「浩太、一生のお願い」
そう言って、ぱちんと手を合わせる姉、祐美の姿を、弟の浩太は苦々
しげに見ている。
「今度はなに?お姉ちゃん」
中学二年生の浩太は、目の前にいる姉が高校二年生になっても、中々
自堕落な性分が改まらない事が不満だった。だから、唐突に自室へ闖
入してきた挙句、頼み事をする姉を見る目も冷ややかである。
「えへへ・・・あのねえ・・」
ショートの髪を茶色に染め、耳にはピアス。ネイルアートは色彩感覚を
疑うほどの派手さという、いわゆる今時の女子高生な祐美は、生真面目
な弟の前でへらへらと笑い、頭を掻いていた。着崩したようなブレザーと、
丈を詰めすぎたスカートが下着を隠してくれなくても、我関せずといった
有り様で。
「お金貸して。お小遣い、貯めてるんでしょ?」
祐美が金の無心をすると、浩太は露骨に嫌な顔をした。やっぱりな、と
声にこそ出さないが、表情がそれを予期していたようである。
「お姉ちゃんだって、お小遣い貰ってるんでしょ?それを・・・」
使えばいいじゃないの・・・と、浩太が言い終える前に、祐美は言葉を遮り、
「使い終わってしまいました!」
ぱぱん、と歌舞伎役者の決めポーズよろしく、のたまった。
「はあ・・・」
うなだれつつ、浩太はこの奔放な姉の姿から視線をそらした。自分よりも
三つ年上にも関わらず、まるっきり計画性を放棄した姉、祐美の性格に、
正直な所、生真面目な弟は辟易している。
(この人、なんでこうなっちゃたんだろう・・・)
浩太にとって、幼い日々の祐美は姉として頼もしい存在であった。しかし、
年月を重ねるにつれ、祐美は次第に変わっていく。まず、生活がだらしなく
なった。毎晩、夜更かしをした挙句、朝は寝坊ギリギリまで起きてこない。
金銭感覚も乏しいので、江戸っ子よろしく宵越しの銭は持たねえとばかりに、
持った金を片っ端から使ってしまう。なので、いつも懐具合が寂しい・・・そう
なると、生真面目で計画性のある弟へ、金策に走ってくるのである。
「五千円でいいの」
手をにゅっと差し出し、祐美は微笑む。すると、浩太はその手をぱしっと払い、
「だめ」
と言いつつ、微笑を返した。
「ケチ!」
祐美が方膝をついて、浩太に迫る。自分の無計画さを棚に上げ、金を貸して
くれなかった弟を詰っているのだ。
「金の切れ目が縁の切れ目・・・って言葉、知ってる?姉ちゃん」
金策のめどが断たれ、窮地にある姉に対して弟は余裕気である。更に、
「自業自得」
そう言って、祐美に背を向ける浩太。そして、勉強用具を出しながら、机へと
向かった。これで話はおしまいとでも言うように。
「そんなあ・・・」
机に向かった弟の後姿へ縋るように、祐美は切なく嘆息した。だが、突き
放す弟にまだ憐憫の情があると信じ、姉は寄り添っていく。
「浩太ちゃ〜ん・・・」
「貸さないよ」
「そんなつれない事を・・・」
机の上では、浩太が滑らかに鉛筆を走らせている。そこへ、子猫が母猫に
纏わりつくように、祐美は迫っては媚びた。
「金の切れ目が縁の切れ目・・・なんて言っても、ホラ・・・あたしたち、姉弟
なんだし・・・そんな寂しい事言われたら、お姉ちゃん、まいっちんぐ・・・」
うふんと鼻を鳴らしながら、祐美は浩太の体に手を伸ばす。いや、手だけ
ではなく、椅子に座った弟を跨ぎ、まるで場末のキャバレーで見られる、
サービス過剰な年増のホステスのように、腰をくねらせた。
「お姉ちゃん、やめてよ」
浩太は、細身ながらむっちりと乳肉の詰まった、豊満な姉の胸元で顔を
塞がれ、窮してしまう。しかし、祐美はしたたかな動きを淫らに紡ぎ、
「お客さん、学生さん?あは〜ん・・・」
などとおどけつつ、椅子の上で差し向かいになったまま、浩太の顔を自分
の胸元へ押し付けていった。
「むぐぐ!お、お姉ちゃん!」
柔らかな双丘が浩太の顔を挟み込む。ウエストからボトムにかけて、キュッ
と持ち上がった乳肉は見事なまでの膨らみを持ち、紅顔の少年をいとも容易
く包み込んでしまった。
「ふふふ・・・浩太ちゃん、男と女にはお金以外にもね、切っても切れない
縁があるのよ〜・・・ふふふ・・・えへへへへ」
目じりを下げ、淫靡に笑う祐美。そして、己の乳房の間でもがいている
弟を椅子ごと押し出し、ベッドの上へ放り投げてしまった。
「わあ!何をするんだ、お姉ちゃん!」
「さあて、何してあげようかしら?」
上等な布団の上に浩太を転がすと、祐美は素早く体を重ねていく。弟の顔
を跨ぎ、膝立ちになった状態で姉は狂気を目に疾らせた。
「さて、これは何でしょう?」
スカートの奥に見えるブルーのパンティ。その股布部分を指差して、祐美は
浩太に問う。
「何って・・・パ、パンツ?」
女臭を嗅ぎ取れるほど、鼻っ面に恥部を突きつけられた浩太は、呆けたよう
に答えた。すると、祐美はにんまりと笑って、
「ちがーう!オ・マ・ン・コ・・・でぇ〜す!」
と、言いつつ両の手のひらで浩太の顔を挟み、唇を尖らせて迫っていく。
「お姉ちゃん、やめようよ!」
姉の唇が間近に迫ってきた──浩太はそれを、何やら忌まわしい出来事へ
の予兆と感じ取り、怯えた。悪ふざけだとしても、程度がある。そう思っていた。
「うふふ・・・ウブねえ、浩太ちゃんは」
ぺろりと舌なめずりをする祐美の目が、妖しく輝いていた。そして、何の躊躇
も無く、姉の手は弟の股間へと伸びていく。
「あッ!駄目だよ、お姉ちゃん!」
「駄目だと言われても、やめないわよ」
華奢な浩太の体を覆うように、祐美は馬乗りになったまま背を反らし、弟の股間
をわけも無く探り当てた。更に、ズボン越しに若茎の形を確かめるように撫でさする。
「あッ!やめて・・・」
やわやわと急所を掴まれて、浩太の体が跳ねた。顔は紅潮し、姉の手を拒む力が
体から抜けていくような感覚に見舞われている。
「あら、お客さん。硬くなってますわよ、うふっ」
空いた手を頬に当て、勝ち誇る仕草を取った祐美は、弟の若茎を楽しげに弄んだ。
中学二年生という若年にあっても、浩太のそこは隆々と鎌首をもたげ、姉の手の中で
勇ましく変化を遂げていく。
「お姉ちゃん・・・やだよう・・」
若茎が男としての誇りを得ようとしているのに対して、当の浩太は困惑気味。姉が、
ただの悪ふざけでこんなことをしているのでは無いと、ここにきてようやく気づいたのだ。
しかし、祐美は何ら悪びれる様子も無く、
「何が、やだよう・・・よ。こんなに、硬くしてるくせに」
いつの間にかズボンのジッパーを下ろし、生の男肉を指先で啄ばんでいた。そうして、
夜は次第に深さを増していく・・・・・
「パパとママがお出かけだった事が、幸いしたわね」
そう言った祐美は、ブレザーを勢い良く脱ぎ捨て、ベッドの上で仁王立ち。
更に、浩太の顔を跨いだまま、腰をくねくねとくねらせ、踊り始めた。
「な、何をするんだよう・・・お姉ちゃん」
「ふふっ、お姉ちゃんのストリップショーってとこかしら」
浩太に問われた後、祐美はにこやかに着ている物を、本格的に脱ぎ始めて
いった。適当に節をつけ、鼻歌混じりに弟の前で、一枚一枚衣服を剥ぎ取って
いくのだ。
「お触りは駄目よ〜ん」
ブラウスに着いていたリボンを解き、スカートへ手をかける祐美に羞恥の色は
無く、どちらかといえば嬉々としている。その姿に面食らい、恥らったのはむしろ
弟の方だ。
「お・・・お姉ちゃん・・何て事を」
ブラジャーも捨て、もはやパンティ一枚の祐美は、最後に残った薄手の下着に
指をかけ、もったいつけているつもりなのか、脱ぎそうで脱がないような素振りを
幾度も見せては、微笑んだ。
「あは〜ん・・・」
まるで、本職のストリッパーでも気取っているかのように、祐美は伏し目がちに弟
を見下ろして舌なめずりをしている。しかも、時折、腰をぐいぐいと捻ってはパンティ
越しでも分かるほどに発達した恥丘を突き出して、弟の情欲を煽ろうとした。
「そろそろ、飽きてきた?」
祐美はひとしきり踊った後、ベッドの上で仰臥したままの浩太へ、縋りつくよう
に身を寄せた。そして、体を重ねながら、優しく手を弟の若茎へ絡めていく。
「これ、お姉ちゃんの中へ入れてみたい?」
祐美がにこやかに言う。すると、浩太は身を竦め、答えた。
「・・・お姉ちゃん、悪ふざけはもう終わりにして」
姉の体温を感じ取り、気もそぞろの浩太。まだ、若茎は硬度を保ったまま、
祐美の手の中にある。このままでは理性が崩壊し、姉の素肌を貪ってしまう
かもしれない。浩太は、それが恐ろしかった。しかし、祐美は笑って、
「あまり、深く考えないのよ。姉、弟って言っても、所詮は女と男なんだから、
やりたかったら、やればいいの」
・・・と、姉弟の関係にあっては、決して口にしてはいけない事を、平然と言って
のけた。
「でも、こういう事は・・・良くないんじゃない?」
祐美の誘いを、浩太はまだ、拒む。彼は、生真面目さゆえに契ってはならない
禁忌の交わりを持つ事が恐ろしいのだ。
「別に結婚しようって訳じゃ無いし・・・浩太がお姉ちゃんを嫌いって言うんなら、
無理強いはしないけれど」
「そんな!そんな事は・・・ないよ」
「ふふふ。じゃあ、しようよ。お姉ちゃんのココ・・・ホラ、触ってごらん」
祐美が自らの秘部へ、弟の手を引いた。その時、浩太はかつてこの姉が、自分
の手を引いてくれた、幼き日々を思い出す。
「あったかいでしょ」
「うん・・・」
祐美の女陰はあられもなく開き、いとも簡単に浩太の指を招き入れた。
指先で姉の体温を感じた浩太は、優しい何かに包まれたような気がして、
ちょっぴり頬を緩めている。
「ぬるぬるしてるね」
「バカ!恥ずかしいじゃないの・・・うふふ」
浩太の指は祐美の女肉を掻き分け、たっぷりと愛液を滴らせている女壷
へと招かれていた。その時、膣口がきゅっとすぼまり、一瞬だが姉の顔が
羞恥に歪んだような気がして、浩太は怖気づく。
「痛かった?」
「ううん・・・気持ちいい・・・っていうか、もっとして・・って、感じ・・」
弟に身を案じられた祐美は、思わず可愛い女を見せそうになった。それが、
おねだりをする姿勢にも表れている。
(マズイな・・・凄く気持ちいいじゃないの・・)
すでに異性経験のある祐美だったが、無垢な弟の指使いが、正直たまら
ない。稚拙で技巧は無くても、相性の良さが女を高ぶらせてくれている。
「どうすればいいの?お姉ちゃん」
「指を・・・出し入れ・・して」
「こう?」
浩太の指が女壷を優しく穿った瞬間、祐美はひっと声を詰まらせ泣いた。
(気持ちいいッ!)
思わず、そう叫びそうになったが、辛うじてこらえている。姉として、弟の稚技
に溺れるような姿は見せたくないのだ。
「おッ・・ああん・・だ、駄目かも・・・」
指を拒むように腰を浮かせる祐美。恥ずかしながら、この姉は弟の愛撫に
脳を焦がし、身悶えていた。たまらない──そんな気持ちで、頭の中が白く
透き通っていく。
「お姉ちゃん、気持ち良いの?」
浩太が問うと、祐美はこくりと頷いた。頬を赤く染め、半開きになった唇から
よだれを零し、息も絶え絶えで声すら出ない。
(ゆ、指でこんなに気持ちいいって事は・・・)
ちらりと浩太の若茎を見遣り、祐美はふしだらな予感に身震いした。指ですら
これほどの快楽をもたらせてくれるのだ。もし、これが逞しい若茎であったなら・・・
「こ、浩太」
「なあに?お姉ちゃん」
一心不乱に自分の蜜壷を掻き回してくれている弟の頬を撫で、姉はとうとう
最後の言葉を口にする。優しく浩太を見つめ、一呼吸置いた後、
「浩太のオチOポ・・・お姉ちゃんにちょうだい・・」
祐美はそう言って、ベッドの上に身を投げた。
「ううッ・・・ひいッ!」
ずぶりと浩太の若茎が、祐美の女壷を満たしていた。姉弟はついに、禁忌の
交わりを持ち、ひとつになっている。祐美は仰向けの状態で、両足を浩太の
肩で担がれたまま、真正面から若茎を迎え入れていた。
「お姉ちゃん・・・気持ちいいよ」
「ああ・・・お姉ちゃんもいい気持ち・・・よ・・浩太」
互いの肉が繋がった熱い交合部からは、男女問わずの淫液がほとばしって
いる。若茎が、ずず・・・と女壷に飲み込まれ、その姿を消していくと祐美は背を
弓なりに反らせ、膣孔を遡ってくる弟の男を、狂喜して迎えた。
「お、お姉ちゃん・・ね・・クリの方でしか・・イッた事はないんだけど・・・きょ、今日
は・・中でいけそう・・・うあッ!」
恥も外聞も無く、姉弟という関係も忘れて、祐美の女は狂い咲く。否、弟の若茎
ゆえに、これほどまで上りつめさせてくれるのだと分かって、本能のまま愉悦を
貪っているのだ。
「お姉ちゃん、僕、もう・・・出そう」
浩太は初めて知る女犯の快楽で、絶頂が近づいていた。すると、祐美は弟の頭
を無我夢中で抱き、
「出していいのよ・・・ううん、出して!お姉ちゃんの中で!」
そう言うや否や、膣口を目いっぱいすぼめ、弟の射精を助けてやった。その刹那、
「うわッ!で、出るッ!」
腰を突き出し、放精を遂げようと浩太の若茎が爆ぜる。ぷっくりと膨らんだ雁首が
姉の女壷の中をこそぎ、急所を悩ましく責めた。
「キャーッ・・・」
蜜壷が圧迫され、祐美は悲鳴を上げる。泣き、女体を痙攣させ、それと同時に
これまででもっとも素晴らしいと思える絶頂を得た。それも、弟の交わりによって。
「こッ、こんな・・・凄いのって・・・ああうッ!」
女壷の中で、弟の子種が暴れている・・・まさに、そんな思いの祐美。
次々と放たれる浩太の男液は温かく、体の隅々まで染み渡っていく
ような錯覚に襲われた。その瞬間は永遠と思えるほど長く、また離れ
難くなるように、短くも感じる。
「浩太・・一滴も残さず・・・出すのよ・・ああ、お姉ちゃんを離さないで」
「う、うん」
そう言って抱き合い、姉弟は唇を重ねた。夜の帳は完全に下り、二人
の罪を隠してくれるような薄曇の空が、月明かりを遮っている。闇はまだ
深く、祐美と浩太の罪もまた、深くなりそうだった・・・
暁が空を染め始めた頃、浩太は隣で寝ているはずの姉の姿を探した。
が、しかし、祐美はどこにもいない。
「お姉ちゃん・・・?」
昨晩、二人は数え切れないほどの情交を重ね、愛し合った。そして、疲
れ果てた後、寄り添いながら眠った筈・・・と、浩太は記憶の糸を紡いで
みる。当然、自分の隣には姉がいると思っていた。
「おかしいな・・・ん?」
浩太が辺りを見回した時、机の上に何やらメモらしきものが見えた。
それを手に取ると・・・
『エッチ代として、五千円徴収致します。友達からメールが入ってきた
ので、カラオケに行ってくるね。 愛する浩太へ お姉ちゃんより』
・・・などと書いてある。そして、浩太の財布が放り出してあった。
「ちゃっかりしてるな。お姉ちゃん」
財布の中から五千円が消え去っている事を確認した後、浩太は再び
ベッドへ身を沈める。せいぜい、姉の艶やかな姿が夢で見られますよう
にと願いながら・・・ (終わり)