊長っ!ここはお任せをっ!早く姫様の元に…」
「モンシアっ!すまない…カイルの首、このマリアが討ち取るっ!」
私は単騎でカイルの元へと愛馬と共に駆け抜ける。あと少し…その時、愛馬のいななきが私に危険を知らせる。
「久しぶりだなぁ!マリア。殿下の所には、私が行かせないよ!」
「貴様は…シルビア!退けっ!貴様に構ってる暇は無い!」
私とシルビアは昔から較べられ白狼のマリアと黒獅子のシルビアは両国の子供達ですら知っている程だ。我々のいがみあいは…
「マリアっ!お前にはここで敗けてもらうっ!」
「戯言をっ!貴様を切り伏せてカイルの首は私がもらいうける」
シルビアの馬が突っ込んできた。私はシルビアの突撃を受け流すと一旦距離をとり、体勢の崩れたシルビアに私は剣を振りかざした。
「もらったっ!数々の因縁…これが最後だっ!!」
「相変わらず…」
「甘ちゃんだねぇ…、喰らいつけっ!奴の馬に!」
シルビアの乗った馬がみるみると異形の化け物に変化する。化け物が私の愛馬の喉元に喰らいつきとどめを指す。
「うわっ!糞っ、卑怯だぞ…騎士の勝負に魔力などっ!」
愛馬を失い地面に放り出された私の首元に剣先が触れる…
「チェックメイト…。ウフフッ、私は勝てればいいのさ!」
【外伝終了】