柴栄治に姉という存在が出来たのは、八歳の時のことだった。シングルマザ  
ーだった母の結婚相手の連れ子――それが円だった。「かわいいー!」と当時  
中学生だった円に頭を撫でられたのが、やけに気恥ずかしかったのをよく覚え  
ている。  
 母が交通事故で死んだのは、その六年後だった。  
「栄治……家を出てさ、あたしと一緒に暮らさないかい?」  
 円がそう言ったのは、その四年後、二週間前のことだった。  
「あんなろくでなし放っておいてさ、あたしと暮らそうよ。栄治だって、そっ  
ちのほうがいいだろう? な?」  
 父は母の死後酒と女に溺れ、円はそんな父を快く思っていなかった。それは  
栄治も同じだ。  
 七つ年上の円は大学卒業後フリーライターになり、まずまずの収入はある。  
それに母が死んだ時の保険金を合わせれば、姉弟二人で住むのは十分可能だ。  
 栄治はさして悩むこともなく円と暮らすことを選んだ。  
 そして順調に適当な物件を見つけ、早速そこで暮らし始めたのだが、  
「栄治ぃ……あんた料理もできないでどうするのさ。やれやれ、年が離れてる  
からって甘やかしちまったかねえ」  
「栄治ってさ、ひょろっちいよね。男がこんなんじゃ頼りないよ」  
 円は弟が肉体的にも、精神的にも軟弱なのに辟易し、「男を磨け」と栄治に  
家事その他、何故か運動まで鍛えるように言った。  
 
「なーな、はーち……」  
 普段は子供の無邪気な声が響く春の公園に、その日は喉の奥から搾り出した  
声が響いていた。声の主はつい先日高校を卒業したばかりの青年だ。彼が何を  
しているか、否、何をさせられているかというと、肌寒い早朝から公園の鉄棒  
で懸垂だ。  
 栄治が球のような汗を浮かばせて懸垂に励んでいる隣では、彼にそれを強い  
ている張本人である姉の円が鉄棒によりかかって欠伸をこぼしている。  
「きゅ、うぅー」  
「おら、腑抜けんな!」  
 無防備な尻を叩かれ、栄治は飛び上がるように十回目を終えた。  
 限界といった風に鉄棒から下り(落ち)ると、ぜいぜいと必死で酸素を取り  
込んでいる。  
「情けないねえ。もうギブアップかい」  
「そんなこと言ったって……」  
 円は長い茶髪をかき上げ、さも呆れたと言わんばかりに溜息をついた。地面  
に這いつくばる栄治の姿は、なるほど確かに情けない。  
「やれやれだよ。ほら、立ちな。ベンチまで行くくらいできるだろう? あん  
た限界みたいだから、しょうがねえ、あたしが代わりにジュース買ってきてや  
るよ」  
 円の手を取って立ち上がる。彼女は女性にしては背が高いので、視線は栄治  
とそう変わらない。  
「あ、ありがとう」  
 礼を言ったときには、円はすでに栄治に背を向けていた。姉の背中を見送り  
ながら、栄治はベンチにどさっと座り込んだ。  
 右手がやけに熱いのは、懸垂だけが原因ではないだろう。  
 これまで何度か、シスコンだと揶揄されたことがある。その時には反駁する  
のだが、実のところ自覚はしていた。円は栄治にとって、最初は年上の友達だ  
った――憧れの対象だ。それが段々と家族の一員になっていった。しかしそれ  
でも出遭ったころに抱いた想いは、倫理観に塗りつぶされることなく、今でも  
栄治の胸に息づいているのだ。  
 
「栄治! あたしは仕事してっから、風呂掃除して夕飯作ってよ」  
 筋肉痛に苛まれる栄治が「えぇ〜」と不満の声を漏らすと、円はスカートか  
らすらりと伸びた足で背中を踏みつけてきた。  
「いたっ、姉さん重い……」  
「あア! 何だって?」  
 円は太っているわけではない。むしろ学生時代には陸上をやっていたせいか、  
引き締まったボディラインをしている。だが筋肉質で背丈もあるため、見た目  
以上に重いのだ。  
「グダグダ言ってないで! さっさと! 動く!」  
「わかっ――」  
 栄治は顔を上げて視界一杯に円の足の付け根、淡いピンクの下着が広がって  
出掛かった言葉とともに息を呑んだ。さらに言えば、生唾もいっしょに飲み込  
んでいた。  
「わかったらとっとと動くッ!」  
「お、おう!」  
 栄治はバネ仕掛けが如く跳ね起き、円から目を反らしたまま風呂場へ駆け込  
んだ。  
 どこをどう見たところで美形とは言いがたい栄治とは明らかに異なる、円の  
非凡な器量は密かな自慢であった。欲を言えばもう少し人を労わることを覚え  
て欲しいものだが、他に言うべきところはないと思っている(身内贔屓が含ま  
れているのは否めないが)。  
 特に二人並んで歩いている時など、似ても似つかぬ外見から恋人に見られる  
ことも度々で、それは女性経験に乏しい栄治にとって唯一の甘い青春のひとと  
きだった。  
 
 
 栄治の作った夕飯を、円は「美味い美味い。上達したじゃないか」と言い、  
心底美味そうに食べてくれた。姉の率直な物言いは嬉しくもあるが、くすぐっ  
たくもある。  
「ごちそうさん。美味かったよ」  
 円は食器を片付けると、円自らが選びに選んで購入したソファにどかっと座  
り込み、手招きで栄治を呼んだ。  
「何?」  
 返事の代わりに、ふわりと円の両腕が栄治を包み込む。  
 栄治は敢えて抵抗もしなかった。誰にも話したことはないが、円は時折こう  
して弟を抱きしめるのだ。  
「姉さん……俺もう大学生だぜ?」  
 しかしながら、やはり姉に抱かれるというのは羞恥心が伴う。  
「だから何さ? 弟を可愛がるのに歳が関係あるもんか。どうせ誰が見てるわ  
けでもなし。黙って抱かれてな」  
 それ以上は何も言わず、姉に身を委ねた。  
 そっと、花を慈しむように円の手が背中を撫ぜる。背筋の感触を指先で堪能  
しつつ、頬に頬を摺り寄せてくる。  
「やっぱり男の子だね。ちょっと鍛えればすぐ変わる」  
 円が囁くと、顔に暖かな吐息がかかった。夕飯に出たハンバーグの匂いがし  
た。  
「筋肉が張ってる……無茶させたかね」  
 円はするりと栄治を離すと、名残を惜しむ彼を尻目にソファから立ち上がっ  
て「うーん」とひとつ背伸びした。  
「栄治が洗ってくれた風呂に入るかねえ」  
「あ、うん。もう沸いてるよ」  
 口惜しいのを態度に出さないよう、わざとすげなく言って栄治はソファに座  
った。しかしすぐに、手首を掴まれ引き起こされる。  
「何を言ってるのさ? あんたも一緒だよ?」  
 あまりの言葉に唖然としてしまった栄治は、反駁することすら忘れた。  
 
 垢すりが背中をこする。なんのことはないはずのその感触も、姉がそれをし  
ているともなればもう“なんのことはない”とは言い難い。しかもその姉の肢  
体を覆うものが濡れたバスタオル一枚ともなれば尚更だ。  
 おそらく注意深く見れば、乳房の形もはっきりわかるだろうし、その先端も  
見て取れるはずだ。栄治はそれを無理やり意識の埒外に押しやった。  
「直接見るとよくわかるね。ふふ、あたし好みの体つきになったじゃないか」  
 ふと垢すりとは似ても似つかない感触が背中を這う。  
 柔らかな弾力のある肉の感触。円に抱きしめられる時、いつもその感触を意  
識していた栄治にはすぐにわかった。乳房、だ。  
 先端の突起の感触まで手に取るようにわかる。泡を伴った円の豊かな乳房が  
背中をぬらぬらと這っているのだ。  
「ね、姉さん」  
 栄治の股間に乗っていたタオルが押し上げられる。それを待っていたかのよ  
うに、円の白くたおやかなな指が栄治の固く尖った肉棒に絡められた。  
「う……」  
 思わずくぐもった声を上げると、円は愉しそうにふふ、と笑った。  
「返事は予想できるけど……童貞かい?」  
「なっ?」  
 よもや姉に面と向かって(性格には背中からだが)そんなことを訊かれると  
は、夢にも思わなかった栄治は素っ頓狂な声を出してしまう。円はそれも見越  
していたか、また喉を鳴らすと、肉棒に絡めた指をその感触を確かめるように  
動かし始めた。  
「答えなよ。隠そうったって、どうせあたし相手じゃ無理なんだ」  
 ならば敢えて答える必要もないのではないか――そうは思うが、今まで聞い  
たことのない甘美な色香を放つ姉の声に逆らう気など起きなかった。  
「そ、そうだよ」  
「ふうん。やっぱりね」  
 円は馬鹿にするわけでもなく、ただそれだけ言うと肉棒から手を離し、シャ  
ワーで二人の身体を流し始めた。  
「出ようか」  
 言うが早いか、さっさと風呂を上がってしまった。  
 残された栄治はしばし呆然としていたが、やがてのろのろと円に倣った。  
 
 風呂から出た栄治が身体を拭いていると、先に拭き終えた円は「パンツ穿く  
前においでよ」と言った。栄治はどういうことか、あえて考えずにそれに従っ  
た。  
 円は自分の寝室に栄治を連れ込むと、ベッドに腰掛けるように言った。栄治  
も円も、身体を覆うものはバスタオルのみである。  
「あたし、あんたに『男を磨け』って言ったよね?」  
 栄治は何が言いたいかわからないまま漫然と頷いた。  
「思うにさ、家事だ運動だ勉強だも大事だけど……」  
 円の手が栄治の股間へ伸びる。  
「これも大事じゃないかい?」  
 バスタオルを取り払い、露になった肉棒を直に握ると、円はすっと身を乗り  
出して栄治の唇を吸った。  
 栄治は何かに縛られたように動けず、声も出せなかった。心臓の音が鼓膜を  
揺さぶるように大きく響く。  
 円は一度唇を離すと嫣然と微笑み、「舌入れるよ。噛むなよな」と言っても  
う一度口付けた。  
 円の舌が唇を割って口内へ侵入してくる。長い舌が蛇の様に栄治の舌に絡ま  
り、さらに歯の一本一本から歯茎まで、口内中を這い回りその味を堪能してい  
く。  
 肉棒を握る手に力が込められ、それだけで栄治はかつてないほど硬く怒張し  
てしまう。空いた手で肩を押されても抵抗できず、あっさりとベッドに押し倒  
されてしまった。  
「ぷはっ……あ、もしかしてキスも初めてかい?」  
 頷くと、円は嬉しそうに頬を杏子色に染めた。  
「ふふふ、そりゃラッキー。さ、次は――“女”の味を教えてあげるよ」  
 言って円は身体に巻いたタオルをやおら取り払い、たわわに実った両の乳房  
と、そこから腰に至るまでのなだらかなライン、そして薄く若草の繁った陰部  
を露にした。  
 
 円は妖艶な笑みを栄治の股間に近づけ、躊躇いもなく張り詰めた肉棒を口に  
含んだ。  
「ん、むぅ、ちゅぱ……」  
 栄治はうっ、と唸り一言「姉さん」と呼んだ。円は視線を上目遣いにしてそ  
の声に答えると、口と手の動きを速めた。  
「う、あ……」  
 早くもぴくん、と肉棒が脈打つと円は口を離した。  
「イきたくなったら、イっちまっていいからね。一回でダウンってわけでもな  
いだろ?」  
 円はそう言うと、今度こそ止めを刺すつもりなのだろう。乳房の間に肉棒を  
挟み込んだ。その大きさと張り、整った形。健全な男なら見るだけで垂涎もの  
の乳房に挟まれ、栄治の肉棒はびくびくと痙攣した。  
 再びそれの赤黒い先端を咥え込み、乳房と舌とで丁寧な愛撫をする円。  
「んむ、んん、んぐ……ちゅぷ、はぁ……ぁむ……」  
「ね、姉さん――」  
 どぷっ、びゅくん!  
 言うが早いか、栄治は姉の口内で絶頂を迎えていた。円はそれを全て口で受  
け止め、ちゅうぅ、と残りも吸い出した。  
 そして耳元に口を近づけ、ぐちゅぐちゅ、ごくん、と栄治が吐き出した精液  
を咀嚼して飲み込む音を聞かせた。  
「さすが若いだけあるね。濃くて、多くて……」  
 唇の端から溢れた白濁液を赤い舌が舐めとり、陶酔した面持ちで詠うように  
円は呟いた。お  
 
「栄治、次は私の番」  
 円は栄治の顔に跨り、陰部を指で開いて見せ付けてきた。ぷっくり充血した  
クリトリスから尿道、女体への入り口までがはっきりと見て取れ、栄治は生唾  
を飲み込んだ。  
「テクニックなんて期待してないからさ。好きに弄ってよ。そうしてりゃあん  
たのも復活するだろ」  
 そうは言われても、栄治は動けない。円はそんな弟の頬を優しく撫でた。  
「そんなに緊張するこたぁないよ。これは言ってみれば練習さ。いつか栄治が  
女と寝る時、みっともなくうろたえないようにするための練習」  
「れ、練習?」  
「そう、練習。ふふふ、第一姉弟で本気になっちゃ困るし……ね?」  
 練習、これは練習、何もきんちょうすることはない――そう自分に言い聞か  
せて栄治は円の秘所に手を伸ばした。  
 クリトリスを指先で転がし、円が「ひぅ!」と身体をくねらすのが面白くて  
さらに強く愛撫した。  
「ううん、そうそう、その調子だよ」  
 膣口に弄っていると、ふいに指先が中に取り込まれた。ここが入り口か。今  
からここに自分の肉棒が入るのだ。そう考えると、頭が蕩けていくような心地  
がした。  
 顔を陰部に押し当てると、酸っぱいような変な匂いがした。舌を這わすと、  
やはり酸味がした。決して美味ではないが、興奮を誘う味だった。  
「あぁん……いい、効くよぉ……あン、あぁ」  
「姉さんのここ、凄い」  
 とめどなく溢れてくる蜜に、栄治は少し戸惑った声で言う。  
「あたしのアソコは正直者なんだよ。早く栄治が食べたいって涎垂らしてるの  
さ……な、もういいだろ?」  
 
 言うと、円は栄治の顔から濡れそぼった陰部を離して天を衝く剛直の上に跨  
った。指で固定して、入り口にあてがう。  
「筆下ろしの瞬間だ、行くよ」  
 栄治が肉を押し分け、円の中に入っていく。心のどこかで長い間この時を待  
っていたような、そんな気がする。  
 円はゆっくり上下しながら、さらに奥へと栄治を招き入れる。  
「どう栄治? 今栄治は姉ちゃんとセックスしてるんだよ? 感想は?」  
 円は恍惚の表情ですとん、と腰を落とした。  
 蚯蚓千匹とはよく言ったもので、円の膣は幾つもの肉襞が男に絡みつき、一  
斉に絞り上げて揉み下ろしてくる。それに溶かされるのではないかと思うほど  
に熱くて――  
「う、あっ!」  
 どくっ、どくん、どぴゅ! びゅびゅうっ!  
「――!」  
 堪えきれず、栄治は円の中で精を放ってしまった。  
 しかし円は――怒るどころか、愉しげに笑っていた。  
「おやおや。……率直な感想ありがとさん」  
「ね、姉さん。いいの?」  
 円は栄治の不安げ横顔を撫でて、笑みを深くした。  
「ゴムつけさせなかったんだ。察しなよ。……そんなこと気にしないで、思う  
存分、んっ、楽しめばいいんだ」  
 言葉の途中から円はまた腰を動かし始めた。真正直に上下するだけだが、そ  
れでも十分すぎる快感が栄治の脳髄を駆け巡る。  
 
「んあ、あぁん……二回も、出したのに……まだ元気じゃないか。いいよぉ、  
来る来る!」  
 律動が上下から前後へ、そして円を描くようなものへと次々変わる。様々な  
角度から弟を味わう肉壺の責め苦に、栄治の僅かに残った理性は溶け切ってし  
まい、背徳感も悦楽の波に飲み込まれていった。  
 本能に背中を押されるままに、栄治は腰を突き上げ始めた。  
「ひぁ! あふぅ、いいじゃない、その調子だよ」  
 円は愉悦に形の良い唇を歪ませ、尚も動きを早めてきた。長い茶髪を振り乱  
し、男の上で踊り狂う。幾度となく妄想の中に描いた姉の痴態が、今栄治の目  
の前で現実のものとなっていた。  
「くあ! あっ、あっ、あうぅ!」  
 栄治を高みへ押し上げる一方で、円もまた果てが近いようだった。だんだん  
と喘ぎが切羽詰ったものになっている。  
 前のめりに円が倒れこんで、栄治の顔の両横に手をついた。  
 眼前で揺れる乳房に誘惑され、栄治は赤子に戻ったように先端蕾に吸い付い  
た。  
「ひぃんっ!」  
 喉の反らせて悲鳴じみた叫び声を上げる円。その膣がきゅう、と締まる。  
 絶頂も間近のここへ来て、二人はケダモノになった。何もかもを忘れて、た  
だ互いの身体を貪るようにしゃにむに腰を振り続けるケダモノに。  
「あふ。ひぁ、ひぃん……あっ、はっ」  
 ずん、ずん、ずん、ずっ、ずっ、ずっ……  
 どんどん速まっていく動き。円の膣はぎゅうぎゅうと弟から精を搾り取るべ  
く、痛いほどに締め上げてくる。  
「はっ、あっ、あっ、あっ、あっ、んあっ! くあアぁぁぁァァぁっ!」  
 ――びゅくん! どぷ、どくん!  
 達したのは二人同時。円の膣は痙攣を繰り返し、その度に脈打つ肉棒は精を  
放った。  
「ふうっ……」  
 円は満足げな息を吐き、栄治の横に寝転がった。  
「……」   
 そして何も言わずに、栄治の頭を抱いた。  
 栄治は、幼少の頃何度もそうしたように、姉の柔らかな温もりに包まれて眠  
った。  
 
 
 栄治が眠ったのを見届けると、円はそろそろとベッドから降り立った。  
 立ち上がった足の内腿を、どろりとした液体が伝う。若い熱情を二度もその  
膣で受け止めたのだ。流れ出る量から察するに、胎内にはたっぷりと注ぎ込ま  
れているのだろう。  
 安全日だからと膣内射精させたが、量と濃度がこれだ。……円は白い腹を撫  
でた。厭な気は、しない。  
 ――これは言ってみれば練習さ。  
 脳裏によぎるのは、自らの言葉だ。  
 ――第一姉弟で本気になっちゃ困るし……  
 円は一度安らかに眠る栄治を見て、それから深く嘆息して、誰にともなく呟  
いた。  
「困ったなあ……」  
 
 
                                《了》  
 

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