全寮制の名門女学校に通う翠は、校内でも1,2を争う才媛だ。美貌の持ち主としても名高い。  
品行方正、非の打ち所がないと大人たちが誉めそやす彼女は、しかしそれ相応のストレスを抱え込んでもいた。  
全寮制の学校では、そのストレスを発散する方法は多くなく、彼女はそれを、巧妙な陰湿ないじめという形で発散していた。  
標的は大人しくてどこか陰のある鈴子で、いじめられても黙って耐えるばかりの彼女に対して、いじめはどんどんエスカレートしていく。  
その日は、取り巻きの一人がどこからか入手したローターを道具に嬲ってやろうと考えていた。  
しかし、翠は化学の授業中に不注意から試験管を割ってしまい、教師から放課後の手伝いを命じられてしまった。  
 
カチャカチャと、ガラスの触れ合う音がする。  
いつの間に、眠っていたのだろうか。しかも、仰向け…?  
翠は身を起こそうとして、ぎょっとする。  
手足が拘束されていた。大の字だ。  
「眼が覚めたかね」  
ビーカーの液体をガラス棒で撹拌しながら──ガラスの触れ合う音の正体だ──翠に声をかけたのは、化学の教師だった。  
「せ、先生?これは…一体…」  
まだ若い教師は、薄い唇をいやな形に歪めた。  
「翠くんには、実験に付き合ってもらおうと思ってね。興味あるんだろう…ほら、こんなものを持っているくらいだ」  
目の前にかざされたのは、見覚えのあるローターだった。  
「!!…それは…でも…」  
鈴子のカバンに入れたはず。  
ついに教師に密告したのか。けれど、何故。担任でもない、化学の教師に?  
事態が飲み込めず、混乱している翠のスカートを、教師は躊躇いもなく捲り上げた。  
「いや!」  
四肢をそれぞれ、実験用の広いテーブルの四隅に拘束され、捲り上げられたスカートを自分で直すことも出来ない翠は、金切り声を上げた。  
しかし当然ながら、教師はその程度の悲鳴などまったく気にせず、露わにした翠の下着に冷たい感触のものを押し付けた。  
ヴーーーーーーー  
ローターだ。細かな振動が、翠の股間に与えられる。  
「いや!いや、やめて!」  
性的なことにはまだ慣れていない翠にとって、その振動はただ不快なだけだった。  
ローターは下着越しに淫裂をなぞっていく。やはり、くすぐったさと、それを上回る不快感しか生まれない。  
しかし、何度か往復を繰り返したローターが、ある一点を捉えた瞬間、翠の身体は意思と関係なく、びくりと揺れた。  
膨らみ始めたクリトリスに触れたのだ。  
教師は、ローターで掘り出すように、その部分にぐいぐいと押し付け始めた。  
尿意にも似た、奇妙な感覚が突き上げてくる。  
「やだ、先生、やめて、やめて…!」  
頑張って身体をひねっても、腰がわずかに動くだけで、ローターは容赦なくクリトリスを責める。  
湿り始めた下着越しに、すっかり大きくなったクリトリスがくっきりと浮かびあがった。  
カチ。  
 
未知の感覚が、頂点に達する前に、教師はローターのスイッチを切った。  
クリトリスを含め、下肢がじんじん痺れているが、翠は、反射的に助かった、と安堵した。  
もちろんそれは、甘い。  
「きゃあっ!!」  
教師が、無造作に翠の下着を引っ張り上げたのだ。  
クリトリスが押しつぶされる。  
翠が尿意だと感じている、あの鋭い快楽が、さらにクリトリスに襲い掛かる。  
教師はそのまま、何度か下着を左右にずらし上げた。  
クリトリスも、左右にずれて、さらなる快楽を翠に送り込む。  
「あっやっ、だめぇっ!」  
刺激から逃れようと腰を動かしても、それはどうみても淫猥な動きにしかならない。  
教師は薄ら笑いを浮かべながら、初めての快楽にうろたえる翠に、先ほどまで撹拌していたビーカーを示した。  
「これが何か分かるかね、翠くん」  
ただの水にしか見えないし、今の翠に、それが何か、考える余裕などない。  
教師も最初から、答など期待していないので、さっさとビーカーの液体をガーゼに含ませると、それを翠の鼻先へ持っていった。  
「これは一種の精力増強剤だ。いわば媚薬、催淫剤だな。これを、君の…」  
とんとん、と指先で軽くクリトリスを突かれ、翠の腰は戦慄いた。  
「ここに揉み込んであげよう。どういう効果が出るか、楽しみだよ」  
「っや」  
やめて、と言うより早く、教師は下着の上から、翠のクリトリスにガーゼを押し付けた。  
ぐりぐり、うにうにと揉まれたクリトリスは、ますます膨らんだ。  
「!いやーっ!もうやめてっ、いや、ダメ!ああああ!」  
強すぎる快楽は、もはや下肢どころか全身を蝕んでいる。  
ガーゼに含まれていたのが、本当に媚薬であろうとなかろうと、関係ない。  
目の奥に閃光が走り、翠は一気に絶頂に追いやられた。  
「いい反応だ。効果は絶大だな」  
教師の満足そうな声が、ひどく遠くから聞こえる。  
このまま意識を手放してしまえば楽だったのだが、達したばかりのクリトリスを無遠慮につままれ、翠は悲鳴を上げて意識を取り戻した。  
今の状態では、痛みも快楽に摩り替わる。  
「もうダメっ、さわ、触らなッあっんくぅッ!」  
クリトリスを指で挟まれただけで、翠は二度目の絶頂を味わった。  
「これだけでイったか」  
教師はあっさりと指を離したが、その小さな衝撃だけで、翠を気絶しそうな快楽が襲う。  
催淫剤というのは、本当だったようだ。  
制服が肌をこするだけでも、今の翠にはつらい。  
涙と汗でぐちゃぐちゃの顔を歪めて、翠は浅く荒い呼吸を何度も繰り返す。  
「ぁひあ!」  
不意打ちで、教師の指がクリトリスをつまむ。  
じわじわと力を入れ、ゆるゆると力を抜く、クリトリスを指先で揉んでいるのだ。その間隔が間遠なので、イきそうな快楽が開放されなくてひどく苦しい。  
「あーっあぁんーっ!も、もういや、ホ、本当に、あぅう!」  
ぴん、と弾き出すように指を離される。  
「ああああっ!」  
もう何度目なのかも分からない、翠は達した。  
 
 
「ねぇ、今度はもう一回、コレを使ってあげましょうよ」  
突然の声に、翠は目を見開いた。  
「(;゚д゚)ァ.... す、ず…こ」  
散々声を上げていたせいで、翠の声はかすれていたが、鈴子にはきちんと届いていた。  
「ねぇ、翠サンも、せっかく手に入れた宝物ですもの、使いたいわよねぇ?」  
あのローターを翠の頬に押し付ける鈴子に、いつものおどおどした影は微塵もない。鈴子は圧倒的上位に立つ者特有の、ある種の寛大ささえ感じさせる声音で続けた。  
「翠サンは今、手が使えないものね。私が協力してあげるわ」  
「ひゃぅぁっ!!」  
教師とはまるで違う、細くて器用に動く指が、下着の中に滑り込んだ。  
人差し指と中指が、じかにクリトリスを挟み込む。きゅっと締め上げられて、翠はまた達した。  
「翠サンって淫乱ねぇ」  
嘲笑って、鈴子は、さらに、指を水平にずらして、クリトリスをこすった。  
「ふくぅぅぅ!」  
「あはは、変な声。翠サン、気持ちいいのね。私にこんなことされて!」  
嬌声を上げまいとする努力は、鈴子に一笑に付されて終わる。  
鈴子は、振動するローターをゆっくりゆっくりと下着に近づける。  
「いや…やめて…ごめんなさい、鈴子…!!」  
下着の中でクリトリスを挟まれ、下着の上からローターで責められようとしているのだ。  
翠は恥も外聞もなく、必死に許しを請う。  
いたぶるためだろう、ローターは触れそうで触れない、微妙な位置を上下している。  
「翠サン」  
鈴子はうっとりしたような眼差しを翠に注いだ。  
「…もう、遅いわ」  
「あああああああああああっ!!」  
クリトリスにローターを押し当てられ、翠は絶叫した。  
膣から潮が噴き出して、下着を通り越し、テーブルまで滴る。  
絶頂に達したまま、戻ってこれない翠に、ぞっとするほど優しく、鈴子は囁いた。  
「翠サン、明日からも…仲良くしましょうね」  
 
2人の仲は、卒業するまで続いた。  
 
了  
 

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