OLのT子さんは、勤めている会社の社屋移転に伴って、会社の借りたマンションに住むようになった。  
 
「寮と呼んでいるけど、実際は綺麗なマンションで、最初はラッキーだなあって思ってたんですけど…」  
 
このマンションは、「出る」のだそうだ。  
いわゆる、幽霊の類なのだろうけれど、それは『指』で、しかも目には見えないのだと言う。  
 
夜中、T子さんが眠っていると、下半身にさわさわ、と感触があって、それで眼がさめる。  
『指』が、パジャマの上から、下着の上から、そこをまさぐっているのだ。  
思い切って目を開けてみても、T子さんのそばには誰もいない。  
それでも『指』は、いつの間にかパジャマの下に潜り込み、下着の上から彼女の肉芽を刺激し始める。  
恐怖ゆえか、それとも霊現象につきものの金縛りなのか、T子さんは身じろぎも出来ない。  
それでも、指の巧みな動きが、官能を揺すり起こしてくる。  
下着の上から、膨らみだした肉芽を、爪の先ですっすっと撫でる。痛痒感にも似た、淡い快楽がじわじわと広がりだす。  
くすぐるように、軽く引っかく。うずき出したそこが、潤みだしてくる。  
気が付くと『指』は、下着の中にあって、愛液をすくっては肉芽にぬりつけ始める。  
敏感な部分に、それは鋭すぎる快感で、身動きが取れないはずなのに、腰だけが揺らぎ始める。  
剥き出しになって主張する肉芽を、包皮に戻して、包皮の上からぐにぐにと揉む。鋭さはないものの、それでも耐え難い感覚だ。  
こうなると、逆に金縛りに遭っているのがありがたい。自由に声帯を使えていたら、隣の部屋にまで響く嬌声を上げていたに違いない。  
恐らく愛液にまみれているのだろう、ぬるつく『指』の責めは終わらない。  
膨れてぷるぷるとした肉芽を指と指の間に挟んで、上下に動かす。  
それは、本来ではありえないが、下着の中での動きだ。  
狭い下着の中で、見えない『指』に動かされる肉芽の先端は、すっかり濡れそぼった下着にこすりつけれられている。  
その痛みと快楽に、腰だけが、別の生き物のようにくねる。  
イキそうになると、『指』はぴたりと責めるのをやめる。  
ひどい焦燥感もあるけれど、これでようやく『指』は消えたかと息を吐くと──  
また、指の腹で円を描くように、ゆるゆる、優しく愛撫が始まる。  
 
「これが毎晩じゃないけど、週に3,4回はあるわね。明け方くらいになると、私のほうも、もう、めちゃくちゃで…ね。気が付くと、いなくなってるの」  
 
寮は住み心地がいいし、当たり前だが実家から通うよりも通勤には便利だ。家賃も、相場よりは安い。  
T子さんは、当分、マンションを離れる気はない。  
 

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