「なおみ〜、ごめんなさいは?」  
 
姉貴はニヤニヤと笑いながら、捻り上げた俺の腕をギリギリと締め上げる。  
この嬉しそうな表情、姉貴は間違いなくサドに違いない。  
だが、俺はこんな理不尽な暴力には屈しない!  
絶対に屈したりはしないんだっ!  
 
「俺は、悪くない、悪いのは姉ちゃんだろ!?」  
 
痛みを堪え、なんとか言い放つ。  
はっきり言ってしまうと状況は最悪だ。  
俺は膝立ちの状態で、両の膝裏に足を乗せられ動きを封じられている。  
 
「はい、そんな悪いことを言うお口はどこのお口かな〜?」  
 
一段と極められた腕に力が加わる。  
折れるか折れないかの絶妙な力加減。  
まだ折れたことはないので、どこで折れるかはわからないが、とにかく痛い。  
女性を守るための護身術が、こんなことに使われるなんて!  
 
「いててててっ、ごめんなさい、俺が悪かったです!」  
 
肉体は精神力を凌駕する。  
逆化もしれないがもはやどうでもいい。  
俺の心はマッチ棒よりも容易く折れていた。  
救いのない抵抗よりも、救いのある投降の方がまだマシというものだ。  
 
「よろしい。」  
 
姉貴は俺が屈服したことに満足したのか、手をパッと離した。  
俺は床にばったりと倒れこんで、姉貴を睨みつけようと首をひねる。  
そこに見えたものから思わず俺は目を逸らしてしまった。  
 
「ね、姉ちゃん、見えてる。」  
 
言ってしまってから、後悔した。  
自分の馬鹿さ加減に正直呆れてしまう。  
キジも鳴かずば撃たれまい。  
 
「・・・はぁ!?」  
 
一瞬、何を言っているのみたいな顔をした後、姉貴は自分の姿を見た。  
キャミソールに短いデニムのスカート。  
それ自体に問題はないが、問題は片膝を立てたその姿勢にあった。  
健康的な太腿を辿れば、その奥に見える白い布の盛り上がり。  
姉貴の顔が真っ赤に染まり身体がプルプルと震えた。  
 
「〜〜〜っ!」  
 
姉貴はすっくと立ちあがると、白のソックスに包まれた足で容赦なく俺をガスガスと踏みつけた。  
ストンピングの嵐、不幸にも姉貴のパンツで勃ってしまった俺には地獄の苦しみ。  
出る杭は打たれる、とはこのことだ。  
 
「こんの、スケベっ!」  
 
最後にドスっと強烈な一撃を背中に食らわせると、姉貴はノシノシと階段を登っていった。  
・・・俺はいろいろな意味でしばらく動くことができなかった。  
 
 

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